(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137055
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/04 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048412
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】村崎 剛志
(57)【要約】
【課題】半導体装置の大型化を抑制しつつ、ノイズの抑制が可能である半導体装置を提供する。
【解決手段】本実施形態によれば、半導体装置は、基板と、半導体チップと、コンデンサと、を備える。基板は、少なくとも接地端子を有し、接地端子と同電位である。半導体チップは、基板に配置され、接地端子と第1ボンディングワイヤを介して接続され、所定のクロック周波数で駆動する回路と、アナログ回路と、を有する。コンデンサは、基板に配置され、回路、及びアナログ回路の少なくともいずれかに接続配線を介して一端が接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも接地端子を有し、接地端子と同電位である基板と、
前記基板に配置され、前記接地端子と第1ボンディングワイヤを介して接続され、所定のクロック周波数で駆動する回路と、アナログ回路と、を有する半導体チップと、
前記基板に配置され、前記回路、及び前記アナログ回路の少なくともいずれかに接続配線を介して一端が接続されるコンデンサと、
を、備える、半導体装置。
【請求項2】
前記接続配線のインダクタンスと、前記コンデンサの容量との直列共振は、前記クロック周波数に基づく、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続配線に直列接続されるオンチップインダクタを、更に備える、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記接続配線は、一端が前記アナログ回路の入力側の配線に接続され、他端が前記コンデンサの前記一端と接続される、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップは、前記接地端子と前記第1ボンディングワイヤを介して接続される第2配線を更に有し、
前記基板と前記第2配線とを接続する第3配線を、更に備える、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記回路は、デジタル回路、及び電源回路の少なくともいずれかであり、
前記アナログ回路は、一端が前記回路に接続され、他端が前記第2配線に接続される、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記コンデンサは、他端が前記基板に接続される積層セラミックチップコンデンサである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記コンデンサは、前記他端が導電性の材料を介して前記基板に接続される、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記コンデンサは、前記接続配線に接続される一端側は、絶縁部を介して前記基板に配置される、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記コンデンサは、前記基板に第1主面側が配置された高誘電率フィルムと、前記高誘電率フィルムの前記第1主面と反対側の第2主面に配置される金属板とを有し、
前記金属板に前記接続配線が接続される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記コンデンサは、前記基板上の複数の領域に配置される、請求項9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを有する半導体装置においては、半導体チップ内、または、半導体チップの上部にノイズ低減用のコンデンサが構成される場合がある。ところが、半導体チップは、集積度が進んでおり、その内部にコンデンサを構成するスペースを構成するのが困難となってしまう。また、半導体チップの上部にコンデンサを構成すると、半導体チップの厚みが増加してしまう。これにより、半導体装置が大型化する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、半導体装置の大型化を抑制しつつ、ノイズの抑制が可能である半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、半導体装置は、基板と、半導体チップと、コンデンサと、を備える。基板は、少なくとも接地端子を有し、接地端子と同電位である。半導体チップは、基板に配置され、接地端子と第1ボンディングワイヤを介して接続され、所定のクロック周波数で駆動する回路と、アナログ回路と、を有する。コンデンサは、基板に配置され、回路、及びアナログ回路の少なくともいずれかに接続配線を介して一端が接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】コンデンサを縦置きにした場合の
図1のBB断面図。
【
図4】第1実施形態の変形例1に係る半導体装置の構成例を示す図。
【
図5】第1実施形態の変形例2に係る半導体装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では、通信装置、及び通信方法の特徴的な構成および動作を中心に説明するが、通信装置、及び通信方法には以下の説明で省略した構成および動作が存在しうる。
【0008】
(第1実施形態)
【0009】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。また、本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る半導体装置100を表す平面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置100は、基板10と、半導体チップ20と、コンデンサ30と、複数のボンディングパッド(電極端子)40と、複数のグランド線50と、GND配線60aと、複数のボンディングワイヤ70と、ボンディングワイヤ80とを備える。
【0011】
また、半導体チップ20は、例えばレギュレータ内蔵IC(Integrated Circuit)であり、リニアレギュレータ(LDO:Low Dropout)200と、デジタル回路202と、アナログ回路204とを、有する。例えば、リニアレギュレータ200、及びデジタル回路202は、トランジスタのスイッチングなどによりアナログ回路204のノイズ源となり得る。これらのリニアレギュレータ200、及デジタル回路202は、例えばCLK周波数fclkを有する。さらにまた、半導体チップ20の電極パッド60と基板10のボンディングパッド40とはボンディングワイヤ70により接続されている。なお、本実施形態に係るリニアレギュレータ200が電源回路に対応する。
【0012】
基板10は、フレームであり、例えば導電性の基板である。或いは、基板10の所定の範囲の領域には導電性の導体膜が構成される。
【0013】
複数のボンディングパッド40と、基板10との間は、例えば絶縁膜により絶縁されている。これらのボンディングパッド40のなかの、ボンディングパッド40aは、電源端子(Vcc)に相当する。また、ボンディングパッド40bは、接地端子(Vss)に相当する。なお、本実施形態に係るボンディングパッド40bが、接地端子に対応する。
【0014】
複数のグランド線50それぞれの一端は、ボンディングパッド40bに接続されるGND配線60aに接続される。GND配線60aは、例えば、アナログ回路204の出力端子とボンディングパッド40bとの間を接続する配線である。
【0015】
一方で、複数のグランド線50それぞれの他端は、基板10に接続される。このように、半導体チップ20内のGND配線60aからフレームである基板10に、複数のグランド線50によりボンディングを構成し、フレームによるグランドプレーン(Grand Plane)を形成する。すなわち、複数のグランド線50により基板10は、GND配線60aと同電位となる。なお、本実施形態に係るボンディングパッド40bと、GND配線60aとを接続するボンディングワイヤ70が第1ボンディングワイヤに対応し、GND配線60aが、第2配線に対応し、グランド線50が第3配線に対応する。
【0016】
コンデンサ30は、例えば積層セラミックチップコンデンサ(MLCC)である。このコンデンサ30の一端側の接続ノードn10と、アナログ回路204の入力端側のノードn20とは、ボンディングワイヤ80で接続される。また、コンデンサ30の一端側は、絶縁シート302により絶縁される。一方で、コンデンサ30の他端側は、例えば半田や銀ペーストなどの導電性材300により直接的に基板10に接続され、基板10と同電位となる。なお、本実施形態に係る導電性材300が導電性の材料に対応し、絶縁シート302が絶縁部に対応する。
【0017】
上述のように、デジタル回路202は、例えばクロック(CLK)周波数fclkを有する。このため、コンデンサ30の容量は、ボンディングワイヤ80のインダクタンスLxとMLCCの直列共振回路を形成する容量Cxに構成される。例えば、ノイズ源となり得るデジタル部のCLK周波数fclkやその高調波fclk*nの周波数に共振点を設定することが考えられる。すなわち、CLK周波数fclk=1/(2π×Sqrt(Lx*Cx))において共振点での虚部が0となり、極めて小さい寄生抵抗(実部)で対地(Grand)にショートされるため共振周波数付近のノイズ除去が容易になる。一般に、基板10は、複数のボンディングパッド40を構成する領域を除いて、回路素子などを構成しない領域を有する。このため、このような領域にコンデンサ30を構成することにより、半導体装置1の大型化を抑制しつつ、ノイズを抑制可能となる。
【0018】
なお、半導体チップ20は、一例であり、これらの構成に限定されない。例えば、半導体チップ20は、コンデンサ30の接続により、目的とする配線領域のノイズ抑制が可能となる。また、アナログ回路204の他端側の寄生容量、及びインダクタンスは、複数のグランド線50により調整可能となる。例えば、複数のグランド線50は、複数のボンディングワイヤ70と並列配置することにより、寄生容量を増加させることが可能となる。また、本実施形態に係るボンディングワイヤ80が、接続配線に対応する。
【0019】
図2は、オンチップインダクタ90の例を示す図である。
図2に示すように、ボンディングワイヤ80にオンチップインダクタ90を直列に接続することにより、インダクタンスLxを調整することも可能である。
【0020】
図3は、コンデンサ30を縦置きにした場合の
図1のBB断面図である、
図3に示すように、コンデンサ30を縦置きにしてもよい。この場合には、絶縁シート302が不要となる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、グランドプレーンを形成した基板10に、ノイズ低減用のコンデンサ30を配置し、一端をデジタル回路202の接続されるノードn20に接続することとした。これにより、半導体装置1の大型化や、厚みの増加を抑制しつつ、ノードn20におけるデジタル回路202に起因するノイズの抑制が可能となる。また、ノードn20をアナログ回路204の入力側に構成することにより、ノードn20を介して接続されるアナログ回路204に対するデジタル回路202に起因するノイズの抑制が可能となる。
【0022】
(第1実施形態の変形例1)
図4は、第1実施形態の変形例1に係る半導体装置1aの構成例を示す図である。
図4に示すように、コンデンサ30aは、高誘電率フィルム304と、金属板306とを有する。基板10に、高誘電率フィルム304を貼り付け、その上部に金属板306を配置し、コンデンサコンデンサ30aを構成する。このように、ICフレームである基板10を電極として用いるため、半導体装置1aをより薄型化が可能となるとともに、コンデンサ30aの部品点数を抑制できる。
【0023】
(第1実施形態の変形例2)
図5は、第1実施形態の変形例2に係る半導体装置1bの構成例を示す図である。
図5に示すように、コンデンサ30bを更に有する。コンデンサ30bは、高誘電率フィルム304と、金属板306とを有する。すなわち、基板10に、高誘電率フィルム304を貼り付け、その上部に金属板306を配置し、コンデンサコンデンサ30bを構成する。このように、ICフレームである基板10を電極として用いるため、半導体装置1aをより薄型化が可能となるとともに、コンデンサ30aの部品点数を抑制できる。また、複数のコンデンサ30a、30bを構成することにより、容量調整やボンディングワイヤ80、80aのインダクタ調整が容易となる。
【0024】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態に含まれる、例えば、基板10、半導体チップ20、コンデンサ30、30a、30b、複数のグランド線50などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の技術から適宜選択することが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0025】
1、1a、1b:半導体装置、10:基板、20:半導体チップ、30、30a、30b:コンデンサ、40、40a、40b:ボンディングパッド、50:グランド線、60a:GND配線70:ボンディングワイヤ、80、80a:ボンディングワイヤ、90:オンチップインダクタ、202:デジタル回路、204:アナログ回路、300:導電性材、302:絶縁シート。