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特開2024-137082電子制御装置及びソフトウェア更新方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137082
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電子制御装置及びソフトウェア更新方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/654 20180101AFI20240927BHJP
【FI】
G06F8/654
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048454
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】奥野 正太
(72)【発明者】
【氏名】杉本 龍
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA64
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】ソフトウェアを更新する機会の減少を抑制しつつ、ソフトウェアの更新中に電源電圧が電子制御装置の更新可能電圧未満になることを抑制すること。
【解決手段】ECU50は、実行装置51と、実行装置51によって実行されるソフトウェアを記憶している第1記憶装置52とを備えている。実行装置51は、電源電圧が、ECU50の更新可能電圧よりも高い作動許可電圧以上である場合に、ソフトウェアを更新する更新処理を開始する。実行装置51は、ソフトウェアを更新している状態で電動装置21,22を作動させることが要求された場合に、電源電圧が低下することを抑制する電圧低下抑制処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、前記電源からの給電によって作動する複数の電動装置と、を備えた車両に搭載される電子制御装置であって、
実行装置と、前記実行装置によって実行されるソフトウェアを記憶している記憶装置と、を備え、
前記実行装置は、
前記電源の電圧である電源電圧が、当該電子制御装置の更新可能電圧よりも高い作動許可電圧以上である場合に、前記記憶装置のソフトウェアを更新する更新処理を開始し、
前記記憶装置のソフトウェアを更新している状態で前記複数の電動装置のうちの少なくとも1つの前記電動装置を作動させることが要求された場合に、前記電源電圧が低下することを抑制する電圧低下抑制処理を実行する
電子制御装置。
【請求項2】
前記実行装置は、前記記憶装置のソフトウェアを更新している状態で前記複数の電動装置を作動させることが要求された場合に、前記電圧低下抑制処理において、当該複数の電動装置のうちの第1電動装置の起動を許可し、当該第1電動装置が起動した後に第2電動装置の起動を許可する
請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記複数の電動装置には優先順位が設定されており、
前記実行装置は、前記記憶装置のソフトウェアを更新している状態で複数の前記電動装置を作動させることが要求された場合に、前記電圧低下抑制処理において、当該複数の電動装置の中で最も優先順位が高い電動装置の起動を許可し、当該電動装置が起動した後に次に優先順位が高い電動装置の起動を許可する
請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記複数の電動装置は、複数の快適装置を含んでおり、
前記実行装置は、前記記憶装置のソフトウェアを更新している状態で複数の前記快適装置を作動させることが要求された場合に、前記電圧低下抑制処理において、当該複数の快適装置の少なくとも1つの装置の起動を禁止する
請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記複数の快適装置には優先順位が設定されており、
前記実行装置は、前記記憶装置のソフトウェアを更新している状態で複数の前記快適装置を作動させることが要求された場合に、前記電圧低下抑制処理において、当該複数の快適装置の中で最も優先順位の低い快適装置の起動を禁止する
請求項4に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記複数の電動装置は、複数の快適装置を含んでおり、
前記複数の快適装置には優先順位が設定されており、
前記実行装置は、前記記憶装置のソフトウェアを更新している状態で複数の前記快適装置を作動させることが要求された場合に、前記電圧低下抑制処理において、当該複数の快適装置の中で最も優先順位が高い快適装置のみの起動を許可する
請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の電子制御装置。
【請求項7】
車両に設けられている記憶装置のソフトウェアを更新するソフトウェア更新方法であって、
前記車両は、当該車両の電源からの給電によって作動する電動装置及び電子制御装置を備えており、
前記電源の電圧である電源電圧が、前記電子制御装置の更新可能電圧よりも高い作動許可電圧以上である場合に、前記記憶装置のソフトウェアの更新を更新処理部に開始させるステップと、
前記記憶装置のソフトウェアを前記更新処理部が更新している状態で前記電動装置を作動させることが要求された場合に、前記電源電圧が低下することを電圧低下抑制部に抑制させるステップと、を有する
ソフトウェア更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電子制御装置と、車両に設けられている記憶装置のソフトウェアを更新するソフトウェア更新方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、携帯電話などの携帯情報機器のメモリに記憶されているソフトウェアの更新方法を開示している。当該更新方法では、携帯情報端末の電源の電圧が電圧閾値以上である場合には、メモリのソフトウェアの更新が許可される。その一方で、電源の電圧が電圧閾値未満である場合には、メモリのソフトウェアの更新が禁止される。なお、電圧閾値として、携帯情報端末の終端電圧よりも高い電圧が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-286502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の更新方法を、車両に設けられている記憶装置のソフトウェアの更新に適用した場合を考える。車両は、当該車両の電源からの給電によって作動する複数の電動装置を備えている。当該車両では、電源の電圧が電圧閾値以上であることを条件に記憶装置のソフトウェアの更新が開始される。車両の走行中にソフトウェアが更新されていると、その最中に電動装置が起動することがある。電動装置が起動すると、電源の電圧が低下する。こうした電動装置の起動によって電源の電圧が終端電圧を下回ると、ソフトウェアの更新が失敗するおそれがある。
【0005】
ソフトウェアの更新中に電源の電圧が終端電圧未満にならないようにする手法としては、終端電圧よりも十分に高い電圧を電圧閾値として設定する方法が考えられる。しかし、この場合には、電源の電圧が電圧閾値以上になりにくくなるため、ソフトウェアを更新する機会が少なくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための電子制御装置は、電源と、前記電源からの給電によって作動する複数の電動装置と、を備えた車両に搭載される装置である。電子制御装置は、実行装置と、前記実行装置によって実行されるソフトウェアを記憶している記憶装置と、を備えている。前記実行装置は、前記電源の電圧である電源電圧が、当該電子制御装置の更新可能電圧よりも高い作動許可電圧以上である場合に、前記記憶装置のソフトウェアを更新する更新処理を開始し、前記記憶装置のソフトウェアを更新している状態で前記複数の電動装置のうちの少なくとも1つの前記電動装置を作動させることが要求された場合に、前記電源電圧が低下することを抑制する電圧低下抑制処理を実行する。
【0007】
上記課題を解決するためのソフトウェア更新方法は、車両に設けられている記憶装置のソフトウェアを更新する方法である。前記車両は、当該車両の電源からの給電によって作動する電動装置及び電子制御装置を備えている。当該ソフトウェア更新方法は、前記電源の電圧である電源電圧が、前記電子制御装置の更新可能電圧よりも高い作動許可電圧以上である場合に、前記記憶装置のソフトウェアの更新を更新処理部に開始させるステップと、前記記憶装置のソフトウェアを前記更新処理部が更新している状態で前記電動装置を作動させることが要求された場合に、前記電源電圧が低下することを電圧低下抑制部に抑制させるステップと、を有している。
【発明の効果】
【0008】
ソフトウェアを更新する機会の減少を抑制しつつ、ソフトウェアの更新中に電源電圧が電子制御装置の更新可能電圧未満になることを抑制すること。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の電子制御装置を備える車両と、車外に設置されたデータセンタとの概略を示す構成図である。
図2図2は、図1に示す電子制御装置のソフトウェアを更新する際の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、電動装置を起動させる際の優先順位を示すテーブルである。
図4図4は、ソフトウェアを更新する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、電源電圧の低下を抑制するための処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態の電子制御装置において、電源電圧の低下を抑制するための処理の流れの一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、電子制御装置及びソフトウェア更新方法の第1実施形態を図1から図5に従って説明する。本明細書では、電子制御装置を「ECU」と記載する。「ECU」は「Electronic Control Unit」の略記である。
【0011】
図1は、車両10と、車両10の外部に設けられているデータセンタ100とを図示している。
<データセンタ>
データセンタ100は、車外ネットワーク200を介して車両10と各種の情報の送受信ができるように構成されている。すなわち、データセンタ100は、無線通信によって車両10と各種情報の送受信を行う。
【0012】
詳しくは後述するが、車両10は複数のECUを備えている。複数のECUのうちの何れかのECUの記憶装置のソフトウェアを更新するための更新用ソフトウェアが用意できた場合、データセンタ100は、車外ネットワーク200を介して当該更新用ソフトウェアを車両10に送信する。なお、車載の複数のECUのうち、ソフトウェアを更新するECUを「更新対象ECU」という。
【0013】
<車両>
車両10は、電源11と複数の電動装置とを備えている。複数の電動装置は、電源11からの給電によってそれぞれ作動する。例えば、電源11は、充電された電気を電力として供給するバッテリである。
【0014】
複数の電動装置は、複数の快適装置21と、複数の走行用電動装置22とを含んでいる。快適装置21とは、車両10の乗員の快適性を向上させることを目的として車両10に搭載されている電動装置である。例えば、複数の快適装置は、エアコンディショナー、パワーウィンドウ装置、シート調整装置、シートヒータ及びオーディオを含んでいる。
【0015】
走行用電動装置は、車両10を走行させるために必要な電動装置である。例えば、複数の走行用電動装置は、ブレーキ装置、車両10の駆動装置(エンジンや走行用モータなど)、電動駐車装置、電動パワーステアリング装置及びライトを含んでいる。
【0016】
車両10は、通信装置30と情報処理装置40と複数のECU50と電源電圧検出部60とを備えている。通信装置30、情報処理装置40及び複数のECU50は、電源11からの給電によってそれぞれ動作する。
【0017】
通信装置30は、データセンタ100との情報を送受信するための車両側のインターフェースである。
情報処理装置40は、ローカルネットワーク31を介して通信装置30と通信できるように構成されている。ローカルネットワーク31は、情報処理装置40と通信装置30との間のみで情報の送受信を行うためのネットワークである。
【0018】
情報処理装置40は、実行装置41と記憶装置42と格納装置43とを備えている。例えば、実行装置41はCPUであり、記憶装置42は不揮発性のメモリであり、格納装置43は揮発性のメモリである。記憶装置42は、実行装置41によって実行されるソフトウェアを記憶している。格納装置43は、通信装置30からローカルネットワーク31を介して送信された情報を一時的に格納する。すなわち、データセンタ100が、更新対象ECUを特定する情報及び更新用ソフトウェアを車両10に送信すると、通信装置30が、データセンタ100が送信した情報を受信する。そして、通信装置30は、受信した情報を、ローカルネットワーク31を介して情報処理装置40に送信する。すると、情報処理装置40の実行装置41は、ローカルネットワーク31を介して受信した情報、すなわち更新対象ECUを特定する情報及び更新用ソフトウェアを格納装置43に記憶させる。
【0019】
電源電圧検出部60は、電源11が発生している電圧、すなわち電源11の電圧を検出する。そして、電源電圧検出部60は、検出した電圧を電源電圧VBTとしてグローバルネットワーク33に出力する。これにより、グローバルネットワーク33に電気的に接続されている複数のECU50は、電源電圧VBTをそれぞれ取得できる。電源電圧検出部60は、例えば、電源11の充電状態を管理する電源管理装置に設けられる。
【0020】
<ECU>
複数のECU50は、グローバルネットワーク33を介して情報処理装置40と通信可能にそれぞれ構成されている。グローバルネットワーク33は、情報処理装置40と複数のECU50との間で情報の送受信を行わせる車内ネットワークである。例えば、グローバルネットワーク33はCANバスである。CANは「Controller Area Network」の略記である。
【0021】
複数のECU50は、実行装置51と第1記憶装置52と第2記憶装置53とをそれぞれ備えている。例えば、実行装置51はCPUであり、第1記憶装置52及び第2記憶装置53は不揮発性のメモリである。第1記憶装置52は、実行装置51によって実行される複数種類のソフトウェアを記憶している。第2記憶装置53は、実行装置51がソフトウェアを実行する際に実行装置51が参照するテーブル及びマップなどを記憶している。
【0022】
<実行装置の機能構成>
図2に示すように、ECU50の実行装置51は、自身が更新対象ECUである旨を情報処理装置40から受信した場合に、第1記憶装置52のソフトウェアAPを更新する更新処理部M11として機能する。図2では、更新対象となるソフトウェアAPが書き込まれている記憶部を「記憶部M15」としている。本実施形態では、第1記憶装置52の一部分が記憶部M15に相当する。更新処理部M11は、更新用ソフトウェアを情報処理装置40から受信する。そして更新処理部M11は、受信した更新用ソフトウェアを記憶部M15に書き込むことによって、ソフトウェアAPを更新する。
【0023】
実行装置51は、ソフトウェアAPを更新している場合に、電源11の電圧である電源電圧VBTの低下を抑制する電圧低下抑制部M13として機能する。電圧低下抑制部M13は、優先順位テーブルTLを参照して電源電圧VBTの低下を抑制する。
【0024】
なお、実行装置51が更新処理部M11として機能することによって、実行装置51が実行する一連の処理が「更新処理」に対応する。実行装置51が電圧低下抑制部M13として機能することによって、実行装置51が実行する一連の処理が「電圧低下抑制処理」に対応する。
【0025】
図3を参照し、優先順位テーブルTLについて説明する。優先順位テーブルTLは、第2記憶装置53に記憶されている。図3では、電源11からの給電によって作動する電動装置の数を10個としているが、これは一例であり、実際の電動装置の数は10個であるとは限らない。また、図3に示す例では、複数の電動装置のうち、電動装置22A、電動装置22B、電動装置22C、電動装置22D及び電動装置22Eは走行用電動装置である。また、電動装置21A、電動装置21B、電動装置21C、電動装置21D及び電動装置21Eは快適装置である。
【0026】
優先順位テーブルTLには、起動させる際の優先順位が電動装置22A~22E,21A~21E毎に設定されている。具体的には、走行用電動装置に該当する複数の電動装置22A~22Eの優先順位は、快適装置に該当する複数の電動装置21A~21Eの優先順位よりも高い。また、走行用電動装置に該当する複数の電動装置22A~22Eの中でも優先順位が設定されている。同様に、快適装置に該当する複数の電動装置21A~21Eでも優先順位が設定されている。
【0027】
<更新処理>
図4を参照し、更新処理について説明する。実行装置51は、所定の制御サイクル毎に更新処理を繰り返し実行する。更新処理を構成する複数のステップS11からステップS21は、実行装置51が更新処理部M11として機能することによって実行される。
【0028】
ステップS11において、実行装置51は、自身の第1記憶装置52のソフトウェアAPの更新の用意ができているか否かを判定する。例えば、実行装置51は、更新用ソフトウェアが情報処理装置40の格納装置43に格納されていることが通知された場合、ソフトウェアの更新の用意ができていると判定する。実行装置51は、更新の用意ができていると判定した場合(S11:YES)、処理をステップS13に移行する。一方、実行装置51は、更新の用意ができていないと判定した場合(S11:NO)、更新処理を一旦終了する。
【0029】
ステップS13において、実行装置51は、電源電圧VBTがECU50の作動許可電圧VP以上であるか否かを判定する。作動許可電圧VPとして、ECU50の更新可能電圧VEよりも高い電圧が設定されている。更新可能電圧VEとは、実行装置51がソフトウェアの書き変え機能を実行可能な電圧の下限若しくは当該下限よりも僅かに高い電圧である。例えば実行装置51がCPUである場合、更新可能電圧VEは、CPUが動作不能となるリセット電圧や設計上の動作保証電圧に基づいて設定される。この場合、更新可能電圧VEは、実行装置51がソフトウェアの書き変え機能を実行可能な電圧であるリセット電圧や設計上の動作保証電圧よりも所定の偏差分高い電圧に設定されてもよい。ソフトウェアAPの更新が開始されると、ECU50での電力消費が増えるため、電源電圧VBTが低下する。このとき、ソフトウェアAPの更新前での電源電圧VBTがあまり高くないと、ソフトウェアAPの更新中に電源電圧VBTが更新可能電圧VEを下回るおそれがある。電源電圧VBTが更新可能電圧VEを下回ると、ECU50が正常に動作しなくなるおそれがある。ECU50が正常に動作しないと、ソフトウェアAPの更新が失敗するおそれがある。そこで、ソフトウェアAPの更新中に電源電圧VBTが更新可能電圧VE未満になる可能性があるか否かの判断基準として、作動許可電圧VPが設定されている。電源電圧VBTが作動許可電圧VP未満である場合は、ソフトウェアAPの更新中に電源電圧VBTが更新可能電圧VEを下回る可能性があると見なす。一方、電源電圧VBTが作動許可電圧VP以上である場合は、ソフトウェアAPの更新中に電源電圧VBTが更新可能電圧VEを下回る可能性が低いと見なす。そのため、実行装置51は、電源電圧VBTが作動許可電圧VP以上である場合(S13:YES)、処理をステップS15に移行する。一方、実行装置51は、電源電圧VBTが作動許可電圧VP未満である場合(S13:NO)、更新処理を一旦終了する。すなわち、実行装置51は、電源電圧VBTが作動許可電圧VP未満である場合にはソフトウェアAPを更新しない。
【0030】
ステップS15において、実行装置51は、ソフトウェアAPの更新を開始する。すなわち、実行装置51は、電源電圧VBTが作動許可電圧VP以上である場合に、ソフトウェアAPの更新を開始する。したがって、ステップS15が、ソフトウェアAPの更新を更新処理部M11に開始させるステップに対応する。
【0031】
実行装置51は、ソフトウェアAPを更新する場合、更新用ソフトウェアの送信を情報処理装置40に要求する。そして、実行装置51は、情報処理装置40から受信した更新用ソフトウェアを第1記憶装置52に書き込む。実行装置51は、ソフトウェアAPの更新を開始すると、処理をステップS17に移行する。
【0032】
ステップS17において、実行装置51は、ソフトウェアAPの更新が完了したか否かを判定する。実行装置51は、更新が完了したと判定した場合(S17:YES)、更新処理を一旦終了する。一方、実行装置51は、更新が完了していないと判定した場合(S17:NO)、処理をステップS19に移行する。
【0033】
ステップS19において、実行装置51は、電源電圧VBTが更新可能電圧VE以下であるか否かを判定する。実行装置51は、電源電圧VBTが更新可能電圧VE以下である場合(S19:YES)、処理をステップS21に移行する。実行装置51は、電源電圧VBTが更新可能電圧VEよりも高い場合(S19:NO)、処理をステップS17に移行する。この場合、実行装置51はソフトウェアAPの更新を継続する。
【0034】
ステップS21において、実行装置51は、ソフトウェアAPの更新を中止する。そして、実行装置51は更新処理を一旦終了する。
<電圧低下抑制処理>
図5を参照し、電圧低下抑制処理について説明する。実行装置51は、所定の制御サイクル毎に電圧低下抑制処理を繰り返し実行する。電圧低下抑制処理を構成するステップS31からステップS53は、実行装置51が電圧低下抑制部M13として機能することによって実行される。
【0035】
ステップS31において、実行装置51は、第1記憶装置52のソフトウェアAPを更新している最中であるか否かを判定する。実行装置51は、ソフトウェアAPを更新している最中である場合(S31:YES)、処理をステップS35に移行する。一方、実行装置51は、ソフトウェアAPを更新していない場合(S31:NO)、処理をステップS33に移行する。
【0036】
ステップS33において、実行装置51は快適装置21の作動禁止を解除する。これにより、ソフトウェアAPが更新されている最中であるために作動が禁止されていた快適装置21がある場合、当該快適装置21が起動する。そして、実行装置51は電圧低下抑制処理を一旦終了する。
【0037】
ステップS35において、実行装置51は、快適装置21の作動要求があるか否かを判定する。実行装置51は、快適装置21の作動要求があると判定した場合(S35:YES)、処理をステップS37に移行する。一方、実行装置51は、快適装置21の作動要求がないと判定した場合(S35:NO)、処理をステップS39に移行する。
【0038】
ステップS37において、実行装置51は快適装置21の作動を禁止する。具体的には、実行装置51は、快適装置21を制御する他のECU50に対して、快適装置21の作動を禁止する旨を通知する。これにより、快適装置21が起動されないため、電源電圧VBTの低下が抑制される。そのため、ステップS37が、電源電圧VBTが低下することを電圧低下抑制部M13に抑制させるステップに対応する。その後、実行装置51は処理をステップS39に移行する。
【0039】
なお、ここでは、実行装置51は、新たに快適装置21を作動させることを禁止する。すなわち、実行装置51は、ソフトウェアAPの更新が開始される前から作動している快適装置21の作動の継続を許可する。
【0040】
ステップS39において、実行装置51は、走行用電動装置22の作動要求があるか否かを判定する。実行装置51は、走行用電動装置22の作動要求があると判定した場合(S39:YES)、処理をステップS41に移行する。一方、実行装置51は、走行用電動装置22の作動要求がないと判定した場合(S39:NO)、電圧低下抑制処理を一旦終了する。
【0041】
ステップS41において、実行装置51は、作動要求のある走行用電動装置22の数が複数であるか否かを判定する。実行装置51は、作動要求のある走行用電動装置22の数が複数である場合(S41:YES)、処理をステップS45に移行する。一方、実行装置51は、作動要求のある走行用電動装置22の数が1つである場合(S41:NO)、処理をステップS43に移行する。
【0042】
ステップS43において、実行装置51は、作動要求のある走行用電動装置22の起動を許可する。具体的には、実行装置51は、当該走行用電動装置22を制御する他のECU50に対して起動を許可する旨を通知する。そして、実行装置51は電圧低下抑制処理を一旦終了する。
【0043】
ステップS45において、実行装置51は計数Mに1をセットする。続くステップS47において、実行装置51は、作動要求のあるN個の走行用電動装置22のうち、第M電動装置の起動を許可する。具体的には、実行装置51は、第M電動装置を制御する他のECU50に対して起動を許可する旨を通知する。ここで計数Mは、優先順位の高さを示している。具体的には、計数Mは、作動要求のあるN個の走行用電動装置22の中での優先順位を表している。そのため、計数Mが1である場合、実行装置51は、作動要求のあるN個の走行用電動装置22の中で最も優先順位が高い走行用電動装置22の起動を許可する。また、計数Mが2である場合、実行装置51は、当該N個の走行用電動装置22の中で2番目に優先順位が高い走行用電動装置22の起動を許可する。
【0044】
そしてステップS49において、実行装置51は、第M電動装置の起動が完了したか否かを判定する。電動装置を起動させる場合、電動装置には突入電流が流れるため、電源電圧VBTが一時的に大きく低下し、その後に上昇する。そこで、実行装置51は、例えば、こうした電源電圧VBTの変化を監視することによって第M電動装置の起動が完了したか否かを判定できる。また、実行装置51は、第M電動装置を制御する他のECU50から第M電動装置の起動が完了した旨の通知を受け取ることによって、第M電動装置の起動が完了したと判定するようにしてもよい。この際、第M電動装置を制御する他のECU50は、第M電動装置が起動してから所定時間が経過した際に起動が完了した旨を通知するようにしてもよい。実行装置51は、第M電動装置の起動が完了したと判定した場合(S49:YES)、処理をステップS51に移行する。一方、実行装置51は、第M電動装置の起動が完了していないと判定した場合(S49:NO)、起動が完了したと判定できるまでステップS49の判定を繰り返し実行する。
【0045】
ステップS51において、実行装置51は、計数Mを1だけインクリメントする。次のステップS53において、実行装置51は、計数Mが作動要求数Nよりも大きいか否かを判定する。計数Mが作動要求数Nよりも大きい場合は、作動要求のあるN個の走行用電動装置22の何れもが起動したと見なせる。一方、計数Mが作動要求数N以下である場合は、作動要求のあるN個の走行用電動装置22の中に、未だ起動していない走行用電動装置22があると見なす。そのため、実行装置51は、計数Mが作動要求数Nよりも大きい場合(S53:YES)、電圧低下抑制処理を一旦終了する。一方、実行装置51は、計数Mが作動要求数N以下である場合(S53:NO)、処理をステップS47に移行する。
【0046】
すなわち、実行装置51は、N個の走行用電動装置22を作動させることを要求された場合に、N個の走行用電動装置22の中で、最も優先順位が高い走行用電動装置22の起動を許可する。そして、実行装置51は、当該走行用電動装置22が起動した後に次に優先順位が高い走行用電動装置22の起動を許可する。最も優先順位が高い走行用電動装置22を「第1電動装置」とし、次に優先順位が高い走行用電動装置22を「第2電動装置」とする。このとき、実行装置51は、第1電動装置の起動を許可し、第1電動装置が起動した後に第2電動装置の起動を許可することにある。したがって、ステップS45からステップS53までの一連の処理が、電源電圧VBTが低下することを電圧低下抑制部M13に抑制させるステップに対応する。
【0047】
<本実施形態の作用及び効果>
(1-1)第1記憶装置52のソフトウェアAPの更新の準備ができると、実行装置51は、電源電圧VBTが作動許可電圧VP以上であることを条件にソフトウェアAPの更新を開始する。このようにソフトウェアAPを更新している場合、実行装置51は、電圧低下抑制処理を実行することによって電源電圧VBTの低下を抑制する。したがって、ソフトウェアAPの更新中に電源電圧VBTが更新可能電圧VEを下回りにくくなる。
【0048】
ここで、更新可能電圧VEよりも十分に高い電圧を作動許可電圧VPとして設定すれば、電圧低下抑制処理を実行しなくてもソフトウェアAPの更新中に電源電圧VBTが更新可能電圧VEを下回ることはない。しかし、作動許可電圧VPを高くすると、電源電圧VBTが作動許可電圧VP以上になりにくくなり、ソフトウェアAPを更新する機会が少なくなってしまう。
【0049】
この点、ECU50では、ソフトウェアAPの更新中に電圧低下抑制処理が実行される。そのため、ECU50では、作動許可電圧VPをそれほど高くしなくてもよい。したがって、ECU50は、ソフトウェアAPを更新する機会の減少を抑制しつつ、ソフトウェアAPの更新中に電源電圧VBTが更新可能電圧VE未満になることを抑制できる。
【0050】
(1-2)電動装置の起動時には、当該電動装置に突入電流が流れるため、電源電圧VBTが一時的に低下する。そのため、ソフトウェアAPの更新中に複数の電動装置が同時に起動すると、電源電圧VBTが大幅に低下することで電源電圧VBTが更新可能電圧VEを下回るおそれがある。そこで、ECU50の実行装置51は、ソフトウェアAPを更新している最中で複数の走行用電動装置22の起動が要求された場合、複数の走行用電動装置22を順番に1つずつ起動させる。具体的には、実行装置51は、優先順位が高い走行用電動装置22を優先的に起動させるようにしている。これにより、ECU50は、ソフトウェアAPの更新中に電源電圧VBTが更新可能電圧VE未満になることを抑制できる。
【0051】
また、車両10では、ソフトウェアAPの更新中でも走行用電動装置22を作動させることができるため、車両10が走行中でも、ECU50はソフトウェアAPを更新できる。こうした点においても、ECU50はソフトウェアAPの更新機会を増やすことができる。
【0052】
(1-3)車両10の走行中においては、走行用電動装置22と比較して、快適装置21を作動させることの必然性は低い。そこで、ECU50は、ソフトウェアAPを更新している最中で快適装置21の起動が要求された場合、当該快適装置21の起動を禁止することによって電源電圧VBTの低下を抑制する。これにより、ECU50は、快適装置21が起動したためにソフトウェアAPの更新が失敗することを抑制できる。
【0053】
(第2実施形態)
ECU及びソフトウェア更新方法の第2実施形態を図6に従って説明する。なお、第2実施形態では、電圧低下抑制処理の内容の一部が第1実施形態と異なっている。以下の説明においては、第1実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1実施形態と同一の部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0054】
<電圧低下抑制処理>
図6には、本実施形態のECU50で実行される電圧低下抑制処理の一部が図示されている。
【0055】
実行装置51は、第1記憶装置52のソフトウェアAPを更新している最中であり(S31:YES)、且つ快適装置21の作動要求があると判定した場合(S35:YES)、処理をステップS361に移行する。
【0056】
ステップS361において、実行装置51は、作動要求のある快適装置21の数が複数であるか否かを判定する。実行装置51は、作動要求のある快適装置21の数が複数である場合(S361:YES)、処理をステップS363に移行する。一方、実行装置51は、作動要求のある快適装置21の数が1つである場合(S361:NO)、処理をステップS367に移行する。
【0057】
ステップS363において、実行装置51は、作動要求のある複数の快適装置21の中で、優先順位が最も高い快適装置21のみの起動を許可する。具体的には、実行装置51は、優先順位が最も高い快適装置21を制御する他のECU50に対して、快適装置21の作動を許可する旨を通知する。一方、実行装置51は、優先順位が最も高い快適装置21以外の快適装置21を制御する他のECU50に対しては快適装置21の作動を禁止する旨を通知する。そして、実行装置51は処理をステップS365に移行する。
【0058】
ステップS365において、実行装置51は、快適装置21の起動が完了したか否かを判定する。例えば、実行装置51は、快適装置21の起動に起因した電源電圧VBTの変化を監視することによって快適装置21の起動が完了したか否かを判定する。また例えば、実行装置51は、他のECU50から快適装置21の起動が完了した旨の通知を受け取ることによって、快適装置21の起動が完了したと判定するようにしてもよい。実行装置51は、快適装置21の起動が完了したと判定した場合(S365:YES)、処理をステップS39に移行する。一方、実行装置51は、快適装置21の起動が完了していないと判定した場合(S365:NO)、起動が完了したと判定できるまでステップS365の判定を繰り返し実行する。
【0059】
ステップS367において、実行装置51は、作動要求のある快適装置21の起動を許可する。具体的には、実行装置51は、当該快適装置21を制御する他のECU50に対して、快適装置21の作動を許可する旨を通知する。そして、実行装置51は処理をステップS365に移行する。
【0060】
本実施形態では、実行装置51は、ソフトウェアAPを更新している状態で複数の快適装置21を作動させることが要求された場合に、当該複数の快適装置21の中で最も優先順位が高い快適装置21のみを起動させる。言い換えると、実行装置51は、ソフトウェアAPを更新している状態で複数の快適装置21を作動させることが要求された場合に、当該複数の快適装置21の中で最も優先順位が低い快適装置の起動を禁止している。
【0061】
<本実施形態の作用及び効果>
本実施形態では、上記第1実施形態の効果(1-1)及び(1-2)と同等の作用及び効果に加え、以下に示す効果をさらに得ることができる。
【0062】
(2-1)本実施形態のECU50の実行装置51は、ソフトウェアAPを更新している状態で複数の快適装置21を起動させることが要求された場合に、複数の快適装置21の中の1つの快適装置のみを起動させる。具体的には、実行装置51は、複数の快適装置21の中で、優先順位が最も高い快適装置21のみを起動させる。ECU50は、このように快適装置21を作動させる数に制限を設けることにより、ソフトウェアAPの更新中における電源電圧VBTの低下を抑制できる。
【0063】
(2-2)本実施形態では、ソフトウェアAPの更新中でも快適装置21を作動させることができる。これにより、ECU50は、車両10の乗員の快適性の低下を抑制しつつ、ソフトウェアAPを更新できる。
【0064】
(変更例)
上記複数の実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記複数の実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0065】
・第2実施形態では、実行装置51は、快適装置21及び走行用電動装置22を起動させることが要求された場合に、電圧低下抑制処理において、快適装置21を起動させた後に、走行用電動装置22を起動させることになる。しかし、実行装置51は、走行用電動装置22を起動させた後に、快適装置21を起動させるようにしてもよい。
【0066】
・第2実施形態において、実行装置51は、複数の快適装置21を作動させることが要求された場合に、電圧低下抑制処理において、当該複数の快適装置21の中で最も優先順位が低い快適装置のみの起動を禁止するようにしてもよい。この場合、実行装置51は、例えば3つ以上の快適装置21を作動させることが要求された際には、最も優先順位が高い快適装置21及び2番目に優先順位が高い快適装置21の起動を許可する。なお、複数の快適装置21を起動させる場合でも、実行装置51は、複数の快適装置21の起動を1つずつ順番に許可する。
【0067】
・第2実施形態において、実行装置51は、複数の快適装置21を作動させることが要求された場合に、電圧低下抑制処理において、当該複数の快適装置21の一部のみを起動させるのであれば、最も優先順位が高い快適装置21とは別の快適装置21を起動させてもよい。
【0068】
・第1実施形態では、実行装置51は、快適装置21を作動させることが要求された場合、走行用電動装置22を作動させることが要求されているか否かに拘わらず、快適装置21の起動を禁止しているが、これに限らない。例えば、実行装置51は、快適装置21を作動させることが要求された場合、走行用電動装置22を作動させることが要求されていないのであれば、快適装置21の起動を許可してもよい。ただし、複数の快適装置21を作動させることが要求された場合、実行装置51は、複数の快適装置21の起動を1つずつ許可する。
【0069】
・実行装置51は、走行用電動装置22と快適装置21とを区別しなくてもよい。この場合、実行装置51は、走行用電動装置22と快適装置21とを含む複数の電動装置を作動させることが要求された場合に、電圧低下抑制処理において、複数の電動装置の起動を1つずつ順番に許可する。図3に示したように、快適装置の優先順位は、走行用電動装置の優先順位よりも低い。そのため、作動が要求された全ての走行用電動装置22の起動が完了した後に、快適装置21が起動する。
【0070】
・ECU50は、複数のプロセッサコアを有するマルチコアプロセッサであってもよい。この場合、ソフトウェアAPを更新する際には、複数のプロセッサコアのうち、第1プロセッサコアを、更新処理を実行する第1実行装置として機能させ、第2プロセッサコアを、電圧低下処理を実行する第2実行装置として機能させるとよい。すなわち、第1実行装置が更新処理部M11として機能し、第2実行装置が電圧低下抑制部M13として機能する。
【0071】
・上記複数の実施形態では、更新対象ECUの実行装置51が、更新処理部M11及び電圧低下抑制部M13としても機能するが、これに限らない。例えば、更新対象ECUの実行装置51が更新処理部M11としても機能する一方で、更新対象ECU以外の装置の実行装置が、電圧低下抑制部M13として機能するようにしてもよい。例えば、情報処理装置40の実行装置41が、電圧低下抑制部M13として機能してもよい。この場合、情報処理装置40の記憶装置42には、図3に示したような優先順位テーブルTLを記憶させておくことになる。
【0072】
・上記複数の実施形態では、電源電圧検出部60はECU50とは別に設けられているが、これに限らない。電源電圧検出部60は、ECU50に設けられてもよい。例えば、電源電圧検出部60は、電源11からECU50の電力を供給するために接続される電源ラインの電圧を電源電圧VBTとして検出するようにECU50に構成され、電源電圧検出部60で検出した電源電圧VBTが信号線を使って実行装置51に伝達されてもよい。また、電源電圧検出部60は、実行装置51に電源電圧検出部60を設けて、実行装置51が直接電源ラインの電圧を電源電圧VBTとして検出できるようにしてもよい。
【0073】
・ECU50は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。すなわち、ECU50は、以下(a)、(b)及び(c)の何れかの構成であればよい。
【0074】
(a)ECU50は、コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備えている。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含んでいる。
【0075】
(b)ECU50は、各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備えている。専用のハードウェア回路としては、例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASIC又はFPGAを挙げることができる。なお、ASICは、「Application Specific Integrated Circuit」の略記である。FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略記である。
【0076】
(c)ECU50は、各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうちの残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備えている。
【0077】
<他の技術的思想>
上記複数の実施形態及び複数の変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(付記1)電源と、前記電源からの給電によって作動する複数の電動装置と、記憶装置と、を備えた車両に搭載され、前記記憶装置に記憶されているソフトウェアを更新する制御装置であって、
前記電源の電圧である電源電圧が、前記制御装置の更新可能電圧よりも高い作動許可電圧以上である場合に、前記記憶部のソフトウェアの更新を開始する更新処理部と、
前記記憶部のソフトウェアが更新されている状態で前記複数の電動装置のうちの少なくとも1つの前記電動装置を作動させることが要求された場合に、前記電源電圧が低下することを抑制する電圧低下抑制処理を実行する電圧低下抑制部と、を備える、制御装置。
【0078】
(付記2)制御装置は、少なくとも1つのECUを備えた構成であることが好ましい。
なお、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」又は「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」又は「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0079】
10…車両
11…電源
21,21A~21E…快適装置(電動装置の一例)
22,22A~22E…走行用電動装置(電動装置の一例)
50…ECU(電子制御装置)
51…実行装置
52…第1記憶装置
53…第2記憶装置
M11…更新処理部
M13…電圧低下抑制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6