(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137090
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01R15/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048463
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】多田 佳史
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 勝也
(72)【発明者】
【氏名】大島 敦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 仁
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA04
2G025AB02
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】電流センサの検出精度の低下を抑制できる電動圧縮機を提供すること。
【解決手段】電動圧縮機10は、支持体61を備える。支持体61は、第1バスバー51と一体成形されるとともに、基板42を支持凸部64を介して支持する樹脂製である。電流センサ50は、支持凸部64によって形成された基板42と支持体61との間の領域Rに配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータに電気的に接続されたバスバーと、
前記バスバーに流れる電流を検出するホール素子式の電流センサと、
前記電流センサの実装された基板と、
前記バスバーと一体成形され、前記基板を支持凸部を介して支持する樹脂製の支持体と、
前記圧縮部及び前記電動モータを収容し、前記支持体を固定するハウジングと、を備え、
前記電流センサは、前記支持凸部によって形成された前記基板と前記支持体との間の領域に配置されている電動圧縮機。
【請求項2】
前記支持体は、当該支持体の板厚方向に互いに反対となる第1面と第2面とを備え、
前記バスバーは、前記支持体の板厚方向における前記第2面よりも前記第1面に近付けて設けられ、前記支持凸部は、前記支持体の前記第2面から延出しており、前記支持凸部に支持された前記基板は、前記第2面と対向している請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記バスバーは、前記支持体と一体成形された第1バスバーと、前記第1バスバーと前記電動モータとの間に設けられ、前記第1バスバーと前記電動モータとを電気的に接続する第2バスバーと、を備え、
前記第1バスバーと前記第2バスバーとは、前記第1バスバーにおいて電流の流れる方向と、前記第2バスバーにおいて電流の流れる方向とが相反するように電気的に接続されている請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記電流センサは、前記支持体の前記第2面から離れている請求項2又は請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記支持体には、前記電動モータに給電するインバータ回路が実装されているとともに前記インバータ回路は、前記バスバーと電気的に接続される接続端子を備え、
前記バスバーと前記接続端子は、前記基板に設けられた導体パターンによって電気的に接続され、
前記バスバーと前記導体パターンは半田によって接合されるとともに、前記接続端子と前記導体パターンは半田によって接合され、
前記基板は、前記支持凸部に載置されている請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、電動モータに流れる電流を検出する電流センサを備える。電流センサとして、ホール素子式の電流センサが用いられる場合がある。ホール素子式の電流センサは、電流経路の周りに発生する磁界をホール素子のホール効果によって電圧に変換することで、電流を検出可能とする。ホール素子式の電流センサは、検出精度を高めることが常に求められている。ホール素子式の電流センサの検出精度を高めるために、例えば、特許文献1に開示されるように、電流センサの近傍に、集磁のための磁性体が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ホール素子式の電流センサにおいては、電流センサと電流経路との距離が所望する範囲から外れると、電流センサの検出精度が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータに電気的に接続されたバスバーと、前記バスバーに流れる電流を検出するホール素子式の電流センサと、前記電流センサの実装された基板と、前記バスバーと一体成形され、前記基板を支持凸部を介して支持する樹脂製の支持体と、前記圧縮部及び前記電動モータを収容し、前記支持体を固定するハウジングと、を備え、前記電流センサは、前記支持凸部によって形成された前記基板と前記支持体との間の領域に配置されていることを要旨とする。
【0006】
これによれば、バスバーは支持体に一体成形されているため、ハウジングに支持体が固定されると、ハウジングに対するバスバーの位置が一定に決まる。基板は、支持凸部を介して支持体に支持されるため、バスバーと基板との距離は一定に決まる。そして、基板に実装された電流センサは、支持凸部によって形成された基板と支持体との間の領域に配置されている。このため、例えば、電流センサが、基板における領域側と反対側に実装されている場合と比べると、電流センサとバスバーとの距離を近付けることができる。これらにより、電流センサとバスバーとの距離が一定に精度良く決まる。したがって、電流センサとバスバーとの距離が所望する範囲から外れることを抑制できる。その結果、電流センサは、所望する範囲の距離にあるバスバーに流れる電流を検出できるため、距離のずれに伴う電流センサの検出精度の低下を抑制できる。
【0007】
電動圧縮機について、前記支持体は、当該支持体の板厚方向に互いに反対となる第1面と第2面とを備え、前記バスバーは、前記支持体の板厚方向における前記第2面よりも前記第1面に近付けて設けられ、前記支持凸部は、前記支持体の前記第2面から延出しており、前記支持凸部に支持された前記基板は、前記第2面と対向していてもよい。
【0008】
これによれば、基板とバスバーとは、支持体によって絶縁できる。
電動圧縮機について、前記バスバーは、前記支持体と一体成形された第1バスバーと、前記第1バスバーと前記電動モータとの間に設けられ、前記第1バスバーと前記電動モータとを電気的に接続する第2バスバーと、を備え、前記第1バスバーと前記第2バスバーとは、前記第1バスバーにおいて電流の流れる方向と、前記第2バスバーにおいて電流の流れる方向とが相反するように電気的に接続されていてもよい。
【0009】
これによれば、第1バスバーにおいて電流の流れる方向と、第2バスバーにおいて電流の流れる方向とが相反する。第1バスバーの周囲に形成される磁界と第2バスバーの周囲に形成される磁界とが互いに打ち消し合う。このため、電流センサには、第1バスバー及び第2バスバーの周囲に発生する磁界の影響が及び難くなる。
【0010】
電動圧縮機について、前記電流センサは、前記支持体の前記第2面から離れていてもよい。
これによれば、電動圧縮機の振動に伴って支持体が振動したとき、電流センサと支持体が接触することを抑制できる。
【0011】
電動圧縮機について、前記支持体には、前記電動モータに給電するインバータ回路が実装されているとともに前記インバータ回路は、前記バスバーと電気的に接続される接続端子を備え、前記バスバーと前記接続端子は、前記基板に設けられた導体パターンによって電気的に接続され、前記バスバーと前記導体パターンは半田によって接合されるとともに、前記接続端子と前記導体パターンは半田によって接合され、前記基板は、前記支持凸部に載置されていてもよい。
【0012】
これによれば、半田によるバスバーと導体パターンとの接合により、支持体と基板とは一体化されるとともに、半田による接続端子と導体パターンとの接合により、支持体と基板とが一体化される。つまり、基板と支持体とが一体化される。そして、基板は、支持凸部に載置されているだけであって、基板は支持体にネジ締結されていない。例えば、基板を貫通したネジを支持体に螺合して基板と支持体とを一体化する場合のように、ネジ締結に伴って基板が撓むことを抑制できる。このため、基板と支持体を一体化するのに伴って半田に発生する応力を低減できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、電流センサの検出精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態の電動圧縮機を示す断面図である。
【
図2】
図2は、インバータ装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、インバータ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。
<電動圧縮機>
図1に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング11と、圧縮部20と、電動モータ30と、インバータ装置40と、を備える。
図3に示すように、インバータ装置40は、インバータ回路41と、基板42と、電流センサ50と、3枚の第1バスバー51と、3枚の第2バスバー52と、基板支持部材60と、を備える。
【0016】
図1に示すように、電動圧縮機10は、気密端子22を備えていてもよい。電動圧縮機10は、自動車の車載用空調装置101に用いられる。車載用空調装置101は、電動圧縮機10と、外部冷媒回路102と、を備える。
【0017】
外部冷媒回路102は、電動圧縮機10に流体としての冷媒を供給する。外部冷媒回路102は、例えば、熱交換器、及び膨張弁等を備える。車載用空調装置101は、車内の冷暖房を行う。車内の冷暖房は、電動圧縮機10によって冷媒が圧縮され、かつ、外部冷媒回路102によって冷媒の熱交換、及び膨張が行われることによって行われる。
【0018】
<ハウジング>
ハウジング11は、モータハウジング12と、吐出ハウジング13と、カバー14と、を備える。モータハウジング12、吐出ハウジング13、及びカバー14は、アルミニウム等の金属によって形成されている。
【0019】
モータハウジング12は、平板状の底壁12aと、第1周壁12bと、第2周壁12cと、吸入口12dと、複数のボス12eと、を備える。
第1周壁12bは、吐出ハウジング13に向けて底壁12aの壁厚方向へ筒状に延びている。第2周壁12cは、底壁12aから第1周壁12bの延びる方向と反対方向へ筒状に延びている。吐出ハウジング13は、第1周壁12bと底壁12aによって囲まれた空間を閉塞する。第1周壁12bと、底壁12aと、吐出ハウジング13とによって画定された空間は、モータ室S1である。モータ室S1には、圧縮部20及び電動モータ30が収容されている。吐出ハウジング13には、吐出口13aが形成されている。吐出口13aは、外部冷媒回路102に接続されている。
【0020】
カバー14は、底壁12aと第2周壁12cによって囲まれた空間を閉塞する。第2周壁12cと、底壁12aと、カバー14とによって画定された空間は、インバータ室S2である。インバータ室S2には、インバータ装置40が収容されている。ハウジング11の内部には、モータ室S1とインバータ室S2が画定されている。モータ室S1とインバータ室S2は、底壁12aによって隔てられている。吸入口12dは、第1周壁12bに設けられている。吸入口12dは、外部冷媒回路102に接続されている。
【0021】
ボス12eは、底壁12aの壁厚方向へ筒状に突出している。ボス12eは、底壁12aからカバー14に向けて、第2周壁12cの延びる方向へ突出している。ボス12eには、図示しない雌ねじが設けられている。
【0022】
<圧縮部及び電動モータ>
電動モータ30は、電力が供給されることにより、回転軸21を回転させる。電動モータ30は、回転軸21を回転させることによって圧縮部20を駆動させる。圧縮部20が駆動すると、外部冷媒回路102が供給する冷媒は、吸入口12dからモータ室S1に吸い込まれる。モータ室S1に吸い込まれた冷媒は、圧縮部20に吸い込まれるとともに、圧縮部20によって圧縮される。圧縮部20によって圧縮された冷媒は、吐出口13aから外部冷媒回路102に吐き出される。
【0023】
<気密端子>
気密端子22は、底壁12aに挿入されている。気密端子22は、モータ室S1とインバータ室S2との気密を保つ端子である。気密端子22は、電動モータ30に接続される3つの導電部材23を備える。各導電部材23の一部は、インバータ室S2の内部に突出している。
【0024】
<インバータ装置>
図2及び
図4に示すように、基板42は、当該基板42の板厚方向に互いに反対となる第1実装面42aと第2実装面42bとを備える。基板42の第1実装面42aには図示しない導体パターンが形成されるとともに、第2実装面42bには導体パターン43が形成されている。
【0025】
基板42には、3つのバスバー挿入孔44と、3つの端子挿入孔45と、が形成されている。3つのバスバー挿入孔44の各々は、基板42を板厚方向に貫通する。3つの端子挿入孔45の各々は、基板42を板厚方向に貫通する。
【0026】
基板42の第1実装面42aには電流センサ50が実装されている。電流センサ50は、第1実装面42aに設けられた図示しない導体パターン上に設けられている。電流センサ50は、後述する第1バスバー51を流れる電流を検出する。電流センサ50は、ホール素子式の電流センサである。ホール素子は、第1バスバー51の周りに発生する磁界をホール効果によって電圧に変換する素子である。電流センサ50は、ホール素子によって変換された電圧に基づいて電流値を検出する。電流センサ50は、遮蔽部材を備えない、所謂ガードレスの電流センサである。
【0027】
図3及び
図5に示すように、3枚の第1バスバー51の各々は、細長の導電板をL形状に屈曲して形成されている。3枚の第1バスバー51の各々は、例えば、銅板製である。3枚の第1バスバー51の各々は、長板状の第1導電部51aと、第1導電部51aに対し直交して第1導電部51aに対して屈曲した第2導電部51bと、を備える。第1導電部51aの長さ方向の両端部のうち、第2導電部51bと反対側の端部には、連結孔51cが形成されている。連結孔51cは、第1導電部51aを板厚方向に貫通する。
【0028】
<基板支持部材>
図5に示すように、基板支持部材60は、支持体61と、支持体61に一体成形された複数の支持凸部64と、を備える。
【0029】
支持体61は、絶縁性を有する樹脂製である。支持体61は、全体に亘ってほぼ同じ板厚の板状である。支持体61は、当該支持体61の板厚方向に互いに反対となる第1面61aと第2面61bとを備える。第1面61aは、板厚方向における第2面61bの反対面である。第1面61aは、平坦面である。第1面61aと第2面61bは、平行である。支持体61の板厚は、第1面61aと第2面61bの最短距離での寸法である。支持体61の板厚は、第1バスバー51の板厚より厚い。
【0030】
支持体61は、3枚の第1バスバー51と一体成形されている。支持体61と3枚の第1バスバー51とは、例えば、インサート成形によって一体成形されている。図示しない成形型内に3枚の第1バスバー51が位置決めされた状態で、成形型内に溶融樹脂が充填される。その後、溶融樹脂が硬化して支持体61及び支持凸部64が形成されるとともに、支持体61に第1バスバー51が一体成形される。
【0031】
第1バスバー51のうち、連結孔51cの形成された端部、及び第2導電部51bの先端部を除く部分は、支持体61内に位置している。支持体61は、第1導電部51aでの板厚方向を支持体61の板厚方向に合わせて第1バスバー51と一体成形されている。3枚の第1バスバー51の各々は、支持体61の板厚方向において、第2面61bよりも第1面61aに近付けて設けられている。第1バスバー51の先端部である第2導電部51bの先端部は、支持体61の第2面61bから突出している。各第1バスバー51において、連結孔51c側の端部は、支持体61の縁から突出している。各第1バスバー51における支持体61からの突出部には連結孔51cが位置している。
【0032】
図3及び
図5に示すように、複数の支持凸部64の各々は、支持体61の第2面61bから延出している。支持凸部64は、支持体61に一体成形されているため、支持凸部64は、絶縁性を有する樹脂製である。複数の支持凸部64の各々は、基板42を支持する。このため、支持体61は、第1バスバー51と一体成形されるとともに、基板42を支持凸部64を介して支持する。複数の支持凸部64の各々は、円柱状である。なお、複数の支持凸部64の各々は、角柱状であってもよい。各支持凸部64は、先端面に載置面64aを備える。載置面64aは、支持体61の第2面61bと平行な平面である。支持凸部64は、支持体61の縁部寄りに配置されているが、支持凸部64の配置は任意である。支持凸部64の数は、基板42を安定して支持することができれば、3つでもよいし、5つ以上でもよい。基板42の四隅付近を支持凸部64で支持するため、支持凸部64は、支持体61の四隅に設けられている。
【0033】
支持凸部64において、第2面61bから載置面64aまでの寸法は、支持凸部64の突出長Lである。複数の支持凸部64同士で、突出長Lは全て同じである。突出長Lは、第1バスバー51の板厚方向への電流センサ50の厚さより若干大きく設定されている。
【0034】
上述したように、支持凸部64は、支持体61に一体成形されているとともに、支持体61は第1バスバー51と一体成形されている。したがって、支持体61の板厚方向における第1バスバー51から載置面64aまでの寸法は、一定値に精度良く決まる。
【0035】
支持体61の隅には、貫通孔62が形成されている。貫通孔62には、支持体61をハウジング11に固定するための固定ボルト63が挿通される。
<第2バスバー>
3枚の第2バスバー52の各々は、細長の導電板によって形成されている。3枚の第2バスバー52の各々は、例えば、銅板製である。
図1に示すように、第1バスバー51の連結孔51cに挿通された連結ボルト53は、第2バスバー52に挿通されている。第2バスバー52を貫通した連結ボルト53にはナット54が螺合されている。第1バスバー51と第2バスバー52の間には、スペーサ55が介在している。第1バスバー51と第2バスバー52は、連結ボルト53、ナット54及びスペーサ55によって電気的に接続されている。第1バスバー51と第2バスバー52は、スペーサ55によって第1バスバー51の板厚方向に離間している。
【0036】
3枚の第2バスバー52の各々には、気密端子22の導電部材23が溶接されている。電動モータ30と第2バスバー52とは気密端子22を介して電気的に接続されている。第2バスバー52は、第1バスバー51と電動モータ30との間に設けられている。そして、第2バスバー52は、第1バスバー51と電動モータ30とを電気的に接続している。第1バスバー51と第2バスバー52は、電動モータ30と電気的に接続されるバスバーである。
【0037】
<インバータ回路>
インバータ回路41は、図示しない蓄電装置から出力された直流電力を、交流電力に変換する。電動モータ30は、インバータ回路41から出力される交流電力によって駆動する。インバータ回路41は、電動モータ30に給電する。
【0038】
図3及び
図5に示すように、インバータ回路41は、支持体61の第1面61aに実装されている。インバータ回路41は、図示しない半導体素子を収容したケース41bと、ケース41bから突出した3本の接続端子41aを備える。3本の接続端子41aの各々は、L形状である。各接続端子41aは、支持体61の第1面61aに沿って延びる部分と、当該部分から支持体61に向けて延びる部分とを備える。接続端子41aの先端部は、支持体61の第2面61bから突出している。
【0039】
<インバータ装置の配置>
図1及び
図2に示すように、貫通孔62に挿通された固定ボルト63は、ボス12eに螺合されている。これにより、支持体61は、ハウジング11に固定されているとともに、基板支持部材60は、ハウジング11に固定されている。よって、電動圧縮機10は、圧縮部20及び電動モータ30を収容するとともに、支持体61を固定するハウジング11を備える。
【0040】
上記のように、支持体61は、第1バスバー51と一体成形されている。このため、支持体61がハウジング11に固定されることにより、第1バスバー51はハウジング11に固定される。これにより、ハウジング11に対する第1バスバー51の位置が一定に決まっている。支持体61は、ボス12eによって底壁12aから離れた位置に配置されている。
【0041】
全ての支持凸部64の載置面64aには、基板42が載置されるとともに、基板42は、支持凸部64に支持されている。支持凸部64の載置面64aは、基板42の第1実装面42aに接触して基板42を支持している。
【0042】
第1バスバー51の第2導電部51bは、基板42のバスバー挿入孔44に挿入されている。この第2導電部51bは、半田57によって、導体パターン43に電気的に接続されている。第1バスバー51と導体パターン43は半田57によって接合されている。また、第1バスバー51は、半田57によって基板42に接合されている。
【0043】
インバータ回路41の接続端子41aは、基板42の端子挿入孔45に挿入されている。接続端子41aは、半田57によって導体パターン43に電気的に接続されている。接続端子41aと導体パターン43とは半田57によって接合されている。そして、接続端子41aと第1バスバー51とは、基板42に設けられた導体パターン43によって電気的に接続されている。インバータ回路41は、第1バスバー51と電気的に接続される接続端子41aを備える。また、半田57による接合によって、支持体61と基板42が一体化されている。
【0044】
接続端子41aと第1バスバー51は、第1バスバー51の長手方向に対向している。インバータ回路41のケース41bと、底壁12aとの間には、放熱部材56が介在している。放熱部材56は無くてもよい。
【0045】
<電流センサと第1バスバーの位置関係>
支持凸部64は、支持体61の第2面61bから延出しているため、支持凸部64に支持された基板42の第1実装面42aは、支持体61の第2面61bに対向しているとともに、第2面61bから突出長Lだけ離れている。そして、基板42の第1実装面42aには電流センサ50が実装されている。電流センサ50は、支持凸部64によって形成された基板42と支持体61との間の領域Rに配置されている。領域Rは、基板42の第1実装面42aと、支持体61の第2面61bとの間に形成されている。基板42と支持体61との間での領域Rの高さは、突出長Lに等しい。上記したように、突出長Lは、電流センサ50の厚さより若干大きく設定されている。このため、領域Rにおいて、電流センサ50は、支持体61の第2面61bから離れるように当該第2面61bに対向している。
【0046】
支持凸部64は、支持体61の板厚方向における基板42と第1バスバー51との距離を一定に保持して基板42を支持している。このため、基板42に実装された電流センサ50と、支持体61、ひいては第1バスバー51との距離は一定に決まる。よって、支持凸部64は、支持体61の板厚方向における電流センサ50と第1バスバー51との距離を一定に保持して基板42を支持している。そして、支持体61は、第1バスバー51と一体成形されているため、電流センサ50と、第1バスバー51との距離は一定に決まる。よって、支持体61及び支持凸部64によって、電流センサ50と第1バスバー51との距離は、電流センサ50にとって所望される範囲内に収まる。
【0047】
<電動圧縮機の動作>
インバータ回路41は、図示しない蓄電装置が出力する直流電力を、交流電力に変換する。インバータ回路41によって変換された交流電力は、電流としてインバータ回路41の接続端子41a、半田57、導体パターン43、半田57、第1バスバー51を流れる。接続端子41aにおいて電流の流れる方向と、第1バスバー51において電流の流れる方向が相反する。
【0048】
そして、第1バスバー51を流れた電流は、連結ボルト53、ナット54、及びスペーサ55を介して第2バスバー52に流れる。第1バスバー51において電流の流れる方向と、第2バスバー52において電流の流れる方向が相反する。したがって、第1バスバー51と第2バスバー52とは、第1バスバー51において電流の流れる方向と、第2バスバー52において電流の流れる方向とが相反するように電気的に接続されている。
【0049】
第2バスバー52を流れた電流は、導電部材23を含む気密端子22を介して電動モータ30に供給される。これにより、電動モータ30が駆動するとともに、回転軸21が回転して圧縮部20が駆動する。
【0050】
<実施形態の効果>
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)支持凸部64は、基板42の第1実装面42aに接触して基板42を支持しているとともに、この第1実装面42aに電流センサ50が実装されている。これにより、電流センサ50は、支持凸部64によって形成された基板42と支持体61との間の領域Rに配置されている。このため、電流センサ50と第1バスバー51との距離を近付けることができる。そして、電流センサ50と第1バスバー51との距離は、支持体61及び支持凸部64によって一定値に決まる。これらにより、電流センサ50と第1バスバー51との距離が所望する範囲内から外れることを抑制できる。その結果、電流センサ50は、所望する範囲内の距離にある第1バスバー51に流れる電流を検出できるため、距離のずれに伴う電流センサ50の検出精度の低下を抑制できる。このため、電流センサ50の近傍に集磁のための磁性体を設ける必要なく、電流センサ50による検出精度を高めることができる。
【0051】
(2)電流センサ50と電流経路との位置精度を高めるために、基板42に設けた導体パターン43に流れる電流を、その基板42に設けた電流センサ50で検出することが考えられる。しかし、この場合は、導体パターン43に発生するジュール熱が大きくなり好ましくない。これに対し、基板42と別体の支持体61に第1バスバー51を一体成形することで、第1バスバー51と電流センサ50とを離すことができる。そして、その第1バスバー51に流れる電流を電流センサ50で検出したため、電流経路の断面積を導体パターン43に比べて大きくできる。その結果、電流センサ50で検出する電流経路に発生するジュール熱を小さくできる。
【0052】
(3)第1バスバー51は、支持体61の板厚方向における第2面61bよりも第1面61aに近付けて設けられている。そして、支持凸部64は、支持体61の第2面61bから延出している。支持凸部64に支持された基板42は、支持体61の第2面61bと対向している。これにより、基板42と第1バスバー51との間には、支持凸部64及び支持体61が介在する。これにより、基板42と第1バスバー51とを絶縁できる。
【0053】
(4)第1バスバー51において電流の流れる方向と、第2バスバー52において電流の流れる方向とが相反する。このため、第1バスバー51の周囲に形成される磁界と第2バスバー52の周囲に形成される磁界とが互いに打ち消し合う。このため、電流センサ50には、第1バスバー51及び第2バスバー52の周囲に発生する磁界の影響が及び難くなる。その結果として、電流センサ50として、遮蔽部材を備えないホール素子式の電流センサを用いることもできる。これにより、遮蔽部材を備えたホール素子式の電流センサを用いる場合と比べると、電流センサ50のコストを抑制できる。
【0054】
(5)電動圧縮機10は、電動モータ30及び圧縮部20の駆動によって振動する。電動圧縮機10の振動に伴って基板42及び支持体61も振動するが、電流センサ50と支持体61が離れているため、電流センサ50と支持体61との接触を抑制できる。
【0055】
(6)半田57による第1バスバー51と導体パターン43の接合により、支持体61と基板42とは一体化されるとともに、半田57による接続端子41aと導体パターン43との接合により、支持体61と基板42とが一体化される。つまり、半田57による接合によって基板42と支持体61とが一体化される。そして、基板42は、支持凸部64に載置されているだけであって、基板42は支持体61にネジ締結されていない。例えば、基板42を貫通したネジを支持体61に螺合して基板42と支持体61とを一体化する場合のように、ネジ締結に伴って基板42が撓むことを抑制できるとともに、半田57に応力が発生することを抑制できる。
【0056】
(7)接続端子41aにおいて電流の流れる方向と、第1バスバー51の第2導電部51bにおいて電流の流れる方向が相反する。このため、接続端子41aの周囲に形成される磁界と第1バスバー51の周囲に形成される磁界とが互いに打ち消し合う。このため、電流センサ50には、接続端子41a及び第1バスバー51の周囲に発生する磁界の影響が及び難くなる。その結果として、電流センサ50の検出精度の低下を抑制できる。
【0057】
<変形例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0058】
○基板42を貫通した固定ボルトを、支持凸部64に強制的に螺入して基板42と支持体61を一体に固定してもよい。
○電流センサ50は、支持体61の第2面61bに接触していてもよい。
【0059】
○第2バスバー52は、第1バスバー51の連結孔51c側の端部から離れるように第1バスバー51に連結されていてもよい。つまり、第1バスバー51において電流の流れる方向と、第2バスバー52において電流の流れる方向とが同じとなるように第1バスバー51と第2バスバー52が電気的に接続されていてもよい。
【0060】
○第1バスバー51と第2バスバー52の間に、スペーサ55が介在していなくてもよい。この場合、第2バスバー52には雌ねじ孔が形成されている。そして、第1バスバー51の連結孔51cに挿通された連結ボルト53を、第2バスバー52の雌ねじ孔に螺合して第1バスバー51と第2バスバー52とを電気的に接続する。
【0061】
○第1バスバー51は、支持体61の板厚方向において第1面61aよりも第2面61bに近付けて配置されていてもよい。
○インバータ回路41の接続端子41aと、第1バスバー51とは支持体61の第1面61a側で電気的に接続されていてもよい。つまり、接続端子41aにおいて電流の流れる方向と、第1バスバー51において電流の流れる方向とが同じとなるように接続端子41aと第1バスバー51が電気的に接続されていてもよい。
【0062】
○インバータ回路41の接続端子41aは、支持体61の第1面61aに沿って第1バスバー51に向けて延びるとともに、第1バスバー51は、第1面61aに沿ってインバータ回路41に向けて延びていてもよい。この場合、接続端子41aと第1バスバー51とは、第1面61a側で直接、電気的に接続されてもよい。つまり、インバータ回路41の接続端子41aと、第1バスバー51とは、導体パターン43及び半田57を介さずに直接電気的に接続されていてもよい。
【0063】
○基板42の第2実装面42bから突出した接続端子41aと、第2実装面42bから突出した第2導電部51bとを、第1バスバー51とは別のバスバーで電気的に接続してもよい。
【0064】
○支持凸部64は、支持体61と一体成形されていなくてもよい。支持体61とは別体に製造された支持凸部64を支持体61に対し接着や溶着して、支持体61と支持凸部64を一体化してもよい。
【符号の説明】
【0065】
R…領域、10…電動圧縮機、11…ハウジング、20…圧縮部、30…電動モータ、41…インバータ回路、41a…接続端子、42…基板、43…導体パターン、50…電流センサ、51…バスバーとしての第1バスバー、52…バスバーとしての第2バスバー、57…半田、61…支持体、61a…第1面、61b…第2面、64…支持凸部。