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特開2024-137047プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137047
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048401
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小泉 僚平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 匡彦
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 利史
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】電力を使用する施設において必要な電力量を、高い精度で予測することが可能なプログラム等を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係るプログラムは、第1特定日の曜日及び電力使用施設における予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における前記電力使用施設における電力需要実績値を取得し、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における電力需要実績値が入力された場合に、前記第1特定日における電力需要予測値を出力するように学習された学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における電力需要予測値を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1特定日の曜日及び電力使用施設における予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における前記電力使用施設における電力需要実績値を取得し、
前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における電力需要実績値が入力された場合に、前記第1特定日における電力需要予測値を出力するように学習された学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における電力需要予測値を出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記第1特定日の曜日及び単位時間ごとの予想外気温、及び前記第2特定日における単位時間ごとの電力需要実績値を前記学習モデルに入力し、前記第1特定日における単位時間ごとの電力需要予測値を出力する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第2特定日は、前記第1特定日の前週同曜日である。
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
複数の前記第2特定日における電力需要実績値を前記学習モデルに入力し、
前記第1特定日における電力需要予測値を出力する
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第2特定日は、前記第1特定日の前週同曜日、前記第1特定日の前前週同曜日、及び前記第1特定日の過去一週間以内の直近日を含む
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記学習モデルは、第1学習モデルと第2学習モデルとを含み、
前記第1学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における第1予測値を出力し、
前記第2学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における第2予測値を出力し、
前記第1予測値及び前記第2予測値に基づいて、前記電力需要予測値を特定する
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第1学習モデルはディープニューラルネットワークであり、
前記第2学習モデルはランダムフォレストである
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第1予測値と、前記第2予測値を平均することにより、前記電力需要予測値を特定する
請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
第1特定日の曜日及び電力使用施設における予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における前記電力使用施設における電力需要実績値を取得し、
前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における電力需要実績値が入力された場合に、前記第1特定日における電力需要予測値を出力するように学習された学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における電力需要予測値を出力する
情報処理方法。
【請求項10】
第1特定日の曜日及び電力使用施設における予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における前記電力使用施設における電力需要実績値を取得し、
前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における電力需要実績値が入力された場合に、前記第1特定日における電力需要予測値を出力するように学習された学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における電力需要予測値を出力する
処理部
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅または施設などへの電力供給を管理するエネルギーマネジメントシステムが提案されている。例えば、特許文献1に記載のエネルギーマネジメントシステムは、各住宅の消費電力を示す消費電力情報を収集し、収集した消費電力情報に基づいて、電力調整の要否を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023―008053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電所から、電力を使用する施設(電力使用施設)に効率よく送電を行うためには、施設において必要とされる電力量を必要十分に満たす電力量を送電することが求められる。施設に必要十分な電力を送電するためには、予め、電力を使用する施設において必要な電力量を、高い精度で予測することが必要である。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電力を使用する施設において必要な電力量を、高い精度で予測することが可能なプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、第1特定日の曜日及び電力使用施設における予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における前記電力使用施設における電力需要実績値を取得し、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における電力需要実績値が入力された場合に、前記第1特定日における電力需要予測値を出力するように学習された学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における電力需要予測値を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、第1特定日の曜日及び電力使用施設における予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における前記電力使用施設における電力需要実績値を取得し、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における電力需要実績値が入力された場合に、前記第1特定日における電力需要予測値を出力するように学習された学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における電力需要予測値を出力する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、第1特定日の曜日及び電力使用施設における予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における前記電力使用施設における電力需要実績値を取得し、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第1特定日よりも過去の第2特定日における電力需要実績値が入力された場合に、前記第1特定日における電力需要予測値を出力するように学習された学習モデルに、前記第1特定日の曜日及び予想外気温、及び前記第2特定日における電力需要実績値を入力し、前記第1特定日における電力需要予測値を出力する処理部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態に係るプログラムにあっては、電力を使用する施設において必要な電力量を、高い精度で予測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エネルギーマネジメントシステムの概要を示す模式図である。
図2】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3】電力需要実績値テーブルの一例を示す説明図である。
図4】学習モデルの一例を示す説明図である。
図5】情報処理装置による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、実施形態について図面を参照し、実施形態について説明する。図1は、エネルギーマネジメントシステムSの概要を示す模式図である。エネルギーマネジメントシステムSは、発電所Eから電力使用施設(施設)Fへの電力供給を管理するシステムである。エネルギーマネジメントシステムSの情報処理装置1は、例えば、発電所Eの管理装置Emと、施設Fへ供給される電力を受電するスマートメーターFmとに、ネットワークNを介して接続している。情報処理装置1は施設FのスマートメーターFmから、過去に施設が受電した電力量、すなわち施設Fにおいて消費された電力量(電力需要実績値)を取得する。情報処理装置1は、取得した電力需要実績値に基づいて、施設Fにおける電力需要予測値を出力し、出力した電力需要予測値に基づいて、発電所Eの管理装置Emに、発電所Eが施設Fに送電する電力量を制御するための送電量情報を送信する。発電所Eの管理装置Emは、発電所Eが発電した電力を、送電線Lによって、スマートメーターFmを介して施設Fに送電する。また、情報処理装置1は、気象サーバから、施設Fが位置する地域の外気温の予測値(施設Fにおける予想外気温)を取得する。
【0012】
施設Fは、例えば、スポーツセンター、病院、駅、ショッピングモールまたはホテルなどの不特定多数の人が訪問する屋内施設である。なお、施設Fは、運動場、テーマパーク、またはゴルフ場などの屋外施設であってもよい。また、施設Fは、事業所、工場、マンション、または住宅などであってもよい。発電所Eから施設Fへ送電される電力が、いわゆる自己託送によるものである場合、発電所Eは、例えば太陽光発電所(太陽光発電設備)である。なお、発電所Eは、火力発電所、原子力発電所、水力発電所、風力発電所、地熱発電所、または潮力発電所などであってもよい。また、発電所Eから施設Fへの送電は、広域送電ネットワークの一部を使用するものであってもよい。この場合、情報処理装置1は、広域送電ネットワークの管理を行う一般送配電事業者が所有するものであってもよい。
【0013】
図2は、情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。情報処理装置1は、例えばサーバコンピュータであり、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、または量子プロセッサ等により構成されており、記憶部12に予め記憶されたプログラムP(プログラム製品)及びデータベースを読み出して実行することにより、種々の制御処理、演算処理等を行う。なお情報処理装置1の外部にデータベースサーバ等を設け、制御部11は該データベースサーバ等からデータベースを読み出してもよい。また、情報処理装置1は、複数のサーバ装置またはコンピュータによりその機能が実現されるものであってもよい。また、情報処理装置1は、ブロックチェーン上のノードに対応するものでもよい。
【0014】
情報処理装置1の記憶部12は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリである。記憶部12には、プログラムP、電力需要実績値テーブル121、及び学習モデルMが記憶されている。なお、プログラムPは、コンピュータが読み取り可能に記憶した記憶媒体12aを用いて情報処理装置1に提供されてもよい。記憶媒体12aは、例えば可搬型メモリである。可搬型メモリの例として、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード、マイクロSDカード又はコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等が挙げられる。記憶媒体12aが可搬型メモリである場合、制御部11の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記憶媒体12aからプログラムPを読み取ってもよい。読み取ったプログラムPは記憶部12に書き込まれる。更に、プログラムPは、通信部13が外部装置と通信することによって、情報処理装置1に提供されてもよい。学習モデルMは、第1学習モデルM1と第2学習モデルM2とを含む。電力需要実績値テーブル121及び学習モデルMの詳細については後述する。
【0015】
通信部13は、有線又は無線により施設FのスマートメーターFm及び発電所Eの管理装置Emと通信するための通信モジュール又は通信インターフェイスであり、例えばLTE(登録商標)、4G、または5G等の広域無線通信モジュールである。制御部11は、通信部13を介し、例えばインターネットなどの外部のネットワークNを通じて、施設FのスマートメーターFmから電力需要実績値を取得する。また、発電所Eの管理装置Emに、発電所Eの送電量を制御させるための情報(送電量情報)を送信する。
【0016】
図3は、電力需要実績値テーブル121の一例を示す説明図である。電力需要実績値テーブル121には、情報処理装置1が過去にスマートメーターFmから取得した、各時刻の電力需要実績値が記録されている。電力需要実績値テーブル121の管理項目(フィールド)は、例えば、年月日フィールドと、曜日フィールドと、時刻フィールドと、電力需要実績値フィールドと、外気温フィールドとを含む。年月日フィールドには、電力需要実績値が記録された日の年月日(日付)が記録される。曜日フィールドには、電力需要実績値が記録された日付の曜日が格納される。時刻フィールドには、電力需要実績値が記録された時刻(時台)が格納される。電力需要実績値フィールドには、時刻フィールドに格納されている時刻の時台において施設Fが使用した電力量(電力需要実績値(kWh))が格納されている。
【0017】
本実施形態において時刻フィールドに格納されている時刻は、30分ごとに分割されている。例えば、時刻フィールドに格納されている時刻が「0時台前半」である場合、同レコードの電力需要実績値フィールドには、0時0分から0時30分までの施設Fにおける電力需要実績値が格納され、また、時刻フィールドに格納されている時刻が「0時台後半」である場合、同レコードの電力需要実績値フィールドには、0時30分から1時0分までの施設Fにおける電力需要実績値が格納される。すなわち、電力需要実績値テーブル121には、単位時間(30分)ごとの電力需要実績値が記録されている。なお、時刻フィールドに格納される時刻は、1時間または3時間ごとなどに分割されていてもよい。
【0018】
情報処理装置1の制御部11は、電力需要実績値テーブル121から、後述する第2特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要実績値を読み出し、学習モデルMに入力する入力データを作成する。
【0019】
図4は、学習モデルMの一例を示す説明図である。本実施形態に係る学習モデルMは、第1学習モデルM1及び第2学習モデルM2を含むアンサンブル学習モデルである。なお、学習モデルMは、単体の学習モデルによって構成されるものであってもよい。第1学習モデルM1及び第2学習モデルM2は、それぞれ、電力需要量を予測する必要がある日(第1特定日)の各時刻の(単位時間ごとの)電力需要量の予測値を出力する。学習モデルMは、第1学習モデルM1が出力した予測値(第1予測値)及び第2学習モデルM2が出力した予測値(第2予測値)に基づいて、第1特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要予測値を特定(出力)する。学習モデルMに入力される入力データには、第1特定日の曜日、情報処理装置1の制御部11が気象サーバから取得した、第1特定日の各時刻の(単位時間ごとの)、施設Fにおける予想外気温(施設Fが位置する地域の予想外気温)、及び電力需要実績値テーブル121から読み出された、第1特定日より過去の第2特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要実績値が含まれる。なお、本実施形態において第2特定日は、第1特定日の前週同曜日、第1特定日の前前週同曜日、及び第1特定日の過去一週間以内の直近日を含む。本実施形態において第1特定日の過去一週間以内の直近日は、第1特定日の二日前であるが、これに限られない。また、第2特定日は上述の各日に限られず、例えば、第1特定日の1年前の日、第1特定日の52週前同曜日、または第1特定日の前日などが含まれてもよい。また、第2特定日に含まれる日は3つに限られず、1つ、2つまたは4つ以上であってもよい。
【0020】
第1学習モデルM1及び第2学習モデルM2には、それぞれ、第1特定日の曜日、第1特定日の各時刻の(単位時間ごとの)予想外気温、及び第2特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要実績値が入力され、第1学習モデルM1は第1予測値を出力し、第2学習モデルM2は第2予測値を出力する。学習モデルMは、例えば、第1予測値と第2予測値との平均値を電力需要予測値に特定し、出力する。なお、学習モデルMは、各々が予測値を出力する多数の学習モデルにより構成され、各々の学習モデルが出力した予測値の平均値、トリム平均値、中央値、または最頻値を含む代表値を電力需要予測値に特定してもよい。入力データに含まれる第1特定日の曜日は、各曜日に対応する数値(1~7)であってもよい。図3においては、入力データに含まれる第1特定日の予想外気温及び第2特定日における電力需要実績値、及び出力される第1特定日における第1予測値、第2予測値、及び電力需要予測値は、各時刻(単位時間ごと)に数値が対応するテーブル形式によって示される。学習モデルMは、入力データの各項目における各同時刻について、同様の演算を行うことにより、各時刻における数値を出力する。
【0021】
図4においては、第1特定日は2022年5月25日である例について示す(以下、年の記載を省略して説明する)。第1特定日が5月25日である場合、第1特定日の曜日は水曜日である。また、第2特定日に含まれる第1特定日の前々週同曜日は5月11日であり、第1特定日の前週同曜日は5月18日であり、第1特定日の2日前は5月23日である。情報処理装置1の制御部11は、電力需要実績値テーブル121の年月日フィールドを参照し、各第22特定日における各時刻の電力需要実績値を読み出し、入力データとする。学習モデルMには、5月25日の曜日(水曜日)、5月25日の予想外気温、5月11日の電力需要実績値、5月18日の電力需要実績値、及び5月23日の電力需要実績値が入力される。上述の入力データが入力された学習モデルMは、5月25日の電力需要予測値を出力する。
【0022】
本実施形態に係る第1学習モデルM1は、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)により構成される。なお、第1学習モデルM1は、例えば、LSTM(Long Short Term Memory)、Transformer、SVM(Support Vector Machine)、ロジスティック回帰分析、重回帰分析、決定木、ランダムフォレスト、又はk近傍法等の種々の機械学習によって構成されてもよい。
【0023】
第1学習モデルM1に含まれる入力層は、第2特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要実績値、第1特定日の曜日、及び第1特定日の各時刻の(単位時間ごとの)予想外気温を含む入力データを受け付ける複数のニューロンを有し、入力された入力データを中間層に受け渡す。中間層は、入力データの特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、抽出した特徴量を出力層に受け渡す。出力層は、第1特定日における各時刻の(単位時間ごとの)第1予測値を出力するニューロンを有し、中間層から出力された特徴量に基づいて、第1特定日における各時刻の(単位時間ごとの)第1予測値を出力する。
【0024】
本実施形態に係る第1学習モデルM1は、例えば、第1特定日よりも過去の任意の日(第3特定日)における電力需要実績値を正解出力値とし、第3特定日の前々週同曜日、前週同曜日、及び2日前の日における電力需要実績値、第3特定日の曜日、及び第3特定日において測定された、施設Fにおける外気温を入力データとして正解出力値に紐づけた訓練データを用いて学習される。情報処理装置1の制御部11は、訓練データに含まれる入力データを入力した場合に、訓練データに含まれる正解出力値を出力するように、第1学習モデルM1の各層におけるバイアス及び各層間における重みを調整し、第1学習モデルM1を学習させる。情報処理装置1の制御部11は、複数の訓練データ(第3特定日に係るデータ)を用いて学習させることにより、第1学習モデルM1を構築する。なお、第1学習モデルM1は、情報処理装置1とは異なるコンピュータによって学習されてもよい。
【0025】
本実施形態に係る第2学習モデルM2は、ランダムフォレストにより構成される。なお、第2学習モデルM2は、例えば、DNN、LSTM、Transformer、SVM、ロジスティック回帰分析、重回帰分析、決定木、又はk近傍法等の種々の機械学習によって構成されてもよい。
【0026】
ランダムフォレストに構成される第2学習モデルM2は、多数の、ランダムに作成された決定木(弱学習器)を集めたものである。第2学習モデルM2の各決定木には、第2特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要実績値、第1特定日の曜日、及び第1特定日の各時刻の(単位時間ごとの)予想外気温を含む入力データが入力される。各決定木において、入力データは根から枝に行く途中で条件により分類され、末端の葉ノードに辿り着くと、当該末端の葉ノードに与えられた値が予測値として出される。第2学習モデルM2は、各決定木から出された予測値を平均することによって、第2予測値を出力する。なお、第2学習モデルM2は、各決定木から出された予測値のトリム平均値、中央値、または最頻値を含む代表値を第2予測値として出力するものであってもよい。
【0027】
第2学習モデルM2は、第1特定日よりも過去の任意の日(第3特定日)における電力需要実績値を正解出力値とし、第3特定日の前々週同曜日、前週同曜日、及び2日前の日における電力需要実績値、第3特定日の曜日、及び第3特定日において測定された、施設Fにおける外気温を入力データとして正解出力値に紐づけた訓練データを用いて学習される。なお、第2学習モデルM2の各決定木には、例えばブートストラップ(Bootstrap sampling)を用いたバギングにより生成された複数の第3特定日に係る訓練データのサンプルセットが入力される。情報処理装置1の制御部11は、ブーストストラップによって、例えば第1特定日の過去3年間の日からそれぞれ500日分のランダムに選択された第3特定日に係る訓練データを含む複数(N個)のサンプルセットを生成する。すなわち、訓練データに係る第3特定日の日付の組み合わせは、サンプルセットごとに異なっている(なお、各サンプルセット間の第3特定日の日付の重複は許容される)。制御部11は、前記N個のサンプルセットを、N個の決定木にそれぞれ入力することで、決定木毎に学習を行う。これにより、第2学習モデルM2は学習される。なお、第2学習モデルM2は、ブースティング(Boosting)により学習されてもよい。
【0028】
情報処理装置1の制御部11は、第1学習モデル(DNN)M1から出力された第1特定日における各時刻の第1予測値、及び第2学習モデル(ランダムフォレスト)M2から出力された第1特定日における各時刻の第2予測値を、それぞれの時刻において平均することにより、第1特定日における各時刻の電力需要予測値を特定して出力する。すなわち、制御部11は、学習モデルMによって第1特定日における各時刻の電力需要予測値を出力する。
【0029】
図5は、情報処理装置1による処理の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部11は、例えば、毎日の特定の時刻(例えば、午前9時)に、以下の処理を行う日の翌日を第1特定日として、処理を開始する。なお、制御部11は、電力需要予測値の出力の指示を取得した場合に以下の処理を開始してもよい。また、制御部11は、翌日以降の日付の指定の入力を受け付け、指定された日付の日を第1特定日として以下の処理を行ってもよい。
【0030】
情報処理装置1の制御部11は、第1特定日の年月日に基づき、第1特定日の曜日を特定する(S1)。制御部11は、気象サーバから、施設Fにおける第1特定日の各時刻の(単位時間ごとの)予想外気温を取得する(S2)。制御部11は、電力需要実績値テーブル121から、第1特定日の前々週同曜日、第1特定日の前週同曜日、及び第1特定日の2日前(複数の第2特定日)における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要実績値を読み出す(S3)。
【0031】
制御部11は、第1特定日の曜日、施設Fにおける第1特定日の各時刻の(単位時間ごとの)予想外気温、及び第2特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要実績値を第1学習モデルM1に入力し(S4)、第1特定日における各時刻の(単位時間ごとの)第1予測値を出力する(S5)。また、制御部11は、第1特定日の曜日、施設Fにおける第1特定日の各時刻の(単位時間ごとの)予想外気温、及び第2特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要実績値を第2学習モデルM2に入力し(S6)、第1特定日における各時刻の(単位時間ごとの)第2予測値を出力する(S7)。制御部11は、各時刻における第1予測値及び第2予測値を平均し(S8)、第1特定日における各時刻の(単位時間ごとの)電力需要予測値を特定(出力)する(S9)。制御部11は、電力需要予測値に基づいて、発電所Eが施設Fに送電する電力量を制御するための送電量情報を特定する(S10)。制御部11は、発電所Eの管理装置Emに、送電量情報を送信して(S11)、処理を終了する。
【0032】
以上の構成によれば、施設Fにおいて第1特定日に必要な電力量を、第1特定日より前の日に高い精度で予測することが可能である。なお、情報処理装置1の制御部11は、第1特定日の後の日に、第1特定日における電力需要実績値を取得し、第1特定日における電力需要予測値と電力需要実績値との差分に基づいて、施設Fに対するインバランス料金を算出してもよい。
【0033】
(変形例)
上述の実施形態において、情報処理装置1の制御部11は、学習モデルMに第1特定日の曜日、第1特定日の予想外気温、及び第2特定日における電力需要実績値を入力し、第1特定日における電力需要予測値を出力するが、これに限られない。制御部11は、第1特定日の曜日、及び第1特定日の施設Fの予想外気温を入力した場合に、第1特定日における電力需要予測値を出力する学習モデルによって電力需要予測値を出力してもよい。この場合、該学習モデルは、例えば、第2特定日の曜日、及び第2特定日に実測された施設Fにおける外気温を入力した場合に、第2特定日における電力需要実績値と同値を出力するように学習、再学習、またはチューニングされたものであってもよい。
【0034】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
12a 記憶媒体
121 電力需要実績値テーブル
13 通信部
E 発電所
Em 管理装置
F 電力使用施設(施設)
Fm スマートメーター
L 送電線
M 学習モデル
M1 第1学習モデル(DNN)
M2 第2学習モデル(ランダムフォレスト)
N ネットワーク
P プログラム
S エネルギーマネジメントシステム
図1
図2
図3
図4
図5