(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013717
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】車両用灯体装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/00 20180101AFI20240125BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20240125BHJP
F21S 45/00 20180101ALI20240125BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20240125BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240125BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20240125BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240125BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240125BHJP
【FI】
F21S41/00
B60Q1/00 E
F21S45/00
F21S41/20
G01S7/03 240
G01S7/03 246
F21W102:10
F21Y115:10
F21Y101:00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116025
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】田中 義朗
【テーマコード(参考)】
3K339
5J070
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA08
3K339BA11
3K339BA18
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA25
3K339CA01
3K339DA01
3K339DA06
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA30
3K339JA26
3K339MA07
3K339MC01
3K339MC35
3K339MC90
5J070AB24
5J070AC02
5J070AE01
5J070AF03
(57)【要約】
【課題】光源からの光を効率よく外部に出射することが可能な、レーダユニットを有する車両用灯体装置を提供する。
【解決手段】車両用灯体装置100は、光源20と、光源20よりも車両の外表面側に配置される壁部31と、壁部31よりも車両の外表面側において壁部に取り付けられるレーダユニット10と、レーダユニット10の表面を覆うカバー40と、を備える。壁部31には、レーダユニット10の取付領域以外の領域に、光源20から発せられた光が透過する光路38が形成され、カバー40には、光路38を透過した光が透過する光路47が形成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源よりも車両の外表面側に配置される壁部と、
前記壁部よりも前記車両の外表面側において前記壁部に取り付けられるレーダユニットと、
前記レーダユニットの表面を覆うカバーと、を備え、
前記壁部には、前記レーダユニットの取付領域以外の領域に、前記光源から発せられた光が透過または通過する第1光路が形成され、
前記カバーには、前記第1光路を通過または透過した光が透過する第2光路が形成されることを特徴とする車両用灯体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用灯体装置において、
前記壁部は、遮光性を有する構成材からなり、
前記第1光路は、前記壁部に設けられた開口部によって形成されることを特徴とする車両用灯体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用灯体装置において、
前記第2光路は、前記レーダユニットからのレーダの照射範囲内に設けられることを特徴とする車両用灯体装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載お車両用灯体装置において、
前記第2光路は、前記レーダユニットに対向する位置に設けられることを特徴とする車両用灯体装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の車両用灯体装置において、
前記カバーは、前記第1光路と前記レーダユニットとに対向するように延設されることを特徴とする車両用灯体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用灯体装置において、
前記カバーは、遮光性を有する第1構成材と透光性を有する第2構成材とを一体に成型して形成され、
前記第2光路は、前記第1構成材により形成された貫通孔と、前記貫通孔を充填する前記第2構成材とにより構成されることを特徴とする車両用灯体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のヘッドランプの近傍にレーダを配置するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、ヘッドランプの車幅方向側方にレーダを配置するとともに、レーダの表面に対向するレーダカバーを、ヘッドランプ表面のアウターレンズと同一面上に形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、ヘッドランプから車両外部への光の出射がレーダカバーによって大きく妨げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両用灯体装置は、光源と、光源よりも車両の外表面側に配置される壁部と、壁部よりも車両の外表面側において壁部に取り付けられるレーダユニットと、レーダユニットの表面を覆うカバーと、を備える。壁部には、レーダユニットの取付領域以外の領域に、光源から発せられた光が透過または通過する第1光路が形成され、カバーには、第1光路を通過または透過した光が透過する第2光路が形成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、レーダユニットを有する車両用灯体装置において、光源からの光を効率よく外部に出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用灯体装置が設けられる車両前部の概略構成を示す図。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用灯体装置の要部構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図4を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る車両用灯体装置は、前照灯等の灯体を含んで構成される。
図1は、本実施形態に係る車両用灯体装置100が設けられる車両前部の概略構成を示す図(車両200を斜め前方から見た図)であり、
図2は、
図1の参考例を示す図である。なお、以下では、便宜上、図示のように前後方向、左右方向および上下方向を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
【0009】
車両200は、外観形状が前後方向に延在する軸線CL1を中心にして左右対称に構成される。したがって、
図1には、車両200の前端部の左側の車両用灯体装置100が示されるが、車両200の前端部の右側にも同様に車両用灯体装置100が設けられる。以下では、左側の車両用灯体装置100の構成を説明する。
図1に示すように、車両用灯体装置100は、フード101とフェンダー102との前方であり、かつ、バンパー103の上方に配置される。
【0010】
図1の車両用灯体装置100には、灯体だけでなく、レーダユニット10(例えばミリ波レーダ)が含まれる。レーダユニット10は、電磁波を照射し反射波を検出することで車両200の周辺の他車両や障害物等を検出する距離検出器であり、電磁波を生成する生成器と、電磁波を送信する送信器と、対象物で反射した反射波を受信する受信器などを有する。なお、レーダユニット10を単にレーダと呼ぶことがある。
【0011】
図2に示すように、参考例では、車両用灯体装置100Aとは別にレーダ10Aが設けられる。例えばレーダ10Aは樹脂製のバンパー103の内側に配置される。
図2の領域ARは、レーダ10Aから照射される電磁波の照射範囲である。レーダ10Aが対象物までの距離を精度よく検出するためには、領域ARにわたって電磁波が均一に透過される必要がある。このため、領域ARにおけるバンパー103は、角部を生じることなく滑らかに、かつ、一定の厚さで形成されることが好ましい。また、この領域ARにメタリック塗装を施さず、金属部品を配置しないようにすることも、レーダ10Aの精度を確保する上では好ましい。
【0012】
このようにバンパー103の内側にレーダ10Aを配置する場合には、バンパー103の表面を滑らかに形成する必要があるため、外観上、レーダ10Aの位置の目印となるものはなく、レーダ10Aの取付位置を外部から認識することは難しい。このため、ドライバは、バンパー103の領域ARの表面に傷やへこみ等の損傷があったとしても、その損傷がレーダ10Aの検出精度に悪影響を与えることを認識せずに、損傷された状態のまま放置するおそれがある。あるいはバンパー103の損傷を、レーダ10Aの検出精度の悪化を考慮せずに、不適切に補修するおそれがある。さらに、バンパー103の領域ARの表面に、レーダ10Aの検出精度を悪化するようなステッカーなどが貼付されるおそれがある。
【0013】
この点、本実施形態では、車両用灯体装置100にレーダ10が含まれ、バンパー103の内側にはレーダ10を配置しない。このため、バンパー103は、レーダ10を配置したことによる制約を受けず、バンパー103の形状に対する自由度を高めることができる。また、車両用灯体装置100は、バンパー103よりも損傷しにくい位置にあるため、レーダ10の検出精度を維持しやすい。さらに、レーダ10の取付位置を外部から認識することも容易である。
【0014】
しかしながら、車両用灯体装置100には灯体(光源)が配置される。このため、車両用灯体装置100がレーダ10を含むように構成されると、光源から車両外部への光の出射がレーダ10によって大きく妨げられるそれがある。この点を考慮し、本実施形態では、以下のように車両用灯体装置100を構成する。
【0015】
図3は、本実施形態に係る車両用灯体装置100の要部構成を示す正面図であり、
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図である。なお、
図3には、車両用灯体装置100の一部(カバー40)が分解された状態が示される。
図3,4に示すように、車両用灯体装置100は、光源20と、光源20の前方に配置されたレーダ10と、光源20とレーダ10との間に配置されたアウターレンズ30と、レーダ10の前方に配置されたカバー40とを有する。
【0016】
アウターレンズ30は、上下方向および左右方向に延在する壁部31を有し、壁部31に正面視略矩形状の凹部32が形成される。凹部32には、略ボックス形状の所定厚さのレーダ10の筐体11が収容される。
図3に示すように、レーダ10の筐体11には、左右方向に向けて複数のステイ12が突設され、ステイ12を貫通するボルト(不図示)により、レーダ10がアウターレンズ30に固定される。さらにレーダ10の筐体11には左右方向にコネクタ13が突設され、コネクタ13を介してレーダ10に電力線及び信号線のケーブルが接続される。
【0017】
図4に示すように、光源20は、凹部32の左右方向外側にそれぞれ設けられる。すなわち、光源20は、レーダ10の左右方向外側に配置された左右一対の光源であり、バッテリから供給される電力によって光を発生するLEDや電球などによって構成される。
【0018】
壁部31の左端部および右端部には、それぞれ後方に凹んだ凹部34,35が設けられる。凹部35の右端面は前方に延在し、境界壁36を形成する。フェンダー102の右端面は、凹部34に向かって後方に延在し、境界壁102aを形成する。左右の境界壁36,102aの間に、レーダ10を収容するためのレーダ室SPが形成される。アウターレンズ30は、透光性を有する樹脂材によって構成される。アウターレンズ30は、境界壁36の前端部から右方に延在するレンズ部37を一体に有する。レンズ部37は前方に向けて凸曲面状に形成され、レンズ部37の後方に他の光源21(
図3)が配置される。なお、レンズ部37をアウターレンズ30とは別体に設けられてもよい。
【0019】
アウターレンズ30を、透光性を有する樹脂材によって構成したことにより、アウターレンズ30の凹部32の左右両側には、
図4の矢印に示すように、光源20からの光が透過する光路38(第1光路)が形成される。アウターレンズ30を、透光性を有しない(遮光性を有する)樹脂材によって構成することもできる。この場合、
図4に示すように、アウターレンズ30の壁部31における凹部32の左右方向外側に、光源20に面して壁部31を前後方向に貫通する開口部39(点線)がそれぞれ設けられる。換言すると、開口部39は、光源20から前方へ向かう光がレーダ10によって遮られないようにレーダ10から左右方向に位置をずらして設けられ、開口部39により光路38が形成される。
【0020】
カバー40は、透光性を有しない樹脂製の表面部41と、透光性を有する樹脂製の裏面部42とを有し、一体成型により全体が形成される。表面部41は、レーダ10の前方において、レーダ10を中心にして前後左右方向に延在し、その左右両端部に、後方に向けて延在する突出部43,44が設けられる。突出部43、44は、それぞれ境界壁36,102aに案内されながらアウターレンズ30の左右の凹部34,35に嵌合する。これによりアウターレンズ30にカバー40が取り付けられる。なお、図示は省略するが、表面部41の上端部と下端部にも同様に、後方に向けて延在する突出部がそれぞれ設けられるとともに、これら突出部に対応してアウターレンズ30に凹部が設けられる。
【0021】
表面部41は、左右方向にわたって所定の曲率で滑らかな曲面状に形成される。表面部41には、光源20の位置に対応して複数の貫通孔45が穿設される。裏面部42は、突出部43,44間にかけて表面部41の後面に沿って設けられるとともに、貫通孔45に充填される。これによりカバー40は、裏面部42の後面から表面部41の前面にかけて全体が一定の厚さで、上下左右方向に延在する。このとき、表面部41の貫通孔45と貫通孔45に充填された充填部46とにより、光が透過可能な光路(第2光路)47が構成される。なお、
図4では、便宜上、レーダ10の前方の部位が最も前方に位置するようにカバー40が示されているが、
図1に示すように実際には、カバー40は、左右方向外側にかけて後方に向け滑らかな曲面状に形成される。
【0022】
図4には、レーダ10から照射される電磁波の照射領域AR1がハッチングで示される。この照射領域AR1は、レーダ10を中心とした水平方向の所定角度(例えば160°ないし170°)の領域である。カバー40は、照射領域AR1全体を含むように左右方向にわたって形成される。これにより、レーダ10から照射される電磁波は、照射領域AR1全体にわたって均一にカバー40を透過する。このため、レーダ10を用いて対象物までの距離を精度よく検出することができる。
【0023】
また、カバー40(表面部41)には、透過部としての貫通孔45が開口されるため、光源20から発せられた光は、
図4の矢印に示すように光路47(貫通孔45、充填部46)を介して前方に出射される。例えばレーダ10の前方に設けられた貫通孔(左右方向中央の貫通孔)45を介して前方に出射される。これにより、レーダ10の近傍に光源20を配置することができ、光源20から発せられた光を、非透光性の表面部41を有するカバー40に設けられた光路47に沿って効率よく外部に出射できる。その結果、光源20とレーダ10とを含む車両用灯体装置100全体の設置スペースを節約することができる。
【0024】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両用灯体装置100は、光源20と、光源20よりも車両200の外表面側に配置される壁部31と、壁部31よりも車両200の外表面側において壁部31(凹部32)に取り付けられるレーダ10と、レーダ10の表面を覆うカバー40と、を備える(
図3,4)。壁部31は、透光性を有する材質によって構成されており、壁部31には、レーダ10の取付領域以外の領域に、光源20から発せられた光が透過する光路38が形成される(
図4)。カバー40には、光路38を透過した光が透過する光路47が形成される(
図4)。これにより、光源20からの光が、レーダ10の前方のカバー40を介して前方に出射されるようになり、光源20からの光を効率よく外部に出射することができる。
【0025】
(2)壁部31を、遮光性を有する構成材によって構成することもできる。この場合、壁部31の光路38は、壁部31に設けられた開口部39によって構成される(
図4)。これにより、壁部31を高強度の種々の材質によって構成することができる。
【0026】
(3)カバー40の光路47は、レーダ10からの照射範囲(領域AR)内に設けられる(
図4)。これによりレーダ10の近傍に光源20を配置することができ、装置全体を小型に構成することができる。
【0027】
(4)カバー40の光路47は、レーダ10に対向する位置に設けられる(
図4)。これによりレーダ10の位置を外部から容易に認識できる。
【0028】
(5)カバー40は、壁部31の光路38とレーダユニット10とに対向するように延設される(
図4)。これにより光源20からの光が出射する部材を、カバー40とは別に設ける必要がないため、部品点数を節約できる。
【0029】
(6)カバー40は、遮光性を有する材質からなる表面部41と透光性を有する材質からなる裏面部42とを一体に成型して形成される(
図4)。カバー40の光路47は、表面部41に形成された貫通孔45と、裏面部42の一部であり、貫通孔45を充填する充填部46とにより構成される(
図4)。これにより、貫通孔45が開口されたカバー40を、全体として板厚一定に形成することができ、レーダ10の検出精度を高めることができる。
【0030】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、光源20をレーダ10の左右両側に設けたが、光源の設置される位置は上述したものに限らない。上記実施形態では、アウターレンズ30の壁部31に凹部32を設け、凹部32にレーダ10を配置するようにしたが、光源よりも車両の外表面側に配置されてレーダユニットが取り付けられるように構成されるのであれば、壁部の構成はいかなるものでもよい。
【0031】
上記実施形態では、カバー40の複数の光路47(第2光路)の一部を、レーダ10に対向して設けるとともに、壁部31に形成された光路38(第1光路)とレーダ10とに対向するようにカバー40を延設したが、レーダ10の電磁波が透過する透過面と光源20からの光が透過する透過面とを兼用する機能を有するのであれば、レーダユニットの表面を覆うカバーの構成はいかなるものでもよい。上記実施形態では、遮光性を有する部材(第1構成材)により表面部41を形成し、透光性を有する部材(第2構成材)により裏面部42を形成するとともに、表面部41と裏面部42とを一体成型してカバー40を構成したが、カバーの構成は上述したものに限らない。
【0032】
上記実施形態では、車両200の前端部に車両用灯体装置100を設ける例を説明したが、本発明の車両用灯体装置は、車両の後端部や側端部等、種々の位置に設けることができる。
【0033】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 レーダユニット、20 光源、30 アウターレンズ、31 壁部、38 光路(第1光路)、39 開口部、40 カバー、41 表面部、42 裏面部、45 貫通孔、46 充電部、47 光路(第2光路)、100 車両用灯体装置、200 車両