(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137173
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】給水タンク固定装置
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B67D3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048587
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】511264054
【氏名又は名称】岩崎 海水
(71)【出願人】
【識別番号】520429565
【氏名又は名称】坂井 恵理子
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 海水
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】外部への水漏れを抑制しつつ、給水タンクの水をよりスムーズに供給する給水タンク固定装置を提供する。
【解決手段】給水タンクと、給水タンクよりも下側に設けられ、給水タンクから供給される水を貯蔵する貯蔵部と、を有する供給装置に用いられ、貯蔵部における上部に形成された開口に設けられる給水タンク固定装置である。給水タンク固定装置は、蓋部と、保持部と、を備える。蓋部は、開口を覆う。保持部は、給水タンクに設けられた給水口を保持する。また、保持部は、給水口を開口よりも低い位置で保持する。また、保持部は、開口よりも低い位置に、第1連通孔を有する。第1連通孔は、給水タンクと貯蔵部とを連通するように構成されると共に、供給装置の外部の外部空間と給水タンクとを連通するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンクと、前記給水タンクよりも下側に設けられ、前記給水タンクから供給される水を貯蔵する貯蔵部と、を有する供給装置に用いられ、前記貯蔵部における上部に形成された開口に設けられる給水タンク固定装置であって、
前記開口を覆う蓋部と、
前記給水タンクに設けられた給水口を保持する保持部と、
を備え、
前記保持部は、前記給水口を前記開口よりも低い位置で保持し、
前記保持部は、前記開口よりも低い位置に、第1連通孔を有し、
前記第1連通孔は、前記給水タンクと前記貯蔵部とを連通するように構成されると共に、前記供給装置の外部の外部空間と前記給水タンクとを連通するように構成される、給水タンク固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給水タンク固定装置であって、
水質改善材が配置される濾過ユニットへ前記給水タンクの水を流入させる流路である水質改善流路を形成し、前記蓋部から下方に延びる区画壁を更に備え、
前記濾過ユニットは前記貯蔵部内に配置され、
前記保持部は、前記水質改善流路内に配置され、
前記第1連通孔は、前記水質改善流路を介して、前記給水タンクと前記貯蔵部とを連通するように構成されると共に、前記外部空間と前記給水タンクとを連通するように構成される、給水タンク固定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給水タンク固定装置であって、
前記給水口に取り付けられるキャップを更に備え、
前記保持部は、前記保持部の底面から上方に突出する管状の部位である突出部を備え、
前記第1連通孔は、前記突出部に設けられ、
前記キャップは、前記突出部に嵌合する、管状の部位である嵌合部を備え、
前記嵌合部は、前記第1連通孔と連通するように構成される第2連通孔を有し、
前記嵌合部は、前記第2連通孔よりも下方である第1位置と、前記第2連通孔よりも上方である第2位置と、に移動可能な可動部を有し、
前記可動部は、前記キャップが前記給水口に取り付けられた状態で、前記給水口が前記保持部に差し込まれたときに、前記第1位置から前記第2位置に移動し、
前記第2連通孔は、前記可動部が前記第2位置に位置するときに、前記第1連通孔と連通する、給水タンク固定装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の給水タンク固定装置であって、
前記蓋部は、前記蓋部から突出し、前記給水タンクと前記蓋部との間に形成される隙間を拡大する隙間拡大部を有する、給水タンク固定装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の給水タンク固定装置であって、
前記貯蔵部と、前記外部空間と、を連通する孔である貯蔵部用孔部に設けられた貯蔵部用弁部を更に備え、
前記貯蔵部用弁部は、前記外部空間から前記貯蔵部へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも前記貯蔵部の水位が一定の水準に達している場合に、前記貯蔵部用孔部を閉鎖する、給水タンク固定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の給水タンク固定装置であって、
前記貯蔵部用弁部は、水の浮力により変位するフロート弁であり、
前記貯蔵部用弁部が変位する方向を案内する案内部を更に備える、給水タンク固定装置。
【請求項7】
請求項2に記載の給水タンク固定装置であって、
前記水質改善流路と、前記外部空間と、を連通する孔である流路用孔部に設けられた流路用弁部を更に備え、
前記流路用弁部は、前記外部空間から前記水質改善流路へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも前記水質改善流路の水位が一定の水準に達している場合に、前記流路用孔部を閉鎖する、給水タンク固定装置。
【請求項8】
請求項2に記載の給水タンク固定装置であって、
前記水質改善材には、粉末状の活性炭が用いられる、給水タンク固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、供給装置に用いられる給水タンク固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水道水などを貯留する給水タンクを設置し、給水タンクの水を濾過して冷却タンクに導き貯蔵する、浄水供給装置が記載されている。浄水供給装置では、冷水コックから冷却タンクに貯蔵された水が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような浄水供給装置では、ユーザが飲料水を取水する際、冷水タンクの水が冷水コックからスムーズに供給されることが望ましい。また、給水タンクから冷却タンクにもスムーズに水が供給されることが望ましい。そのために、冷却タンクや給水タンクに空気を取り入れることが必要となるが、そのための流路を設けると、浄水供給装置の外部へ水漏れしやすくなるという問題があった。
【0005】
本開示の一局面は、外部への水漏れを抑制しつつ、給水タンクの水をよりスムーズに供給する給水タンク固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、給水タンクと、給水タンクよりも下側に設けられ、給水タンクから供給される水を貯蔵する貯蔵部と、を有する供給装置に用いられ、貯蔵部における上部に形成された開口に設けられる給水タンク固定装置である。給水タンク固定装置は、蓋部と、保持部と、を備える。蓋部は、開口を覆う。保持部は、給水タンクに設けられた給水口を保持する。また、保持部は、給水口を開口よりも低い位置で保持する。また、保持部は、開口よりも低い位置に、第1連通孔を有する。第1連通孔は、給水タンクと貯蔵部とを連通するように構成されると共に、供給装置の外部の外部空間と給水タンクとを連通するように構成される。
【0007】
このような構成によれば、外部への水漏れを抑制しつつ、給水タンク2の水をよりスムーズに供給することができる。
まず、外部空間から流入した空気が、第1連通孔から給水タンクに流入する。これにより、給水タンクの水は第1連通孔を通って貯蔵部に供給される。このように、第1連通孔が給水タンクと貯蔵部とを連通するように構成されると共に、外部空間と給水タンクとを連通するように構成されることから、給水タンクの水をよりスムーズに供給することができる。
【0008】
また、給水タンクから供給される水は、水面が上昇して、保持部まで到達する。このとき、保持部に設けられた第1連通孔を水が塞ぐため、外部空間から給水タンク側に空気が流れなくなる。よって、給水タンクから水が供給されなくなるため、貯蔵部に水が供給されなくなる。このため、貯蔵部から外部へ水が漏れることを抑制できる。
【0009】
本開示の一態様は、水質改善材が配置される濾過ユニットへ給水タンクの水を流入させる流路である水質改善流路を形成し、蓋部から下方に延びる区画壁を更に備えてもよい。濾過ユニットは貯蔵部内に配置されてもよい。保持部は、水質改善流路内に配置されてもよい。第1連通孔は、水質改善流路を介して、給水タンクと貯蔵部とを連通するように構成されると共に、外部空間と給水タンクとを連通するように構成されてもよい。
【0010】
このような構成によれば、外部への水漏れを抑制しつつ、給水タンク2の水をよりスムーズに供給することができる。
まず、外部空間から水質改善流路に流入した空気が、水質改善流路から給水タンクに流入する。これにより、給水タンクから水質改善流路を介して濾過ユニットに水が供給される。濾過ユニットを通過した水は貯蔵部に貯蔵され、ユーザに供給される。このように、第1連通孔が給水タンクと貯蔵部と外部空間とを連通していることから、給水タンクの水をよりスムーズに供給することができる。
【0011】
また、給水タンクから供給される水は、水面が上昇して、保持部まで到達する。このとき、保持部に設けられた第1連通孔を水が塞ぐため、外部空間から水質改善流路を通って給水タンク側に空気が流れなくなる。よって、給水タンクから水が供給されなくなるため、水質改善流路内の水面が上昇しなくなる。このため、水質改善流路から外部へ水が漏れることを抑制できる。
【0012】
本開示の一態様は、給水口に取り付けられるキャップを更に備えてもよい。保持部は、保持部の底面から上方に突出する管状の部位である突出部を備えてもよい。第1連通孔は、突出部に設けられてもよい。キャップは、突出部に嵌合する、管状の部位である嵌合部を備えてもよい。嵌合部は、第1連通孔と連通するように構成される第2連通孔を有してもよい。また、嵌合部は、第1位置と、第2位置と、移動可能である可動部を有してもよい。第1位置は、第2連通孔よりも下方である。第2位置は、第2連通孔よりも上方である。また、可動部は、キャップが給水口に取り付けられた状態で、給水口が保持部に差し込まれたときに、第1位置から第2位置に移動してもよい。第2連通孔は、可動部が第2位置に位置するときに、第1連通孔と連通してもよい。
【0013】
このような構成によれば、可動部が第1位置にあるときには、第1連通孔と第2連通孔とは連通していないため、給水タンクから水が流出することを抑制できる。一方、可動部が第2位置にあるときには、第1連通孔と第2連通孔とが連通するため、給水タンクから水を流出させることが可能となる。よって、給水タンクの給水口が保持部に差し込まれたときにのみ、給水タンクから水を流出させることができる。
【0014】
本開示の一態様では、蓋部は、蓋部から突出し、給水タンクと蓋部との間に形成される隙間を拡大する隙間拡大部を有してもよい。
このような構成によれば、給水タンクと蓋部との間に形成される隙間から、例えば蓋部に形成され、貯蔵部に連通する孔部に空気を送り込みやすくなる。よって、貯蔵部の水をスムーズに供給することができる。
【0015】
本開示の一態様は、貯蔵部用弁部を更に備えてもよい。貯蔵部用弁部は、貯蔵部と、外部空間と、を連通する孔である貯蔵部用孔部に設けられる。また、貯蔵部用弁部は、外部空間から貯蔵部へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも貯蔵部の水位が一定の水準に達している場合に、貯蔵部用孔部を閉鎖してもよい。
【0016】
このような構成によれば、貯蔵部用弁部が貯蔵部用孔部を開放することで、貯蔵部へ空気を送り込むことができる。よって、取水時に、スムーズに貯蔵部内の水を供給することができる。また、貯蔵部用弁部が貯蔵部用孔部を閉鎖することで、貯蔵部から外部に水が漏れることを抑制できる。
【0017】
本開示の一態様は、貯蔵部用弁部は、水の浮力により変位するフロート弁であってもよい。貯蔵部用弁部が変位する方向を案内する案内部を更に備えてもよい。
このような構成によれば、貯蔵部用弁部が上方に変位する際に、左右に揺れることを案内部が抑制できる。よって、貯蔵部内の水に煽られて、貯蔵部用弁部が左右に傾くことを抑制できる。したがって、貯蔵部用弁部が傾いて貯蔵部用孔部を好適に閉鎖できない状況を回避できる。
【0018】
本開示の一態様は、流路用弁部を更に備えてもよい。流路用弁部は、水質改善流路と、外部空間と、を連通する孔である流路用孔部に設けられる。また、流路用弁部は、外部空間から水質改善流路へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも水質改善流路の水位が一定の水準に達している場合に、流路用孔部を閉鎖してもよい。
【0019】
このような構成によれば、流路用弁部が流路用孔部を開放することで、水質改善流路へ空気を送り込むことができる。よって、水質改善流路を介して給水タンクに空気を送り込むことができるため、給水タンクからスムーズに水を供給することができる。また、流路用弁部が流路用孔部を閉鎖することで、水質改善流路から外部に水が漏れることを抑制できる。
【0020】
本開示の一態様では、水質改善材には、粉末状の活性炭が用いられてもよい。
このような構成によれば、活性炭同士の隙間を極力少なくするよう活性炭を敷き詰めることができる。また、水が直接活性炭に接触する面積を大きくすることができる。よって、浄化性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】給水タンク固定装置に給水タンク及び濾過ユニットを組み付けるときの説明図である。
【
図4】
図4A及び
図4Bは給水タンク固定装置の斜め上方から見たときの斜視図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは給水タンク固定装置の斜め下方から見たときの斜視図である。
【
図7】キャップの断面図であって、
図7Aはキャップを給水タンク固定装置に取り付ける前の図、
図7Bはキャップを給水タンク固定装置に取り付けた後の図である。
【
図8】
図8Aは他の実施形態における給水タンク固定装置の斜め上方から見たときの斜視図であり、
図8Bは同装置の斜め下方から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
[1-1.全体構成]
図1に示す浄水供給装置1は、浄化された水を供給するためのウォーターサーバである。浄水供給装置1は、会社や家庭等に設置される。
【0023】
浄水供給装置1は、給水タンク2と、本体部3と、を備える。本体部3は、冷水タンク4と、給水タンク固定装置5と、濾過ユニット6と、を備える。
給水タンク2は、浄水供給装置1に供給する水が貯えられる。給水タンク2には、下面の中央から下方に突出し、給水タンク2の内部に連通する開口を形成する筒状の部位である給水口21が形成されている。
【0024】
また、給水タンク2は、可撓性の低い材料により構成されている。このため、給水タンク2から水が供給され、給水タンク2内の気圧が浄水供給装置1の外部(以後、外部空間)よりも低くなっても、給水タンク2は収縮しにくく、給水タンク2の形状は、内部の気圧が低くなる前と略同一の形状に維持される。
【0025】
冷水タンク4は、給水タンク2から供給される水を冷却しながら貯蔵する。冷水タンク4の大部分は給水タンク2よりも下側に設けられるが、給水タンク2の一部分が冷水タンク4の内部に配置されてもよい。本実施形態では、給水タンク2の給水口21が、冷水タンク4の内部に配置される。
【0026】
冷水タンク4には、図示しない冷水コックが設けられており、ユーザは、冷水コックを介して冷水タンク4に蓄積されている水を取水することができる。
なお、冷水タンク4の下方には、給水タンク2から供給される水を温めながら貯蔵する温水タンクが設けられていてもよい。
【0027】
[1-2.給水タンク固定装置]
図1~
図5に示す給水タンク固定装置5は、給水タンク2を本体部3の上方で保持するための装置である。給水タンク固定装置5は、冷水タンク4における上部に形成された開口41に設けられる。
【0028】
給水タンク固定装置5は、蓋部51と、保持部52と、第1壁部53と、キャップ54と、を備える。
蓋部51は、冷水タンク4の開口41を覆うように配置される略円形の部位である。冷水タンク4の開口41は、蓋部51により封止される。蓋部51の上面は、中央に向かうに従って下方に傾斜している。
【0029】
蓋部51は、第1孔部511(
図3B参照)と、第2孔部512(
図3B参照)と、弁部513と、案内部514と、隙間拡大部515と、を備える。
第1孔部511は、後述する水質改善流路531と外部空間とを連通する孔である。
【0030】
第2孔部512は、冷水タンク4と外部空間とを連通する孔である。
弁部513は、第2孔部512に設けられる。弁部513は、外部空間から冷水タンク4へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも冷水タンク4の水位が一定の水準に達している場合に、第2孔部512を閉鎖するよう構成される。
【0031】
一例として、弁部513は、冷水タンク4の水位が一定の水準に達している場合に閉鎖され、そうでない場合に開放されるフロート弁として構成される。弁部513は、水の浮力により変位し、冷水タンク4の水位が一定以上の場合には、弁部513が第2孔部512に接近するように変位して第2孔部512を閉鎖すると共に、該水位が一定未満の場合には、弁部513が第2孔部512から離隔し、第2孔部512が開放される。冷水タンク4の水位が一定の水準に達するとは、一例として、弁部513の上面が第2孔部512に当接するまで弁部513を上方に変位させる水位に達することである。
【0032】
案内部514は、弁部513が変位する方向を案内する。案内部514は、蓋部51の下面から下方に延びる板状の部材である。案内部514は、略L字状に構成されている。
隙間拡大部515は、例えば
図2に示すように、蓋部51から突出する半球状の部材であって、給水タンク2が本体部3に取り付けられた状態において、給水タンク2と蓋部51との間に形成される隙間を拡大するための部材である。本実施形態では、3つの隙間拡大部515が設けられる。
【0033】
保持部52は、蓋部51の略中央から下方に突出し、底面を有する筒状の部位である。
保持部52は、例えば
図1に示すように、突出部521を備える。突出部521は、保持部52の底面の略中央から上方に突出する管状の部位である。突出部521は、保持部52の外側の空間と内側の空間とを連通する第1連通孔522を有する。なお、本実施形態では、保持部52の外側の空間とは、水質改善流路531のことであり、保持部52の内側の空間とは、給水タンク2の給水口21が挿入される空間のことである。
【0034】
第1壁部53は、蓋部51の下面から下方(換言すれば、冷水タンク4の内部)に突出し、保持部52を側方から囲む円環状の部位である。第1壁部53は、冷水タンク4の側壁から離隔した状態で設けられる。第1壁部53は、給水タンク2の水が後述する濾過ユニット6を通過することなく冷水タンク4に流入しないように、濾過ユニット6へ給水タンク2の水を流入させる流路である水質改善流路531を形成する。
【0035】
[1-3.キャップ]
キャップ54は、給水タンク2の給水口21に装着され、給水口21を塞ぐように構成される。
図6Bに示すように、キャップ54の中央には、第3孔部541が形成される。
図6Aに示すように、キャップ54は、第3孔部541を囲む縁部から突出し、突出部521に嵌合する管状の部位である嵌合部542を有する。キャップ54が給水タンク2の給水口21に装着された際、嵌合部542は、キャップ54の中央から給水タンク2の内部に突出する。
【0036】
嵌合部542は、第2連通孔543を有する。第2連通孔543は、キャップ54が給水タンク2の給水口21に取り付けられた状態で、給水タンク2の給水口21が保持部52に差し込まれたときに、第1連通孔522と連通する。
【0037】
図7A及び
図7Bに示すように、嵌合部542の内部には、可動部544が設けられる。可動部544は、
図7Aに示すように第2連通孔543よりも下方である第1位置と、
図7Bに示すように第2連通孔543よりも上方である第2位置と、に移動可能である。
【0038】
可動部544は、キャップ54が給水タンク2の給水口21に取り付けられた状態で、給水タンク2の給水口21が保持部52に差し込まれたときに、第1位置から第2位置に移動する。第2連通孔543は、可動部544が第2位置に位置するときに、第1連通孔522と連通する。
【0039】
嵌合部542の内壁には、パッキン545が装着されている。パッキン545には、嵌合部542の円周方向に延びる、円環状のリブ546が設けられている。リブ546と突出部521が当接することにより、給水タンク2の水が第1連通孔522以外から漏れることを抑制できる。
【0040】
[1-4.濾過ユニット]
図1に戻り、濾過ユニット6は、給水タンク2の水を浄化するためのユニットである。
濾過ユニット6は、第2壁部61と、第3壁部62と、底部63と、を備える。
【0041】
第2壁部61は、第1壁部53の下方に突出する円環状の部位である。第2壁部61に囲まれる領域には、第1水質改善材611が配置される。第1水質改善材611には、一例として、粉末状の活性炭が用いられる。粉末状の活性炭は、不織布に包まれた状態で配置される。なお、第1水質改善材611と保持部52との間には、隙間が形成される。隙間には、第1水質改善材611を押さえるための押さえ部材64が配置されている。
【0042】
第3壁部62は、第2壁部61の下方に突出し、第2壁部61の下側の部分に、3つの室を形成する。各室は、上下方向に延びる円柱状であり、保持部52を通過して上下方向に延びる中心線を囲むように配置される。換言すれば、各室は、第2壁部61の下側に、上下方向において同じ高さに並んで配置される。各室には、第2水質改善材621が配置される。第2水質改善材621には、一例として、中空糸膜が用いられる。
【0043】
底部63は、第3壁部62の下端に設けられており、各室を下方から覆う。底部63は、各室と底部63の下側の空間とを連通する微細な連通孔を複数有する。
給水タンク2の水は、第1水質改善材611と第2水質改善材621とを通過した後に、冷水タンク4に貯留され、ユーザに供給される。
【0044】
[1-5.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)保持部52は、給水口21を開口41よりも低い位置で保持している。また、保持部52は、開口41よりも低い位置に、第1連通孔522を有している。第1連通孔522は、水質改善流路531を介して、給水タンク2と冷水タンク4とを連通するように構成されると共に、給水タンク2と外部空間とを連通するように構成される。換言すれば、第1連通孔522は、水質改善流路531を介して、給水タンク2と冷水タンク4と外部空間とを連通するように構成される。このような構成によれば、外部への水漏れを抑制しつつ、給水タンク2の水をよりスムーズに供給することができる。
【0045】
まず、キャップ54が給水タンク2の給水口21に取り付けられた状態で、給水タンク2の給水口21が保持部52に差し込まれると、第1孔部511から水質改善流路531に流入した空気が、第1連通孔522から給水タンク2に流入する。これにより、給水タンク2から水質改善流路531を介して濾過ユニット6に水が供給される。濾過ユニット6を通過した水は冷水タンク4に貯蔵され、冷水コックからユーザに供給される。このように、第1連通孔522が給水タンク2と冷水タンク4とを連通していると共に、給水タンク2と外部空間とを連通していることから、給水タンク2の水をよりスムーズに供給することができる。
【0046】
また、給水タンク2から供給される水は、水面が上昇して、保持部52の下端まで到達する。このとき、保持部52の下端に設けられた第1連通孔522を水が塞ぐため、外部空間から水質改善流路531を通って給水タンク2側に空気が流れなくなる。よって、給水タンク2から水が供給されなくなるため、水質改善流路531内の水面が上昇しなくなる。保持部52の下端から第1孔部511までの間には水が溜まることなく、空気層が形成される。このため、第1孔部511から外部へ水が漏れることを抑制できる。
【0047】
(1b)可動部544は、キャップ54が給水タンク2の給水口21に取り付けられた状態で、給水タンク2の給水口21が保持部52に差し込まれたときに、第1位置から第2位置に移動する。第2連通孔543は、可動部544が第2位置に位置するときに、第1連通孔522と連通する。このような構成によれば、可動部544が第1位置にあるときには、第1連通孔522と第2連通孔543とは連通していないため、給水タンク2から水が流出することを抑制できる。一方、可動部544が第2位置にあるときには、第1連通孔522と第2連通孔543とが連通するため、給水タンク2から水を流出させることが可能となる。よって、給水タンク2の給水口21が保持部52に差し込まれたときにのみ、給水タンク2から水を流出させることができる。
【0048】
(1c)隙間拡大部515は、給水タンク2と蓋部51との間に形成される隙間を拡大するための部材である。このような構成によれば、給水タンク2と蓋部51との間に形成される隙間から、第1孔部511及び第2孔部512に空気を送り込みやすくなる。よって、給水タンク2や冷水タンク4の水をスムーズに供給することができる。
【0049】
(1d)弁部513は、外部空間から冷水タンク4へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも冷水タンク4の水位が一定の水準に達している場合に、第2孔部512を閉鎖するよう構成される。このような構成によれば、弁部513が第2孔部512を開放することで、冷水タンク4へ空気を送り込むことができる。よって、冷水コックからの取水時に、スムーズに冷水タンク4内の水を供給することができる。また、弁部513が第2孔部512を閉鎖することで、冷水タンク4から外部に水が漏れることを抑制できる。
【0050】
(1e)案内部514は、弁部513が変位する方向を案内する。このような構成によれば、弁部513が上方に変位する際に、左右に揺れることを案内部514が抑制できる。よって、冷水タンク4内の水に煽られて、弁部513が左右に傾くことを抑制できる。したがって、弁部513が傾いて第2孔部512を好適に閉鎖できない状況を回避できる。
【0051】
(1f)第1水質改善材611には、粉末状の活性炭が用いられる。このような構成によれば、活性炭同士の隙間を極力少なくするよう活性炭を敷き詰めることができる。また、水が直接活性炭に接触する面積を大きくすることができる。よって、浄化性能を向上させることができる。
【0052】
[1-6.対応関係]
第1壁部53が区画壁に相当し、第2孔部512が貯蔵部用孔部に相当し、弁部513が貯蔵部用弁部に相当する。
【0053】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0054】
(2a)上記実施形態では、弁部513はフロート弁として構成されていた。しかし、弁部513の構成はこれに限定されるものではない。例えば、給水タンク固定装置5に換えて、
図8A及び
図8Bに示す給水タンク固定装置5Aを備えてもよい。給水タンク固定装置5Aでは、例えば、弁部513Aを備えてもよく、弁部513Aは、一方向に突出する弁体を有するダックビルとして構成されていてもよい。ダックビルは、ノーマリークローズ型又はノーマリーオープン型として構成されてもよい。
【0055】
ダックビルがノーマリークローズ型であるときにおいては、冷水タンク4の水位が低く、弁体が冷水タンク4内の空気に晒されており、かつ、冷水タンク4内の気圧が外部空間の気圧よりも低い場合には、弁体が開放される。一方、そうでない場合には、弁体が閉鎖される。
【0056】
ダックビルがノーマリーオープン型のときにおいては、冷水タンク4の水位が一定の水準に達しており、弁体が水に浸っている場合には、水圧により弁体が閉鎖される。一方、そうでない場合には、弁体が開放される。
【0057】
また例えば、弁部513Aは、逆止弁として構成されてもよい。具体的には、弁部513Aは、冷水タンク4の水位が一定の水準に達しており、冷水タンク4から外部空間に水が流出しようとする場合には、弁体が第2孔部512を閉鎖するよう作動すると共に、そうでない場合には、弁体が第2孔部512から離隔し、第2孔部512が開放される。
【0058】
(2b)上記実施形態では、隙間拡大部515は、蓋部51から突出する半球状の部材として構成されていた。しかし、隙間拡大部515の形状はこれに限定されるものではない。例えば、隙間拡大部515は、蓋部51の上面に形成される波形の形状であってもよい。
【0059】
(2c)上記実施形態では、給水タンク2は、可撓性の低い材料により構成されていた。しかし例えば、給水タンク2は、給水タンク2内の気圧が外部空間の気圧よりも低くなるに従って収縮するような、可撓性の高い材料によって構成されてもよい。
【0060】
(2d)上記実施形態では、第1連通孔522は、水質改善流路531を介して、給水タンク2と冷水タンク4とを連通するように構成されると共に、給水タンク2と外部空間とを連通するように構成されていた。しかし、第1連通孔522は、水質改善流路531を介さず、給水タンク2と冷水タンク4とを連通するように構成されると共に、外部空間と給水タンク2を連通するように構成されていてもよい。
【0061】
(2e)上記実施形態では、第2孔部512に弁部513が設けられる構成を例示した。弁部は、第1孔部511にも設けられてもよい。第1孔部511に設けられた弁部は、外部空間から水質改善流路531へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも水質改善流路531の水位が一定の水準に達している場合に、第1孔部511を閉鎖するよう構成される。一例として、弁部は、水質改善流路531の水位が一定の水準に達している場合に閉鎖され、そうでない場合に開放されるフロート弁として構成される。弁部は、水の浮力により変位し、水質改善流路531の水位が一定以上の場合には、弁部が第1孔部511に接近するように変位して第1孔部511を閉鎖すると共に、該水位が一定未満の場合には、弁部が第1孔部511から離隔し、第1孔部511が開放される。水質改善流路531の水位が一定の水準に達するとは、一例として、弁部の上面が第1孔部511に当接するまで弁部を上方に変位させる水位に達することである。
【0062】
通常、水質改善流路531内の水位は、保持部52の下端までしか上昇しないが、例えば、給水タンク2に亀裂が入るなどして、給水タンク2内に第1連通孔522以外から空気が流入した場合には、保持部52の下端よりも水位が上昇してしまうことがある。このような場合においても、第1孔部511に弁部を備えていれば、第1孔部511からの水漏れを抑制することができる。なお、第1孔部511が流路用孔部に相当し、弁部が流路用弁部に相当する。
【0063】
(2f)給水タンク固定装置5や濾過ユニット6は、容易に交換が可能である。例えば、既存の任意のウォーターサーバに給水タンク固定装置5や濾過ユニット6を取り付けることも可能である。また例えば、定期的に濾過ユニット6を交換することで、ウォーターサーバ自体を買い換えなくても、浄水能力を担保することが可能である。
【0064】
(2g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0065】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
給水タンクと、前記給水タンクよりも下側に設けられ、前記給水タンクから供給される水を貯蔵する貯蔵部と、を有する供給装置に用いられ、前記貯蔵部における上部に形成された開口に設けられる給水タンク固定装置であって、
前記開口を覆う蓋部と、
前記給水タンクに設けられた給水口を保持する保持部と、
を備え、
前記保持部は、前記給水口を前記開口よりも低い位置で保持し、
前記保持部は、前記開口よりも低い位置に、第1連通孔を有し、
前記第1連通孔は、前記給水タンクと前記貯蔵部とを連通するように構成されると共に、前記供給装置の外部の外部空間と前記給水タンクとを連通するように構成される、給水タンク固定装置。
【0066】
[項目2]
項目1に記載の給水タンク固定装置であって、
水質改善材が配置される濾過ユニットへ前記給水タンクの水を流入させる流路である水質改善流路を形成し、前記蓋部から下方に延びる区画壁を更に備え、
前記濾過ユニットは前記貯蔵部内に配置され、
前記保持部は、前記水質改善流路内に配置され、
前記第1連通孔は、前記水質改善流路を介して、前記給水タンクと前記貯蔵部とを連通するように構成されると共に、前記外部空間と前記給水タンクとを連通するように構成される、給水タンク固定装置。
【0067】
[項目3]
項目2に記載の給水タンク固定装置であって、
前記水質改善流路と、前記外部空間と、を連通する孔である流路用孔部に設けられた流路用弁部を更に備え、
前記流路用弁部は、前記外部空間から前記水質改善流路へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも前記水質改善流路の水位が一定の水準に達している場合に、前記流路用孔部を閉鎖する、給水タンク固定装置。
【0068】
[項目4]
項目2に記載の給水タンク固定装置であって、
前記水質改善材には、粉末状の活性炭が用いられる、給水タンク固定装置。
【0069】
[項目5]
項目1から項目4のいずれか1項に記載の給水タンク固定装置であって、
前記給水口に取り付けられるキャップを更に備え、
前記保持部は、前記保持部の底面から上方に突出する管状の部位である突出部を備え、
前記第1連通孔は、前記突出部に設けられ、
前記キャップは、前記突出部に嵌合する、管状の部位である嵌合部を備え、
前記嵌合部は、前記第1連通孔と連通するように構成される第2連通孔を有し、
前記嵌合部は、前記第2連通孔よりも下方である第1位置と、前記第2連通孔よりも上方である第2位置と、に移動可能な可動部を有し、
前記可動部は、前記キャップが前記給水口に取り付けられた状態で、前記給水口が前記保持部に差し込まれたときに、前記第1位置から前記第2位置に移動し、
前記第2連通孔は、前記可動部が前記第2位置に位置するときに、前記第1連通孔と連通する、給水タンク固定装置。
【0070】
[項目6]
項目1から項目5のいずれか1項に記載の給水タンク固定装置であって、
前記蓋部は、前記蓋部から突出し、前記給水タンクと前記蓋部との間に形成される隙間を拡大する隙間拡大部を有する、給水タンク固定装置。
【0071】
[項目7]
項目1から項目6のいずれか1項に記載の給水タンク固定装置であって、
前記貯蔵部と、前記外部空間と、を連通する孔である貯蔵部用孔部に設けられた貯蔵部用弁部を更に備え、
前記貯蔵部用弁部は、前記外部空間から前記貯蔵部へと流体を流入可能とすると共に、少なくとも前記貯蔵部の水位が一定の水準に達している場合に、前記貯蔵部用孔部を閉鎖する、給水タンク固定装置。
【0072】
[項目8]
項目7に記載の給水タンク固定装置であって、
前記貯蔵部用弁部は、水の浮力により変位するフロート弁であり、
前記貯蔵部用弁部が変位する方向を案内する案内部を更に備える、給水タンク固定装置。
【符号の説明】
【0073】
1…浄水供給装置、2…給水タンク、3…本体部、4…冷水タンク、5,5A…給水タンク固定装置、6…濾過ユニット、21…給水口、41…開口、51…蓋部、52…保持部、53…第1壁部、54…キャップ、61…第2壁部、62…第3壁部、63…底部、64…押さえ部材、511…第1孔部、512…第2孔部、513,513A…弁部、514…案内部、515…隙間拡大部、521…突出部、522…第1連通孔、531…水質改善流路、541…第3孔部、542…嵌合部、543…第2連通孔、544…可動部、545…パッキン、546…リブ、611…第1水質改善材、621…第2水質改善材。