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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137048
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E02F9/00 L
E02F9/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048402
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】若田 健眞
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015CA03
(57)【要約】
【課題】排気処理装置を備えた構成において、エンジンの周囲に配置されるオルタネータ等の機器について良好なメンテナンス性を得ることができるとともに、機関室内に効率良く機器を配置することができる作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械は、機体の左右方向の一側に出力軸を突出させたエンジン12と、エンジン12の左右方向の他側に配置された油圧ポンプ35と、エンジン12の上方に配置されエンジン12から排出される排気を処理する排気ガス浄化装置70と、出力軸の回転動力により駆動するオルタネータ81と、を備え、オルタネータ81は、エンジン12の後側の位置、かつ排気ガス浄化装置70の下方の位置に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の左右方向の一側に出力軸を突出させたエンジンと、
前記エンジンの前記左右方向の他側に配置された油圧ポンプと、
前記エンジンの上方に配置され前記エンジンから排出される排気を処理する排気処理装置と、
前記出力軸の回転動力により駆動するオルタネータと、を備え、
前記オルタネータは、前記エンジンの後側の位置、かつ前記排気処理装置の下方の位置に配置されている
作業機械。
【請求項2】
前記出力軸の回転動力により駆動するコンプレッサを備え、
前記コンプレッサは、前記オルタネータの下方に配置されている
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記コンプレッサは、少なくとも一部を前記オルタネータよりも機体の後方に位置させている
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記エンジンは、機体の後部に設けられた機関室内に設置されており、
前記機関室を後側から覆うとともに前記機関室を外部に臨ませる開口部を有する遮蔽部と、
前記開口部を開閉可能に覆うカバー体と、を備え、
前記オルタネータは、機体の後面視で少なくとも一部を前記開口部の開口範囲に重ねる位置に配置されており、
前記コンプレッサは、機体の後面視で少なくとも一部を前記遮蔽部に重ねる位置に配置されている
請求項2または請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記排気処理装置は、前記エンジンから排出される排気の導入を受ける円筒状のフィルタケースを有し、
前記フィルタケースは、その長手方向を機体の前後方向とする向きで設けられている
請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記オルタネータは、一端側を、前記エンジンに対して回動可能に支持させ、他端側を、前記エンジンに対して前記排気処理装置を支持する支持部材から機体の後方に向けて延出した支持ブラケットに対して、前記オルタネータの回動を許容するように位置変更可能に固定支持させた状態で設けられている
請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記エンジンの前記左右方向の一側の側方に配置されたファンと、
前記遮蔽部に対して着脱可能に設けられ、前記開口部の一部を塞ぐ保護部材と、を備え、
前記保護部材は、機体の後面視で少なくとも一部を前記エンジンと前記ファンとの間の空間に重ねるように設けられている
請求項4に記載の作業機械。
【請求項8】
前記遮蔽部は、その下部をなす遮蔽本体部と、前記遮蔽本体部の左右両端から上方に向けて延出して前記遮蔽本体部とともに前記開口部をなす突設部と、を有し、
前記保護部材は、左右の前記突設部のうち一方の前記突設部に対して設けられている
請求項7に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの動力により駆動して発電を行うオルタネータを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの動力により駆動して発電を行うオルタネータを備えた作業機械がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、作業機械の一種であるバックホーにおいて、後方に開放可能な開閉カバーを備えたボンネットの内部に、出力軸の軸方向を機体左右方向とする向きでエンジンを搭載し、エンジンの出力軸側の側面の上部にエアコン用のコンプレッサを配置するとともに、コンプレッサの下方であって出力軸より後方の位置にオルタネータを配置した構成が開示されている。特許文献1に開示された構成は、オルタネータとコンプレッサに対するボンネットの後方側からのアクセスを容易にしてこれらの装置について良好なメンテナンス性を得ようとするものである。
【0004】
一方、バックホー等の作業機械においては、エンジンに対して排気処理装置を備えた構成のものがある。排気処理装置は、例えば、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としてのDPFケースを有し、DPFケースにエンジンから排出される燃焼ガスである排気を導入して浄化する構成を備えている。DPFケースは、例えば略円筒状のケースとして構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-31783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排気処理装置は、オルタネータ等に対して比較的大型の装置構成である。このため、エンジンの周囲に排気処理装置を配置しながらオルタネータについて良好なメンテナンス性を得ようとした場合、ボンネットの内部の機関室において排気処理装置の配置スペースの確保が困難となる。特に、例えば小型ショベル等の比較的小型の作業機械においては、機関室のスペースが限られているため、排気処理装置の配置位置によって、機関室の前方に設けられた運転部がスペース的に圧迫されたり、機体の重量バランスをとることが難しくなったりする場合がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、排気処理装置を備えた構成において、エンジンの周囲に配置されるオルタネータ等の機器について良好なメンテナンス性を得ることができるとともに、機関室内に効率良く機器を配置することができる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業機械は、機体の左右方向の一側に出力軸を突出させたエンジンと、前記エンジンの前記左右方向の他側に配置された油圧ポンプと、前記エンジンの上方に配置され前記エンジンから排出される排気を処理する排気処理装置と、前記出力軸の回転動力により駆動するオルタネータと、を備え、前記オルタネータは、前記エンジンの後側の位置、かつ前記排気処理装置の下方の位置に配置されているものである。
【0009】
本発明の他の態様に係る作業機械は、前記作業機械において、前記出力軸の回転動力により駆動するコンプレッサを備え、前記コンプレッサは、前記オルタネータの下方に配置されているものである。
【0010】
本発明の他の態様に係る作業機械は、前記作業機械において、前記コンプレッサは、少なくとも一部を前記オルタネータよりも機体の後方に位置させているものである。
【0011】
本発明の他の態様に係る作業機械は、前記作業機械において、前記エンジンは、機体の後部に設けられた機関室内に設置されており、前記機関室を後側から覆うとともに前記機関室を外部に臨ませる開口部を有する遮蔽部と、前記開口部を開閉可能に覆うカバー体と、を備え、前記オルタネータは、機体の後面視で少なくとも一部を前記開口部の開口範囲に重ねる位置に配置されており、前記コンプレッサは、機体の後面視で少なくとも一部を前記遮蔽部に重ねる位置に配置されているものである。
【0012】
本発明の他の態様に係る作業機械は、前記作業機械において、前記排気処理装置は、前記エンジンから排出される排気の導入を受ける円筒状のフィルタケースを有し、前記フィルタケースは、その長手方向を機体の前後方向とする向きで設けられているものである。
【0013】
本発明の他の態様に係る作業機械は、前記作業機械において、前記オルタネータは、一端側を、前記エンジンに対して回動可能に支持させ、他端側を、前記エンジンに対して前記排気処理装置を支持する支持部材から機体の後方に向けて延出した支持ブラケットに対して、前記オルタネータの回動を許容するように位置変更可能に固定支持させた状態で設けられているものである。
【0014】
本発明の他の態様に係る作業機械は、前記作業機械において、前記エンジンの前記左右方向の一側の側方に配置されたファンと、前記遮蔽部に対して着脱可能に設けられ、前記開口部の一部を塞ぐ保護部材と、を備え、前記保護部材は、機体の後面視で少なくとも一部を前記エンジンと前記ファンとの間の空間に重ねるように設けられているものである。
【0015】
本発明の他の態様に係る作業機械は、前記作業機械において、前記遮蔽部は、その下部をなす遮蔽本体部と、前記遮蔽本体部の左右両端から上方に向けて延出して前記遮蔽本体部とともに前記開口部をなす突設部と、を有し、前記保護部材は、左右の前記突設部のうち一方の前記突設部に対して設けられているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、排気処理装置を備えた構成において、エンジンの周囲に配置されるオルタネータ等の機器について良好なメンテナンス性を得ることができるとともに、機関室内に効率良く機器を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の左側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る掘削作業機のベースプレート上の装置の配置構成を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る上部旋回体の背面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るエンジンの右側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るエンジンの背面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るオルタネータの支持構成を示す右側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るオルタネータの支持構成を示す背面面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るオルタネータの支持構成を示す右後方斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係るコンプレッサの支持構成を示す右側面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る上部旋回体の後部を示す左後方斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係るカウンタウエイトおよびボンネットを示す背面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る遮蔽板の取付け構造を示す分解斜視図である。
図14】本発明の一実施形態に係る遮蔽板の取付け構造を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、エンジンの排気を処理する排気処理装置を備えた構成において、オルタネータ等、エンジンの周囲に設けられる機器類の配置を工夫することにより、機関室内の機器類のメンテナンス性の向上および機関室内のスペースの有効活用を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本発明の実施の形態では、本発明に係る作業機械として、旋回作業車である掘削作業機(ショベル)を例にとって説明する。ただし、本発明に係る作業機械は、建設機械の一種である掘削作業機に限らず、例えば、ブルドーザ、クレーン作業機、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ、ホイールローダ等の他の作業機械にも広く適用可能である。
【0020】
本実施形態に係る掘削作業機1の全体構成について、図1から図3を用いて説明する。なお、以下の説明では、掘削作業機1の前方(図1における左方)に向かって左側および右側を、それぞれ掘削作業機1における左側および右側とする。図1および図2に示すように、掘削作業機1は、自走可能な走行車体としての走行装置2と、走行装置2に取り付けられた作業部としての掘削装置3および排土装置4とを備える。
【0021】
走行装置2は、掘削作業機1の本機をなす部分であり、左右一対のクローラ式の走行部5,5と、左右の走行部5,5間に介設された基台としての機体フレーム6と、機体フレーム6上に設けられた旋回フレーム7とを有する。
【0022】
走行部5は、機体フレーム6に支持されたスプロケットやローラ等の複数の回転体に履帯を巻回した構成を有する。走行部5は、その後端部に駆動輪である駆動スプロケット5aを有する。機体フレーム6は、左右の走行部5,5間の中央部に位置するセンターフレーム部6aと、センターフレーム部6aの左右両側に設けられたサイドフレーム部6bとを有する。
【0023】
各走行部5には、走行用油圧モータ11が設けられている。走行用油圧モータ11は、各走行部5において、機体フレーム6のサイドフレーム部6b等の所定の部位に取り付けられた状態で、駆動スプロケット5aを回転駆動させるように設けられている。左右の走行用油圧モータ11がそれぞれ走行部5を駆動させることで、走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。
【0024】
旋回フレーム7は、機体フレーム6に対して、センターフレーム部6aの上側に設けられた旋回ベアリングを含む旋回支持部8を介して接続されており、上下方向の軸線回りに左右いずれの方向にも旋回可能に設けられている。旋回フレーム7は、旋回用の油圧モータである旋回モータ(図示せず)の駆動によって旋回する。
【0025】
旋回フレーム7上には、運転部10が設けられている。また、旋回フレーム7上の後部には、駆動源としてのエンジン12等を含む原動機部が設けられている。運転部10の右側には、燃料タンク14および作動油タンク15を収容したタンク収容部13が設けられている(図2参照)。
【0026】
運転部10は、走行装置2、掘削装置3および排土装置4を運転・操作するためのものであり、旋回フレーム7に対して設けられたキャビン16内に設けられている。キャビン16は、その外形をなすフレームと、ガラス等の透明部材によって構成された複数の窓部とを有し、全体として略箱状に構成されている。キャビン16は、左側の側面部に、運転部10に対するオペレータの乗降口を開閉させる開閉扉16aを有する。
【0027】
キャビン16内には、床部上に設けられた運転席支持台上に運転席17が設けられている。運転席17の周囲には、走行レバー等の走行操作部や、掘削装置3や排土装置4等の作業部を操作するための作業操作レバー等の作業操作部や、スイッチ等の各種操作部を有する操作パネル部等が設けられている。
【0028】
作業操作部に関し、運転席17の左側には左側作業操作レバー18が設けられており、運転席17の右側には右側作業操作レバー19が設けられている(図2参照)。これらの左右の作用操作レバーにより、掘削装置3の操作が行われる。
【0029】
旋回フレーム7の前端の左右中央部には、掘削装置3の基端部が取り付けられている。掘削装置3は、その基端部を構成するブーム21と、ブーム21の先端側に連結されたアーム22と、アーム22の先端部に取り付けられたバケット23とを有する。また、掘削装置3は、ブーム21を回動動作させるブームシリンダ24と、アーム22を回動動作させるアームシリンダ25と、バケット23を回動動作させるバケットシリンダ26とを有する。
【0030】
ブーム21の基端部は、ブーム支持ブラケット27により支持されている。ブーム支持ブラケット27は、旋回フレーム7の前端の左右中央部に突設されたブラケット取付部28に、上下方向を回動軸方向とするスイング軸を介して支持されている。掘削装置3は、ブーム支持ブラケット27と旋回フレーム7との間に設けられたスイングシリンダ29の伸縮動作により、旋回フレーム7に対してスイング軸回りに左右にスイングするように設けられている。掘削装置3を構成するブームシリンダ24、アームシリンダ25およびバケットシリンダ26、並びに掘削装置3をスイングさせるスイングシリンダ29は、いずれも油圧ポンプ35が吐出する圧油によって動作する油圧シリンダである。
【0031】
機体フレーム6の前側には、排土装置4が取り付けられている。排土装置4は、左右の走行部5,5間において前後方向に伸延する左右一対のアームを含む支持フレーム31と、支持フレーム31の先端側に設けられた排土板であるブレード32と、支持フレーム31を介してブレード32を昇降させるブレードシリンダ33とを有する。ブレードシリンダ33は、油圧ポンプ35が吐出する圧油によって動作する油圧シリンダである。
【0032】
支持フレーム31は、左右のアームの後端部を、機体フレーム6の前部に設けられた支持ブラケットに対して左右方向を回動軸方向として回動可能に支持させ、機体フレーム6に対して昇降回動可能に取り付けられている。ブレード32は、支持フレーム31の前端部に支持された状態で設けられている。ブレードシリンダ33は、機体フレーム6とブレード32の裏側との間に前後に架設された状態で設けられている。
【0033】
掘削作業機1は、機体フレーム6およびその左右両側に支持された走行部5,5を含む構成を下部走行体とし、下部走行体に対して旋回可能に搭載された上部旋回体を備える。上部旋回体は、旋回フレーム7と、旋回フレーム7上に設けられた運転部10やエンジン12やタンク収容部13等を含んで構成されている。
【0034】
旋回フレーム7の後下部には、カウンタウエイト41が設けられている。カウンタウエイト41の上側には、ボンネット42が開閉可能に設けられている。ボンネット42は、旋回フレーム7の後側を覆うカバー部を構成している。
【0035】
以上のような構成を備えた掘削作業機1においては、運転席17に着座したオペレータにより走行レバーや作業操作レバー等が適宜操作されることで、所望の動作・作業が行われる。具体的には、例えば、走行レバーの操作により、左右の走行部5の操作による走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。また、作業操作レバーの操作により、掘削装置3による掘削作業、あるいは排土装置4による排土作業や整地作業が行われる。
【0036】
以下、旋回フレーム7上に設けられる各種の装置構成について、図2から図14を用いて説明する。なお、図4においてはボンネット42の図示を省略している。
【0037】
タンク収容部13は、旋回フレーム7を構成するベースプレート40(図3参照)上において、ベースプレート40上の右側の領域部分に設けられている。ベースプレート40は、水平状に配された板状のフレーム部材であり、旋回フレーム7の底面部を形成している。
【0038】
タンク収容部13は、ベースプレート40上に区画されたタンク室20内に燃料タンク14や作動油タンク15等を収容した部分である。タンク室20は、ベースプレート40上に設けられた縦板43の一部を含む隔壁部により、ベースプレート40上における左右中央側の部分に対して区画されている。
【0039】
タンク室20は、その後側を、ベースプレート40上における後部に配置されたエンジン12を収容した機関室30に対して空間的に連続させている。機関室30の後側の左右中間部は、カウンタウエイト41およびボンネット42により覆われている。旋回フレーム7上において、タンク室20の左側方にキャビン16が設けられている。
【0040】
タンク収容部13においては、ベースプレート40上の縦板43より右側の部分が、被覆部材である複数の外装カバーにより覆われることで、収容空間をなすタンク室20が形成されている。複数の外装カバーは、それぞれ旋回フレーム7の形状および旋回フレーム7上の構成の配置に応じた形状および大きさを有する。
【0041】
タンク収容部13は、外装カバーとして、タンク室20の右側の側方後部を覆う右後カバー51と、タンク室20の右側の側方前部を覆う右前カバー52と、タンク室20の右側の下部を覆う右下カバー53と、タンク室20の前方を覆う前カバー54とを有する。これらのカバーは、例えば金属製のカバーである。また、タンク収容部13は、外装カバーとして、タンク室20の上側を覆うカバー部材である上面カバー55を有する。上面カバー55は、例えば樹脂製のカバーであり、開閉可能に設けられている。
【0042】
タンク室20内においては、前部に燃料タンク14が設けられており、燃料タンク14の後側に作動油タンク15が設けられている。燃料タンク14は、エンジン12に供給される燃料油を収容する燃料油タンクである。作動油タンク15は、掘削作業機1が備える各種の油圧アクチュエータを作動させる作動油を収容するタンクである。作動油による圧油の供給を受けて作動する各種の油圧アクチュエータには、ブームシリンダ24、アームシリンダ25、バケットシリンダ26およびスイングシリンダ29等の油圧シリンダ、並びに走行用油圧モータ11および旋回モータが含まれる。
【0043】
作動油タンク15は、燃料タンク14の後方に配置されており、タンク室20内において前後方向について略中央部に位置している。燃料タンク14および作動油タンク15は、ベースプレート40上に載置支持された状態で設けられている。燃料タンク14および作動油タンク15は、前後に隣接配置されている。タンク室20内において、作動油タンク15の右側には、コントロールバルブ56が、作動油タンク15に対して隣接配置されている。コントロールバルブ56は、油圧ポンプ35の駆動によって作動油タンク15から複数の油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れを制御するための装置である。各油圧アクチュエータへの圧油の供給制御により、掘削装置3の動作や走行装置2の走行動作等が行われる。
【0044】
ベースプレート40上において、タンク室20の後側につながった機関室30内には、冷却部としての熱交換部60およびエンジン12が設けられている。熱交換部60は、エンジン12の左右方向の一側である右側の側方に配置されている。熱交換部60は、エンジン12を冷却するための熱交換機能を有する装置構成であり、ラジエータ61、オイルクーラ62、およびファン63を含む。
【0045】
ラジエータ61は、エンジン12の冷却水を冷却するための装置である。オイルクーラ62は、油圧ポンプ35が圧送する油(作動油)を冷却するための装置である。ラジエータ61およびオイルクーラ62は、いずれも平面視で略長方形状をなすように略直方体状の外形を有する。ラジエータ61およびオイルクーラ62は、平面視において、長手方向をエンジン12の出力軸65の軸方向に対して直角方向または略直角方向とする向きで、ラジエータ61を後側、オイルクーラ62を前側として前後に横並びに配置されている。
【0046】
ファン63は、エンジン12に連動して回転する冷却ファンであり、エンジン12側に向けて風を送る。ファン63は、エンジン12の右側の側面部とラジエータ61およびオイルクーラ62との間に配置されている。ファン63により、右後カバー51に形成された複数の開口部51a(図4参照)を通して機関室30内に冷却用の外気が取り込まれ、ラジエータ61やオイルクーラ62等が冷却される。
【0047】
エンジン12は、ベースプレート40上の後部において、出力軸65の軸方向を略左右方向または左右方向とした向きで設置されている。つまり、エンジン12は、出力軸65の軸方向を機体の左右方向に略一致または一致させるように横置き配置されて搭載されている。
【0048】
本実施形態では、エンジン12は、平面視で出力軸65の軸方向を左右方向から反時計方向(左回り)に5~8°程度傾斜させるように横置き配置されている。エンジン12は、ベースプレート40上に設けられた所定のエンジン支持部に対して、防振部材66等を介して複数箇所で防振支持された状態で設けられている。
【0049】
エンジン12は、機体の左右方向の一側である右側に出力軸65を突出させている。出力軸65は、エンジン12の右側面の前後略中央の下部に位置している(図5参照)。エンジン12は、燃料タンク14から燃料の供給を受けるディーゼルエンジンである。
【0050】
油圧ポンプ35は、エンジン12の左右方向の他側である左側に配置されている。つまり、油圧ポンプ35は、エンジン12の出力軸65の軸方向について、出力軸65の突出側と反対側に配置されている。油圧ポンプ35は、その回転軸を、カップリングを介してエンジン12の駆動軸に連結させている。油圧ポンプ35は、エンジン12の駆動軸の回転にともなって駆動し、作動油タンク15内の作動油を、コントロールバルブ56を介して各種の油圧アクチュエータに対して送り出す。
【0051】
エンジン12に対しては、エンジン12からの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置70が設けられている。排気ガス浄化装置70は、エンジン12の上方に配置されエンジン12から排出される排気を処理する排気処理装置の一例である。エンジン12の燃焼室で発生した燃焼ガスは、排気ガス浄化装置70を介して機関室30外に排出される。
【0052】
排気ガス浄化装置70は、エンジン12から排出される排気の導入を受ける円筒状のフィルタケースとして、ディーゼルパティキュレートフィルタケースであるDPFケース71を有する。排気ガス浄化装置70は、DPFケース71にエンジン12からの排気ガスを導入して、排気ガス中に含まれる煤等の粒子状物質等を除去することで、排気ガスを浄化する。
【0053】
DPFケース71は、ケース内に設けられたディーゼル酸化触媒およびスートフィルタを有する。ディーゼル酸化触媒は、二酸化窒素(NO)を生成する白金等の酸化触媒である。スートフィルタは、捕集した粒子状物質を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のフィルタである。DPFケース71のケース内において、ディーゼル酸化触媒およびスートフィルタは、排気ガスの流れに対して、上流側をディーゼル酸化触媒、下流側をスートフィルタとして直列的に配置されている。ディーゼル酸化触媒およびスートフィルタにより、DPFケース71内を通過するエンジン12の排気ガス中の黒煙を主体とする粒子状物質が除去されるとともに、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減する。
【0054】
DPFケース71は、略円筒状のケースとして構成されている。DPFケース71において、略円筒状の外形における長手方向(筒軸方向)が、ケース内における排気ガスの流れの方向となる。DPFケース71は、その長手方向を機体の前後方向または略前後方向とする向きで設けられている。本実施形態では、DPFケース71は、平面視で長手方向をエンジン12の出力軸65の軸方向に直交させるように配置されている。DPFケース71の後側の端面部には、DPFケース71の内部のフィルタの交換の際に取り外される取付板71cが設けられている。取付板71cを取り外すことで、DPFケース71内のフィルタを取り外すことができる。
【0055】
DPFケース71は、エンジン12の上方に設けられている。DPFケース71は、前後方向について、エンジン12と略同じ寸法を有し、略全体をエンジン12の上方に位置させるように設けられている。DPFケース71は、左右方向について、エンジン12の右側の部分の上方に設けられている。
【0056】
DPFケース71は、エンジン12に対して、前支持ステー75および後支持ステー76により前後2箇所で固定支持されている。前支持ステー75は、エンジン12の右側上部の前部に固定されてエンジン12から上方に突出し、DPFケース71の前部を下側から支持し、DPFケース71の外周面に沿う保持ベルト77とともにDPFケース71の前部を抱持している。後支持ステー76は、エンジン12の右側上部の後部に固定されてエンジン12から上方に突出し、DPFケース71の後部に設けられたフランジ部71aの下部に対してボルト等によって固定されることで、DPFケース71の後部を下側から支持している。
【0057】
DPFケース71には、エンジン12からの排気ガスを排出する排気管72の一端側(下流側)が連通接続されている。DPFケース71は、前部の左側において、排気管72の一端側の接続を受けている。排気管72は、他端側(上流側)を、エンジン12において排気ガスの出口部を構成する排気マニホールドに設けられた過給機(図示略)の排気ガスの出口側に連通接続させている。排気管72により、エンジン12の排気ガスがDPFケース71内に導入される。
【0058】
DPFケース71の後部には、DPFケース71内の排気ガスを排出する出口管73が設けられている。出口管73は、DPFケース71の上側から上方に向けて突設されている。出口管73は、ボンネット42の上面部42aを貫通して上面部42aから上方に突出している。ボンネット42の上面部42aには、出口管73とともに排気ガス浄化装置70の排出管部分を構成するテールパイプ74が取り付けられている。
【0059】
掘削作業機1は、エンジン12の周囲に設けられた装置として、エンジン12の出力軸65の回転動力により駆動するオルタネータ81と、出力軸65の回転動力により駆動するコンプレッサ82とを備えている。オルタネータ81およびコンプレッサ82は、いずれもエンジン12の出力軸65側の側面部である右側の側面部に配置されている。
【0060】
オルタネータ81は、エンジン12の動力によって駆動して発電して電力を出力する。オルタネータ81は、電源として用いられたりバッテリへの蓄電用の発電機として用いられたりする。
【0061】
コンプレッサ82は、掘削作業機1が備えるエアコンユニット用のコンプレッサであり、エンジン12の動力によって駆動してエアコンガス(冷媒)の圧縮を行う。エアコンユニットにより生成された空調用の空気は、図示せぬダクト内を圧送され、キャビン16の室内に対して設けられた複数の吹出口から吹き出す。エアコンユニットは、運転席17の下方に配置されている。
【0062】
オルタネータ81は、第1ベルト伝動機構91により、エンジン12の出力軸65の回転動力の伝達を受けて駆動する。第1ベルト伝動機構91は、出力軸65に取り付けられた出力プーリ93と、オルタネータ81に対して設けられたオルタネータ入力プーリ94と、これらのプーリに巻き掛けられた第1ベルト95とを有する。
【0063】
出力プーリ93は、出力軸65に固設されており、回転軸方向を出力軸65の軸方向と一致させ、出力軸65と一体的に回転する。出力プーリ93は、いわゆる2連プーリであり、回転軸方向に隣り合う2つの外周溝を有する。第1ベルト95は、出力プーリ93の右側(図5において手前側)の溝に係合している。オルタネータ入力プーリ94は、オルタネータ81の右側に設けられており、出力軸65と軸方向を平行としたオルタネータ81の回転軸81aに固設されている。オルタネータ入力プーリ94は、回転軸方向をオルタネータ81の回転軸81aの軸方向と一致させ、回転軸81aと一体的に回転する。
【0064】
出力プーリ93の上方には、ファン63を回転駆動させるためのファンプーリ97が設けられている。ファンプーリ97は、エンジン12の右側面部において出力軸65と軸方向を平行として出力軸65の上方に設けられた軸支部に対して回転自在に設けられている。ファンプーリ97は、出力プーリ93およびオルタネータ入力プーリ94とともに第1ベルト95の巻回を受けて第1ベルト伝動機構91を構成しており、出力軸65の回転動力の伝達を受ける。ファン63は、ファンプーリ97と一体的に回転するように設けられており、出力軸65の回転に連動して回転する。
【0065】
コンプレッサ82は、第2ベルト伝動機構92により、エンジン12の出力軸65の回転動力の伝達を受けて駆動する。第2ベルト伝動機構92は、出力軸65に取り付けられた出力プーリ93と、コンプレッサ82に対して設けられたコンプレッサ入力プーリ98と、これらのプーリに巻き掛けられた第2ベルト99とを有する。
【0066】
第2ベルト99は、出力プーリ93の左側(図5において奥側)の溝に係合している。つまり、出力軸65の軸方向について、コンプレッサ入力プーリ98は、オルタネータ入力プーリ94に対して左側に位置しており、第2ベルト99は、第1ベルト95に対して左方にずれた位置に配されている。コンプレッサ入力プーリ98は、コンプレッサ82の右側に設けられており、出力軸65と軸方向を平行としたコンプレッサ82の回転軸82aに固設されている。コンプレッサ入力プーリ98は、回転軸方向をコンプレッサ82の回転軸82aの軸方向と一致させ、回転軸82aと一体的に回転する。
【0067】
以上のように機関室30内においてエンジン12、油圧ポンプ35、排気ガス浄化装置70、オルタネータ81およびコンプレッサ82を備えた構成において、オルタネータ81は、エンジン12の後側の位置、かつ排気ガス浄化装置70の下方の位置に配置されている。
【0068】
図5に示すように、オルタネータ81は、エンジン12の右側において、エンジン12の上部の後側に配置されている。オルタネータ81は、前後方向について、略中央に位置する出力軸65よりも後方の位置に配置されている。オルタネータ81は、前後方向について、全体を出力プーリ93よりも後側に位置させている。また、オルタネータ81は、上下方向についてファンプーリ97よりも上方に位置しており、ファンプーリ97に対して斜め後上方の位置に配置されている。
【0069】
また、オルタネータ81は、前後方向について、DPFケース71の後端部の下方に配置されている。詳細には、オルタネータ81は、DPFケース71のうち、上側に出口管73を配置させたフランジ部71aよりも後側の部分の下方に、全体または略全体を位置させるように設けられている。
【0070】
また、図5に示すように、コンプレッサ82は、オルタネータ81の下方に配置されている。オルタネータ81およびコンプレッサ82は、エンジン12に対する相対的な大きさを互いに同程度とした略円筒形状の外形を有し、詳細には、コンプレッサ82よりもオルタネータ81の方がわずかに大きい。そして、コンプレッサ82は、上下方向について、その上端の高さ位置を、オルタネータ81の下端の高さ位置よりも下方に位置させている。
【0071】
また、コンプレッサ82は、少なくとも一部をオルタネータ81よりも機体の後方に位置させている。すなわち、オルタネータ81の下方に位置するコンプレッサ82は、前後方向について、オルタネータ81より後側に配置されている。したがって、前後方向について、コンプレッサ82の回転軸82aは、オルタネータ81の回転軸81aより後方に位置している。
【0072】
本実施形態では、前後方向について、コンプレッサ82は、前側の略半分を、オルタネータ81の後側の略半分に重ねるように配置されている(図5参照)。このように配置されたコンプレッサ82は、前後方向について、後部をDPFケース71よりも後側に位置させている。
【0073】
また、オルタネータ81およびコンプレッサ82は、左右方向について、略全体同士を重ねるように配置されている(図6参照)。したがって、コンプレッサ82は、平面視において、前側の略半分を、オルタネータ81の後部に重ねた状態となるように配置されている。
【0074】
そして、左右方向について全体的に重なる位置に配置されたオルタネータ81およびコンプレッサ82は、DPFケース71との関係において、左右方向について、全体または右端部を除いた略全体を、DPFケース71と重ねるように配置されている。つまり、オルタネータ81およびコンプレッサ82は、左右方向について全体または略全体をDPFケース71の下方に位置させている。したがって、背面視において、DPFケース71、オルタネータ81およびコンプレッサ82は、上下方向に沿って縦並びに配置されている(図6参照)。本実施形態では、DPFケース71、オルタネータ81およびコンプレッサ82は、上下方向について略等間隔で配置されている。
【0075】
オルタネータ81の支持構成について、図7から図9を用いて説明する。オルタネータ81は、一端側である下端側を、エンジン12に対して回動可能に支持させ、他端側である上端側を、エンジン12側に設けられた支持ブラケットである上支持ブラケット100に対して、オルタネータ81の回動を許容するように位置変更可能に固定支持させた状態で設けられている。すなわち、オルタネータ81は、エンジン12に対して、下側を回動支持部として回動可能に支持させるとともに、上側を可動支持部として移動可能に支持させている。
【0076】
オルタネータ81は、下側の回動支持部において、エンジン12の右側面部に取り付けられた下支持ブラケット101に対して、回転軸81aの軸方向と一致する(平行な)方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。下支持ブラケット101は、エンジン12の右側面部に沿う固定面部101aと、固定面部101aの上端部から左側に向けて直角状に屈曲した水平状の支持面部101bとを有する。
【0077】
下支持ブラケット101は、固定面部101aを、固定ボルト102によって複数箇所でエンジン12の右側面部に対して固定させている。下支持ブラケット101は、支持面部101bの後側には、回転軸81aの軸方向と一致する方向を中心軸方向として両端を開口させた筒状の部分である支持筒部103が設けられている。支持筒部103は、溶接等によって支持面部101bに固定されている。
【0078】
一方、オルタネータ81は、その外装をなすハウジングの下端側に、回転軸81aの軸方向に対向した2つの下支持突片部81bを有する。2つの下支持突片部81bは、オルタネータ81のハウジングの円筒状の本体部分の下側において、回転軸81aの軸方向に間隔を開けて、オルタネータ81の回転軸81aの軸方向の両側に設けられている。
【0079】
オルタネータ81は、左右の下支持突片部81b間に支持筒部103を位置させ、左右の下支持突片部81bおよび支持筒部103を貫通する下支持ボルト104を支持軸として回動可能に軸支されている。下支持ボルト104は、右側の下支持突片部81b側から挿入され、先端部を左側の下支持突片部81bから左方に突出させるとともにナット105に螺合させ、オルタネータ81を固定している。支持筒部103と左側の下支持突片部81bとの間には、下支持ボルト104を貫通させた筒状のカラー106が介装されている。
【0080】
オルタネータ81は、上側の可動支持部において、上支持ブラケット100に対して移動可能に支持されている。上支持ブラケット100は、エンジン12に対して排気ガス浄化装置70のDPFケース71を支持する支持部材である後支持ステー76から機体の後方に向けて延出している。
【0081】
後支持ステー76は、エンジン12の右側面部に沿う固定面部76aと、固定面部76aの上部の後側から左側に向けて直角状に屈曲して略前後方向を板厚方向とした支持面部76bとを有する。固定面部76aは、下部を固定ボルト110によって複数箇所でエンジン12の右側面部に対して固定させるとともに、上部をエンジン12の上方に延出させている。支持面部76bは、ボルト111等の固定具を貫通させてDPFケース71のフランジ部71aの固定を受ける部分となる。ボルト111は、支持面部76bおよびフランジ部71aを貫通してナット112に螺合している。
【0082】
上支持ブラケット100は、後支持ステー76の固定面部76aに固定され、後方に向けて延出している。上支持ブラケット100は、後支持ステー76に対する固定部分である固定面部121と、固定面部121から後方に向けて延出したアーム部122と、アーム部122の後端部から右側に向けて延出した係止面部123とを有する。
【0083】
上支持ブラケット100は、固定面部121を後支持ステー76の固定面部76aの上部の右側に重ねた状態で、固定ボルト124により複数箇所で後支持ステー76に固定されている。アーム部122は、略左右方向を板厚方向とする板状の部分であり、略前後方向に水平状に延伸している。係止面部123は、平面視でアーム部122とともに略直角状をなす板状の部分である。
【0084】
一方、オルタネータ81は、ハウジングの上端側に、上支持突片部81cを有する。オルタネータ81は、上支持突片部81cは、回転軸81aの軸方向視で回転軸81aを中心として下支持突片部81bに対して反対側の位置(略点対称となる位置)に設けられている。上支持突片部81cは、回転軸81aの軸方向については、右側の下支持突片部81bと略同じ位置に設けられている。
【0085】
オルタネータ81は、アーム部122の右側に設けられた略直方体状のガイドブロック131およびアーム部122を貫通して上支持突片部81cに螺挿された上支持ボルト132を支持軸として支持されている。アーム部122には、上支持ボルト132を貫通させる孔部として、回転軸81aの軸方向視で円弧状に延伸したガイド孔122aが形成されている。ガイド孔122aは、オルタネータ81の回動支持部の回動中心となる下支持ボルト104の軸心位置を中心とした円弧に沿った形状を有し、オルタネータ81の回動にともなう上支持ブラケット100に対する上支持ボルト132の移動を許容する。
【0086】
ガイドブロック131は、下部において上支持ボルト132を貫通させるとともに、上部においてガイドボルト133を貫通させている。ガイドボルト133は、平面視で上支持ボルト132の軸方向に直交する方向に沿って設けられており、係止面部123に形成された上側開放の凹部123aにより係止面部123を貫通するとともに、頭部133aを係止面部123の後側に係止させている。ガイドボルト133におけるガイドブロック131の後側には、位置決め用のナット134が螺合している。
【0087】
以上のような構成を備えたオルタネータ81の支持構成によれば、回動支持部の下支持ボルト104による締結を緩めることにより、オルタネータ81が下支持ボルト104を軸として回動可能な状態となる。この状態において、可動支持部におけるガイドボルト133の操作により、ガイドボルト133上のガイドブロック131が移動し、オルタネータ81の下支持ボルト104を中心とした回動方向(図7、矢印A1参照)についての位置が調整される。
【0088】
ガイドボルト133上におけるガイドブロック131の位置調整にともない、上支持ボルト132は、ガイド孔122aの円弧形状に沿って移動し、ガイドボルト133は、係止面部123の凹部123aに沿って上下に移動する。オルタネータ81の回動位置の調整により、第1ベルト95のテンションが調整される。なお、オルタネータ81の回動について調整可能な角度範囲は、例えば20~30°程度である。
【0089】
コンプレッサ82は、第2ベルト99のテンションを調整するために、オルタネータ81と同様に、エンジン12に対して、下側を回動支持部として回動可能に支持させるとともに、上側を可動支持部として移動可能に支持させている。
【0090】
コンプレッサ82は、その外装をなすハウジングの下側に突設された2つの下支持突片部82bを有する(図6図10参照)。コンプレッサ82は、各下支持突片部82bを、下面部141aおよび左右の側面部141bにより後面視で略「U」字状をなす下支持ブラケット141の各側面部141bに対してボルト142により締結固定させている。
【0091】
下支持ブラケット141は、右側の側面部141bを下方に延出させて支持面部141cとし、下支持ブラケット141の下側に設けられた支持ステー171の支持板部171aに対して下支持ボルト172を支持軸として回動可能に支持されている。下支持ボルト172は、下支持ブラケット141の回動軸となる中心軸の軸方向を、回転軸82aの軸方向と一致する(平行な)方向としている。
【0092】
下支持ボルト172は、左側から支持面部141cを貫通して支持板部171aに螺挿され、支持ステー171に対して下支持ブラケット141を固定している。下支持ボルト172は、支持面部141cから左側の部分を六角形状の横断面形状をなす六角柱状の操作部172aとして延伸させており、右側の端部をネジ部として支持板部171aに螺合させている。支持ステー171は、エンジン12の後側の下部に設けられた所定の支持部材である略「L」字状の取付ブラケット140上に固設されている(図5参照)。なお、取付ブラケット140は、右後側の防振部材66の取付けを受ける部材である。
【0093】
一方、コンプレッサ82は、上側の可動支持部において、ハウジングの上側に突設された上支持突片部82cを有する(図10参照)。コンプレッサ82は、オルタネータ81の下側を支持する下支持ブラケット101に固定され後方に向けて延出した上支持ブラケット143に対して、上支持ブラケット143を貫通する上支持ボルト144により支持されている。上支持ブラケット143は、前端部を、下支持ブラケット101の固定面部101aの下部の後側の部分に対して左側に重ねた状態で、固定ボルト145により下支持ブラケット101に固定されている。
【0094】
上支持ボルト144は、上支持ブラケット143に固設された支持アーム146を貫通するとともに、円弧状のガイド孔143aを貫通し、上支持突片部82cに螺挿されている。ガイド孔143aは、コンプレッサ82の回動支持部の回動中心となる下支持ボルト172の軸心位置を中心とした円弧に沿った形状を有し、コンプレッサ82の回動にともなう上支持ブラケット143に対する上支持ボルト144の移動を許容する。
【0095】
図10に示すように、支持アーム146は、その上部を、上支持ボルト144の軸方向に沿って左側(図10における奥側)に延出させ、上支持ブラケット143の左側において、ガイドボルト147を貫通させている。ガイドボルト147は、上支持ブラケット143と平行状に設けられている。ガイドボルト147は、平面視で上支持ボルト144の軸方向に直交する方向に沿って設けられており、上支持ブラケット143の後端部から左側に向けて延出した係止面部148を貫通するとともに、頭部147aを係止面部148の後側に係止させている。ガイドボルト147は、係止面部148に形成された上側開放の凹部148a(図8、凹部123a参照)により係止面部148を貫通している。ガイドボルト147における支持アーム146の後側には、位置決め用のナット149が螺合している。
【0096】
以上のような構成を備えたコンプレッサ82の支持構成によれば、回動支持部の下支持ボルト172による締結を緩めることにより、下支持ブラケット141および下支持ブラケット141に支持されたコンプレッサ82が一体的に下支持ボルト172を軸として回動可能な状態となる。この状態において、可動支持部におけるガイドボルト147の操作により、ガイドボルト147上の支持アーム146が移動し、コンプレッサ82および下支持ブラケット141の下支持ボルト172を中心とした回動方向(図10、矢印A2参照)についての位置が調整される。
【0097】
ガイドボルト147上における支持アーム146の位置調整にともない、上支持ボルト144は、ガイド孔143aの円弧形状に沿って移動し、ガイドボルト147は、係止面部148の凹部148aに沿って上下に移動する。コンプレッサ82の回動位置の調整により、第2ベルト99のテンションが調整される。なお、コンプレッサ82の回動について調整可能な角度範囲は、例えば20~30°程度である。
【0098】
次に、オルタネータ81およびコンプレッサ82の配置に関し、カウンタウエイト41およびボンネット42との関係について、図4図11および図12を用いて説明する。
【0099】
上述したように、エンジン12は、機体の後部に設けられた機関室30内に設置されている。そして、掘削作業機1は、上部旋回体の後部において、遮蔽部としてのカウンタウエイト41と、カバー体としてのボンネット42とを備えている。カウンタウエイト41およびボンネット42は、左右対称または略左右対称に構成されている。
【0100】
カウンタウエイト41は、機関室30を後側から覆うとともに機関室30を外部に臨ませる開口部150を有する。カウンタウエイト41は、機体の背面視で略台形状の外形を有する遮蔽本体部151と、遮蔽本体部151の左右両端から上方に向けて延出して遮蔽本体部151とともに開口部150をなす突設部152とを有する。
【0101】
カウンタウエイト41は、遮蔽本体部151の右側の縁部と、右側の突設部152である右側突設部152Rの右側の縁部とを互いに直線状に連続させ、カウンタウエイト41の右側縁部154を形成している。カウンタウエイト41は、右側縁部154を、右後カバー51の後側の縁部51bに突き合わせている。また、カウンタウエイト41は、右側縁部154の下端部を、右下カバー53の後側の縁部53bに付き合わせている。
【0102】
カウンタウエイト41は、遮蔽本体部151の左側の縁部と、左側の突設部152である左側突設部152Lの左側の縁部とを互いに直線状に連続させ、カウンタウエイト41の左側縁部155を形成している。カウンタウエイト41は、左側縁部155を、キャビン16の左後側に設けられた外装カバーである左後カバー156の後側の縁部156bに突き合わせている。また、カウンタウエイト41は、左側縁部155の下端部を、外装カバーである左下カバー157の後側の縁部157bに付き合わせている。左下カバー157は、キャビン16の左側の側面部の下側に連続するように設けられており、右下カバー53と略左右対称となるように構成されている。
【0103】
また、カウンタウエイト41は、その下部をなす遮蔽本体部151の下側の縁部を、カウンタウエイト41の下側縁部158としている。カウンタウエイト41は、下側縁部158を水平状とし、ベースプレート40に沿わせている。カウンタウエイト41は、背面視において、右側縁部154および左側縁部155を、下側から上側にかけて互いの間の間隔(左右方向の間隔)を徐々に狭めるように傾斜させており、全体として、下側縁部158を底辺部とした略台形状に沿う外形を有する。
【0104】
カウンタウエイト41においては、遮蔽本体部151と左右の突設部152とにより、開口部150が形成されている。すなわち、開口部150は、遮蔽本体部151の上側の縁部と、右側突設部152Rの左側の縁部と、左側突設部152Lの右側の縁部とにより、後面視で略「U」字状をなすように形成されている。開口部150は、ボンネット42が開いた状態において、機関室30と外部とを連通させる。
【0105】
開口部150は、上下方向について、カウンタウエイト41の略上半部の大部分を開口させている。開口部150は、背面視において、その開口範囲内に、エンジン12の上部および排気ガス浄化装置70を位置させている。カウンタウエイト41のうち、遮蔽本体部151は、エンジン12の下部を後側から覆い、左右の突設部152は、背面視においてエンジン12の上部の左右両側に位置している。
【0106】
ボンネット42は、カウンタウエイト41の開口部150を開閉可能に覆うように設けられている。図11に示すように、ボンネット42は、上面部42aと、後側の面部であって開口部150の略全体を覆う被覆本体部42bとを有する。ボンネット42は、上面部42aの前部に設けられた図示せぬヒンジによって機体左右方向を回動軸方向として回動可能に設けられており、閉じた状態から上方に回動することで、開口部150を全体的に開放させた状態となる(図1、矢印B1参照)。ボンネット42は、少なくともその下端を、閉じた状態のボンネット42の上面部42aよりも上方に位置させる回動位置まで開くように設けられている。なお、図1においては、開いた状態のボンネット42を二点鎖線で示している。
【0107】
ボンネット42は、閉じた状態で、カウンタウエイト41においてボンネット42の外形に沿って開口部150の周囲に形成された段差部159に嵌り、カウンタウエイト41と一体的な後壁面部を構成する。段差部159は、図12に示すように、ボンネット42の被覆本体部42bの下縁部に沿って背面視で略V字状をなす下辺部159aと、被覆本体部42bの左右の縁部に沿って背面視で左右の突設部152それぞれの左側縁部155または右側縁部154に沿って傾斜状をなす左右の傾斜辺部159bとを有する。なお、カウンタウエイト41とボンネット42との間には、ゴム等により形成され段差部159に沿って配されたシール部材が介在している。
【0108】
以上のようにカウンタウエイト41およびボンネット42を備えた構成において、オルタネータ81は、機体の後面視で少なくとも一部を開口部150の開口範囲に重ねる位置に配置されている。具体的には、図4に示すように、オルタネータ81は、背面視において、開口部150の右下側に位置しており、上側の大部分を、開口部150の開口範囲に位置させている。詳細には、オルタネータ81は、背面視において、遮蔽本体部151の上縁部の右半部の中間部を下部に位置させるように配置されている。
【0109】
オルタネータ81は、背面視において、下端部をカウンタウエイト41の遮蔽本体部151により被覆させている。また、オルタネータ81は、背面視において、右端部を、遮蔽本体部151および後述するようにカウンタウエイト41に取り付けられた遮蔽板160により被覆させている。
【0110】
また、コンプレッサ82は、機体の後面視で少なくとも一部をカウンタウエイト41に重ねる位置に配置されている。本実施形態では、コンプレッサ82は、オルタネータ81の下方に位置しており、図4に示すように、背面視で全体をカウンタウエイト41に重ねる位置に配置されている。コンプレッサ82は、遮蔽本体部151の右半部の上下中間部の前方に位置しており、全体を遮蔽本体部151により後側から被覆させる位置に配置されている。
【0111】
また、排気ガス浄化装置70は、背面視において、DPFケース71の全体を、開口部150の開口範囲内に位置させるように設けられている。したがって、ボンネット42を開いた状態において、取付板71cを後側に向けて配置されたDPFケース71の全体が開口部150から露出した状態となる。
【0112】
カウンタウエイト41には、開口部150の一部を覆う遮蔽板160が設けられている。遮蔽板160について、図4図12から図14を用いて説明する。
【0113】
遮蔽板160は、開口部150の一部を塞ぐ保護部材の一例であり、開口部150から一部を露出させるファン63に対するファンガードとして機能する。遮蔽板160は、カウンタウエイト41に対して着脱可能に設けられている。遮蔽板160は、機関室30内にエンジン12の左右方向の一側である右側の側方に配置されたファン63を設けた構成において、機体の後面視で少なくとも一部をエンジン12とファン63との間の空間170(図6参照)に重ねるように設けられている。
【0114】
遮蔽板160は、カウンタウエイト41が有する左右の突設部152のうち一方の右側突設部152Rに対して設けられている。機関室30内において、エンジン12は、機体の左右方向について略中央部に設置されており、エンジン12の右方に、ファン63が設けられている。したがって、ファン63は、機関室30内における右寄りの位置に配置されている。そして、左右の突設部152のうち、左右方向についてファン63が位置する側の右側突設部152Rに、遮蔽板160が装着されている。
【0115】
詳細には、背面視において、ファン63は、上端部を、開口部150における遮蔽本体部151と右側突設部152Rとによる右下側の角部近傍に位置させている。すなわち、ファン63は、背面視で上端部以外の下側の大部分を、カウンタウエイト41の遮蔽本体部151に隠れた部分とするように配置されている。また、ファン63は、エンジン12の右側面部に対して、軸支部を介することで所定の間隔をあけて右方に位置している。これにより、エンジン12とファン63との間の隙間として空間170が存在する(図6参照)。
【0116】
このようなエンジン12に対するファン63の配置構成において、背面視でファン63の近傍に位置する右側突設部152Rに対して、遮蔽板160が設けられている。遮蔽板160は、エンジン12とファン63との間の空間170のうち、エンジン12とファン63の上端部との間の部分を後側から覆うように設けられている。つまり、遮蔽板160は、開口部150における遮蔽本体部151と右側突設部152Rとによる右下側の角部近傍に設けられている。本実施形態では、遮蔽板160は、エンジン12の右側上部に配置されたオルタネータ81と、ファン63の上端部との間の部分を後側から覆うように設けられている。
【0117】
遮蔽板160は、所定の形状を有する板状の部材であり、開口部150の右下の部分を部分的に塞ぐ被覆部分として機能する遮蔽板本体部161と、カウンタウエイト41に対する遮蔽板160の固定部分となる固定面部162とを有する。遮蔽板本体部161の右側に、固定面部162が形成されている。したがって、遮蔽板160は、固定面部162を右側突設部152Rに固定させ、右側突設部152Rから遮蔽板本体部161を左側に延出させている。
【0118】
遮蔽板本体部161は、上下方向に沿う直線状の左縁端部161aと、傾斜状の上縁端部161bおよび下縁端部161cを有し、これらの縁端部によって背面視で左縁端部161a側を底辺側とした略台形状を有する。つまり、遮蔽板本体部161は、開口部150に対する被覆形状として、右側から左側にかけて上下方向の寸法を徐々に広げた形状を有する。固定面部162は、遮蔽板本体部161の右側における上下方向の中間部から、上下方向を長手方向とした矩形状に沿う外形を有する突片部分として形成されている。
【0119】
右側突設部152Rにおいては、遮蔽板160の固定を受ける遮蔽板取付部180が設けられている。遮蔽板取付部180は、右側突設部152Rの根元部分の内側(左側)に設けられている。遮蔽板取付部180は、右側突設部152Rの左右内側(左側)に形成された張出部181の下端部に形成されている。張出部181は、右側突設部152Rにおいて、カウンタウエイト41の右側縁部154の上部をなす右側の突条部182とともに段差部159の傾斜辺部159bをなすように、突条部182に対して奥側(前側)の位置で開口部150を狭めるように左右内側に張り出した部分である。
【0120】
右側突設部152Rの張出部181は、左側突設部152Lの張出部183とともに、カウンタウエイト41においてボンネット42を受ける部分となる。左側の張出部183は、左側突設部152Lにおいて、カウンタウエイト41の左側縁部155の上部をなす右側の突条部184とともに段差部159の傾斜辺部159bをなすように、突条部184に対して奥側(前側)の位置で開口部150を狭めるように左右内側(右側)に張り出した部分である。なお、左側の張出部183は、右側の張出部181より全体的に幅広に形成されている。左右の張出部181,183は、閉じた状態のボンネット42により被覆される部分となる。
【0121】
図13および図14に示すように、遮蔽板取付部180は、上下方向を長手方向とした長方形状を有する後側への突出部分であり、遮蔽板160の取付け用の台座部をなしている。遮蔽板取付部180は、遮蔽板160の固定面部162を支持する平坦な支持面180aを有する。支持面180aは、後側を向く鉛直状の平面である。
【0122】
遮蔽板160は、取付ボルト185により、上下2箇所で固定面部162を遮蔽板取付部180に対して固定させている。遮蔽板取付部180においては、取付ボルト185を螺挿させるネジ穴180bが上下2箇所に支持面180aに臨んで開口している。固定面部162には、取付ボルト185を貫通させる孔部162aが形成されている。
【0123】
遮蔽板160は、カウンタウエイト41に対する取付け状態において、固定面部162を、遮蔽板取付部180の支持面180aに面接触させ、固定面部162の板厚方向を前後方向(図14における上下方向)としている。遮蔽板160は、取付け状態において、遮蔽板本体部161の左縁端部161aを固定面部162に対して左後側に位置させるように、遮蔽板本体部161を平面視で傾斜状としている(図14参照)。遮蔽板本体部161は、平面視で後側に凸の湾曲形態をなすカウンタウエイト41の遮蔽本体部151の傾斜に沿うように傾斜している。
【0124】
遮蔽板160は、図14に示すように、遮蔽板本体部161および固定面部162により、平面視で屈曲形態をなし、上下方向に沿う直線状の稜線部163を形成している。つまり、遮蔽板160は、遮蔽板本体部161および固定面部162による一定の厚さの屈曲板状の部材となっている。平面視で遮蔽板本体部161と固定面部162がなす角度は、例えば160°程度である。
【0125】
カウンタウエイト41側においては、右側突設部152Rの張出部181に、遮蔽板160の遮蔽板本体部161を位置させる凹部186が形成されている。凹部186は、背面視において、張出部181の下部を切り欠いた態様で形成されており、遮蔽板本体部161の外形に沿うように略台形状の凹形状を有する。凹部186は、背面視において遮蔽板160の遮蔽板本体部161の上縁端部161bおよび下縁端部161cそれぞれに対して隙間をなしながら遮蔽板本体部161によって全体的に塞がれるように形成されている。
【0126】
凹部186は、開口部150の右下の角部において、開口部150のうち、遮蔽板160により塞がれる凹状の開口部分を形成している。すなわち、凹部186は、ボンネット42が開かれて開口部150が開放された状態において、遮蔽板160が取り外されることで、機関室30と外部を連通させる開口部分となる。したがって、凹部186は、背面視でその開口範囲に、エンジン12とファン63との間の空間170のうちエンジン12とファン63の上端部との間の部分を重ねるように形成されている。
【0127】
凹部186は、遮蔽板160を取り外した状態において、メンテナンス用の作業空間を確保する。つまり、凹部186は、開放されることで、機関室30内におけるメンテナンスの対象にアクセスするための空間を確保する。凹部186を介して行われるメンテナンスとしては、例えば上述したようにオルタネータ81を回動させることによる第1ベルト95の張り具合の調整等が行われる。
【0128】
以上のような本実施形態に係る掘削作業機1によれば、排気ガス浄化装置70を備えた構成において、エンジン12の周囲に配置されるオルタネータ81等の機器について良好なメンテナンス性を得ることができるとともに、機関室30内に効率良く機器を配置することができる。
【0129】
機関室30内における機器の配置構成として、オルタネータ81は、エンジン12の後側の位置、かつ排気ガス浄化装置70の下方の位置に配置されている。このような構成によれば、例えばオルタネータ81をエンジン12の前側に配置した構成と比べて、オルタネータ81が機体の後側からアクセスしやすい位置に配置されることになるため、オルタネータ81について良好なメンテナンス性を得ることができる。特に、機関室30の後側は、ボンネット42を開くことで開口部150によって開放されるため、エンジン12の後側に配置されたオルタネータ81については、アクセスしやすくメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0130】
また、エンジン12における油圧ポンプ35の配置側とは反対側の上方に、比較的嵩張ってしかも重量物である排気ガス浄化装置70が配置されることになるため、機関室30内においてバランス良く効率的な機器レイアウトが可能となる。
【0131】
また、機関室30内の機器レイアウトとして、比較的嵩張るエンジン12および排気ガス浄化装置70に対して、左右一側(左側)のスペースに、比較的小型の装置である油圧ポンプ35が設置されており、油圧ポンプ35の設置スペースの前上側に、キャビン16内の運転部10が設けられている。このような構成によれば、機関室30で必要とされるスペースに運転部10が圧迫されることを軽減することができ、運転部10の空間を確保しやすくなるので、快適な運転空間を実現することができる。特に、掘削作業機1のように比較的小型のショベルにおいては、機関室30のスペースが限られているため、本実施形態に係る機関室30内の機器レイアウトによれば、運転部10のスペースが圧迫されることを効果的に抑制することができるとともに、機体左右の重量バランスを取りやすくすることができる。
【0132】
また、機関室30内における機器の配置構成として、コンプレッサ82は、オルタネータ81の下方に配置されている。このような構成によれば、例えばコンプレッサ82をエンジン12の前側に配置した構成と比べて、コンプレッサ82が機体の後側からアクセスしやすい位置に配置されることになるため、コンプレッサ82について良好なメンテナンス性を得ることができる。特に、機関室30の後側は、ボンネット42を開くことで開口部150によって開放されるため、エンジン12の後側に配置されたコンプレッサ82については、アクセスしやすくメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0133】
また、オルタネータ81の下方にコンプレッサ82を配置することにより、これらの機器が互いに近傍に位置することになるので、両方の機器についてのメンテナンス作業の作業効率を向上することができる。
【0134】
また、コンプレッサ82は、少なくとも一部をオルタネータ81よりも後方に位置させるように設けられている。このような構成によれば、コンプレッサ82をよりアクセスしやすい位置に配置することができ、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0135】
また、機関室30の後壁部をなす構成として、開口部150を有するカウンタウエイト41と、開口部150を開閉させるボンネット42とを備え、オルタネータ81は、その一部を開口部150から露出させるように配置されており、コンプレッサ82は、その全体をカウンタウエイト41により被覆させる位置に配置されている。このような構成によれば、オルタネータ81およびコンプレッサ82をアクセスしやすい位置に配置することができ、これらの機器について良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0136】
また、エンジン12の上方に配置された円筒状のDPFケース71は、その中心軸方向を前後方向または略前後方向とする向きで設けられている。このような構成によれば、例えばDPFケース71を縦置き(中心軸方向を上下方向とする向き)に設置した構成やエンジン12の前側に配置した構成と比べて、DPFケース71が機体の後側からアクセスしやすい位置に配置されることになるため、DPFケース71について良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0137】
特に、取付板71cを後側に向けるようにDPFケース71を設置した構成によれば、ボンネット42を開くことで、開口部150からDPFケース71のフィルタの交換作業等を容易に行うことができる。また、背面視においてDPFケース71の取付板71c、オルタネータ81およびコンプレッサ82を縦並びに配置した構成によれば、これらの機器について集中配置することができ、メンテナンス作業の作業効率を向上することができる。
【0138】
また、エンジン12の上方においてDPFケース71を前後方向に沿わせて配置した構成によれば、機関室30内のスペースを有効に利用することができ、機関室30で必要とされるスペースに運転部10が圧迫されることを効果的に軽減することができる。これにより、運転部10の空間が確保しやすくなり、運転部10の快適性を向上することができる。
【0139】
また、オルタネータ81は、第1ベルト95のテンションの調整のために回動可能に支持されている。このような構成によれば、機体の後側からアクセスしやすい位置に配置されたオルタネータ81について、メンテナンス作業としての第1ベルト95のテンションの調整作業を行いやすくすることができ、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0140】
また、カウンタウエイト41に対して、エンジン12とファン63との間の空間を後側から塞ぐように配置された遮蔽板160が設けられている。このような構成によれば、機関室30内に設けられた装置・機器に対するメンテナンスを行う際、ファン63に対するアクセス経路を塞ぐことができるので、ファン63への巻き込まれ等を未然に防止することができ、安全性を確保することができる。
【0141】
また、遮蔽板160は、カウンタウエイト41の右側突設部152Rに取り付けられている。このような構成によれば、遮蔽板160の支持部材を別途設けることなく、簡単な構成により遮蔽板160を設けることができる。
【0142】
また、遮蔽板160は、右側突設部152Rに設けられた張出部181に形成された凹部186を塞ぐように設けられている。このような構成によれば、遮蔽板160を取り外すことで凹部186によってファン63およびその近傍に配置された機器に対するアクセス性を確保しながら、開口部150におけるファン63の配置側(右側)の開口範囲を必要最小限とすることができる。これにより、カウンタウエイト41の形状等によって比較的大きな影響を受ける機体全体の重量バランスを取りやすくすることができる。また、開口部150の開口範囲が狭くなることで、機関室30内のエンジン12の駆動音等の騒音を低減することができる。
【0143】
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係る作業機械は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
【0144】
本技術は、以下のような構成を取ることができる。なお、以下に記載の構成は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0145】
(1)
機体の左右方向の一側に出力軸を突出させたエンジンと、
前記エンジンの前記左右方向の他側に配置された油圧ポンプと、
前記エンジンの上方に配置され前記エンジンから排出される排気を処理する排気処理装置と、
前記出力軸の回転動力により駆動するオルタネータと、を備え、
前記オルタネータは、前記エンジンの後側の位置、かつ前記排気処理装置の下方の位置に配置されている
作業機械。
(2)
前記出力軸の回転動力により駆動するコンプレッサを備え、
前記コンプレッサは、前記オルタネータの下方に配置されている
前記(1)に記載の作業機械。
(3)
前記コンプレッサは、少なくとも一部を前記オルタネータよりも機体の後方に位置させている
前記(2)に記載の作業機械。
(4)
前記エンジンは、機体の後部に設けられた機関室内に設置されており、
前記機関室を後側から覆うとともに前記機関室を外部に臨ませる開口部を有する遮蔽部と、
前記開口部を開閉可能に覆うカバー体と、を備え、
前記オルタネータは、機体の後面視で少なくとも一部を前記開口部の開口範囲に重ねる位置に配置されており、
前記コンプレッサは、機体の後面視で少なくとも一部を前記遮蔽部に重ねる位置に配置されている
前記(2)または前記(3)に記載の作業機械。
(5)
前記排気処理装置は、前記エンジンから排出される排気の導入を受ける円筒状のフィルタケースを有し、
前記フィルタケースは、その長手方向を機体の前後方向とする向きで設けられている
前記(1)~(4)のいずれか1つに記載の作業機械。
(6)
前記オルタネータは、一端側を、前記エンジンに対して回動可能に支持させ、他端側を、前記エンジンに対して前記排気処理装置を支持する支持部材から機体の後方に向けて延出した支持ブラケットに対して、前記オルタネータの回動を許容するように位置変更可能に固定支持させた状態で設けられている
前記(5)に記載の作業機械。
(7)
前記エンジンの前記左右方向の一側の側方に配置されたファンと、
前記遮蔽部に対して着脱可能に設けられ、前記開口部の一部を塞ぐ保護部材と、を備え、
前記保護部材は、機体の後面視で少なくとも一部を前記エンジンと前記ファンとの間の空間に重ねるように設けられている
前記(4)に記載の作業機械。
(8)
前記遮蔽部は、その下部をなす遮蔽本体部と、前記遮蔽本体部の左右両端から上方に向けて延出して前記遮蔽本体部とともに前記開口部をなす突設部と、を有し、
前記保護部材は、左右の前記突設部のうち一方の前記突設部に対して設けられている
前記(7)に記載の作業機械。
【符号の説明】
【0146】
1 掘削作業機(作業機械)
12 エンジン
30 機関室
35 油圧ポンプ
41 カウンタウエイト(遮蔽部)
42 ボンネット(カバー体)
63 ファン
65 出力軸
70 排気ガス浄化装置(排気処理装置)
71 DPFケース(フィルタケース)
76 後支持ステー(支持部材)
81 オルタネータ
82 コンプレッサ
100 上支持ブラケット(支持ブラケット)
150 開口部
151 遮蔽本体部
152 突設部
160 遮蔽板(保護部材)
170 空間
181 張出部
186 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14