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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137135
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/34 20200101AFI20240927BHJP
【FI】
D06F33/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048534
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】宮房 昂平
(72)【発明者】
【氏名】堀部 泰之
(72)【発明者】
【氏名】手島 賢
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA04
3B167AE04
3B167AE07
3B167AE12
3B167BA42
3B167HA32
3B167KA02
3B167KB02
3B167LA23
3B167LC09
3B167LD03
3B167LE04
3B167LF11
3B167LG08
3B167MA03
(57)【要約】
【課題】所定の工程で複数のタンクから液剤を供給する場合、液剤を貯蔵するタンクと洗濯槽との間において、液剤の残留を抑制する洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示に係る洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽に供給される第1液剤を収容する第1タンクと、洗濯槽に供給される第2液剤を収容する第2タンクと、第1タンクに接続され、第1液剤を吐出する第1自動液剤投入装置と、第2タンクに接続され、第2液剤を吐出する第2自動液剤投入装置と、第1自動液剤投入装置および第2自動液剤投入装置と洗濯槽とを接続する液剤吐出流路と、液剤吐出流路に接続され、洗濯槽に給水する給水弁と、制御部と、を備え、制御部は、給水弁による給水と、第1自動液剤投入装置による第1自動投入と、第2自動液剤投入装置による第2自動投入とを並行して、給水が第1自動投入及び第2自動投入の後に終了するように実行する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽に供給される第1液剤を収容する第1タンクと、
前記洗濯槽に供給される第2液剤を収容する第2タンクと、
前記第1タンクに接続され、前記第1液剤を吐出する第1自動液剤投入装置と、
前記第2タンクに接続され、前記第2液剤を吐出する第2自動液剤投入装置と、
前記第1自動液剤投入装置および前記第2自動液剤投入装置と前記洗濯槽とを接続する液剤吐出流路と、
前記液剤吐出流路に接続され、前記洗濯槽に給水する給水弁と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記給水弁による給水と、前記第1自動液剤投入装置による第1自動投入と、前記第2自動液剤投入装置による第2自動投入とを並行し、前記給水が前記第1自動投入及び前記第2自動投入の後に終了するように実行する、洗濯機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記給水、前記第1自動投入及び前記第2自動投入を所定のタイミングで開始させる基準制御を有し、
前記基準制御に対して前記第1自動投入または前記第2自動投入の開始を相対的に早める先行投入制御を有する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記基準制御として、前記給水を所定のタイミングで開始させる第1制御と、前記第1自動投入を所定のタイミングで開始させる第2制御と、前記第2自動投入を所定のタイミングで開始させる第3制御と、を有し、
前記先行投入制御として、前記第2制御に対して前記第1自動投入の開始を相対的に早める第4制御と、前記第3制御に対して前記第2自動投入の開始を相対的に早める第5制御と、を有する、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1自動投入に関する時間に基づいて、前記第2制御から前記第4制御に切り替え、
前記第2自動投入に関する時間に基づいて、前記第3制御から前記第5制御に切り替える、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記制御部は、前記第4制御または前記第5制御によって、前記第1自動投入と前記第2自動投入とを同時に終了させる、請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記給水、前記第1自動投入及び前記第2自動投入を所定のタイミングで開始させる基準制御を有し、
前記基準制御に対して前記給水の終了を相対的に遅らせる給水制御を有する、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1自動投入または前記第2自動投入に関する時間に基づいて、前記給水制御を実行する、請求項6記載の洗濯機。
【請求項8】
前記制御部は、前記給水弁による給水を間欠的に行わせる、請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項9】
洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽に供給される第1液剤を収容する第1タンクと、前記洗濯槽に供給される第2液剤を収容する第2タンクと、前記第1タンクに接続され、前記第1液剤を吐出する第1自動液剤投入装置と、前記第2タンクに接続され、前記第2液剤を吐出する第2自動液剤投入装置と、前記第1自動液剤投入装置および前記第2自動液剤投入装置と前記洗濯槽とを接続する液剤吐出流路と、前記液剤吐出流路に接続され、前記洗濯槽に給水する給水弁と、を備える洗濯機を制御する方法であって、
前記給水弁による給水と、前記第1自動液剤投入装置による第1自動投入と、前記第2自動液剤投入装置による第2自動投入とを並行して、前記給水が前記第1自動投入及び前記第2自動投入の後に終了するように実行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、液剤の自動投入装置を搭載する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽と、液剤を収容する複数のタンクと、タンクに収容された液剤を洗濯槽に供給する自動投入装置と、水を洗濯槽に向かって送り出すポンプとを備える。自動投入装置の下方には、洗濯槽に連通する通水路が形成されている。通水路には、自動投入装置から供給される洗剤と、ポンプにより送り出される水とが通る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-157782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機において、所定の工程で複数のタンクから液剤を供給する場合、液剤が洗濯槽よりも上流で残留する可能性がある。液剤を貯蔵するタンクと洗濯槽との間において、液剤の残留の抑制といった点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあり、所定の工程で複数のタンクから液剤を供給する場合、液剤を貯蔵するタンクと洗濯槽との間において、液剤の残留を抑制できる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽に供給される第1液剤を収容する第1タンクと、洗濯槽に供給される第2液剤を収容する第2タンクと、第1タンクに接続され、第1液剤を吐出する第1自動液剤投入装置と、第2タンクに接続され、第2液剤を吐出する第2自動液剤投入装置と、第1自動液剤投入装置および第2自動液剤投入装置と洗濯槽とを接続する液剤吐出流路と、液剤吐出流路に接続され、洗濯槽に給水する給水弁と、制御部と、を備え、制御部は、給水弁による給水と、第1自動液剤投入装置による第1自動投入と、第2自動液剤投入装置による第2自動投入とを並行して、給水が第1自動投入及び第2自動投入の後に終了するように実行する。
【0008】
本開示の一態様の方法は、洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽に供給される第1液剤を収容する第1タンクと、洗濯槽に供給される第2液剤を収容する第2タンクと、第1タンクに接続され、第1液剤を吐出する第1自動液剤投入装置と、第2タンクに接続され、第2液剤を吐出する第2自動液剤投入装置と、第1自動液剤投入装置および第2自動液剤投入装置と洗濯槽とを接続する液剤吐出流路と、液剤吐出流路に接続され、洗濯槽に給水する給水弁と、を備える洗濯機を制御する方法であって、給水弁による給水と、第1自動液剤投入装置による第1自動投入と、第2自動液剤投入装置による第2自動投入とを並行して、給水が第1自動投入及び第2自動投入の後に終了するように実行する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、所定の工程で複数のタンクから液剤を供給する場合、液剤を貯蔵するタンクと洗濯槽との間において、液剤の残留を抑制する洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る実施形態の洗濯機の模式断面図
図2】自動投入ユニットの一部の斜視図
図3】自動投入ユニットの上面図
図4】自動投入ユニットの斜視断面図
図5】タンク、液剤投入装置、及び液剤吐出流路の斜視図
図6A】液剤吐出流路の模式図
図6B】液剤吐出流路の模式図
図6C】液剤吐出流路の模式図
図7】洗濯機の動作を示すグラフ
図8A】洗濯機の動作を示すグラフ
図8B】洗濯機の動作を示すグラフ
図8C】洗濯機の動作を示すグラフ
図9】洗濯機の動作を示すグラフ
図10】洗濯機の動作のフロー図
図11】洗濯機の動作のフロー図
図12A】洗濯機の動作のフロー図
図12B】洗濯機の動作のフロー図
図12C】洗濯機の動作のフロー図
図12D】洗濯機の動作のフロー図
図13】洗濯機の動作のフロー図
図14】給水と液剤の自動投入とが異なる時刻で開始される例を示す図
図15】洗剤の自動投入と漂白剤の自動投入とをあわせて制御する例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る洗濯機について説明する。
【0012】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す模式断面図である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15の処理に用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、漂白剤、消臭剤、中性洗剤等を含む。
【0013】
図1に示すように、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、洗濯槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水弁10と、排水弁11と、制御部12と、記憶部13と、表示部14とを備える。
【0014】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の前面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0015】
<外槽>
外槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3を水槽と称してもよい。外槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。外槽3の中心軸V0は、底部36の中心を通過する。中心軸V0は、水平に対して傾斜される。外槽3は、筐体2の開口20に面する位置に開口31を有し、ベローズ32によって、筐体2の開口20と密閉されて連結される。外槽3には通水のための開口33、35が設けられる。開口33は、接続流路8に接続される開口であり、開口35は外槽3の水を外部に排水するための排水口である。
【0016】
外槽3に供給された水の量を検出するため、外槽3には水位センサ90が設けられている。本実施形態において、水位センサ90は、外槽3における水位を検出する。
【0017】
また、後述において、中心軸V0に沿った水平方向を前後方向M(図1)として、中心軸V0を含む平面に直交する水平方向を幅方向K(図2)とする。前後方向Mは、開口31に向かう前側M1と底部36に向かう後側M2を有し、幅方向Kは、中心軸V0から離れる外側K1と中心軸V0に向かう中心側K2を有する。
【0018】
<洗濯槽>
洗濯槽4は、外槽3の内側において中心軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物15を収容する大略円筒状の部材である。洗濯槽4を内槽またはドラムと称してもよい。洗濯槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は洗濯槽4と外槽3とを連通させ、洗濯水及び液剤が洗濯槽4から外槽3に移動することを可能にする。洗濯槽4は、筐体2の開口20及び外槽3の開口31に面する位置に開口41を有する。
【0019】
洗濯槽4に収容された洗濯物15の布量を検出するため、洗濯槽4には布量センサ91が設けられている。本実施形態において、布量センサ91は、洗濯物15の重量を検出する。より具体的には、布量センサ91は、駆動部5のモータの負荷トルク(トルク電流値)を測定して洗濯物15の重量を検出する。
【0020】
<駆動部>
駆動部5は、洗濯槽4を中心軸V0周りで回転駆動させる部材である。駆動部5は例えば、洗濯槽4を回転させるモータを有する。
【0021】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、制御部12が決めた所定量の液剤を、液剤を貯蔵するタンクから外槽3に自動で供給するユニットである。自動投入ユニット6は、洗濯コースの洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において外槽3に供給する。自動投入ユニット6は、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0022】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(タンク62B、62C図示せず)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63C図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65と、給水電磁弁66を備える。
【0023】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3に液剤を供給するための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0024】
<給水弁>
給水弁10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水弁10は、筐体2の上部に設けられている。
【0025】
<排水弁>
排水弁11は、開閉可能に構成され、開かれると、外槽3に溜められた水を外槽3の開口35を通じて排水するための弁である。排水弁11は、筐体2の下部に設けられている。
【0026】
<制御部>
制御部12は、洗濯機1の運転を制御する部材である。プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。制御部12は、記憶部13に格納されたプログラムを呼び出して実行することにより、機能を実現する。制御部12は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0027】
制御部12は、投入基準量の設定を受け付ける投入基準量設定部12Aと、液剤投入量の補正設定を受け付ける投入量補正設定部12Bとを含む。投入基準量及び補正設定は、洗濯機1が運転する際に投入される液剤の投入量を算出するために使用される。投入基準量は、洗濯物の単位重量あたり、または単位水量あたりの液剤投入量であってもよい。また、投入基準量は、例えば濃縮洗剤・通常洗剤に対応する係数であってもよい。補正設定は、液剤投入量を補正するために実行される設定である。補正設定は、例えば、ユーザの好み(多い・普通・少ない)の入力による設定であってもよく、今までの洗濯履歴に基づく学習による設定であってもよい。また、洗濯機1が運転する際に投入される液剤の投入量は、投入基準量及び補正設定だけでなく、更に運転コース毎に設定された係数に基づいて算出されてもよい。
【0028】
投入基準量設定及び補正設定は、洗濯機1を操作すること、またはユーザのスマートフォンにおけるアプリケーションを操作することで入力可能である。投入基準量設定は、ユーザによって入力された液剤の銘柄によって設定されてもよい。補正設定は、アプリケーションまたは洗濯機1によって自動で制御されてもよい。
【0029】
<記憶部>
記憶部13は、種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部13は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部13には、制御部12が実行する制御に関する情報、及びセンサ90、91に検出された種々の情報等が格納される。
【0030】
<表示部>
表示部14は、画像、テキストのような種々の情報を表示する表示装置である。表示部14は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部14は、筐体2の前面において、洗濯機1のユーザが視認できる位置に設けられている。表示部14は、例えば、実行中の洗濯コース、洗濯コースの残り時間、手動投入に関する指示を表示する。また、表示部14の代わりに、ユーザのスマートフォン等の端末によって実行されるアプリケーションを用いてもよい。
【0031】
続いて、自動投入ユニット6の構成要素について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、自動投入ユニット6の一部の斜視図である。図3は、自動投入ユニット6の上面図である。図2では、給水電磁弁66及び供給流路67が省略されている。
【0032】
<ケース>
図2に示すように、ケース61は、自動投入ユニット6を構成するタンク62A、62B、62Cと、手動投入部65とを収容する部材である。
【0033】
ここで、ケース61の前側M1の面を前面56として、ケース61の後側M2の面を背面57とする。ケース61の背面57には、液剤投入装置63A、63B、63Cと、液剤吐出流路64とが接続される。
【0034】
図3に示すように、ケース61の上部には、供給流路67が形成される。供給流路67は、ケース61の外周に沿って、複数の独立した経路を形成する。それぞれの経路を通じて、水が給水電磁弁66からケース61の内部に供給される。したがって、給水電磁弁66から供給される水は、一度ケース61に流入してから外槽3に供給される。
【0035】
<給水電磁弁>
給水電磁弁66は、給水弁10(図1)からの水を、制御部12によって選択された供給流路67(図5)の経路に振り分ける機構である。
【0036】
<タンク>
図2及び図3に示すように、ケース61には、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んだ状態で収容されている。言い換えれば、タンク62Aとタンク62Cとの間にタンク62Bが配置され、タンク62Aとタンク62Cとはタンク62Bによって離隔されている。
【0037】
タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。タンク62A、62B、62Cに収容された液剤は異なる種類の液剤である。実施形態では、タンク62Aには漂白剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。タンク62Aに貯蔵された漂白剤とタンク62Cに貯蔵された洗剤とは洗い工程(第1工程)で使用され、タンク62Bに貯蔵された柔軟剤はすすぎ工程(第2工程)で使用される。一方で、タンク62A、62B、62Cの少なくとも2つに収容された液剤が同じ種類の液剤であってもよい。また、タンク62B及びタンク62Cは固有の種類の液剤のみを貯蔵可能であり、タンク62Aは複数の種類の液剤の中から選択された液剤を貯蔵可能であるように構成されていてもよい。
【0038】
ユーザが内部を洗浄又は液剤を補充しやすいように、タンク62A、62B、62Cは、ケース61に対して取り外し可能である。タンク62A、62B、62Cに対してどの液剤(洗剤、柔軟剤、漂白剤等)を補充するかについては、実施形態では、タンク62B、62Cは液剤の種類が固定されている。一方で、タンク62Aには、ユーザの好みに応じて液剤の種類を変更することが可能である。即ちタンク62Aには、漂白剤と異なる種類の液剤、例えば中性洗剤、除菌消臭剤等が補充されてもよい。
【0039】
図4は、自動投入ユニット6の斜視断面図である。図4に示すように、タンク62A、62B、62Cの深さL1、L2、L3は順に増加する。したがって、タンク62A、62B、62Cの容量は順に増加する。
【0040】
<手動投入部>
図2に示すように、手動投入部65は、ユーザが1回分の洗濯処理剤を、手動で投入するための機構である。手動投入される洗濯処理剤は、投入された量において、ケース61から接続流路8(図1)を介して外槽3(図1)に流入する。手動投入される洗濯処理剤は、液体または粉末状であってもよい。
【0041】
<液剤投入装置>
液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cの配置に沿って、幅方向Kに並んだ状態で配置される。具体的には、液剤投入装置63Aはタンク62Aの後側M2に並び、液剤投入装置63Bはタンク62Bの後側M2に並び、液剤投入装置63Cはタンク62Cの後側M2に並ぶ。即ち、液剤投入装置63Aと液剤投入装置63Cとの間に液剤投入装置63Bが配置され、液剤投入装置63Aと液剤投入装置63Cとは液剤投入装置63Bによって離隔されている。この配置において、液剤投入装置63A、63B、63Cの吸引口は、ケース61の背面57に形成された開口を通じて、それぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。
【0042】
液剤投入装置63A、63B、63Cの吐出口は、液剤吐出流路64に接続される。液剤投入装置63A、63B、63Cの配置を考慮すると、液剤投入装置63Aの吐出口と、液剤投入装置63Cの吐出口とは、液剤投入装置63Bが介在することによって離隔されている。したがって、液剤吐出流路64において、液剤投入装置63Aによって吐出される漂白剤が落下する位置と、液剤投入装置63Cによって吐出される洗剤が落下する位置とが離れている。
【0043】
実施形態では、液剤投入装置63A、63Cは洗い工程で液剤を吐出し、液剤投入装置63Bはすすぎ工程で液剤を吐出する。
【0044】
実施形態では、液剤投入装置63A、63B、63Cは共通の構造を有する。
【0045】
<液剤吐出流路>
液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3(図1)に供給する流路部材である。液剤吐出流路64の流入口及び流出口は、ケース61の背面57に形成された開口(図示せず)を通じてケース61に接続される。液剤吐出流路64は、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに下方から接続される。
【0046】
ここで、自動投入ユニット6の水の流れについて説明する。水は、給水弁10から給水電磁弁66及び供給流路67を通じてケース61に流入する。ケース61に流入した一部の水は、タンク62A~62Cの下方を流れて、接続流路8を通じて外槽3に流入する。また、ケース61に流入した一部の水は、ケース61から流入口を通じて液剤吐出流路64に流入し、液剤吐出流路64において液剤と合流する。その後、水は、液剤とともに、液剤吐出流路64の流出口から再度ケース61に流入してから接続流路8を通じて外槽3に流入する。
【0047】
液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。そのため、液剤吐出流路64において、流体(例えば、水W0)は、重力に沿って液剤吐出流路64の上方の端部から下方の端部に向かって流れる。また、液剤吐出流路64の傾斜に応じて、液剤投入装置63A、63B、63Cは順に下方に位置する階段状配置を有する。さらに、液剤吐出流路64における水の流れ方向を考慮すると、液剤投入装置63A、63B、63Cは順に下流側の液剤吐出流路64に接続される。
【0048】
図5は、タンク62A~62C、液剤投入装置63A~63C及び液剤吐出流路64の斜視図である。図5に示すように、液剤投入装置63A~63Cはそれぞれタンク62A~62Cと液剤吐出流路64に接続される。液剤投入装置63A~63Cは、それぞれタンク62A~62Cに前後方向Mに接続され、液剤吐出流路64に上下方向に接続される。そのため、液剤投入装置63A~63Cは、それぞれタンク62A~62Cから前後方向Mに液剤を吸引し、液剤吐出流路64に向かって下方に吐出する。
【0049】
[動作]
以上のような構成において、洗濯コースの洗い工程における洗濯機1の動作の一例について、図6Aから図6Cを参照しながら説明する。図6Aから図6Cは、液剤吐出流路64の模式図である。
【0050】
洗い工程において、洗濯機1は、洗剤の自動投入(第1自動投入)と、漂白剤の自動投入(第2自動投入)と、給水とを並行して行う。言い換えれば、洗剤の自動投入の少なくとも一部は、漂白剤の自動投入と給水と同時に実行される。さらに言い換えれば、漂白剤の自動投入の少なくとも一部は、洗剤の自動投入と給水と同時に実行される。液剤投入装置63Aから吐出される漂白剤と、液剤投入装置63Cから吐出される洗剤と、給水弁10から供給される水とは、液剤吐出流路64を通じて外槽3に到達する。
【0051】
例えば、漂白剤P1、洗剤P2の自動投入後に給水が行われない場合、図6Aに示すように、吐出された漂白剤P1、洗剤P2が水により運ばれないため、吐出後に液剤吐出流路64の内面に付着して残留する可能性がある。
【0052】
図6Bに示すように、漂白剤P1、洗剤P2の自動投入後においても、給水が継続している場合には、漂白剤P1、洗剤P2は水X1に運ばれて外槽3に供給される。したがって、漂白剤P1、洗剤P2が液剤吐出流路64に残留することを抑制できる。
【0053】
また、液剤投入装置63Aと液剤投入装置63Cとが離れているため、漂白剤P1と洗剤P2とが混ざることを抑制できる。漂白剤が吐出されると、液剤投入装置63Aの下流における液剤吐出流路64において、漂白剤の濃度が高くなる。吐出された漂白剤は、液剤吐出流路64を流れて、水と混ざり始めて、水と少し混ざった状態で液剤投入装置63Bの下を通過する。漂白剤は、液剤吐出流路64をさらに流れて水とさらに混ざって、水とよく混ざった状態で液剤投入装置63Cの下を通過する。水と混ざって濃度が減少しているため、漂白剤が洗剤と接触することは抑制され、漂白剤が洗剤と混ざりにくくなっている。これにより、例えば、異なる液剤同士が直接接触することによって副生成物が生じることを抑制し、副生成物が液剤吐出流路64に残留することを抑制できる。言い換えると、異なる種類の液剤である漂白剤と洗剤とが、原液の状態で混合することを抑制することで、副生成物が生じるリスク、さらに副生成物によって液剤吐出流路64を閉塞するリスクを低減できる。本明細書における副生成物とは、水に不溶な物質であって、例えば、マイナスイオン性溶液とプラスイオン性溶液とが混ざることによって発生する固体である。
【0054】
洗剤P2の粘度は、例えば200mPa・s以上600mPa・s以下であって、漂白剤P1の粘度は、例えば10mPa・s以上300mPa・s以下である。洗剤P2の粘度は、一般的に漂白剤P1の粘度より高い。そのため、洗剤P2は漂白剤P1と比較して液剤吐出流路64に残留しやすい。そこで、洗剤P2を吐出する液剤投入装置63Cを、漂白剤P1を吐出する液剤投入装置63Aの下流側に配置することで、洗剤P2が液剤吐出流路64を流れる距離が小さくなる。そのため、洗剤P2の残留をさらに抑制できる。
【0055】
また、液剤投入装置63A~63Cが容積型ポンプを含むため、流水中にタンク62A~62Cから液剤を吸引することができる。本開示は、水を流す液剤吐出流路64に液剤投入装置63A~63Cから液剤が吐出される構成であれば適用可能である。そのため、液剤投入装置63A~63Cは、液剤ポンプと、圧力変動部より二次側において流れを一方向に規制する逆止構造とを有し、逆止構造より下流において液剤ポンプの経路と給水経路とを合流させる構成であってもよい。例えば、本実施形態における液剤投入装置63A~63Cは、容積型ポンプを含み、容積型ポンプのピストンの下流に逆止弁が設けられ、逆止弁の下流において液剤吐出流路と接続されている。本開示は、逆止構造を設けやすい容積型ポンプにおいて好適に利用される。なお、容積型ポンプの代わりに、遠心ポンプ又はアスピレーター構造を設けてもよい。
【0056】
一方で、図6Cに示すように、給水が自動投入の前に終了すると、漂白剤P1、洗剤P2は液剤吐出流路64に残留し、乾燥して液剤吐出流路64の内面に固着する。
【0057】
図6Cに示す固着を回避するため、漂白剤P1、洗剤P2の自動投入後に液剤吐出流路64を水洗いできるように、給水の終了(予想)が自動投入の終了の後になるように制御を行う。本実施形態においては、自動投入の終了後に所定時間T5の給水を行う。所定時間T5は、予め記憶部13に記憶された閾値であり、液剤吐出流路64を洗浄するために必要な水を流すための時間である。所定時間T5は、液剤吐出流路64の長さや断面積等の自動投入ユニット6の設計事項に応じて設定される。
【0058】
一方で、給水にかかる時間は、洗濯機1の設置環境等に依存するため、給水の終了(外槽3の水位が所定の水位に到達するとき)を予め決定することが困難である。そこで、本実施形態においては、まず、給水の終了時を予想した上で、予想される給水の終了が自動投入の終了の後になるように、それぞれの開始をずらす時間的制御を行う。さらに、実際の給水終了が予想給水終了より早い場合、液剤吐出流路64を洗うために追加的に給水を行う。
【0059】
図7から図9は、洗い工程における洗濯機1の制御の動作を示すグラフである。後述の説明において、洗剤の自動投入にかかる時間を洗剤投入時間T1とし、漂白剤の自動投入にかかる時間を漂白剤投入時間T2とする。給水開始から目標水位に到達するまでにかかると予想される時間を予想給水時間T3とし、給水開始から目標水位に到達するまでに実際かかった時間を実給水時間T6とする。制御部12は、洗剤投入時間T1、漂白剤投入時間T2、予想給水時間T3に基づいて、実行する洗濯機1の制御を決定する。
【0060】
(基準制御)
図7に示すように、洗剤投入時間T1、漂白剤投入時間T2が予想給水時間T3より充分に短い場合、制御部12は基準制御を実行する。
【0061】
基準制御では、洗剤の自動投入と、漂白剤の自動投入と、給水とが、所定のタイミングで開始される。具体的には、基準制御は、給水を所定のタイミングで開始させる第1制御と、洗剤の自動投入を所定のタイミングで開始させる第2制御と、漂白剤の自動投入を所定のタイミングで開始させる第3制御とを有する。本実施形態では、制御部12が第1制御、第2制御及び第3制御を実行すると、洗剤の自動投入と、漂白剤の自動投入と、給水とは開始時刻s2において同時に開始される。
【0062】
予想給水時間T3は、洗剤投入時間T1及び漂白剤投入時間T2の終了後に終了する。洗剤投入時間T1及び漂白剤投入時間T2の終了後において、少なくとも所定時間T5の給水時間が実行される。そのため、液剤吐出流路64において、漂白剤P1や洗剤P2を充分に洗い流すことができる(図6B)。
【0063】
基準制御は、例えば、濃縮洗剤と少量の漂白剤とを洗濯槽4に供給する場合に実行される。この場合、洗剤及び漂白剤の単位水量当たりの基準投入量が少なく、洗剤投入時間T1、漂白剤投入時間T2が予想給水時間T3より充分短くなる。
【0064】
(先行投入制御)
洗剤投入時間T1と漂白剤投入時間T2とが長くなると、所定時間T5の給水時間の確保が難しくなる。そこで、洗剤投入時間T1または漂白剤投入時間T2が予想給水時間T3より長い場合、または図8Aから図8Cに示すように、洗剤投入時間T1または漂白剤投入時間T2と予想給水時間T3との差が小さい場合、制御部12は先行投入制御を実行する。先行投入制御を液剤先出し制御と称してもよい。
【0065】
先行投入制御では、基準制御に対して洗剤の自動投入または漂白剤の自動投入の開始を相対的に早める。具体的には、先行投入制御は、第2制御に対して洗剤の自動投入の開始を相対的に早める第4制御と、第3制御に対して漂白剤の自動投入の開始を相対的に早める第5制御とを有する。図8Aに示す例において、制御部12は、第4制御により、開始時刻s2に対して洗剤の自動投入の開始をΔT1によって早めて、第5制御により、開始時刻s2に対して漂白剤の自動投入の開始をΔT2によって早める。洗剤投入時間T1と漂白剤投入時間T2とを早めることで、洗剤投入時間T1及び漂白剤投入時間T2の終了後において、所定時間T5の給水時間を確保できる。
【0066】
また、図8B及び図8Cに示すように、制御部12は、第4制御または第5制御を実行して、洗剤の自動投入と漂白剤の自動投入とのうち一方のみを基準制御に対して早めてもよい。
【0067】
先行投入制御は、例えば、非濃縮洗剤と多量の漂白剤とを洗濯槽4に供給する場合に実行される。この場合、洗剤及び漂白剤の単位水量当たりの基準投入量が多くなり、洗剤投入時間T1、漂白剤投入時間T2が長くなる。
【0068】
(給水制御)
図7に戻って、前述のように、給水は洗濯機1の設置環境に依存し、予想給水時間T3と実給水時間T6との間で差が生じることがある。例えば、外槽3に予め水が入っている場合、または洗濯物15を手洗いで予洗いした等、洗濯物15が予め水分を多量に含んでいる場合、実給水時間T6が予想給水時間T3より短くなりやすい。また、水を供給する蛇口にかかる水圧が大きく、給水流量が大きいと、実給水時間T6が予想給水時間T3より短くなりやすい。逆に、水を供給する蛇口にかかる水圧が小さく、給水流量が小さいと、実給水時間T6が予想給水時間T3より長くなりやすい。また、洗濯物15が多いと、洗濯物15が水を吸うため、水位の上昇が抑制され、実給水時間T6が予想給水時間T3より長くなりやすい。
【0069】
図7に示すように、実給水時間T6が予想給水時間T3より短くなって、実給水時間T6の終了時刻s6が予想給水時間T3の終了より先になると、所定時間T5の給水時間の確保が難しくなる。そこで、図9に示すように、制御部12は、給水制御を実行する。図9に示す例では、制御部12は、第4制御及び第5制御に加えて給水制御を実行するが、制御部12は、第1制御、第2制御、第3制御等の他の制御に加えて給水制御を実行してもよい。
【0070】
給水制御では、基準制御に対して給水の終了を相対的に遅らせる。例えば、給水制御は、第1制御に対して給水の終了を相対的に遅らせる。第1制御における給水の終了は、実給水時間T6の終了時刻s6である(図7)。実施形態では、給水制御として、実給水時間T6の終了時刻s6の後に追加給水を実行して、給水の終了を終了時刻s6に対して遅らせる。追加給水は、間欠でも連続であってもよい。ただし間欠的に給水にすると水の供給量を抑えつつ、給水時間を引き延ばすことができる。追加給水を実行することで、洗剤投入時間T1及び漂白剤投入時間T2の終了後において、所定時間T5の給水時間を確保できる。
【0071】
図7から図9に示すように、洗剤及び漂白剤の投入時間T1、T2または洗濯機1の設置環境によらず、自動投入後に液剤吐出流路64を水洗いすることができる。そのため、漂白剤P1、洗剤P2の固着を抑制できる。さらに、洗濯機1においては、液剤吐出流路64には柔軟剤も流れるため、洗剤P2の残留を抑制することによって、後工程で流れてくる柔軟剤と固着した洗剤との混合による固形物の発生を抑制できる。
【0072】
ここで、洗い工程における制御についてより詳細に説明する。図10から図13は、洗濯機1の動作のフロー図である。
【0073】
図10に示すように、洗濯槽4が洗濯物15を収容している状態で、洗濯機1の動作が開始する(START)。ユーザは、希望する運転コースを選択する(S10)。具体的には、ユーザは、洗い工程を含む洗濯コースに関する情報を入力する。洗い工程を含む洗濯コースに関する情報として、洗い工程で自動投入される液剤が含まれる。制御部12は、液剤(以下の説明では洗剤と漂白剤)の選択を受け付ける。2つ以上の液剤を受け付けると、制御部12は、液剤を自動投入する装置として、離隔されている液剤投入装置63Aと液剤投入装置63Cとを選択する。なお、2つ以上の液剤の選択を受け付けると、制御部12は、液剤投入装置を選択せず、既定の液剤投入装置の組み合わせ(例えば、液剤投入装置63A、63C)を後続のステップで用いてもよい。
【0074】
制御部12は、投入基準量設定部12Aから投入基準量を取得し、投入量補正設定部12Bから補正設定を取得する。具体的には、制御部12は、選択された洗い工程のコースに基づいて、洗剤と漂白剤とのそれぞれのために投入基準量と補正設定とを取得する。
【0075】
続いて、制御部12は、洗濯槽4に収容された洗濯物15の重量を決定する(S11)。具体的には、制御部12は、布量センサ91が検出する洗濯物15の重量を取得する。布量センサ91は、駆動部5のモータの負荷トルク(トルク電流値)を測定することで洗濯物15の重量を検出する。布量センサ91は、モータにおける動かし始めの電流値と、所定回転数に達してからの電流値とを測定し、2つの値を比較して布量判定している。また、図7から図9に示すように、布量判定を行った時刻を布量判定時刻s1とする。
【0076】
続いて、制御部12は、洗濯物15の重量に基づいて、洗剤の投入量及び漂白剤の投入量を決定する(S12)。具体的には、制御部12は、洗濯物15の重量と取得した投入基準量とに基づいて、洗剤の投入量及び漂白剤の投入量を算出する。制御部12は、取得した補正設定をさらに乗算して投入量の補正を実行してもよい。また、制御部12は、洗濯物15の重量に加えて、選択されたコースに関する他の情報に基づいて洗剤の投入量及び漂白剤の投入量を決定してもよい。
【0077】
制御部12は、洗剤及び漂白剤の投入量に基づいて、洗剤投入時間T1及び漂白剤投入時間T2を決定する(S13)。本実施形態において、液剤投入装置63A~63Cは容積型ポンプを有するため、ポンプの一動作当たりに吐出される液剤量が一定である。また、液剤投入装置63A~63Cの構造は共通している。したがって、液剤投入装置63A~63Cによる単位時間当たりの投入液剤量Ptは一定である。制御部12は、洗剤及び漂白剤の投入量を単位時間当たりの投入液剤量Ptで割ることで、洗剤投入時間T1及び漂白剤投入時間T2を算出することができる。
【0078】
続いて、制御部12は外槽3に供給される給水の目標水位を決定する(S14)。具体的には、制御部12は、選択されたコースと洗濯物15の重量とに基づいて、対応する目標水位を算出する。目標水位は、洗濯物15の重量範囲に対応する水位ランクによって定められてもよい。
【0079】
続いて、制御部12は予想給水時間T3を決定する(S15)。具体的には、制御部12は、決定された目標水位に基づいて、対応する予想給水時間T3を算出する。予想給水時間T3は給水時間の目安値であり、例えば、洗濯機1の製造時にメーカーによって予め記憶部13に格納された代表値であってもよい。予想給水時間T3は、過去の洗濯運転における予想給水時間T3に基づく推測値であってもよい。予想給水時間T3は、実行中の洗濯運転において、例えば、給水弁10の開放時間と、水位センサ90によって検出された水位の変化とから導き出される時間当たりの水位変化量(水位の上昇速度)に基づく推測値であってもよい。また、予想給水時間T3は、水位変化量の推測値を記憶し、制御部12に学習された学習値であってもよい。
【0080】
本実施形態では、液剤の投入量を決定した後に目標水位を決定しているが、目標水位を決定した後に液剤の投入量を決定してもよい。そうすると、投入基準量が単位水量あたりの液剤投入量である場合、液剤の投入量を容易に算出できる。
【0081】
続いて、制御部12は待機時間Twを開始する(S16)。待機時間Twは、布量判定終了から給水開始までの時間である。待機時間Twは、例えば、洗い及びすすぎを含む全てのコースにおいて一定である。待機時間Twを一定にすることで、洗濯機1のユーザが違和感を覚えないようにしている。洗濯機1の運転の度に、給水の開始タイミングが変動すると、ユーザはいつもと同じ洗濯コースであるにもかかわらず、不具合ではないかと違和感を覚える。待機時間Twを変更せずに、自動投入の開始を早めることで、ユーザに違和感を与えずに給水の終了を相対的に遅くできる。なお、ユーザは、待機時間Twにおいて、手動投入部65に処理剤を投入することもできる。処理剤は、例えば、消臭剤等の補助剤を含んでもよい。
【0082】
続いて、図11に示すように、洗剤投入時間T1、漂白剤投入時間T2、予想給水時間T3に基づいて、制御部12は、第1制御~第5制御の組み合わせを実行する。制御部12において、実行する制御の初期設定として、第1制御、第2制御、第3制御が設定されている。第1制御では給水が開始時刻s2で開始され、第2制御では洗剤の自動投入が開始時刻s2で開始され、第3制御では漂白剤の自動投入が開始時刻s2で開始される。
【0083】
続いて、制御部12は、予想給水時間T3から洗剤投入時間T1を引いた時間差が所定時間T5以上か否か判定する(S17)。
【0084】
T3-T1≧T5の場合(S17でYes)、制御部12は、第2制御の設定を維持する。
【0085】
T3-T1<T5の場合(S17でNo)、制御部12は、第2制御を、洗剤投入時間T1の開始を開始時刻s2に対して早める第4制御に切り替える(S18)。
【0086】
続いて、制御部12は、予想給水時間T3から漂白剤投入時間T2を引いた時間差が所定時間T5以上か否か判定する(S19、S22)。
【0087】
第2制御を維持し、T3-T2≧T5の場合(S19でYes)、制御部12は、第3制御の設定を維持する。したがって、制御部12は、第1制御、第2制御、第3制御を実行する(S30)。
【0088】
第4制御に切り替えて、T3-T2≧T5の場合(S22でYes)、制御部12は、第3制御の設定を維持する。したがって、制御部12は、第1制御、第4制御、第3制御を実行する(S40)。
【0089】
第2制御を維持し、T3-T2<T5の場合(S19でNo)、制御部12は、第3制御を、漂白剤投入時間T2の開始を開始時刻s2に対して早める第5制御に切り替える。したがって、制御部12は、第1制御、第2制御、第5制御を実行する(S50)。
【0090】
第4制御に切り替えて、T3-T2<T5の場合(S22でNo)、制御部12は、第3制御から、漂白剤投入時間T2の開始を開始時刻s2に対して早める第5制御に切り替える。したがって、制御部12は、第1制御、第4制御、第5制御を実行する(S60)。
【0091】
上述より、制御部12は、投入時間T1、T2と予想給水時間T3との関係に基づいて第1制御~第5制御の切替の有無を決定している。
【0092】
(第1制御、第2制御、第3制御)
図12Aに示すように、第1制御、第2制御、第3制御を実行する場合、制御部12は、時刻sが給水を開始する開始時刻s2以降であるか否かを判定する(S31)。開始時刻s2は、布量判定時刻s1から待機時間Twが経過した時刻である。
【0093】
時刻sが開始時刻s2以降である場合(S31でYes)、制御部12は、洗剤の自動投入と、漂白剤の自動投入と、給水とを同時に開始する(S32)。具体的には、制御部12は、液剤投入装置63A、63Cを駆動させるとともに、給水電磁弁66を開放する。
【0094】
時刻sが開始時刻s2より前である場合(S31でNo)、ステップ31の前に戻る。
【0095】
(第1制御、第4制御、第3制御)
図8B及び図12Bに示すように、第1制御、第4制御、第3制御を実行する場合、制御部12は、洗剤の自動投入の開始時刻s4を決定する(S41)。
【0096】
開始時刻s4は、第2制御に対して早めた時刻である。具体的には、開始時刻s4は、洗剤の自動投入の終了後に所定時間T5の給水を確保するために、開始時刻s2に対して早めた時刻である。制御部12は、洗剤投入時間T1、予想給水時間T3及び所定時間T5に基づいて、開始時刻s4を決定する。具体的には、制御部12は、開始時刻s2から時間ΔT1引いて開始時刻s4を決定する。時間ΔT1は、洗剤投入時間T1と所定時間T5との合計から予想給水時間T3を引いた値である。
【0097】
続いて、制御部12は、時刻sが開始時刻s4以降であるか否かを判定する(S42)。
【0098】
時刻sが開始時刻s4以降である場合(S42でYes)、制御部12は、洗剤の自動投入を開始する(S43)。具体的には、制御部12は、液剤投入装置63Cを駆動させる。
【0099】
時刻sが開始時刻s4より前である場合(S42でNo)、ステップ42の前に戻る。
【0100】
続いて、制御部12は、時刻sが開始時刻s2以降であるか否かを判定する(S44)。
【0101】
時刻sが開始時刻s2以降である場合(S44でYes)、制御部12は、漂白剤の自動投入と、給水とを同時に開始する(S45)。具体的には、制御部12は、液剤投入装置63Aを駆動させるとともに、給水電磁弁66を開放する。
【0102】
時刻sが開始時刻s2より前である場合(S44でNo)、ステップ44の前に戻る。
【0103】
(第1制御、第2制御、第5制御)
図8C及び図12Cに示すように、第1制御、第2制御、第5制御を実行する場合、制御部12は、漂白剤の自動投入の開始時刻s5を決定する(S51)。
【0104】
開始時刻s5は、第3制御に対して早めた時刻である。具体的には、開始時刻s5は、漂白剤の自動投入の終了後に所定時間T5の給水を確保するために、開始時刻s2に対して早めた時刻である。制御部12は、漂白剤投入時間T2、予想給水時間T3及び所定時間T5に基づいて、開始時刻s5を決定する。具体的には、制御部12は、開始時刻s2から時間ΔT2引いて開始時刻s5を決定する。時間ΔT2は、漂白剤投入時間T2と所定時間T5との合計から予想給水時間T3を引いた値である。
【0105】
続いて、制御部12は、時刻sが開始時刻s5以降であるか否かを判定する(S52)。
【0106】
時刻sが開始時刻s5以降である場合(S52でYes)、制御部12は、漂白剤の自動投入を開始する(S53)。具体的には、制御部12は、液剤投入装置63Aを駆動させる。
【0107】
時刻sが開始時刻s5より前である場合(S52でNo)、ステップ52の前に戻る。
【0108】
続いて、制御部12は、時刻sが開始時刻s2以降であるか否かを判定する(S54)。
【0109】
時刻sが開始時刻s2以降である場合(S54でYes)、制御部12は、洗剤の自動投入と、給水とを同時に開始する(S55)。具体的には、制御部12は、液剤投入装置63Cを駆動させるとともに、給水電磁弁66を開放する。
【0110】
時刻sが開始時刻s2より前である場合(S54でNo)、ステップ54の前に戻る。
【0111】
(第1制御、第4制御、第5制御)
図8A及び図12Dに示すように、第1制御、第4制御、第5制御を実行する場合、制御部12は、上述のように、洗剤の自動投入の開始時刻s4と漂白剤の自動投入の開始時刻s5とを決定する(S61)。
【0112】
続いて、制御部12は、第1開始時刻s7と第2開始時刻s8とを決定する(S62)。制御部12は、開始時刻s4、s5のうち、先行する開始時刻を第1開始時刻s7として、後の開始時刻を第2開始時刻s8とする。
【0113】
続いて、制御部12は、時刻sが第1開始時刻s7以降であるか否かを判定する(S63)。
【0114】
時刻sが第1開始時刻s7以降である場合(S63でYes)、制御部12は、第1開始時刻s7に対応する液剤(洗剤または漂白剤)の自動投入を開始する(S64)。具体的には、制御部12は、液剤に対応する液剤投入装置63A、63Cの一方を駆動させる。
【0115】
時刻sが第1開始時刻s7より前である場合(S63でNo)、ステップ63の前に戻る。
【0116】
続いて、制御部12は、時刻sが第2開始時刻s8以降であるか否かを判定する(S65)。
【0117】
時刻sが第2開始時刻s8以降である場合(S65でYes)、制御部12は、第2開始時刻s8に対応する液剤(漂白剤または洗剤)の自動投入を開始する(S66)。具体的には、制御部12は、液剤に対応する液剤投入装置63A、63Cの一方を駆動させる。
【0118】
時刻sが第2開始時刻s8より前である場合(S65でNo)、ステップ65の前に戻る。
【0119】
続いて、制御部12は、時刻sが開始時刻s2以降であるか否かを判定する(S67)。
【0120】
時刻sが開始時刻s2以降である場合(S67でYes)、制御部12は、給水を開始する(S68)。具体的には、制御部12は給水電磁弁66を開放する。水位センサ90が検出する水位が目標水位以上になると、制御部12は給水電磁弁66を閉める。
【0121】
時刻sが開始時刻s2より前である場合(S67でNo)、ステップ67の前に戻る。
【0122】
上記のように、第2制御、第3制御、第4制御、第5制御の間で切り替えることによって、投入時間T1、T2にかかわらず自動投入の終了後に所定時間T5の給水を確保できる。また、時間ΔT1、ΔT2の計算によって、洗剤投入時間T1と漂白剤投入時間T2とを同時に終了させることができる。
【0123】
(給水制御)
ここで、図9に示すように、投入時間T1、T2の両方が終了する時刻を終了時刻s3とする。実給水時間T6が予想給水時間T3より短くなる場合があるため、終了時刻s3以降に所定時間T5の給水が実際に実行されたか否かを判断することが求められている。終了時刻s3以降に所定時間T5の給水が実行されていない場合、制御部12は給水制御を実行する。給水制御では、投入時間T1、T2の終了に対して給水の終了を相対的に遅らせる。
【0124】
図13に示すように、制御部12は、自動投入が終了したか否かを判断する。具体的には、制御部12は、時刻sが終了時刻s3以降か否かを判断する(S71)。
【0125】
投入時間T1、T2が終了している場合(S71でYes)、制御部12は、実給水の終了が投入時間T1、T2の終了より早かったか否かを判定する。具体的には、制御部12は、終了時刻s3において、水位センサ90が検出する水位が目標水位に到達しているか否かを判定する(S72)。
【0126】
投入時間T1、T2が終了していない場合(S71でNo)、ステップ71の前に戻る。
【0127】
終了時刻s3において水位が目標水位に到達している場合(S72でYes)、実給水は既に終わっている。したがって、自動投入の終了時刻s3以降に実給水が実行されていない。そこで、制御部12は給水制御を実行する。具体的には、制御部12は、終了時刻s3より後において、給水電磁弁66を開放して追加給水を行う(S73)。このような動作によって、終了時刻s3以降で、所定時間T5の給水を確保できる。
【0128】
追加給水は間欠的に行われてもよく、絞り弁によって給水の流量を絞った状態で行われてもよい。このような動作によって、給水量の増加を抑えつつ、給水時間を長くすることができる。
【0129】
一方で、終了時刻s3において水位が目標水位に到達していない場合(S72でNo)、投入時間T1、T2の終了時において実給水が継続されている。この場合、実給水が所定時間T5を満たすまで継続されることを確認することが求められている。そこで、制御部12は、投入時間T1、T2の終了時刻s3から実給水の終了時刻s6までのカウント時間T4をカウントする(S74)。
【0130】
制御部12は、カウント時間T4が所定時間T5以上か否か判定する(S75)。
【0131】
カウント時間T4が所定時間T5以上であると(S75でYes)、実給水が所定時間T5の経過前に終了しておらず、自動投入の終了後に所定時間T5の給水を確保できている。ここで動作は終了する(END)。
【0132】
一方で、カウント時間T4が所定時間T5より小さいと(S75でNo)、制御部12は給水制御を実行する。制御部12は、カウント時間T4の終了後において、給水電磁弁66を開放して追加給水を行う(S73)。追加給水が終了すると、制御部12は給水電磁弁66を閉めて、動作を終了する(END)。
【0133】
上述より、制御部12は、実給水時間T6(具体的には、実給水の終了時刻s6までのカウント時間T4)に基づいて給水制御の実行の有無を決定している。
【0134】
[効果1]
実施の形態に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0135】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、洗濯物を収容する洗濯槽4を備える。洗濯機1は、タンク62C(第1タンク)と、タンク62A(第2タンク)と、液剤投入装置63C(第1自動液剤投入装置)と、液剤投入装置63A(第2自動液剤投入装置)とをさらに備える。タンク62Cは、洗濯槽4に供給される洗剤(第1液剤)を収容し、タンク62Aは、洗濯槽4に供給される漂白剤(第2液剤)を収容する。液剤投入装置63Cは、タンク62Cに接続され、洗剤を吐出し、液剤投入装置63Aは、タンク62Aに接続され、漂白剤を吐出する。洗濯機1は、液剤投入装置63Aおよび液剤投入装置63Cと洗濯槽4とを接続する液剤吐出流路64と、液剤吐出流路64に接続され、洗濯槽4に給水する給水弁10と、制御部12とをさらに備える。制御部12は、給水弁10による給水と、液剤投入装置63Cによる洗剤の自動投入(第1自動投入)と、液剤投入装置63Aによる漂白剤の自動投入(第2自動投入)とを並行して、給水が洗剤の自動投入及び漂白剤の自動投入の後に終了するように実行する。
【0136】
このような構成によって、給水と液剤の自動投入とを並行して行うことで、液剤だけが吐出される時間を最低限に抑え、液剤吐出流路64に水が流れている状態で液剤が吐出される時間をより長く確保できる。そのため、液剤は、水流に運ばれやすく、液剤吐出流路64に残留しにくくなる。また、洗剤と漂白剤とを並行して自動投入することで、洗剤と漂白剤とを順番に自動投入した場合と比較して、自動投入にかかる時間を短縮することができる。そのため、給水量を小さくできる。さらに、給水が洗剤の自動投入及び漂白剤の自動投入の後に終了することで、自動投入後に、液剤吐出流路64に残留している液剤を給水によって洗い落とすことができる。そのため、液剤による液剤吐出流路64の閉塞を抑制できる。また、液剤吐出流路64に残留した液剤を洗い落として洗濯槽4に供給することで、洗い工程の洗い性能を向上させることができる。
【0137】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、基準制御と、先行投入制御とを有する。基準制御では、給水、洗剤の自動投入及び漂白剤の自動投入を所定のタイミングで開始させる。先行投入制御では、基準制御に対して洗剤の自動投入または漂白剤の自動投入の開始を相対的に早める。
【0138】
このような構成によって、例えば、洗剤及び漂白剤の投入量が多い場合であっても、給水を洗剤及び漂白剤の自動投入より後に終了させることができる。
【0139】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、基準制御として、給水を所定のタイミングで開始させる第1制御と、洗剤の自動投入を所定のタイミングで開始させる第2制御と、漂白剤の自動投入を所定のタイミングで開始させる第3制御と、を有する。制御部12は、先行投入制御として、第2制御に対して洗剤の自動投入の開始を相対的に早める第4制御と、第3制御に対して漂白剤の自動投入の開始を相対的に早める第5制御と、を有する。
【0140】
このような構成によって、液剤投入装置63Aと液剤投入装置63Cとの制御を独立して行うことができる。これにより、例えば、洗剤または漂白剤の一方のみの投入量が多い場合や自動投入にかかる時間が長い場合においても、投入量が多いまたは自動投入にかかる時間が長い一方の液剤のみ自動投入の開始を相対的に早めることができる。そのため、給水より前に吐出される液剤の投入量を少なくすることができる。
【0141】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、洗剤の自動投入に関する時間に基づいて、第2制御から第4制御に切り替える。制御部12は、漂白剤の自動投入に関する時間に基づいて、第3制御から第5制御に切り替える。
【0142】
このような構成によって、洗剤または漂白剤の自動投入にかかる時間が長い場合においても、給水をそれぞれの自動投入より後に終了させることができる。
【0143】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、第4制御または第5制御によって、洗剤の自動投入と漂白剤の自動投入とを同時に終了させる。
【0144】
このような構造によって、給水の開始時刻s2に対して開始を早める時間ΔT1、ΔT2を短くすることができる。時間ΔT1、ΔT2においては、液剤吐出流路64に水が流れていない状態で液剤が吐出されるため、液剤が残留や固着しやすい。そこで、時間ΔT1、ΔT2を短くすることで、液剤が残留や固着のリスクを低減できる。
【0145】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、給水、洗剤の自動投入及び漂白剤の自動投入を所定のタイミングで開始させる基準制御を有する。制御部12は、基準制御に対して給水の終了を相対的に遅らせる給水制御を有する。
【0146】
このような構成によって、給水の終了のタイミングを制御することができる。そのため、給水を自動投入より後に終了させることができる。
【0147】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、洗剤の自動投入または漂白剤の自動投入に関する時間に基づいて、給水制御を実行する。
【0148】
このような構成によって、洗剤または漂白剤の自動投入にかかる時間が長い場合においても、給水を自動投入より後に終了させることができる。
【0149】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、給水弁10による給水を間欠的に行わせる。
【0150】
このような構成によって、連続的に給水を実行する場合と比較して、洗濯槽4への給水量を小さくしたまま、給水時間を長くすることができる。液剤吐出流路64内の液剤を残留させないという目的の為だけの、本来は洗濯には不要な給水量の増加を最小化できる。
【0151】
また、本実施形態の洗濯機1を制御する方法は、給水弁10による給水と、液剤投入装置63Cによる洗剤の自動投入と、液剤投入装置63Aによる漂白剤の自動投入とを並行して、給水が洗剤の自動投入及び漂白剤の自動投入の後に終了するように実行する。
【0152】
このような構成によって、給水と液剤の自動投入とを並行して行うことで、液剤だけが吐出される時間を最低限に抑え、液剤吐出流路64に水が流れている状態で液剤が吐出される時間をより長く確保できる。
【0153】
[効果2]
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、洗濯物を収容する洗濯槽4を備える。洗濯機1は、タンク62C(第1タンク)と、タンク62B(第2タンク)と、タンク62A(第3タンク)と、とをさらに備える。タンク62Cは、洗い工程(第1工程)において吐出される洗剤(第1液剤)を収容し、タンク62Bは、柔軟剤(第2液剤)を収容し、タンク62Aは、洗い工程において吐出される漂白剤(第3液剤)を収容する。洗濯機1は、液剤投入装置63C(第1自動液剤投入装置)と、液剤投入装置63B(第2自動液剤投入装置)と、液剤投入装置63A(第3自動液剤投入装置)とをさらに備える。液剤投入装置63Cは、タンク62Cに接続され、洗い工程において洗剤を吸引して吐出する。液剤投入装置63Bは、タンク62Bに接続され、柔軟剤を吸引して吐出する。液剤投入装置63Aは、タンク62Aに接続され、洗い工程において漂白剤を吸引して吐出する。洗濯機1は、液剤投入装置63A、液剤投入装置63Bおよび液剤投入装置63Cと洗濯槽4とを接続する液剤吐出流路64と、液剤吐出流路64に接続され、洗濯槽4に給水する給水弁10とをさらに備える。液剤投入装置63Aと液剤投入装置63Cとの間に、液剤投入装置63Bが配置される。
【0154】
このような構成によって、液剤投入装置63Aと液剤投入装置63Cとを互いから離すことができる。そのため、洗剤と漂白剤とが同じ工程において吐出された場合においても、洗剤と漂白剤とが混ざることを抑制できる。したがって、洗剤と漂白剤とが希釈されていない原液の状態で直接接触することを抑制できる。そのため、洗剤と漂白剤との接触による副生成物の発生を抑制し、副生成物によって液剤吐出流路64が閉塞されることを抑制できる。
【0155】
また、本実施形態の洗濯機1は、制御部12をさらに備える。制御部12は、液剤投入装置63Bによる自動投入を、洗い工程と異なるすすぎ工程(第2工程)において実行する。
【0156】
このような構成によって、液剤投入装置63Bに吐出される柔軟剤が洗剤と混ざることを抑制できる。
【0157】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12をさらに備える。制御部12は、給水弁10による給水と、液剤投入装置63Cによる自動投入と、液剤投入装置63Aによる自動投入とを並行して洗い工程で実行する。
【0158】
このような構成によって、給水と液剤の自動投入とを並行して行うことで、液剤吐出流路64に水が流れている状態で液剤が吐出される。即ち、液剤は水流の中に吐出される。そのため、液剤は、水流に運ばれやすく、液剤吐出流路64に残留しにくくなる。また、洗剤と漂白剤とを並行して自動投入することで、洗剤と漂白剤とを順番に自動投入した場合と比較して、自動投入にかかる時間を短縮することができる。そのため、給水量を小さくできる。
【0159】
また、本実施形態の洗濯機1において、洗剤の粘度は、漂白剤の粘度より高い。液剤投入装置63Cは、液剤投入装置63Aより下流側で液剤吐出流路64に接続される。
【0160】
このような構成によって、洗剤がケース61に流入するまで流れる距離を小さくすることができる。そのため、洗剤の残留をさらに抑制できる。
【0161】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62Aとタンク62Cとの間に、タンク62Bが配置される。
【0162】
このような構成によって、タンク62A~62Cの配置を液剤投入装置63A~63Cの配置にあわせることができる。そのため、自動投入ユニット6の構造を簡単にすることができる。
【0163】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62Aの容量は、タンク62Cの容量より小さい。
【0164】
このような構成によって、タンク62Cの補充回数をタンク62Aの補充回数より少なくすることができる。
【0165】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62Aは、漂白剤と異なる種類の第4液剤も収容可能である。
【0166】
このような構成によって、タンク62Cに液剤を補充する頻度を少なくし、ユーザから見た洗濯機1の利便性を向上させることができる。
【0167】
また、本実施形態の洗濯機1を制御する方法は、洗い工程において2つ以上の液剤の選択を受け付けると、液剤投入装置63Aと液剤投入装置63Cとによって液剤を洗濯槽4に供給する。
【0168】
このような構成によって、離されている液剤投入装置63A、63Cによって液剤を供給し、液剤の混合を抑制できる。
【0169】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0170】
なお、実施形態において、洗剤の投入と漂白剤の投入とが並行して行われる例について説明したが、これに限定されない。例えば、洗剤の投入開始及び終了が、漂白剤の投入及び終了より先に実行されてもよい。また、漂白剤の投入及び終了が、洗剤の投入開始及び終了より先に実行されてもよい。即ち、それぞれの液剤が順に投入されてもよい。これらの場合においても、給水の終了は、液剤の投入終了の後となるような制御が実行される。
【0171】
なお、実施形態において、制御部12が、給水の開始に対して自動投入の開始を早める例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部12は、自動投入の開始に対して給水の開始を遅らせてもよい。
【0172】
なお、実施形態において、基準制御において、給水と液剤の自動投入とが同時に開始される例について説明したが、これに限定されない。基準制御において、洗剤の自動投入と、漂白剤の自動投入と、給水とは、それぞれ異なる所定のタイミングで開始されてもよく、洗剤の自動投入と、漂白剤の自動投入と、給水との間に時間間隔を設けてもよい。図14に示すように、給水と液剤の自動投入とが異なる時刻で開始されてもよい。例えば、給水は洗剤の自動投入の開始に対して3秒遅らせて開始される。このような場合でも、予想給水終了が自動投入終了より後になるように、図11に示す各制御を実行すればよい。
【0173】
なお、実施形態において、先行投入制御において、洗剤の第4制御と漂白剤の第5制御とを独立して実行する例について説明したが、これに限定されない。図15に示すように、洗剤の自動投入と漂白剤の自動投入とをあわせて制御してもよい。例えば、洗剤投入時間T1と漂白剤投入時間T2との長い方によって、給水の開始時刻に対して相対的に早める時間を決定し、洗剤投入時間T1と漂白剤投入時間T2との両方を早めてもよい。投入時間T1、T2が異なる時刻に終了する場合、投入時間T1、T2の終了のうち、遅い方を終了時刻s3としてもよい。
【0174】
なお、実施形態において、実給水時間T6における給水が連続的に行われる例について説明したが、これに限定されない。実給水時間T6における給水は、間欠的に行われてもよい。
【0175】
なお、実施形態において、タンク62A~62Cには異なる種類の液剤が収容されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、タンク62Aとタンク62B、またはタンク62Bとタンク62C、即ち隣り合ったタンクに同じ種類の液剤が収容されてもよい。この場合、制御部12は、洗い工程において、液剤投入装置63Aによる自動投入と液剤投入装置63Cによる自動投入を実行する。このような動作によって、洗剤と漂白剤とが混ざることを抑制できる。制御部12は液剤投入装置63Aによる自動投入と液剤投入装置63Cによる自動投入を並行して実行してもよい。
【0176】
また、タンク62Aとタンク62Cとに収容される液剤の種類が同じであってもよい。この場合においても、タンク62Aの液剤の自動投入と、タンク62Cの液剤の自動投入とを並行して行うことで、1つのタンク62A、62Cのみから液剤を吐出する場合と比較して、自動投入にかかる時間を短縮することができる。
【0177】
なお、実施形態において、洗い工程における制御部12の動作について説明したが、これに限定されない。例えば、すすぎ工程において柔軟剤を投入する場合においても、制御部12は、給水の開始に対する柔軟剤の自動投入の開始を制御してもよい。一方で、本実施形態による制御は、粘性が高い液剤でより好適に利用される。粘性が高い柔軟剤を使用する場合は、柔軟剤投入においても、本実施形態による制御を行ってもよい。
【0178】
なお、実施形態において、液剤吐出流路64が傾斜されると説明したが、これに限定されない。液剤吐出流路64は水平方向に配置されてもよい。
【0179】
なお、実施形態において、2つの液剤が投入される運転コースとして洗濯コースについて説明したが、これに限定されない。例えば、洗濯機1は、運転コースとして、柔軟剤及び香り付け剤を投入する香り付けスチームコースを実行してもよい。洗濯機1は、運転コースとして、衣類や洗濯機1のお手入れのために実行され、複数の液剤が投入されるお手入れコースを実行してもよい。
【0180】
なお、実施形態において、記憶部13が、制御部12が実行する制御に関する情報を記憶している例について説明したが、これに限定されない。制御部12が実行する制御に関する情報は、洗濯機1の外部のサーバに記憶されてもよく、制御部12は、制御情報をサーバからダウンロードして実行してもよい。また、制御部12が洗濯機1の外部のサーバに設けられてもよい。
【0181】
第1の態様における洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽に供給される第1液剤を収容する第1タンクと、洗濯槽に供給される第2液剤を収容する第2タンクと、第1タンクに接続され、第1液剤を吐出する第1自動液剤投入装置と、第2タンクに接続され、第2液剤を吐出する第2自動液剤投入装置と、第1自動液剤投入装置および第2自動液剤投入装置と洗濯槽とを接続する液剤吐出流路と、液剤吐出流路に接続され、洗濯槽に給水する給水弁と、制御部と、を備え、制御部は、給水弁による給水と、第1自動液剤投入装置による第1自動投入と、第2自動液剤投入装置による第2自動投入とを並行して、給水が第1自動投入及び第2自動投入の後に終了するように実行する。
【0182】
第2の態様における洗濯機として、第1の態様における洗濯機において、制御部は、給水、第1自動投入及び第2自動投入を所定のタイミングで開始させる基準制御を有し、基準制御に対して第1自動投入または第2自動投入の開始を相対的に早める先行投入制御を有する。
【0183】
第3の態様における洗濯機として、第2の態様における洗濯機において、制御部は、基準制御として、給水を所定のタイミングで開始させる第1制御と、第1自動投入を所定のタイミングで開始させる第2制御と、第2自動投入を所定のタイミングで開始させる第3制御と、を有し、先行投入制御として、第2制御に対して第1自動投入の開始を相対的に早める第4制御と、第3制御に対して第2自動投入の開始を相対的に早める第5制御と、を有する。
【0184】
第4の態様における洗濯機として、第3の態様における洗濯機において、制御部は、第1自動投入に関する時間に基づいて、第2制御から第4制御に切り替え、第2自動投入に関する時間に基づいて、第3制御から第5制御に切り替える。
【0185】
第5の態様における洗濯機として、第4の態様における洗濯機において、制御部は、第4制御または第5制御によって、第1自動投入と第2自動投入とを同時に終了させる。
【0186】
第6の態様における洗濯機として、第1から第5の態様のいずれかにおける洗濯機において、制御部は、給水、第1自動投入及び第2自動投入を所定のタイミングで開始させる基準制御を有し、基準制御に対して給水の終了を相対的に遅らせる給水制御を有する。
【0187】
第7の態様における洗濯機として、第6の態様における洗濯機において、制御部は、第1自動投入または記第2自動投入に関する時間に基づいて、給水制御を実行する。
【0188】
第8の態様における洗濯機として、第1から第7の態様のいずれかにおける洗濯機において、制御部は、給水弁による給水を間欠的に行わせる。
【0189】
第9の態様における方法は、洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽に供給される第1液剤を収容する第1タンクと、洗濯槽に供給される第2液剤を収容する第2タンクと、第1タンクに接続され、第1液剤を吐出する第1自動液剤投入装置と、第2タンクに接続され、第2液剤を吐出する第2自動液剤投入装置と、第1自動液剤投入装置および第2自動液剤投入装置と洗濯槽とを接続する液剤吐出流路と、液剤吐出流路に接続され、洗濯槽に給水する給水弁と、を備える洗濯機を制御する方法であって、給水弁による給水と、第1自動液剤投入装置による第1自動投入と、第2自動液剤投入装置による第2自動投入とを並行して、給水が第1自動投入及び第2自動投入の後に終了するように実行する。
【0190】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本開示の洗濯機は、液剤投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0192】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 洗濯槽
5 駆動部
6 自動投入ユニット
8 接続流路
10 給水弁
11 排水弁
12 制御部
13 記憶部
14 表示部
61 ケース
62A~62C タンク
63A~63C 液剤投入装置
64 液剤吐出流路
65 手動投入部
66 給水電磁弁
90 水位センサ
91 布量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15