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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137081
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240927BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
B65G1/00 511Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048453
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 陽一
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ13
3F022JJ19
3F022MM51
3F022MM57
3F022MM61
3F022NN38
3F022NN55
3F022PP06
3F022QQ01
(57)【要約】
【課題】非常時に作動するシャッタとの干渉を防止することができる自動倉庫を提供する。
【解決手段】自動倉庫1は、ラック11A,11Bと、第一方向に延在する走行面に沿って走行し、棚部18に物品Wを移載する搬送車12と、非常時に作動するシャッタ83の進出空間Sに対して進退可能に設けられると共に、進出空間S内の進出位置P1に進出したときに、進出空間Sによって互いに離間した二つの領域同士の搬送車12の往来を可能にする可動走行面30と、非常時に可動走行面30を進出空間Sから退避した退避位置に位置させ、通常時に進出位置P1に移動させる可動機構40と、を備える。可動機構40は、可動走行面30を退避させる際、進出空間S内を鉛直方向に沿って下方に移動させた後、搬送車12の移動方向に沿って進出空間Sから退避させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置する棚部が鉛直方向に配列されていると共に鉛直方向に直交する第一方向に延在するラックと、
前記第一方向に延在する走行面に沿って走行し、前記棚部に前記物品を移載する搬送車と、
非常時に作動するシャッタの進出空間に対して進退可能に設けられると共に、前記進出空間内の進出位置に進出したときに、前記進出空間によって互いに離間した二つの領域同士の前記搬送車の往来を可能にする可動走行面と、
非常時に前記可動走行面を前記進出空間から退避した退避位置に位置させ、通常時に前記進出位置に移動させる可動機構と、を備え、
前記可動機構は、前記可動走行面を退避させる際、前記進出空間内を鉛直方向に沿って下方に移動させた後、前記搬送車の移動方向に沿って前記進出空間から退避させる、自動倉庫。
【請求項2】
前記可動走行面は、一方向に延在する支持部材の一方の端部に設けられており、
前記可動機構は、前記支持部材の延在方向が鉛直方向に沿った状態のまま前記可動走行面を前記進出位置から前記退避位置に退避させる、請求項1記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記可動機構は、通電状態において前記可動走行面を前記進出位置に位置させ、非通電状態において前記可動走行面を前記退避位置に位置させる、請求項1又は2記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記シャッタの作動を検知する検知部を更に備え、
前記可動機構は、前記検知部の検知結果に基づいて前記シャッタの作動を検知すると、前記可動走行面を前記退避位置に位置させる、請求項1又は2記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記可動機構は、前記走行面の下方に配置されている、請求項1又は2記載の自動倉庫。
【請求項6】
前記進出空間によって互いに離間した二つの領域のそれぞれには、前記ラックが設けられている、請求項1又は2記載の自動倉庫。
【請求項7】
前記進出空間によって互いに離間した二つの領域の一方には前記ラックが設けられ、前記二つの領域の他方には、前記搬送車が走行可能に設けられたデッキが設けられている、請求項1又は2記載の自動倉庫。
【請求項8】
前記ラックは、前記第一方向と鉛直方向との両方に直交する方向に配列されている、請求項1又は2記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の出庫及び入庫を自動で行う自動倉庫が知られている。このような自動倉庫が配備される建屋には、火災の侵入を防ぎ、延焼を防止するために、非常時に建屋内の空間を区画するように作動する防火シャッタが設けられることがある。この場合、自動倉庫は、防火シャッタが進出する進出空間によって互いに離間した二つの領域が形成される。このため、通常時には、搬送車の互いに離間した二つの領域同士を往来可能にする必要がある。このような課題を解決するための技術が、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-189458号公報
【特許文献2】特開2022-100481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1及び特許文献2に記載の発明は、搬送装置に関する技術であって、自動倉庫に関する技術ではない。昨今、自動倉庫が配備される建屋等において火災に対する備えが特に大きな課題となっている。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、非常時に作動するシャッタとの干渉を防止することができる自動倉庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る自動倉庫は、物品を載置する棚部が鉛直方向に配列されていると共に鉛直方向に直交する第一方向に延在するラックと、第一方向に延在する走行面に沿って走行し、棚部に物品を移載する搬送車と、非常時に作動するシャッタの進出空間に対して進退可能に設けられると共に、進出空間内の進出位置に進出したときに、進出空間によって互いに離間した二つの領域同士の搬送車の往来を可能にする可動走行面と、非常時に可動走行面を進出空間から退避した退避位置に位置させ、通常時に進出位置に移動させる可動機構と、を備え、可動機構は、可動走行面を退避させる際、進出空間内を鉛直方向に沿って下方に移動させた後、搬送車の移動方向に沿って進出空間から退避させる。
【0007】
この構成の自動倉庫では、シャッタが進出する進出空間によって離間(分断)される二つの領域と、進出空間に進出可能な可動走行面が設けられている。これにより、通常時には、進出空間によって離間された二つの領域を搬送車が往来することが可能になる。また、この構成の自動倉庫では、シャッタが進出する進出空間から可動走行面を退避させることができるので、非常時に作動するシャッタとの干渉を防止することができる。
【0008】
本発明の一側面に係る自動倉庫では、可動走行面は、一方向に延在する支持部材の一方の端部に設けられており、可動機構は、支持部材の延在方向が鉛直方向に沿った状態のまま可動走行面を進出位置から退避位置に退避させてもよい。この構成では、可動走行面が一方向に延在する支持部材に設けられる場合であっても可動機構の動きがコンパクトになる。この結果、可動機構を省スペースに構成することができる。
【0009】
本発明の一側面に係る自動倉庫では、可動機構は、通電状態において可動走行面を進出位置に位置させ、非通電状態において可動走行面を退避位置に位置させてもよい。この構成では、非常時に電力が寸断された場合であっても、可動走行面を退避させることができる。
【0010】
本発明の一側面に係る自動倉庫では、シャッタの作動を検知する検知部を更に備え、可動機構は、検知部の検知結果に基づいてシャッタの作動を検知すると、可動走行面を退避位置に位置させてもよい。この構成では、シャッタの作動に連動して、可動走行面を退避させることができる。
【0011】
本発明の一側面に係る自動倉庫では、可動機構は、走行面の下方に配置されてもよい。この構成では、デッドスペースを有効に利用できる。
【0012】
本発明の一側面に係る自動倉庫では、進出空間によって互いに離間した二つの領域のそれぞれには、ラックが設けられてもよい。この構成、すなわち、進出空間によってラックが分断された構成であっても、通常時には、進出空間によって離間された二つの領域を搬送車が往来することができ、非常時には、作動するシャッタとの干渉を防止することができる。
【0013】
本発明の一側面に係る自動倉庫では、進出空間によって互いに離間した二つの領域の一方にはラックが設けられ、二つの領域の他方には、搬送車が走行可能に設けられたデッキが設けられてもよい。この構成、すなわち、進出空間によってラックとデッキとが分断された構成であっても、通常時には、進出空間によって離間された二つの領域を搬送車が往来することができ、非常時には、作動するシャッタとの干渉を防止することができる。
【0014】
本発明の一側面に係る自動倉庫では、ラックは、第一方向と鉛直方向との両方に直交する方向に配列されてもよい。この構成では、第一方向と鉛直方向との両方に直交する方向に可動レールを退避させるスペースがないところ、進出空間内を鉛直方向に沿って下方に移動させた後、搬送車の移動方向に沿って進出空間から退避させるように可動レールを動かしているので限られたスペースを有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、非常時に作動するシャッタとの干渉を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る自動倉庫の概略構成を示す側面図である。
図2図2は、図1の自動倉庫が配列された状態の平面図である。
図3図3は、進出空間に進出可能に設けられた可動レールを示す斜視図である。
図4図4は、可動レールを進出位置に位置させるときの可動機構の状態を示す側面図である。
図5図5は、可動レールを退避位置に位置させるときの可動機構の状態を示す側面図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、可動レールが進出位置から退避位置に移動するときの状態遷移図である。
図7図7(A)及び図7(B)は、可動レールが進出位置から退避位置に移動するときの状態遷移図である。
図8図8は、変形例に係る自動倉庫の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して一実施形態に係る自動倉庫1について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1に示されるように、自動倉庫1は、複数の荷物(物品)Wを格納可能であり、外部システムからの要求に応じて荷物Wの出庫及び入庫を自動で行う装置である。自動倉庫1への荷物Wの搬入及び自動倉庫1からの荷物Wの搬出は、コンベヤシステム60によって行われる。荷物Wは、例えば商品を収納可能なケース、トレイ、段ボール箱及び折りたたみコンテナ等である。なお、以下においては、水平方向の一方向をX方向とし、X方向に直交する水平方向をY方向とし、X方向及びY方向の両方に直交する鉛直方向をZ方向として説明する。
【0019】
自動倉庫1は、第一ラック(ラック)11Aと、第二ラック(ラック)11Bと、搬送車12と、一対のレール25,25と、作業用歩廊26と、入庫ステーション13と、出庫ステーション14と、入庫用昇降装置15と、出庫用昇降装置16と、コントローラ70と、可動レール30と、可動機構40と、を備える。
【0020】
第一ラック11Aは、荷物Wを載置する棚部18を有する。棚部18は、Y方向に延在している。第一ラック11Aは、搬送車12の走行領域を挟むようにX方向に対向するように配置されている。棚部18は、Z方向(鉛直方向)に複数段配列されている。棚部18は、Y方向に複数の荷物Wを載置可能に構成されている。棚部18は、鉛直方向に延在する柱部19(図3参照)に支持されている。第一ラック11Aの各段の棚部18におけるY方向の一方側の端部には、荷物Wを一時的に載置するバッファコンベヤ17が設けられている。バッファコンベヤ17は、一時的に載置した荷物WをY方向の一方側及び他方側に搬送可能である。なお、図1では、柱部19の図示を省略している。
【0021】
第二ラック11Bは、第一ラック11Aに対してY方向に所定の間隔をあけて配置されている。この所定の間隔は、後段にて詳述する防火シャッタ83の進出空間Sを形成している。言い替えれば、第一ラック11Aと第二ラック11Bとは、進出空間Sによって互いに離間した領域に配置されている。第二ラック11Bは、第一ラック11Aと同様に、荷物Wを載置する棚部18を有する。第二ラック11Bは、搬送車12の走行領域を挟むようにX方向に対向するように配置されている。所定の間隔は、例えば、10mm~150mmであり、防火シャッタ83の厚み等によって適宜変更される。
【0022】
棚部18は、Z方向(鉛直方向)に複数段配列されている。棚部18は、Y方向に複数の荷物Wを載置可能に構成されている。なお、本実施形態の第二ラック11Bでは、第一ラック11A側の一方側の端部から図示を省略する他方側の端部にまでY方向に棚部18が延在している。本実施形態では、このような第一ラック11A及び第二ラック11BがX方向(第一方向と鉛直方向との両方に直交する方向)に配列されている。
【0023】
搬送車12は、複数段の棚部18のそれぞれに対応して複数設けられている。搬送車12は、各段の棚部18の対応する高さにおいて、Y方向に沿って往復走行可能である。搬送車12は、荷物Wを保持して搬送するシャトル台車である。搬送車12は、各段の棚部18に対応する高さ位置にY方向に沿って敷設された一対のレール25,25上を走行可能である。搬送車12は、棚部18に対して荷物Wを移載可能な移載装置20を有する。
【0024】
移載装置20は、リアフック式移載装置である。移載装置20は、X方向に沿って前進及び後退する一対のアーム21と、各アーム21の前端部及び後端部にそれぞれ設けられX方向に直交する平面上で旋回可能なフック22と、を含む。移載装置20の種類は特に限定されず、サイドクランプ式移載装置等の種々の形式の移載装置であってもよい。アーム21は、テレスコピック構造等の伸縮機構(不図示)により前進及び後退する。フック22は、例えば細長形状のバー状の部材である。フック22は、荷物Wの移載の際に荷物Wの前面又は後面(背面)に当たる部材である。
【0025】
一対のレール25,25は、互いに対向する第一ラック11A,11A(第二ラック11B,11B)に固定されており、Y方向に延在する。より詳細には、第一ラック11A及び第二ラック11Bを構成する柱部19(図3参照)に支持されている。一対のレール25,25のそれぞれは、断面L字状に形成されており、鉛直方向に直交する走行面25Aと、水平方向に直交する側面25Bと、が形成されている。走行面25Aは、搬送車12が備える走行ローラ24が転動する面である。側面25Bは、搬送車12が備えるサイドローラ23が転動する面である。
【0026】
作業用歩廊26は、X方向における第一ラック11Aと第一ラック11Aとの間、及び、X方向における第二ラック11Bと第二ラック11Bとの間に配置されている。作業用歩廊26は、一対の支持桁26A,26Aと、床板26Bと、を有している。一対の支持桁26A,26Aは、一対のレール25,25の下方に、Y方向に沿って配置されている。一対の支持桁26A,26Aは、一方向に延在する梁部材である。床板26Bは、X方向に対向する一対の支持桁26A,26Aに掛け渡されている。床板26Bは、例えば,有孔鋼板である。作業者は、例えば、自動倉庫1のメンテナンス時に、床板26Bを歩行可能に設けられている。なお、図3では、説明の便宜のため、床板26Bの図示を省略している。
【0027】
作業用歩廊26のY方向における端部位置は、第一ラック11A及び第二ラック11Bの端部位置に一致する。すなわち、X方向における第一ラック11Aと第一ラック11Aとの間に配置される床板26Bと、X方向における第二ラック11Bと第二ラック11Bとの間に配置される床板26Bとは、Y方向に進出空間Sを挟んで配置されている。言い替えれば、X方向における第一ラック11Aと第一ラック11Aとの間に配置される床板26Bと、X方向における第二ラック11Bと第二ラック11Bとの間に配置される床板26Bとは、進出空間Sによって互いに離間した領域に配置されている。
【0028】
入庫ステーション13は、コンベヤシステム60から荷物Wを受け取る。入庫ステーション13は、荷物Wを搬送し、入庫用昇降装置15へ当該荷物Wを受け渡す。入庫ステーション13は、例えばY方向の他方側に荷物Wを搬送可能なコンベヤを含む。出庫ステーション14は、出庫用昇降装置16から荷物Wを受け取る。出庫ステーション14は、荷物Wを搬送し、コンベヤシステム60へ荷物Wを受け渡す。出庫ステーション14は、例えばY方向の一方側に荷物Wを搬送可能なコンベヤを含む。
【0029】
入庫用昇降装置15は、第一ラック11Aと入庫ステーション13との間に配置されている。入庫用昇降装置15は、荷物Wが載置される入庫用昇降台15Aを含む。入庫用昇降台15Aは、Z方向に延びる支柱15Bに沿って昇降可能(Z方向に沿って移動可能)に設けられている。入庫用昇降台15Aは、入庫ステーション13から荷物Wを受け取る。入庫用昇降台15Aは、棚部18のバッファコンベヤ17へ荷物Wを受け渡す。入庫用昇降台15Aは、例えばY方向の他方側に荷物Wを搬送可能なコンベヤを含む。
【0030】
出庫用昇降装置16は、第一ラック11Aと出庫ステーション14との間に配置されている。出庫用昇降装置16は、荷物Wが載置される出庫用昇降台16Aを含む。出庫用昇降台16Aは、Z方向に延びる支柱16Bに沿って昇降可能に設けられている。出庫用昇降台16Aは、棚部18のバッファコンベヤ17から荷物Wを受け取る。出庫用昇降台16Aは、出庫ステーション14へ荷物Wを受け渡す。出庫用昇降台16Aは、例えばY方向の一方側に荷物Wを搬送するコンベヤを含む。
【0031】
コントローラ70は、自動倉庫1を構成する搬送車12、入庫ステーション13、出庫ステーション14、入庫用昇降装置15、出庫用昇降装置16及び可動機構40の動作を制御する。コントローラ70は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含んで構成されている。コントローラ70は、ハードウェアとして構成されてもよい。コントローラ70は、搬送車12、入庫ステーション13、出庫ステーション14、入庫用昇降装置15、出庫用昇降装置16及び可動機構40と通信可能に設けられておれば、どこに配置されてもよい。
【0032】
自動倉庫1が配備される建屋には、検知部81(例えば火災検知装置)と、防火シャッタ(シャッタ)83と、が設けられている。検知部81は、建屋内に発生した火災を検知する。検知部81は、防火シャッタ83を作動させて建屋内の空間を区画する。防火シャッタ83は、火災の侵入を防ぎ、延焼を防止するために設けられる。防火シャッタ83は、例えば建屋の天井C、側壁又は床等の退避位置に配置されており、非常時には退避位置P2から進出位置P1に進出するように構成されている。本実施形態の防火シャッタ83は、通常時には、天井Cに設けられる格納庫85の内部に巻回された状態で退避しており、非常時には、第一ラック11Aと第二ラック11Bとの間の形成されている進出空間Sに進出する。進出空間Sに進出した防火シャッタ83は、一対のレール25,25に沿って走行する搬送車12の走行領域を遮断する。
【0033】
可動レール30は、防火シャッタ83の進出空間Sに対して進退可能に設けられると共に、進出空間S内の進出位置P1(図3及び図4参照)に進出したときに、進出空間Sによって互いに離間した二つの領域に配置された第一ラック11A及び第二ラック11B同士の搬送車12の往来を可能にする。可動レール30は、通常時は進出空間S内の進出位置P1(図3及び図4参照)に進出し、非常時は、進出空間Sに進出する防火シャッタ83と干渉しないように、進出空間Sから外れた位置である退避位置P3(図5参照)に退避する。
【0034】
可動レール30は、断面L字状の部材であって、X方向に対向するように配置されている。一対の可動レール30,30のそれぞれは、断面L字状に形成されており、鉛直方向に直交する可動走行面30Aと、水平方向に直交する可動側面30Bと、が形成されている。可動走行面30Aは、搬送車12が備える走行ローラ24が転動する面である。可動側面30Bは、搬送車12が備えるサイドローラ23が転動する面である。
【0035】
進出位置P1において、可動レール30の可動走行面30Aは、第一ラック11Aに並走するレール25の走行面25A及び第二ラック11Bに並走するレール25の走行面25Aと面一となる。同様に、進出位置P1において、可動レール30の可動側面30Bは、第一ラック11Aに並走するレール25の側面25B及び第二ラック11Bに並走するレール25の側面25Bと面一となる。また、可動レール30が進出位置P1に位置するとき、Y方向における可動レール30とレール25との間の距離(隙間)は、走行ローラ24及びサイドローラ23の直径の長さに比べて十分に小さい。これにより、搬送車12は、可動レール30とレール25とを乗り継ぐ際に大きな振動が発生することを防止できる。
【0036】
可動機構40は、異常時に可動走行面30Aを進出空間Sから退避した退避位置P3に位置させ、通常時に進出位置P1に移動させる。可動機構40は、搬送車12の走行面の下方に、すなわち一対のレール25,25の下方に配置されている。図3図5に示されるように、可動機構40は、ベースフレーム41と、エアシリンダ43と、第一リンク部材45と、バネ部材47と、第二リンク部材49と、支持部材51と、を有している。エアシリンダ43と、第一リンク部材45と、第二リンク部材49と、支持部材51とは、四節リンク機構を構成している。
【0037】
ベースフレーム41は、エアシリンダ43、第一リンク部材45、バネ部材47、第二リンク部材49及び支持部材51を支持する。ベースフレーム41は、柱部19及び支持桁26Aに支持されている。
【0038】
エアシリンダ43は、本体部43Dに対してピストンロッド43Cが伸縮するアクチュエータである。エアシリンダ43の本体部43Dにおける第一端部43Aは、ベースフレーム41に回動可能に固定されている。ピストンロッド43Cの先端である第二端部43Bは、第一リンク部材45の第一接続部45Aに回動可能に固定されている。エアシリンダ43の第一端部43Aは、ピストンロッド43Cの伸縮状態と、第二接続部45Bと、第三接続部45Cとの寸法関係とからなる幾何学的関係によって回動位置が決定する。エアシリンダ43は、通電状態においてピストンロッド43Cを伸縮することが可能となる。なお、エアシリンダ43は、非通電状態においてピストンロッド43Cの伸縮状態を拘束できない状態となる。すなわち、ピストンロッド43Cに作用する外力に対して抵抗できない状態となる。この状態のとき、例えば、ピストンロッド43Cを本体部43Dの内部に押し込む力が作用すれば、ピストンロッド43Cは、本体部43Dに対して最も縮んだ状態となる。エアシリンダ43(すなわち、ピストンロッド43Cの伸縮)は、コントローラ70によって制御される。
【0039】
第一リンク部材45は、ベースフレーム41に回動可能に固定された板状部材である。第一リンク部材45の第一接続部45Aは、ピストンロッド43Cに回動可能に接続されている。また、第一リンク部材45の第一接続部45Aは、バネ部材47の第二端部47Bに接続されている。第一リンク部材45の第二接続部45Bは、バネ部材47による弾性力と、ピストンロッド43Cの伸縮状態とのバランスによって回動位置が決定する。第一リンク部材45の第三接続部45Cは、支持部材51の第一接続部51Aに回動可能に接続されている。
【0040】
バネ部材47は、ベースフレーム41に固定された引っ張りバネ部材である。バネ部材47の一方の端部である第一端部47Aは、ベースフレーム41に固定されている。バネ部材47の他方の端部である第二端部47Bは、第一リンク部材45に固定されている。
【0041】
第二リンク部材49は、ベースフレーム41に回動可能に固定された板状部材である。第二リンク部材49の第一端部49Aは、ベースフレーム41に回動可能に固定されている。第二リンク部材49の第二端部49Bは、支持部材51の第二接続部51Bに回動可能に接続されている。
【0042】
支持部材51は、一方向に延在する部材であり、延在方向における一方の端部である第一端部51Cにおいて、可動レール30を支持している。支持部材51の第一接続部51Aは、第一リンク部材45の第三接続部45Cと回動可能に接続されている。支持部材51の第二接続部51Bは、第二リンク部材49の第二端部49Bと回動可能に接続されている。
【0043】
このような構成の可動機構40は、可動レール30を進出空間Sから退避位置P3に退避させる際、進出空間S内を鉛直方向に沿って下方に移動させた後、搬送車12の移動方向(Y方向)に沿って進出空間Sから退避させる。すなわち、可動機構40は、可動レール30を進出空間Sから退避位置P3に退避させる際、Y方向における一対のレール25,25及び一対の支持桁26A,26Aの間を、一対のレール25,25及び一対の支持桁26A,26Aに接触(干渉)しないようにZ方向に沿って下方に移動させた後、搬送車12の移動方向(Y方向)に沿って移動させる。
【0044】
また、可動機構40は、支持部材51の延在方向が鉛直方向に沿った状態のまま可動レール30を進出位置P1から退避位置P3に退避させる。可動機構40は、通電状態において可動レール30を進出位置P1に位置させ、非通電状態において可動レール30を退避位置P3に位置させる。
【0045】
次に、停電時の可動レール30の動作について、図6(A)、図6(B)、図7(A)及び図7(B)を用いて説明する。図6(A)に示されるように、可動レール30が進出位置P1に位置するとき、ピストンロッド43Cは最も伸びた状態になっている。言い替えれば、ピストンロッド43Cは第一リンク部材45を突っ張った状態となっている。なお、このときのピストンロッド43Cが第一リンク部材45を突っ張る力(エアシリンダ43の推力)は、バネ部材47が第一リンク部材45を引っ張る力と、可動レール30に作用する搬送車12の重量(走行時の振動等も含む)により作用する力と、上述した四節リンク機構を構成する部材の重量により作用する力との和に対して耐え得るように、適宜調整、選択がなされている。このため、可動レール30を進出空間Sに留まらせること(位置させること)ができる。
【0046】
例えば停電が発生し、エアシリンダ43の駆動部が通電しない状態になると、ピストンロッド43Cは、ピストンロッド43Cに作用する外力に対して抵抗できない状態となる。これにより、バネ部材47が第一リンク部材45を引っ張る力と、上述した四節リンク機構を構成する部材の重量により作用する力とが、ピストンロッド43Cに作用するようになる。この結果、図6(B)及び図7(A)に示されるように、第一リンク部材45が左回りに回動し、ピストンロッド43Cが縮んでいく。このように、ピストンロッド43Cが縮んでいくと、可動レール30を支持する支持部材51が下方に移動する。このとき、支持部材51及び可動レール30は、進出空間S内を鉛直方向に沿って下方に移動する。
【0047】
そして、バネ部材47の引っ張り力によって第一リンク部材45が更に左回りに回動すると、図7(B)に示されるように、今度は、第一リンク部材45に接続された支持部材51を水平方向(搬送車12の走行方向)に引っ張り込む。そして、第一リンク部材45と第二リンク部材49とが互いに接触することによって四節リンク構成は、静止状態となる。このときの支持部材51によって支持される可動レール30の位置が退避位置P3となる。支持部材51は、図6(A)、図6(B)及び図7(A)に示されるように、鉛直方向に沿って移動するときも、更に図7(A)及び図7(B)に示されるように、水平方向に沿って移動するときも、その延在方向が鉛直方向に沿った状態で移動する。このような四節リンク機構とバネ部材47との動作によって支持部材51に支持された可動レール30が進出位置P1から退避位置P3に移動する。
【0048】
なお、コントローラ70の制御によってエアシリンダ43が駆動され、ピストンロッド43Cを伸ばしていく際の動作は、上述の説明の逆順になるだけなので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0049】
上記実施形態の自動倉庫1における作用効果について説明する。上記実施形態の自動倉庫1では、防火シャッタ83が進出する進出空間Sによって離間(分断)される二つの領域である第一ラック11Aと第二ラック11Bとの間に可動レール30が進出可能に設けられている。これにより、通常時には、進出空間Sによって離間された第一ラック11Aと第二ラック11Bとの間を搬送車12が往来することが可能になる。また、この構成の自動倉庫1では、防火シャッタ83が進出する進出空間Sから可動レール30を退避させることができるので、非常時に作動する防火シャッタ83との干渉を防止することができる。
【0050】
上記実施形態の自動倉庫1では、可動レール30は、一方向に延在する支持部材51の一方の端部である第一端部51Cに設けられており、可動機構40は、支持部材51の延在方向が鉛直方向に沿った状態のまま可動レール30を進出位置P1から退避位置P3に退避させている。この構成では、可動レール30が一方向に延在する支持部材51に設けられる場合であっても可動機構40(すなわち四節リンク)の動きがコンパクトになる。この結果、可動機構40を省スペースに構成することができる。
【0051】
上記実施形態の自動倉庫1では、可動機構40は、通電状態において可動レール30を進出位置P1に位置させ、非通電状態において可動レール30を退避位置P3に位置させている。これにより、非常時に電力が寸断された場合であっても、可動レール30を退避させることができる。
【0052】
上記実施形態の自動倉庫1では、第一ラック11A及び第二ラック11Bは、X方向に配列されている。このような構成では、X方向には、隣接して別の第一ラック11A及び第二ラック11Bがあるので、X方向に可動レール30を退避させるスペースや、可動機構40を配置するスペースが一般的に少ない。そこで、本実施形態の自動倉庫1では、搬送車12の走行面の下方に可動機構40が配置されている。また、本実施形態の自動倉庫1では、進出空間S内を鉛直方向に沿って下方に可動レール30を移動させた後、搬送車12の移動方向に沿って進出空間Sから退避させるように可動レール30を動かしているので限られたスペースを有効に利用することができる。
【0053】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
上記実施形態の自動倉庫1では、非通電状態となったとき可動レール30を退避位置P3に位置させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。変形例に係る自動倉庫1では、この構成に代えて又は加えて、防火シャッタ83の作動を検知する検知部81を備え、可動機構40は、検知部81の検知結果に基づいて防火シャッタ83の作動を検知すると、可動レール30を退避位置P3に位置させるようにしてもよい。この構成では、防火シャッタ83の作動に連動して、可動レール30を退避させることができる。なお、このような検知部81の例は、火災報知器から送信されてくる検知情報であってもよいし、防火シャッタ83が作動したことを検知するカメラ又はセンサ等であってもよい。この構成では、防火シャッタ83の作動に連動して、可動レールを退避させることができる。
【0055】
上記実施形態及び上記変形例の自動倉庫1では、進出空間Sによって互いに離間される二つの領域の例として、二つのラック(第一ラック11A及び第二ラック11B)を例に挙げて説明したが、これに限定されない、例えば、図8に示されるように、二つの領域の一方にはラック11Cが設けられ、二つの領域の他方には、搬送車12が走行可能に設けられたデッキ11Dが設けられてもよい。ラック11Cは、上記実施形態で説明した第一ラック11A及び第二ラック11Bと同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0056】
デッキ11Dは、搬送車12がX方向及びY方向の両方方向に走行可能な走行路盤11Daと、走行路盤11Daを支持する柱部11Dbと、を有する。本変形例においては、二層の走行路盤11Da,11Daが設けられている。なお、デッキ11Dは、一層の走行路盤11Daから構成されてもよいし、三層以上の走行路盤11Daから構成されてもよい。このような構成、すなわち、進出空間Sによってラック11Cとデッキ11Dとが分断された構成であっても、通常時には、進出空間Sによって離間された二つの領域を搬送車12が往来することができ、非常時には、作動する防火シャッタ83との干渉を防止することができる。また、デッキ11Dに代わりに、自動倉庫1に荷物Wの搬入・搬出する搬送装置が配置されている場合も、同様の構成の可動レール30及び可動機構40を設けることができる。
【0057】
上記実施形態及び上記変形例の自動倉庫1では、進出空間Sに対して進退可能な可動走行面の一例として、一対の可動レール30,30を例に挙げて説明したが、例えば、搬送車12の走行が可能な部材であればよく、例えば一本のレール、平板状の部材等であってもよい。また、上記実施形態及び上記変形例の搬送車12は、一方向に沿って移動可能に構成された例を挙げて説明したが、例えば鉛直方向に延在するマストに沿って移載部が移動可能にもうけられたスタッカクレーン、AGV(Automatic Guided Vehicle)等の搬送車であってもよい。
【0058】
本発明の一側面の技術主題は以下のとおりに記載され得る。
[1]
物品を載置する棚部が鉛直方向に配列されていると共に鉛直方向に直交する第一方向に延在するラックと、
前記第一方向に延在する走行面に沿って走行し、前記棚部に前記物品を移載する搬送車と、
非常時に作動するシャッタの進出空間に対して進退可能に設けられると共に、前記進出空間内の進出位置に進出したときに、前記進出空間によって互いに離間した二つの領域同士の前記搬送車の往来を可能にする可動走行面と、
非常時に前記可動走行面を前記進出空間から退避した退避位置に位置させ、通常時に前記進出位置に移動させる可動機構と、を備え、
前記可動機構は、前記可動走行面を退避させる際、前記進出空間内を鉛直方向に沿って下方に移動させた後、前記搬送車の移動方向に沿って前記進出空間から退避させる、自動倉庫。
[2]
前記可動走行面は、一方向に延在する支持部材の一方の端部に設けられており、
前記可動機構は、前記支持部材の延在方向が鉛直方向に沿った状態のまま前記可動走行面を前記進出位置から前記退避位置に退避させる、[2]に記載の自動倉庫。
[3]
前記可動機構は、通電状態において前記可動走行面を前記進出位置に位置させ、非通電状態において前記可動走行面を前記退避位置に位置させる、[1]又は[2]に記載の自動倉庫。
[4]
前記シャッタの作動を検知する検知部を更に備え、
前記可動機構は、前記検知部の検知結果に基づいて前記シャッタの作動を検知すると、前記可動走行面を前記退避位置に位置させる、[1]~[3]の何れか一つに記載の自動倉庫。
[5]
前記可動機構は、前記走行面の下方に配置されている、[1]~[4]の何れか一つに記載の自動倉庫。
[6]
前記進出空間によって互いに離間した二つの領域のそれぞれには、前記ラックが設けられている、[1]~[5]の何れか一つに記載の自動倉庫。
[7]
前記進出空間によって互いに離間した二つの領域の一方には前記ラックが設けられ、前記二つの領域の他方には、前記搬送車が走行可能に設けられたデッキが設けられている、[1]~[6]の何れか一つに記載の自動倉庫。
[8]
前記ラックは、前記第一方向と鉛直方向との両方に直交する方向に配列されている、[1]~[7]の何れか一つに記載の自動倉庫。
【符号の説明】
【0059】
1…自動倉庫、11A…第一ラック(ラック)、11B…第二ラック(ラック)、12…搬送車、18…棚部、25…レール、25A…走行面、25B…側面、30…可動レール、30A…可動走行面、30B…可動側面、40…可動機構、41…ベースフレーム、43…エアシリンダ、45…第一リンク部材、47…バネ部材、49…第二リンク部材、51…支持部材、81…検知部、83…防火シャッタ(シャッタ)、P1…進出位置、P2…退避位置、P3…退避位置、S…進出空間、W…荷物(物品)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8