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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137118
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】車両利用管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048510
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】杉原 淳志
(72)【発明者】
【氏名】小池 拓
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】間宮 理穂
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザーの利便性を向上させることのできる車両利用管理システムを提供する。
【解決手段】このシステムは、管理サーバ30と車両管理装置70とを備える。管理サーバ30は、通信ネットワークNTを介して、ユーザー所有の通信端末20から送信される利用申請データDAを受信する受信部32と、利用申請データDAをもとに生成した認証データDCを通信端末20または車両管理装置70に送信する送信部33とを有する。車両管理装置70は、車両10に設けられるとともに、無線認証装置71と送電許可部76とを有する。無線認証装置71は、近距離無線通信を通じて通信端末20との間で認証データDCを送受信するとともに、認証データDCをもとに通信端末20の認証を行う。送電許可部76は、通信端末20が認証されたことを条件に、同通信端末20に設けられた受電部60に対する送電部50からの送電を許可する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用登録した上で車両を利用する車両利用サービス用の車両であり、且つ、無線給電装置の送電部分をなす送電部が搭載された前記車両に適用されて、当該車両の利用態様を管理する車両利用管理システムであって、
情報処理を実行する管理サーバと、前記車両に設けられた車両管理装置と、を備え、
前記管理サーバは、
通信ネットワークを介して、ユーザー所有の通信端末から送信される利用申請データを受信する受信部と、
前記利用申請データをもとに生成した前記ユーザーの認証のための認証データを、前記通信ネットワークを介して、前記通信端末または前記車両管理装置に送信する送信部と、を有し、
前記車両管理装置は、
近距離無線通信を通じて前記通信端末との間で前記認証データを送受信するとともに、当該認証データをもとに前記車両の利用のための前記通信端末の認証を行う認証部と、
前記認証部によって前記通信端末が認証されたことを条件に、同認証された前記通信端末に設けられて前記無線給電装置の受電部分をなす受電部に対する前記送電部からの送電を許可する送電許可部と、を有する、
車両利用管理システム。
【請求項2】
前記車両管理装置は、前記送電部から前記受電部に送られた電力量に相当する電力データを前記管理サーバに送信する利用量送信部を有し、
前記管理サーバは、前記電力データをもとに前記無線給電装置の利用料金を算出する料金算出部を有する、
請求項1に記載の車両利用管理システム。
【請求項3】
前記電力データは、前記受電部が前記車両の内部に在る状態で同受電部に対して前記送電部から送られた電力量に相当するデータである、
請求項2に記載の車両利用管理システム。
【請求項4】
前記利用量送信部は、前記認証部によって認証された前記通信端末が前記車両の内部に複数存在する場合には、前記通信端末毎に前記電力データを前記管理サーバに送信するものであり、
前記料金算出部は、前記通信端末毎に前記電力データを受信した場合には、前記通信端末毎の前記電力データをもとに、前記通信端末毎に前記無線給電装置の利用料金を算出するものである、
請求項3に記載の車両利用管理システム。
【請求項5】
前記認証部は、前記ユーザーが乗車するときに、当該ユーザー所有の前記通信端末の認証を行うものであり、
前記利用量送信部は、前記ユーザーの乗車中において前記送電部から前記受電部に送られた電力量に相当する電力データを、前記管理サーバに送信するものであり、
前記料金算出部は、前記ユーザーが降車するときに、前記電力データに基づく前記無線給電装置の利用料金の算出を実行するものである、
請求項2~4のいずれか一項に記載の車両利用管理システム。
【請求項6】
前記送電許可部は、前記認証部によって前記通信端末が認証されたことを条件に、前記通信端末以外の電機機器に設けられて前記無線給電装置の受電部分をなす受電部に対する前記送電部からの送電を許可するものである、
請求項1に記載の車両利用管理システム。
【請求項7】
前記車両利用サービスの利用終了時に、前記車両管理装置および前記通信端末に記憶されている前記認証データを消去するデータ消去部を有する、
請求項1に記載の車両利用管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電装置を有する車両の利用態様を管理する車両利用管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信端末などの電気機器への給電を非接触で行う、いわゆる無線給電が実用されている。また、そうした無線給電のための装置を、自動車等の車両に設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の無線給電装置では、電力を送る部分をなす送電部が車両に搭載される。車両ユーザーが所有する通信端末には、無線給電装置における電力を受ける部分をなす受電部が設けられる。そして、車載の送電部からの無線給電により、通信端末の受電部への電力供給がなされる。これにより、通信端末(詳しくは、内蔵の二次電池)が充電される。
【0004】
また上記無線給電装置では、給電を許可する通信端末(例えば、車両ユーザーが所有する通信端末)が予め登録されている。この無線給電装置では、事前に登録された情報をもとに通信端末の認証を行うことで、事前に登録された通信端末に限り、無線給電による送電が実行されるようになっている。
【0005】
近年、シェアリングカーサービスやレンタカーサービスなど、利用登録した上で車両を利用する車両利用サービスが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-151119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、車両利用サービスで利用される車両に、前記無線給電装置(詳しくは、その送電部)を搭載することが考えられる。この場合、単に上記車両に無線給電装置を搭載すると、車両を利用するユーザーに限って無線給電装置を利用してもらうためには、車両利用サービスの利用登録と無線給電装置の利用登録とを各別に行わなければならなくなってしまう。そうした利用登録にかかる作業は面倒であるため、ユーザーの利便性の低下を招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための装置の各態様を記載する。
[態様1]利用登録した上で車両を利用する車両利用サービス用の車両であり、且つ、無線給電装置の送電部分をなす送電部が搭載された前記車両に適用されて、当該車両の利用態様を管理する車両利用管理システムであって、情報処理を実行する管理サーバと、前記車両に設けられた車両管理装置と、を備え、前記管理サーバは、通信ネットワークを介して、ユーザー所有の通信端末から送信される利用申請データを受信する受信部と、前記利用申請データをもとに生成した前記ユーザーの認証のための認証データを、前記通信ネットワークを介して、前記通信端末または前記車両管理装置に送信する送信部と、を有し、前記車両管理装置は、近距離無線通信を通じて前記通信端末との間で前記認証データを送受信するとともに、当該認証データをもとに前記車両の利用のための前記通信端末の認証を行う認証部と、前記認証部によって前記通信端末が認証されたことを条件に、同認証された前記通信端末に設けられて前記無線給電装置の受電部分をなす受電部に対する前記送電部からの送電を許可する送電許可部と、を有する、車両利用管理システム。
【0009】
上記構成によれば、車両の利用登録に際して生成される認証データをもとに、車両の利用のためのユーザー所有の通信端末の認証(いわゆるユーザー認証)と、無線給電装置の利用許可とを共に行うことができる。これにより、車両利用サービスの利用登録と無線給電装置の利用登録とを、共通の認証データをもとに一括して行うことができる。したがって、それらの利用登録がユーザーによる各別の作業によって各別に行われる場合と比較して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0010】
[態様2]前記車両管理装置は、前記送電部から前記受電部に送られた電力量に相当する電力データを前記管理サーバに送信する利用量送信部を有し、前記管理サーバは、前記電力データをもとに前記無線給電装置の利用料金を算出する料金算出部を有する、[態様1]に記載の車両利用管理システム。
【0011】
上記構成によれば、車両利用サービス用のシステムを利用する態様で、無線給電装置の利用料金の精算を行うことができる。そのため、車両利用サービス用のシステムとは別のシステムを利用して無線給電装置の利用料金の精算を行う場合と比較して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0012】
[態様3]前記電力データは、前記受電部が前記車両の内部に在る状態で同受電部に対して前記送電部から送られた電力量に相当するデータである、[態様2]に記載の車両利用管理システム。
【0013】
上記構成では、送電部が車両に搭載されるため、通信端末(詳しくは、受電部)が車外に在る場合には、同通信端末が車内に在る場合と比較して、送電部から受電部への給電の効率が低くなり易い。
【0014】
上記構成によれば、通信端末の受電部が車内に在るとき、すなわち給電効率が比較的高いときに同受電部に対して送電部から送られた電力量に限り、上記電力データとして管理サーバに送信することができる。これにより、無線給電による効果が見込める状況で受電部に送られた電力量をもとに、無線給電装置の利用料金を算出することができる。
【0015】
[態様4]前記利用量送信部は、前記認証部によって認証された前記通信端末が前記車両の内部に複数存在する場合には、前記通信端末毎に前記電力データを前記管理サーバに送信するものであり、前記料金算出部は、前記通信端末毎に前記電力データを受信した場合には、前記通信端末毎の前記電力データをもとに、前記通信端末毎に前記無線給電装置の利用料金を算出するものである、[態様3]に記載の車両利用管理システム。
【0016】
上記構成によれば、1台の車両(例えばミニバス、マイクロバス)を複数ユーザーで利用する場合に、ユーザー毎に、無線給電装置の利用料金を精算することができる。
[態様5]前記認証部は、前記ユーザーが乗車するときに、当該ユーザー所有の前記通信端末の認証を行うものであり、前記利用量送信部は、前記ユーザーの乗車中において前記送電部から前記受電部に送られた電力量に相当する電力データを、前記管理サーバに送信するものであり、前記料金算出部は、前記ユーザーが降車するときに、前記電力データに基づく前記無線給電装置の利用料金の算出を実行するものである、[態様2]~[態様4]のいずれか一つに記載の車両利用管理システム。
【0017】
上記構成によれば、ユーザーが車両を利用する際に、ユーザー所有の通信端末を利用して、同ユーザーの乗車期間における無線給電装置の利用料金を自動算出することができる。
【0018】
[態様6]前記送電許可部は、前記認証部によって前記通信端末が認証されたことを条件に、前記通信端末以外の電機機器に設けられて前記無線給電装置の受電部分をなす受電部に対する前記送電部からの送電を許可するものである、[態様1]~[態様5]のいずれか一つに記載の車両利用管理システム。
【0019】
上記構成によれば、車載の無線給電装置の送電部からの送電を、ユーザー所有の通信端末に対して実行することに加えて、ユーザーが車両に持ち込む等して同車両に配置される電機機器(詳しくは、内蔵の受電部)に対しても実行することができる。
【0020】
[態様7]前記車両利用サービスの利用終了時に、前記車両管理装置および前記通信端末に記憶されている前記認証データを消去するデータ消去部を有する、[態様1]~[態様6]のいずれか一つに記載の車両利用管理システム。
【0021】
上記構成によれば、車両の利用が終了したときに、今回の車両利用に用いた認証データを利用不能にすることができる。これにより、車両の利用終了後における同車両および無線給電装置の不正利用を回避することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態の車両利用管理システムの概略構成を示す略図である。
図2】車両利用申請を行う処理の実行手順を概念的に示すフローチャートである。
図3】車両利用を許可する処理の実行手順を概念的に示すフローチャートである。
図4】送電を許可する処理の実行手順を概念的に示すフローチャートである。
図5】ユーザーに課金する処理の実行手順を概念的に示すフローチャートである。
図6】他の実施形態にかかる車両利用申請を行う処理の実行手順を概念的に示に示すフローチャートである。
図7】他の実施形態にかかるドリンクホルダーの斜視図である。
図8】他の実施形態にかかる一連の処理の実行手順を概念的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、車両利用管理システムの一実施形態について説明する。
<車両>
先ず、本実施形態の車両利用管理システムが適用される車両について説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の車両10は、カーシェアリングサービスに利用される車両(いわゆるシェアリングカー)である。車両10は、予め登録を行った会員である複数のユーザーによって共同使用される。車両10は、ユーザー認証を行うための認証システムを備えている。この認証システムは、車両10の専用キーである電子キーを利用するのではなく、ユーザーが所有する通信端末20(例えば、スマートフォン)を認証することで、ユーザー認証を行うシステムである。
【0026】
<通信端末>
次に、上記通信端末20について詳しく説明する。
通信端末20は、同通信端末20の作動を制御する端末制御部21と、通信端末20で入力操作を行う際に使用する入力部22と、ディスプレイ等からなる表示部23と、各種データを記憶するメモリ24とを有している。通信端末20は、通信ネットワークNT(例えば携帯電話網やインターネット網)を通じて外部と通信するネットワーク通信部25と、近距離無線通信を行う通信モジュール26とを有している。通信端末20は、ネットワーク通信部25を介して、車両10の車両管理装置70または管理サーバ30との間でデータの送受信を行う。また、通信端末20は、通信モジュール26を介して、車両10の無線認証装置71との間で近距離無線通信を実行する。この近距離無線通信における通信態様は任意であり、例えばUWB(Ultra Wide Band)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の任意の通信規格に従うものが挙げられる。
【0027】
メモリ24には、通信端末20を車両10のキーとして作動させる際に必要なアプリケーション28が記憶されている。アプリケーション28は、サーバ等から通信ネットワークNTを介して取得されるとともに、メモリ24に書き込み保存される。このようにして通信端末20にアプリケーション28を記憶させることにより、同通信端末20による車両10の操作(例えば車両ドアの解錠操作や、エンジン11の始動操作)が可能となる。
【0028】
通信端末20は、認証システムでの認証に必要な認証データDC(後述)が登録されることにより、車両10のキーとして使用可能となる。認証データDCは、メモリ24に書き込み保存される。
【0029】
<無線給電装置>
車両10には、無線給電装置40の送電部分をなす送電部50が搭載されている。送電部50は、詳しくは車両10の内部に設けられている。本実施形態では、無線給電装置40の受電部分をなす受電部60は、通信端末20に設けられている。無線給電装置40は、900MHz~数十GHz帯のマイクロ波を用いた電波方式の無線給電により、車載の送電部50から通信端末20の受電部60への給電を行うものである。詳しくは、送電部50の送電アンテナ521と受電部60の受電アンテナ621との間で、無線給電のための電力伝送信号の送受信を行う。
【0030】
<送電部>
送電部50は、データ通信部51、送電機能部52、および制御部53を備えている。
データ通信部51は、通信アンテナ511を有している。データ通信部51は、通信アンテナ511の作動制御を通じて、ビーコン信号の受信など、受電部60との間での各種のデータ通信を実行する。
【0031】
送電機能部52は、送電アンテナ521を有している。送電機能部52は、電源(図示略)から供給される電力を電力伝送信号に変換するとともに、この電力伝送信号を送電アンテナ521の作動制御を通じて受電部60に送信する。
【0032】
制御部53としては、例えばマイクロコントロールユニットが用いられる。制御部53は、プロセッサとメモリ56とを備えている。メモリ56は、ROMおよびRAMを含む。メモリ56には、制御用のプログラムやデータが記憶されている。制御部53は、データ通信部51の作動制御や送電機能部52の作動制御など、送電部50の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0033】
<受電部>
受電部60は、データ通信部61、受電機能部62、および制御部63を有している。
データ通信部61は、通信アンテナ611を有している。データ通信部61は、通信アンテナ611の作動制御を通じて、位置情報を含むビーコン信号の送信など、送電部50との間での各種のデータ通信を実行する。このデータ通信における通信態様は任意であり、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の任意の通信規格に従うものが挙げられる。
【0034】
受電機能部62は、受電アンテナ621を有している。受電機能部62は、受電アンテナ621の作動を制御することで、送電部50から送信される電力伝送信号を受信する。受電機能部62は、整流回路や変圧回路を有している。受電機能部62は、整流回路や変圧回路を利用して、上記電力伝送信号を直流電力に変換する。本実施形態では、受電機能部62により変換された直流電力が蓄電池64に供給されることで、同蓄電池64が充電される。蓄電池64は、電力を蓄える二次電池である。蓄電池64は通信端末20の電源として利用される。
【0035】
制御部63としては、例えばマイクロコントロールユニットが用いられる。制御部63は、プロセッサとメモリ65とを備えている。メモリ65は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。メモリ65には、制御用のプログラムやデータが記憶されている。制御部63は、データ通信部61の作動制御や、受電機能部62の作動制御など、受電部60の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0036】
本実施形態の無線給電装置40では、基本的には、送電部50から受電部60への給電が以下のように実行される。
受電部60は、位置情報を含むビーコン信号を、送電部50に対して所定の時間間隔で送信する。送電部50は、その送電可能範囲に受電部60が在る場合には、受電部60のビーコン信号を受信する。送電部50は、ビーコン信号を受信すると、同ビーコン信号をもとに受電部60の位置を特定する。送電部50は、特定した位置に向けて電力伝送信号を送信することで、受電部60への無線給電を行う。これにより、送電部50の送電アンテナ521に対する受電部60の受電アンテナ621の向きや送電部50と受電部60との距離などに応じて、同受電部60への給電が効率よく行われる。本実施形態では、通信端末20が認証されたことを条件に、同通信端末20に設けられた受電部60に対する送電部50からの送電が許可されるようになっている。
【0037】
以下、本実施形態の車両利用管理システムについて具体的に説明する。
本実施形態の車両利用管理システムは、車両管理装置70と管理サーバ30とを有している。
【0038】
<車両管理装置>
車両管理装置70は、車両10に設けられている。車両管理装置70は、無線認証装置71、制御装置72、および位置判定部73を有している。
【0039】
無線認証装置71は、通信端末20との近距離無線通信を通じて、同通信端末20の認証を実行するためのものである。無線認証装置71は、アンテナ711と認証機能部74とを備えている。アンテナ711は、通信端末20との間での近距離無線通信を実行するためのものである。認証機能部74は、近距離無線通信を通じて送受信される前記認証データDCをもとに、車両10の利用のための通信端末20の認証を行う。なお本実施形態では、無線認証装置71が認証部に相当する。
【0040】
制御装置72は、無線認証装置71の認証結果をもとに車載機器を制御する。制御装置72は、通信バスを介して車載機器に接続されている。この通信バスは、CAN(Controller Area Network)、またはLIN(Local Interconnect Network)であることが好ましい。車載機器としては、車両ドアの施解錠を切り換えるためのドアロック装置(図示略)、エンジン11を制御するエンジン制御装置12などがある。
【0041】
制御装置72は、無線認証装置71の認証結果をもとに、これら車載機器を作動させる。制御装置72は、無線認証装置71によって通信端末20が認証されると、例えば車両ドアを解錠したり、エンジン11を始動したりする。
【0042】
<位置判定部>
位置判定部73は、車両10に対する通信端末20の位置を判定する。位置判定部73は、無線認証装置71に設けられている。位置判定部73は、通信端末20と無線認証装置71との間における近距離無線通信で送受信される電波の受信信号強度を測定するとともに、この受信信号強度から通信端末20の位置判定を実行する。例えば、位置判定部73は、測定した受信信号強度と予め定められた閾値とを比較することにより、車両10に対する通信端末20の位置を判定する。
【0043】
<利用量送信部>
車両管理装置70は、機能部として、利用量送信部75を有している。利用量送信部75は、車両10の利用状態に相当するデータ(以下、車両利用データDM)を管理サーバ30に送信する。車両利用データDMは、車両10の走行距離に相当する走行データや、送電部50から受電部60に送られた電力量に相当する電力データを含む。
【0044】
本実施形態では、電力データは、受電部60が車両10の内部(詳しくは、車室内)に在る状態で同受電部60に対して送電部50から送られた電力量に相当するデータである。
【0045】
ここで、本実施形態では、送電部50が車両10の内部に設けられている。そのため、通信端末20(詳しくは、受電部60)が車両10の外部に在る場合には、同通信端末20が車両10の内部に在る場合と比較して、送電部50から受電部60への給電の効率が低くなり易い。
【0046】
本実施形態によれば、通信端末20の受電部60が車両10の内部に在るとき、すなわち給電効率が比較的高いときに同受電部60に対して送電部50から送られた電力量に限り、上記電力データとして管理サーバ30に送信される。そのため、無線給電による効果が見込める状況で受電部60に送られた電力量をもとに、無線給電装置40の利用料金を算出することができる。
【0047】
<送電許可部>
車両管理装置70は、機能部として、送電許可部76を有している。送電許可部76は、通信端末20が認証されたことを条件に、同認証された通信端末20に設けられた受電部60に対する車載の送電部50からの送電を許可する。
【0048】
<管理サーバ>
管理サーバ30は、情報処理を実行する。管理サーバ30は、データベース31、受信部32、および送信部33を有する。
【0049】
データベース31には、利用申請データDAや、前記車両利用データDM、前記認証データDCなど、車両10の利用管理のための各種データが蓄積されている。利用申請データDAは、車両10の利用申請に際して、ユーザー所有の通信端末20から管理サーバ30に送信されるデータである。
【0050】
<受信部>
受信部32は、通信ネットワークNTを介して、車両管理装置70または通信端末20から送信されるデータを受信する。例えば、受信部32は、ユーザー所有の通信端末20から送信される利用申請データDAを受信する。また受信部32は、車両管理装置70から送信される車両利用データDMを受信する。
【0051】
<送信部>
送信部33は、通信ネットワークNTを介して、車両管理装置70または通信端末20に対してデータを送信する。例えば、送信部33は、利用申請データDAをもとに生成した認証データDCを車両管理装置70に送信する。また送信部33は、利用料金の精算が完了すると、その旨を示す精算完了データを通信端末20に送信する。
【0052】
管理サーバ30は、機能部として、料金算出部34、決済部35、およびデータ消去部36を有する。
<料金算出部>
料金算出部34は、データベース31に記憶されている車両利用データDM(詳しくは、車両利用データDMに含まれる走行データ)をもとに、車両10の利用料金を算出する。また料金算出部34は、データベース31に記憶されている車両利用データDM(詳しくは、車両利用データDMに含まれる電力データ)をもとに、無線給電装置40の利用料金を算出する。
【0053】
<決済部>
決済部35は、データベース31に記憶されている利用申請データDAをもとに、車両10の利用料金および無線給電装置40の利用料金の精算を行う。
【0054】
<データ消去部>
データ消去部36は、カーシェアリングサービスの利用終了時に、車両管理装置70および通信端末20に記憶されている前記認証データDCを消去する。
【0055】
<作用>
以下、本実施形態の車両利用管理システムによる作用について説明する。
<車両の利用申請>
本実施形態のカーシェアリングシステムでは、車両10の利用申請が、ユーザーによる通信端末20の操作を通じて行われる。
【0056】
図2は、車両10の利用申請に関する処理の実行手順を概念的に示している。図2に示すように、ユーザーによる車両10の利用申請に際して、ユーザー所有の通信端末20が操作されると、同通信端末20から管理サーバ30に利用申請データDAが送信される(ステップS11)。利用申請データDAは、ユーザーに関する情報や、利用車両および車両利用期間などの車両に関する情報、クレジットカード情報などの決済情報を含んでいる。そして、この利用申請データDAをもとに管理サーバ30のデータベース31が更新される。
【0057】
その後、管理サーバ30は、この利用申請データDAをもとに認証データDCを生成する。認証データDCは、特定ユーザーの通信端末20を電子キーとして機能させるためのデータである。認証データDCは、ユーザーが利用申請した車両10とユーザー所有の通信端末20とを関連付けるデータである。そして、認証データDCは、ユーザーによって利用申請された車両10の車両管理装置70に対して、管理サーバ30の送信部33から送信される(ステップS12)。
【0058】
<車両の利用許可>
本実施形態では、以下のように車両10の利用が許可される。
図3は、車両10の利用を許可する処理の実行手順を概念的に示している。図3に示すように、利用申請した車両10を利用する際には、ユーザーが通信端末20を所持した状態で同車両10に近づくことにより、通信端末20の認証が行われる(ステップS21)。具体的には、ユーザーが通信端末20を所持した状態で同車両10に近づくことにより、通信端末20の通信モジュール26と車両管理装置70の無線認証装置71とが、近距離無線通信によって接続された状態になる。この近距離無線通信を通じて、車両管理装置70と通信端末20との間で前記認証データDCが送受信される。そして、この認証データDCをもとに、車両10と通信端末20との組み合わせが正しいことが無線認証装置71によって確認されると、同通信端末20が認証される。
【0059】
通信端末20が認証された場合には(ステップS22:YES)、車両10の操作が許可される(ステップS23)。この場合には、例えば車両10の利用時間(利用開始時間/利用終了時間)や、以降の近距離無線通信で使用するセッション鍵、通信端末20の固有のIDである端末IDなどが、通信端末20および車両管理装置70の双方に記憶された状態になる。通信端末20が認証された状態とは、通信端末20および無線認証装置71の双方が互いに共通のセッション鍵や端末IDを知る状態をいう。本実施形態では、通信端末20が認証された状態になることにより、同通信端末20を用いた車両10の操作(ドアロック施解錠操作やエンジン始動操作)が可能となる。
【0060】
なお、通信端末20が認証されない場合には(ステップS22:NO)、処理が強制終了される(ステップS23の処理がジャンプされる)。この場合には、車両10の利用が許可されない。
【0061】
本実施形態では、具体的には、以下のように車両10の利用が許可される。
位置判定部73は、通信端末20の位置判定を実行する。具体的には、位置判定部73は、通信端末20および無線認証装置71の間で送受信された電波の受信信号強度を測定するとともに、この受信信号強度を用いて通信端末20の位置判定を実行する。なお、この位置判定は、近距離無線用のアンテナを車両10に複数設けるとともに、アンテナ毎に測定される受信信号強度を用いて実行することができる。この場合、位置判定部73は、アンテナの各々において通信端末20との位置関係を判定するとともに、これらの位置関係を複合的に判定することで、車両10に対する通信端末20の位置を認識することが好ましい。
【0062】
そして、通信端末20が認証された状態で、位置判定部73による位置判定によって通信端末20が車両10の外部に位置すると判定された場合には、車両ドアの施解錠が許可される。この場合、車両ドアが施錠状態のときに、ユーザーによって所定の解錠操作が実行されると、車両ドアが解錠される。解錠操作は、例えば、車外ドアハンドルを握るようにタッチする操作や、通信端末20で解錠の指示を実行する操作などがある。一方、車両ドアが解錠状態のときに、ユーザーによって所定の施錠操作が実行されると、車両ドアが施錠される。施錠操作は、例えば、車外ドアハンドルの施錠操作部をタッチする操作や、通信端末20で施錠の指示を実行する操作などがある。
【0063】
一方、通信端末20が認証された状態で、位置判定部73による位置判定によって通信端末20が車室内に位置すると判定された場合には、車両10の起動が許可される。この場合、ユーザーによって所定の起動操作が実行されると、車両10が起動される。所定の起動操作は、例えば、運転席の運転スイッチを操作すること、通信端末20で起動の指示を実行する操作などがある。具体的には、ブレーキペダル(図示略)が踏み込み操作された状態で運転スイッチが操作されると、車両10のエンジン11が始動される。
【0064】
<送電の許可>
本実施形態では、以下のように送電部50からの送電が許可される。
図4は、送電部50からの送電を許可する処理の実行手順を概念的に示している。図4に示すように、通信端末20が認証された状態で(ステップS31:YES)、同通信端末20が車両10の内部に在ると判定される場合には(ステップS32:YES)、送電部50から通信端末20の受電部60への給電が許可される(ステップS33)。なお、通信端末20が認証されていない場合や(ステップS31:NO)、位置判定によって通信端末20が車両10の外部に在ると判定される場合には(ステップS31:NO)、通信端末20への送電部50からの給電が禁止される(ステップS34)。
【0065】
<課金>
本実施形態では、以下のようにユーザーへの課金がなされる。
図5は、ユーザーに課金する処理の実行手順を概念的に示している。図5に示すように、車両10の利用期間においては(ステップS41:YES)、車両管理装置70の利用量送信部75により、車両利用データDM(走行データおよび電力データを含む)が管理サーバ30に送信される(ステップS42)。なお本実施形態では、車両10の利用期間であることは、以下の(条件A)および(条件B)が共に満たされることをもって判断される。
【0066】
(条件A)通信端末20が認証されている。
(条件B)車両10の利用が終了していない。
上記(条件B)が成立していることは、例えば、ユーザーが車両10の利用を申請した期間であることをもって判断したり、通信端末20で車両10の利用終了を指示する操作がなされていないことをもって判断したりすることができる。
【0067】
車両10の利用が終了すると(ステップS41:NO、且つ、ステップS43:YES)、走行データおよび電力データをもとに、車両10の利用料金および無線給電装置40の利用料金の決済が実行される(ステップS44)。
【0068】
具体的には、管理サーバ30の料金算出部34により、前記走行データに基づく車両10の利用料金の算出と、前記電力データに基づく無線給電装置40の利用料金の算出とが実行される。そして、管理サーバ30の決済部35により、利用申請データDA(詳しくは、決済にかかる情報)をもとに、車両10の利用料金および無線給電装置40の利用料金の決済が実行される。
【0069】
本実施形態によれば、カーシェアリングサービス用のシステムを利用する態様で、無線給電装置40の利用料金の精算を行うことができる。これにより、同一のシステムによって、車両10の利用料金の精算と無線給電装置40の利用料金の精算とを一括して行うことができる。したがって、それら利用料金の精算を各別のシステムを利用して行う場合と比較して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0070】
その後、管理サーバ30は、通信端末20に、利用料金の決済が完了した旨の情報を示すデータを送信する(ステップS45)。この情報は、例えば通信端末20の表示部23に表示される。ユーザーは、通信端末20の表示部23に表示された決済に関する情報をもとに、決済が完了したことを確認することができる。
【0071】
その後、管理サーバ30のデータ消去部36により、通信端末20および車両管理装置70に対して、認証データDCの消去を指示するデータが送信される。これにより、通信端末20および車両管理装置70に記憶されている認証データDCが消去される(ステップS46)。
【0072】
本実施形態によれば、車両10の利用が終了したときに、今回の車両利用に用いた認証データDCを利用不能にすることができる。これにより、車両10の利用終了後における同車両10および無線給電装置40の不正利用を回避することができる。
【0073】
<効果>
本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)車両管理装置70は、無線認証装置71および送電許可部76を有する。無線認証装置71は、近距離無線通信を通じて通信端末20との間で認証データDCを送受信するとともに、同認証データDCをもとに車両10の利用のための通信端末20の認証を行う。送電許可部76は、無線認証装置71によって通信端末20が認証されたことを条件に、認証された通信端末20の受電部60に対する送電部50からの送電を許可する。
【0074】
本実施形態によれば、車両10の利用登録に際して生成される認証データDCをもとに、車両10の利用のためのユーザー所有の通信端末20の認証(いわゆるユーザー認証)と、無線給電装置40の利用許可とを共に行うことができる。これにより、カーシェアリングサービスの利用登録と無線給電装置40の利用登録とを、共通の認証データDCをもとに一括して行うことができる。したがって、それらの利用登録がユーザーによる各別の作業によって各別に行われる場合と比較して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0075】
(2)車両管理装置70は、利用量送信部75を有する。利用量送信部75は、送電部50から受電部60に送られた電力量に相当する電力データを管理サーバ30に送信する。管理サーバ30は、料金算出部34を有する。料金算出部34は、電力データをもとに無線給電装置40の利用料金を算出する。
【0076】
本実施形態によれば、車両10の利用料金の精算と無線給電装置40の利用料金の精算とを同一のシステムによって行うことができるため、それら利用料金の精算を各別のシステムを利用して行う場合と比較して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0077】
(3)電力データを、受電部60が車両10の内部に在る状態で同受電部60に対して送電部50から送られた電力量に相当するデータとした。これにより、無線給電による効果が見込める状況で受電部60に送られた電力量をもとに、無線給電装置40の利用料金を算出することができる。
【0078】
(4)管理サーバ30は、データ消去部36を有する。データ消去部36は、カーシェアリングサービスの利用終了時に、車両管理装置70および通信端末20に記憶されている認証データDCを消去する。
【0079】
本実施形態によれば、車両10の利用終了後における同車両10および無線給電装置40の不正利用を回避することができる。
<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0080】
・位置判定部73によって判定される通信端末20の位置と、ビーコン信号をもとに送電部50によって特定される受電部60の位置とが一致していることをもって、ユーザー所有の通信端末20の受電部60を特定するようにしてもよい。そして、車両管理装置70の送電許可部76により、そのようにして特定した受電部60への送電部50からの送電を許可するようにしてもよい。同構成によっても、無線認証装置71によって通信端末20が認証されたことを条件に、同認証された通信端末20の受電部60に対する送電部50からの送電を許可することができる。
【0081】
・利用申請データDAおよび認証データDCに受電部60の固有のIDである受電部IDが含まれるように、管理サーバ30および車両管理装置70からなるシステムを構築してもよい。この場合には、認証データDCに含まれる受電部IDによって、ユーザー所有の通信端末20の受電部60を特定することができる。そして、車両管理装置70の送電許可部76により、そのようにして特定した受電部60への送電部50からの送電を許可することができる。こうした構成によっても、無線認証装置71によって通信端末20が認証されたことを条件に、同認証された通信端末20の受電部60に対する送電部50からの送電を許可することができる。
【0082】
・車両10の利用申請に際して、ユーザーに無線給電装置40の利用の要否を選択してもらうようにしてもよい。こうした構成は、例えば、通信端末20の表示部23に無線給電装置40の利用の要否を選択するためのボタンを表示することにより実現することができる。上記構成によれば、ユーザーが必要と判断した場合に限って無線給電装置40を利用することができるため、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0083】
・車両10の利用申請を、以下のように行うようにしてもよい。
図6は、車両10の利用申請を行う処理の実行手順を概念的に示している。図6に示すように、ユーザーによる車両10の利用申請に際して、ユーザー所有の通信端末20が操作されると、同通信端末20から管理サーバ30に利用申請データDAが送信される(ステップS51)。そして、この利用申請データDAをもとに管理サーバ30のデータベース31が更新される。その後、管理サーバ30は、この利用申請データDAをもとに認証データDCを生成する。そして、この認証データDCは、管理サーバ30の送信部33からユーザー所有の通信端末20に送信される(ステップS52)。
【0084】
上記構成によれば、認証データDCを通信端末20に記憶させておくことができる。そのため、通信ネットワークNTを利用不能な場所に車両10が在る場合であっても、通信端末20が記憶している認証データDCをもとに、通信端末20と車両管理装置70との間での近距離無線通信を通じて、同通信端末20の認証を行うことができる。
【0085】
・通信端末20が認証された状態で、同通信端末20が車両10の内部に在ると判定される場合において、通信端末20の受電部60への送電を許可することに加えて、通信端末20以外の電機機器に設けられた受電部60への送電を許可するようにしてもよい。
【0086】
同構成によれば、無線給電装置40の送電部50からの送電を、ユーザー所有の通信端末20に対して実行することに加えて、ユーザーが車両10に持ち込む等して同車両10に配置される電機機器(詳しくは、内蔵の受電部60)に対して実行することができる。
【0087】
通信端末20以外の電機機器としては、イヤホンや充電用アクセサリ等の通信端末20の周辺機器、車室内を除菌する除菌システム、飲料製品の温度を保持するタイプのドリンクホルダー等を採用することができる。図7に、ドリンクホルダーの一例を示す。図7に示すように、ドリンクホルダー80は、飲料製品を収容する収容凹部81を有している。ドリンクホルダー80には、収容凹部81に収容された飲料製品を保温(または保冷)するべく作動する電動の作動部(図示略)と、電源としての蓄電池82と、受電アンテナ621を有する受電部60とが設けられている。このドリンクホルダー80では、受電部60によって受けた電力を蓄電池82に供給することで、同蓄電池82が充電される。蓄電池82は、電力を蓄える二次電池である。蓄電池82は作動部および受電部60の電源として利用される。
【0088】
・1台の車両10を複数ユーザーで利用する場合に、利用量送信部75によって車両利用データDMを送信する処理と、料金算出部34によって利用料金を算出する処理とを以下のように実行するようにしてもよい。
【0089】
利用量送信部75は、無線認証装置71によって認証された通信端末20が車室内に複数存在する場合には、通信端末20毎に、電力データを管理サーバ30に送信する。この場合、管理サーバ30においては、電力データは、通信端末20(具体的には、これを所有するユーザー)毎に管理される。そして、この場合には、通信端末20毎に、料金算出部34による無線給電装置40の利用料金の算出を行うとともに、決済部35による無線給電装置40の利用料金の決済を行う。
【0090】
こうした構成によれば、1台の車両10(例えばミニバス、マイクロバス)を複数ユーザーで利用する場合に、ユーザー毎に、無線給電装置40の利用料金を精算することができる。
【0091】
上記構成において、通信端末20毎に、電力データを管理サーバ30に送信することに合わせて、走行データを管理サーバ30に送信するようにしてもよい。また、通信端末20毎に、無線給電装置40の利用料金を算出して精算することに合わせて、車両10の利用料金を算出して精算するようにしてもよい。
【0092】
こうした構成によれば、1台の車両10を複数ユーザーで利用する場合に、ユーザー毎に、無線給電装置40の利用料金と車両10の利用料金とを一括して精算することができる。
【0093】
・無線認証装置71によって通信端末20を認証する処理と、利用量送信部75によって車両利用データDMを送信する処理と、料金算出部34によって利用料金を算出する処理とを以下のように実行するようにしてもよい。
【0094】
図8に示すように、ユーザーが車両10に乗り込むときには(ステップS61:YES)、無線認証装置71により、ユーザー所有の通信端末20の認証が行われる(ステップS62)。
【0095】
そして、ユーザーの乗車中においては(ステップS61:NO、且つ、ステップS63:YES)、利用量送信部75により、電力データを含む車両利用データDMが管理サーバ30に送信される(ステップS64)。なお、ユーザーが乗車中であることは、ユーザー所有の通信端末20が認証された状態で、同通信端末20が車両10の内部に在ることをもって判断することができる。
【0096】
ユーザーが降車するときには(ステップS61:NO、且つ、ステップS63:NO、且つ、ステップS65:YES)、料金算出部34による利用料金の算出と、決済部35による利用料金の精算とが行われる(ステップS66)。この場合には、料金算出部34は、走行データをもとに車両10の利用料金を算出するとともに、電力データをもとに無線給電装置40の利用料金を算出する。そして、決済部35は、車両10の利用料金および無線給電装置40の利用料金の精算を行う。なお、ユーザーが降車することは、ユーザー所有の通信端末20が車両10の内部から外部に移動したことをもって判断することができる。
【0097】
そして、決済部35による決済が完了すると、その旨を示す精算完了データが通信端末20に送信される(ステップS67)。
上記構成によれば、ユーザーが車両10を利用する際に、ユーザー所有の通信端末20を利用して、同ユーザーの乗車期間における同車両10の利用料金と無線給電装置40の利用料金とを自動算出することができる。また、それら利用料金の精算を自動的に実行することもできる。
【0098】
・非常時(例えば災害時)において、無線給電装置40の送電部50からの送電を無条件に許可するようにしてもよい。
・送電許可部76によって送電部50からの送電が許可されているときであっても、送電部50から受電部60への送電効率が低くなる場合には、送電部50から受電部60への送電を停止するようにしてもよい。
【0099】
・無線給電装置40の送電部50から受電部60への電力の供給を、電波方式の無線給電を通じて行うことの他、電磁誘導式や磁界共鳴方式など、任意の方式の無線給電を通じて行うようにしてもよい。
【0100】
・上記実施形態にかかる車両利用管理システムは、カーシェアリングサービス用の車両の他、タクシー配車サービス用の車両やレンタカーサービス用の車両など、利用登録した上で車両を利用する車両利用サービス用の車両であれば適用することができる。また上記実施形態にかかる車両利用管理システムは、駆動源としてエンジンのみを搭載するエンジン車両の他、エンジンとモータとの2種の駆動源を備えるハイブリッド車両や、駆動源としてモータのみを搭載する電気車両にも適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
NT…通信ネットワーク
DA…利用申請データ
DC…認証データ
DM…車両利用データ
10…車両
11…エンジン
12…エンジン制御装置
20…通信端末
21…端末制御部
22…入力部
23…表示部
24…メモリ
25…ネットワーク通信部
26…通信モジュール
30…管理サーバ
31…データベース
32…受信部
33…送信部
34…料金算出部
35…決済部
36…データ消去部
40…無線給電装置
50…送電部
51…データ通信部
511…通信アンテナ
52…送電機能部
521…送電アンテナ
53…制御部
56…メモリ
60…受電部
61…データ通信部
611…通信アンテナ
62…受電機能部
621…受電アンテナ
63…制御部
64…蓄電池
65…メモリ
70…車両管理装置
71…無線認証装置
711…アンテナ
72…制御装置
73…位置判定部
74…認証機能部
75…利用量送信部
80…ドリンクホルダー
81…収容凹部
82…蓄電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8