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特開2024-137101点検支援システム、移動体及び移動体用装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137101
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】点検支援システム、移動体及び移動体用装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048481
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】小林 充
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA00
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】点検作業を省力化すること。
【解決手段】点検支援システム2は、設備12,16に固有の識別情報が記憶されたRFIDタグ3と、データベース71と、清掃ロボット4と、移動体用装置5と、移動体側制御部56と、を備える。移動体用装置5は、リーダライタ装置54と、カメラ52と、移動体側通信部55と、を有する。リーダライタ装置54とRFIDタグ3とは、第1信号及び第2信号を送受信する。移動体側制御部56は、RFIDタグ3とリーダライタ装置54とが通信状態であるか否かを判定する通信判定部561を有し、通信判定部561により通信状態であると判定された場合にはカメラ52に撮像を実行させる。移動体側制御部56は、リーダライタ装置54により受信された識別情報と、カメラ52の撮像結果である撮像情報との外部への送信を、移動体側通信部55に実行させる。データベース71は、識別情報と撮像情報とを関連付けて記憶する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の点検を支援する点検支援システムであって、
前記設備に配置され、前記設備を特定可能な情報である識別情報が記憶されたRFIDタグと、
各種情報を記憶するデータベースと、
移動体と、
前記移動体とともに移動し、前記RFIDタグと通信するリーダライタ装置と、
前記移動体とともに移動する撮像部と、
前記移動体とともに移動し、外部との間で情報を送受信する情報通信部と、
前記リーダライタ装置と、前記撮像部と、前記情報通信部と、を制御する制御部と、
を備え、
前記リーダライタ装置は、第1信号を発信可能であり、
前記RFIDタグは、前記第1信号を受信した場合に、前記識別情報を含んだ第2信号を発信し、
前記制御部は、前記RFIDタグと前記リーダライタ装置とが、前記第1信号及び前記第2信号の送受信を行っている状態である通信状態であるか否かを判定する通信判定部を有し、前記通信判定部により前記通信状態であると判定された場合には前記撮像部に撮像を実行させ、前記リーダライタ装置により受信された前記第2信号に含まれる前記識別情報と、前記撮像部の撮像結果である撮像情報と、の外部への送信を、前記情報通信部に実行させ、
前記データベースは、前記情報通信部により送信された前記識別情報及び前記撮像情報を関連付けて記憶する、点検支援システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記リーダライタ装置に所定の発信間隔で前記第1信号を発信させ、前記通信判定部により前記通信状態であると判定された場合と、前記通信判定部により前記通信状態であると判定されなかった場合とでは、前記所定の発信間隔を異ならせる、請求項1に記載の点検支援システム。
【請求項3】
前記RFIDタグは、当該識別情報と関連付けられた前記設備を前記撮像部が撮像する場合の前記撮像部の設定に関する設定情報を記憶し、
前記制御部は、前記リーダライタ装置が前記第2信号を受信した場合には、前記撮像部に、当該第2信号に含まれる前記設定情報に従って撮像を実行させる、請求項1又は2に記載の点検支援システム。
【請求項4】
前記撮像部は、撮像時の角度を調整可能に設けられ、
前記設定情報は、当該識別情報と関連付けられた前記設備を前記撮像部が撮像する場合の前記角度に関する撮像角度情報を、を含み、
前記制御部は、前記リーダライタ装置が前記第2信号を受信した場合には、当該第2信号に含まれる前記撮像角度情報に基づいて、前記撮像部の角度を調整する、請求項3に記載の点検支援システム。
【請求項5】
前記設備は、前記点検の対象とされる対象設備と、前記点検の対象とされない対象外設備と、を含み、
前記RFIDタグは、前記識別情報として、前記対象設備に固有の情報である対象設備識別情報と、前記対象外設備に固有の情報である対象外設備識別情報と、のうちいずれか一方を記憶し、
前記制御部は、前記リーダライタ装置により前記対象設備識別情報を含む前記第2信号が受信された場合と、前記リーダライタ装置により前記対象外設備識別情報を含む前記第2信号が受信された場合と、で、前記所定の発信間隔を異なる長さにする、請求項2に記載の点検支援システム。
【請求項6】
前記RFIDタグは、前記設備が点検時に充足すべき確認事項に関する情報である確認事項情報を記憶し、
前記確認事項情報と、前記撮像情報と、に基づいて、前記設備が前記確認事項を充足しているか否かを判定する正否判定部と、
前記正否判定部の判定結果を提示する提示部と、
を備える、請求項1に記載の点検支援システム。
【請求項7】
複数の前記撮像情報に基づいて一の前記撮像情報を合成する撮像情報合成部を備え、
前記正否判定部は、前記確認事項情報と、前記撮像情報合成部の合成結果と、に基づいて、前記設備が前記確認事項を充足しているか否かを判定する、請求項6に記載の点検支援システム。
【請求項8】
前記確認事項情報は、前記設備の使用期限と関連付けて設定された所定の期限に関する情報である期限情報を含み、
現在の日付を取得する日付取得部を備え、
前記正否判定部は、前記期限情報と、前記日付取得部の取得結果と、に基づいて、前記所定の期限が経過しているか否かを判定し、
前記提示部は、前記正否判定部により前記所定の期限が経過していると判定された場合に、前記正否判定部による判定結果を提示する、請求項6又は7に記載の点検支援システム。
【請求項9】
前記移動体は、移動型ロボットであり、
前記リーダライタ装置と、前記撮像部と、は、前記移動型ロボットに搭載されている、請求項1又は2に記載の点検支援システム。
【請求項10】
前記設備の位置をマッピングするマッピング部を備え、
前記マッピング部は、前記正否判定部の判定結果に基づいて、前記確認事項を充足していない前記設備の位置をマッピングする、請求項6に記載の点検支援システム。
【請求項11】
前記RFIDタグは、軸状をなし被着体に挿入されるインサート部と、前記RFIDタグを内蔵する頭部と、を有するRFIDタグ付き着装部材に内蔵され、
前記RFIDタグ付き着装部材は、前記設備に装着される、請求項1又は2に記載の点検支援システム。
【請求項12】
前記点検の対象となる前記設備は、消火器である、請求項1又は2に記載の点検支援システム。
【請求項13】
前記撮像情報は、静止画である、請求項1又は2に記載の点検支援システム。
【請求項14】
設備の点検を支援すべく、前記設備に配置され且つ前記設備を特定可能な情報である識別情報が記憶されたRFIDタグとともに用いられ、
前記RFIDタグと通信するリーダライタ装置と、
撮像部と、
外部に情報を送信する情報通信部と、
前記リーダライタ装置と、前記撮像部と、前記情報通信部と、を制御する制御部と、
を備え、
前記リーダライタ装置は、第1信号を発信し、
前記RFIDタグは、前記第1信号を受信した場合に、前記識別情報を含んだ第2信号を発信し、
前記制御部は、前記RFIDタグと前記リーダライタ装置とが、前記第1信号及び前記第2信号の送受信を行っている状態である通信状態であるか否かを判定する通信判定部を有し、前記撮像部に、前記通信判定部により前記通信状態であると判定された場合には、撮像を実行させ、前記情報通信部に、前記リーダライタ装置により受信された前記第2信号に含まれる前記識別情報と、前記撮像部の撮像結果である撮像情報と、を外部に送信させる、移動体。
【請求項15】
移動体に搭載される移動体用装置であって、
設備の点検を支援すべく、前記設備に配置され且つ前記設備を特定可能な情報である識別情報が記憶されたRFIDタグとともに用いられ、
前記RFIDタグと通信するリーダライタ装置と、
撮像部と、
外部に情報を送信する情報通信部と、
前記リーダライタ装置と、前記撮像部と、前記情報通信部と、を制御する制御部と、
を備え、
前記リーダライタ装置は、第1信号を発信し、
前記RFIDタグは、前記第1信号を受信した場合に、前記識別情報を含んだ第2信号を発信し、
前記制御部は、前記RFIDタグと前記リーダライタ装置とが、前記第1信号及び前記第2信号の送受信を行っている状態である通信状態であるか否かを判定する通信判定部を有し、前記撮像部に、前記通信判定部により前記通信状態であると判定された場合には、撮像を実行させ、前記情報通信部に、前記リーダライタ装置により受信された前記第2信号に含まれる前記識別情報と、前記撮像部の撮像結果である撮像情報と、を外部に送信させる、移動体用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検支援システム、移動体及び移動体用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設備の管理を支援する技術が知られている。例えば、特許文献1のシステムによれば、消防設備には、RFID等の識別子が付されている。識別子には、当該消防設備の識別情報が記憶されている。管理手段において、消防設備の識別情報は、消防設備の過去の点検結果等の情報である設置関連情報と関連付けて記憶されている。作業者が、識別情報取得手段により識別子から識別情報を取得すると、管理手段は、当該識別情報と、当該識別情報と関連付けて記憶された設置関連情報とに基づいて、表示部に、消防設備が点検済みであるか否かを表示させる。これにより、未点検の消防設備を容易に発見することができるため、消防設備の管理を容易化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-128480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、点検作業自体は人の手で行わなければならず、この点について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、点検作業の省力化を実現可能な点検支援システム、移動体及び移動体用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の点検支援システムは、設備の点検を支援する点検支援システムであって、前記設備に配置され、前記設備を特定可能な情報である識別情報が記憶されたRFIDタグと、各種情報を記憶するデータベースと、移動体と、前記移動体とともに移動し、前記RFIDタグと通信するリーダライタ装置と、前記移動体とともに移動する撮像部と、前記移動体とともに移動し、外部との間で情報を送受信する情報通信部と、前記リーダライタ装置と、前記撮像部と、前記情報通信部と、を制御する制御部と、を備え、前記リーダライタ装置は、第1信号を発信可能であり、前記RFIDタグは、前記第1信号を受信した場合に、前記識別情報を含んだ第2信号を発信し、前記制御部は、前記RFIDタグと前記リーダライタ装置とが、前記第1信号及び前記第2信号の送受信を行っている状態である通信状態であるか否かを判定する通信判定部を有し、前記通信判定部により前記通信状態であると判定された場合には前記撮像部に撮像を実行させ、前記リーダライタ装置により受信された前記第2信号に含まれる前記識別情報と、前記撮像部の撮像結果である撮像情報と、の外部への送信を、前記情報通信部に実行させ、前記データベースは、前記情報通信送信部により送信された前記識別情報及び前記撮像情報を関連付けて記憶する。
【0007】
また、本発明の移動体は、設備の点検を支援すべく、前記設備に配置され且つ前記設備を特定可能な情報である識別情報が記憶されたRFIDタグとともに用いられ、前記RFIDタグと通信するリーダライタ装置と、撮像部と、外部に情報を送信する情報通信部と、前記リーダライタ装置と、前記撮像部と、前記情報通信部と、を制御する制御部と、
を備え、前記リーダライタ装置は、第1信号を発信し、前記RFIDタグは、前記第1信号を受信した場合に、前記識別情報を含んだ第2信号を発信し、前記制御部は、前記RFIDタグと前記リーダライタ装置とが、前記第1信号及び前記第2信号の送受信を行っている状態である通信状態であるか否かを判定する通信判定部を有し、前記撮像部に、前記通信判定部により前記通信状態であると判定された場合には、撮像を実行させ、前記情報通信部に、前記リーダライタ装置により受信された前記第2信号に含まれる前記識別情報と、前記撮像部の撮像結果である撮像情報と、を外部に送信させる。
【0008】
また、本発明の移動体用装置は、移動体に搭載される移動体用装置であって、設備の点検を支援すべく、前記設備に配置され且つ前記設備を特定可能な情報である識別情報が記憶されたRFIDタグとともに用いられ、前記RFIDタグと通信するリーダライタ装置と、撮像部と、外部に情報を送信する情報通信部と、前記リーダライタ装置と、前記撮像部と、前記情報通信部と、を制御する制御部と、を備え、前記リーダライタ装置は、第1信号を発信し、前記RFIDタグは、前記第1信号を受信した場合に、前記識別情報を含んだ第2信号を発信し、前記制御部は、前記RFIDタグと前記リーダライタ装置とが、前記第1信号及び前記第2信号の送受信を行っている状態である通信状態であるか否かを判定する通信判定部を有し、前記撮像部に、前記通信判定部により前記通信状態であると判定された場合には、撮像を実行させ、前記情報通信部に、前記リーダライタ装置により受信された前記第2信号に含まれる前記識別情報と、前記撮像部の撮像結果である撮像情報と、を外部に送信させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、点検作業の省力化を実現可能な点検支援システム、移動体及び移動体用装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】点検支援システム2の概略を示す図である。
図2】清掃ロボット4及び移動体用装置5の構成を示す斜視図である。
図3】清掃ロボット4及び移動体用装置5の構成を示す側面図である。
図4】点検支援システム2の電気的構成を示す図である。
図5】発信モード設定処理の流れを示すフローチャートである。
図6】点検支援処理の流れを示すフローチャートである。
図7】表Tがタッチパネル81に表示された状態を示す図である。
図8】地図Mがタッチパネル81に表示された状態を示す図である。
図9】別例に係る点検用移動体100の構成を示す斜視図である。
図10】RFIDタグ付き着装部材110の構成を示す斜視図である。
図11】RFIDタグ付き着装部材110が消火器13に取り付けられた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る点検支援システム2について、図1図4を参照しつつ説明する。点検支援システム2は、設備の点検を支援するためのシステムである。点検の対象となる設備(「対象設備」ということがある)としては、例えば、防災設備が想定されている。
【0012】
(防災設備12)
図1に示すように、建物1には、集会室11が設けられている。集会室11には、設備として、防災設備12が設けられている。防災設備12は、消火器13と、誘導灯14と、を含む。消火器13は、集会室11の床に立てた状態で配置されている。誘導灯14は、集会室11の天井に取り付けられており、詳しくは、集会室11の出入口11aの上方に設けられている。なお、消火器13と、誘導灯14とは、特に区別する必要がない場合、まとめて「防災設備12」ということがある。また、図示していないが、建物1において、消火器13と、誘導灯14とは、それぞれ複数設けられている。
【0013】
防災設備12は、定期的に点検される。消火器13は、例えば、「使用期限が未経過であること」、「その指示圧力計の指示値が所定の範囲であること」、「その周辺に一定の空間が設けられている必要があること」、「消火器が所定の設置場所(以下、単に「定位置」ということがある)に設置されていること」等の項目について点検される。誘導灯14は、例えば、「点灯状態であること」等の項目について点検される。また、それらの点検項目については、消防法等により、点検を定期的(例えば、6か月毎)に実施することや、点検結果の消防関係機関への報告を定期的(例えば、1年毎)に実施することが義務付けられている場合がある。防災設備12は、対象設備に相当する。
【0014】
(清掃ロボット4)
集会室11には、清掃ロボット4が配備されている。清掃ロボット4は、床上を自走(自律運転)する移動型ロボットであり、床上を無人で清掃する。また、集会室11には、設備として、清掃ロボット4が収容される基地16が設けられている。清掃ロボット4は、基地16に収容されている。清掃ロボット4は、例えば、所定の時刻になると走行を開始し、集会室11内を自律運転により走行しながら集会室11の床の清掃を行う。清掃ロボット4は、集会室11の清掃を終えると基地16に戻り、以降、所定の時刻になる度に、同様の動作を繰り返す。なお、基地16は、点検の対象として想定されておらず、対象外設備に相当する。また、防災設備12と、基地16とは、まとめて「設備12,16」ということがある。清掃ロボット4は、移動体及び移動型ロボットに相当する。
【0015】
(点検支援システム2の構成)
点検支援システム2は、設備12,16に配置され、設備12,16を特定可能な情報である識別情報が記憶されたRFIDタグ3と、移動体に搭載される移動体用装置5と、ホストサーバ7と、タブレット端末8と、を備える。
【0016】
(RFIDタグ3)
RFIDタグ3は、パッシブ型タグである。RFIDタグ3は、電源を内蔵せず、後述するリーダライタ装置54から電波を受けて、この電波を電源として駆動する。RFIDタグ3は、情報を記録するICチップ(図示略)と、無線通信するためのアンテナ(図示略)とを含んで構成されている。RFIDタグ3は、消火器13に取り付けられた消火器タグ33と、誘導灯14に取り付けられた誘導灯タグ34と、基地16に取り付けられた基地タグ36と、を含む。なお、RFIDタグ3は、設備12,16に直接取り付けられていてもよいし、それらの近くに配置されていてもよい。
【0017】
RFIDタグ3は、設備12,16に関する情報である設備情報(詳しくは後述)を記憶可能である。RFIDタグ3には、設備情報として、識別情報が少なくとも記憶されている。なお、防災設備12に固有の識別情報は、対象設備識別情報に相当し、基地16に固有の識別情報は、対象外設備識別情報に相当する。消火器タグ33と、誘導灯タグ34と、基地タグ36とは、特に区別する必要がない場合、まとめて「RFIDタグ3」ということがある。
【0018】
RFIDタグ3は、後述するリーダライタ装置54から第1信号を受信すると、第2信号を発信する。RFIDタグ3は、少なくとも識別情報を第2信号に含ませる。RFIDタグ3は、RFIDタグ3に記憶された設備情報のうち、識別情報以外の情報についても、第2信号に含ませることが可能である。第2信号が到達可能な範囲は、第2通信範囲R2とする。第2通信範囲R2は、平面視で円形状をなしている。
【0019】
(移動体用装置5)
図2及び図3に示すように、移動体用装置5は、清掃ロボット4に搭載されている。図4に示すように、移動体用装置5は、箱状の筐体51と、カメラ52と、カメラ52を支持するカメラマウント53と、リーダライタ装置54と、移動体側通信部55と、移動体側制御部56と、移動体用装置5の電力供給源であるバッテリ57と、各種情報を記憶するメモリ58と、計時を行うタイマ59と、を有する。
【0020】
筐体51は、清掃ロボット4の上面に載置されている。筐体51と、清掃ロボット4とは、例えば、接着シートや粘着シートにより固定される。筐体51の内部には、リーダライタ装置54と、移動体側通信部55と、バッテリ57と、メモリ58と、計時を移動体側制御部56とが収容されている。筐体51の上面には、カメラ52及びカメラマウント53が固定されている。
【0021】
カメラ52は、撮像を実行可能であり、撮像部に相当する。カメラ52は、例えば、CMOSセンサやCCDセンサを搭載した産業用カメラや工業用カメラとされ、撮像範囲IA内の物体を撮像する。カメラ52は、撮像を実行すると、その撮像結果である撮像情報をメモリ58に記憶させる。撮像情報は、例えば、静止画である。
【0022】
カメラ52は、カメラ52の位置を取得する撮像位置取得部521を有する。撮像位置取得部521は、カメラ52が撮像を実行した際のカメラ52の位置に関する情報である撮像位置情報を取得する。カメラ52は、撮像位置情報を、対応する撮像情報に含ませてメモリ58に記憶させる。
【0023】
カメラマウント53は、サーボモータ531を有する。カメラマウント53は、その傾きを、サーボモータ531の駆動力により調節される。これにより、カメラ52の撮像時の角度が調節される。カメラマウント53の傾きは、例えば、カメラ52の撮像時の角度を、水平面に対して5°上向きとする「中」と、水平面に対して80°上向きとする「上」との2段階で設定可能である。なお、カメラ52は、撮像時に水平面に対して下向きとされることを選択可能にしてもよい。
【0024】
リーダライタ装置54は、RFIDタグ3と通信する。リーダライタ装置54は、所定の発信間隔で第1信号を発信する。第1信号は、RFIDタグ3に第2信号の発信をリクエストする信号である。第1信号が到達可能な範囲は、第1通信範囲R1とする。第1通信範囲R1は、平面視で円形状をなしている。
【0025】
リーダライタ装置54は、RFIDタグ3から発信された第2信号を受信する。リーダライタ装置54は、第2信号を受信すると、当該第2信号に含まれている情報を、メモリ58に記憶させる。なお、リーダライタ装置54とRFIDタグ3との間で、第1信号及び第2信号の送受信が成立している状態を、「通信状態」であるとする。
【0026】
なお、第1通信範囲R1は、平面視で円形をなしている。第2通信範囲R2は、第1通信範囲R1よりも小さく設定されている。したがって、リーダライタ装置54とRFIDタグ3とは、リーダライタ装置54が第2通信範囲R2に入っている場合に、通信状態となることができる。
【0027】
具体的には、清掃ロボット4がRFIDタグ3に接近していくと、まず、RFIDタグ3が第1通信範囲R1に入る。そうすると、RFIDタグ3は、第1信号を受信可能となる。RFIDタグ3は、第1信号を受信すると、第2信号を発信する。ただし、当該第2信号はリーダライタ装置54には到達しない。次いで、清掃ロボット4がRFIDタグ3に更に接近していくと、リーダライタ装置54が第2通信範囲R2に入る。そうすると、リーダライタ装置54は、第2信号を受信可能となり、リーダライタ装置54とRFIDタグ3とは、通信状態となる。次いで、清掃ロボット4がRFIDタグ3から離間していくと、第2通信範囲R2の外に出る。リーダライタ装置54は、第2信号を受信できなくなる。そうすると、リーダライタ装置54とRFIDタグ3との通信状態は、解除される。
【0028】
移動体側通信部55は、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信により、外部の装置との間で情報を送受信する。移動体側通信部55は、リーダライタ装置54により取得された第2信号に含まれる情報を、ホストサーバ7に送信する。移動体側通信部55がホストサーバ7に送信する情報は、例えば、メモリ58に記憶されている。なお、移動体側通信部55は、第2信号に含まれる情報の全てをホストサーバ7に送信する必要はない。また、移動体側通信部55は、情報通信部に相当する。
【0029】
移動体側制御部56は、マイクロプロセッサからなる処理装置(CPU)及びRAM、ROM、EEPROM等を含んで構成され、移動体用装置5に設けられた各種装置を制御する。移動体側制御部56は、制御部に相当する。
【0030】
(ホストサーバ7)
ホストサーバ7は、防災設備12に関する情報を管理し、後述する点検支援処理等の各種処理を実行する。ホストサーバ7は、例えば、建物1内の管理室(図示略)に設けられている。ホストサーバ7は、データベース71と、サーバ通信部72と、サーバ制御部73と、を有する。
【0031】
データベース71は、例えばハードディスクにより構成され、各種情報を記憶する。詳しくは後述するが、データベース71は、防災設備12の識別情報と、識別情報以外の設備情報であって当該識別情報と対応するものとを、関連付けて記憶する。なお、「データベース71に関連付けて記憶」とは、例えば、ある識別情報と、その他の情報とを、当該識別情報が指定された際に、当該他の情報が、データベース71に記憶されたデータの群から抽出され得るようにデータベース71に記憶することをいう。
【0032】
サーバ通信部72は、外部の装置との間で情報を送受信する。サーバ通信部72は、移動体用装置5やタブレット端末8との間で情報を送受信する。
【0033】
サーバ制御部73は、マイクロプロセッサからなる処理装置(CPU)及びRAM、ROM、EEPROM等を含んで構成され、ホストサーバ7における各種処理を実行する。
【0034】
(タブレット端末8)
タブレット端末8は、例えば、防災設備12の管理者(単に「管理者」ということがある)に携帯される。タブレット端末8は、端末通信部82と、タッチパネル81と、を有する。
【0035】
端末通信部82は、無線通信により、外部の装置との間で情報を送受信する。端末通信部82は、ホストサーバ7との間で情報を送受信する。
【0036】
タッチパネル81は、各種情報を表示可能であり、例えば、ホストサーバ7から送信された各種情報を表示可能である。タッチパネル81は、タッチ操作により操作される。管理者は、タッチパネル81を操作して、ホストサーバ7に各種情報を入力したり、ホストサーバ7に各種処理を実行させたりすることが可能である。
【0037】
(設備情報)
続いて、設備情報について説明する。設備情報は、少なくとも識別情報を含む。設備情報は、例えば、設定情報と、確認事項情報と、を含む。設備情報は、RFIDタグ3及びデータベース71のうち少なくともいずれかに記憶されている。
【0038】
設定情報は、撮像時のカメラ52の設定に関する情報である。設定情報は、例えば、撮像角度情報を含む。
【0039】
撮像角度情報は、撮像時のカメラ52の角度に関する情報である。撮像角度情報は、例えば、当該防災設備12の撮像に際して、カメラ52の角度を、「中」、「高」のいずれに設定するかを指定するものである。例えば、消火器13は、床面に直立状態で配置されるため、消火器13に対応する撮像角度情報は、「中」を指定するものとされる。誘導灯14は、天井に設けられるため、誘導灯14に対応する撮像角度情報は、「高」を指定するものとされる。
【0040】
なお、設定情報は、例えば、RFIDタグ3に記憶されている。例えば、消火器13のRFIDタグ3には、カメラ52の角度を「中」とする撮像角度情報が記憶される。誘導灯14のRFIDタグ3には、カメラ52の角度を「高」とする撮像角度情報が記憶される。また、設定情報は、これに限定されるものではなく、例えば、撮像時のカメラ52のズーム倍率に関する情報である倍率情報といったものも含み得る。
【0041】
確認事項情報は、防災設備12が点検時に充足すべき確認事項に関する情報である。まず、確認事項とは、消火器13の場合、例えば、「使用期限が未経過であること」、「その指示圧力計の指示値が所定の範囲であること」、「その周辺に一定の空間が設けられている必要があること」、「消火器が所定の設置場所(以下、単に「定位置」ということがある)に設置されていること」といった事項である。誘導灯14の場合、例えば、「点灯状態であること」といった事項である。
【0042】
確認事項情報は、例えば、期限情報と、定位置情報と、適正外観情報と、を含む。
【0043】
期限情報は、防災設備12の使用期限と関連付けて設定された所定の期限に関する情報である。例えば、消火器13は、使用期限が未経過のものであることを要するところ、この使用期限は、所定の期限として設定され得る。また、所定の期限は、使用期限と一致している必要はなく、使用期限に対して余裕をもって設定された期限であってもよい。
【0044】
定位置情報は、防災設備12の定位置に関する情報である。定位置情報は、例えば、防災設備12の定位置の座標データである。
【0045】
適正外観情報は、防災設備12の適正な外観に関する情報である。適正外観情報は、例えば、画像データである。例えば、誘導灯14は、点灯状態である必要があるところ、「点灯状態の誘導灯の画像」は、適正外観情報とされ得る。消火器13は、その指示圧力計の指示値が所定の範囲である必要があるところ、「指示圧力計の指示値が適正な範囲にある消火器13の画像」は、適正外観情報とされ得る。
【0046】
また、消火器13は、設置場所の周辺に一定の空間が設けられている必要があるところ、「周辺に一定の空間が設けられている状態の消火器13と、その周辺の環境と、を含む画像」は、適正外観情報とされ得る。このように、適正外観情報は、対象の防災設備12の外観のみならず、その周辺環境を含めた外観であってもよい。
【0047】
なお、確認事項情報は、例えば、データベース71に記憶されている。
【0048】
(点検支援システム2の機能的構成)
続いて、点検支援システム2の電気的構成について、図4に基づき説明する。図4は、点検支援システム2の電気的構成を示す図である。
【0049】
(移動体用装置5の機能的構成)
図4に示すように、移動体側制御部56は、通信判定部561を有する。
【0050】
通信判定部561は、リーダライタ装置54と、RFIDタグ3とが、通信状態であるか否かについて判定する。
【0051】
移動体側制御部56は、リーダライタ装置54と接続されている。移動体側制御部56は、リーダライタ装置54に所定の発信間隔で第1信号を発信させる。移動体側制御部56には、リーダライタ装置54を通じて第2信号が入力される。通信判定部561は、リーダライタ装置54が、第1信号を送信してから所定の期間が経過するまでに第2信号を受信した場合には、リーダライタ装置54とRFIDタグ3とが通信状態であると判定する。通信判定部561は、リーダライタ装置54が、第1信号を送信してから所定の期間が経過するまでに第2信号を受信しなかった場合には、リーダライタ装置54とRFIDタグ3とが通信状態でないと判定する。なお、通信判定部561の判定結果は、次回の判定がなされるまで、直近の判定結果で維持される。
【0052】
移動体側制御部56は、サーボモータ531と接続されている。移動体側制御部56は、リーダライタ装置54に受信された第2信号に含まれる撮像角度情報に基づいて、カメラマウント53の傾きを所望のものとすべくサーボモータ531を動作させる。
【0053】
移動体側制御部56は、カメラ52と接続されている。移動体側制御部56は、通信判定部561によりリーダライタ装置54とRFIDタグ3とが通信状態であると判定された場合には、カメラ52に撮像を実行させる。移動体側制御部56は、例えば、撮像情報が静止画である場合には、リーダライタ装置54により第2信号が受信されるたびに、カメラ52に撮像を実行させる。この場合、カメラ52が撮像を実行する間隔は、第1信号の発信間隔と概ね一致する。
【0054】
移動体側制御部56は、移動体側通信部55と接続されている。移動体側制御部56は、リーダライタ装置54の受信結果に基づいて、移動体側通信部55に、設備情報と、撮像情報とを、外部に送信させる。移動体側通信部55は、例えば、メモリ58から設備情報及び撮像情報を読み出すとともに、外部に送信する。移動体側制御部56は、例えば、リーダライタ装置54が基地16に対応する識別情報を含む第2情報を受信した場合に、設備情報と撮像情報とをホストサーバ7に送信する。
【0055】
(ホストサーバ7の機能的構成)
サーバ制御部73は、正否判定部731と、撮像情報合成部732と、マッピング部733と、現在の日付を取得可能な日付取得部734と、を有する。
【0056】
正否判定部731は、確認事項情報と、撮像情報と、に基づいて、防災設備12が確認事項を充足しているか否かを判定する。
【0057】
例えば、正否判定部731は、データベース71にて誘導灯14に対応する識別情報と関連付けて記憶されている撮像情報と、誘導灯14に関する外観情報(詳しくは、点灯状態の誘導灯の画像)と、に基づいて、当該誘導灯14が、「点灯状態であること」との確認事項を充足しているか否かを判定可能である。また、正否判定部731は、データベース71にて消火器13に対応する識別情報と関連付けて記憶されている撮像情報と、消火器13に関する外観情報(詳しくは、指示圧力計の指示値が適正な範囲にある消火器13の画像)と、に基づいて、「指示圧力計の指示値が所定の範囲であること」との確認事項を充足しているか否かを判定可能である。
【0058】
また、正否判定部731は、撮像情報に含まれる撮像位置情報に基づいて、防災設備12が確認事項を充足しているか否かを判定可能である。例えば、ある消火器13について、当該消火器13に対応する識別情報と関連付けてデータベース71に記憶されている撮像位置情報と、当該識別情報と関連付けてデータベース71に記憶されている定位置情報と、に基づいて、当該消火器13が定位置にあるか否かを判定可能である。
【0059】
また、正否判定部731は、必ずしも撮像情報に基づいて判定を行わなくてもよく、確認事項情報と、設備情報(詳しくは、識別情報及び期限情報)と、日付取得部734の取得結果と、に基づいて判定を行ってもよい。例えば、正否判定部731は、識別情報と、当該識別情報と関連付けて記憶されている期限情報(例えば、消火器13の使用期限)と、日付取得部734の取得結果と、に基づいて、当該識別情報と対応する消火器13が、「使用期限を未経過であること」との確認事項を充足しているか否かを判定可能である。
【0060】
その他にも、例えば、消火器13に指示圧力計の値を取得するセンサ(図示略)を設けるとともに、当該センサの取得結果がRFIDタグ3に記憶されるようにする。RFIDタグ3は、当該値を設備情報として、第2信号に含ませて発信するようにする。リーダライタ装置54及び移動体側通信部55を介して当該値がホストサーバ7に取得されると、ホストサーバ7は、当該値をデータベース71に記憶する。また、データベース71には、確認事項情報として、「適正とされる指示圧力計の値の範囲の数値」が、予め記憶されているようにする。そして、正否判定部731は、識別情報と、当該識別情報とともに取得された「センサにより取得された指示圧力計の値」と、データベース71に記憶されている「適正とされる指示圧力計の値の範囲の数値」と、に基づいて、当該識別情報に対応する消火器13の指示圧力計の値が適切であるか否かを判定可能である。
【0061】
撮像情報合成部732は、複数の撮像情報に基づいて一の撮像情報を合成する。これにより、例えば、防災設備12の一部についての撮像情報が複数取得された場合には、これらを合成することで、当該防災設備12の全体についての一の撮像画像を合成することができる。したがって、カメラ52が撮像を行うタイミングによっては、カメラ52が防災設備12の全体についての一の撮像情報を取得できないことが生じ得るものの、こうした場合においても、撮像情報合成部732により、防災設備12の全体についての一の撮像情報を合成し得る。また、撮像情報合成部732によれば、広範囲を撮像した一の撮像情報を容易に得ることができる。なお、撮像情報合成部732は、複数の二次元画像に基づいて一の三次元画像を合成可能なものであってもよい。
【0062】
また、正否判定部731は、確認事項情報と、撮像情報合成部732の合成結果とに基づいて、防災設備12が確認事項を充足しているか否かを判定可能である。これにより、より確実に、正否の判定を行うことができる。
【0063】
マッピング部733は、防災設備12の位置を地図上にマッピング可能である。マッピング部733は、データベース71にて識別情報と関連付けて記憶されている定位置情報に基づいて、地図上に防災設備12の位置をマッピングする。マッピングに用いられる地図は、例えば、集会室11が設けられている階のフロアマップであり、データベース71に記憶されている。マッピング部733は、そのマッピング結果を、タブレット端末8のタッチパネル81に出力する。タッチパネル81は、マッピング部733のマッピング結果を表示する。
【0064】
マッピング部733は、正否判定部731の判定結果に基づいて、タッチパネル81に表示された地図上において、確認事項のいずれかを充足しない防災設備12に目印を表示する。これにより、管理者は、不備のある防災設備12の位置を容易に特定することができる。なお、タッチパネル81は、提示部に相当する。
【0065】
(発信モード設定処理)
ここで、移動体側制御部56は、リーダライタ装置54に第1信号を発信させる際の発信間隔がそれぞれ異なる複数の発信モードを有する。移動体側制御部56は、リーダライタ装置54に通常の発信間隔(換言すると、中頻度)で第1信号を発信させる「Bモード」と、リーダライタ装置54にBモードより長い発信間隔(換言すると、低頻度)で第1信号を発信させる「Aモード」と、リーダライタ装置54にBモードより短い発信間隔(換言すると、高頻度)で第1信号を発信させる「Cモード」と、のうちいずれかの発信モードを設定可能である。
【0066】
移動体側制御部56は、通信判定部561の判定結果に基づいて、発信モードを、Aモード、Bモード及びCモード(以下、まとめて「各モード」ということがある)のうちいずれかに設定する発信モード設定処理を実行する。そこで以下、発信モード設定処理の流れについて図5に基づき説明する。図5は、移動体側制御部56により実行される発信モード設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
なお、発信モード設定処理は、例えば、移動体側制御部56により、所定の開始時刻になると開始され、所定の終了時刻になるまで所定の周期で繰り返し実行される。発信モード設定処理の開始と同時に、タイマ59がセットされ、リーダライタ装置54がAモードで第1信号の発信を開始する。また、清掃ロボット4は、所定の開始時刻になるまで基地16で待機しており、当該開始時刻になると動作を開始し、基地16から出て集会室11の清掃を開始する。
【0068】
図5に示すように、ステップS11では、タイマ59により計測された期間が所定の期間に達したか否かを判定する。当該所定の期間は、第1信号の発信間隔に対応する期間である。タイマ59により計測された期間が、所定の期間に達した場合には、YES判定してステップS12に進む。所定の期間に達していない場合には、NO判定してステップS15に進む。本ステップS11では、リーダライタ装置54により第1信号が発信されてから所定の期間が経過したか否かを判定している。
【0069】
ステップS12では、リーダライタ装置54に第1信号を発信させる。これにより、リーダライタ装置54に、所定の発信間隔で第1信号を発信させることができる。その後ステップS13に進む。ステップS13では、タイマ59をリセットする。これにより、タイマ59に、リーダライタ装置54が直近の第1信号を発信してからの経過期間を計測させる。その後ステップS15に進む。
【0070】
ステップS15では、RFIDタグ3により送信された第2信号を受信したか否かを判定する。第2信号を受信した場合には、YES判定してステップS21に進む。第2信号を受信していない場合には、NO判定してステップS16に進む。本ステップS15では、リーダライタ装置54が第1信号を送信してから所定の期間が経過するまでに第2信号を受信したか否かを判定している。すなわち、本ステップS15では、リーダライタ装置54とRFIDタグ3とが通信状態であるか否かを判定している。
【0071】
ステップS16では、タイマ59により計測された期間が所定の期間に達したか否かを判定する。当該所定の期間は、第1信号の発信間隔に対応する期間であり、ステップS11における期間と同一である。所定の期間に達した場合には、YES判定してステップS17に進む。所定の期間に達していない場合には、NO判定して本処理を終了する。
【0072】
ステップS17では、送信モードがBモードであるか否かを判定する。送信モードがBモードである場合には、本処理を終了する。送信モードがAモード及びCモードのうちいずれかである場合には、NO判定してステップS18に進む。
【0073】
ステップS18では、送信モードをBモードに設定する。これにより、リーダライタ装置54が第2信号を受信していない場合、すなわち、リーダライタ装置54が防災設備12及び基地16から一定以上離間している場合には、リーダライタ装置54に、第1信号を通常の頻度で発信させることができる。これにより、リーダライタ装置54による無駄な電力消費を抑制することができる。第2通信範囲R2の外に位置している場合には、その後、本処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS21では、リーダライタ装置54が受信した第2信号が、対象設備のRFIDタグから送信された第2信号であるか否かを判定し、詳しくは、消火器タグ33及び誘導灯タグ34のうちいずれかから送信された第2信号であるか否かを判定する。リーダライタ装置54が受信した第2信号が、消火器タグ33及び誘導灯タグ34のうちいずれかから送信されたものである場合には、YES判定してステップS22に進む。対象外設備のRFIDタグ(基地タグ36)から送信された第2信号である場合には、NO判定してステップS31に進む。
【0075】
ステップS22では、送信モードがCモードであるか否かを判定する。送信モードがCモードである場合には、YES判定してステップS24に進む。送信モードがAモード及びBモードのうちいずれかである場合には、NO判定してステップS23に進む。
【0076】
ステップS23では、送信モードをCモードに設定する。これにより、リーダライタ装置54により消火器タグ33及び誘導灯タグ34のいずれかに発信された第2信号が受信された場合、すなわち、リーダライタ装置54が防災設備12の近くに位置している場合には、リーダライタ装置54に第1信号を通常よりも高頻度で発信させることができる。これにより、リーダライタ装置54の通信状態がより確実に維持されるようにできる。その後ステップS24に進む。
【0077】
ステップS24では、リーダライタ装置54により受信された第2信号に含まれる設定情報に基づいて、カメラ52の設定を実行する。例えば、撮像角度情報に基づいて、カメラ52の角度を調整する。その後ステップS25に進み、カメラ52に撮像を実行させる。その後、ステップS26に進み、カメラ52(撮像位置取得部521)に、撮像位置情報を取得させるとともに、当該撮像位置情報を撮像情報に含ませる。当該撮像情報及び撮像位置情報は、メモリ58に記憶される。その後、本処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS31では、リーダライタ装置54の送信モードがAモードであるか否かを判定する。送信モードがAモードである場合には、YES判定して本処理を終了する。送信モードがBモード及びCモードのうちいずれかである場合には、NO判定してステップS32に進む。
【0079】
ステップS32では、送信モードをAモードに設定する。これにより、リーダライタ装置54が基地16付近に位置している場合には、リーダライタ装置54に通常よりも低頻度で信号を発信させることができる。その後ステップS33に進む。なお、Aモードにおける第1信号の発信間隔は、リーダライタ装置54の通信状態が維持されるのに必要十分な長さで設定されることが好ましい。
【0080】
ステップS33では、清掃ロボット4の巡回中に取得された設備情報及び撮像情報をメモリ58から読み出すとともに、移動体側通信部55に、当該設備情報及び撮像情報を、ホストサーバ7へ送信させる。なお、「清掃ロボット4の巡回中」とは、清掃ロボット4が基地16から出発して再度基地16に戻るまでの期間中をいう。移動体側通信部55は、リーダライタ装置54と、基地タグ36との通信が新たに成立した時点で、当該巡回中に取得された設備情報及び撮像情報を、1回のみホストサーバ7に送信する。その後は、移動体側通信部55は、リーダライタ装置54と基地タグ36との通信状態がリセットされるまでは、外部への情報送信を行わない。その後本処理を終了する。
【0081】
(点検支援処理)
ホストサーバ7は、防災設備12の点検を支援するための各種処理(以下、「点検支援処理」という)を実行する。そこで以下、管理支援処理の流れについて、図6図8に基づき説明する。図6は、ホストサーバ7(サーバ制御部73)により実行される、管理支援処理の流れを示すフローチャートである。図7は、正否判定部731の結果を含む表Tがタッチパネル81に表示された状態を示す図である。図8は、マッピング部733により生成された地図Mがタッチパネル81に表示された状態を示す図である。なお、図6のフローチャートは、サーバ制御部73により、所定の周期で繰り返し実行される。
【0082】
図6に示すように、ステップS51では、サーバ通信部72が、移動体用装置5(移動体側通信部55)により送信された設備情報及び撮像情報を受信したか否かを判定する。受信した場合には、YES判定してステップS52に進む。受信しなかった場合には、NO判定して本処理を終了する。
【0083】
ステップS52では、サーバ通信部72が受信した撮像情報及び設備情報を、データベース71に記憶させる。この際、当該撮像情報及び設備情報(ただし識別情報を除く)は、それぞれ、当該設備情報に含まれる識別情報と関連付けされた状態で記憶される。これにより、データベース71に記憶された撮像情報及び設備情報が、更新される。なお、管理者は、タッチパネル81を操作して、タブレット端末8をデータベース71にアクセスさせるとともに、データベース71に記憶されている情報をタッチパネル81に表示させることができる。例えば、データベース71に記憶されている撮像情報をタッチパネル81に表示させることができる。これにより、管理者が現場で防災設備12を目視点検する手間を減らすことができる。次いで、ステップS53に進む。
【0084】
ステップS53では、サーバ通信部72により受信された確認事項情報及び撮像情報に基づいて、当該確認事項及び撮像情報と対応する防災設備12が、確認事項を充足するか否かをそれぞれ判定する。そして、正否判定部731の判定対象である確認事項のうちいずれかが充足されていない場合には、NO判定してステップS54に進む。正否判定部731の判定対象である確認事項の全てが充足されている場合には、YES判定してステップS58に進む。
【0085】
ステップS54では、正否判定部731の判定結果を、タブレット端末8に出力し、タッチパネル81に表示させる。例えば、図7に示すように、防災設備12と、確認事項とを含む表Tを生成するとともに、タッチパネル81に表示させる。当該表Tにおいて、確認事項のうち充足されている項目には、「〇」を表示させ、充足されていない項目には、「×」を表示させる。これにより、確認事項を充足しない防災設備12が存在することを管理者に示すとともに、充足されていない確認事項を管理者に提示することができる。続いて、ステップS55に進む。
【0086】
ステップS55では、表T中において、ステップS53で充足されていないと判定された確認事項を有する防災設備12に対応する行を、強調して表示する。これにより、充足されていない確認事項を有する防災設備12を特定するとともに管理者に提示することができる。次いで、ステップS56に進む。
【0087】
ステップS56では、マッピング部733に防災設備12の位置をマッピングして地図Mを生成するとともに、地図Mをタッチパネル81に表示させる(図8参照)。その際、地図M上で、確認事項を充足していない防災設備12に目印Sを表示させる。これにより、充足されていない確認事項を有する防災設備12の位置を、視覚的に示すことができる。その後、本処理を終了する。
【0088】
一方、ステップS58では、表Tにおいて、当該識別情報と対応する全ての確認事項の項目に「〇」を表示させる。その後、本処理を終了する。
【0089】
以上、詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0090】
・本実施形態によれば、移動体側制御部56は、RFIDタグ3とリーダライタ装置54とが、第1信号及び第2信号の送受信を行っている状態である通信状態であるか否かを判定する通信判定部561を有する。移動体側制御部56は、通信判定部561により通信状態であると判定された場合にはカメラ52に撮像を実行させる。移動体側制御部56は、リーダライタ装置54により受信された第2信号に含まれる識別情報と、カメラ52の撮像結果である撮像情報と、の外部への送信を、移動体側通信部55に実行させる。データベース71は、移動体側通信部55により送信された識別情報及び撮像情報を関連付けて記憶する。
【0091】
この場合、リーダライタ装置54とカメラ52とは、清掃ロボット4とともに移動する。清掃ロボット4が防災設備12に接近すると、リーダライタ装置54とRFIDタグ3とは、通信状態となる。リーダライタ装置54は、RFIDタグ3から識別情報を取得する。カメラ52は、撮像情報を取得する。移動体側通信部55は、識別情報と撮像情報とをホストサーバ7に送信する。ホストサーバ7は、識別情報と撮像情報とを関連付けてデータベース71に記憶する。このため、管理者は、データベース71に識別情報と関連付けて記憶されている撮像情報を見ることで、現場に行かずとも防災設備12の点検を行うことができる。このため、点検作業を省力化することができる。
【0092】
・本実施形態によれば、移動体側制御部56は、リーダライタ装置54に所定の発信間隔で第1信号を発信させ、通信判定部561により通信状態であると判定された場合と、通信判定部561により通信状態であると判定されなかった場合とでは、所定の発信間隔を異ならせる。例えば、通信判定部561により通信状態であると判定されなかった場合には、消火器タグ33及び誘導灯タグ34のうちいずれかと通信状態であると判定された場合よりも、所定の発信間隔を長く(すなわち、低頻度に)設定する。
【0093】
これにより、リーダライタ装置54が第1信号を無用に発信してしまうのを抑制することができるため、リーダライタ装置54による電力消費量を削減できる。一方、リーダライタ装置54及びカメラ52が防災設備12及びRFIDタグ3に接近した場合に、リーダライタ装置54とRFIDタグ3との通信状態が、より確実に維持されるようにすることができる。カメラ52による撮像を、より確実に実行されるようにすることができる。
【0094】
・本実施形態によれば、RFIDタグ3は、当該識別情報と関連付けられた防災設備12をカメラ52が撮像する場合のカメラ52の設定に関する設定情報を記憶し、移動体側制御部56は、リーダライタ装置54が第2信号を受信した場合には、当該第2信号に含まれる設定情報に従って、カメラ52に撮像を実行させる。
【0095】
例えば、カメラ52は、撮像時の角度を調整可能に設けられ、設定情報は、当該識別情報と関連付けられた防災設備12をカメラ52が撮像する場合の角度に関する撮像角度情報を、を含み、移動体側制御部56は、リーダライタ装置54が第2信号を受信した場合には、当該第2信号に含まれる撮像角度情報に基づいて、カメラ52の角度を調整する。
【0096】
この場合、例えば、床面に配置された消火器13と、天井に設置された誘導灯14とでは、カメラ52の撮像時の角度は異なるところ、撮像の対象にあわせて、カメラ52の撮像時の角度を調節することができる。これにより、より確実に、点検に好適な撮像情報を取得することができる。
【0097】
・本実施形態によれば、移動体側制御部56は、リーダライタ装置54により防災設備12に固有の識別情報を含む第2信号が受信された場合と、リーダライタ装置54により基地16に固有の識別情報を含む第2信号が受信された場合とでは、第1信号の発信間隔を異なる長さにする。詳しくは、移動体側制御部56は、リーダライタ装置54により防災設備12に固有の識別情報を含む第2信号が受信された場合よりも、リーダライタ装置54により基地16に固有の識別情報を含む第2信号が受信された場合において、第1信号の発信間隔を長く(すなわち、低頻度に)設定する。
【0098】
この場合、清掃ロボット4(リーダライタ装置54)が基地16に位置している場合には、リーダライタ装置54と基地タグ36とは、通信状態を比較的維持し易いと考えられる。よって、リーダライタ装置54は、基地16に位置している場合には、そこまで高頻度で第1信号を発信しなくてもよいと考えられる。そこで、移動体側制御部56は、リーダライタ装置54が基地タグ36と通信状態である場合には、第1信号の発信間隔を長め(すなわち、発信頻度を低め)に設定する。これにより、リーダライタ装置54による電力消費量を削減することができる。
【0099】
・本実施形態によれば、RFIDタグ3は、防災設備12が点検時に充足すべき確認事項に関する情報である確認事項情報を記憶する。正否判定部731は、確認事項情報と、撮像情報と、に基づいて、防災設備12が確認事項を充足しているか否かを判定する。正否判定部731の判定結果は、タッチパネル81により表示される。これにより、自動で防災設備12を点検し、その結果を管理者に提示することができるため、点検作業を省力化することができる。
【0100】
・本実施形態によれば、撮像情報合成部732は、複数の撮像情報に基づいて一の撮像情報を合成する。正否判定部731は、確認事項情報と、撮像情報合成部の合成結果と、に基づいて、防災設備12が確認事項を充足しているか否かを判定する。
【0101】
これにより、例えば、防災設備12が部分的に写された撮像情報しか取得できなかった場合でも、撮像情報合成部732により、防災設備12の全体が写された撮像情報を合成することができるため、より確実に正否の判定を行うことができる。
【0102】
・本実施形態によれば、確認事項情報は、防災設備12の使用期限と関連付けて設定された所定の期限に関する情報である期限情報を含む。日付取得部734は、現在の日付を取得する。正否判定部731は、期限情報と、日付取得部734の取得結果と、に基づいて、所定の期限が経過しているか否かを判定する。当該判定結果は、タッチパネル81に表示される。これにより、例えば、消火器13の使用期限を好適に管理することができる。
【0103】
・本実施形態によれば、移動体用装置5は、清掃ロボット4に搭載されている。清掃ロボット4は、自律的に走行し、集会室11中を隅々まで巡回する。清掃ロボット4は、日常的に稼働する。このため、集会室11内の防災設備12の点検に、好適に用いられることができる。
【0104】
・本実施形態によれば、マッピング部733は、防災設備12の位置をマッピングする。マッピング部733は、正否判定部731の判定結果に基づいて、確認事項を充足していない防災設備12の位置をマッピングする。これにより、確認事項を充足していない防災設備12の位置を管理者に視覚的に示すことができる。
【0105】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。なお、上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0106】
・上記実施形態では、移動体用装置5を、清掃ロボット4に載置して用いていたが、移動体用装置5及び清掃ロボット4に代えて、点検用の移動体(詳しくは、移動型ロボット)である点検用移動体100を用いてもよい。以下、点検用移動体100の構成について、図9に基づき説明する。図9は、点検用移動体100の構成を示す斜視図である。
【0107】
図9に示すように、点検用移動体100は、自律的に走行可能な移動体本体部101と、移動体本体部101の上部を覆うカバー部102と、カメラ52と、カメラマウント53と、リーダライタ装置54と、移動体側通信部55と、バッテリ57と、メモリ58と、移動体側制御部56と、タイマ59と、を有する。
【0108】
カメラ52と、カメラマウント53と、リーダライタ装置54と、移動体側通信部55と、移動体側制御部56と、バッテリ57と、メモリ58と、タイマ59とは、移動体本体部101に固定されている。
【0109】
カバー部102は、椀状に形成されている。カバー部102は、カメラ52と、カメラマウント53と、リーダライタ装置54と、移動体側通信部55と、移動体側制御部56と、バッテリ57と、メモリ58と、タイマ59とを上方から覆うように、移動体本体部101の上部に配置されている。カバー部102は、透明な素材で形成されている。このため、カメラ52は、カバー部102越しに防災設備12を撮像することができる。
【0110】
カメラ52と、カメラマウント53と、リーダライタ装置54と、移動体側通信部55と、バッテリ57と、メモリ58と、移動体側制御部56と、タイマ59とは、点検用移動体100の一部を構成している。また、移動体側制御部56は、点検用移動体100の自立走行の制御主体を兼ねるものであってもよい。バッテリ57は、点検用移動体100の走行用の電力供給源を兼ねるものであってもよい。
【0111】
このように、リーダライタ装置と、撮像部と、情報通信部とは、移動体とともに移動可能であれば、移動体と一体化されているものであってもよいし、移動体とは別体とされているものであってもよい。なお、点検用移動体100の構成は、あくまでも一例であり、適宜変更可能である。
【0112】
・RFIDタグは、RFIDタグ付き着装部材110を構成するものであってもよい。以下、RFIDタグ付き着装部材110の構成について、図10に基づき説明する。RFIDタグ付き着装部材110は、ボルトとしての機能を有する。なお、RFIDタグ付き着装部材は、ボルトには限定されず、例えば、ピンであってもよい。
【0113】
図10に示すように、RFIDタグ付き着装部材110は、軸状部111と、頭部121と、RFIDタグ127と、ブーストアンテナ128と、を備える。
【0114】
軸状部111は、インサート部112と基盤部113とを有する。インサート部112は、軸状で、雄ネジが形成されている。基盤部113は、インサート部112の一端部に設けられる。基盤部113の外周面の一部には、平坦状の面取り部114が形成されている。
【0115】
頭部121は、台座部122と、台座部122の主要部分を覆うキャップ部126と、が一体化して形成されている。
【0116】
台座部122は、基盤部113のインサート部112がない表面側に成形される。台座部122は、拡径部123と突出部124とを有する。拡径部123は、基盤部113の外周部を囲むリング状に形成されている。拡径部123の内面の一部には、弓形形状の係止部(図示略)が形成されている。この係止部と基盤部113の面取り部114とは、係合している。突出部124は、基盤部113の表面の中心からインサート部112とは反対向きに突出している。
【0117】
RFIDタグ127は、超小型のチップ状をなしている。RFIDタグ127は、突出部124(台座部122)の頂面にマウントされている。
【0118】
ブーストアンテナ128は、円筒コイルバネ形状に形成され、台座部122の突出部124を囲んでいる。ブーストアンテナ128は、RFIDタグ127に送受信される電波をブーストする。これにより、RFIDタグ127における電波の送受信がより確実に行われるようにすることができる。なお、ブーストアンテナは、必須の構成ではない。
【0119】
キャップ部126は、樹脂により円柱状に形成されている。キャップ部126は、台座部122の突出部124を覆っている。RFIDタグ127及びブーストアンテナ128は、キャップ部126によって覆われている。
【0120】
RFIDタグ付き着装部材110によれば、例えば、誘導灯14が有する通常のボルトの一を、RFIDタグ付き着装部材110に置き換えることで、RFIDタグ3を、誘導灯14に好適に取り付けることができる。
【0121】
また、RFIDタグ付き着装部材110は、消火器13に取り付けることも可能である。RFIDタグ付き着装部材110が消火器13に取り付けられた状態について、図11を参照しつつ説明する。図11は、RFIDタグ付き着装部材110が消火器13に取り付けられた状態を示す正面図である。
【0122】
図11に示すように、消火器13は、消火剤が充填された有底筒状の容器131と、消火器13の上部から延びるホース132と、を有する。
【0123】
消火器13には、RFIDタグ付き着装部材110が取り付けられる取付部材140が装着されている。
【0124】
取付部材140は、ビス穴(図示略)を有する取付本体部141と、取付本体部141に取り付けられたバンド142と、を有する。バンド142は、例えば結束バンドであり、ホース132の基端側に巻き付けられている。これにより、取付部材140が消火器13に取り付けられている。取付本体部141のビス穴には、RFIDタグ付き着装部材110のインサート部112が挿入されている。これにより、取付部材140(取付本体部141)にRFIDタグ付き着装部材110が取り付けられている。
【0125】
・上記実施形態では、撮像情報は静止画であったが、撮像情報は、動画であってもよい。その場合、例えば、カメラ52は、通信判定部561によりリーダライタ装置54とRFIDタグ3が通信状態であると判定されている間、撮像を行うようにする。カメラ52が動画を撮像する場合には、静止画を撮像する場合と比較して、カメラ52における消費電力量や、撮像情報のデータ量が多量となり易い。しかし、本発明によれば、無用なカメラ52の起動を抑制することができるため、これらを好適に削減することができる。また、リーダライタ装置54とRFIDタグ3との通信が途絶えてしまうと、動画が途中で途切れてしまうところ、かかる不具合を抑制することができる。
【0126】
・撮像部は、例えば、サーモグラフィカメラや赤外線カメラでもよい。撮像部をサーモグラフィカメラとすることで、例えば、設備における漏電を検知することができる。撮像部を赤外線カメラとすることで、例えば、夜間等においても自動点検を行うことができる。また、それらのカメラは、比較的消費電力量や撮像情報のデータ量が大きくなり易いところ、本発明によれば、それらを好適に削減することができる。
【0127】
また、撮像部は、通常の撮影を行う通常モード、赤外線暗視を行う暗視モードといった複数の撮像モードを選択可能なものであってもよい。その場合、撮像部にいずれの撮像モードで撮像を実行させるかについての情報である撮像モード情報を、設定情報としてRFIDタグに記憶させるようにしてもよい。制御部は、撮像モード情報に基づいて、撮像部の撮像モードを設定するようにする。これにより、撮像部は、防災設備をそれに適した撮像モードで撮像することができる。
【0128】
・防災設備は、上記に限定されない。例えば、緩降機、防火扉、自家発電機等、目視点検を要する設備において、本発明は好適に使用できる。また、対象設備は、防災設備でなくてもよく、例えば、剥離の点検を要する建物の壁面材であってもよい。
【0129】
・上記実施形態では、移動体用装置5が搭載される移動体は、清掃ロボット4であったが、これに限定されるものではない。例えば、一定の範囲で動作を繰り返すコンベアや、人が運転するフォークリフトのようなものであってもよい。
【0130】
・上記実施形態では、正否判定部731は、撮像情報と、確認事項情報と、に基づいて、確認事項が充足されているか否かを判定していたが、異なる時期に取得された複数の撮像情報を比較することで、当該判定を行ってもよい。例えば、撮像情報に含まれる撮像位置情報は、原則、防災設備12の定位置を示すものが繰り返し取得されると考えられる。このため、正否判定部731は、撮像位置情報が過去の取得結果から変化したことに基づいて、当該防災設備12が定位置にないと判断し、否定判定を行うようにしてもよい。
【0131】
・上記実施形態では、リーダライタ装置54による第1信号の発信間隔は、3段階で設定可能とされていたが、例えば、2段階であってもよい。その場合、第1信号の発信間隔は、リーダライタ装置54とRFIDタグ3とが通信状態である場合には、通信状態でない場合よりも短く設定されるようにする。
【0132】
・上記実施形態では、移動体側通信部55は、外部への設備情報の送信を、リーダライタ装置54と基地タグ36とが通信状態となったときに実行していたが、これに限定されるものではない。移動体側通信部55は、外部への設備情報の送信を、リーダライタ装置54が第2信号を受信するたびに実行するようにしてもよいし、所定の時刻になるたびに実行するようにしてもよい。
【0133】
・上記実施形態では、移動体側制御部56は、リーダライタ装置54により防災設備12に固有の識別情報を含む第2信号が受信された場合よりも、リーダライタ装置54により基地16に固有の識別情報を含む第2信号が受信された場合において、第1信号の発信間隔を長く(すなわち、より低頻度に)設定していたが、これに限定されるものではない。移動体側制御部56は、リーダライタ装置54により防災設備12に固有の識別情報を含む第2信号が受信された場合よりも、リーダライタ装置54により基地16に固有の識別情報を含む第2信号が受信された場合において、第1信号の発信間隔を短く(すなわち、より高頻度に)設定してもよい。例えば、リーダライタ装置54と基地タグ36との通信状態が不安定である場合には、リーダライタ装置54が基地タグ36と通信状態である場合に、第1信号の発信頻度が高めに設定されるようにすることで、かかる不具合を改善することができる。
【符号の説明】
【0134】
2 点検支援システム
3,127 RFIDタグ
4 移動体及び移動型ロボットとしての清掃ロボット
5 移動体用装置
12 設備及び対象設備としての防災設備
13 設備及び対象設備としての消火器
14 設備及び対象設備としての誘導灯
16 設備及び対象外設備としての基地
52 撮像部としてのカメラ
54 リーダライタ装置
55 情報通信部としての移動体側通信部
56 制御部としての移動体側制御部
71 データベース
81 提示部としてのタッチパネル
100 移動体及び移動型ロボットとしての点検用移動体
110 RFIDタグ付き着装部材
112 インサート部
121 頭部
561 通信判定部
731 正否判定部
732 撮像情報合成部
733 マッピング部
734 日付取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11