(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137152
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 35/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A01B35/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048556
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】黒田 将仁
(72)【発明者】
【氏名】岩松 淳司
(72)【発明者】
【氏名】森 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 智
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA03
2B034BA05
2B034BC06
2B034EA13
2B034EB26
(57)【要約】
【課題】土付着の軽減を図ることができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、トラクタの後部に連結する機体2と、耕耘作業をする耕耘体3と、この耕耘体3の後方で整地作業をする整地体4とを備える。また、農作業機1は、耕耘体3の上方に位置する弾性板41と、この弾性板41を下方から支持する支持部材42とを備える。そして、支持部材42は、弾性板41を下方から支持する棒状の支持部56を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記耕耘体の上方に位置する弾性体と、
前記弾性体を下方から支持する支持部材とを備え、
前記支持部材は、棒状の支持部を有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記支持部は、断面円形状又は断面多角形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
前記支持部は、上方に向かって凸状に湾曲した丸棒状に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項4】
前記支持部材は、前記支持部の端部に設けられた板状の取付部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
前記取付部は、前記支持部の端部に一体に連設されている
ことを特徴とする請求項4記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土付着の軽減を図ることができる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、耕耘体の上方に位置する弾性体と、この弾性体を下方から支持する支持部材とを備え、この支持部材は複数箇所で屈曲した板状部材からなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、支持部材が板状部材からなるものであるため、例えば圃場の土質等によっては、土が支持部材と弾性体との間に詰まって付着するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、土付着の軽減を図ることができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記耕耘体の上方に位置する弾性体と、前記弾性体を下方から支持する支持部材とを備え、前記支持部材は、棒状の支持部を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、土付着の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【
図5】同上農作業機の支持部材(ゴム受けバー)の斜視図である。
【
図7】同上農作業機の支持部材の変形例を示すA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1及び
図2において、1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、そのトラクタの走行により圃場を前方(進行方向)に移動しながら農作業、すなわち例えば耕耘整地作業をするロータリー作業機である。
【0012】
農作業機1は、トラクタの後部に3点リンク部に着脱可能に連結される機体2と、この機体2の下部に回転可能に設けられ、所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体3と、機体2の後部に上下方向に回動可能に設けられ、耕耘体3の後方で整地作業をする整地体4とを備えている。
【0013】
機体2は、トラクタの後部の3点リンク部に着脱可能に連結される3点連結部6を有している。3点連結部6は、上部ピン7を有した連結マスト8と、下部ピン9を有した左右一対のロワアーム10とを有している。
【0014】
また、機体2は、トラクタのPTO軸にジョイントを介して接続される入力軸11を回転可能に支持する入力軸支持部(ミッションケース)12を有している。入力軸支持部12の左右両側には、左右方向長手状で筒状のフレームパイプ部13の内端部が取り付けられている。
【0015】
左側のフレームパイプ部13の外端部である左端部には、一方の耕耘体支持部であるチェーンケース部16が取り付けられている。右側のフレームパイプ部13の外端部である右端部には、他方の耕耘体支持部であるブラケット部17が取り付けられている。なお、ブラケット部17には、カウンターウエイト15が取り付けられている。
【0016】
そして、チェーンケース部16及びブラケット部17によって、入力軸11側からの動力に基づいて回転して耕耘作業をする耕耘体3が回転可能に支持されている。
【0017】
耕耘体3は、チェーンケース部16及びブラケット部17間に回転可能に架設された左右方向の耕耘軸18と、この耕耘軸18に着脱可能に取り付けられた複数の耕耘爪19とを有している。
【0018】
さらに、機体2は、左右方向長手状で筒状の前フレーム部(ヒッチパイプ)21と、左右方向長手状で板状の後フレーム部(背部フレーム)22とを有している。前フレーム部21は、フレームパイプ部13に固着した複数のフレーム取付板23の前部に、前取付板24を介して取り付けられている。後フレーム部22は、フレームパイプ部13に固着した複数のフレーム取付板23の後部に、後取付板25を介して取り付けられている。
【0019】
そして、後フレーム部22には、複数の蝶番26を介して、耕耘体(ロータリー)3の後方で整地作業をする整地体(均平板)4が左右方向の軸部(回動支点)27を中心として上下方向に回動可能に取り付けられている。また、整地体4の左右方向両端部には、延長整地体5が展開及び折畳可能に取り付けられている。
【0020】
ここで、前フレーム部21の複数箇所には、略円筒状の前取付部である前取付ピン31が固設されている。各前取付ピン31には、下方側に向かって開口する取付孔部であるねじ孔部(図示せず)が形成されている。同様に、後フレーム部22の複数箇所には、略円筒状の後取付部である後取付ピン32が前取付ピン31と前後に対応して位置するように固設されている。各後取付ピン32には、下方側に向かって開口する取付孔部であるねじ孔部(図示せず)が形成されている。なお、前フレーム部21には、左右一対のゲージ輪40が取り付けられている。
【0021】
また、
図3ないし
図6にも示すように、農作業機1は、耕耘体3の上方部を覆うように耕耘体3の上方に位置する左右方向長手状で板状の弾性変形可能な1枚の弾性体である弾性板41と、取付具であるボルト43によって機体2の取付ピン31,32に取り付けられ、弾性板41の下面を下方から支持する前後方向長手状をなす複数本(例えば7本)の支持部材42とを備えている。
【0022】
弾性板41は、例えば耕耘体3の上方部を覆うゴム製のゴムカバー(板状部材)からなるもので、この弾性板41の前端部には、互いに間隔をおいて左右方向に並ぶ複数の前取付用孔部46が形成されている。同様に、弾性板41の後端部には、互いに間隔をおいて左右方向に並ぶ複数の後取付用孔部47が前取付用孔部46と前後に対応して位置するように形成されている。
【0023】
これら各孔部46,47は、いずれも同じ大きさの長孔で、前後方向に細長い長孔状に形成されている。そして、長孔状の孔部46,47には、取付ピン31,32が遊挿されている(
図4参照)。それゆえ、取付ピン31,32は、対応する孔部46,47内において、弾性板41に対して相対的に前後左右(例えば前後方向のみでもよい)に移動可能である。
【0024】
つまり、弾性板41は、複数の支持部材42上に載置されて上方に向かって凸状に湾曲した状態で、当該支持部材42に対して前後左右(例えば前後方向のみでもよい)に所定量だけスライド移動可能となっている。
【0025】
また、弾性板41は、所望の強度を確保するために、例えば上下の弾性部材であるゴム板51,52と、これら両ゴム板51,52間に位置する2枚の補強部材である帆布53,54とで構成されている(
図6参照)。なお、弾性板41は、当該
図6に示す構成のものには限定されず、例えば帆布を有しないゴム板や樹脂板等の板状の弾性部材のみからなるもの等でもよい。
【0026】
複数の支持部材42は、いずれも同じ部品であって、例えば弾性板41の下面を部分的に支持する金属製のゴム受けバー(棒状部材)からなるものである。つまり、各支持部材42は、いずれも上方に向かって凸状に湾曲した棒状部材のみで構成されている。なお、1本の支持部材42の質量は、例えば0.2kg~1.0kgで、好ましくは0.4kgである。
【0027】
ここで、支持部材42は、弾性板41の下面を下方から支持する上方に向かって凸状に湾曲した細長い棒状、すなわち例えば上方側に湾曲した中実の丸棒状の支持部56と、この支持部56の長手方向(前後方向)の両端部にそれぞれ一体に連設された矩形板状の取付部57とを有している。
【0028】
支持部(丸形支持部)56は、全長に亘って等径状の丸棒部分で、断面円形状に形成されており、その断面は例えば真円である。支持部56の直径寸法は、例えば6mm~20mmで、好ましくは12mmである。なお、断面円形状の支持部56の断面は、真円以外でもよく、例えば真円に近い形状や、楕円等でもよい。
【0029】
取付部57は、支持部56の直径寸法よりも大きな幅寸法を有した矩形板状に形成されており、その中央部には、ボルト43を通す矩形状(例えば真円形状や楕円形状等でもよい)の取付用孔であるボルト孔58が取付部57の上下面に貫通して形成されている。この板状の取付部57の板厚寸法は、支持部56の直径寸法よりも小さく、例えば3mm~10mmで、好ましくは5mmである。
【0030】
また、取付部57の上面には、弾性板41の下面と面状に接触(摺接)する平面状の接触面59が形成されている。さらに、取付部57は、支持部56の端部に連続した丸棒部分(支持部材の両端部)を潰すことにより、板状に塑性変形して形成したものである。それゆえ、取付部57の下面側には、ボルト43の頭部43aの少なくとも一部が位置する段差部60が形成されている。また、取付部57の面積は、ボルト43の頭部43aよりも大きい。
【0031】
そして、支持部材42の前端側の取付部57は、ボルト43によって機体2の前取付ピン(被取付部)31の下面に着脱可能に取り付けられている。つまり、前取付ピン31が弾性板41の前取付用孔部46に遊挿され、この遊挿された前取付ピン31のねじ孔部に対して、ボルト43がボルト孔58を通って螺着されている。
【0032】
同様に、支持部材42の後端側の取付部57は、ボルト43によって機体2の後取付ピン(被取付部)32の下面に着脱可能に取り付けられている。つまり、後取付ピン32が弾性板41の後取付用孔部47に遊挿され、この遊挿された後取付ピン32のねじ孔部に対して、ボルト43がボルト孔58を通って螺着されている。
【0033】
こうして、支持部材42がボルト43で機体2の取付ピン31,32に取り付けられ、この取り付けられた支持部材42によって弾性板41の下面が下方から支持される(
図4参照)。つまり、弾性板41の下面は、各支持部材42における支持部56の上端56aと前後端の取付部57の上面の接触面59とで下方から支持される。このとき、取付部57の接触面59は、弾性板41の下面と面状に接触するが、支持部56の上端56aは、弾性板41の下面と線状に接触する。
【0034】
次に、上記農作業機1の作用等を説明する。
【0035】
圃場において、農作業機1をトラクタの後部に連結してそのトラクタの走行によりを前方に移動させると、耕耘体3が回転しながら耕耘作業をし、その後方で整地体4が整地作業をする。
【0036】
この際、耕耘体3の上方部は、複数の支持部材42で支持された弾性板41で覆われているため、この弾性板41よって耕耘体3からの土(耕耘土)が上方へ飛散することが防止される。
【0037】
そして、農作業機1によれば、複数の支持部材42は、従来のような板状部材からなるものではなく、弾性板41を下方から支持する棒状の支持部56を有するものであるから、各支持部材42と弾性板41との間に土が詰まりにくく落ちやすいため、圃場の土質等に拘わらず、弾性板41への土付着の軽減を図ることができ、よって、土が発達しにくく作業に支障を来たすこともなく、適切な耕耘整地作業を行うことができる。
【0038】
また、棒状の支持部56は、断面円形状に形成されているため、角部がない滑らかな連続した円筒面状の外周面には土が付着せず、土付着の軽減を効果的に図ることができるばかりでなく、強度向上も図ることができ、例えば土中の石の直撃等による変形を防止できる。
【0039】
なお、上記実施の形態では、支持部材42の棒状の支持部56が断面円形状に形成された構成について説明したが、例えば
図7に示すように、棒状の支持部56が断面多角形状、すなわち例えば断面六角形状に形成された構成でもよい。
【0040】
そして、この構成の場合、弾性板41の下面は、断面六角形状をなす支持部56の上端の角部56bと前後端の取付部57の上面の接触面59とで下方から支持される。このとき、取付部57の接触面59は、弾性板41の下面と面状に接触するが、支持部56の角部56bは、弾性板41の下面と線状に接触する。
【0041】
なお、例えば支持部56の平面部56cで、弾性板41の下面を支持するようにしてもよい。また、断面多角形状の支持部56の断面は、六角以外でもよく、例えば四角、五角、八角、十二角等でもよい。
【0042】
また一方、棒状の支持部は、断面円形状又は断面多角形状に形成されたものには限定されず、それ以外の形状(例えば断面半円形状、断面扇形状等)でもよく、また中実か中空かも問わない。
【0043】
さらに、弾性板の上面は、上方に向かって露出した構成が好ましいが、例えば鉄板等の金属板の下面に弾性板を取り付け、この取り付けられた弾性板の下面を支持部材で下方から支持するようにしてもよい。
【0044】
また、支持部材は、例えば機体の被取付部に着脱可能に取り付けられる取付部を支持部の端部に溶接固定した構成等でもよい。
【0045】
さらに、弾性板は、例えば上下のゴム板と、これら両ゴム板間に位置する1枚の帆布とで構成されたものや、上下のゴム板と、これら両ゴム板間に位置する2枚の帆布と、これら両帆布間に位置する中間ゴム板とで構成されたもの等でもよい。
【0046】
また、カウンターウエイトは必ずしも必要なものではなく、機体のブラケット部にカウンターウエイトを設けない構成でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 農作業機
3 耕耘体
4 整地体
41 弾性体である弾性板
42 支持部材
56 支持部
57 取付部