(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137099
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20240927BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01S5/022
H01L23/02 F
H01L23/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048479
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠田 明人
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC30
5F173MD04
5F173MD23
5F173MD59
5F173MD65
5F173MD83
5F173MD84
5F173ME02
5F173ME64
5F173ME86
(57)【要約】
【課題】接着剤によるキャップと基板との接着強度の向上を図ること。
【解決手段】半導体発光装置は、基板20と、基板20上に実装された端面発光素子と、端面発光素子を収容するキャップ70と、基板20上に設けられ、平面視で端面発光素子を囲む枠状に形成された接着パターン100と、キャップ70と接着パターン100とを接着している接着剤110と、を備える。接着剤110は、接着パターン100の内側部分に設けられた薄接着層111と、接着パターン100の外側部分に設けられ、薄接着層111よりも厚さが厚い厚接着層112と、を含む。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に実装された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を収容するキャップと、
前記基板上に設けられ、前記基板の厚さ方向から視て前記半導体発光素子を囲む枠状に形成された接着パターンと、
前記キャップと前記接着パターンとを接着している接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、
前記接着パターンの内側部分に設けられた薄接着層と、
前記接着パターンの外側部分に設けられ、前記薄接着層よりも厚さが厚い厚接着層と、
を含む
半導体発光装置。
【請求項2】
前記接着パターンは、
前記接着パターンの内側部分に設けられた高段部と、
前記接着パターンの外側部分に設けられ、前記高段部よりも厚さが薄い低段部と、
を含み、
前記薄接着層は、前記高段部と前記キャップとの間に設けられ、
前記厚接着層は、前記低段部と前記キャップとの間に設けられている
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記接着パターンは、前記低段部と前記高段部との間に設けられた段差部を含み、
前記接着剤は、前記段差部に接している
請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記低段部は、前記接着パターンの全周にわたり形成されている
請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記低段部の上面は、前記高段部の上面よりも面粗度が大きい粗面である
請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記低段部の幅寸法は、前記高段部の幅寸法と等しい
請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記低段部の幅寸法は、前記高段部の幅寸法よりも大きい
請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記低段部の幅寸法は、前記高段部の幅寸法よりも小さい
請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記キャップは、前記基板に向けて開口した箱状であって、前記基板の厚さ方向から視て、前記半導体発光素子を囲む枠状の側壁を含み、
前記薄接着層および前記厚接着層の双方は、前記側壁の開口端面と接している
請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記開口端面は、平坦面である
請求項9に記載の半導体発光装置。
【請求項11】
前記キャップの前記側壁の幅寸法は、前記接着パターンの幅寸法と等しい
請求項9に記載の半導体発光装置。
【請求項12】
前記半導体発光素子は、前記半導体発光素子からの光が前記キャップの前記側壁を介して前記半導体発光装置の外部に出射されるように構成された端面発光素子である
請求項9に記載の半導体発光装置。
【請求項13】
前記キャップは、前記基板に向けて開口した箱状であって、前記基板の厚さ方向から視て、前記半導体発光素子を囲む枠状の側壁を含み、
前記半導体発光素子は、前記半導体発光素子からの光が前記キャップの前記側壁を介して前記半導体発光装置の外部に出射されるように構成された端面発光素子であり、
前記薄接着層および前記厚接着層の双方は、前記側壁の開口端面と接しており、
前記接着パターンのうち前記端面発光素子に対して前記端面発光素子の出射方向に設けられた部分は、前記低段部が設けられず、前記高段部で構成されている
請求項2に記載の半導体発光装置。
【請求項14】
基板上に半導体発光素子を配置する工程と、
前記基板に設けられ、前記半導体発光素子を囲む枠状の接着パターン上に接着剤を塗布する工程と、
キャップを前記接着剤上に配置して前記半導体発光素子を収容する工程と、
前記接着剤を硬化して前記接着パターンに前記キャップを接着する工程と、
を含み、
前記キャップを前記接着剤上に配置して前記半導体発光素子を収容する工程では、前記キャップと前記接着パターンとの間に、前記接着パターンの内側部分に設けられた薄接着層と、前記接着パターンの外側部分に設けられ、前記薄接着層よりも厚さが厚い厚接着層と、を含む前記接着剤を形成する
半導体発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記接着パターンを形成する工程は、
厚さが一定であり、かつ枠状のパターン層を形成する工程と、
前記パターン層の前記外側部分を前記パターン層の前記内側部分よりも薄くすることによって前記接着パターンを形成する工程と、
を含む
請求項14に記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記接着パターンは、前記パターン層の前記内側部分を構成する高段部と、前記パターン層の前記内側部分よりも薄い前記パターン層の前記外側部分を構成する低段部と、を含み、
前記接着パターン上に接着剤を塗布する工程では、前記接着剤を前記高段部には塗布せずに前記低段部に塗布する
請求項15に記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記接着パターンを形成する工程は、前記低段部の上面を前記高段部の上面よりも面粗度が大きい粗面とする工程を含む
請求項16に記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項18】
前記接着パターンを形成する工程では、レーザ照射またはエッチングによって前記パターン層の前記外側部分を薄くすることによって前記高段部と前記低段部とを形成する
請求項17に記載の半導体発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板上に配置された半導体発光素子と、基板上に設けられ、半導体発光素子を収容するキャップと、を備える半導体発光装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このような半導体発光装置では、キャップは、例えば接着剤によって基板に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接着剤によるキャップと基板との接着強度の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する半導体発光装置は、基板と、前記基板上に実装された半導体発光素子と、前記半導体発光素子を収容するキャップと、前記基板上に設けられ、前記基板の厚さ方向から視て前記半導体発光素子を囲む枠状に形成された接着パターンと、前記キャップと前記接着パターンとを接着している接着剤と、を備え、前記接着剤は、前記接着パターンの内側部分に設けられた薄接着層と、前記接着パターンの外側部分に設けられ、前記薄接着層よりも厚さが厚い厚接着層と、を含む。
【0006】
上記課題を解決する半導体発光装置の製造方法は、基板上に半導体発光素子を配置する工程と、前記基板に設けられ、前記半導体発光素子を囲む枠状の接着パターン上に接着剤を塗布する工程と、キャップを前記接着剤上に配置して前記半導体発光素子を収容する工程と、前記接着剤を硬化して前記接着パターンに前記キャップを接着する工程と、を含み、前記キャップを前記接着剤上に配置して前記半導体発光素子を収容する工程では、前記キャップと前記接着パターンとの間に、前記接着パターンの内側部分に設けられた薄接着層と、前記接着パターンの外側部分に設けられ、前記薄接着層よりも厚さが厚い厚接着層と、を含む前記接着剤を形成する。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法によれば、接着剤によるキャップと基板との接着強度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の半導体発光装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の半導体発光装置の内部構造を概略的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図2のF4-F4線で半導体発光装置を切断した断面構造を概略的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図2のF5-F5線で半導体発光装置を切断した断面構造を概略的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5の接着パターンのパターン貫通孔、基板貫通孔、およびこれらの周辺を拡大した断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の半導体発光装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、
図7に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
【
図9】
図9は、
図8に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の半導体発光装置の内部構造を概略的に示す平面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を拡大した断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態の半導体発光装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
【
図17】
図17は、変更例の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を拡大した断面図である。
【
図18】
図18は、変更例の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を拡大した断面図である。
【
図19】
図19は、変更例の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を拡大した断面図である。
【
図20】
図20は、変更例の半導体発光装置の接着パターンのパターン貫通孔、基板貫通孔、およびこれらの周辺を拡大した断面図である。
【
図21】
図21は、変更例の半導体発光装置の接着パターンのパターン貫通孔、基板貫通孔、およびこれらの周辺を拡大した断面図である。
【
図22】
図22は、変更例の半導体発光装置の内部構造を概略的に示す平面図である。
【
図23】
図23は、変更例の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を示す断面図である。
【
図24】
図24は、変更例の半導体発光装置の内部構造を概略的に示す平面図である。
【
図25】
図25は、変更例の半導体発光装置の内部構造を概略的に示す平面図である。
【
図26】
図26は、変更例の半導体発光装置の接着パターンのパターン貫通孔、基板貫通孔、およびこれらの周辺を拡大した断面図である。
【
図27】
図27は、変更例の半導体発光装置の接着パターンのパターン貫通孔、基板貫通孔、およびこれらの周辺を拡大した断面図である。
【
図28】
図28は、変更例の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を拡大した断面図である。
【
図29】
図29は、変更例の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を拡大した断面図である。
【
図30】
図30は、変更例の半導体発光装置の内部構造を概略的に示す平面図である。
【
図31】
図31は、変更例の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を拡大した断面図である。
【
図32】
図32は、変更例の半導体発光装置の接着パターンとキャップとの接着構造を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の半導体発光装置および半導体発光装置の製造方法のいくつかの実施形態を説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするため、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺に描かれていない。また、理解を容易にするため、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
以下の詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を制限することを意図しない。
【0011】
<第1実施形態>
[半導体発光装置の全体構成]
図1~
図4を参照して、第1実施形態の半導体発光装置10の全体構成について説明する。
図1は、半導体発光装置10の斜視構造を示している。
図2は、半導体発光装置10の内部の平面構造を模式的に示している。
図3は、半導体発光装置10の裏面構造を模式的に示している。
図4は
図2のF4-F4線で半導体発光装置10を切断した断面構造を示している。なお、
図4では、図面の理解を容易にするため、後述するワイヤWを省略している。
【0012】
図1に示すように、半導体発光装置10は、矩形平板状の基板20と、基板20上に設けられた端面発光素子60(
図2参照)と、基板20上に設けられ、端面発光素子60を収容するキャップ70と、を備える。ここで、基板20の厚さ方向を「Z方向」とする。Z方向と直交する方向のうち互いに直交する2方向をそれぞれ「X方向」および「Y方向」とする。また、本明細書において、「平面視」とは、半導体発光装置10を基板20の厚さ方向(Z方向)から視ることをいう。第1実施形態では、基板20は、平面視において、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状に形成されている。
【0013】
基板20は、Z方向において互いに反対側を向く基板表面21および基板裏面22と、基板表面21および基板裏面22と交差する第1~第4基板側面23~26と、を有する。第1実施形態では、基板表面21および基板裏面22の双方は、Z方向と直交した平面として形成されている。一例では、第1~第4基板側面23~26は、基板表面21および基板裏面22と直交する平面である。第1基板側面23および第2基板側面24は基板20のX方向の両端面を構成し、第3基板側面25および第4基板側面26は基板20のY方向の両端面を構成している。
【0014】
基板20は、例えば紫外線を透過させない材料によって形成されている。一例では、基板20は、ガラスエポキシ樹脂によって形成されている。なお、基板20はセラミックを含む材料によって形成されていてもよい。セラミックを含む材料としては、例えば窒化アルミニウム(AlN)またはアルミナ(Al2O3)などが挙げられる。基板20がセラミックを含む材料によって形成されている場合、基板20の放熱性能が向上するため、端面発光素子60の温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0015】
図2に示すように、端面発光素子60は、例えば所定の波長帯の光を出射するレーザダイオードであり、半導体発光装置10の光源として機能する。端面発光素子60は、端面発光型レーザ素子である。端面発光型レーザ素子としての端面発光素子60の構成は特に限定されないが、第1実施形態では、ファブリ・ペロー型レーザダイオード素子が採用されている。一例では、端面発光素子60は、平面視において第4基板側面26に向けて光を出射するように構成されている。端面発光素子60は、「半導体発光素子」に対応している。また、端面発光素子60は、「半導体レーザ素子」に対応しているともいえる。
【0016】
半導体発光装置10は、基板20の基板表面21に形成された複数(第1実施形態では5つ)の表面電極30を備える。複数の表面電極30は、互いに離隔して配置されている。複数の表面電極30は、例えば銅箔によって形成されている。なお、複数の表面電極30の材料は、銅(Cu)に限られず、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、および金(Au)のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0017】
複数の表面電極30は、素子表面電極31と、複数(第1実施形態では4つ)のワイヤ接続電極32と、を含む。素子表面電極31および複数のワイヤ接続電極32の各々は、端面発光素子60と電気的に接続される表面電極である。
【0018】
素子表面電極31は、Y方向において基板表面21の中央よりも第4基板側面26寄りに配置されている。素子表面電極31は、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状である。一例では、素子表面電極31のX方向の寸法は、Y方向の寸法の2倍よりも大きく3倍よりも小さい。一例では、素子表面電極31のX方向の寸法は、基板表面21のX方向の寸法の1/2よりも大きい。
【0019】
素子表面電極31の周囲には、平面視において素子表面電極31を囲う矩形枠状のレジストパターン35が形成されている。レジストパターン35は、例えば絶縁材料によって形成されている。
【0020】
複数のワイヤ接続電極32は、素子表面電極31よりも第3基板側面25寄りに配置されている。換言すると、複数のワイヤ接続電極32は、端面発光素子60よりも第3基板側面25寄りに配置されている。複数のワイヤ接続電極32は、Y方向において互いに揃った状態でX方向において互いに離隔して配列されている。各ワイヤ接続電極32は、平面視においてY方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状に形成されている。Y方向から視て、複数のワイヤ接続電極32は、素子表面電極31と重なる位置に配置されている。
【0021】
半導体発光装置10は、素子表面電極31上に実装されたサブマウント基板80を備える。一例では、サブマウント基板80は、素子表面電極31にダイボンディングされている。サブマウント基板80は、端面発光素子60を支持する基板であり、例えばセラミックを含む材料によって形成されている。セラミックを含む材料としては、例えばAlNまたはAl2O3などが挙げられる。サブマウント基板80がセラミックを含む材料によって形成されている場合、サブマウント基板80の放熱性能が向上するため、端面発光素子60の熱がサブマウント基板80を介して基板20に移動しやすくなる。したがって、端面発光素子60の温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0022】
なお、サブマウント基板80を構成する材料は任意に変更可能である。サブマウント基板80は、例えば導電性および放熱性の高い金属材料によって形成されていてもよい。この金属材料としては、例えばAg、Cu等が用いられてよい。一例では、サブマウント基板80は、矩形平板状のCuによって形成されていてよい。また一例では、サブマウント基板80は、シリコン(Si)を含む材料によって形成されていてよい。
【0023】
図2および
図4に示すように、サブマウント基板80は、矩形平板状に形成されている。一例では、サブマウント基板80は、平面視においてX方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状に形成されている。一例では、平面視において、サブマウント基板80は、素子表面電極31よりも一回り小さい。
【0024】
図4に示すように、サブマウント基板80の厚さは、基板20の厚さよりも厚い。なお、サブマウント基板80の厚さは任意に変更可能であり、例えば基板20の厚さ以下であってもよい。
【0025】
サブマウント基板80は、Z方向において互いに反対側を向く表面81および裏面82を有する。第1実施形態では、表面81および裏面82の双方は、Z方向と直交した平面として形成されている。表面81は基板表面21と同じ側を向き、裏面82は基板裏面22と同じ側を向く。サブマウント基板80の表面81には、端面発光素子60が実装されている。一例では、端面発光素子60は、サブマウント基板80の表面81にダイボンディングされている。
【0026】
サブマウント基板80には、その厚さ方向に貫通する貫通配線83が設けられている。貫通配線83は、端面発光素子60と素子表面電極31とを電気的に接続する配線である。貫通配線83は、例えばCuを含む材料によって形成されている。なお、貫通配線83の構成材料は、Cuに限られず、チタン(Ti)、タングステン(W)、およびAlの少なくとも1つを含んでいてもよい。なお、貫通配線83の個数は任意に変更可能である。一例では、貫通配線83は複数設けられていてもよい。
【0027】
なお、サブマウント基板80がCu等の導電性の材料によって構成されている場合、貫通配線83を省略することができる。つまり、端面発光素子60と素子表面電極31とは、導電性のサブマウント基板80によって電気的に接続することができる。
【0028】
図2および
図4に示すように、サブマウント基板80上に実装された端面発光素子60は、矩形平板状に形成されている。端面発光素子60は、平面視において、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状である。一例では、平面視において、端面発光素子60は、サブマウント基板80よりも一回り小さい。
【0029】
端面発光素子60の厚さは、サブマウント基板80の厚さよりも薄い。また、端面発光素子60の厚さは、基板20の厚さよりも薄い。なお、端面発光素子60の厚さは任意に変更可能であり、例えば基板20の厚さ以上であってもよいし、サブマウント基板80の厚さ以上であってもよい。
【0030】
端面発光素子60は、Z方向において互いに反対側を向く素子表面61および素子裏面62を有する。第1実施形態では、素子表面61および素子裏面62の双方は、Z方向と直交した平面として形成されている。端面発光素子60は、素子表面61に形成された複数(第1実施形態では4つ)の素子電極63と、素子裏面62を構成する裏面電極64と、を含む。また、端面発光素子60は、複数の素子電極63ごとに発光部65を有する。平面視において、複数の素子電極63は、X方向に離隔して配列されている。このため、複数(第1実施形態では4つ)の発光部65は、X方向に配列されている。
図2の白抜矢印で示すように、複数の発光部65の各々は、平面視において第4基板側面26に向けてレーザ光を出射するように構成されている。
【0031】
複数の素子電極63は、平面視においてY方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状に形成されている。第1実施形態では、複数の素子電極63は、複数の発光部65の個別のアノード電極を構成している。裏面電極64は、例えば端面発光素子60の素子裏面62の全体にわたり形成されている。第1実施形態では、裏面電極64は、複数の発光部65に対して共通のカソード電極を構成している。複数の素子電極63および裏面電極64は、例えばAuによって形成されている。なお、複数の素子電極63および裏面電極64の構成材料は、Auに限られず、Al、Ni、Pd、Ag、およびCuのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0032】
端面発光素子60は、図示していない導電性接合材によってサブマウント基板80に実装されている。このため、裏面電極64は、導電性接合材によってサブマウント基板80(貫通配線83)と電気的に接続されている。裏面電極64は、貫通配線83を介して素子表面電極31と電気的に接続されている。なお、導電性接合材としては、例えばはんだペースト、銀ペーストが挙げられる。
【0033】
図2に示すように、半導体発光装置10は、複数の発光部65と複数のワイヤ接続電極32とを個別に電気的に接続する複数のワイヤWを備える。複数のワイヤWは、例えばボンディングワイヤである。複数のワイヤWは、例えばAuを含む材料によって形成されている。複数のワイヤWは、Auに代えて、Cu、Ag、Alの少なくとも1つを含む材料によって形成されていてもよい。
【0034】
図3に示すように、半導体発光装置10は、基板20の基板裏面22に形成された複数(第1実施形態では5つ)の裏面電極40を備える。複数の裏面電極40は、互いに離隔し配置されている。複数の裏面電極40は、例えば銅箔によって形成されている。なお、複数の裏面電極40の構成材料は、Cuに限られず、Al、Ni、Pd、Ag、およびAuのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0035】
複数の裏面電極40は、素子裏面電極41と、複数(第1実施形態では4つ)のワイヤ裏面電極42と、を含む。素子裏面電極41は、基板表面21に形成された素子表面電極31(ともに
図2参照)に電気的に接続されている。複数のワイヤ裏面電極42は、基板表面21に形成された複数のワイヤ接続電極32(
図2参照)と個別に電気的に接続されている。
【0036】
素子裏面電極41は、平面視において素子表面電極31と重なる位置に配置されている。素子裏面電極41は、平面視においてX方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状に形成されている。素子裏面電極41のX方向の長さは、素子表面電極31のX方向の長さよりも長い。
【0037】
複数のワイヤ裏面電極42は、平面視において複数のワイヤ接続電極32と重なる位置に配置されている。一例では、平面視における各ワイヤ裏面電極42の形状およびサイズは、平面視における各ワイヤ接続電極32と同じである。
【0038】
半導体発光装置10は、複数の表面電極30と複数の裏面電極40とを個別に電気的に接続する複数の貫通配線50を備える。各貫通配線50は、基板20をその厚さ方向に貫通している。各貫通配線50は、例えばCuによって形成されている。なお、各貫通配線50の構成材料は、Cuに限られず、W、Ti、およびAlのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0039】
複数の貫通配線50は、素子表面電極31(
図2参照)と素子裏面電極41とを電気的に接続する素子用貫通配線51と、複数のワイヤ接続電極32(
図2参照)と複数のワイヤ裏面電極42とを個別に電気的に接続する複数(第1実施形態では4つ)のワイヤ用貫通配線52と、を備える。
【0040】
素子用貫通配線51は、平面視においてX方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状に形成されている。素子用貫通配線51は、平面視において素子表面電極31(素子裏面電極41)のX方向およびY方向の中央に配置されている。なお、平面視における素子用貫通配線51の形状は任意に変更可能である。また、素子用貫通配線51の個数は任意に変更可能である。一例では、素子用貫通配線51は複数設けられていてもよい。複数の素子用貫通配線51は、例えば平面視において素子表面電極31と素子裏面電極41との双方と重なる位置に配置されている。
【0041】
複数のワイヤ用貫通配線52は、平面視において円形に形成されている。複数のワイヤ用貫通配線52は、対応するワイヤ接続電極32(ワイヤ裏面電極42)のY方向の両端部のうち素子表面電極31(素子裏面電極41)から遠い方の端部に配置されている。なお、平面視における各ワイヤ用貫通配線52の形状は任意に変更可能である。また、各ワイヤ接続電極32(各ワイヤ裏面電極42)に対して複数のワイヤ用貫通配線52が設けられていてもよい。この場合、各ワイヤ接続電極32(各ワイヤ裏面電極42)に対して設けられた複数のワイヤ用貫通配線52は、例えば平面視においてワイヤ接続電極32とワイヤ裏面電極42との双方と重なる位置に配置されている。
【0042】
図2に示すように、半導体発光装置10は、基板表面21に形成された接着パターン33を備える。接着パターン33は、平面視において、複数の表面電極30を囲む枠状に形成されている。一例では、接着パターン33は、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形枠状である。一例では、接着パターン33の外周縁は、基板20の外周縁よりも一回り小さい。一例では、接着パターン33は、全周にわたり同じの幅寸法WAを有する。ここで、接着パターン33の幅寸法WAは、平面視において接着パターン33が延びる方向と直交する方向の寸法である。
【0043】
接着パターン33は、例えば金属層によって形成されている。一例では、接着パターン33は、複数の表面電極30と同じ材料によって形成されている。なお、接着パターン33は、複数の表面電極30とは異なる材料によって形成されていてもよい。一例では、接着パターン33は、絶縁層によって形成されていてもよい。接着パターン33は、例えばレジストパターン35と同じ材料によって形成されていてもよい。
【0044】
このように、接着パターン33は、金属層または絶縁層によって形成されているため、基板表面21からZ方向に僅かに突出して設けられている。第1実施形態では、接着パターン33の厚さは、例えば複数の表面電極30の厚さと等しい。なお、接着パターン33の厚さは任意に変更可能であり、例えば複数の表面電極30の厚さよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。
【0045】
接着パターン33上には、接着剤90(
図4参照)が塗布されている。平面視において、接着剤90は、例えば接着パターン33の全周にわたり形成されている。接着パターン33は、接着剤90が接着パターン33からはみ出すことを抑制できる。
【0046】
図1および
図4に示すように、接着パターン33上には、接着剤90によってキャップ70が固定されている。キャップ70は、基板20に向けてZ方向に開口する箱状に形成されている。キャップ70は、例えば紫外線を透過する材料によって形成されている。一例では、キャップ70は、ガラス材料によって形成されている。なお、キャップ70は、ガラス材料に代えて、樹脂材料によって形成されていてもよい。この樹脂材料としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。また、キャップ70は、金属およびセラミックのいずれかによって形成されていてもよい。金属としては、例えばアルミニウム、鉄、および銅等が挙げられる。セラミックとしては、例えばAlN、Al
2O
3等が挙げられる。
【0047】
図1に示すように、キャップ70は、平面視において矩形枠状に形成された第1~第4側壁71~74と、第1~第4側壁71~74によって形成された開口部のZ方向の一端を覆う上壁75と、を有する。一例では、第1~第4側壁71~74と上壁75とは一体に形成されている。第1側壁71および第2側壁72はキャップ70のX方向の両端の側壁を構成し、第3側壁73および第4側壁74はキャップ70のY方向の両端の側壁を構成している。第1側壁71はキャップ70のX方向の両端の側壁のうち基板20の第1基板側面23に近い方の側壁を構成し、第2側壁72は基板20の第2基板側面24に近い方の側壁を構成している。第3側壁73はキャップ70のY方向の両端の側壁のうち基板20の第3基板側面25に近い方の側壁を構成し、第4側壁74は基板20の第4基板側面26に近い方の側壁を構成している。一例では、キャップ70がガラス材料または樹脂材料によって形成されている場合、第1~第3側壁71~73および上壁75は半透明に形成され、第4側壁74は透明に形成されている。端面発光素子60が出射したレーザ光は、第4側壁74を通過して半導体発光装置10の外部に出射される。また一例では、キャップ70が金属またはセラミックで形成されている場合、第4側壁74には開口部と、開口部を閉塞するとともに端面発光素子60のレーザ光が通過可能とする窓部材と、が設けられている。
【0048】
[キャップと接着パターンとの接着構造]
図2~
図6を参照して、キャップ70と接着パターン33との接着構造について説明する。
図5は、キャップ70の第4側壁74と接着パターン33との接着剤90による接着構造を示す断面図である。
図6は、
図5におけるパターン貫通孔34、基板貫通孔27、およびそれらの周辺を拡大した断面図である。
【0049】
図5に示すように、キャップ70の第4側壁74は、開口端面76を含む。開口端面76は、第4側壁74のうち基板20寄りの端面である。開口端面76は、第4側壁74の先端面であるといえる。第1実施形態では、開口端面76は、Z方向と直交する平面によって形成されている。つまり、開口端面76は、平坦面であるといえる。
図4に示すように、第1側壁71および第2側壁72も同様に開口端面76を含む。図示していないが、第3側壁73も開口端面76を含む。キャップ70の第1~第4側壁71~74の開口端面76は、Z方向において接着パターン33と対向配置されている。第1~第4側壁71~74の開口端面76は、平面視において矩形枠状に形成されている。
【0050】
図4に示すように、第1~第4側壁71~74は、互いに同じ幅寸法WBを有する。第1側壁71および第2側壁72の双方の幅寸法WBは、例えば第1側壁71のX方向の寸法および第2側壁72のX方向の寸法によって定義できる。第3側壁73および第4側壁74の双方の幅寸法WBは、例えば第3側壁73のY方向の寸法および第4側壁74のY方向の寸法によって定義できる。
【0051】
一例では、第1~第4側壁71~74の幅寸法WBは、接着パターン33の幅寸法WA(
図2参照)と等しい。より詳細には、第1側壁71および第2側壁72の幅寸法WBは、接着パターン33のうちZ方向において第1側壁71および第2側壁72と対向する部分の幅寸法WA(
図4ではX方向の寸法)と等しい。第3側壁73および第4側壁74の幅寸法WBは、接着パターン33のうちZ方向において第3側壁73および第4側壁74と対向する部分の幅寸法WAと等しい。
【0052】
ここで、第1側壁71の幅寸法WBと接着パターン33の幅寸法WAとの差が例えば接着パターン33の幅寸法WAの10%以内であれば、第1側壁71の幅寸法WBは接着パターン33の幅寸法WAと等しいといえる。なお、第2側壁72、第3側壁73、および第4側壁74の幅寸法WBと接着パターン33の幅寸法WAとの関係についても同様である。
【0053】
キャップ70が接着パターン33に接着されることによって、キャップ70と基板20とから密閉空間Sが形成されている。密閉空間Sには、複数の表面電極30、複数のワイヤW(
図2参照)、サブマウント基板80、および端面発光素子60が収容されている。一例では、密閉空間Sは、基板表面21、キャップ70の第1~第4側壁71~74の内側面、および上壁75の下面によって構成された空間である。
【0054】
図5に示すように、平面視において、基板20のうち接着剤90と重なる位置には基板貫通孔27が設けられている。基板貫通孔27は、Z方向において基板20を貫通している。一例では、
図3に示すように、基板貫通孔27は複数(第1実施形態では4つ)設けられている。複数の基板貫通孔27は互いに離隔して配置されている。複数の基板貫通孔27は、平面視において接着パターン33と重なる位置に配置されている。各基板貫通孔27は、平面視において円形に形成されている。各基板貫通孔27は、複数の裏面電極40とは異なる位置に配置されている。
【0055】
図2および
図5に示すように、接着パターン33には、パターン貫通孔34が形成されている。パターン貫通孔34は、Z方向において接着パターン33を貫通している。
図5に示すように、接着パターン33は、基板貫通孔27と連通している。つまり、平面視において、パターン貫通孔34は、基板貫通孔27と重なる位置に配置されている。
【0056】
図2に示すように、パターン貫通孔34は複数(第1実施形態では4つ)設けられている。第1実施形態では、パターン貫通孔34の数と基板貫通孔27の数とは互いに等しい。複数のパターン貫通孔34は、矩形枠状の接着パターン33の四隅に分散して配置されている。各パターン貫通孔34は、平面視において円形に形成されている。
図5に示すように、第1実施形態では、基板貫通孔27の径とパターン貫通孔34の径とは互いに等しい。一例では、基板貫通孔27およびパターン貫通孔34の双方の直径は、接着パターン33の幅寸法WAの1/2である。なお、基板貫通孔27およびパターン貫通孔34の双方の径は、任意に変更可能である。
【0057】
接着剤90上には、キャップ70が載置されている。接着剤90の一部は、パターン貫通孔34に入り込んでいる。また、接着剤90の一部は、基板貫通孔27に入り込んでいる。つまり、
図6に示すように、接着剤90は、接着パターン33上に設けられた表面接着部91と、パターン貫通孔34に入り込むパターン接着部92と、基板貫通孔27に入り込む基板接着部93と、を含む。
【0058】
表面接着部91は、例えば接着パターン33の上面の全面にわたり形成されている。表面接着部91は、第4側壁74の開口端面76と接している。
図4に示すように、表面接着部91は、第1側壁71および第2側壁72の開口端面76と接している。また図示していないが、表面接着部91は、第3側壁73の開口端面76と接している。このように、表面接着部91は、接着パターン33とキャップ70とを接着している。
【0059】
図6に示すように、パターン接着部92は、パターン貫通孔34に充填されている。一例では、パターン接着部92は、パターン貫通孔34の全体に充填されている。このため、パターン接着部92は、パターン貫通孔34を構成する側面の全面にわたり接している。
【0060】
基板接着部93は、Z方向において基板貫通孔27のうち基板表面21寄りの一部に入り込んでいる。つまり、基板接着部93は、Z方向において基板裏面22から離隔している。一例では、基板接着部93は、Z方向における基板貫通孔27のうち基板表面21寄りの端部において基板貫通孔27を構成する側面の全周にわたり接している。このように、接着剤90は、キャップ70、接着パターン33、および基板20と接している。また、基板接着部93は、基板貫通孔27を介して半導体発光装置10の外部に露出しているといえる。
【0061】
[半導体発光装置の製造方法]
図7~
図10を参照して、半導体発光装置10の製造方法の一例について説明する。
図7~
図10は、接着パターン33にキャップ70の第4側壁74を接着する状態を示す断面図である。なお、図示していないが、接着パターン33にキャップ70の第1~第3側壁71~73を接着する状態も接着パターン33にキャップ70の第4側壁74を接着する状態と同様である。
【0062】
半導体発光装置10の製造方法は、基板20を用意する工程と、基板20にサブマウント基板80を配置する工程と、サブマウント基板80上に端面発光素子60を配置する工程と、ワイヤWを形成する工程と、接着パターン33に接着剤90を塗布する工程と、キャップ70を接着剤90上に配置して端面発光素子60を収容する工程と、接着剤90を硬化させる工程と、を主に備える。
【0063】
基板20を用意する工程では、基板表面21および基板表面21とは反対側の基板裏面22を有する基板20(例えば
図7参照)を用意する。基板20の基板表面21には複数の表面電極30および接着パターン33が形成されている。基板裏面22には、複数の裏面電極40が形成されている。接着パターン33は、複数の表面電極30を囲む枠状に形成されている。接着パターン33には、複数(第1実施形態では4つ)のパターン貫通孔34が形成されている。基板20には、複数(第1実施形態では4つ)の基板貫通孔27が形成されている。複数の基板貫通孔27は、複数のパターン貫通孔34と個別に連通している。なお、
図7~
図10には図示されていないが、基板20の基板裏面22には複数の裏面電極40(
図3参照)が形成されている。
【0064】
次に、図示していないが、基板20にサブマウント基板80を配置する工程では、まず複数の表面電極30のうち素子表面電極31上に第1導電性接合材を塗布する。続いて第1導電性接合材上にサブマウント基板80を配置する。つまり、この工程は、素子表面電極31上にサブマウント基板80をダイボンディングしている。第1導電性接合材は、ダイボンディング材であり、例えばはんだペーストおよび銀ペーストのいずれかが用いられる。
【0065】
次に、図示していないが、サブマウント基板80上に端面発光素子60を配置する工程では、まずサブマウント基板80の表面81上に第2導電性接合材を塗布する。続いて第2導電性接合材上に端面発光素子60を配置する。つまり、この工程は、サブマウント基板80上に端面発光素子60をダイボンディングしている。第2導電性接合材は、ダイボンディング材であり、例えばはんだペーストおよび銀ペーストのいずれかが用いられる。なお、第1導電性接合材および第2導電性接合材は、互いに同じ材料が用いられてもよいし、互いに異なる材料が用いられてもよい。このように、端面発光素子60は、基板20上において接着パターン33の枠内に配置されている。つまり、第1実施形態の半導体発光装置10の製造方法は、基板20上において接着パターン33の枠内に端面発光素子60を配置する工程を備えるともいえる。
【0066】
第1実施形態では、サブマウント基板80上に端面発光素子60を配置した後、第1導電性接合材および第2導電性接合材の双方を同時に固化させる。より詳細には、第1導電性接合材および第2導電性接合材を加熱した後、冷却することによって第1導電性接合材および第2導電性接合材の双方が固化する。これにより、第1導電性接合材が素子表面電極31とサブマウント基板80とを接合し、第2導電性接合材がサブマウント基板80と端面発光素子60とを接合する。なお、第1導電性接合材および第2導電性接合材は、個別に固化してもよい。一例では、基板20にサブマウント基板80を配置する工程において、第1導電性接合材を固化することによって素子表面電極31とサブマウント基板80とを接合する。その後、サブマウント基板80上に端面発光素子60を配置する工程において、第2導電性接合材を固化することによってサブマウント基板80と端面発光素子60とを接合する。
【0067】
次に、図示していないが、ワイヤWを形成する工程では、ワイヤボンディング装置によって端面発光素子60の複数の素子電極63と複数の表面電極30とを個別に接続するようにワイヤWを形成する。これにより、複数の素子電極63と複数の表面電極30とが個別に電気的に接続されている。
【0068】
次に、
図7に示すように、接着パターン33に接着剤90を塗布する工程では、例えばディスペンサ装置を用いて、接着パターン33の上面の全体にわたり接着剤90を塗布する。第1実施形態では、接着剤90は、紫外線・熱硬化併用型接着剤が用いられる。
【0069】
接着剤90の一部は、接着パターン33のパターン貫通孔34に充填されている。また、接着剤90の一部は、基板20の基板貫通孔27に充填されている。
図7の例では、基板貫通孔27に充填された接着剤90は、Z方向における基板貫通孔27のうち基板表面21寄りの端部のみを充填している。つまり、接着剤90は、基板貫通孔27のZ方向の全体を充填していない。このように、接着パターン33に接着剤90を塗布する工程では、パターン貫通孔34に入り込むように接着剤90を接着パターン33に塗布する。接着パターン33に接着剤90を塗布する工程では、パターン貫通孔34を介して基板貫通孔27に入り込むように接着パターン33に接着剤90を塗布する。
【0070】
また、接着剤90は、基板裏面22から視て、基板貫通孔27から露出した部分を含む。より詳細には、接着剤90は、接着パターン33上に塗布された表面接着部91と、パターン貫通孔34に入り込んだパターン接着部92と、基板貫通孔27に入り込んだ基板接着部93と、を含む。接着剤90のうちパターン接着部92、基板接着部93、および表面接着部91のうちパターン接着部92と平面視において重なる部分(重なり部91A)とが、基板貫通孔27から露出している。つまり、基板貫通孔27から露出する接着剤90は、パターン接着部92、基板接着部93、および重なり部91Aによって構成されている。
【0071】
次に、
図8に示すように、キャップ70を接着剤90上に配置して端面発光素子60(
図2参照)を収容する工程では、キャップ70の第1~第4側壁71~74を接着剤90上に配置する。これにより、例えば
図8の例では、第4側壁74の開口端面76が接着剤90と接している。なお、図示していないが、第1側壁71および第2側壁72の開口端面76(
図4参照)も接着剤90と接している。また第3側壁73の開口端面76も接着剤90と接している。より詳細には、キャップ70の第1~第4側壁71~74の開口端面76の全面は接着剤90の表面接着部91と接している。また、表面接着部91は、接着パターン33の上面の全体にわたり接している。
【0072】
次に、
図9に示すように、接着剤90を硬化する工程は、基板貫通孔27から露出する接着剤90に紫外線(白抜き矢印)を照射することによって、基板貫通孔27から露出する接着剤90を硬化させる工程を含む。より詳細には、紫外線照射装置(図示略)によって基板裏面22側から紫外線を照射する。この場合、基板貫通孔27から露出する接着剤90に紫外線が照射される。一例では、複数の基板貫通孔27から露出する接着剤90に対して同時に紫外線を照射する。これにより、複数の基板貫通孔27から露出する接着剤90が同時に硬化する。
【0073】
ここで、接着剤90のうち
図9に示す濃いドットの領域が紫外線によって硬化した部分である。つまり、この工程は、接着剤90の一部を硬化する工程である。接着剤90のうち部分的に硬化した部分硬化部94は、重なり部91A、パターン接着部92、および基板接着部93によって構成されている。つまり、基板貫通孔27から露出する接着剤90に紫外線が照射されることによって部分硬化部94が形成されている。このため、部分硬化部94は、キャップ70と接着パターン33および基板20とを部分的に固定している。このように、基板貫通孔27から露出する接着剤90を硬化させる工程は、キャップ70を接着パターン33に仮固定する工程であるともいえる。
【0074】
パターン貫通孔34は、平面視において矩形枠状の接着パターン33の四隅に形成されているため、部分硬化部94は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の四隅と接着パターン33の四隅とを接着している。これにより、キャップ70を接着パターン33に仮固定する工程において、接着パターン33に対してキャップ70がずれたり、傾いたりすることが抑制される。
【0075】
図10に示すように、接着剤90を硬化する工程は、接着剤90の全体を硬化させる工程を含む。この工程では、接着剤90のうち接着パターン33上に形成された接着剤(表面接着部91)を硬化させる。
【0076】
第1実施形態では、接着剤90の全体を硬化させる工程は、接着剤90を熱硬化させる。一例では、半導体発光装置10を高温炉(図示略)に入れ、紫外線・熱硬化型接着剤の熱硬化温度で加熱することによって接着剤90を全体的に硬化させる。これにより、キャップ70が接着パターン33に固定される。以上の工程を経て、半導体発光装置10が製造される。
【0077】
[作用]
第1実施形態の半導体発光装置10の作用について説明する。なお、接着パターン33からパターン貫通孔34が省略された構成を「比較接着パターン」とする。
【0078】
接着剤90の一部は、接着パターン33に形成されたパターン貫通孔34に入り込んでいる。このため、比較接着パターンの上面に接着剤90が塗布された構成と比較して、接着剤90と接着パターン33との接触面積が増加する。これにより、接着剤90と接着パターン33との接着強度を高めることができるので、キャップ70が基板20(接着パターン33)から外れにくくなる。
【0079】
また、接着剤によって比較接着パターンとキャップ70とを接着する場合、接着剤の硬化にともない比較接着パターンに対してキャップ70の開口端面76が平行ではなく、Z方向に直交する方向に対して傾いた状態で接着される場合がある。
【0080】
第1実施形態の半導体発光装置10の製造方法では、複数の基板貫通孔27から露出する接着剤90に紫外線を照射して硬化させる。これにより、接着剤90には接着パターン33とキャップ70とを接続する部分硬化部94が形成されるため、接着パターン33とキャップ70とを仮固定される。続いて、接着パターン33とキャップ70とが仮固定された状態で接着剤90の全体を硬化させる。このため、接着パターン33とキャップ70とが仮固定されているため、接着剤90の全体が硬化することに起因する接着剤90の収縮によって接着パターン33に対してキャップ70が傾いたり、接着パターン33の幅方向に対してキャップ70がずれたりすることを抑制できる。
【0081】
[効果]
第1実施形態の半導体発光装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)半導体発光装置10は、基板20と、基板20上に実装された端面発光素子60と、端面発光素子60を収容するキャップ70と、キャップ70と基板20とを接着する接着剤90と、を備える。基板20の厚さ方向であるZ方向から視て、基板20のうち接着剤90と重なる位置には基板貫通孔27が設けられている。半導体発光装置10は、基板20上に形成され、Z方向から視て、端面発光素子60を囲む接着パターン33を備える。接着剤90は、接着パターン33上に設けられ、接着パターン33とキャップ70とを接着するものである。接着パターン33には、基板貫通孔27と連通するパターン貫通孔34が形成されている。接着剤90の一部は、パターン貫通孔34に入り込んでいる。
【0082】
この構成によれば、接着剤90の一部がパターン貫通孔34に入り込むことによって、接着剤90と接着パターン33との接着面積が増大する。これにより、接着剤90が接着パターン33から剥離しにくくなるので、接着剤90による接着パターン33とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0083】
(1-2)基板貫通孔27およびパターン貫通孔34の双方は、複数設けられている。
この構成によれば、接着剤90が複数のパターン貫通孔34に入り込むことによって接着剤90と接着パターン33との接着面積がさらに増大する。これにより、接着剤90による接着パターン33とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0084】
(1-3)基板貫通孔27には、接着剤90が入り込んでいる。
この構成によれば、接着剤90は、パターン貫通孔34および基板貫通孔27の双方に接するため、接着剤90は接着パターン33に加え、基板20とも接着する。これにより、接着剤90が接着パターン33からさらに剥離しにくくなるので、接着剤90による接着パターン33とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0085】
(1-4)Z方向から視て、接着パターン33は矩形枠状である。パターン貫通孔34は、接着パターン33の四隅に設けられている。
この構成によれば、接着剤90による接着パターン33とキャップ70との接着強度に偏りが生じにくくなる。これにより、接着パターン33に対してキャップ70の開口端面76が平行ではなく、Z方向に直交する方向に対して傾くことを抑制できる。
【0086】
(1-5)Z方向から視て、接着パターン33は、長手方向および短手方向を有する矩形枠状である。パターン貫通孔34は、接着パターン33の長手方向の中央にさらに設けられている。
【0087】
この構成によれば、接着剤90と接着パターン33との接着面積がさらに増大する。これにより、接着剤90による接着パターン33とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0088】
(1-6)半導体発光装置10の製造方法は、基板表面21および基板表面21とは反対側の基板裏面22を有し、基板表面21に形成された枠状の接着パターン33と、接着パターン33に形成されたパターン貫通孔34と、パターン貫通孔34に連通する基板貫通孔27とを含む基板20を用意する工程と、基板20上において接着パターン33の枠内に端面発光素子60を配置する工程と、接着パターン33に接着剤90を塗布する工程と、キャップ70を接着剤90上に配置して端面発光素子60を収容する工程と、を含む。接着パターン33に接着剤90を塗布する工程では、パターン貫通孔34に入り込むように接着剤90を接着パターン33に塗布する。
【0089】
この構成によれば、接着剤90がパターン貫通孔34に入り込むように塗布されることによって、接着剤90と接着パターン33との接着面積が増大する。これにより、接着剤90が接着パターン33から剥離しにくくなるので、接着剤90による接着パターン33とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0090】
(1-7)半導体発光装置10の製造方法は、基板貫通孔27から露出する接着剤90に紫外線を照射することによって、基板貫通孔27から露出する接着剤90を硬化させる工程と、接着剤90の全体を硬化させる工程と、をさらに含む。
【0091】
この構成によれば、紫外線の照射によって基板貫通孔27から露出する接着剤90が硬化するので、キャップ70が接着パターン33に対して部分的に接着される。これにより、接着剤90の全体を硬化させる工程において、接着剤90の硬化に起因して接着パターン33に対してキャップ70の開口端面76が平行ではなく、Z方向に直交する方向に対して傾くことを抑制できる。
【0092】
(1-8)基板貫通孔27は、複数設けられている。基板貫通孔27から露出する接着剤90を硬化させる工程では、複数の基板貫通孔27から露出する接着剤90に対して紫外線を同時に照射する。
【0093】
この構成によれば、紫外線によって複数の基板貫通孔27から露出する接着剤90が同時に硬化するので、基板貫通孔27から露出する接着剤90を個別に硬化させる場合と比較して、工程の簡略化を図ることができる。
【0094】
(1-9)接着パターン33に接着剤90を塗布する工程では、パターン貫通孔34を介して基板貫通孔27に入り込むように接着パターン33に接着剤90を塗布する。
この構成によれば、パターン貫通孔34および基板貫通孔27の双方に入り込むように接着剤90が接着パターン33に塗布されるため、接着剤90は接着パターン33に加え、基板20とも接着する。これにより、接着剤90が接着パターン33からさらに剥離しにくくなるので、接着剤90による接着パターン33とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0095】
(1-10)キャップ70の第1~第4側壁71~74の幅寸法WBは、接着パターン33の幅寸法WAと等しい。
この構成によれば、接着剤90の硬化に起因して接着パターン33に対してキャップ70が接着パターン33の幅方向にずれることを抑制できる。加えて、接着パターン33に対してキャップ70の開口端面76が平行ではなく、Z方向に直交する方向に対して傾くことを抑制できる。
【0096】
<第2実施形態>
図11~
図16を参照して、第2実施形態の半導体発光装置10について説明する。第2実施形態の半導体発光装置10においては、第1実施形態の半導体発光装置10と比較して、接着パターン100の構成と、接着剤90によって接着パターン33とキャップ70とを接着する工程とが主に異なる。以下では、第1実施形態と異なる点について詳細に説明し、第1実施形態の構成要素と共通する構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
[キャップと接着パターンとの接着構造]
図11は、第2実施形態の半導体発光装置10の内部構造を示している。
図11では、接着パターン33の理解を容易にするため、キャップ70を省略して示している。
図12は、
図11のF12-F12線の断面図であり、キャップ70の第2側壁72と接着パターン33との接着状態を示している。
【0098】
図11に示すように、接着パターン100は、第1実施形態の接着パターン33と同様に、平面視において複数の表面電極30を囲む矩形枠状に形成されている。
図12に示すように、接着パターン100は、接着パターン100の内側部分に設けられた高段部101と、接着パターン100の外側部分に設けられ、高段部101よりも厚さが薄い低段部102と、を含む。接着パターン100は、低段部102と高段部101との間に設けられた段差部103を含む。
【0099】
接着パターン100は、基板表面21の外周部に設けられている。接着パターン100の各辺は、平面視において第1~第4基板側面23~26に個別に隣り合うように形成されている。第1基板側面23に隣り合う接着パターン100の第1辺は、平面視において第1基板側面23に沿って延びている。第2基板側面24に隣り合う接着パターン100の第2辺は、平面視において第2基板側面24に沿って延びている。第3基板側面25に隣り合う接着パターン100の第3辺は、平面視において第3基板側面25に沿って延びている。第4基板側面26に隣り合う接着パターン100の第4辺は、平面視において第4基板側面26に沿って延びている。
【0100】
接着パターン100の内側部分は、接着パターン100のうちキャップ70と基板20とから形成された密閉空間S(
図12参照)側の部分である。つまり、高段部101は、接着パターン100のうち密閉空間S側の部分に形成されている。接着パターン100の内側部分は、接着パターン100の幅方向において基板表面21の中央側であるともいえる。つまり、高段部101は、接着パターン100の幅方向において基板表面21の中央側の部分に形成されているともいえる。また、接着パターン100の内側部分は、接着パターン100の幅方向において複数の表面電極30および端面発光素子60に近い部分であるともいえる。ここで、接着パターン100の幅方向は、平面視において接着パターン100が延びる方向と直交する方向である。
【0101】
接着パターン100の外側部分は、接着パターン100のうち密閉空間S側とは反対側の部分である。つまり、低段部102は、接着パターン100のうち密閉空間S側とは反対側の部分に形成されている。接着パターン100の外側部分は、接着パターン100の幅方向において基板表面21の端部側であるともいえる。つまり、低段部102は、接着パターン100の幅方向において基板表面21の端部側の部分に形成されているともいえる。接着パターン100の外側部分は、接着パターン100の幅方向において、接着パターン100の各辺と対応する基板20の第1~第4基板側面23~26寄りの部分であるといえる。つまり、低段部102は、接着パターン100の幅方向において、接着パターン100の各辺と対応する第1~第4基板側面23~26寄りの部分に形成されているともいえる。また、接着パターン100の内側部分は、接着パターン100の幅方向において複数の表面電極30および端面発光素子60から遠い部分であるともいえる。
【0102】
第2実施形態では、段差部103は、接着パターン100の幅方向の中央に設けられている。このため、高段部101は接着パターン100の幅方向の中央よりも内側部分を構成し、低段部102は接着パターン100の幅方向の中央よりも外側部分を構成している。このため、第2実施形態では、高段部101の幅寸法WA1と低段部102の幅寸法WA2とは互いに同じである。第2実施形態では、第1実施形態の接着パターン33と同様に、接着パターン100の幅寸法WAは、キャップ70の第1~第4側壁71~74の幅寸法WBと等しい。
【0103】
図11に示すように、段差部103は、接着パターン100の全周にわたり形成されている。このため、高段部101および低段部102の双方は、接着パターン100の全周にわたり形成されている。
図12に示すように、第2実施形態では、低段部102の厚さは、高段部101の厚さの1/2である。なお、高段部101および低段部102の厚さは任意に変更可能である。低段部102の厚さは、高段部101の厚さの1/2よりも厚くてもよいし、1/2よりも薄くてもよい。
【0104】
第2実施形態では、低段部102の上面は、高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面である。一例では、低段部102の上面全体が、高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面である。一例では、低段部102は、レーザ照射およびエッチングのいずれかによって形成されている。これにより、低段部102の上面全体が、高段部101の上面よりも面粗度が大きくなる。
【0105】
また、レーザ照射およびエッチングのいずれかによって、段差部103を構成する側面は低段部102の形成とともに形成されるため、段差部103の側面は、高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面である。一例では、段差部103の側面全体が、高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面である。
【0106】
なお、低段部102の上面は、その上面を荒らす粗化処理が施されていてもよい。粗化処理の一例は、低段部102の上面に微細な凹凸を形成するブラウン処理であってもよい。また、低段部102の上面のうち粗面となる領域は任意に変更可能である。一例では、低段部102の上面のうち一部が高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面であってもよい。
【0107】
第2実施形態では、接着パターン100とキャップ70とを接着する接着剤110として、熱硬化型接着剤が用いられている。
キャップ70の第2側壁72の開口端面76がZ方向に直交する平坦面であるため、開口端面76と接着パターン100との間に介在する接着剤110は、接着パターン100の内側部分に設けられた薄接着層111と、接着パターン100の外側部分に設けられ、薄接着層111よりも厚さが厚い厚接着層112と、を含む。なお、図示していないが、第1側壁71、第3側壁73、および第4側壁74と接着パターン100との間に介在する接着剤110も同様に薄接着層111および厚接着層112を含む。このように、薄接着層111および厚接着層112の双方は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の開口端面76と接している。
【0108】
薄接着層111は、接着パターン100の高段部101上に設けられているといえる。つまり、薄接着層111は、高段部101とキャップ70との間に設けられている。より詳細には、薄接着層111は、高段部101とキャップ70の第1~第4側壁71~74とのZ方向の間に設けられている。このため、薄接着層111は、接着剤110のうち高段部101とキャップ70の第1~第4側壁71~74とを接着する部分である。
【0109】
薄接着層111は、高段部101の上面の全面にわたり形成されている。薄接着層111は、第1~第4側壁71~74の開口端面76のうち内側部分の全面にわたり形成されている。ここで、第1~第4側壁71~74の開口端面76の内側部分は、Z方向において高段部101と対向する部分である。第1~第4側壁71~74の開口端面76の内側部分は、開口端面76のうちキャップ70と基板20とから形成された密閉空間S側の部分である。開口端面76の内側部分は、開口端面76の幅方向において基板表面21の中央側であるともいえる。
【0110】
厚接着層112は、接着パターン100の低段部102上に設けられているといえる。つまり、厚接着層112は、低段部102とキャップ70との間に設けられている。より詳細には、厚接着層112は、低段部102とキャップ70の第1~第4側壁71~74とのZ方向の間に設けられている。このため、厚接着層112は、接着剤110のうち低段部102とキャップ70の第1~第4側壁71~74とを接着する部分である。
【0111】
第2実施形態では、キャップ70の第1~第4側壁71~74の開口端面76がZ方向と直交する平坦面であり、かつ低段部102の厚さが高段部101の厚さの1/2であるため、厚接着層112の厚さは、薄接着層111の厚さの2倍である。なお、薄接着層111および厚接着層112の厚さの関係は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の開口端面76および接着パターン100の高段部101および低段部102の形状に応じて任意に変更可能である。
【0112】
厚接着層112は、低段部102の上面の全面にわたり形成されている。厚接着層112は、第1~第4側壁71~74の開口端面76のうち外側部分の全面にわたり形成されている。ここで、第1~第4側壁71~74の開口端面76の外側部分は、Z方向において低段部102と対向する部分である。第1~第4側壁71~74の開口端面76の外側部分は、開口端面76のうち密閉空間S側とは反対側の部分である。開口端面76の外側部分は、開口端面76の幅方向において基板表面21の端部側であるともいえる。
【0113】
図12に示すとおり、接着剤110は、段差部103に接している。一例では、接着剤110は、段差部103の全周にわたり接している。厚接着層112は、段差部103に接しているともいえる。
【0114】
[半導体発光装置の製造方法]
図13~
図16を参照して、第2実施形態の半導体発光装置10の製造方法の一例について説明する。第2実施形態の半導体発光装置10の製造方法は、第1実施形態と比較して、基板20に接着パターン100を形成する工程を含む点と、接着パターン100上に接着剤110を塗布する工程と、接着剤110を硬化して接着パターン100とキャップ70とを接着する工程と、が主に異なる。以下の説明において、第1実施形態の半導体発光装置10の製造方法と異なる点について詳細に説明する。
【0115】
図13および
図14に示すように、半導体発光装置10の製造方法は、基板20に接着パターン100を形成する工程を含む。この工程は、例えば基板20を用意する工程に含まれる。接着パターン100は、接着パターン100の内側部分に設けられた高段部101と、接着パターン100の外側部分に設けられ、高段部101よりも厚さが薄い低段部102と、を含む。
【0116】
一例では、接着パターン100を形成する工程は、
図13に示すように、厚さが一定であり、かつ枠状のパターン層105を形成する工程を含む。パターン層105は、接着パターン100を構成するための層であり、例えば銅箔によって形成されている。パターン層105は、Cuに限られず、Al、Ni、Pd、Ag、およびAuのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。パターン層105の厚さは、例えば
図10の接着パターン100の高段部101の厚さと等しい。
【0117】
一例では、パターン層105を形成する工程は、複数の表面電極30を形成する工程と同時に実施される。つまり、複数の表面電極30とパターン層105とが同一工程で形成される。パターン層105は、平面視において複数の表面電極30を囲う矩形枠状に形成されている。
【0118】
続いて、接着パターン100を形成する工程は、
図14に示すように、パターン層105の外側部分をパターン層105の内側部分よりも薄くすることによって接着パターン100を形成する工程を含む。一例では、接着パターン100を形成する工程では、レーザ照射またはエッチングによってパターン層105の外側部分を薄くすることによって高段部101と低段部102とを形成する。パターン層105の内側部分よりも薄くしたパターン層105の外側部分の厚さは、例えば
図12の接着パターン100の低段部102の厚さと等しい。このように、高段部101、低段部102、および段差部103が形成された接着パターン100が形成される。
【0119】
ここで、パターン層105の外側部分は、パターン層105の幅方向のうち基板20の端部側の部分である。パターン層105の外側部分は、パターン層105の幅方向のうち複数の表面電極30および端面発光素子60から遠い部分であるともいえる。パターン層105の内側部分は、パターン層105の幅方向のうち基板20の中央側の部分である。パターン層105の内側部分は、パターン層105の幅方向のうち複数の表面電極30および端面発光素子60に近い部分であるともいえる。パターン層105の外側部分は接着パターン100の外側部分に対応し、パターン層105の内側部分は接着パターン100の内側部分に対応する。
【0120】
低段部102をレーザ照射またはエッチングによって形成されるため、低段部102の上面は、高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面となる。なお、段差部103もレーザ照射またはエッチングによって形成されるため、段差部103の側面は、高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面となる。
【0121】
このように、接着パターン100が形成された基板20を用意する工程の後、第1実施形態と同様に、サブマウント基板80を基板20上(素子表面電極31上)に配置する工程、端面発光素子60をサブマウント基板80上に配置する工程と、ワイヤWを形成する工程が実施される。
【0122】
続いて、
図15に示すように、接着剤110によって接着パターン33とキャップ70とを接着する工程は、接着パターン100上に接着剤110を塗布する工程を含む。例えばディスペンサ装置によって、接着剤110を高段部101には塗布せずに低段部102に塗布する。より詳細には、接着剤110は、低段部102の全周にわたり塗布される。ここで、接着剤110は、高段部101の上面よりも高くなるような量となるように設定されている。一例では、接着剤110は、段差部103の全周にわたり接している。このように、基板20に接着パターン100を形成する工程は、接着パターン100上に接着剤110を塗布する工程よりも前に実施される。第2実施形態では、接着剤110は、熱硬化型接着剤が用いられる。
【0123】
続いて、
図16に示すように、キャップ70を接着剤110上に配置して端面発光素子60を収容する工程では、キャップ70と接着パターン100との間に、接着パターン100の内側部分に設けられた薄接着層111と、接着パターン100の外側部分に設けられ、薄接着層111よりも厚さが厚い厚接着層112と、を含む接着剤110を形成する。より詳細には、接着剤110上にキャップ70が配置されることによって、キャップ70が接着剤110を基板表面21に向けて押す。これにより、接着剤110は、接着パターン100の内側部分に押し出されるため、接着パターン100の高段部101の上面に移動する。その結果、薄接着層111が形成される。一方、接着パターン100の低段部102の上面に塗布された接着剤110は、厚接着層112を形成する。このように、キャップ70を接着剤110上に配置して端面発光素子60を収容する工程では、低段部102に塗布した接着剤110上を、キャップ70によって高段部101上に移動させることによって薄接着層111を形成している。
【0124】
接着剤110を硬化して接着パターン33とキャップ70とを接着する工程は、接着剤110を熱硬化させる工程を含む。一例では、半導体発光装置10を高温炉(図示略)に入れ、熱硬化型接着剤の熱硬化温度で加熱することによって接着剤110を硬化させる。これにより、キャップ70が接着パターン100に接着される。以上の工程を経て、半導体発光装置10が製造される。
【0125】
[作用]
第2実施形態の作用について説明する。なお、接着パターン100から低段部102および段差部103が省略された構成を「比較接着パターン」とする。
【0126】
接着剤を硬化して比較接着パターン上にキャップ70を接着する場合、接着剤から発生したガスが接着剤内に留まりやすい。このため、キャップ70の開口端面76および比較接着パターンの上面の少なくとも一方に接着剤が接していない空隙が形成されるおそれがある。これにより、比較接着パターンとキャップ70との接着剤による接着強度が低下するので、比較接着パターンからキャップ70が外れるおそれがある。
【0127】
第2実施形態では、接着パターン100の外側部分に低段部102が形成されることによって、接着パターン100上の接着剤110では、薄接着層111よりも外側部分に厚接着層112が形成される。これにより、接着剤110から発生したガスは、薄接着層111から厚接着層112に移動した後、厚接着層112から接着剤110の外部に放出されやすくなる。このように、接着剤110内にガスが存在しにくくなるため、接着パターン100とキャップ70の開口端面76とのZ方向の間に空隙が形成されにくくなる。つまり、接着パターン100とキャップ70の開口端面76とのZ方向の間には接着剤110が隙間なく埋められるようになる。このため、接着パターン100とキャップ70の開口端面76との接着剤110の接着面積は、比較接着パターンとキャップ70との接着剤の接着面積よりも大きくなる。したがって、接着パターン100とキャップ70との接着剤110による接着強度が高くなるので、接着パターン100からキャップ70が外れることを抑制できる。
【0128】
[効果]
第2実施形態の半導体発光装置10によれば、以下の効果が得られる。
(2-1)半導体発光装置10は、基板20と、基板20上に実装された端面発光素子60と、端面発光素子60を収容するキャップ70と、基板20上に設けられ、基板20の厚さ方向であるZ方向から視て端面発光素子60を囲む枠状に形成された接着パターン100と、キャップ70と接着パターン100とを接着している接着剤110と、を備える。接着剤110は、接着パターン100の内側部分に設けられた薄接着層111と、接着パターン100の外側部分に設けられ、薄接着層111よりも厚さが厚い厚接着層112と、を含む。
【0129】
この構成によれば、接着剤110から発生したガスが厚接着層112から接着剤110の外部に放出されやすくなるので、接着パターン100とキャップ70とのZ方向の間に接着剤110が隙間なく埋められる。したがって、接着パターン100とキャップ70との接着剤110による接着面積が大きくなることによって、接着剤110による接着パターン100とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0130】
(2-2)接着パターン100は、接着パターン100の内側部分に設けられた高段部101と、接着パターン100の外側部分に設けられ、高段部101よりも厚さが薄い低段部102と、を含む。薄接着層111は、高段部101とキャップ70との間に設けられている。厚接着層112は、低段部102とキャップ70との間に設けられている。
【0131】
この構成によれば、接着パターン100に高段部101および低段部102を形成することによって、接着剤110の薄接着層111および厚接着層112の各々を容易に形成することができる。
【0132】
(2-3)接着パターン100は、低段部102と高段部101との間に設けられた段差部103を含む。接着剤110は、段差部103に接している。
この構成によれば、接着剤110が段差部103に接することによって接着剤110と接着パターン100との接着面積が大きくなるので、接着剤110が接着パターン100から剥離しにくくなる。したがって、接着剤110による接着パターン100とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。加えて、例えば接着パターン100の幅方向に向けてキャップ70に外力が加わったとしても段差部103に接する接着剤110によってキャップ70が接着パターン100の幅方向に移動することを抑制できる。
【0133】
(2-4)低段部102は、接着パターン100の全周にわたり形成されている。
この構成によれば、接着剤110と接着パターン100との接着面積が大きくなることによって、接着剤110による接着パターン100とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0134】
(2-5)低段部102の上面は、高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面である。
この構成によれば、接着剤110の厚接着層112は低段部102の上面とキャップ70との間におけるアンカー効果によって接着パターン100とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0135】
(2-6)キャップ70は、基板20に向けて開口した箱状であって、平面視において端面発光素子60を囲む枠状の第1~第4側壁71~74を含む。接着剤110の薄接着層111および厚接着層112の双方は、第1~第4側壁71~74の開口端面76と接している。
【0136】
この構成によれば、接着剤110による接着パターン100とキャップ70との接着面積が大きくなることによって、接着剤110による接着パターン100とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0137】
(2-7)半導体発光装置10の製造方法は、基板20上に端面発光素子60を配置する工程と、基板20に設けられ、端面発光素子60を囲む枠状の接着パターン100上に接着剤110を塗布する工程と、キャップ70を接着剤110上に配置して端面発光素子60を収容する工程と、接着剤110を硬化して接着パターン100にキャップ70を接着する工程と、を含む。キャップ70を接着剤110上に配置して端面発光素子60を収容する工程では、キャップ70と接着パターン100との間に、接着パターン100の内側部分に設けられた薄接着層111と、接着パターン100の外側部分に設けられ、薄接着層111よりも厚さが厚い厚接着層112と、を含む接着剤110を形成する。
【0138】
この構成によれば、接着剤110から発生したガスが厚接着層112から接着剤110の外部に放出されやすくなるので、接着パターン100とキャップ70とのZ方向の間に接着剤110が隙間なく埋められる。したがって、接着パターン100とキャップ70との接着剤110による接着面積が大きくなることによって、接着剤110による接着パターン100とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。
【0139】
(2-8)接着パターン100は、パターン層105の内側部分を構成する高段部101と、パターン層105の内側部分よりも薄いパターン層105の外側部分を構成する低段部102と、を含む。接着パターン100を形成する工程は、低段部102の上面を高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面とする工程を含む。接着パターン100を形成する工程では、レーザ照射またはエッチングによってパターン層105の外側部分を薄くすることによって高段部101と低段部102とを形成する。
【0140】
この構成によれば、接着剤110の厚接着層112は低段部102の上面とキャップ70との間におけるアンカー効果によって接着パターン100とキャップ70との接着強度の向上を図ることができる。加えて、レーザ照射またはエッチングによって低段部102を形成することによって、低段部102の上面が高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面となる。このため、低段部102の上面を粗面にするための専用の工程が不要となるため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0141】
(2-9)接着パターン100上に接着剤110を塗布する工程では、接着剤110を高段部101には塗布せずに低段部102に塗布する。
この構成によれば、キャップ70を接着剤110上に配置すると、低段部102上の接着剤110が高段部101に向けて移動する。このため、高段部101とキャップ70との間の薄接着層111を容易に形成することができる。
【0142】
<変更例>
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない範囲において互いに組み合わせることができる。
【0143】
・第1実施形態および第2実施形態は互いに組み合わせて実施することができる。一例では、
図17に示すように、接着パターン100にパターン貫通孔104が形成されていてもよい。基板20には、パターン貫通孔104と連通する基板貫通孔27が形成されていてもよい。
図17に示す例では、パターン貫通孔104は、接着パターン100の低段部102に形成されている。パターン貫通孔104は、例えば複数設けられている。一例では、図示していないが、パターン貫通孔104は、矩形枠状の接着パターン100の四隅に形成されている。パターン貫通孔104は、接着パターン100の幅方向において段差部103から離隔して設けられている。基板貫通孔27は、第1実施形態と同様にパターン貫通孔104と連通するように設けられている。つまり、基板貫通孔27は例えば複数設けられている。一例では、平面視におけるパターン貫通孔104および基板貫通孔27の形状は円形である。
【0144】
接着剤110は、第1実施形態の接着剤90と同様に、表面接着部113、パターン接着部114、および基板接着部115を含む。表面接着部113は、高段部101の上面、低段部102の上面、および段差部103に接している。表面接着部113は、薄接着層111および厚接着層112を含む。パターン接着部114は、パターン貫通孔104に充填されている。一例では、パターン接着部114は、パターン貫通孔104を構成する側面の全面にわたり接している。パターン接着部114は、厚接着層112から連続して形成されている。基板接着部115は、Z方向において基板貫通孔27のうち基板表面21寄りの端部に形成されている。つまり、接着剤110は、キャップ70、接着パターン100、および基板20を接着している。
【0145】
なお、接着パターン100に対する基板貫通孔27およびパターン貫通孔34の位置は任意に変更可能である。第1例では、
図18に示すように、パターン貫通孔104は、接着パターン100の高段部101および低段部102の双方にわたり形成されていてもよい。つまり、パターン貫通孔104は、段差部103(
図17参照)を跨ぐように形成されていてもよい。接着剤110のパターン接着部114は、厚接着層112と連続して形成されている。
【0146】
第2例では、
図19に示すように、パターン貫通孔104は、接着パターン100の高段部101に形成されている。パターン貫通孔104は、接着パターン100の幅方向において段差部103から離隔して設けられている。接着剤110のパターン接着部114は、薄接着層111と連続して形成されている。
【0147】
・第1実施形態において、基板貫通孔27に充填された接着剤90のZ方向の位置は任意に変更可能である。一例では、
図20に示すように、接着剤90は、基板貫通孔27の全体にわたり充填されていてもよい。
図20に示す例では、接着剤90は、基板裏面22から突出する突出部95を含む。突出部95は、その先端面が裏面電極40よりも基板裏面22寄りに位置するように形成されている。一例では、突出部95は、基板貫通孔27の基板裏面22側の開口部周縁に形成されている。
【0148】
なお、
図21に示すように、接着剤90の基板接着部93は、基板貫通孔27の全体にわたり充填されつつ基板裏面22から突出しないように構成されていてもよい。一例では、基板接着部93の先端面は、湾曲凹状に形成されている。なお、別の例では、基板接着部93の先端面は、湾曲凸状に形成されていてもよい。
【0149】
また、接着剤90は、基板貫通孔27に充填されておらず、パターン貫通孔34に充填されていてもよい。つまり、接着剤90は、パターン接着部92を含む一方、基板接着部93を含んでいなくてもよい。
【0150】
・第1実施形態において、基板貫通孔27およびパターン貫通孔34の個数は任意に変更可能である。一例では、
図22に示すように、パターン貫通孔34は、6つ設けられていてもよい。パターン貫通孔34は、接着パターン33の四隅と、接着パターン33のうちX方向に延びる部分のX方向の中央とにそれぞれ設けられている。なお、図示していないが、基板貫通孔27は、パターン貫通孔34と連通するように設けられている。また、基板貫通孔27およびパターン貫通孔34の個数はそれぞれ1つであってもよい。この場合、基板貫通孔27は、パターン貫通孔34と連通している。
【0151】
・第1実施形態において、パターン貫通孔34の個数が基板貫通孔27の個数よりも多くてもよい。一例では、
図22に示すように、パターン貫通孔34は、矩形枠状の接着パターン33の四隅と、接着パターン33のうちX方向に延びる部分のX方向の中央とにそれぞれ設けられている。一方、
図3に示すように、基板貫通孔27は、平面視において矩形枠状の接着パターン33の四隅と重なる位置に設けられている。4つの基板貫通孔27は、接着パターン33の四隅に設けられた4つのパターン貫通孔34と個別に連通している。
【0152】
図23に示す3つのパターン貫通孔34のうちX方向の中央のパターン貫通孔34のように、接着パターン33にパターン貫通孔34が形成されている一方、基板20に基板貫通孔27が形成されていない場合、パターン貫通孔34は、基板表面21を露出するように形成されている。接着剤90のパターン接着部92は、基板表面21と接している。
【0153】
・第1実施形態において、パターン貫通孔34および基板貫通孔27の位置は任意に変更可能である。一例では、
図24に示すように、パターン貫通孔34および基板貫通孔27の各々は、接着パターン33のX方向に延びる一対の辺のX方向の中央と、Y方向に延びる一対の辺のY方向の中央とに設けられていてもよい。なお、接着パターン33の周方向において隣り合うパターン貫通孔34の間の距離は等しいことが好ましい。
【0154】
また別の例では、
図25に示すように、パターン貫通孔34および基板貫通孔27の各々は、接着パターン33のX方向に延びる一対の辺のX方向の中央に設けられており、Y方向に延びる一対の辺のY方向の中央には設けられていなくてもよい。つまり、パターン貫通孔34は、接着パターン33の長手方向の中央に設けられていてもよい。基板貫通孔27は、パターン貫通孔34と連通するため、基板20のうち接着パターン33の長手方向の中央と平面視で重なる部分に設けられている。
【0155】
また別の例では、図示していないが、パターン貫通孔34および基板貫通孔27の各々は、接着パターン33のY方向に延びる一対の辺のY方向の中央に設けられており、X方向に延びる一対の辺のX方向の中央には設けられていなくてもよい。つまり、パターン貫通孔34は、接着パターン33の短手方向の中央に設けられていてもよい。基板貫通孔27は、パターン貫通孔34と連通するため、基板20のうち接着パターン33の短手方向の中央と平面視で重なる部分に設けられている。
【0156】
・第1実施形態において、パターン貫通孔34の径と基板貫通孔27の径とは互いに異なっていてもよい。
第1例では、
図26に示すように、基板貫通孔27の径がパターン貫通孔34の径よりも大きくてもよい。この場合、接着剤90の基板接着部93は、接着パターン33の裏面33Aに接している。
【0157】
第2例では、
図27に示すように、パターン貫通孔34の径が基板貫通孔27の径よりも大きくてもよい。この場合、接着剤90のパターン接着部92は、基板20の基板表面21に接している。
【0158】
・第2実施形態において、高段部101の幅寸法WA1と低段部102の幅寸法WA2とは互いに異なっていてもよい。第1例では、
図28に示すように、高段部101の幅寸法WA1が低段部102の幅寸法WA2よりも大きくてもよい。第2例では、
図29に示すように、低段部102の幅寸法WA2が高段部101の幅寸法WA1よりも大きくてもよい。
【0159】
・第2実施形態において、低段部102の形成範囲は任意に変更可能である。一例では、
図30に示すように、低段部102は、接着パターン33のうちキャップ70の第4側壁74が配置される部分(接着パターン33のうち基板20の第4基板側面26寄りの部分)に形成されていなくてもよい。換言すると、低段部102は、接着パターン33のうち端面発光素子60から出射するレーザ光が通過する側壁が配置される部分に形成されていなくてもよい。一例では、接着パターン33のうちキャップ70の第4側壁74が配置される部分は、高段部101によって形成されている。一方、接着パターン33のうちキャップ70の第1~第3側壁71~73が配置される部分には、低段部102が形成されている。低段部102は、第2実施形態と同様に、接着パターン33の幅方向の外側部分に形成されている。接着パターン33のうちキャップ70の第1~第3側壁71~73が配置される部分における幅方向の内側部分は、高段部101が形成されている。
【0160】
・第2実施形態において、低段部102の上面は、高段部101の上面と同じ面粗度となるように形成されていてもよい。
・第2実施形態において、接着剤110は、段差部103と接していなくてもよい。
【0161】
・第2実施形態において、キャップ70の第1~第4側壁71~74の開口端面76の形状は任意に変更可能である。一例では、
図31に示すように、第4側壁74の開口端面76は、開口端面76の内側部分に設けられた内側端面77と、開口端面76の外側部分に設けられ、Z方向において内側端面77よりも接着パターン100から離れた外側端面78と、を含む。開口端面76は、内側端面77と外側端面78との間に設けられた段差部79を含む。
図31に示す例では、内側端面77の幅寸法WB1と外側端面78の幅寸法WB2とは互いに等しい。ここで、内側端面77の幅寸法WB1は、平面視において内側端面77が延びる方向と直交する方向の大きさである。外側端面78の幅寸法WB2は、平面視において外側端面78が延びる方向と直交する方向の大きさである。なお、内側端面77の幅寸法WB1および外側端面78の幅寸法WB2の各々は任意に変更可能である。一例では、内側端面77の幅寸法WB1は外側端面78の幅寸法WB2よりも大きくてもよい。外側端面78の幅寸法WB2は内側端面77の幅寸法WB1よりも大きくてもよい。
【0162】
図31に示す例では、接着パターン100は、例えば幅方向において厚さが一定となる構成であってもよい。つまり、接着パターン100から低段部102および段差部103が省略された構成であってもよい。
【0163】
接着剤110は、第2実施形態と同様に薄接着層111および厚接着層112を含む。薄接着層111は、接着パターン100とキャップ70の内側端面77との間に設けられている。一例では、薄接着層111は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の内側端面77の全面にわたり接している。厚接着層112は、接着パターン100とキャップ70の外側端面78との間に設けられている。一例では、厚接着層112は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の外側端面78の全面にわたり接している。また、接着剤110は、キャップ70の段差部79に接している。一例では、接着剤110は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の段差部79の全面にわたり接している。
【0164】
また、別の例では、
図32に示すように、接着パターン100は、第2実施形態と同様に、高段部101、低段部102、および段差部103を含んでいてもよい。この場合、接着剤110の薄接着層111は、接着パターン100の高段部101とキャップ70の内側端面77との間に設けられている。一例では、薄接着層111は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の内側端面77の全面にわたり接しており、かつ接着パターン100の高段部101の上面の全面にわたり接している。また、接着剤110の厚接着層112は、接着パターン100の低段部102とキャップ70の外側端面78との間に設けられている。一例では、厚接着層112は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の外側端面78の全面にわたり接しており、かつ接着パターン100の低段部102の上面の全面にわたり接している。また、接着剤110は、キャップ70の段差部79および接着パターン100の段差部103の双方と接している。一例では、接着剤110は、キャップ70の第1~第4側壁71~74の段差部79の全面にわたり接しており、かつ接着パターン100の段差部103の全面にわたり接している。
【0165】
なお、キャップ70の開口端面76の内側端面77と外側端面78とのZ方向の間の距離は任意に変更可能である。一例では、開口端面76の内側端面77と外側端面78とのZ方向の間の距離は、接着パターン100の高段部101の上面と低段部102の上面とのZ方向の間の距離よりも大きい。別の例では、開口端面76の内側端面77と外側端面78とのZ方向の間の距離は、接着パターン100の高段部101の上面と低段部102の上面とのZ方向の間の距離よりも小さい。また、
図31および
図32に示すキャップ70は、第1実施形態に適用してもよい。
【0166】
また、キャップ70の外側端面78は、内側端面77よりも面粗度が大きい粗面となるように形成されていてもよい。この場合、外側端面78には、粗化処理が施される。粗化処理の一例は、サンドブラスト法、ウェットブラスト等が挙げられる。
【0167】
また、キャップ70の開口端面76のうち第4側壁74の開口端面76は、Z方向に直交する平坦面によって形成されていてもよい。つまり、キャップ70のうち端面発光素子60のレーザ光が通過する側壁の開口端面76は、Z方向に直交する平坦面によって形成されていてもよい。
【0168】
・第1実施形態において、接着剤90は、紫外線・熱硬化併用型接着剤に限られず、任意に変更可能である。一例では、接着剤90は、紫外線硬化型接着剤であってもよい。この場合、接着剤90を硬化させる工程では、キャップ70の上壁75側から接着剤90に紫外線を照射する。キャップ70は、紫外線を透過する材料によって形成されている。これにより、キャップ70を透過した紫外線が接着剤90に照射されることによって接着剤90が全体的に硬化する。
【0169】
・第2実施形態において、接着パターン100を形成する工程は、低段部102を形成する工程とは別に、低段部102の上面を高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面とする工程を含んでいてもよい。一例では、低段部102の上面を高段部101の上面よりも面粗度が大きい粗面とする工程では、高段部101の上面をマスクしたうえで低段部102の上面に対してブラウン処理を施してもよい。これにより、低段部102の上面には微細な凹凸が形成される。なお、段差部103の側面に、低段部102の上面と同様に微細な凹凸が形成されていてもよい。
【0170】
・第2実施形態において、接着パターン100上に接着剤110を塗布する工程では、接着パターン100の高段部101のみに接着剤110を塗布してもよいし、接着パターン100の高段部101および低段部102の双方に接着剤110を塗布してもよい。
【0171】
・各実施形態において、接着パターン33,100の幅寸法WAとキャップ70の第1~第4側壁71~74の幅寸法WBとの関係は任意に変更可能である。一例では、接着パターン33,100の幅寸法WAは、キャップ70の第1~第4側壁71~74の幅寸法WBよりも大きくてもよい。別の例では、接着パターン33,100の幅寸法WAは、キャップ70の第1~第4側壁71~74の幅寸法WBよりも小さくてもよい。
【0172】
・第2実施形態において、接着剤110は、例えば紫外線硬化型接着剤が用いられてもよい。この場合、接着剤110を硬化して接着パターン100にキャップ70を接着する工程では、キャップ70の上壁75側から接着剤110に紫外線を照射する。キャップ70は、紫外線を透過する材料によって形成されている。これにより、キャップ70を透過した紫外線が接着剤110に照射されることによって接着剤110が硬化する。
【0173】
・各実施形態において、平面視における接着パターン33,100の形状は任意に変更可能である。一例では、平面視における接着パターン33,100は、正方枠状であってもよい。一例では、平面視における接着パターン33,100は、矩形状に限られず、長円の枠状(トラック形状)、楕円の枠状、および円形の枠状のいずれかであってもよい。
【0174】
・各実施形態では、半導体発光素子として端面発光素子60が用いられたが、半導体発光素子の構成はこれに限られない。半導体発光素子として、面発光素子が用いられてもよい。面発光素子の一例として、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が用いられてもよい。この場合、キャップ70は、上壁75が透光面となるように構成されていてもよい。一方、キャップ70の第4側壁74は第1~第3側壁71~73と同様に半透明となるように構成されていてもよい。また、半導体発光素子として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられてもよい。
【0175】
・各実施形態において、キャップ70は、例えば紫外線を透過しない材料によって形成されていてもよい。一例では、キャップ70は、例えば金属、セラミック等によって形成されていてもよい。また、キャップ70は、遮光性の材料によって形成されていてもよい。この場合、キャップ70は、端面発光素子60からのレーザ光を通過させる開口部が形成されていてもよい。
【0176】
本明細書に記載の様々な例のうち1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本明細書において、「AおよびBのうち少なくとも1つ」とは、「Aのみ、または、Bのみ、またはAおよびBの両方」を意味するものとして理解されるべきである。
【0177】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、例えば「第1要素が第2要素上に実装される」という表現は、或る実施形態では第1要素が第2要素に接触して第2要素上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1要素が第2要素に接触することなく第2要素の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1要素と第2要素との間に他の要素が形成される構造を排除しない。
【0178】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えばX方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0179】
<付記>
上記各実施形態および各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、各付記に記載された構成要素に対応する実施形態の構成要素の符号を括弧書きで示す。符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0180】
[付記A1]
基板(20)と、
前記基板(20)上に実装された半導体発光素子(60)と、
前記半導体発光素子(60)を収容するキャップ(70)と、
前記キャップ(70)と前記基板(20)とを接着する接着剤(90)と、
を備え、
前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記基板(20)のうち前記接着剤(90)と重なる位置には基板貫通孔(27)が設けられており、
前記基板(20)上に形成され、前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記半導体発光素子(60)を囲む接着パターン(33)を備え、
前記接着剤(90)は、前記接着パターン(33)上に設けられ、前記接着パターン(33)と前記キャップ(70)とを接着するものであり、
前記接着パターン(33)には、前記基板貫通孔(27)と連通するパターン貫通孔(34)が形成されており、
前記接着剤(90)の一部は、前記パターン貫通孔(34)に入り込んでいる
半導体発光装置(10)。
【0181】
[付記A2]
前記接着剤(90)は、紫外線・熱硬化併用型接着剤、または紫外線硬化型接着剤である
付記A1に記載の半導体発光装置。
【0182】
[付記A3]
前記基板貫通孔(27)および前記パターン貫通孔(34)の双方が複数設けられている
付記A1またはA2に記載の半導体発光装置。
【0183】
[付記A4]
前記基板貫通孔(27)には、前記接着剤(90)が入り込んでいる
付記A1~A3のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0184】
[付記A5]
前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記接着パターン(33)は矩形枠状であり、
前記パターン貫通孔(34)は、前記接着パターン(33)の四隅に設けられている
付記A1~A4のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0185】
[付記A6]
前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記接着パターン(33)は、長手方向および短手方向を有する矩形枠状であり、
前記パターン貫通孔(34)は、前記接着パターン(33)の長手方向の中央にさらに設けられている
付記A5に記載の半導体発光装置。
【0186】
[付記A7]
前記キャップ(70)は、前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記半導体発光素子(60)を囲む側壁(71~74)を含み、
前記接着剤(90)は、前記側壁(71~74)の開口端面(76)と前記接着パターン(33)とに接した状態で前記接着パターン(33)と前記キャップ(70)とを接着している
付記A1~A6のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0187】
[付記A8]
前記半導体発光素子は、端面発光素子(60)であり、
前記キャップ(70)は、箱状に形成されており、
前記端面発光素子(60)からの光は、前記キャップ(70)の側壁(71~74)を介して前記半導体発光装置(10)の外部に出射される
付記A1~A7のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0188】
[付記A9]
前記接着剤(90)は、前記基板貫通孔(27)内の全体にわたり充填されているとともに前記基板(20)の基板裏面(22)側から突出して前記基板裏面(22)の前記基板貫通孔(27)の周縁に形成されている
付記A1~A8のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0189】
[付記A10]
前記接着剤(90)は、前記基板貫通孔(27)に充填されており、前記基板(20)の基板裏面(22)側から突出していない
付記A1~A8のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0190】
[付記A11]
前記キャップ(70)は、樹脂、ガラス、金属、セラミックのうちいずれかによって形成されている
付記A1~A10のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0191】
[付記A12]
基板表面(21)および前記基板表面(21)とは反対側の基板裏面(22)を有し、前記基板表面(21)に枠状の接着パターン(33)が形成され、前記接着パターン(33)にパターン貫通孔(34)が形成され、前記パターン貫通孔(34)に連通する基板貫通孔(27)が形成された基板(20)を用意する工程と、
前記基板(20)上において前記接着パターン(33)の枠内に半導体発光素子(60)を配置する工程と、
前記接着パターン(33)に接着剤(90)を塗布する工程と、
キャップ(70)を前記接着剤(90)上に配置して前記半導体発光素子(60)を収容する工程と、
を含み、
前記接着パターン(33)に前記接着剤(90)を塗布する工程では、前記パターン貫通孔(34)に入り込むように前記接着剤(90)を前記接着パターン(34)に塗布する
半導体発光装置(10)の製造方法。
【0192】
[付記A13]
前記基板貫通孔(27)から露出する前記接着剤(90)に紫外線を照射することによって、前記基板貫通孔(27)から露出する前記接着剤(90)を硬化させる工程と、
前記接着剤(90)の全体を硬化させる工程と、
をさらに含む
付記A12に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0193】
[付記A14]
前記基板貫通孔(27)および前記パターン貫通孔(34)は複数設けられており、
前記基板貫通孔(27)から露出する前記接着剤(90)を硬化させる工程では、複数の前記基板貫通孔(27)から露出する前記接着剤(90)に対して前記紫外線を同時に照射する
付記A13に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0194】
[付記A15]
前記紫外線は、前記基板裏面(22)側から照射する
付記A13またはA14に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0195】
[付記A16]
前記接着剤(90)の全体を硬化させる工程では、前記接着剤(90)を熱硬化させる
付記A13~A15のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0196】
[付記A17]
前記接着剤(90)の全体を硬化させる工程では、前記キャップ(70)側から紫外線を照射することによって前記接着剤(90)を硬化させる
付記A13~A15のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0197】
[付記A18]
前記接着パターン(33)に前記接着剤(90)を塗布する工程では、前記パターン貫通孔(34)を介して前記基板貫通孔(27)に入り込むように前記接着パターン(33)に前記接着剤(90)を塗布する
付記A12~A17のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0198】
[付記A19]
基板表面(21)および前記基板表面(21)とは反対側の基板裏面(22)を有し、前記基板表面(21)に枠状の接着パターン(33)が形成され、前記接着パターン(33)にパターン貫通孔(34)が形成され、前記パターン貫通孔(34)に連通する基板貫通孔(27)が前記基板(20)に形成された基板(20)を用意する工程と、
前記基板(20)上において前記接着パターン(33)の枠内に半導体発光素子(60)を配置する工程と、
前記接着パターン(33)に接着剤(90)を塗布する工程と、
キャップ(70)を前記接着剤(90)上に配置して前記半導体発光素子(60)を収容する工程と、
前記基板貫通孔(27)から露出する前記接着剤(90)に紫外線を照射することによって、前記基板貫通孔(27)から露出する前記接着剤(90)を硬化させる工程と、
前記接着剤(90)の全体を硬化させる工程と、
を含む、半導体発光装置(10)の製造方法。
【0199】
[付記A19が解決しようとする課題]
接着剤によって接着パターンとキャップとを接着する場合、接着剤の硬化にともない接着パターンに対してキャップの開口端面が平行ではなく、基板の厚さ方向に直交する方向に対して傾いた状態で接着される場合がある。
【0200】
[付記A19の効果]
本開示の半導体発光装置の製造方法によれば、接着剤の硬化にともない接着パターンに対してキャップの開口端面が平行ではなく、基板の厚さ方向に直交する方向に対して傾いた状態で接着されることを抑制できる。
【0201】
[付記A20]
前記基板貫通孔(27)および前記パターン貫通孔(33)は複数設けられており、
前記基板貫通孔(27)から露出する前記接着剤(90)を硬化させる工程では、複数の前記基板貫通孔(27)から露出する前記接着剤(90)に対して前記紫外線を同時に照射する
付記A19に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0202】
[付記A21]
前記紫外線は、前記基板裏面(22)側から照射する
付記A19またはA20に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0203】
[付記A22]
前記接着剤(90)は、紫外線・熱硬化併用型接着剤が用いられ、
前記接着剤(90)の全体を硬化させる工程では、前記接着剤(90)を熱硬化させる
付記A19~A21のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0204】
[付記A23]
前記接着剤(90)は、紫外線硬化型接着剤が用いられ、
前記接着剤(90)の全体を硬化させる工程では、前記キャップ(70)側から紫外線を照射することによって前記接着剤(90)を硬化させる
付記A19~A21のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0205】
[付記B1]
基板(20)と、
前記基板(20)上に実装された半導体発光素子(60)と、
前記半導体発光素子(60)を収容するキャップ(70)と、
前記基板(20)上に設けられ、前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て前記半導体発光素子(60)を囲む枠状に形成された接着パターン(100)と、
前記キャップ(70)と前記接着パターン(100)とを接着している接着剤(110)と、
を備え、
前記接着剤(110)は、
前記接着パターン(100)の内側部分に設けられた薄接着層(111)と、
前記接着パターン(100)の外側部分に設けられ、前記薄接着層(111)よりも厚さが厚い厚接着層(112)と、
を含む
半導体発光装置(10)。
【0206】
[付記B2]
前記接着パターン(100)は、
前記接着パターン(100)の内側部分に設けられた高段部(101)と、
前記接着パターン(100)の外側部分に設けられ、前記高段部(101)よりも厚さが薄い低段部(102)と、
を含み、
前記薄接着層(111)は、前記高段部(101)と前記キャップ(70)との間に設けられ、
前記厚接着層(112)は、前記低段部(102)と前記キャップ(70)との間に設けられている
付記B1に記載の半導体発光装置。
【0207】
[付記B3]
前記接着パターン(100)は、前記低段部(102)と前記高段部(101)との間に設けられた段差部(103)を含み、
前記接着剤(110)は、前記段差部(103)に接している
付記B2に記載の半導体発光装置。
【0208】
[付記B4]
前記低段部(102)は、前記接着パターン(100)の全周にわたり形成されている
付記B2またはB3に記載の半導体発光装置。
【0209】
[付記B5]
前記低段部(102)の上面は、前記高段部(101)の上面よりも面粗度が大きい粗面である
付記B2~B4のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0210】
[付記B6]
前記低段部(102)の幅寸法(WA2)は、前記高段部(101)の幅寸法(WA1)と等しい
付記B2~B5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0211】
[付記B7]
前記低段部(102)の幅寸法(WA2)は、前記高段部(101)の幅寸法(WA1)よりも大きい
付記B2~B5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0212】
[付記B8]
前記低段部(102)の幅寸法(WA2)は、前記高段部(101)の幅寸法(WA1)よりも小さい
付記B2~B5のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0213】
[付記B9]
前記キャップ(70)は、前記基板(20)に向けて開口した箱状であって、前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記半導体発光素子(60)を囲む枠状の側壁(71~74)を含み、
前記薄接着層(111)および前記厚接着層(112)の双方は、前記側壁(71~74)の開口端面(76)と接している
付記B1~B8のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0214】
[付記B10]
前記開口端面(76)は、平坦面である
付記B9に記載の半導体発光装置。
【0215】
[付記B11]
前記キャップ(70)の前記側壁(71~74)の幅寸法(WB)は、前記接着パターン(100)の幅寸法(WA)と等しい
付記B9またはB10に記載の半導体発光装置。
【0216】
[付記B12]
前記半導体発光素子は、前記半導体発光素子からの光が前記キャップ(70)の前記側壁(74)を介して前記半導体発光装置(10)の外部に出射されるように構成された端面発光素子(60)である
付記B9~B11のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0217】
[付記B13]
前記キャップ(70)は、前記基板(20)に向けて開口した箱状であって、前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記半導体発光素子(60)を囲む枠状の側壁(71~74)を含み、
前記半導体発光素子は、前記半導体発光素子からの光が前記キャップ(70)の前記側壁(74)を介して前記半導体発光装置(10)の外部に出射されるように構成された端面発光素子(60)であり、
前記薄接着層(111)および前記厚接着層(112)の双方は、前記側壁(71~74)の開口端面(76)と接しており、
前記接着パターン(100)のうち前記端面発光素子(60)に対して前記端面発光素子(60)の出射方向に設けられた部分は、前記低段部(102)が設けられず、前記高段部(101)で構成されている
付記B2~B8のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0218】
[付記B14]
基板(20)上に半導体発光素子(60)を配置する工程と、
前記基板(20)に設けられ、前記半導体発光素子(60)を囲む枠状の接着パターン(100)上に接着剤(110)を塗布する工程と、
キャップ(70)を前記接着剤(110)上に配置して前記半導体発光素子(60)を収容する工程と、
前記接着剤(110)を硬化して前記接着パターン(100)に前記キャップ(70)を接着する工程と、
を含み、
前記キャップ(70)を前記接着剤(110)上に配置して前記半導体発光素子(60)を収容する工程では、前記キャップ(70)と前記接着パターン(100)との間に、前記接着パターン(100)の内側部分に設けられた薄接着層(111)と、前記接着パターン(100)の外側部分に設けられ、前記薄接着層(111)よりも厚さが厚い厚接着層(112)と、を含む前記接着剤(110)を形成する
半導体発光装置(10)の製造方法。
【0219】
[付記B15]
前記接着パターン(100)を形成する工程は、
厚さが一定であり、かつ枠状のパターン層(105)を形成する工程と、
前記パターン層(105)の前記外側部分を前記パターン層(105)の前記内側部分よりも薄くすることによって前記接着パターン(100)を形成する工程と、
を含む
付記B14に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0220】
[付記B16]
前記接着パターン(100)は、前記パターン層(105)の前記内側部分を構成する高段部(101)と、前記パターン層(105)の前記内側部分よりも薄い前記パターン層(105)の前記外側部分を構成する低段部(102)と、を含み、
前記接着パターン(100)上に接着剤(110)を塗布する工程では、前記接着剤(110)を前記高段部(101)には塗布せずに前記低段部(102)に塗布する
付記B15に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0221】
[付記B17]
前記接着パターン(100)を形成する工程は、前記低段部(102)の上面を前記高段部(101)の上面よりも面粗度が大きい粗面とする工程を含む
付記B16に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0222】
[付記B18]
前記接着パターン(100)を形成する工程では、レーザ照射またはエッチングによって前記パターン層(105)の前記外側部分を薄くすることによって前記高段部(101)と前記低段部(102)とを形成する
付記B17に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0223】
[付記B19]
前記キャップ(70)は、前記基板(20)に向けて開口した箱状であって、前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記半導体発光素子(60)を囲む枠状の側壁(71~74)を含み、
前記側壁(71~74)は、開口端面(76)を有し、
前記開口端面(76)は、
前記開口端面(76)の内側部分に設けられた内側端面(77)と、
前記開口端面(76)の外側部分に設けられ、前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)において前記内側端面(77)よりも前記接着パターン(100)から離れた外側端面(78)と、
を含み、
前記薄接着層(111)は、前記接着パターン(100)と前記内側端面(77)との間に設けられ、
前記厚接着層(112)は、前記接着パターン(100)と前記外側端面(78)との間に設けられている
付記B1に記載の半導体発光装置。
【0224】
[付記B20]
前記接着パターン(100)は、
前記接着パターン(100)の内側部分に設けられた高段部(101)と、
前記接着パターン(100)の外側部分に設けられ、前記高段部(101)よりも厚さが薄い低段部(102)と、
を含み、
前記薄接着層(111)は、前記高段部(101)と前記内側端面(77)との間に設けられ、
前記厚接着層(112)は、前記低段部(102)と前記外側端面(78)との間に設けられている
付記B1に記載の半導体発光装置。
【0225】
[付記B21]
前記基板(20)の厚さ方向(Z方向)から視て、前記基板(20)のうち前記接着剤(110)と重なる位置には基板貫通孔(27)が設けられており、
前記接着パターン(100)には、前記基板貫通孔(27)と連通するパターン貫通孔(104)が形成されており、
前記接着剤(110)の一部は、前記パターン貫通孔(104)に入り込んでいる
付記B20に記載の半導体発光装置。
【0226】
[付記B22]
前記基板貫通孔(27)および前記パターン貫通孔(104)の双方が複数設けられている
付記B21に記載の半導体発光装置。
【0227】
[付記B23]
前記基板貫通孔(27)には、前記接着剤(100)が入り込んでいる
付記B21またはB22に記載の半導体発光装置。
【0228】
[付記B24]
前記キャップ(70)は、樹脂、ガラス、金属、およびセラミックのいずれかによって形成されている
付記B1~B13、およびB19~B23のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0229】
[付記B25]
前記接着剤(110)は、熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤である
付記B1~B13、およびB19~B24のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【0230】
[付記B26]
前記キャップ(70)を前記接着剤(110)上に配置して前記半導体発光素子(60)を収容する工程では、前記低段部(102)に塗布した前記接着剤(110)上を、前記キャップ(70)によって前記高段部(101)上に移動させることによって前記薄接着層(111)を形成する
付記B14~B18のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0231】
[付記B27]
前記接着剤(110)は、熱硬化型接着剤が用いられ、
前記接着剤(110)を硬化して前記接着パターン(100)に前記キャップ(70)を接着する工程では、前記接着剤(110)を熱硬化させる
付記B14~B18、B26のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0232】
[付記B28]
前記接着剤(110)は、紫外線硬化型接着剤が用いられ、
前記接着剤(110)を硬化して前記接着パターン(100)に前記キャップ(70)を接着する工程では、前記キャップ(70)側から紫外線を照射することによって前記接着剤(110)を硬化させる
付記B14~B18、B26のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【0233】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0234】
10…半導体発光装置
20…基板
21…基板表面
22…基板裏面
23~26…第1~第4基板側面
27…基板貫通孔
30…表面電極
31…素子表面電極
32…ワイヤ接続電極
33…接着パターン
33A…裏面
34…パターン貫通孔
35…レジストパターン
40…裏面電極
41…素子裏面電極
42…ワイヤ裏面電極
50…貫通配線
51…素子用貫通配線
52…ワイヤ用貫通配線
60…端面発光素子
61…素子表面
62…素子裏面
63…素子電極
64…裏面電極
65…発光部
70…キャップ
71~74…第1~第4封止側壁
75…上壁
76…開口端面
77…内側端面
78…外側端面
79…段差部
80…サブマウント基板
81…表面
82…裏面
83…貫通配線
90…接着剤
91…表面接着部
91A…重なり部
92…パターン接着部
93…基板接着部
94…部分硬化部
95…突出部
100…接着パターン
101…高段部
102…低段部
103…段差部
104…パターン貫通孔
105…パターン層
110…接着剤
111…薄接着層
112…厚接着層
113…表面接着部
114…パターン接着部
115…基板接着部
S…密閉空間
W…ワイヤ
WA…接着パターンの幅寸法
WA1…高段部の幅寸法
WA2…低段部の幅寸法
WB…キャップの第1~第4側壁の幅寸法
WB1…キャップの内側部分の幅寸法
WB2…キャップの外側部分の幅寸法