(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137128
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】衣類購入支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240927BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q30/0601 340
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048524
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 祥子
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB22
5L030BB66
5L049BB22
5L049BB66
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】所有している衣類と類似していない衣類であり、流行に沿った、ユーザに似合うタイプの衣類の購入を提案すること。
【解決手段】衣類購入支援システム(7)は、流行衣類記憶部(71)と、お似合い衣類記憶部(72)と、流行衣類記憶部(71)の画像情報と、ユーザの所持衣類の画像情報とを比較する流行衣類・所持衣類比較部(75)と、流行衣類記憶部(71)の画像情報と、似合うと判断された衣類の画像情報とを比較する流行衣類・お似合い衣類比較部(76)と、流行衣類・所持衣類比較部(75)において、流行衣類記憶部(71)に記憶されている画像情報と、ユーザの所持衣類の画像情報とが類似しない場合で、かつ、流行衣類・お似合い衣類比較部(76)において、流行衣類記憶部(71)の画像情報と、似合うと判断された衣類の画像情報とが一致する場合は、購入を勧める判定部(77)とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流行している衣類の画像情報を記憶する流行衣類記憶手段と、
ユーザが所持している所持衣類のうち、似合うと判断された衣類の画像情報を記憶するお似合い衣類記憶手段と、
前記流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての前記所持衣類の画像情報とを比較する流行衣類・所持衣類比較手段と、
前記流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、似合うと判断された衣類の画像情報とを比較する流行衣類・お似合い衣類比較手段と、
前記流行衣類・所持衣類比較手段において、前記流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての前記所持衣類の画像情報とが類似しない場合で、かつ、前記流行衣類・お似合い衣類比較手段において、前記流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、似合うと判断された衣類の画像情報とが一致する場合は、購入を勧める判定手段とを備える、衣類購入支援システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記流行衣類・所持衣類比較手段において、前記流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての前記所持衣類の画像情報とが類似する場合は、購入を勧めない、請求項1に記載の衣類購入支援システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記流行衣類・所持衣類比較手段において、前記流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての前記所持衣類の画像情報とが類似しない場合であっても、前記流行衣類・お似合い衣類比較手段において、前記流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、似合うと判断された衣類の画像情報とが一致しない場合は、購入を勧めない、請求項1または2に記載の衣類購入支援システム。
【請求項4】
前記お似合い衣類記憶手段は、似合うと判断された画像情報を複数の色カテゴリーに分類し、分類した画像情報が最も多い色を似合う色として記憶する色カテゴリー記憶手段を含む、請求項1または2に記載の衣類購入支援システム。
【請求項5】
前記お似合い衣類記憶手段は、似合うと判断された画像情報を複数のシルエットカテゴリーに分類し、その分類した画像情報が最も多いシルエットを似合うシルエットとして記憶するシルエットカテゴリー記憶手段を含む、請求項1または2に記載の衣類購入支援システム。
【請求項6】
前記所持衣類は、クローゼット内のハンガーバーに吊り下げられている衣類の保管状況の管理を行う衣類管理システムによって管理されるものであり、
前記衣類管理システムは、
前記クローゼット内に設置され、定期的にクローゼット内のすべての衣類の撮影を行うカメラと、
前記カメラで撮影した衣類の画像情報を所定の衣類区分に区分して記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記衣類の画像情報と、前記クローゼット内でその後に撮影した衣類の画像情報とを照合して、前記クローゼット内の衣類の保管状況の変化を認識する照合認識手段と、
前記照合認識手段が前記クローゼット内に新たな衣類の追加を認識したことに応じて、前記記憶手段の衣類の画像情報に前記新たな衣類の情報の追加を行う画像情報更新手段と、
前記照合認識手段が前記クローゼット内から特定の衣類の消失を認識したことに応じて、衣類の消失を知らせる通知を行う消失報知手段とを含む、請求項1または2に記載の衣類購入支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類購入支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、衣類を多数保有する場合、クローゼット内に収納した衣類のすべてを把握することができず、衣類の大半を使用しないままにしたり、つい同じタイプの衣類を購入したりしてしまう。そのため、従来から、保有する衣類を管理するシステムが提案されている。
【0003】
たとえば特開2007-265077号公報(特許文献1)の子供衣類管理プログラムは、子供の成長は早いため、せっかく買った高価な服が短期間しか着用できないという問題点に着目したものであり、子供の成長を加味した上で、子供衣類を購入することを判断するための情報として、たとえば子供の好みを考慮した上で、購入する子供衣類を提案する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のシステムは、流行服を加味した技術ではない。また、既に所持している衣類との関係で、衣類の購入をアドバイスするものではない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、所有している衣類と類似していない衣類であり、流行に沿った、ユーザに似合うタイプの衣類の購入を提案することが可能な衣類購入支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に従う衣類購入支援システムは、流行している衣類の画像情報を記憶する流行衣類記憶手段と、ユーザが所持している所持衣類のうち、似合うと判断された衣類の画像情報を記憶するお似合い衣類記憶手段と、流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての所持衣類の画像情報とを比較する流行衣類・所持衣類比較手段と、流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、似合うと判断された衣類の画像情報とを比較する流行衣類・お似合い衣類比較手段と、流行衣類・所持衣類比較手段において、流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての所持衣類の画像情報とが類似しない場合で、かつ、流行衣類・お似合い衣類比較手段において、流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、似合うと判断された衣類の画像情報とが一致する場合は、購入を勧める判定手段とを備える。
【0008】
好ましくは、判定手段は、流行衣類・所持衣類比較手段において、流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての所持衣類の画像情報とが類似する場合は、購入を勧めない。
【0009】
好ましくは、判定手段は、流行衣類・所持衣類比較手段において、流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての所持衣類の画像情報とが類似しない場合であっても、流行衣類・お似合い衣類比較手段において、流行衣類記憶手段に記憶されている画像情報と、似合うと判断された衣類の画像情報とが一致しない場合は、購入を勧めない。
【0010】
さらに好ましくは、お似合い衣類記憶手段は、似合うと判断された画像情報を複数の色カテゴリーに分類し、分類した画像情報が最も多い色を似合う色として記憶する色カテゴリー記憶手段を含む。
【0011】
また、お似合い衣類記憶手段は、似合うと判断された画像情報を複数のシルエットカテゴリーに分類し、その分類した画像情報が最も多いシルエットを似合うシルエットとして記憶するシルエットカテゴリー記憶手段を含む。
【0012】
好ましくは、所持衣類は、クローゼット内のハンガーバーに吊り下げられている衣類の保管状況の管理を行う衣類管理システムによって管理されるものであり、衣類管理システムは、クローゼット内に設置され、定期的にクローゼット内のすべての衣類の撮影を行うカメラと、カメラで撮影した衣類の画像情報を所定の衣類区分に区分して記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶した衣類の画像情報と、クローゼット内でその後に撮影した衣類の画像情報とを照合して、クローゼット内の衣類の保管状況の変化を認識する照合認識手段と、照合認識手段がクローゼット内に新たな衣類の追加を認識したことに応じて、記憶手段の衣類の画像情報に新たな衣類の情報の追加を行う画像情報更新手段と、照合認識手段がクローゼット内から特定の衣類の消失を認識したことに応じて、衣類の消失を知らせる通知を行う消失報知手段とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所有している衣類と類似していない衣類であり、流行に沿った、ユーザに似合うタイプの衣類の購入を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る衣類購入支援部および衣類管理部を備えた衣類システムを用いたクローゼットを模式的に示す図である。
【
図3】クローゼット内に設けられるハンガーバーを示す図であり、(A)は
図2の矢印Aから見た図であり、(B)は
図2の矢印Bから見た図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る衣類購入支援部および衣類管理部を備えた衣類システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】所持衣類の画像情報のデータ構造例を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る衣類管理処理を示すフローチャートである。
【
図7】似合うと判断された衣類の画像情報のデータ構造例を示す図である。
【
図8】似合うと判断された衣類の画像情報のデータ構造例を示す図である。
【
図9】色カテゴリー記憶部の処理を示すフローチャートである。
【
図10】シルエットカテゴリー記憶部の処理を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施の形態における衣類購入支援処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
本実施の形態に係る衣類購入支援システムは、衣類管理システムを用いたものであり、所有している衣類と類似していない衣類であり、流行に沿った、ユーザに似合うタイプの衣類の購入を提案することが可能なシステムである。衣類購入支援システムは、俗にいう「買いすぎ防止システム」または「タンスの肥やし防止システム」である。
【0017】
衣類購入支援システム7と衣類管理システム6とによって衣類システム3が構成されている。衣類管理システム6は、クローゼット1内のハンガーバー20に吊り下げられている衣類の保管状況の管理を行うものであるため、まず、クローゼットの概要について説明する。
【0018】
<クローゼットの概要>
図1~
図3を参照して、本実施の形態の衣類システム3の対象となるクローゼット1の概要について説明する。
図1は、衣類管理システムを用いたクローゼットを模式的に示す図であり、
図2は、クローゼットの内部を示す斜視図である。
図3は、クローゼット内に設けられるハンガーバーを示す図であり、(A)は
図2の矢印Aから見た図であり、(B)は
図2の矢印Bから見た図である。
【0019】
クローゼット1は、たとえば住宅などの建物に備え付けられた収納スペースである。クローゼット1は、ウォークインクローゼットであることが好ましく、内部に人が入ることのできる大きさ(床面積および体積)の収納室であり、少なくとも1つの出入り口を有している。
【0020】
クローゼット1は、平面視において矩形形状(長方形状または正方形状)であり、天井側に位置する天壁11と、天壁11と対向して設けられる床部12と、周囲に位置し対向して設けられる一対の側壁13,13と、奥側に設けられ一対の側壁13を連結する後壁14とを含む。なお、
図1および
図2において、手前側に設けられ、一対の側壁13,13を連結する前壁の図示は省略する。前壁には、上述した出入り口が設けられ、
図1および
図2には、出入り口が開いて内部を視認した状態が示されている。
【0021】
天壁11には、カメラ4を移動可能に支持するレール21が設けられる。レール21は、前壁(図示せず)および後壁14の延在方向にそって延びる第1レール21aと、一対の側壁13,13の延在方向に沿ってそれぞれ延びる第2レール21bとで形成され、第1レール21aと第2レール21bとで底面視矩形形状となる。カメラ4は、一対の第2レール21bに位置する場合に、ハンガーバー20に吊り下げられている衣類を撮影することが好ましい。
【0022】
天壁11のレール21に移動可能に支持されるカメラ4は、クローゼット1内のすべての衣類の撮影を定期的に行う。カメラ4は、典型的には静止画である写真を撮影するものであるが、動画であってもよい。カメラ4は、衣類の衣類区分が判別できる程度の画像情報に撮影する必要がある。衣類の衣類区分については後述する。カメラ4で撮影された画像情報は、衣類システム3の管理制御部5(
図4)が保存される、たとえばスマートフォンなどの端末2に送信される。管理制御部5については、後述する。
【0023】
一対の側壁13,13には、ハンガーバー20がそれぞれ設けられる。ハンガーバー20は、衣類を吊り下げて保管するための衣類用ハンガーを吊り下げるための棒状部材である。クローゼット1内に保管するすべての衣類は、ハンガーに掛けてハンガーバー20に吊り下げるものとする。一般的にハンガーに掛けないような、たとえばスカート、ズボン、着物等のような衣類であっても、すべてハンガーに掛けて、ハンガーバー20に吊り下げる。ハンガーバー20は、上下二段設けられ、上ハンガーバー22と、その下方に設けられる下ハンガーバー23とを含む。
【0024】
図3(A)に示すように、上ハンガーバー22の床部12からの高さ寸法H1は、1000mm以上1900mm以下であることが好ましく、典型的には1800mmである。下ハンガーバー23の高さ寸法H2は500mm以上1400mm以下であることが好ましく、典型的には1300mmである。下ハンガーバー23の高さ寸法H2は、上ハンガーバー22の高さ寸法H1よりも400mm~500mm低いことが好ましい。これにより、上ハンガーバー22に吊り下げた衣類と下ハンガーバー23に吊り下げた衣類とが上下に重ならないように設けることができる。
【0025】
図3(B)に示すように、上ハンガーバー22は、平面視略コの字形状であり、側壁13に対して平行に延びる第1部分22aと、第1部分22aの長手方向両端部に連結され、側壁13に対して垂直に設けられる第2部分22bとを有する。第1部分22aにハンガーが吊り下げられ、第2部分22bにはハンガーが吊り下げられないことが好ましい。第1部分22aと側壁13との間隔D1は、250mm以上300mm以下であることが好ましい。これにより、衣類を吊り下げるハンガーを側壁13に対して垂直に掛けることができ、衣類を側壁13に対して垂直にして整列することができる。
【0026】
同様に、下ハンガーバー23は、平面視略コの字形状であり、側壁13に対して平行に延びる第1部分23aと、第1部分23aの長手方向両端部に連結され、側壁13に対して垂直に設けられる第2部分23bとを有する。第1部分23aにハンガーが吊り下げられ、第2部分23bにはハンガーが吊り下げられないことが好ましい。第1部分23aと側壁13との間隔D2は、上ハンガーバー22の間隔D1よりも大きく、750mm以上900mm以下であることが好ましい。
【0027】
これにより、下ハンガーバー23は上ハンガーバー22よりも内方に突出して設けられるため、上ハンガーバー22に掛けた衣類と下ハンガーバー23に掛けた衣類の肩が重ならないように設けることができる。これにより、上ハンガーバー22と下ハンガーバー23に掛けた衣類が重なることなく、すべての衣類を撮影することができる。
【0028】
このようなクローゼット1の側壁13に設けられるハンガーバー20に吊り下げられている衣類の保管状況の管理を行うために、スマートフォン2内に保存されている衣類システム3が設けられている。以下、衣類システム3について詳細に説明する。
【0029】
<衣類システム>
図4,
図5,
図7,
図8を参照して、衣類システム3の管理制御部5について説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る衣類システム3の構成を示すブロック図である。
図5,
図7,
図8は、画像情報のデータ構造例を示す図である。
【0030】
衣類システム3は、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)5、計時動作を行う計時部51と、ネットワークを介してカメラ4等の通信機器と通信する通信部52と、ユーザにより操作される操作部53と、各種情報を表示する表示部54と、選択肢を入力できる入力部55と、判定結果を知らせる報知部56とを備えている。衣類システム3は、たとえばスマホなどの携帯端末に保存され、実現される。CPU5は、主な機能構成として、クローゼット1内の衣類を管理する衣類管理部6と、衣類購入支援部7とを含む。
【0031】
(衣類管理部)
衣類管理部6は、衣類区分記憶部61と、入力時期記憶部62と、照合認識部63と、画像情報更新部64と、消失報知部65とを含む。
【0032】
衣類区分記憶部61は、カメラ4で撮影した衣類の画像情報を所定の衣類区分に区分して記憶する。ここで、衣類区分とは、たとえば10以上のカテゴリーであり、典型的には14のカテゴリーである。14のカテゴリーは、たとえば、コート、ジャケット、スカート、パンツ、ワンピース、着物等(浴衣を含む)、ワイシャツ(ブラウスを含む)、カーディガン、ティーシャツ(七分袖を含む)、パーカー、ニット(セーターを含む)、トレーナー(カットソーを含む)、タンクトップ(ノースリーブを含む)、ベストであるがこの区分に限定されるものではない。
【0033】
14の衣類区分は、衣類区分No.として表されてもよく、たとえば、
図5の衣類区分No.1はティーシャツ、衣類区分No.2はジャケット、衣類区分No.3はスカート、などのように予め設定されているものとする。衣類区分記憶部61は、たとえばAI技術などを用いて、カメラ4で撮影した画像情報をもとに各衣類の衣類区分を推定する。
【0034】
衣類区分記憶部61は、カメラ4で撮影した衣類の画像情報から、クローゼット1内に収納されたすべての衣類をこれらの14区分に分類分けする。
図5(A)の一例に示すように、衣類区分No.1のティーシャツが7枚、衣類区分No.2のジャケットが4着、衣類区分No.3のスカートが3枚、などのようにクローゼット1内に収納されたすべての衣類が14の衣類区分に区分分けされて記憶される。なお、
図5(A)および
図5(B)では、画像情報の欄の「〇」はクローゼット1内に存在するものであり、「×」は存在しないと判断されたものである。
【0035】
入力時期記憶部62は、衣類区分記憶部61に新たに入力された衣類の入力時期を記憶する。入力時期は、典型的には日にちであり、時間まで記憶される必要はない。入力時期記憶部62に記憶された日にちが、その衣類の登録日であり、購入した日であると推定される。
【0036】
照合認識部63は、衣類区分記憶部61に記憶した衣類の画像情報と、クローゼット1内でその後に撮影した衣類の画像情報とを照合して、クローゼット1内の衣類の保管状況の変化を認識する。カメラ4での撮影は、典型的には1週間毎に行われるが、1週間前の衣類の画像情報と、その日の衣類の画像情報とを比較して、衣類の存在の有無を確認する。
【0037】
図5の一例で示すように、
図5(A)は、たとえば1週間前の衣類を衣類区分に区分けした表であり、
図5(B)は、たとえばその日の衣類を衣類区分に区分分けした表である。
図5(A)と
図5(B)とを対比すると、衣類区分No.1のティーシャツは、「〇」が「×」になっているため、2着存在しないと認識されている。衣類区分No.2のジャケットは同じ枚数であると認識されている。衣類区分No.3のスカートは、「〇」が「×」になっているため、1枚存在しないと認識され、「〇」が2つ増えているため、他のスカート1枚が新たに存在したと認識されていることが分かる。
【0038】
画像情報更新部64は、照合認識部63がクローゼット内に新たな衣類の追加を認識したことに応じて、衣類区分記憶部61の衣類の画像情報に新たな衣類の情報の追加を行う。これは、上述した
図5(B)の衣類区分No.3のスカートの2つの「〇」に表されており、新たな衣類の画像情報があると認識された場合には、画像情報更新部64は、新たな衣類が存在するとして衣類区分記憶部61に追加し、その日にちを入力時期記憶部62に追加する。
【0039】
消失報知部65は、照合認識部63がクローゼット1内から特定の衣類の消失を認識する。これは、上述した
図5(B)の衣類区分No.3のスカートの「×」に表されている。具体的には、1週間前の衣類区分の
図5(A)と、その日の衣類区分の
図5(B)とを照合すると、衣類区分No.3の紙面上の左から3つ目に「×」が表されており、衣類の画像情報が消失したと認識されている。この場合には、消失報知部65は、衣類区分No.3のスカートが消失したと認識して、衣類の消失を知らせるために、端末2に通知する。
【0040】
入力部55は、消失報知部65の通知を受けた操作者が特定の衣類に関して処分済か否かの選択肢を入力できる。具体的には、「処分した」および「処分していない」の選択肢を入力できる。消失報知部65が報知されたとしても、実際には衣類が消失してない場合もある。たとえば、その衣類をクリーニングに出している場合、数日間貸し出した場合などである。そのような場合は、その衣類は数日間クローゼット1内に存在しないだけで、消失したのではない。そのため、実際にその衣類が消失したか否かを操作者に確認することにして、衣類の存在の誤認が生じないようにした。
【0041】
画像情報更新部64は、入力部55への入力が「処分した」であることに応じて、衣類区分記憶部61の衣類の画像情報から処分した衣類の情報の削除を行う。操作者が入力部55に「処分した」と入力して初めてその衣類が捨てられたことを確定する。
【0042】
(衣類購入支援部)
同図を参照して、衣類購入支援部7は、流行衣類記憶部71と、お似合い衣類記憶部72と、流行衣類・所持衣類比較部75と、流行衣類・お似合い衣類比較部76と、判定部77とを含む。
【0043】
流行衣類記憶部71は、流行している衣類の画像情報を記憶する。流行している衣類とは、たとえばある一定期間、多くのユーザによって採用され、世間一般の多くの人に広く行き渡っている衣類である。流行している衣類の画像情報は、インターネットなどの通信部52を通じて入手した、たとえばニュース、記事、SNSなどのネット情報に投稿された写真などである。流行している衣類の画像情報は、AIの画像判定によって判別され、特に、画像情報から、流行している衣類の色およびシルエットが検出される。流行している衣類の画像情報は、シーズン毎の年4回、通信部52から自動的に入手されるように設定されている。また、流行衣類記憶部71には、ユーザが気に入った流行服を個別に登録できてもよい。
【0044】
お似合い衣類記憶部72は、ユーザが所持している所持衣類のうち、似合うと判断された衣類の画像情報を記憶する。上述した衣類区分記憶部61では、クローゼット1内に保管されるすべての衣類区分を保管していたが、このお似合い衣類記憶部72では、他人から似合うと言われた衣類の情報のみを保存するものとする。一般的に、「好きな服」と「似合う服」が一致する人は少ない。そのため、お似合い衣類記憶部72では、ユーザ自身が好きな服ではなく、他人から似合うと言われた衣類を記録するものとする。他人から似合うと言われた場合には、その衣類を着用した状態で、クローゼット1のカメラ4で全身を撮影し、その画像データを似合うと判断された衣類の画像情報として保存する。具体的には、似合うと判断された衣類の画像情報を「お気に入り」に登録する。
【0045】
具体的には、お似合い衣類記憶部72は、色カテゴリー記憶部73と、シルエットカテゴリー記憶部74とを含む。
【0046】
色カテゴリー記憶部73は、似合うと判断された衣類の画像情報を複数の色カテゴリーに分類し、分類した画像情報が最も多い色を似合う色として記憶する。色カテゴリーとは、たとえば10色であり、たとえば、黒、灰、白、紫、桃、赤、橙、黄、緑、青であるが、この色に限定されるものではなく、少なくとも5色以上であればよい。色カテゴリー記憶部73は、たとえばAI技術などを用いて、お気に入り登録された全身写真の画像情報をもとに10色の色カテゴリー区分に分類する。
【0047】
図7は、色カテゴリーのデータ構造例が示されている。表の左欄には、色カテゴリー(赤、青、・・・、黒)が示されており、右欄には、画像情報の有無が示されており、具体的には、画像情報が保存されていることが「〇」で表されている。
図7に示すように、赤は3着、青は5着、・・・、黒は3着であるため、この中で最も画像情報の多い色は青となる。したがって、
図7の場合であれば、似合う衣類の色は青である。
【0048】
シルエットカテゴリー記憶部74は、お似合い衣類情報を複数のシルエットカテゴリーに分類し、最も数量の多いシルエットを似合うシルエットとして記憶する。シルエットカテゴリーとは、たとえば3つであり、たとえば、太、標準、細であるが、この3つのシルエットに限定されるものではなく、少なくとも2つ以上であればよい。シルエットカテゴリー記憶部74は、たとえばAI技術などを用いて、お気に入り登録された全身写真の画像情報をもとに3つのシルエットカテゴリー区分に分類する。
【0049】
図8は、シルエットカテゴリーのデータ構造例が示されている。表の左欄には、シルエットカテゴリー(太、標準、細)が示されており、右欄には、画像情報の有無が示されており、具体的には、画像情報が保存されていることが「〇」で表されている。
図8に示すように、太は3着、標準は4着、細は6着であるため、この中で最も画像情報の多いシルエットは細となる。したがって、
図7の場合であれば、似合う衣類のシルエットは細となる。
【0050】
流行衣類・所持衣類比較部75は、流行衣類記憶部71に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての所持衣類の画像情報とを比較する。具体的には、クローゼット1内に保管されているすべての所持衣類の中に、流行している衣類と類似している衣類が保管されていないかを確認する。たとえばAI技術などを用いて、所持衣類の画像情報と流行衣類の画像情報とを比較して、似ているか似ていないかだけを大まかに判断する。流行衣類・所持衣類比較部75では、色、シルエットなど具体的な観点で類似・非類似を判断する必要はない。
【0051】
流行衣類・お似合い衣類比較部76は、流行衣類記憶部71に記憶されている画像情報と、お似合い衣類記憶部72に記憶されている画像情報とを比較する。上述のように、流行衣類に関しては、流行衣類記憶部71に所持衣類の画像情報に基づく色およびシルエットが記憶されており、お似合い衣類に関しては、色カテゴリー記憶部73に各お似合い衣類の色が記憶されており、シルエットカテゴリーに各お似合い衣類のシルエットが記憶されている。そのため、流行衣類とお似合い衣類を比較する際には、両者の色とシルエットを比較して、類似するか、類似しないかを判断する。流行衣類・お似合い衣類比較部76は、色とシルエットの2つのカテゴリーで比較するため、上述した流行衣類・所持衣類比較部75より厳密に類似の判断がなされる。
【0052】
判定部77は、流行衣類・所持衣類比較部75において、流行衣類記憶部71に記憶されている画像情報と、ユーザが所持しているすべての所持衣類の画像情報とが類似しない場合で、かつ、流行衣類・お似合い衣類比較部76において、流行衣類記憶部71に記憶されている画像情報と、お似合い衣類記憶部72において似合うと判断された衣類の画像情報とが一致する場合は、購入を勧める。
【0053】
また、判定部77は、流行衣類・所持衣類比較部75で流行衣類情報と所持衣類所持情報とが一致すると判断した場合は、購入を勧めない。流行衣類と所持衣類が似ている場合には、クローゼット1内に既に流行している衣類と似ている衣類があるということなので、似たような衣類が増えてしまうことを防ぐためである。判定部77で購入を勧めるか購入を勧めないかを判定するが、この判定結果の通知は、報知部56を通じて行われる。
【0054】
<衣類区分の認定の一例>
上述のように、クローゼット1内に保管された衣類は、カメラ4で撮影された衣類の画像情報をもとに14の衣類区分に分類される。この衣類区分への分類は、たとえばAI技術などを用いて判定される。以下、その衣類区分の認定の一例について説明する。
【0055】
クローゼット1内に設置されたカメラ4は、ハンガーバー20に吊り下げられた状態の衣類を撮影する。カメラ4は、天壁11のレール21に移動可能に保持されているため、その位置から撮影した衣類の画像情報からは、衣類の首元部分、肩部分、袖部分、縦方向の長さ、素材、模様などが取得できる。
【0056】
たとえば、衣類の画像情報から、襟のない丸首であり、袖が半袖であり、材質が綿またはポリエチレンであるとAIが判定した場合は、その衣類は「ティーシャツ」であると判定され、ティーシャツの衣類区分No.1に分類される。
【0057】
また、たとえば、衣類の画像情報から、襟があり、袖が長袖であり、下にスカートが付いているとAIが判定した場合は、その衣類は「ワンピース」であると判定され、ワンピースの衣類区分No.3に分類される。
【0058】
なお、クローゼット1内には、複数の種類の衣類が存在し、同じ衣類区分の衣類も複数存在するが、同じ衣類区分の衣類であっても、素材や模様などが異なることで、違う衣類であると認定される。また、全く同じ形状、素材、および模様の衣類である場合は、その衣類の数でその衣類の存在を確認することとなる。
【0059】
<衣類管理システムの動作>
図6および
図7は、本実施の形態における衣類管理処理を示すフローチャートである。衣類管理処理は、衣類装置3のCPU5が、記憶部67に予め記憶されたプログラム(衣類管理プログラム)を読み出して実行することにより実現される。なお、この処理は、典型的には、週1回、所定時間(例えば、午前12時など)に開始される。
【0060】
図6を参照して、衣類管理システムの一般的な処理を説明する。
図6を参照して、所定時間、たとえば午前12時になると、クローゼット1の天壁11に設置されているカメラ4が、クローゼット1内のハンガーバー20に吊り下げられている衣類をすべて撮影する(ステップS10)。具体的には、カメラ4は、天壁11に設けられるレール21に沿って移動し、上ハンガーバー22および下ハンガーバー23に吊り下げられている衣類を撮影する。この場合、カメラ4は、すべての衣類が撮影されるように複数箇所で撮影する。
【0061】
カメラ4で撮影した衣類の画像情報を、たとえば14の衣類区分に区分して衣類区分記憶部61に保存する(ステップS12)。たとえば、カメラ4で撮影した衣類の画像情報をAIで写真判定する。
【0062】
同じように、たとえば1週間後の同時刻にカメラ4でクローゼット1内のハンガーバー20に吊り下げられている衣類をすべて撮影し、同様にそれらの衣類の画像情報をたとえば14の衣類区分に区分する(ステップS14)。1週間前に衣類区分記憶部61に記憶した衣類区分と今回撮影した衣類の衣類区分とを照合して、クローゼット1内の衣類の保管状況の変化を確認する(ステップS16)。具体的には、1週間の間に、クローゼット1内に新しく存在した衣類と存在しなくなった衣類がないかを確認する。
【0063】
クローゼット1の衣類の保管状況に変化がある場合、特に衣類の数が増えている場合(ステップS18にてYes「多い」)には、その衣類が「新しい衣類」であるとして保存する(ステップS20)。
【0064】
クローゼット1の衣類の保管状況に変化がある場合、特に衣類の数が減っている場合(ステップS18にてYes「少ない」)には、その衣類が「処分した可能性がある衣類」であると判定する(ステップS22)。その後、操作者にその旨が通知される(ステップS24)。操作者がその衣類を本当に処分した場合(ステップS26にてYes)は、その衣類は衣類区分から削除される。操作者がその衣類を処分していない場合(ステップS26にてNo)は、その衣類は衣類区分にそのまま保存される。
【0065】
クローゼット1の衣類の保管状況に変化がない場合(ステップS18にてNo)には、その衣類は衣類区分にそのまま保管される。
【0066】
<衣類購入支援システムの動作>
図9~11を参照して、衣類購入支援処理について説明する。衣類購入支援処理は、いわゆる「買いすぎ防止システム」、「タンスの肥やし防止システム」であり、流行服であっても、既に所持しているタイプの服(クローゼット内に保管されている服)と類似していれば、購入することをお勧めしない、流行服が所持していないタイプの服であっても、似合わなさそうな服は購入することをお勧めしない、というシステムである。
【0067】
衣類購入支援処理は、衣類管理処理と同様に、衣類装置3のCPU5が、記憶部67に予め記憶されたプログラム(衣類管理プログラム)を読み出して実行することにより実現される。
【0068】
まず、お似合い衣類情報を「色カテゴリー」と「シルエットカテゴリー」の2つのカテゴリーを用いて割り出す。
【0069】
図9を参照して、ユーザが似合う色の判定を行う際の一般的な処理を説明する。この処理を行うことで、ユーザが似合う色を認定することができる。着用している衣類について、第三者に似合っているなどと褒められた場合、その衣類を着用した状態の全身写真をカメラで撮影する(ステップS30)。この場合、上述したクローゼット1のカメラ4で撮影することが好ましいが、スマートフォンやデジカメなどの個人端末などで撮影してもよい。
【0070】
カメラ4で撮影した全身写真を「お気に入り」に登録する(ステップS32)。このお気に入り登録は手動で行うが、全身写真を撮影した時点で、自動でお気に入りに登録されるように設定されてもよい。
【0071】
お気に入り登録された画像情報から、10の色カテゴリーに分類する(ステップS34)。色カテゴリーの分類は、たとえばAI技術などを用いて、お気に入り登録された全身写真の画像情報をもとに行われる。たとえば、全身写真に赤のスカートと、黒のシャツを着用しているユーザが表れている場合、スカートは赤、シャツは黒であると分類される。なお、衣類区分と色カテゴリーを紐付けてもよいが、システムを簡素化するために、色カテゴリーだけ分類してもよい。
【0072】
なお、衣類が、単色ではなく複数色を有する場合、一番大きい面積を占める色カテゴリーに分類するものとする。また、複数色を有する衣類であって、その複数色の面積が略同一面積の場合は、AI技術などにより自動で一つの色に分類されることが好ましい。
【0073】
今回登録した衣類がクローゼット1に保管されていない新しい衣類である場合(ステップS36にてYes)、「似合う色」であると判定し(ステップS38)、お気に入りの色に登録する(ステップS40)。つまり、
図7の表に「〇」として追加される。一方で、今回登録した衣類が新しい衣類でない場合(ステップS36にてNo)、既にお気に入り登録されている色であるため、登録しない。
【0074】
各色カテゴリー内にあるアイテム(画像データ)をカウントする(ステップS42)。具体的には、
図7の表では、赤が3着、青が5着、・・・、黒が4着である。アイテム数が一番多い色を「最も似合う色」として登録する(ステップS44)。
図7では、アイテム数が一番多い色は青なので、「最も似合う色」は青であると認定する。このような手順で、ユーザに最も似合う色を割り出す。
【0075】
図10を参照して、ユーザが似合うシルエットの判定を行う際の一般的な処理を説明する。この処理を行うことで、ユーザが似合うシルエットを認定することができる。着用している衣類について、第三者に似合っているなどと褒められた場合、その衣類を着用した状態の全身写真をカメラで撮影する(ステップS50)。この場合、上述したクローゼット1のカメラ4で撮影することが好ましいが、スマートフォンやデジカメなどの個人端末などで撮影してもよい。
【0076】
カメラ4で撮影した全身写真を「お気に入り」に登録する(ステップS52)。このお気に入り登録は手動で行うが、全身写真を撮影した時点で、自動でお気に入りに登録されるように設定されてもよい。
【0077】
お気に入り登録された画像情報から、3つのシルエットカテゴリーに分類する(ステップS54)。シルエットカテゴリーの分類は、たとえばAI技術などを用いて、お気に入り登録された全身写真の画像情報をもとに行われる。たとえば、ダボダボのスカートと、体系に沿ったピッタリのシャツを着用しているユーザの全身写真である場合、スカートは太、シャツは細であると分類される。なお、衣類区分とシルエットカテゴリーを紐付けてもよいが、システムを簡素化するために、シルエットカテゴリーだけ分類してもよい。
【0078】
今回登録した衣類がクローゼット1に保管されていない新しい衣類である場合(ステップS56にてYes)、「似合うシルエット」であると判定し(ステップS58)、お気に入りのシルエットに登録する(ステップS60)。つまり、
図8の表に「〇」として追加される。一方で、今回登録した衣類が新しい衣類でない場合(ステップS56にてNo)、既にお気に入り登録されているシルエットであるため、登録しない。
【0079】
このようにして、各シルエットカテゴリー内にあるアイテム(画像情報)をカウントする(ステップS62)。具体的には、
図8のように、太は3着、標準は4着、細は6着である。一番アイテム数の多いシルエットを「最も似合うシルエット」として登録する(ステップS64)。
図7では、一番アイテム数が多いシルエットは細なので、「最も似合う色」は細であると認定する。このような手順で、ユーザに最も似合うシルエットを割り出す。
【0080】
図11は、本実施の形態における衣類購入支援処理を示すフローチャートである。衣類購入支援処理は、衣類装置3のCPU5が、記憶部67に予め記憶されたプログラム(衣類管理プログラム)を読み出して実行することにより実現される。なお、この処理は、典型的には、季節の変わり目の年4回行われるが、ユーザが操作部53を操作することで開始されてもよい。
【0081】
図11を参照して、衣類購入支援処理の一般的な処理を説明する。
図11を参照して、その時期の流行アイテムの情報(流行衣類情報)を入手するに際に、たとえばニュース、記事、SNSなどのネット情報をネットワークなどの通信部52を用いて入手する(ステップS70)。具体的には、ニュース、記事、SNSなどにアップされている流行アイテムの写真を入手する。流行衣類情報は、衣類区分に分類できる衣服がメインであるが、たとえばバッグ、ベルト、靴などの小物であってもよい。流行衣類情報は、流行衣類記憶部71に画像情報として記憶される。
【0082】
流行衣類記憶部71に記憶された画像情報と、
図6のステップS29においてデータ1として保存されたクローゼット内の所持衣類とが類似しないかを判断する(ステップS72)。具体的には、たとえばAI技術を用いて、流行している衣類の画像情報とデータ1に保存された画像情報とを比較して、両者が類似するか、類似しないかが判断される。この場合、大まかにどちらか2つに分類されればよい。
【0083】
「類似する」と判断された場合は(ステップS72にてNo)、流行アイテムの購入をお勧めしない(ステップS86)。既に流行衣類情報に類似する衣類がクローゼット1内に保管されているということであり、流行アイテムの購入を勧めてしまうと、似たような商品がクローゼット1内に増えてしまうからである。
【0084】
「類似しない」と判断された場合は(ステップS72にてYes)、
図9の似合う衣類の色の判定において行ったステップで「似合う色」と判定された色と同系色かどうかを確認する。上記説明では、似合う色が「青」と判定されているので、その流行アイテムが青の場合は同系色であると判断され(ステップS74にてYes)、青以外の場合は同系色ではないと判断される(ステップS74にてNo)。なお、同系色とは、色相環でいうと隣や近い位置にある色のことも含み、青、水色などの寒色系、オレンジや黄色などの暖色系といった似通った色のことを言う。
【0085】
同系色ではないと判断された場合には(ステップS74にてNo)、その流行アイテムが無彩色か準無彩色かどうかを確認する。無彩色とは、白、灰、黒など色味のない色をいい、準無彩色とは、オフホワイト(白寄りの有彩色)、オフブラック(黒寄りの有彩色)などのように少しだけ色味を持っている色であるが、無彩色寄りの色のことをいう。流行アイテムが無彩色か準無彩色である場合には(ステップS80にてYes)、後述するステップS76にすすむ。無彩色または準無彩色であれば、個人差がなく一般的に似合う色であり、どのような服のコーディネートにも使用できるからである。
【0086】
流行アイテムが無彩色か準無彩色でない場合には(ステップS80にてNo)、その色が似合う色の補色かどうかを確認する。補色とは、色相環で正反対に位置する色の組み合わせのことである。似合う色が青である場合、青の補色は橙である。橙である場合は(ステップS82にてYes)、流行アイテムが小物か否かを確認する。流行アイテムが小物である場合は(ステップS84にてYes)、お勧めアイテムに表示する(ステップS78)。似合う色の補色であり、しかも小物であれば、挿し色としてコーディネートすることができるからである。
【0087】
橙でない場合は(ステップS82にてNo)、カラーコーディネートが困難であるため、その流行アイテムはお勧めしない(ステップS86)。また、補色であったとしても(ステップS82にてYes)、小物でない場合は(ステップS84にてNo)お勧めしない(ステップS84)。たとえばシャツが青で、ズボンが橙というコーディネートになり、奇抜なファッションになり好ましくないからである。
【0088】
流行アイテムが「似合う色」と判定された色と同系色であると判断された場合(ステップS74にてYes)には、
図10の「似合うシルエットの判定」において行ったステップで「似合うシルエット」と判定されたシルエットと同じかどうかを確認する。上記説明では、似合うシルエットが「細」であると判定されているので、その流行アイテムが細の場合は、同じシルエットと判断され(ステップS76にてYes)、「お勧めアイテム」に表示する(ステップS78)。細以外の場合は、同じシルエットではないと判断され(ステップS76にてNo)、その流行アイテムはお勧めしない(ステップS86)。
【0089】
本実施の形態の衣類購入支援処理は、流行アイテムとクローゼットに保管されている衣類とを比較し、さらに、ユーザの「似合う色」および「似合うシルエット」も比較した上で、その流行アイテムの購入を勧めるか、勧めないかを判断している。具体的には、本実施の形態の衣類購入支援処理は、その流行している衣類が、クローゼットに保管されていないもので、かつ、ユーザの似合う色および似合うシルエットである場合だけ購入を勧めるように設定されているため、ユーザが必要としており、ユーザに似合う流行アイテムだけを購入することができる。
【0090】
本実施の形態の衣類購入支援処理は、流行している衣類がクローゼット内に保管されている場合には、購入を勧めないため、似たような商品を購入することを防止することができ、買いすぎを防止することができる。また、本実施の形態の衣類購入支援処理は、流行している衣類がクローゼット内に保管されていない場合であっても、その流行している衣類の色およびシルエットが、ユーザに似合うと判断された色とシルエットと一致しない場合には、購入を勧めないため、せっかく買ってしまっても着用しないというような、たんすの肥やしになることを防止することができる。
【0091】
<変形例>
本実施の形態の衣類購入支援システム7は、ユーザが所持している所持衣類の情報を衣類管理システム6から入手していたが、所持衣類の情報をユーザによって手動で入力してもよいし、他の技術により自動で入手するようにしてもよい。
【0092】
本実施の形態の衣類区分記憶部61、流行衣類記憶部71、お似合い衣類記憶部72は、AI技術などを用いて衣類区分、色カテゴリー、シルエットカテゴリーに分類するとしたが、たとえば、所定の衣類区分のテーブルが保存されており、そのテーブルを参照してそれぞれの衣類を所定の衣類区分に分類してもよい。
【0093】
また、管理制御部5は、操作者の端末2保存されているものとしたが、クラウドやパソコン上に保存されており、端末2に送信して報知し、端末2上で衣類を「処分した」および「処分していない」などの選択肢の入力が行われてもよい。
【0094】
衣類管理処理を、プログラムとして提供してもよい。このようなプログラムは、CD-ROM(Compact Disc-ROM)などの光学媒体や、メモリカードなどのコンピュータ読取り可能な一時的でない(non-transitory)記録媒体にて記録させて提供することができる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0095】
本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0096】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 クローゼット、2 端末(スマートフォン)、3 衣類システム(衣類装置)、4 カメラ、5 CPU(管理制御部)、6 衣類管理システム(衣類管理装置)、7 衣類購入支援システム(衣類購入支援装置)、11 天壁、13 側壁、20 ハンガーバー、21 レール、22 上ハンガーバー、23 下ハンガーバー、55 入力部、61 衣類区分記憶部、62 入力時期記憶部、63 照合認識部、64 画像情報更新部、65 消失報知部、71 流行衣類記憶部、72 お似合い衣類記憶部、73 色カテゴリー記憶部、74 シルエットカテゴリー記憶部、75 流行衣類・所持衣類比較部、76 流行衣類・お似合い衣類比較部、77 判定部。