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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137179
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】振動発生装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048595
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】福島 岳行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 由香里
(72)【発明者】
【氏名】濤川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】清水 寛之
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA02
5D107CC01
5D107CC10
5D107CC12
5D107FF05
(57)【要約】
【課題】小型化かつ高出力化することが可能な振動発生装置を提供する。
【解決手段】振動発生装置は、圧電体層と、第1方向において圧電体層を挟む第1電極および第2電極と、を備え、第1電極と第2電極との間に電圧を印加することで前記第1方向に直交する第2方向に伸縮する圧電素子10と、第2方向に延伸し、第1方向における幅が第1方向と第2方向とに直交する第3方向における幅より小さい棒状であり、第2方向における中央部において第1方向における幅が狭くなる幅狭部22を有し、幅狭部上に前記圧電素子を搭載する筐体20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電体層と、第1方向において前記圧電体層を挟む第1電極および第2電極と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することで前記第1方向に直交する第2方向に伸縮する圧電素子と、
前記第2方向に延伸し、前記第1方向における幅が前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向における幅より小さい棒状であり、前記第2方向における中央部において前記第1方向における幅が狭くなる幅狭部を有し、前記幅狭部上に前記圧電素子を搭載する筐体と、
を備える振動発生装置。
【請求項2】
前記筐体は、一方の先端が尖ったペン形状である請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項3】
前記幅狭部の前記第2方向における中点は、前記筐体の前記第2方向における中点より前記尖った先端の方に位置する請求項2に記載の振動発生装置。
【請求項4】
前記圧電素子の前記第1方向における面は、前記幅狭部上の面に固定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の振動発生装置。
【請求項5】
前記圧電素子の前記第1方向における面が固定された振動板と、
前記幅狭部上に固定され、前記振動板を前記第2方向における両端において固定し、前記第3方向における前記振動板の両端を自由端とする固定部材と、
を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の振動発生装置。
【請求項6】
前記固定部材のヤング率は前記筐体のヤング率より大きい請求項5に記載の振動発生装置。
【請求項7】
前記圧電素子は、前記振動板を前記第1方向において挟むように設けられ、互いに反転する信号が供給される第1圧電素子および第2圧電素子を含む請求項5に記載の振動発生装置。
【請求項8】
前記振動板の中央部に設けられた錘を備える請求項5に記載の振動発生装置。
【請求項9】
前記幅狭部は、前記圧電素子が搭載される面に前記第1方向に凹む凹部を有し、
前記圧電素子は、前記凹部の底面に搭載されている請求項1から3のいずれか一項に記載の振動発生装置。
【請求項10】
前記幅狭部において前記圧電素子を覆う蓋を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の振動発生装置。
【請求項11】
前記圧電素子に、前記電圧として、150Hz以上かつ1000Hz以下の周波数を有する搬送波を1Hz以上かつ100Hz以下の周波数を有する信号波により振幅変調させた変調波を供給する駆動装置を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の振動発生装置。
【請求項12】
前記圧電素子に、前記電圧として、10kHz以上かつ100kHz以下の周波数を有する搬送波を50Hz以上かつ1000Hz以下の周波数を有する信号波により振幅変調させた変調波を供給する駆動装置を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の振動発生装置。
【請求項13】
前記圧電素子に、前記電圧として、10kHz以上かつ100kHz以下の周波数を有する第1搬送波を、50Hz以上かつ1000Hz以下である周波数を有する第2搬送波を1Hz以上かつ100Hz以下である周波数を有する信号波で振幅変調された第1変調波で、振幅変調された第2変調波を供給する駆動装置を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の振動発生装置。
【請求項14】
前記圧電素子に、前記電圧として、10kHz以上かつ100kHz以下の周波数を有する搬送波を1Hz以上かつ60Hz以下の周波数を有し矩形波である信号波により振幅変調させ、変調度が50%以上かつ100%より小さい変調波を供給する駆動装置を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置に関し、圧電素子を有する振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気信号を音波に変換するトランスデューサのように振動発生装置に圧電素子を用いることが知られている。振動発生装置に振動板を有するランジュバン型振動子を用いることが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-314369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペン型のように棒状の筐体を有する振動発生装置では、棒状の筐体に圧電素子を設けかつ高出力化が求められる。振動板を有する振動発生装置では、振動板を小さくすると出力が低下する。振動版を大きくすると出力は高くなるが大型化してしまう。振動発生装置の小型化と高出力化を両立することが難しい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型化かつ高出力化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、圧電体層と、第1方向において前記圧電体層を挟む第1電極および第2電極と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することで前記第1方向に直交する第2方向に伸縮する圧電素子と、前記第2方向に延伸し、前記第1方向における幅が前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向における幅より小さい棒状であり、前記第2方向における中央部において前記第1方向における幅が狭くなる幅狭部を有し、前記幅狭部上に前記圧電素子を搭載する筐体と、を備える振動発生装置である。
【0007】
上記構成において、前記筐体は、一方の先端が尖ったペン形状である構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記幅狭部の前記第2方向における中点は、前記筐体の前記第2方向における中点より前記尖った先端の方に位置する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記圧電素子の前記第1方向における面は、前記幅狭部上の面に固定されている構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記圧電素子の前記第1方向における面が固定された振動板と、前記幅狭部上に固定され、前記振動板を前記第2方向における両端において固定し、前記第3方向における前記振動板の両端を自由端とする固定部材と、を備える構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記固定部材のヤング率は前記筐体のヤング率より大きい構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記圧電素子は、前記振動板を前記第1方向において挟むように設けられ、互いに反転する信号が供給される第1圧電素子および第2圧電素子を含む構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記振動板の中央部に設けられた錘を備える構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記幅狭部は、前記圧電素子が搭載される面に前記第1方向に凹む凹部を有し、前記圧電素子は、前記凹部の底面に搭載されている構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記幅狭部において前記圧電素子を覆う蓋を備える構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、前記圧電素子に、前記電圧として、150Hz以上かつ1000Hz以下の周波数を有する搬送波を1Hz以上かつ100Hz以下の周波数を有する信号波により振幅変調させた変調波を供給する駆動装置を備える構成とすることができる。
【0017】
上記構成において、前記圧電素子に、前記電圧として、10kHz以上かつ100kHz以下の周波数を有する搬送波を50Hz以上かつ1000Hz以下の周波数を有する信号波により振幅変調させた変調波を供給する駆動装置を備える構成とすることができる。
【0018】
上記構成において、前記圧電素子に、前記電圧として、10kHz以上かつ100kHz以下の周波数を有する第1搬送波を、50Hz以上かつ1000Hz以下である周波数を有する第2搬送波を1Hz以上かつ100Hz以下である周波数を有する信号波で振幅変調された第1変調波で、振幅変調された第2変調波を供給する駆動装置を備える構成とすることができる。
【0019】
上記構成において、前記圧電素子に、前記電圧として、10kHz以上かつ100kHz以下の周波数を有する搬送波を1Hz以上かつ60Hz以下の周波数を有し矩形波である信号波により振幅変調させ、変調度が50%以上かつ100%より小さい変調波を供給する駆動装置を備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、小型化かつ高出力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施例1に係る振動発生装置の斜視図である。
図2図2(a)は、実施例1に係る振動発生装置の平面図、図2(b)から図2(d)は、図2(a)のそれぞれA-A断面図、B-B断面図およびC-C断面図である。
図3図3(a)は、実施例1における筐体に設けられた圧電素子を示す平面図、図3(b)は、図3(a)のA-A断面図である。
図4図4は、実施例1における圧電素子の断面図である。
図5図5(a)は、実施例2に係る振動発生装置の平面図、図5(b)から図5(d)は、図5(a)のそれぞれA-A断面図、B-B断面図およびC-C断面図である。
図6図6(a)は、実施例2における筐体に設けられた圧電素子を示す平面図、図6(b)は、図6(a)のA-A断面図である。
図7図7(a)から図7(c)は、それぞれ実施例2の変形例1から3に係る振動発生装置の断面図である。
図8図8は、実施例1において駆動装置が圧電素子に供給する信号の例を示す図である。
図9図9は、実施例1において駆動装置が圧電素子に供給する信号の別の例を示す図である。
図10図10は、実施例1において駆動装置が圧電素子に供給する信号のさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例0023】
振動板を有さない振動発生装置として、縦変位型モードの圧電素子を振動方向から押圧することで、小型化かつ高出力化することができる。しかし、縦変位型モードの圧電素子は、圧電体層を多層積層するため、静電容量が大きくなる。静電容量が大きい場合、高い周波数で駆動しようとすると、消費電力が大きくなる。また、棒状かつ扁平状の筐体には、圧電体層の積層数が多いため厚くなる縦変位型モードの圧電素子を実装することが難しい。実施例1では、棒状でありかつ扁平状の筐体に横変位型モード(d31モードともいう)の圧電素子を用い、小型化かつ高出力化可能であり、かつ消費電力を抑制可能な振動発生装置について説明する。
【0024】
図1は、実施例1に係る振動発生装置の斜視図である。図2(a)は、実施例1に係る振動発生装置の平面図、図2(b)から図2(d)は、図2(a)のそれぞれA-A断面図、B-B断面図およびC-C断面図である。圧電素子10の長辺が延伸する方向をX方向(第2方向)、圧電素子10の短辺が延伸する方向をY方向(第3方向)、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向(第1方向)とする。ここで、第1方向、第2方向および第3方向が直交(略直交)するとは、幾何学的な直交に限らず、各方向のなす角度が70°~110°でもよく、80°~100°でもよい。
【0025】
図1から図2(d)に示すように、実施例1の振動発生装置100では、筐体20は棒状でありかつ扁平状である。すなわち、Z方向における幅Wz1は、Y方向における幅Wy1より小さい。-X方向の先端は先端部24であり、-X方向に向かうにしたがい幅が狭くなり、先端は尖っている。筐体20のX方向における中点25より先端部24側には幅狭部22が設けられている。幅狭部22のZ方向における幅Wz2は、幅広部23のZ方向における幅Wz1より小さい。幅狭部22の下面と幅広部23の下面とは、ほぼ面一であり段差は設けられていない。幅狭部22の上面は、幅広部23の上面に対し-Z方向に凹む凹部を有している。幅狭部22の上面には、-Z方向に凹む凹部21が設けられている。平面視において、凹部21は幅狭部22のうち凹部21よりZ方向における厚さが大きい領域に囲まれている。幅狭部22の上面であってかつ凹部21の底面に圧電素子10が設けられている。幅狭部22には蓋26がはめ込まれている。
【0026】
実施例1の振動発生装置100は、先端部24の先端を例えばタブレット端末またはスマートフォンのディスプレイパネルのような対象物に接触させるスライスペンである。ユーザは、幅狭部22および蓋26をつかむ。幅狭部22付近の筐体20が振動することで、ユーザは触覚を得ることができる。
【0027】
図3(a)は、実施例1における筐体20に設けられた圧電素子10を示す平面図、図3(b)は、図3(a)のA-A断面図である。図3(a)および図3(b)に示すように、圧電素子10は、横変位型モードの圧電素子であり、平面形状は、長方形である。長方形の長辺方向および短辺方向は、それぞれX方向およびY方向である。圧電素子10は、幅狭部22の上面の凹部21の底面に接着剤11を用い直接貼り付けられている。接着剤11は、例えばエポキシ樹脂のように、硬化したときの硬度が高い樹脂接着剤である。圧電素子10の下面はほぼ全面において筐体20に固定されている。圧電素子10の両端は駆動装置62に電気的に接続されている。図3(b)の矢印50のように、駆動装置62が圧電素子10に電圧を供給し、圧電素子10がX方向に伸縮すると、幅狭部22は、図3(b)の矢印52のようにZ方向に撓むように振動する。
【0028】
筐体20は、例えば金属または樹脂であり、一例としてアクリル樹脂である。筐体20のX方向、Y方向およびZ方向における幅Wx1、Wy1およびWz1は、一例としてそれぞれ138mm、12mmおよび6.5mmである。幅狭部22のX方向およびZ方向における幅Wx2およびWz2は、一例として45mmおよび3.25mmである。凹部21のX方向およびY方向における幅Wx3およびWy3は、一例としてそれぞれ36mmおよび10mmである。凹部21における筐体20のZ方向における幅Wz3は一例として1.5mmである。圧電素子10のX方向およびY方向における幅Wx5およびWy5は、一例としてそれぞれ18mmおよび7.5mmである。筐体20の材料、形状および寸法は適宜設計できる。
【0029】
図4は、実施例1における圧電素子の断面図である。図4に示すように、圧電素子10では、複数の圧電体層41からなる圧電体40、複数の第1電極42および複数の第2電極44を備えている。複数の第1電極42および複数の第2電極44はZ方向において互い違いに設けられている。1つの圧電体層41は、Z方向において1つの第1電極42と1つの第2電極44とに挟まれている。
【0030】
圧電体40の-X側および+X側の側面に、それぞれ外部電極43および45が設けられている。外部電極43には第1電極42が電気的に接続される。外部電極45には第2電極44が電気的に接続される。外部電極43は、圧電体40の上面(+Z側の面)に回り込んで設けられている。外部電極45は、圧電体40の上面(+Z側の面)および下面(-Z側の面)に回り込んで設けられている。圧電体40の上面の外部電極45と最上層の第1電極42とは最上層の圧電体層41を挟んで設けられ、圧電体40の下面の外部電極45と最下層の第1電極42とは最下層の圧電体層41を挟んで設けられている。図4では、圧電体層41が8層設けられており、各圧電体層41は、第1電極42と第2電極44とに、または第1電極42と外部電極45とに、挟まれている。
【0031】
外部電極43および45は、それぞれケーブル16aおよび16bを介し駆動装置62に電気的に接続されている。圧電素子10のように、平面形状がX方向に長い長方形の場合、駆動装置62が外部電極43と45との間に電圧を印加することで、圧電体40は、矢印56のようにX方向に伸縮する。このように、圧電素子10は長方形であり、圧電体層41と、Z方向において圧電体層41を挟む第1電極42および第2電極44と、を備え、第1電極42と第2電極44との間に電圧を印加することで長方形の長辺の延伸するX方向に伸縮する振動モードを横変位型モードまたはd31モードという。
【0032】
圧電体層41の材料としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、チタン酸バリウム系材料(BaTiO、BaはCaでもよく、TiはZrでもよい)、チタン酸ビスマス系材料(BiTiO、Biの一部がNaでもよい)、ニオブ酸アルカリ系材料(NaNbO、NaはLiまたはKでもよい)を用いることができる。第1電極42、第2電極44、外部電極43および45の材料としては、例えばAg、Pd、Pt、Cu、NiおよびAu等の金属を用いることができる。圧電素子10は、表面に第1電極42および第2電極44が形成された圧電体シートを積層し、焼結することにより形成される焼結体からなるチップである。
【実施例0033】
図5(a)は、実施例2に係る振動発生装置の平面図、図5(b)から図5(d)は、図5(a)のそれぞれA-A断面図、B-B断面図およびC-C断面図である。図5(a)から図5(d)に示すように、実施例2の振動発生装置102では、筐体20の幅狭部22の凹部21内に圧電素子10および振動板12が設けられている。圧電素子10および振動板12が設けられる位置は、実施例1より-X側である。筐体20の幅広部23内に回路基板30が設けられている。回路基板30には、駆動装置62等が設けられている。
【0034】
図6(a)は、実施例2における筐体20に設けられた圧電素子10を示す平面図、図6(b)は、図6(a)のA-A断面図である。図6(a)および図6(b)に示すように、筐体20の幅狭部22の凹部21の底面に固定部材28が固定されている。固定部材28の断面形状はL字状であり、固定部材28は、薄部28aと薄部28aより厚い厚部28bとを有する。薄部28aと厚部28bとの下面は、接着剤等により筐体20の上面に固定されている。固定部材28の薄部28aの上面に振動板12のX方向における両端が接着剤等により固定されている。振動板12のX方向における外側には固定部材28の厚部28bが位置する。厚部28bは、振動板12がX方向に動くことを制限する。振動板12のY方向における両辺は自由端である。振動板12における固定部材28の下面は、空気等の気体が充満する空間13である。
【0035】
圧電素子10は、振動板12上に固定された圧電素子10aと振動板12下に固定された圧電素子10bとを含む。駆動装置62は、圧電素子10aと10bとに正負を反転させた信号(すなわち平衡信号)を供給する。これにより、慣性駆動のバイモルフ型振動子として機能する。
【0036】
圧電素子10aがX方向に伸びるとき、圧電素子10bはX方向に縮む。これにより振動板12は、+Y方向に膨らむように撓む。圧電素子10aがX方向に縮むとき、圧電素子10bはX方向に伸びる。これにより振動板12は、-Y方向に凹むように撓む。これを繰り返すことにより、振動板12はY方向に振動する。
【0037】
筐体20および圧電素子10の材料および寸法の一例は実施例1と同じである。固定部材28は、例えば金属または樹脂であり、筐体20より硬い材料が好ましく、例えばステンレス鋼、42アロイ、アルミニウムまたは真鍮であり、一例としてステンレス鋼である。振動板12は、例えば弾性を有する金属または樹脂であり、例えばステンレス鋼、42アロイ、アルミニウムまたは真鍮であり、一例として42アロイである。振動板12が金属の場合、圧電素子10との間に絶縁膜が設けられている。振動板12のX方向およびY方向における幅Wx4およびWy4は、一例としてそれぞれ22mmおよび7.5mmであり、振動板12の厚さは、一例として0.1mmである。その他の構成は、実施例1と同じであり、説明を省略する。
【0038】
実施例1のように、筐体20内に回路基板30を設けずに、駆動装置62を筐体20の外部に設けてもよい。実施例2のように、筐体20内に回路基板30を設けてもよい。
【0039】
[実施例2の変形例1]
図7(a)は、実施例2の変形例1に係る振動発生装置の断面図である。図7(a)に示すように、実施例2の変形例1の振動発生装置104では、振動板12上に圧電素子10が設けられている。このように、慣性駆動のモノモルフ型振動子でもよい。その他の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0040】
[実施例2の変形例2]
図7(b)は、実施例2の変形例2に係る振動発生装置の断面図である。図7(b)に示すように、実施例2の変形例2の振動発生装置106では、振動板12のX方向における中央部に錘14が設けられている。これにより、イナーシャ効果が期待できる。その他の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0041】
[実施例2の変形例3]
図7(c)は、実施例2の変形例3に係る振動発生装置の断面図である。図7(c)に示すように、実施例2の変形例3の振動発生装置108では、圧電素子10のX方向における両端が、固定部材28の薄部28a上に固定されている。圧電素子10の上下に変位拡大機構15が設けられている。変位拡大機構15は、圧電素子10のX方向の変位をZ方向の変位に拡大することができる。その他の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0042】
実施例1および2の振動発生装置を作製した。筐体20、振動板12および圧電素子10の材料および寸法は上記において一例として示した材料および寸法である。圧電素子10では、圧電体層41としてPZTを用い、厚さが36μmの圧電体層41を積層した。各サンプルにおいて圧電体層41の積層数は以下である。
実施例1の8層サンプル :8層
実施例1の10層サンプル:10層
実施例2 :10層
【0043】
[実験1]
駆動装置62から圧電素子10に周波数が250Hz正弦波を供給し、圧電素子10のZ方向の振幅量を測定した。実施例1では、8層サンプルと10層サンプルとで振幅量はほとんど同じであった。8層サンプルの方は10層サンプルに比べ、外部電極43と45との間の静電容量が小さい。静電容量が大きいと、周波数が高い場合に駆動電力が大きくなる。よって、周波数が高い動作には、8層サンプルの方が用いやすい。
【0044】
実施例1の10層サンプルと実施例2とで、周波数が250Hzの正弦波を供給し、圧電素子10のZ方向の振幅量を測定した。圧電素子10に供給する電圧のピークとピークの電圧を20Vとしたとき、振幅量は、実施例1の10層サンプルでは8.5μmであり、実施例2では11μmである。振幅量が5μm以上であれば、筐体20を握ったユーザに触覚を与えることができる。よって、実施例1および2ともに、ユーザに触覚を与えることができる。
【0045】
[実験2]
図8は、実施例1において駆動装置が圧電素子に供給する信号の例を示す図であり、実験2における変調波を示す図である。図8における横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。図8に示すように、周期T1(周波数f1)の信号は搬送波64である。変調波66の包絡線65は信号波に対応する。信号波は周期T2(周波数f2)である。搬送波64としては正弦波を用いるが、図の簡略化のため搬送波64として三角波を図示している。また、周期T1は周期T2に比べ非常に小さいが、理解しやすいように図7では周期T1を大きく図示している。変調波66のピーク-ピークの振幅はA1である。変調波66では、搬送波64が信号波により振幅変調されている。
【0046】
搬送波64の周波数を25.7kHzとし、信号波を160Hzとした。搬送波64の周波数25.7kHzは筐体20の共振周波数である。搬送波64を圧電素子10に供給すると、筐体20の先端が対象物に接触して静止している状態では、ユーザの手に触覚がほとんど得られず、筐体20の先端が対象物に接触しながら移動すると、ユーザの手に振動による浮遊感を与えることができる。実施例1の10層サンプルでは、実施例2に比べ、リアルな浮遊感を得ることができた。
【0047】
ペン型のように棒状の筐体を有する振動発生装置に縦変位型モードの圧電素子を振動方向から押圧した振動子を用いることで、小型化かつ高出力化することができる。実施例1の10層サンプルは、縦変位型モードの圧電素子を用いた場合に比べ、10kHz以上の高い周波数における消費電力を1/2とすることができた。これは、実施例1では、縦変位型モードの圧電素子に比べ静電容量を小さくできたためと考えられる。
【0048】
実施例1および2によれば、ペン型のように、X方向に延伸し、Z方向における幅Wz1がY方向における幅Wy1より小さい棒状である筐体20を用いる。このような、扁平状の筐体20には、圧電体層の積層数が多いため厚くなる縦変位型モードの圧電素子を収めることが難しい。そこで、横変位型モードの圧電素子10を用いる。横変位型モードの圧電素子10では、筐体20を振動させることが難しい。そこで、筐体20に、X方向における中央部においてZ方向における幅Wz2が狭くなる幅狭部22を設ける。幅狭部22上に圧電素子10を搭載する。これにより、幅狭部22は、Z方向の幅が狭いためZ方向に撓みやすい。幅狭部22に圧電素子10を搭載することで、筐体20を撓ませ振動させることができる。
【0049】
筐体20をペンとして用いる場合、筐体20のY方向における幅Wy1は、例えば20mm以下かつ5mm以上である。筐体20のX方向における幅Wx1は、例えば200mm以下かつ100mm以上である。
【0050】
筐体20の幅Wz1が幅Wy1の0.8倍以下または0.6倍以下の場合、筐体20内に縦変位型の圧電素子を収めることが難しい。よって、実施例1および2のように、横変位型の圧電素子10を用いることが好ましい。筐体20の幅Wz1が小さすぎると、筐体20内に圧電素子10を収めることが難しい。よって、筐体20の幅Wz1は幅Wy1の0.2倍以上が好ましい。
【0051】
幅狭部22を撓みやすくする観点から、幅狭部22のZ方向における幅Wz2は幅広部23のZ方向における幅Wz1の0.8倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。幅狭部22の強度の観点から幅Wz2は幅Wz1の0.1倍以上が好ましい。幅狭部22を効率的に撓ませるため、幅狭部22のX方向における幅Wx2は、筐体20のX方向における幅Wx1の0.5倍以下かつ0.1倍以上が好ましい。
【0052】
圧電素子10のZ方向から見た形状が長方形の例を説明したが、圧電素子10の平面形状は、長手方向(例えば長辺の延伸方向)と短手方向(例えば短辺の延伸方向)とを有する形状であればよい。これにより、圧電素子10はX方向に伸縮する。長手方向における圧電素子10の幅Wx5は、短手方向における圧電素子10の幅Wy5の1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。
【0053】
筐体20は、一方の先端が尖ったペン形状である。このようなペン形状の筐体20の先端が対象物に触れるときに、ユーザは触覚を得ることができる。
【0054】
幅狭部22のX方向における中点25aは、筐体20のX方向における中点25より尖った先端の方に位置する。これにより、ユーザは、幅狭部22を握るため、ユーザの手により触覚を与えることできる。幅狭部22は、筐体20のうち中点25より先端部24の方の部分に3/4以上含まれることが好ましい。
【0055】
幅狭部22は、圧電素子10が搭載される面にZ方向に凹む凹部を有しており、圧電素子10は、凹部21の底面に搭載されている。これにより、幅狭部22の凹部21は、Z方向により撓みやすくなる。筐体20の強度を確保する観点から、凹部21はXY平面における4方が幅狭部22の壁に囲まれていることが好ましい。
【0056】
幅狭部22を撓ませる観点から、凹部21下の筐体20のZ方向における幅Wz3は、幅狭部22のZ方向における幅Wz2の0.8倍以下が好ましく、0.5倍以下がより好ましい。幅狭部22の強度の観点から、幅Wz3は、幅Wz2の0.1倍以上が好ましい。幅狭部22を撓ませる観点から、凹部21のX方向における幅Wx3は、幅狭部22のX方向における幅Wx2の0.5倍以上が好ましく、0.7倍以上がより好ましい。幅狭部22の強度の観点から、幅Wx3は、幅Wx2の0.9倍以下が好ましい。幅狭部22を撓ませる観点から、凹部21のY方向における幅Wy3は、幅狭部22のY方向における幅Wy1の0.5倍以上が好ましく、0.7倍以上がより好ましい。幅狭部22の強度の観点から、幅Wy3は、幅Wy1の0.9倍以下が好ましい。
【0057】
蓋26は、幅狭部22において圧電素子10を覆う。これにより、圧電素子10をユーザの手から保護することができる。蓋26が硬い場合、筐体20の振動を妨げてしまう。よって、蓋26の材料は筐体20のヤング率と同程度以下のヤング率を有することが好ましい。また、蓋26が厚いと幅狭部22のZ方向の振動を妨げてしまう。よって、蓋26の厚さは、幅狭部22のZ方向における幅Wz2の0.5倍以下が好ましく、0.2倍以下がより好ましい。蓋26の強度の観点から、蓋26の厚さは幅Wz2の0.01倍以上が好ましい。
【0058】
実施例1の振動発生装置100のように、圧電素子10のZ方向における面は、幅狭部22のZ方向における面に固定されている。これにより、圧電素子10が幅狭部22を直接撓ませるため、10kHz以上の高い周波数において、ユーザの手により触覚を与えることができる。
【0059】
実施例2およびその変形例のように、振動板12に、圧電素子10のZ方向における面が固定されており、固定部材28は、幅狭部22上に固定され、振動板12をX方向における両端において固定し、Y方向における振動板12の両端を自由端とする。これにより、慣性駆動により、幅狭部22の振幅量を大きくできる。特に、10kHz以下の低い周波数において、より幅狭部22の振幅量を大きくできる。
【0060】
特に、固定部材28のヤング率は筐体20のヤング率より大きい。これにより、筐体20のQ値をより向上できる。例えば、筐体20のコストを削減するためには、筐体20はヤング率の小さな樹脂を用いる。この場合、Q値が低くなる。そこで、振動板12を固定する箇所に、固定部材28を設ける。これにより、Q値を向上できかつコストを削減できる。例えば、ステンレス鋼のヤング率は200GPaであり、アクリル樹脂等の樹脂のヤング率は10GPa以下である。固定部材28のヤング率は筐体20のヤング率の5倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましく、100倍以上がさらに好ましい。
【0061】
実施例2およびその変形例1および3の振動発生装置100、102および106のように、圧電素子10a(第1圧電素子)と圧電素子10b(第2圧電素子)は、振動板12をZ方向において挟むように設けられ、駆動装置62から互いに反転する信号が供給される。これにより、バイモルフ方式により慣性駆動することができ、振動板12の幅狭部22の振幅量を大きくできる。特に、10kHz以下の低い周波数において、より幅狭部22の振幅量を大きくできる。
【0062】
実施例2の変形例3の振動発生装置106のように、振動板12の中央部に錘14が設けられている。これにより、イナーシャ効果により、振動板12の幅狭部22の振幅量を大きくできる。特に、10kHz以下の低い周波数において、より幅狭部22の振幅量を大きくできる。
【0063】
[駆動信号の例1]
駆動装置62は、振動発生装置100から108に変調していない信号を供給してもよい。この場合、信号の周波数は、人体の皮膚の受容器であるパチニ小体が敏感に感じる周波数であることが好ましい。このような周波数として、例えば、50Hz以上かつ1000Hz以下が好ましく、150Hz以上かつ400Hz以下がより好ましく、一例として250Hzである。また、信号の周波数は、人体の皮膚の受容器であるマイスナー小体に敏感に感じる周波数でもよく、このような周波数として、例えば1Hz以上かつ100Hz以下であり、1Hz以上かつ60Hz以下である。信号波の波形は、正弦波、矩形波、三角波またはのこぎり波等任意である。周波数および信号波の波形を変えることで、筐体20を握った手の触覚を調整することが可能となる。
【0064】
[駆動信号の例2]
駆動装置62が、図8のような電圧を圧電素子10に供給する場合、搬送波64の周波数f1は、例えばパチニ小体が敏感に感じる周波数であり、信号波の周波数f2は、例えばマイスナー小体に敏感に感じる周波数でもよい。すなわち、周波数f1は、例えば150Hz以上かつ1000Hz以下であり、150Hz以上かつ400Hz以下である。信号波の周波数f2は、例えば1Hz以上かつ100Hz以下であり、1Hz以上かつ60Hz以下である。この場合、周波数f1およびf2を調整することにより、筐体20を握った手の触覚を調整することができる。例えば、筐体20を握ったユーザに、鉛筆、クレヨンもしくは筆のような筆記用具の種類、洋紙、和紙もしくは木目調とした対象物の材質を再現した触覚を与えることができる。
【0065】
[駆動信号の例3]
駆動装置62が、図8のような電圧を圧電素子10に供給する場合、搬送波64の周波数f1は、例えば筐体20の共振周波数である。共振周波数は、基本波でもよいし高調波でもよい。人体に触覚を与えるためには、搬送波64の周波数は、筐体20の共振周波数の0.86倍以上かつ1.14倍以下の範囲が好ましく、0.9倍以上かつ1.1倍以下がより好ましい。搬送波64の周波数は、例えば10kHz以上かつ100kHz以下であり、20kHz以上かつ70kHz以下である。
【0066】
人体に触覚を与えるためには、信号波の周波数f2は、パチニ小体が敏感に感じる周波数であることが好ましい。このような周波数として例えば、50Hz以上かつ1000Hz以下が好ましく、150Hz以上かつ400Hz以下がより好ましく、一例として250Hzである。
【0067】
変調波66における包絡線65の最も大きい振幅をA1、包絡線の最も小さい振幅をA2としたとき、変調度MをM=(A1-A2)/(A1+A2)と定義する。変調波66の変調度Mは例えば50%以上かつ100%以下であり、80%以上かつ100%以下である。図8の例では、搬送波64および信号波ともに正弦波である。信号波の波形は正弦波以外の矩形波、三角波またはのこぎり波等でもよい。
【0068】
搬送波の周波数を筐体20の共振周波数またはその近傍とし、信号波の周波数および波形を調整することで、例えば、筐体20の先端が対象物に接触して静止している状態では、ユーザの手に触覚を与えず、筐体20の先端が対象物に接触しながら移動すると、ユーザの手に振動による浮遊感を与えることができる。これは、発明者らがはじめて見出した現象である。
【0069】
[駆動信号の例4]
図9は、実施例1において、駆動装置が圧電素子に供給する信号の別の例を示す図である。図9における横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。図9に示すように、駆動装置62は圧電素子10に電圧として変調波66を供給する。周期T2(周波数f2)の第2搬送波を周期T3(周波数f3)の信号波により振幅変調し第1変調波を生成する。周期T1(周波数f1)の搬送波64(第1搬送波)を、振幅変調された第1変調波により振幅変調し変調波66(第2変調波)とする。包絡線65aは、信号波と第2搬送波が重畳された波形となる。
【0070】
搬送波64の周波数f1は、筐体20の共振周波数である。共振周波数は、基本波でもよいし高調波でもよい。人体に触覚を与えるためには、搬送波64の周波数は、筐体20の共振周波数の0.86倍以上かつ1.14倍以下の範囲が好ましく、0.9倍以上かつ1.1倍以下がより好ましい。搬送波64の周波数は、例えば10kHz以上かつ100kHz以下であり、20kHz以上かつ70kHz以下である。
【0071】
第2搬送波の周波数f2は、パチニ小体に敏感な周波数であり、例えば150Hz以上かつ1000Hz以下であり、150Hz以上かつ400Hz以下である。信号波の周波数f3は、マイスナー小体に敏感な周波数であり、例えば1Hz以上かつ100Hz以下であり、1Hz以上かつ60Hz以下である。変調波66の変調度Mは例えば50%以上かつ100%以下であり、80%以上かつ100%以下である。
【0072】
このように、第2搬送波として、パチニ小体に敏感な周波数を有する信号を用い、信号波としてマイスナー小体に敏感な周波数を有する信号を用いる。例えば周波数f1を変えることで、人体は、異なる触覚を得ることができる。例えば周波数f2を3Hzとすると、パチパチといった触覚が得られ、周波数f2を30Hzとすると、ズィーンといった触覚が得られる。これは、発明者らがはじめて見出した現象である。
【0073】
[駆動信号の例5]
図10は、実施例1において駆動装置が圧電素子に供給する信号のさらに別の例を示す図である。図10における横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。搬送波の周期T1(周波数f1)の信号は搬送波64である。変調波66の包絡線65は信号波に対応する。信号波は周期T2(周波数f2)である。搬送波64としては正弦波を用いるが、図の簡略化のため搬送波64として三角波を図示している。また、周期T1は周期T2に比べ非常に小さいが、理解しやすいように図10では周期T1を大きく図示している。変調波66では、搬送波64が信号波により振幅変調されている。搬送波64は正弦波であり、信号波は矩形波である。
【0074】
搬送波64の周波数f1は、例えば筐体20の共振周波数である。共振周波数は、基本波でもよいし高調波でもよい。信号波の周波数f2は、マイスナー小体が敏感に感じる周波数である。
【0075】
変調波66における包絡線65の最も大きい振幅をA1、包絡線65の最も小さい振幅をA2としたとき、変調度MをM=(A1-A2)/(A1+A2)と定義する。変調波66の変調度Mは例えば50%以上かつ100%より小さい。
【0076】
矩形波は、立ち上がり時間および立ち下り時間が周期T2より十分に小さい波形である。矩形波の立ち上がり時間および立ち下り時間は、例えば周期T2の1/25倍以下であり、1/100倍以下である。なお、立ち上がり時間および立ち下り時間の定義は、日本工業規格JIS C 161-02-05が準用される。すなわち、立ち上がり時間および立ち下り時間は、包絡線65の電圧が振幅A1のときと振幅A2のときの電圧の差に対し10%の電圧のときの時間と90%の電圧のときの時間との差である。
【0077】
以上のように、駆動装置62は、筐体20の共振周波数の周波数を有する搬送波64をマイスナー小体が感じる周波数を有し矩形波である信号波により振幅変調させ、変調度Mを100%より小さい変調波66を生成して、圧電素子10に変調波66を供給する。これにより、硬質な筐体20を触ると柔らかい触覚となる。これは、発明者らがはじめて見出した現象である。
【0078】
柔らかい触覚を得るためには、搬送波64の周波数は、筐体20の共振周波数の0.86倍以上かつ1.14倍以下が好ましく、共振周波数の0.9倍以上かつ1.1倍以下がより好ましく、共振周波数の0.95倍以上かつ1.05倍以下がさらに好ましい。搬送波64の周波数は、例えば10kHz以上かつ100kHz以下であり、20kHz以上かつ70kHz以下である。
【0079】
信号波の周波数は、マイスナー小体が敏感に感じる周波数であり、1Hz以上かつ60Hz以下が好ましく、3Hz以上かつ50Hz以下がより好ましく、13Hz以上かつ28Hz以下がさらに好ましい。変調波66の変調度Mは、50%以上かつ98%以下が好ましく、70%以上かつ90%以下がより好ましい。変調波66のデュティ比(振幅がA1の期間/周期T2)は50%付近が好ましい。デュティ比は、20%以上かつ80%以下でもよく、30%以上かつ70%以下でもよく、40%以上かつ60%以下でもよい。
【0080】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10、10a、10b 圧電素子
12 振動板
14 錘
20 筐体
22 幅狭部
23 幅広部
24 先端部
26 蓋
28 固定部材
41 圧電体層
42 第1電極
44 第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10