(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137042
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/14 20060101AFI20240927BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240927BHJP
H10B 41/40 20230101ALI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
G11C 16/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G11C16/14 100
H10B41/27
H10B41/40
H01L29/78 371
G11C16/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048395
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 佳和
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225CA01
5B225DC08
5B225DC12
5B225DE12
5B225EA05
5B225FA01
5B225FA02
5F083EP17
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA01
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA35
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH04
(57)【要約】
【課題】消去動作にかかる時間の増加を抑制できる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一実施形態の半導体記憶装置30は、トランジスタを含むメモリセルMCと、配線CPWELLと、第1回路36とを含む。第1回路は、配線を介してトランジスタのゲートとトランジスタのチャネルとの間に消去電圧VERAを印加する消去電圧印加動作と、メモリセルの閾値電圧を判定する消去ベリファイ動作とを含む消去動作を実行する。第1回路は、消去動作中に、第1コマンドFFhを受信すると、消去動作を中断する第1中断処理を実行する。第1回路は、第1コマンドを受信したときの配線の電圧値VERA1に基づいて、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタを含むメモリセルと、
配線と、
前記配線を介して前記トランジスタのゲートと前記トランジスタのチャネルとの間に消去電圧を印加する消去電圧印加動作と、前記メモリセルの閾値電圧を判定する消去ベリファイ動作とを含む消去動作を実行する第1回路と
を備え、
前記第1回路は、
前記消去動作中に、第1コマンドを受信すると、前記消去動作を中断する第1中断処理を実行し、
前記第1コマンドを受信したときの前記配線の電圧値に基づいて、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作または前記消去ベリファイ動作を実行する、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1コマンドを受信したタイミングは、前記消去電圧印加動作中である、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1回路は、
前記配線の前記電圧値が第1閾値よりも高い場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記配線の前記電圧値が前記第1閾値以下である場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1回路は、
前記配線の前記電圧値が第2閾値よりも高い場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下である場合、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下であるときに前記消去動作を中断する第2中断処理を実行している場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作または前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理を実行していない場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1回路は、
前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下である場合、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理を実行し、前記第2中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行している場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理を実行し、前記第2中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行していない場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行する、
請求項4記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1回路は、
前記配線の前記電圧値が第1閾値以下である場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行し、
前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、第2閾値以下である場合、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下であるときに前記消去動作を中断する第2中断処理を実行している場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作または前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理を実行していない場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行し、
前記配線の前記電圧値が前記第2閾値よりも高い場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1回路は、
前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下である場合、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理を実行し、前記第2中断処理から前記第1中断処理までに前記消去ベリファイ動作を実行している場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理を実行し、前記第2中断処理から前記第1中断処理までに前記消去ベリファイ動作を実行していない場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行する、
請求項6記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1回路は、
前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下である場合、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理を実行し、前記第2中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行している場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理を実行し、前記第2中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行していない場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行する、
請求項6記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
トランジスタを含むメモリセルと、
配線と、
前記配線を介して前記トランジスタのゲートと前記トランジスタのチャネルとの間に消去電圧を印加する消去電圧印加動作と、前記メモリセルの閾値電圧を判定する消去ベリファイ動作とを含む消去動作を実行する第1回路と
を備え、
前記第1回路は、
前記消去動作中に、第1コマンドを受信すると、前記消去動作を中断する第1中断処理を実行し、
前記第1中断処理よりも前に前記消去動作を中断する第2中断処理を実行している場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作または前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前に前記第2中断処理を実行していない場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行する、
半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1回路は、
前記第1中断処理よりも前に前記第2中断処理を実行し、前記第2中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行している場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前に前記第2中断処理を実行し、前記第2中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行していない場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行する、
請求項9記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第1回路は、
前記配線の前記電圧値が第2閾値よりも高い場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下である場合、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下であるときに前記消去動作を中断する第2中断処理をn回(nは2以上の整数)実行している場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作または前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理をn回実行していない場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第1回路は、
前記配線の前記電圧値が第1閾値以下である場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行し、
前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、第2閾値以下である場合、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下であるときに前記消去動作を中断する第2中断処理をn回(nは2以上の整数)実行している場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作または前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前であり、前記配線の前記電圧値が前記第1閾値よりも高く、前記第2閾値以下であるときに前記第2中断処理をn回実行していない場合には、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行し、
前記配線の前記電圧値が前記第2閾値よりも高い場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去ベリファイ動作を実行する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第1回路は、
前記第1中断処理よりも前に前記消去動作を中断する第2中断処理をn回(nは2以上の整数)実行している場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作または前記消去ベリファイ動作を実行し、
前記第1中断処理よりも前に前記第2中断処理をn回実行していない場合、前記第1中断処理で中断された前記消去動作の再開時に前記消去電圧印加動作を実行する、
請求項9記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第1コマンドは無効にされない、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記消去動作が、前記消去電圧印加動作において前記消去電圧が印加される消去実行期間中の第1期間で中断された場合、
前記消去動作の再開後、前記消去電圧印加動作において、前記消去実行期間は、前記第1期間から開始される、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置としてNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0303172号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0197560号明細書
【特許文献3】米国特許第11402996号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消去動作にかかる時間の増加を抑制できる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体記憶装置は、トランジスタを含むメモリセルと、配線と、第1回路とを含む。第1回路は、配線を介してトランジスタのゲートとトランジスタのチャネルとの間に消去電圧を印加する消去電圧印加動作と、メモリセルの閾値電圧を判定する消去ベリファイ動作とを含む消去動作を実行する。第1回路は、消去動作中に、第1コマンドを受信すると、消去動作を中断する第1中断処理を実行する。第1回路は、第1コマンドを受信したときの配線の電圧値に基づいて、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの一例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体記憶装置内のメモリセルアレイの回路図である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体記憶装置内のメモリセルアレイの断面構造の一例を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体記憶装置内のメモリピラーの断面構造の一例を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作のシーケンスの一例を説明する図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作中に中断の指示を受信したタイミングと、消去動作の再開時の動作との関係の一例を説明する図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第1実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】第1実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図12】第2実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第2実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図14】第2実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図15】第2実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図16】第3実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すフローチャートである。
【
図17】第3実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図18】第3実施形態に係る半導体記憶装置の消去動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図19】第3実施形態の第1変形例に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すフローチャートである。
【
図20】第3実施形態の第1変形例に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図21】第3実施形態の第2変形例に係る半導体記憶装置の消去動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0008】
各機能ブロックは、以下の例のように区別されていなくてもよい。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実現されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。機能がどの機能ブロックによって実現されるかによって実施形態は限定されない。
【0009】
また、各機能ブロックは、ハードウェア、コンピュータソフトウェアのいずれかまたは両方の組み合わせとして実現することができる。
【0010】
1. 第1実施形態
第1実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。以下では、半導体記憶装置としてNAND型フラッシュメモリを例に挙げて説明する。
【0011】
1.1 構成
1.1.1 メモリシステムの構成
本実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの一例を示すブロック図である。
【0012】
メモリシステム1は、データを記憶するデバイスである。メモリシステム1は、例えば、SSD(solid state drive)、UFS(Universal Flash Storage)デバイス、USB(Universal Serial Bus)メモリ、MMC(Multi-Media Card)、またはSDTMカードである。メモリシステム1は、ホストバスを介してホスト2に接続可能である。メモリシステム1は、ホスト2から受信した要求信号または自発的な処理要求に基づく処理を行う。要求信号は、各種動作の要求信号である。各種動作は、例えば、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作である。自発的な処理要求は、例えば、ウェアレベリング、コンパクション、及びリフレッシュ等である。
【0013】
ホスト2は、メモリシステム1を制御するデバイスである。ホスト2は、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバシステム、モバイルデバイス、車載デバイス、またはデジタルカメラである。
【0014】
次に、メモリシステム1の内部構成について説明する。
【0015】
メモリシステム1は、機能ブロックとして、メモリコントローラ10及び半導体記憶装置30を含む。半導体記憶装置30は、例えば、NAND型フラッシュメモリのような不揮発性メモリである。以下では、半導体記憶装置30をNAND型フラッシュメモリ30と表記する。
【0016】
メモリコントローラ10は、NAND型フラッシュメモリ30を制御するデバイスである。メモリコントローラ10は、例えば、SoC(System On a Chip)である。メモリコントローラ10は、ホストバスを介してホスト2と接続される。メモリコントローラ10は、ホスト2からホストバスを介して要求信号を受信する。また、メモリコントローラ10は、ホストバスを介してホスト2に情報を送信する。ホストバスのタイプは、メモリシステム1に適用されるアプリケーションに依存する。メモリシステム1がSSDである場合、ホストバスとして、例えば、SAS(Serial Attached SCSI)、SATA(Serial ATA)、またはPCIeTM(Peripheral Component Interconnect Express)規格のインターフェースが用いられる。メモリシステム1がUFSデバイスである場合、ホストバスとしてM-PHY規格のインターフェースが用いられる。メモリシステム1がUSBメモリである場合、ホストバスとしてUSB規格のインターフェースが用いられる。メモリシステム1がMMCである場合、ホストバスとしてeMMC(Embedded Multi Media Card)規格のインターフェースが用いられる。メモリシステム1がSDTMカードである場合、ホストバスとしてSDTM規格のインターフェースが用いられる。
【0017】
メモリコントローラ10は、ホスト2から受信した要求信号または自発的な処理要求に基づいて、NANDバスを介してNAND型フラッシュメモリ30を制御する。メモリコントローラ10は、例えば、NAND型フラッシュメモリ30との間で、データの送受信、並びにコマンド及びアドレスの送信を行う。NANDバスは、NANDインターフェースに従った信号の送受信を行う。
【0018】
NAND型フラッシュメモリ30は、データを記憶するデバイスである。NAND型フラッシュメモリ30は、複数のメモリセルトランジスタを含む。複数のメモリセルトランジスタのそれぞれは、データを不揮発に記憶する。NAND型フラッシュメモリ30は、ホスト2から受信した要求信号に基づいて、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作を行う。書き込み動作は、例えば複数のメモリセルトランジスタにデータを書き込む動作である。読み出し動作は、例えば複数のメモリセルトランジスタからデータを読み出す動作である。消去動作は、例えば複数のメモリセルトランジスタに書き込まれたデータを消去する動作である。したがって、書き込み動作において、NAND型フラッシュメモリ30は、メモリコントローラ10から受信したデータを複数のメモリセルトランジスタに不揮発に記憶する。読み出し動作において、NAND型フラッシュメモリ30は、複数のメモリセルトランジスタから読み出したデータを、メモリコントローラ10に出力する。
【0019】
次に、メモリコントローラ10の内部構成について説明する。
【0020】
メモリコントローラ10は、機能ブロックとして、ホストインターフェース(I/F)回路11、プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)12、バッファメモリ13、ECC(Error Checking and Correcting)回路14、ROM(Read only memory)15、RAM(Random access memory)16、及びNANDインターフェース(I/F)回路17を含む。
【0021】
ホストインターフェース回路11は、メモリコントローラ10とホスト2との間の通信を司る回路である。ホストインターフェース回路11は、ホストバスを介してホスト2と接続される。
【0022】
プロセッサ12は、メモリコントローラ10の制御回路である。プロセッサ12は、ROM15に記憶されたプログラム(ファームウェア)を実行することによってメモリコントローラ10全体の動作を制御する。例えば、プロセッサ12は、ホスト2から書き込み動作の要求信号を受信した際には、それに基づいて、書き込み動作を制御する。読み出し動作及び消去動作の際も同様である。
【0023】
バッファメモリ13は、データを一時的に記憶するメモリである。バッファメモリ13は、例えば、SRAM(Static random access memory)である。バッファメモリ13は、書き込みデータ及び読み出しデータ等を一時的に記憶する。書き込みデータは、NAND型フラッシュメモリ30に書き込まれるデータである。読み出しデータは、NAND型フラッシュメモリ30から読み出されたデータである。
【0024】
ECC回路14は、データのエラー訂正(ECC)処理を行う回路である。具体的には、ECC回路14は、データの書き込み動作時に書き込みデータに基づいて誤り訂正符号を生成する。そして、ECC回路14は、データの読み出し動作時に、予め決められた単位で、誤り訂正符号に基づいてシンドロームを生成してエラーを検出し、検出したエラーを訂正する。
【0025】
ROM15は、不揮発性のメモリである。ROM15は、例えば、EEPROMTM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。ROM15は、ファームウェア等のプログラムを記憶する。
【0026】
RAM16は、揮発性のメモリである。RAM16は、例えば、SRAMである。RAM16は、プロセッサ12の作業領域として使用される。RAM16は、NAND型フラッシュメモリ30を管理するためのファームウェア、及び各種の管理情報を記憶する。
【0027】
NANDインターフェース回路17は、メモリコントローラ10とNAND型フラッシュメモリ30との間の通信を司る回路である。NANDインターフェース回路17は、NANDバスを介してNAND型フラッシュメモリ30と接続される。例えば、NANDインターフェース回路17は、メモリコントローラ10とNAND型フラッシュメモリ30との間におけるデータ、コマンド、及びアドレス等の転送を制御する。
【0028】
1.1.2 NAND型フラッシュメモリの構成
NAND型フラッシュメモリ30の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、NAND型フラッシュメモリ30の構成の一例を示すブロック図である。NAND型フラッシュメモリ30は、機能ブロックとして、メモリセルアレイ31、入出力回路32、ロジック制御回路33、レディ/ビジー回路34、レジスタ35、シーケンサ36、ドライバモジュール37、ロウデコーダモジュール38、及びセンスアンプモジュール39を含む。
【0029】
メモリセルアレイ31は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含む。以下、ブロックBLK0~BLKnを区別しない場合は、単にブロックBLKと表記する。ブロックBLKは、例えば、一括してデータが消去される複数のメモリセルトランジスタの集合である。例えば、ブロックBLKは、データの消去動作の単位として使用される。メモリセルアレイ31には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。メモリセルトランジスタは、例えば、1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ31の詳細については後述する。
【0030】
入出力回路32は、メモリコントローラ10との間で、信号及び情報を送受信する回路である。入出力回路32は、メモリコントローラ10との間で、入出力信号DQ(例えば、8ビットの信号DQ0~DQ7)、並びにデータストローブ信号DQS及びDQSn(信号DQSの反転信号)を送受信する。信号DQは、NAND型フラッシュメモリ30とメモリコントローラ10との間で送受信されるデータである。信号DQは、例えば、コマンドCMD、アドレスADD、ステータス情報STS、及びデータDATを含む。信号DQS及びDQSnは、信号DQの送受信のタイミングを制御するための信号である。例えば、データの書き込み動作時には、書き込みデータを含む信号DQと共に信号DQS及びDQSnが、メモリコントローラ10からNAND型フラッシュメモリ30に送信される。NAND型フラッシュメモリ30は、信号DQS及びDQSnに同期して書き込みデータを含む信号DQを受信する。また、データの読み出し動作時には、読み出しデータを含む信号DQと共に信号DQS及びDQSnが、NAND型フラッシュメモリ30からメモリコントローラ10に送信される。メモリコントローラ10は、信号DQS及びDQSnに同期して読み出しデータを含む信号DQを受信する。なお、入出力回路32は、ロジック制御回路33を介して、メモリコントローラ10から信号DQS及びDQSnを受信してもよい。
【0031】
ロジック制御回路33は、制御信号に基づいて入出力回路32及びシーケンサ36を制御する回路である。ロジック制御回路33は、制御信号として、メモリコントローラ10から、チップイネーブル信号CEn、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号WEn、及びリードイネーブル信号REnを受信する。信号CEnは、NAND型フラッシュメモリ30をイネーブルにするための信号である。信号CLEは、NAND型フラッシュメモリ30が受信した信号DQがコマンドCMDであることを示す信号である。信号ALEは、NAND型フラッシュメモリ30が受信した信号DQがアドレスADDであることを示す信号である。信号WEnは、例えば書き込み動作において、NAND型フラッシュメモリ30への信号DQの入力を可能とする信号である。信号REnは、例えば読み出し動作において、NAND型フラッシュメモリ30からの信号DQの出力を可能とする信号である。NAND型フラッシュメモリ30は、信号REnに基づいて信号DQS及びDQSnを生成する。NAND型フラッシュメモリ30は、生成した信号DQS及びDQSnに基づいてメモリコントローラ10に信号DQを出力する。
【0032】
レディ/ビジー回路34は、シーケンサ36の動作状況をメモリコントローラ10に知らせる回路である。レディ/ビジー回路34は、シーケンサ36の動作状況に基づいて、レディ/ビジー信号RBnをメモリコントローラ10に送信する。信号RBnは、NAND型フラッシュメモリ30がレディ状態、ビジー状態のいずれであるかを示す信号である。信号RBnは、例えば、NAND型フラッシュメモリ30がレディ状態のときに“High”レベル(以下、「Hレベル」とも表記する)とされる。レディ状態は、NAND型フラッシュメモリ30がメモリコントローラ10からコマンドを受け付け可能な状態である。信号RBnは、例えば、NAND型フラッシュメモリ30がビジー状態のときに“Low”レベル(以下、「Lレベル」とも表記する)とされる。ビジー状態は、NAND型フラッシュメモリ30がメモリコントローラ10からコマンドを受け付け不可能な状態である。
【0033】
レジスタ35は、情報を一時的に記憶する回路である。レジスタ35は、コマンドレジスタ35A、アドレスレジスタ35B、及びステータスレジスタ35Cを含む。
【0034】
コマンドレジスタ35Aは、信号DQに含まれるコマンドCMDを記憶する回路である。コマンドCMDは、入出力回路32から受信する。コマンドCMDは、例えば、シーケンサ36に読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作を実行させる命令を含む。
【0035】
アドレスレジスタ35Bは、信号DQに含まれるアドレスADDを記憶する回路である。アドレスADDは、入出力回路32から受信する。アドレスADDは、例えば、ブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdを含む。ブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdは、例えば、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0036】
ステータスレジスタ35Cは、例えば、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作におけるステータス情報STSを一時的に記憶する回路である。ステータス情報STSは、動作が正常に終了したか否かをメモリコントローラ10に通知するために使用される。したがって、入出力回路32は、ステータスレジスタ35Cからステータス情報STSを受信する。
【0037】
シーケンサ36は、NAND型フラッシュメモリ30全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ36は、コマンドレジスタ35Aに記憶されたコマンドCMDに基づいて、レディ/ビジー回路34、ドライバモジュール37、ロウデコーダモジュール38、及びセンスアンプモジュール39を制御し、NAND型フラッシュメモリ30の各種動作を実行する。
【0038】
シーケンサ36は、タイマー回路40及びラッチ回路41を含む。なお、シーケンサ36は、2つ以上のラッチ回路41を含んでいてもよい。
【0039】
タイマー回路40は、例えば、消去動作において、消去電圧VERAが印加されている時間を計測する。
【0040】
ラッチ回路41は、例えば、消去動作で使用される情報を一時的に記憶する。消去動作で使用される情報は、例えば、印加時間情報Iat、再開時動作情報Iar、及び消去ベリファイ動作情報Ivfyを含む。
【0041】
ドライバモジュール37は、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作で使用される電圧を生成する回路である。ドライバモジュール37は、アドレスレジスタ35Bに記憶されたページアドレスPAdに基づいて、生成した電圧を、選択されたワード線に印加する。
【0042】
ロウデコーダモジュール38は、アドレスレジスタ35Bに記憶されたブロックアドレスBAdに基づいて、メモリセルアレイ31内の1つのブロックBLKを選択する回路である。
【0043】
センスアンプモジュール39は、入出力回路32との間で、信号DQ内のデータDATを送受信する。センスアンプモジュール39は、書き込み動作において、入出力回路32から受信した書き込みデータDATに基づく電圧を、ビット線に印加する。また、センスアンプモジュール39は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルトランジスタに記憶されたデータを判定する。センスアンプモジュール39は、判定結果を読み出しデータDATとして入出力回路32に転送する。
【0044】
1.1.3 メモリセルアレイの回路構成
メモリセルアレイ31の回路構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、メモリセルアレイ31の回路図である。
図3は、メモリセルアレイ31に含まれるブロックBLK0の回路構成を、メモリセルアレイ31の回路構成の一例として示している。他のブロックBLK1~BLKnも、
図3と同様の構成を有する。
【0045】
ブロックBLKは、例えば、4つのストリングユニットSU0~SU3を含む。以下、ストリングユニットSU0~SU3を区別しない場合は、単にストリングユニットSUと表記する。ストリングユニットSUは、例えば、書き込み動作または読み出し動作において一括して選択される複数のNANDストリングNSの集合体である。ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。以下、ビット線BL0~BLmを区別しない場合は、単にビット線BLと表記する。NANDストリングNSは、直列に接続された複数のトランジスタの集合体である。直列に接続された複数のトランジスタは、例えば、メモリセルトランジスタMC0~MC7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。以下、メモリセルトランジスタMC0~MC7を区別しない場合は、単にメモリセルトランジスタMCと表記する。メモリセルトランジスタMCは、データを不揮発に記憶する。メモリセルトランジスタMCは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含む。選択トランジスタST1及びST2は、スイッチング素子である。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0046】
NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMC0~MC7は、直列接続される。選択トランジスタST1のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続される。選択トランジスタST1のソースは、メモリセルトランジスタMC0~MC7の一端に接続される。選択トランジスタST2のドレインは、メモリセルトランジスタMC0~MC7の他端に接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線CELSRCに接続される。
【0047】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMC0~MC7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通に接続される。以下、ワード線WL0~WL7を区別しない場合は、単にワード線WLと表記する。ストリングユニットSU0~SU3内のそれぞれの選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に共通に接続される。以下、選択ゲート線SGD0~SGD3を区別しない場合は、単に選択ゲート線SGDと表記する。同一のブロックBLKに含まれる選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通に接続される。
【0048】
以上で説明したメモリセルアレイ31の回路構成において、ビット線BLは、例えば、複数のストリングユニットSUで同一のカラムアドレスCAdが割り当てられた複数のNANDストリングNSによって共有される。ソース線SLは、例えば、複数のブロックBLK間で共有される。
【0049】
ストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMCの集合体は、例えば、セルユニットCUと称される。ブロックBLKは、複数のセルユニットCUを含む。それぞれが閾値電圧に応じて1ビットデータを記憶する複数のメモリセルトランジスタMCを含むセルユニットCUに記憶されているデータが、1ページデータに相当する。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMCが記憶するデータのビット数に基づいて、2ページデータ以上のデータを記憶し得る。
【0050】
また、メモリセルアレイ31の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、ブロックBLKに含まれるストリングユニットSUの個数や、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMC並びに選択トランジスタST1及びST2の個数は、それぞれ任意の個数でもよい。以下、メモリセルトランジスタMCをメモリセルMCとも表記する。
【0051】
1.1.4 メモリセルアレイの構造
メモリセルアレイ31の断面構造について、
図4を用いて説明する。
図4は、メモリセルアレイ31の断面構造の一例を示す断面図である。
図4は、ブロックBLKに対応する領域を示している。
図4において、X方向は、ワード線WLの延伸方向に対応する。Y方向は、ビット線BLの延伸方向に対応する。Z方向は、半導体基板の表面に対する鉛直方向に対応する。なお、
図4の例では、説明を簡略化するため、絶縁層の一部を省略している。
【0052】
半導体基板内には、p型ウェル領域(p-well)50が設けられる。ウェル領域50の上方には、選択ゲート線SGSとして機能する配線層51、ワード線WL0~WL7として機能する8層の配線層52、及び選択ゲート線SGD(SGD0~SGD3)として機能する配線層53の順にそれぞれが離隔して積層される。すなわち、ウェル領域50の上方には、配線層51、8層の配線層52、及び配線層53の順にそれぞれが図示せぬ絶縁層を介して積層される。選択ゲート線SGD0~SGD3は、Y方向に選択ゲート線SGD0、SGD1、SGD2、SGD3の順に配置され、互いに離間している。配線層51~53は、導電材料により構成され、例えば、タングステンを含む。
【0053】
また、ウェル領域50の上方には、選択トランジスタST1及びST2、並びにメモリセルトランジスタMC0~MC7を形成する構造体であるメモリピラーMPが設けられる。メモリピラーMPは、Z方向に沿って延伸した柱状に形成されている。メモリピラーMPは、NANDストリングNSに対応する。メモリピラーMPは、例えば、配線層51、8層の配線層52、及び配線層53を貫通し、底面がp型ウェル領域50に達している。
【0054】
ここでは、半導体基板内のp型ウェル領域50にメモリピラーMPが接続される例を示したが、半導体基板とメモリピラーMPは離間して形成されていてもかまわない。半導体基板とメモリピラーMPが離間する場合、メモリピラーMPは、例えばn型半導体層に接続し、n型半導体層は、例えばタングステンシリサイドと窒化チタンとの積層やアルミニウム等を有する金属層に接続する。
【0055】
また、メモリピラーMPは、例えば、コア部材54、半導体層55、絶縁層56~58、及び導電体59を含む。
【0056】
コア部材54は、メモリピラーMPの中央部に、Z方向に沿って延伸した柱状に形成される。
【0057】
コア部材54の側面及び下面は、半導体層55によって覆われている。半導体層55は、メモリセルトランジスタMC、並びに選択トランジスタST1及びST2のそれぞれのチャネルとして機能する。
【0058】
半導体層55の側面は、絶縁層56~58の積層体によって覆われている。
【0059】
図5は、メモリピラーMPの断面構造の一例を示す、
図4のS-S線に沿った断面図である。具体的には、
図5は、半導体基板の表面に平行且つ配線層52を含む層におけるメモリピラーMPの断面構造を示す。
【0060】
図5に示すように、絶縁層56は、半導体層55の周囲を覆っている。絶縁層56は、メモリセルトランジスタMCのトンネル絶縁層として機能する。絶縁層56は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコンを含む。絶縁層57は、絶縁層56の周囲を覆っている。絶縁層57は、メモリセルトランジスタMCの電荷蓄積層として機能する。絶縁層57は、絶縁材料により構成され、例えば、窒化シリコンを含む。絶縁層58は、絶縁層57の周囲を覆っている。絶縁層58は、メモリセルトランジスタMCのブロック絶縁層として機能する。絶縁層58は、絶縁材料により構成され、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウムを含む。配線層52は、絶縁層58の周囲を覆っている。
【0061】
図4に示すように、コア部材54及び半導体層55の上部には、導電体59が形成される。導電体59は、半導体層55と電気的に接続されている。導電体59の側面は、例えば、絶縁層56~58の積層体によって覆われている。導電体59は、半導体層55と一体で形成され得る。
【0062】
以上で説明したメモリピラーMPの構成では、例えば、メモリピラーMPと配線層51とが交差する部分が、選択トランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと8層の配線層52のそれぞれとが交差する部分が、それぞれメモリセルトランジスタMC0~MC7として機能する。メモリピラーMPと配線層53とが交差する部分が、選択トランジスタST1として機能する。
【0063】
メモリピラーMPの上端は、コンタクトプラグ60を介して、ビット線BLとして機能する配線層61に接続される。配線層61は、導電材料により構成され、例えば、銅を含む。
【0064】
ウェル領域50の表面領域には、n型不純物が導入されたn+型拡散領域62が設けられる。拡散領域62上にはコンタクトプラグ63が設けられ、コンタクトプラグ63は、ソース線CELSRCとして機能する配線層64に接続される。更に、ウェル領域50の表面領域には、p型不純物が導入されたp+型拡散領域65が設けられる。拡散領域65上にはコンタクトプラグ66が設けられ、コンタクトプラグ66は、ウェル線CPWELLとして機能する配線層67に接続される。ウェル線CPWELLは、ウェル領域50を介してメモリピラーMPに電圧を印加するための配線である。
【0065】
以上の構成が、
図4の紙面の奥行き方向(X方向)に複数配列されており、X方向に並ぶ複数のNANDストリングNSの集合によってストリングユニットSUが構成される。
【0066】
1.2 消去動作
まず、消去動作の概要について説明する。
【0067】
消去動作は、消去電圧印加動作と消去ベリファイ動作とを含む。消去電圧印加動作は、消去対象のメモリセルMCに電圧VERAを印加して、メモリセルMCの閾値電圧を低下させる動作である。電圧VERAは、例えば読み出し動作で使用される電圧よりも高電圧である。電圧VERAは、配線(例えば、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRCや、ビット線61)を介してメモリセルMCに印加される。消去ベリファイ動作は、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧より低いか否かを判定する動作である。以下、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧未満の場合に、「消去ベリファイ動作をパスした」と表記する。他方で、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧以上の場合に、「消去ベリファイ動作をフェイルした」と表記する。消去電圧印加動作は、典型的にはブロックBLK単位で実行される。消去ベリファイ動作は、ストリングユニットSU単位で実行される。
【0068】
メモリコントローラ10は、NAND型フラッシュメモリ30に、消去電圧印加動作と消去ベリファイ動作とを別々に命令し得る。例えば、消去電圧印加動作と消去ベリファイ動作との間に書き込み動作または読み出し動作等の別の動作が実行されてもよい。また、例えば、消去電圧印加動作において選択されるブロックBLKと、消去ベリファイ動作において選択されるブロックBLK(ストリングユニットSU)とが異なっていてもよい。
【0069】
消去動作では、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧より低くなるまで、消去電圧印加動作と消去ベリファイ動作との組み合わせ(以下、「消去ループ」と表記する)が繰り返し実行される。消去ループを繰り返す毎に、消去電圧印加動作における電圧VERAの設定値はステップアップされる。例えば、電圧VERAの設定値は、電圧dVERAずつステップアップされる。このように電圧VERAを段階的に最終的な設定値まで上げることにより、電圧VERAを一気に最終的な設定値まで上げる場合と比べて、消去動作のストレスを低減できる。なお、消去ループにおいて、消去ベリファイ動作は省略されてもよい。
【0070】
図6は、消去動作のシーケンスの一例を説明する図である。
図6の例では、消去動作の一例として、消去ループがk回(kは2以上の整数)繰り返されることによって、消去動作が終了する場合を示している。
【0071】
図6に示すように、1回目の消去ループ(以下、「第1ループ」とも表記する)において、シーケンサ36は、消去電圧印加動作を実行する。消去電圧印加動作が実行された後、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作Evfyをスキップする(消去ベリファイ動作を実行しない)。1回目の消去ループにおける電圧VERAの設定値は、2回目以降の消去ループにおける電圧VERAの設定値よりも低い。このため、1回目の消去ループでは、2回目以降の消去ループと比べて、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧未満に低下する可能性は低い。すなわち、1回目の消去ループでは、2回目以降の消去ループと比べて、消去ベリファイ動作をパスする可能性が低い。このため、1回目の消去ループでは、消去ベリファイ動作をスキップすることが可能である。このように消去ベリファイ動作をスキップすることにより、消去動作にかかる全体の時間の増加を抑制できる。なお、1回目の消去ループにおいて、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作を実行してもよい。
【0072】
次に、2回目の消去ループ(以下、「第2ループ」とも表記する)において、シーケンサ36は、消去電圧印加動作を実行する。電圧VERAの設定値は、1回目の消去ループの消去電圧印加動作における電圧VERAの設定値からステップアップされる。消去電圧印加動作が実行された後、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作Evfyを実行する。
【0073】
3回目の消去ループ(以下、「第3ループ」とも表記する)以降は、2回目の消去ループと同様である。
【0074】
次に、消去動作の詳細について説明する。
【0075】
(タイミングチャート)
図7は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
図7の例では、i回目(iは1以上の整数)の消去ループにおける消去電圧印加動作の一例を示している。
【0076】
本実施形態では、消去電圧印加動作実行前において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧は、電圧VSS(0V)である。
【0077】
消去動作において、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS1をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。コマンドセットCS1は、例えば、コマンド“60h”、アドレス“ADD”、及びコマンド“D0h”を含むコマンドとアドレスのセットである。コマンド“60h”は、アドレスADDに基づいてブロックBLK等を選択するコマンドである。コマンド“D0h”は、アドレスADDに基づいて消去動作の実行を指示するコマンドである。
【0078】
図7に示すように、NAND型フラッシュメモリ30は、メモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信する。時刻t1において、メモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、シーケンサ36は、レディ/ビジー信号RBnを、HレベルからLレベルに遷移させる。また、シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0079】
消去電圧印加動作は、例えば、セットアップ期間pES、消去実行期間pEW、及びリカバリ期間pERを含む。
【0080】
セットアップ期間pESは、消去電圧印加動作のセットアップが行われる期間である。セットアップ期間pESは更に、第1セットアップ期間pES1及び第2セットアップ期間pES2を含む。第1セットアップ期間pES1は、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が立ち上げられる(昇圧される)期間である。第2セットアップ期間pES2は、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、並びに選択ゲート線SGD及びSGSの各々の電圧が立ち上げられる(昇圧される)期間である。
【0081】
消去実行期間pEWは、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧が電圧VERAまで立ち上げられ(昇圧が完了し)、メモリセルMCの閾値電圧が下がる期間である。例えば、i回目の消去ループにおいて、タイマー回路40は、例えば、電圧VERAが印加されている時間を計測するとともに、一定の時間毎にカウント値をカウントアップする。カウント値が予め決められた設定値(例えば、10)になると、タイマー回路40は、計測及びカウントアップを終了する。電圧VERAの印加は、カウント値が10になるまで、すなわち、長さが等しい10個の期間(以下、「第1期間」、「第2期間」、…、「第10期間」と表記する)が経過するまで行われる。第1期間から第10期間までの期間の総和は、例えば、メモリセルMCの閾値電圧が十分低くなったと推測できる時間である。なお、メモリセルMCの閾値電圧が十分低くなったと推測できれば良く、カウント値の設定値、すなわち、電圧VERAが印加される期間の数は、10に限定されない。
【0082】
リカバリ期間pERは、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が立ち下げられる(降圧される)期間である。
【0083】
(セットアップ期間pES)
セットアップ期間pESは、時刻t1からt3までの期間に対応する。第1セットアップ期間pES1は、時刻t1からt2までの期間に対応する。第2セットアップ期間pES2は、時刻t2からt3までの期間に対応する。
【0084】
時刻t1において、ロウデコーダモジュール38は、選択ゲート線SGD及びSGSに電圧VERA_SG1を印加し、ワード線WLに電圧VERA_WLを印加する。電圧VERA_SG1は、電圧VSSよりも高く、電圧VCCよりも低い電圧である。電圧VERA_WLは、電圧VSSよりも高く、電圧VERA_SG1よりも低い電圧である。電圧VERA_SG1は、例えば、2V程度である。電圧VERA_WLは、例えば、0.5Vである。電圧VERA_SG1の印加により、選択ゲート線SGD及びSGSの各々の電圧は上昇する。電圧VERA_WLの印加により、ワード線WLの電圧は上昇する。
【0085】
時刻t2において、選択ゲート線SGD及びSGSの各々の電圧は、電圧VERA_SG1となる。ワード線WLの電圧は、電圧VERA_WLとなる。時刻t2において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VERAを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VERAを印加する。電圧VERAは、電圧VCCよりも高い電圧である。電圧VERAの最終的な設定値は、例えば、20Vである。電圧VERAの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、上昇する。また、選択ゲート線SGD及びSGSの各々の電圧もカップリングによって上昇する。なお、選択ゲート線SGD及びSGSの各々の電圧は、ロウデコーダモジュール38が選択ゲート線SGD及びSGSに後述する電圧VERA_SG2を印加することによって上昇されてもよい。
【0086】
(消去実行期間pEW)
消去実行期間pEWは、時刻t3からt4までの期間に対応する。
【0087】
時刻t3において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、電圧VERAとなる。選択ゲート線SGD及びSGSの各々の電圧は、電圧VERA_SG2となる。電圧VERA_SG2は、電圧VERA_SG1よりも高く、電圧VERAよりも低い電圧である。電圧VERA_SG2は、例えば、電圧VERA-10V以上電圧VERA-5V以下の電圧である。時刻t3からt4までの期間(第1期間から第10期間までの間)、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLには電圧VERAが印加される。選択ゲート線SGD及びSGSには電圧VERA_SG2が印加される。ワード線WLには電圧VERA_WLが印加される。これにより、メモリセルMCの閾値電圧が下がる。
【0088】
消去実行期間pEWが開始されると、シーケンサ36は、タイマー回路40に、ウェル線CPWELLに電圧VERAが印加されている時間(以下、「電圧VERA印加時間」とも表記する)の計測を指示する。タイマー回路40は、シーケンサ36から受信した指示に基づいて、電圧VERA印加時間の計測を開始する。第10期間が終了すると、リカバリ期間pERが開始される。
【0089】
(リカバリ期間pER)
リカバリ期間pERは、時刻t4からt5までの期間に対応する。
【0090】
時刻t4において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。ロウデコーダモジュール38は、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLに電圧VSSを印加する。これにより、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧は、下がる。
【0091】
リカバリ期間pERが開始されると、タイマー回路40は、電圧VERA印加時間の計測を終了する。タイマー回路40は、計測した時間(以下、「計測時間」とも表記する)をシーケンサ36に送信する。シーケンサ36は、タイマー回路40から受信した計測時間を印加時間情報Iatとしてラッチ回路41に記憶する。
【0092】
時刻t5において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧は、電圧VSSとなる。これにより、消去電圧印加動作が終了する。
【0093】
1.3 消去動作(中断の指示を受信した場合)
消去動作中に、メモリコントローラ10がホスト2から割り込み処理(例えば、書き込み動作または読み出し動作等)の要求を受信した場合、メモリコントローラ10は、NAND型フラッシュメモリ30に消去動作の中断の指示を送信する。以下では、まず、消去動作中に、シーケンサ36が中断の指示を受信した場合の消去動作の概要について説明する。
【0094】
消去動作中に、メモリコントローラ10から、例えば、コマンド“FFh”を受信した場合、シーケンサ36は、消去動作を中断する。コマンド“FFh”は、処理中の動作の中断をNAND型フラッシュメモリ30に指示するコマンドである。消去動作の中断後、シーケンサ36は、割り込み処理を開始する。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する。再開時の動作は、消去動作におけるどの期間に中断の指示を受信したか(コマンド“FFh”を受信したタイミング)に基づいて決定される。
【0095】
図8は、消去動作中に中断の指示を受信したタイミングと、消去動作の再開時の動作との関係の一例を説明する図である。消去動作のシーケンスは、
図6と同様である。以下、連続して実行される2つの消去電圧印加動作における、先の消去電圧印加動作のセットアップ期間pES、消去実行期間pEW、及びリカバリ期間pER、並びに後の消去電圧印加動作のセットアップ期間pES及び消去実行期間pEWを含む期間を「ベリファイスキップ期間pVS」と表記する。本実施形態では、ベリファイスキップ期間pVSは、第1ループの開始から第2ループの消去実行期間pEWまでである。なお、ベリファイスキップ期間pVSは、第3ループ以降に設けられてもよい。また、ベリファイスキップ期間pVS以外の消去電圧印加動作のセットアップ期間pES及び消去実行期間pEWを含む期間を「昇圧期間pSU」と表記する。
【0096】
図8に示すように、ベリファイスキップ期間pVS中にコマンド“FFh”を受信した場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。リカバリ期間pER中または消去ベリファイ動作Evfy中にコマンド“FFh”を受信した場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信した場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。
【0097】
次に、消去動作中に、シーケンサ36が中断の指示を受信した場合の消去動作の詳細について説明する。
【0098】
(フローチャート)
図9は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すフローチャートである。
図9の例では、消去動作中にシーケンサ36がコマンド“FFh”を受信した場合を示している。なお、本実施形態では、以下に示す消去動作がシーケンサ36によって実行される場合を例に挙げたが、以下に示す消去動作はメモリコントローラ10によって実行されてもよい。他の実施形態及び変形例についても同様である。
【0099】
メモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、シーケンサ36は、消去動作を開始する。消去動作開始後、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、シーケンサ36は、消去動作を中断する(S100)。
【0100】
次に、シーケンサ36は、コマンド“FFh”を受信したタイミングがベリファイスキップ期間pVS中であるか否かを判定する(S101)。
【0101】
ベリファイスキップ期間pVS中である場合(S101_Yes)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。例えば、シーケンサ36は、再開時の動作が消去電圧印加動作であることを意味する「消去電圧印加動作」、中断時(コマンド“FFh”を受信したとき)のウェル線CPWELLの電圧、中断時刻、昇圧開始電圧(電圧VERAの設定値)、及び昇圧方法を再開時動作情報Iarとしてラッチ回路41に記憶する。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去電圧印加動作を実行する。例えば、シーケンサ36は、ラッチ回路41から再開時動作情報Iarを取得し、取得した再開時動作情報Iarに基づいて、消去電圧印加動作を実行する。
【0102】
他方で、ベリファイスキップ期間pVS中でない場合(S101_No)、シーケンサ36は、コマンド“FFh”を受信したタイミングが昇圧期間pSU中であるか否かを判定する(S102)。
【0103】
昇圧期間pSU中でない場合(S102_No)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する(S105)。昇圧期間pSUでない場合は、例えば、リカバリ期間pER中または消去ベリファイ動作中である。シーケンサ36は、例えば、再開時の動作が消去ベリファイ動作であることを意味する「消去ベリファイ動作」を再開時動作情報Iarとしてラッチ回路41に記憶する。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去ベリファイ動作を実行する。例えば、シーケンサ36は、ラッチ回路41から再開時動作情報Iarを取得し、取得した再開時動作情報Iarに基づいて、消去ベリファイ動作を実行する。消去ベリファイ動作が終了すると、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作の終了時刻を消去ベリファイ動作情報Ivfyとしてラッチ回路41に記憶する。
【0104】
他方で、昇圧期間pSU中である場合(S102_Yes)、シーケンサ36は、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧(以下、「電圧VERA1」と表記する)が第1閾値Vth1よりも高いか否かを判定する(S103)。第1閾値Vth1は、電圧VSSよりも高く、電圧VERAよりも低い電圧である。第1閾値Vth1は、例えば、メモリセルMCの閾値電圧を低下させない可能性が比較的高い電圧として、例えば、経験則により決められる。第1閾値Vth1は、例えば、10V以上15V未満である。
【0105】
電圧VERA1が第1閾値Vth1よりも高い場合(S103_Yes)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する(S105)。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去ベリファイ動作を実行する。
【0106】
他方で、電圧VERA1が第1閾値Vth1以下である場合(S103_No)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去電圧印加動作を実行する。
【0107】
このように、シーケンサ36は、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA1の値に基づいて、中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。コマンド“FFh”は、無効にされない。
【0108】
電圧VERA1が第1閾値Vth1以下である場合、メモリセルMCの閾値電圧は低下しない可能性が比較的高い。よって、この場合、シーケンサ36は、再開時に消去電圧印加動作を実行する。他方で、電圧VERA1が第1閾値Vth1よりも高い場合、電圧VERA1が第1閾値Vth1以下である場合と比べて、メモリセルMCの閾値電圧が低下する可能性が高い。よって、この場合、シーケンサ36は、再開時に消去ベリファイ動作を実行する。
【0109】
(タイミングチャート)
図10は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
図10は、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信し、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA1が第1閾値Vth1以下である場合を示している。また、
図10において、割り込み処理は、例えば読み出し動作である。なお、
図10では、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧を省略している。ソース線CELSRC及びビット線BLの波形は、
図7に示したとおり、ウェル線CPWELLの波形と実質的に同一である。
【0110】
図10に示すように、時刻t11において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。レディ/ビジー信号RBnがLレベルに遷移されると、シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0111】
時刻t11からt12までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt2までの期間の動作と同様である。
【0112】
時刻t12において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VERAを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VERAを印加する。電圧VERAの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、上昇する。
【0113】
ここで、時刻t12からt13までの期間に、例えば、メモリコントローラ10がホスト2から読み出し動作の割り込み処理の要求を受信したとする。この場合、メモリコントローラ10は、信号DQとして、コマンド“FFh”をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0114】
時刻t13において(昇圧期間pSU中)、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、シーケンサ36は、セットアップ期間pESの処理を終了し、リカバリ期間pERの処理を開始する。このときのウェル線CPWELLの電圧VERA1は、第1閾値Vth1以下である。
【0115】
時刻t13において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。電圧VSSの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、下がる。
【0116】
時刻t14において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が電圧VSSに降圧されると、シーケンサ36は、レディ/ビジー信号RBnを、LレベルからHレベルに遷移させる。これにより、消去電圧印加動作が中断され、割り込み処理が実行される。
【0117】
割り込み処理実行後、時刻t15までの期間に、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS2をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。コマンドセットCS2は、例えば、コマンド“27h”、コマンド“60h”、アドレス“ADD”、及びコマンド“D0h”を含むコマンドとアドレスのセットである。コマンド“27h”は、中断されている動作の再開をNAND型フラッシュメモリ30に指示するコマンドである。
【0118】
時刻t15において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA1が第1閾値Vth1以下である場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。
【0119】
時刻t15からt19までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt5までの期間の動作と同様である。第10期間が終了すると、シーケンサ36は、例えばラッチ回路41から再開時動作情報Iar及び印加時間情報Iatを削除する。
【0120】
図11は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
図11は、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信し、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA1が第1閾値Vth1よりも高い場合を示している。また、
図11において、割り込み処理は、例えば読み出し動作である。なお、
図11では、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧を省略している。ソース線CELSRC及びビット線BLの波形は、
図7に示したとおり、ウェル線CPWELLの波形と実質的に同一である。
【0121】
図11に示すように、時刻t21において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。レディ/ビジー信号RBnがLレベルに遷移されると、シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0122】
時刻t21からt24までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt4までの期間の動作と同様である。
【0123】
ここで、時刻t23からt24までの期間に、例えば、メモリコントローラ10がホスト2から読み出し動作の割り込み処理の要求を受信したとする。この場合、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンド“FFh”をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0124】
時刻t24において(昇圧期間pSU中)、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、タイマー回路40は、電圧VERA印加時間の計測を終了する。タイマー回路40は、計測時間をシーケンサ36に送信する。シーケンサ36は、タイマー回路40から受信した計測時間を印加時間情報Iatとしてラッチ回路41に記憶する。また、時刻t24において、シーケンサ36は、消去実行期間pEWの処理を終了し、リカバリ期間pERの処理を開始する。
図11では、消去実行期間pEWの第6期間の途中で処理が終了する。このときのウェル線CPWELLの電圧VERA1は、第1閾値Vth1よりも高く、電圧VERAに等しい。
【0125】
時刻t24からt25までの期間の動作は、
図7の時刻t4からt5までの期間の動作と同様である。
【0126】
時刻t25において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が電圧VSSに降圧されると、レディ/ビジー信号RBnは、LレベルからHレベルに遷移される。これにより、消去電圧印加動作が中断され、割り込み処理が実行される。
【0127】
割り込み処理実行後、時刻t26までの期間に、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS2をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0128】
時刻t26において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA1が第1閾値Vth1よりも高い場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。
【0129】
時刻t26からt27までの期間、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作を実行する。
【0130】
時刻t27からt29までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt3までの期間の動作と同様である。
【0131】
時刻t29からt30までの期間、
図7の時刻t3からt4までの期間と同様に、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLに電圧VERAが印加される。
【0132】
時刻t29において、シーケンサ36は、ラッチ回路41から印加時間情報Iatを取得し、取得した印加時間情報Iatに基づいて、消去実行期間pEWの処理を実行する。
図11の例では、時刻t23からt24までの消去実行期間pEWにおいて第6期間の途中で処理が終了しているため、シーケンサ36は、第6期間から第10期間まで消去実行期間pEWの処理を実行する。すなわち、第6期間から第10期間までの間、ウェル線CPWELLに電圧VERAが印加される。換言すると、消去動作が、消去電圧印加動作において消去実行期間pEW中の第6期間で中断された場合、消去動作の再開後、消去電圧印加動作において、消去実行期間pEWは、第6期間から開始される。第10期間が終了すると、シーケンサ36は、例えばラッチ回路41から再開時動作情報Iar及び印加時間情報Iatを削除する。なお、第10期間まで終了していない場合、シーケンサ36は、例えばラッチ回路41から再開時動作情報Iar及び印加時間情報Iatを削除しない。
【0133】
時刻t30からt31までの期間の動作は、
図7の時刻t4からt5までの期間の動作と同様である。
【0134】
1.4 本実施形態に係る効果
第1実施形態によれば、消去動作にかかる時間の増加を抑制できる。
消去動作中に、中断コマンドを受信して消去動作を中断し、消去動作の再開時に消去ベリファイ動作、消去電圧印加動作の順で実行する場合、再開時に消去ベリファイ動作を実行せずに消去電圧印加動作を実行する場合と比べて、再開後に消去実行期間pEWが開始されるまでの時間が長くなる可能性がある。このため、再開時に消去ベリファイ動作を実行せずに消去電圧印加動作を実行する場合と比べて、消去動作にかかる全体の時間が長くなる可能性がある。
【0135】
また、消去動作中に、頻繁に中断コマンドを受信して消去動作を中断し、消去動作の再開時に毎回消去ベリファイ動作、消去電圧印加動作の順で実行する場合、消去動作がなかなか進まない可能性がある。特に、セットアップ期間pES中に頻繁に中断コマンドを受信した場合には、消去動作が進まない可能性が高い。
【0136】
これに対し、本実施形態では、シーケンサ36は、消去電圧印加動作の昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA1に基づいて、消去ベリファイ動作を実行するか否かを制御する。
【0137】
具体的には、電圧VERA1が第1閾値Vth1(電圧VSSよりも高く、電圧VERAよりも低い電圧)以下である場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。他方で、電圧VERA1が第1閾値Vth1よりも高い場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。このため、消去動作の再開時に毎回消去ベリファイ動作、消去電圧印加動作の順で実行する場合と比べて、再開時に消去ベリファイ動作が実行される回数が減少する。換言すると、再開後に消去実行期間pEWが開始されるまでの時間を短縮できる。これにより、本実施形態によれば、消去動作の再開時に毎回消去ベリファイ動作、消去電圧印加動作の順で実行する場合と比べて、消去動作にかかる全体の時間の増加を抑制できる。また、本実施形態によれば、消去動作中に、頻繁に中断コマンドを受信して消去動作を中断し、その後消去動作を再開する場合でも、消去動作がなかなか進まない状況を改善できる。そのため、コマンド“FFh”を頻繁に受信した場合であっても、コマンド“FFh”を無効にしなくて良い。
【0138】
2. 第2実施形態
第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。第2実施形態に係る半導体記憶装置では、消去動作が第1実施形態と異なる。以下の説明では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0139】
2.1 消去動作(中断の指示を受信した場合)
消去動作中に、シーケンサ36が中断の指示を受信した場合の消去動作の詳細について説明する。
【0140】
(フローチャート)
図12は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すフローチャートである。
図12は、消去動作の一例として、消去動作中にシーケンサ36がコマンド“FFh”を受信した場合を示している。
図12では、第1実施形態で示した
図9のステップS103をステップS107に置き換え、ステップS108及びS109を追加している。
【0141】
昇圧期間pSU中である場合(S102_Yes)、シーケンサ36は、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧(以下、「電圧VERA2」と表記する)が第2閾値Vth2よりも高いか否かを判定する(S107)。第2閾値Vth2は、第1閾値Vth1よりも高く、電圧VERAよりも低い電圧である。第2閾値Vth2は、例えば、メモリセルMCの閾値電圧を目標電圧よりも低下させる可能性が比較的高い電圧として、例えば、経験則により決められる。第2閾値Vth2は、例えば、15V以上電圧VERA未満である。
【0142】
電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合(S107_Yes)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する(S105)。例えば、シーケンサ36は、再開時の動作が消去ベリファイ動作であることを意味する「消去ベリファイ動作」を再開時動作情報Iarとしてラッチ回路41に記憶する。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去ベリファイ動作を実行する。
【0143】
他方で、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合(S107_No)、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で、今回の中断(以下、「第1中断処理」とも表記する)よりも前に電圧VERA2が第2閾値Vth2以下で消去動作を中断したか否かを判定する(S108)。例えば、シーケンサ36は、ラッチ回路41に記憶されている再開時動作情報Iarの中断時のウェル線CPWELLの電圧が第2閾値Vth2以下であるか否かを判定する。再開時動作情報Iarの中断時のウェル線CPWELLの電圧が第2閾値Vth2以下である場合、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で、今回の中断(第1中断処理)よりも前であり、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下であるときに消去動作の中断(以下、「第2中断処理」とも表記する)を実行したと判定する。再開時動作情報Iarの中断時のウェル線CPWELLの電圧が第2閾値Vth2よりも高い場合、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で、今回の中断前であり、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下であるときに消去動作の中断(第2中断処理)を実行していないと判定する。
【0144】
1つの消去ループ内で、今回の中断よりも前に電圧VERA2が第2閾値Vth2以下で消去動作を中断していない場合(S108_No)、シーケンサ36は、今回の再開時(第1中断処理で中断された消去動作の再開時)の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。例えば、シーケンサ36は、再開時の動作が消去電圧印加動作であることを意味する「消去電圧印加動作」、中断時のウェル線CPWELLの電圧(電圧VERA2)、中断時刻、昇圧開始電圧(電圧VERAの設定値)、及び昇圧方法を再開時動作情報Iarとしてラッチ回路41に記憶する。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去電圧印加動作を実行する。
【0145】
他方で、1つの消去ループ内で、今回の中断よりも前に電圧VERA2が第2閾値Vth2以下で消去動作を中断している場合(S108_Yes)、シーケンサ36は、前回の再開時(第2中断処理で中断された消去動作の再開時)に消去ベリファイ動作を実行したか否かを判定する(S109)。例えば、シーケンサ36は、ラッチ回路41から再開時動作情報Iarを取得し、取得した再開時動作情報Iarに基づいて、前回の再開時に消去ベリファイ動作を実行したか否かを判定する。
【0146】
前回の再開時に消去ベリファイ動作を実行した場合(S109_Yes)、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去電圧印加動作を実行する。
【0147】
他方で、前回の再開時に消去ベリファイ動作を実行していない場合(S109_No)、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する(S105)。換言すると、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、シーケンサ36が昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合が2回繰り返され、消去ベリファイ動作が実行されていないと、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去ベリファイ動作を実行する。
【0148】
このように、シーケンサ36は、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2の値、及び1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下で中断された回数に基づいて、中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。コマンド“FFh”は、無効にされない。
【0149】
電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低下する可能性が比較的高い。よって、この場合、シーケンサ36は、再開時に消去ベリファイ動作を実行する。
【0150】
電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合、電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合と比べて、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低下する可能性は低い。しかし、1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下で消去動作が2回連続で中断された場合、前回の中断後の再開時に消去ベリファイ動作が実行されないと、前回の中断後の再開時の消去電圧印加動作でメモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低くなったとしても、これを検出できない可能性がある。この場合、メモリセルMCの閾値電圧が低下し過ぎる可能性がある。よって、1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下で消去動作が2回連続で中断されていない場合、シーケンサ36は、再開時に消去電圧印加動作を実行する。1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断後の再開時に消去ベリファイ動作が実行されている場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去電圧印加動作を実行する。1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断後の再開時に消去ベリファイ動作が実行されていない場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去ベリファイ動作を実行する。
【0151】
なお、ウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合、1つの消去ループ内で、第1中断処理よりも前であり、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下であるときに消去動作を中断する第2中断処理をp回(pは2以上の整数)実行している場合に、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行してもよい。1つの消去ループ内で、第1中断処理よりも前であり、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下であるときに第2中断処理をp回実行していない場合に、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作を実行してもよい。
【0152】
(タイミングチャート)
図13は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
図13は、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信し、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合を示している。また、
図13において、割り込み処理は、例えば読み出し動作である。なお、
図13では、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧を省略している。ソース線CELSRC及びビット線BLの波形は、
図7に示したとおり、ウェル線CPWELLの波形と実質的に同一である。
【0153】
図13に示すように、時刻t41において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0154】
時刻t41からt42までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt2までの期間の動作と同様である。
【0155】
時刻t42において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VERAを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VERAを印加する。電圧VERAの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、上昇する。
【0156】
ここで、時刻t42からt43までの期間に、例えば、メモリコントローラ10がホスト2から読み出し動作の割り込み処理の要求を受信したとする。この場合、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンド“FFh”をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0157】
時刻t43において(昇圧期間pSU中)、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、シーケンサ36は、セットアップ期間pESの処理を終了し、リカバリ期間pERの処理を開始する。このときのウェル線CPWELLの電圧VERA2は、第2閾値Vth2以下である。
【0158】
時刻t43において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。電圧VSSの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、下がる。
【0159】
時刻t44において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が電圧VSSに降圧されると、レディ/ビジー信号RBnは、LレベルからHレベルに遷移される。これにより、消去電圧印加動作が中断され、割り込み処理が実行される。
【0160】
割り込み処理実行後、時刻t45までの期間に、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS2をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0161】
時刻t45において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。
【0162】
時刻t45からt49までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt5までの期間の動作と同様である。第10期間が終了すると、シーケンサ36は、例えばラッチ回路41から再開時動作情報Iar及び印加時間情報Iatを削除する。
【0163】
図14は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
図14は、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信し、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合を示している。また、
図14において、割り込み処理は、例えば読み出し動作である。なお、
図14では、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧を省略している。ソース線CELSRC及びビット線BLの波形は、
図7に示したとおり、ウェル線CPWELLの波形と実質的に同一である。
【0164】
図14に示すように、時刻t51において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。レディ/ビジー信号RBnがLレベルに遷移されると、シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0165】
時刻t51からt54までの期間の動作は、
図11の時刻t21からt24までの期間の動作と同様である。
【0166】
ここで、時刻t53からt54までの期間に、例えば、メモリコントローラ10がホスト2から読み出し動作の割り込み処理の要求を受信したとする。この場合、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンド“FFh”をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0167】
時刻t54において(昇圧期間pSU中)、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、シーケンサ36は、消去実行期間pEWの処理を終了し、リカバリ期間pERの処理を開始する。このときのウェル線CPWELLの電圧VERA2は、第2閾値Vth2よりも高く、電圧VERAに等しい。
【0168】
時刻t54からt55までの期間の動作は、
図7の時刻t4からt5までの期間の動作と同様である。
【0169】
時刻t55において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が電圧VSSに降圧されると、レディ/ビジー信号RBnは、LレベルからHレベルに遷移される。これにより、消去電圧印加動作が中断され、割り込み処理が実行される。
【0170】
割り込み処理実行後、時刻t56までの期間に、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS2をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0171】
時刻t56において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。
【0172】
時刻t56からt57までの期間、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作を実行する。
【0173】
時刻t57からt61までの期間の動作は、
図11の時刻t27からt31までの期間の動作と同様である。第10期間が終了後すると、シーケンサ36は、例えばラッチ回路41から再開時動作情報Iar及び印加時間情報Iatを削除する。
【0174】
図15は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
図15は、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、ある昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信して消去動作を中断し、消去動作再開後の昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信した場合を示している。また、
図15において、割り込み処理は、例えば読み出し動作である。なお、
図15では、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧を省略している。ソース線CELSRC及びビット線BLの波形は、
図7に示したとおり、ウェル線CPWELLの波形と実質的に同一である。
【0175】
図15に示すように、時刻t71において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0176】
時刻t71からt72までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt2までの期間の動作と同様である。
【0177】
時刻t72において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VERAを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VERAを印加する。電圧VERAの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、上昇する。
【0178】
ここで、時刻t72からt73までの期間に、例えば、メモリコントローラ10がホスト2から読み出し動作の割り込み処理の要求を受信したとする。この場合、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンド“FFh”をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0179】
時刻t73において(昇圧期間pSU中)、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、シーケンサ36は、セットアップ期間pESの処理を終了し、リカバリ期間pERの処理を開始する。このときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(以下、「電圧VERA2a」とも表記する)は、第2閾値Vth2以下である。
【0180】
時刻t73において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。電圧VSSの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、下がる。
【0181】
時刻t74において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が電圧VSSに降圧されると、レディ/ビジー信号RBnは、LレベルからHレベルに遷移される。これにより、消去電圧印加動作が中断され、割り込み処理が実行される。
【0182】
割り込み処理実行後、時刻t75までの期間に、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS2をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0183】
時刻t75において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(VERA2a)が第2閾値Vth2以下である場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。
【0184】
時刻t75からt76までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt2までの期間の動作と同様である。
【0185】
時刻t76において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VERAを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VERAを印加する。電圧VERAの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、上昇する。
【0186】
ここで、時刻t76からt77までの期間に、例えば、メモリコントローラ10がホスト2から読み出し動作の割り込み処理の要求を受信したとする。この場合、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンド“FFh”をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0187】
時刻t77において(昇圧期間pSU中)、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、シーケンサ36は、セットアップpESの処理を終了し、リカバリ期間pERの処理を開始する。このときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(以下、「電圧VERA2b」とも表記する)は、第2閾値Vth2以下である。
【0188】
時刻t77において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。電圧VSSの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、下がる。
【0189】
時刻t78において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が電圧VSSに降圧されると、レディ/ビジー信号RBnは、LレベルからHレベルに遷移される。これにより、消去電圧印加動作が中断され、割り込み処理が実行される。
【0190】
割り込み処理実行後、時刻t79までの期間に、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS2をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0191】
時刻t79において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、シーケンサ36が昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合が2回繰り返されると、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。なお、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、シーケンサ36が昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合が3回以上繰り返されたときに、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行してもよい。
【0192】
時刻t79からt80までの期間、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作を実行する。
【0193】
時刻t80からt84までの期間の動作は、
図7の時刻t1からt5までの期間の動作と同様である。第10期間が終了すると、シーケンサ36は、例えばラッチ回路41から再開時動作情報Iar及び印加時間情報Iatを削除する。
【0194】
2.2 本実施形態に係る効果
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0195】
また、本実施形態では、電圧VERA2が第2閾値Vth2(第1閾値Vth1よりも高く、電圧VERAよりも低い電圧)以下である場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。電圧VERA2が第2閾値Vth2以下であっても、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合が2回繰り返されると、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。このため、本実施形態によれば、メモリセルMCの閾値電圧が低下し過ぎるのを抑制できる。
【0196】
3. 第3実施形態
第3実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。第3実施形態に係る半導体記憶装置では、消去動作が第2実施形態と異なる。以下の説明では、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0197】
3.1 消去動作(中断の指示を受信した場合)
消去動作中に、シーケンサ36が中断の指示を受信した場合の消去動作の詳細について説明する。
【0198】
(フローチャート)
図16は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すフローチャートである。
図16は、消去動作の一例として、消去動作中にシーケンサ36がコマンド“FFh”を受信した場合を示している。
図16では、第2実施形態で示した
図12のステップS108及びS109をステップS110~S112に置き換えている。
【0199】
電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合(S107_No)、シーケンサ36は、電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高いか否かを判定する(S110)。第1閾値Vth1は、第1実施形態で示した第1閾値Vth1と同様の値である。第2閾値Vth2は、第2実施形態で示した第2閾値Vth2と同様の値である。
【0200】
電圧VERA2が第1閾値Vth1以下である高い場合(S110_No)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。
【0201】
他方で、電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高い場合(S110_Yes)、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2を満たす電圧VERA2で消去動作が2回連続で中断されたか否かを判定する(S111)。判定方法は、例えば、第2実施形態と同様である。
【0202】
1つの消去ループ内で、消去動作が2回連続で中断されていない場合(S111_No)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。
【0203】
他方で、1つの消去ループ内で、消去動作が2回連続で中断された場合(S111_Yes)、シーケンサ36は、前回の中断(第2中断処理)から今回の中断(第1中断処理)までに消去ベリファイ動作を実行したか否かを判定する(S112)。例えば、シーケンサ36は、ラッチ回路41に記憶されている消去ベリファイ動作情報Ivfyの終了時刻が、ラッチ回路41に記憶されている再開時動作情報Iarの中断時刻と、現在時刻との間にあるか否かを判定する。消去ベリファイ動作情報Ivfyの終了時刻が再開時動作情報Iarの中断時刻と現在時刻との間にある場合、シーケンサ36は、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作を実行したと判定する。消去ベリファイ動作情報Ivfyの終了時刻が再開時動作情報Iarの中断時刻と現在時刻との間にない場合、シーケンサ36は、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作を実行していないと判定する。
【0204】
前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作を実行している場合(S112_Yes)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。
【0205】
他方で、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作を実行していない場合(S112_No)、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する(S105)。
【0206】
このように、シーケンサ36は、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2の値、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2を満たす電圧VERA2で中断された回数、及び前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作が実行されたか否かに基づいて、中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。コマンド“FFh”は、無効にされない。
【0207】
電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低下する可能性が比較的高い。よって、この場合、シーケンサ36は、再開時に消去ベリファイ動作を実行する。
【0208】
電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合、電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合と比べて、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低下する可能性は低い。しかし、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断された場合、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作が実行されないと、前回の中断後の再開時の消去電圧印加動作でメモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低くなったとしても、これを検出できない可能性がある。この場合、メモリセルMCの閾値電圧が低下し過ぎる可能性がある。よって、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断されていない場合、シーケンサ36は、再開時に消去電圧印加動作を実行する。1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作が実行されている場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去電圧印加動作を実行する。1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作が実行されていない場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去ベリファイ動作を実行する。
【0209】
電圧VERA2が第1閾値Vth1以下である場合、メモリセルMCの閾値電圧は低下しない可能性が比較的高い。よって、この場合、シーケンサ36は、再開時に消去電圧印加動作を実行する。
【0210】
なお、ウェル線CPWELLの電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合、1つの消去ループ内で、第1中断処理よりも前であり、電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であるときに消去動作を中断する第2中断処理をp回(pは2以上の整数)実行している場合に、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行してもよい。1つの消去ループ内で、第1中断処理よりも前であり、電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であるときに第2中断処理をp回実行していない場合に、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作を実行してもよい。
【0211】
(タイミングチャート)
図17は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
図17は、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信し、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合が2回繰り返される場合を示している。また、
図17において、割り込み処理は、例えば読み出し動作である。なお、
図17では、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧を省略している。ソース線CELSRC及びビット線BLの波形は、
図7に示したとおり、ウェル線CPWELLの波形と実質的に同一である。
【0212】
図17に示すように、時刻t91において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0213】
時刻t91からt92までの期間の動作は、
図13の時刻t41からt42までの期間の動作と同様である。
【0214】
時刻t92において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VERAを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VERAを印加する。電圧VERAの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、上昇する。
【0215】
ここで、時刻t92からt93までの期間に、例えば、メモリコントローラ10がホスト2から読み出し動作の割り込み処理の要求を受信したとする。この場合、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンド“FFh”をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0216】
時刻t93において(昇圧期間pSU中)、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、シーケンサ36は、セットアップ期間pESの処理を終了し、リカバリ期間pERの処理を開始する。このときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(電圧VERA2a)は、第2閾値Vth2よりも高い。
【0217】
時刻t93において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。電圧VSSの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、下がる。
【0218】
時刻t94において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が電圧VSSに降圧されると、レディ/ビジー信号RBnは、LレベルからHレベルに遷移される。これにより、消去電圧印加動作が中断され、割り込み処理が実行される。
【0219】
割り込み処理実行後、時刻t95までの期間に、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS2をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0220】
時刻t95において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。
【0221】
時刻t95からt96までの期間、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作を実行する。
【0222】
時刻t96からt101までの期間の動作は、時刻t91からt96までの期間の動作と同様である。
【0223】
図18は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
図18は、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信し、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合が4回繰り返される場合を示している。また、
図18において、割り込み処理は、例えば読み出し動作である。なお、
図18では、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧を省略している。ソース線CELSRC及びビット線BLの波形は、
図7に示したとおり、ウェル線CPWELLの波形と実質的に同一である。
【0224】
図18に示すように、時刻t111において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。レディ/ビジー信号RBnがLレベルに遷移されると、シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0225】
時刻t111からt112までの期間の動作は、
図17の時刻t91からt92までの期間の動作と同様である。
【0226】
時刻t112において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VERAを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VERAを印加する。電圧VERAの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、上昇する。
【0227】
ここで、時刻t112からt113までの期間に、例えば、メモリコントローラ10がホスト2から読み出し動作の割り込み処理の要求を受信したとする。この場合、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンド“FFh”をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0228】
時刻t113において(昇圧期間pSU中)、メモリコントローラ10からコマンド“FFh”を受信すると、シーケンサ36は、消去実行期間pEWの処理を終了し、リカバリ期間pERの処理を開始する。このときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(VERA2a)は、第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である。
【0229】
時刻t113において、ドライバモジュール37は、ウェル線CPWELL及びソース線CELSRCに電圧VSSを印加する。センスアンプモジュール39は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。電圧VSSの印加により、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、及びビット線BLの各々の電圧は、下がる。
【0230】
時刻t114において、ウェル線CPWELL、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧が電圧VSSに降圧されると、レディ/ビジー信号RBnは、LレベルからHレベルに遷移される。これにより、消去電圧印加動作が中断され、割り込み処理が実行される。
【0231】
割り込み処理実行後、時刻t115までの期間に、メモリコントローラ10は、信号DQとして、例えば、コマンドセットCS2をNAND型フラッシュメモリ30に送信する。
【0232】
時刻t115において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(電圧VERA2a)が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であり、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断されていない場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。
【0233】
時刻t115からt119までの期間の動作は、時刻t111からt115までの期間の動作と同様である。
【0234】
時刻t119において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(電圧VERA2b)が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であり、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断以降消去ベリファイ動作が実行されていない場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。
【0235】
時刻t119からt120までの期間、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作を実行する。
【0236】
時刻t120からt124までの期間の動作は、時刻t111からt115までの期間の動作と同様である。
【0237】
時刻t124において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(電圧VERA2c)が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であり、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断以降消去ベリファイ動作が実行された場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。
【0238】
時刻t124からt128までの期間の動作は、時刻t111からt115までの期間の動作と同様である。
【0239】
時刻t128において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(電圧VERA2d)が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であり、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断以降消去ベリファイ動作が実行されていない場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。
【0240】
時刻t128からt129までの期間、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作を実行する。
【0241】
3.2 本実施形態に係る効果
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0242】
また、本実施形態では、電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。電圧VERA2が第1閾値Vth1(第2閾値Vth2よりも低い電圧)以下である場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合、以下の動作が実行される。1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断されていない場合、シーケンサ36は、再開時に消去電圧印加動作を実行する。1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作が実行されている場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去電圧印加動作を実行する。1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作が実行されていない場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去ベリファイ動作を実行する。このため、本実施形態によれば、消去ベリファイ動作の回数を抑制しつつメモリセルMCの閾値電圧が低下し過ぎるのを抑制できる。
【0243】
3.3 第1変形例
第3実施形態の第1変形例に係る半導体記憶装置について説明する。第3実施形態の第1変形例に係る半導体記憶装置では、消去動作が第3実施形態と異なる。以下の説明では、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0244】
3.3.1 消去動作(中断の指示を受信した場合)
消去動作中に、シーケンサ36が中断の指示を受信した場合の消去動作の詳細について説明する。
【0245】
(フローチャート)
図19は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すフローチャートである。
図19は、消去動作の一例として、消去動作中にシーケンサ36がコマンド“FFh”を受信した場合を示している。
図19では、第3実施形態で示した
図16のステップS111及びS112を、第2実施形態で示した
図12のステップS108及び109に置き換えている。
【0246】
電圧VERA2が第2閾値Vth2以下である場合(S107_No)、シーケンサ36は、電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高いか否かを判定する(S110)。
【0247】
電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高い場合(S110_Yes)、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で、今回の中断よりも前に電圧VERA2が第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作を中断したか否かを判定する(S108)。判定方法は、例えば、第2実施形態と同様である。
【0248】
1つの消去ループ内で、今回の中断よりも前に電圧VERA2が第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作を中断していない場合(S108_No)、シーケンサ36は、今回の再開時(第1中断処理で中断された消去動作の再開時)の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。
【0249】
他方で、1つの消去ループ内で、今回の中断よりも前に電圧VERA2が第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作を中断している場合(S108_Yes)、シーケンサ36は、前回の再開時(第2中断処理で中断された消去動作の再開時)に消去ベリファイ動作を実行したか否かを判定する(S109)。
【0250】
前回の再開時に消去ベリファイ動作を実行した場合(S109_Yes)、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。
【0251】
他方で、前回の再開時に消去ベリファイ動作を実行していない場合(S109_No)、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する(S105)。換言すると、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、シーケンサ36が昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2である場合が2回繰り返され、消去ベリファイ動作が実行されていないと、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する。
【0252】
このように、シーケンサ36は、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2の値、及び1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で中断された回数に基づいて、中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。コマンド“FFh”は、無効にされない。
【0253】
電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低下する可能性が比較的高い。よって、この場合、シーケンサ36は、再開時に消去ベリファイ動作を実行する。
【0254】
電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合、電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合と比べて、メモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低下する可能性は低い。しかし、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断された場合、前回の中断から今回の中断までに消去ベリファイ動作が実行されないと、前回の中断後の再開時の消去電圧印加動作でメモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低くなったとしても、これを検出できない可能性がある。この場合、メモリセルMCの閾値電圧が低下し過ぎる可能性がある。よって、1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断されていない場合、シーケンサ36は、再開時に消去電圧印加動作を実行する。1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断後の再開時に消去ベリファイ動作が実行されている場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去電圧印加動作を実行する。1つの消去ループ内で、電圧VERA2が第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断され、前回の中断後の再開時に消去ベリファイ動作が実行されていない場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去ベリファイ動作を実行する。
【0255】
電圧VERA2が第1閾値Vth1以下である場合、メモリセルMCの閾値電圧は低下しない可能性が比較的高い。よって、この場合、シーケンサ36は、再開時に消去電圧印加動作を実行する。
【0256】
なお、ウェル線CPWELLの電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合、1つの消去ループ内で、第1中断処理よりも前であり、電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であるときに消去動作を中断する第2中断処理をp回(pは2以上の整数)実行している場合に、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行してもよい。1つの消去ループ内で、第1中断処理よりも前であり、電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であるときに第2中断処理をp回実行していない場合に、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作を実行してもよい。
【0257】
(タイミングチャート)
図20は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すタイミングチャートである。
図20は、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信し、コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合を示している。また、
図20において、割り込み処理は、例えば読み出し動作である。なお、
図20では、ソース線CELSRC、ビット線BL、選択ゲート線SGD及びSGS、並びにワード線WLの各々の電圧を省略している。ソース線CELSRC及びビット線BLの波形は、
図7に示したとおり、ウェル線CPWELLの波形と実質的に同一である。
【0258】
図20に示すように、時刻t131において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0259】
時刻t131からt135までの期間の動作は、
図18の時刻t111からt115までの期間の動作と同様である。
【0260】
時刻t135において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(VERA2a)が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であり、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断されていない場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。
【0261】
時刻t135からt139までの期間の動作は、
図13の時刻t45からt49までの期間の動作と同様である。
【0262】
時刻t139からt140までの期間、シーケンサ36は、消去ベリファイ動作を実行する。消去ベリファイ動作が終了すると、レディ/ビジー信号RBnは、LレベルからHレベルに遷移される。
【0263】
時刻t141において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS1を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS1に基づいて消去電圧印加動作を開始する。
【0264】
時刻t141からt145までの期間の動作は、時刻t131からt135までの期間の動作と同様である。
【0265】
時刻t145において、シーケンサ36がメモリコントローラ10からコマンドセットCS2を受信すると、レディ/ビジー信号RBnは、HレベルからLレベルに遷移される。シーケンサ36は、受信したコマンドセットCS2に基づいて消去動作を再開する。コマンド“FFh”を受信したときのウェル線CPWELLの電圧VERA2(VERA2c)が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であり、1つの消去ループ内で、第1閾値Vth1<電圧VERA2≦第2閾値Vth2で消去動作が2回連続で中断されていない場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。
【0266】
3.3.2 本変形例に係る効果
本変形例によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0267】
また、本変形例では、電圧VERA2が第2閾値Vth2よりも高い場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。電圧VERA2が第1閾値Vth1(第2閾値Vth2よりも低い電圧)以下である場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合、シーケンサ36は、再開時の動作として消去電圧印加動作を実行する。電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下であっても、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、電圧VERA2が第1閾値Vth1よりも高く、第2閾値Vth2以下である場合が2回繰り返されると、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。このため、本変形例によれば、消去ベリファイ動作の回数を抑制しつつメモリセルMCの閾値電圧が低下し過ぎるのを抑制できる。
【0268】
3.4 第2変形例
第3実施形態の第2変形例に係る半導体記憶装置について説明する。第3実施形態の第2変形例に係る半導体記憶装置では、消去動作が第3実施形態と異なる。以下の説明では、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0269】
3.4.1 消去動作(中断の指示を受信した場合)
消去動作中に、シーケンサ36が中断の指示を受信した場合の消去動作の詳細について説明する。
【0270】
(フローチャート)
図21は、NAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すフローチャートである。
図21は、消去動作の一例として、消去動作中にシーケンサ36がコマンド“FFh”を受信した場合を示している。
図21では、第3実施形態で示した
図16のステップS107及びS110が廃され、
図16のステップS111及びS112が第2実施形態で示した
図12のステップS108及びS109に置き換えられている。
【0271】
昇圧期間pSU中である場合(S102_Yes)、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で、今回の中断(第1中断処理)よりも前に消去動作を中断したか否かを判定する(S108)。例えば、シーケンサ36は、ラッチ回路41に再開時動作情報Iarが記憶されているか否かを判定する。再開時動作情報Iarが記憶されている場合、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で、今回の中断(第1中断処理)よりも前に消去動作の中断(第2中断処理)を実行したと判定する。再開時動作情報Iarが記憶されていない場合、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で、今回の中断(第1中断処理)よりも前に消去動作の中断(第2中断処理)を実行していないと判定する。
【0272】
1つの消去ループ内で、今回の中断よりも前に消去動作を中断していない場合(S108_No)、シーケンサ36は、今回の再開時(第1中断処理で中断された消去動作の再開時)の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。例えば、シーケンサ36は、再開時の動作が消去電圧印加動作であることを意味する「消去電圧印加動作」、中断時のウェル線CPWELLの電圧(電圧VERA2)、中断時刻、昇圧開始電圧(電圧VERAの設定値)、及び昇圧方法を再開時動作情報Iarとしてラッチ回路41に記憶する。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去電圧印加動作を実行する。
【0273】
他方で、1つの消去ループ内で、今回の中断よりも前に消去動作を中断している場合(S108_Yes)、シーケンサ36は、前回の再開時(第2中断処理で中断された消去動作の再開時)に消去ベリファイ動作を実行したか否かを判定する(S109)。例えば、シーケンサ36は、ラッチ回路41から再開時動作情報Iarを取得し、取得した再開時動作情報Iarに基づいて、前回の再開時に消去ベリファイ動作を実行したか否かを判定する。
【0274】
前回の再開時に消去ベリファイ動作を実行した場合(S109_Yes)、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去電圧印加動作を予約する(S104)。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去電圧印加動作を実行する。
【0275】
他方で、前回の再開時に消去ベリファイ動作を実行していない場合(S109_No)、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する(S105)。換言すると、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、シーケンサ36が昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信した場合が2回繰り返されると、シーケンサ36は、今回の再開時の動作として消去ベリファイ動作を予約する。例えば、シーケンサ36は、再開時の動作が消去ベリファイ動作であることを意味する「消去ベリファイ動作」を再開時動作情報Iarとしてラッチ回路41に記憶する。割り込み処理が終了すると、シーケンサ36は、消去動作を再開する(S106)。すなわち、シーケンサ36は、予約していた消去ベリファイ動作を実行する。
【0276】
このように、シーケンサ36は、1つの消去ループ内で中断された回数に基づいて、中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。コマンド“FFh”は、無効にされない。
【0277】
消去動作が1つの消去ループ内で2回連続で中断された場合、前回の中断後の再開時に消去ベリファイ動作が実行されないと、前回の中断後の再開時の消去電圧印加動作でメモリセルMCの閾値電圧が目標電圧よりも低くなったとしても、これを検出できない可能性がある。この場合、メモリセルMCの閾値電圧が低下し過ぎる可能性がある。よって、消去動作が1つの消去ループ内で2回連続で中断されていない場合、シーケンサ36は、再開時に消去電圧印加動作を実行する。消去動作が1つの消去ループ内で2回連続で中断され、前回の中断後の再開時に消去ベリファイ動作が実行されている場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去電圧印加動作を実行する。消去動作が1つの消去ループ内で2回連続で中断され、前回の中断後の再開時に消去ベリファイ動作が実行されていない場合、シーケンサ36は、今回の再開時に消去ベリファイ動作を実行する。
【0278】
なお、第1中断処理よりも前に消去動作を中断する第2中断処理をp回(pは2以上の整数)実行している場合、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行してもよい。第1中断処理よりも前に第2中断処理をp回実行していない場合、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作を実行してもよい。
【0279】
(タイミングチャート)
本変形例に係るNAND型フラッシュメモリ30の消去動作の一例を示すタイミングチャートは、第2実施形態で示した
図13~
図15と同様である。本変形例では、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、シーケンサ36が昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信した場合が2回繰り返されると、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。なお、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、シーケンサ36が昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信した場合が3回以上繰り返されたときに、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行してもよい。
【0280】
3.4.2 本変形例に係る効果
本変形例によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0281】
また、本変形例では、ベリファイスキップ期間pVS以外の1つの消去ループ内の期間において、シーケンサ36が昇圧期間pSU中にコマンド“FFh”を受信した場合が2回繰り返されると、シーケンサ36は、再開時の動作として消去ベリファイ動作を実行する。このため、本実施形態によれば、メモリセルMCの閾値電圧が低下し過ぎるのを抑制できる。
【0282】
4. 変形例等
上記のように、実施形態に係る半導体記憶装置は、トランジスタを含むメモリセル(MC)と、配線(CPWELL)と、第1回路(36)とを含む。第1回路(36)は、配線(CPWELL)を介してトランジスタのゲートとトランジスタのチャネルとの間に消去電圧(VERA)を印加する消去電圧印加動作と、メモリセル(MC)の閾値電圧を判定する消去ベリファイ動作とを含む消去動作を実行する。第1回路(36)は、消去動作中に、第1コマンド(FFh)を受信すると、消去動作を中断する第1中断処理を実行する。第1回路(36)は、第1コマンド(FFh)を受信したときの配線(CPWELL)の電圧値(VERA1/VERA2)に基づいて、第1中断処理で中断された消去動作の再開時に消去電圧印加動作または消去ベリファイ動作を実行する。
【0283】
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0284】
また、上記実施形態で説明したフローチャートは、その処理の順番を可能な限り入れ替えることができる。
【0285】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0286】
1…メモリシステム、2…ホスト、10…メモリコントローラ、11…ホストインターフェース回路、12…プロセッサ、13…バッファメモリ、14…ECC回路、15…ROM、16…RAM、17…NANDインターフェース回路、30…NAND型フラッシュメモリ、31…メモリセルアレイ、32…入出力回路、33…ロジック制御回路、34…レディ/ビジー回路、35…レジスタ、35A…コマンドレジスタ、35B…アドレスレジスタ、35C…ステータスレジスタ、36…シーケンサ、37…ドライバモジュール、38…ロウデコーダモジュール、39…センスアンプモジュール、50…p型ウェル領域、51~53…配線層、54…コア部材、55…半導体層、56~58…絶縁層、59…導電体、60…コンタクトプラグ、61…配線層、62…n+型拡散領域、63…コンタクトプラグ、64…配線層、65…p+型拡散領域、66…コンタクトプラグ、67…配線層