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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137185
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】スマートロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E05B47/00 J
E05B47/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048602
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】FCLコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】マンターウィワン ナパドン
(57)【要約】
【課題】ギヤを移動させる機構が不要である一方で、手動操作も行えるスマートロックを提供する。
【解決手段】スマートロック10は、駆動モータ22と、駆動モータ22によって回転駆動され、円周方向に沿って所定の間隔で配置された歯を備えた第1の歯部66と、第1の歯部66に隣接して設けられ、歯の配置されていない領域とを有する駆動ギヤ24と、全周方向に沿って所定の間隔で配置された歯を備え、第1の歯部66と係合する第2の歯部64を有し、第1の歯部66と係合状態にあるときは駆動モータ22によって回転可能であり、第1の歯部66と係合状態にないときは駆動モータ22による駆動力の伝達が遮断される従動ギヤ28と、従動ギヤ28の回転により駆動される保持部58と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、
前記駆動モータによって回転駆動され、円周方向に沿って所定の間隔で配置された歯を備えた第1の歯部と、前記第1の歯部に隣接して設けられ、歯の配置されていない領域とを有する駆動ギヤと、
全周方向に沿って所定の間隔で配置された歯を備え、前記第1の歯部と係合する第2の歯部を有し、前記第1の歯部と係合状態にあるときは前記駆動モータによって回転可能であり、前記第1の歯部と係合状態にないときは前記駆動モータによる駆動力の伝達が遮断される従動ギヤと、
前記従動ギヤの回転により駆動される保持部と、
を有する、スマートロック。
【請求項2】
前記駆動ギヤの前記第1の歯部と前記従動ギヤの前記第2の歯部とが係合状態にあるか否かを検出する検出部を有する、請求項1に記載のスマートロック。
【請求項3】
前記検出部はさらに、前記駆動ギヤの前記第1の歯部と前記従動ギヤの前記第2の歯部とが係合状態にないときの前記従動ギヤの回転角度位置を検出する、請求項2に記載のスマートロック。
【請求項4】
前記検出部は反射型センサを有し、前記従動ギヤは、前記反射型センサからの光の反射率が周方向に沿って異なるグラデーション部を有し、前記駆動ギヤは、前記駆動ギヤと一体的に回転する回転板を有し、前記回転板は、前記第1の歯部よりも径方向外側でかつ、前記第1の歯部が形成されていない角度位置に形成された開口部を有する、請求項3に記載のスマートロック。
【請求項5】
携帯端末と通信可能な通信部と、
前記通信部が受信したデータ及び前記検出部の検出結果に応じて前記駆動モータを制御する回転制御部と、
を有する、請求項2に記載のスマートロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートロックに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートロックは、パスワード入力、指紋認証、又はスマートホン等の電子機器からの遠隔操作等によってドアの開錠・施錠を行う装置であり、サムターン等のドアノブを回すための手段と、該手段を回転駆動するモータ等の手段とを備えるものが知られている。
【0003】
サムターンによってドアの施錠又は開錠を手動で行う機能を確保しつつ、ドアの開閉を検知するセンサを設け、自動的に施錠と開錠を行えるようにしたオートロックアタッチメントが知られている。
【0004】
またサムターンを回転させる連動機構と、連動機構を駆動する駆動手段と、サムターンの施錠位置と開錠位置とを検出する検出手段とを設け、施錠時にサムターンを手動で回転させると、サムターンを自動的に施錠位置に戻す不正開錠防止機能を有する電気錠が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-028259号公報
【特許文献2】実用新案登録第3089499号公報
【特許文献3】特開2005-248457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的なスマートロックでは、モータの駆動力を利用して、ギヤを介してサムターンを操作するが、モータを駆動させないときは手動でもサムターンを操作できることが求められる場合が多い。しかし、サムターンがギヤを介してモータに接続されたままであると、モータの反力が大きいため手動ではサムターンを操作できない。
【0007】
スマートロックでは、ギヤを移動させる機構を設けることでモータの駆動力がサムターンに伝達しないようにすることができるが、そのような機構を設けることはスマートロックのコストアップ及び大型化につながる。さらに、そのようなスマートロックでは、サムターンの回転位置を検出するセンサに加え、モータとサムターンとの接続状態を検知するセンサも必要となる場合があり、これもコストアップにつながる。よってギヤを移動させる機構が不要である一方で、手動でのサムターン操作も行えるスマートロックが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、駆動モータと、前記駆動モータによって回転駆動され、円周方向に沿って所定の間隔で配置された歯を備えた第1の歯部と、前記第1の歯部に隣接して設けられ、歯の配置されていない領域とを有する駆動ギヤと、全周方向に沿って所定の間隔で配置された歯を備え、前記第1の歯部と係合する第2の歯部を有し、前記第1の歯部と係合状態にあるときは前記駆動モータによって回転可能であり、前記第1の歯部と係合状態にないときは前記駆動モータによる駆動力の伝達が遮断される従動ギヤと、前記従動ギヤの回転により駆動される保持部と、を有する、スマートロックである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、スマートロックを手動操作可能とするためにギヤを移動させる機構等が不要となり、スマートロックの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るスマートロックを示す斜視図である。
図2】スマートロックの取り付け対象を示す斜視図である。
図3】スマートロックの主な構成要素を示す斜視図である。
図4図3において駆動ギヤ及び従動ギヤを除外した状態を示す斜視図である。
図5】スマートロックおよび携帯端末の機能ブロック図である。
図6】駆動ギヤ及び従動ギヤの構成例を示す側面図である。
図7図6の構成例を別角度からみた斜視図である。
図8】駆動ギヤ及び従動ギヤの要部の一例を示す斜視図である。
図9】従動ギヤのグラデーション部を模式的に示す図である。
図10】グラデーション部における濃淡とセンサの反射率との関係を例示するグラフである。
図11】駆動ギヤと従動ギヤとが係合している状態を示す部分断面図である。
図12】駆動ギヤと従動ギヤとが係合していない状態を示す斜視図である。
図13】駆動ギヤと従動ギヤとが係合していない状態を示す部分断面図である。
図14】アンロック状態における駆動ギヤ及び従動ギヤを示す図である。
図15】駆動ギヤが回転しているときの駆動ギヤ及び従動ギヤを示す図である。
図16】ロック状態における駆動ギヤ及び従動ギヤを示す図である。
図17】スマートロックにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、好適な実施形態に係るスマートロック10の斜視図である。スマートロック10は、筐体12と、筐体12内に配置される駆動機構14(図3-4を参照)とを有する。スマートロック10は例えば、図2に部分的に示すようなドア16に設けられたサムターン式のドアノブ18を遠隔操作又は手動操作により回転させることができるように構成されている。手動操作では、後述する従動ギヤ28に接続された操作ノブ20を回転させることにより、ドアノブ18を回転させることができる。
【0012】
スマートロック10はドア16に対し、両面粘着テープ又は接着剤等の種々の手段によって取付け可能である。ドアノブ18はサムターンに限らず、レバーやラッチ等、回転又は移動させることでドアを開閉するものも含み得る。
【0013】
図3-4は、ドアノブ18を回転駆動するための駆動機構14の一構成例を示す。駆動機構14は、駆動モータ(以降、モータと略称する)22と、モータ22によって回転駆動される駆動ギヤ24と、モータ22の回転トルクを駆動ギヤ24に伝達するギヤユニット26と、駆動ギヤ24に係合し、ドアノブ18を保持し又はドアノブ18に取付けられることでドアノブ18を回転させる従動ギヤ28を有し、その全体は筐体12内に収容可能である。但し図3-4では説明のため、筐体12については、ドア16に取付けられる底部30のみを図示している。
【0014】
ギヤユニット26は少なくとも1つのギヤを有し、図3-4では2つのギヤ32及び34が示されている。モータ22が回転すると、モータ22の駆動トルクがギヤユニット26を介して駆動ギヤ24に伝達され、駆動ギヤ24が回転する。ギヤユニット26を構成するギヤの個数や歯数は、モータ22の仕様やドアノブ18の所望の回転速度等に基づいて適宜選択可能である。
【0015】
図4に示すように、支持基板40の筐体12内の固定位置に、反射型センサ38が配置される。反射型センサ38は、例えばフォトリフレクタであり、駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っているか否かを検出し、さらに従動ギヤ28の回転角度位置を検出するように構成された検出部36(後述する図5を参照)を構成する。検出部36の機能については後述する。
【0016】
筐体12内には、プロセッサ42や通信モジュール44等が搭載された制御基板46も収容可能であり、プロセッサ42は、スマートホン等の携帯端末からの遠隔操作に基づいてモータ22を制御するように構成されている。
【0017】
図5は、スマートロック10及びスマートロック10と通信可能なスマートホン等の携帯端末50の機能ブロック図である。携帯端末50は、上述の通信モジュール44に相当するスマートロック10の第1通信部と通信可能な、通信モジュール等の第2通信部52と、ユーザの入力を受付可能なタッチパネル等のインターフェース54とを有し、スマートロック10に対して、指示の送信や種々のデータの送受信を行うことができる。一方、スマートロック10は、携帯端末50の第2通信部52と通信可能な第1通信部44と、反射型センサ38及び後述するグラデーション部56を含む検出部36と、第1通信部44が受信したデータに基づいてモータ22を制御する回転制御部とを有し、本実施形態ではプロセッサ42が回転制御部に相当する。このような構成により、ドア16の施錠・開錠を携帯端末50からの遠隔操作によって行うことができる。
【0018】
以下、ドアノブ18の手動操作を可能にする構成について説明する。図6は駆動ギヤ24及び従動ギヤ28を含むスマートロックの構成例を示す図であり、図7図6を別方向から見た図であり、図8は駆動ギヤ24及び従動ギヤ28の要部を示す斜視図である。従動ギヤ28は、ドアノブ18に取付けられ又はドアノブ18を保持する保持部58と、操作ノブ20が取付けられる操作部70とを有し、駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っていないときは、操作ノブ20を手動で回転することで保持部58を回転させ、ドアノブ18を回転させることができる。なお図6-8では、上述のギヤユニット26は省略している。また図6-16では、主たる構成要素についてのみ説明する関係上、各構成要素の大きさや配置等は図3-4とは異なる場合があることに留意されたい。
【0019】
駆動ギヤ24は、駆動ギヤ24の回転軸線回りの円周方向に沿って設けられた第1の歯部66を有する。第1の歯部66は所定の間隔で配置された複数の歯を備えており、駆動ギヤ24の回転軸線回りの円周方向に沿って部分的に設けられ、歯の設けられていないそれ以外の領域と区別される。好ましくは、駆動ギヤ24は複数の第1の歯部66を備えており、歯の設けられていない領域と交互に配置される。本実施形態においては、駆動ギヤ24の回転軸線を中心に点対象となるよう第1の歯部66が2か所に設けられ、当該2か所の第1の歯部66の間には、それぞれ歯の設けられていない領域が設けられる。
【0020】
従動ギヤ28は、回転軸線回りの全周に沿って所定間隔に歯が設けられた、第2の歯部64を有する。駆動ギヤ24に設けられた第1の歯部66は、従動ギヤ28に設けられた第2の歯部64と係合することで、モータ22の駆動力を従動ギヤ28に伝達することが可能となる。駆動ギヤ24において第1の歯部66は前述したとおり部分的に設けられているため、駆動ギヤ24が図8に示すような第1の回転角度位置にあるときは、駆動ギヤ24の第1の歯部66と従動ギヤ28の第2の歯部64は互いに係合し、モータ22の駆動力が従動ギヤ28に伝達される。この状態においては、従動ギヤ28の手動操作はできない。従動ギヤに伝達された駆動力は保持部58を回転させ、ドアノブ18を回転させることができる。
【0021】
他方、駆動ギヤ24が回転し、従動ギヤ28における第2の歯部64が駆動ギヤ24における歯の設けられていない領域に正対すると、第1の歯部66と第2の歯部64の係合は解かれ、駆動力の伝達は行われない。この状態においては、従動ギヤ28の手動操作が可能となる。
【0022】
図示例の駆動ギヤ24は、第1の歯部66よりも大径でかつ、第1の歯部66と一体的に回転する回転板67を有する。回転板67は、第1の歯部66よりも径方向外側でかつ、第1の歯部66が形成されていない角度位置に形成された開口部68を有し、図示例の開口部68は円弧状のスリットである。反射型センサ38は、従動ギヤ28のグラデーション部56に対向する位置に配置され、反射型センサ38は、回転板67の歯部66側の面とは反対側の面にある支持基板40に設けられており、開口部68を通して従動ギヤ28のグラデーション部56を検出するように配置されている。なお本開示における開口部68は、切り欠き状のものも含む。
【0023】
図9は、グラデーション部56を模式的に示す図である。グラデーション部56は、周方向について光の反射率が異なるように形成されている。図示例のグラデーション部56は、操作部70が設けられていない従動ギヤ28の面に形成されたリング状の凸部であり、その周方向について濃色部60から淡色部62まで徐々に濃度が変化するように構成されている。
【0024】
図10はグラデーション部56における濃淡と反射型センサ38の反射率との関係を例示するグラフである。反射型センサ38からグラデーション部56に光を照射すると、グラデーション部56の濃淡に応じて光の反射率が異なるので、反射型センサ38を使用することで従動ギヤ28の回転角度位置を求めることができる。なおグラデーション部56は図9の例に限られず、例えば、濃淡は5°刻み、10°刻み、15°刻み等の所定の角度間隔で段階的に変化してもよい。また周方向に異なる反射率を実現する手段として、濃淡以外にも模様や表面の形状(凹凸等)、反射率を用いて従動ギヤ28の角度位置を所定の精度で検出できる種々の手段が利用可能である。
【0025】
図11は、図8に対応する状態、すなわち駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っている状態を示す部分断面図である。この状態では、回転板67は、反射型センサ38からの光が従動ギヤ28のグラデーション部56に向かわないように遮断するような回転角度位置にあり、回転板67が反射型センサ38の検出距離未満に位置するので、反射型センサ38は略ゼロの一定の値を出力することになり、従動ギヤ28の角度位置を検出することはできない。しかし上述のプロセッサ42等は、反射型センサ38が一定の値を出力していることを以って、駆動ギヤ24の歯部66と従動ギヤ28の歯部64とが係合している、すなわち駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っていると認識することが可能である。
【0026】
図12は、駆動ギヤ24が上述の第1の回転角度位置とは異なる第2の回転角度位置にある状態、すなわち駆動ギヤ24の歯部66と従動ギヤ28の歯部64とが係合していない状態を示す斜視図であり、図13は、図12に対応する状態を示す部分断面図である。この状態では、従動ギヤ28は、操作部70を回転させることで手動操作による回転が可能であり、操作ノブ20は、操作部70に接続されているので手動操作による回転が可能である。回転板67は、反射型センサ38からの光が開口部68を通って従動ギヤ28のグラデーション部56に向かうような回転角度位置にあるので、反射型センサ38はグラデーション部56の反射率に応じた値を出力し、この値に基づいて従動ギヤ28の回転角度位置を検出することができる。また上述のプロセッサ42等は、反射型センサ38がグラデーション部56の反射率に応じた値を出力したこと、すなわち検出部36が従動ギヤ28の角度位置を出力したことを以って、駆動ギヤ24の歯部66と従動ギヤ28の歯部64とが係合していない、すなわち駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っていないと認識することも可能である。
【0027】
図14-16は、従動ギヤ28の種々の角度位置を示す図である。図14は、駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っておらず、かつ従動ギヤ28がアンロック位置にある状態、すなわち従動ギヤ28に保持され又は取付けられているドアノブ18が「開」の状態を示す。図16は、駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っておらず、かつ従動ギヤ28がロック位置にある状態、すなわちドアノブ18が「閉」の状態を示す。図15は、図14図16の中間の状態、すなわち駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っており、モータ22の駆動力が従動ギヤ28に伝達可能な状態を示す。
【0028】
図17は、スマートロック10における処理の一例を示すフローチャートである。先ずスマートロック10を起動し(ステップS1)、反射型センサ38を用いて、駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っているか否かを検出する(S2)。通常は、スマートロック起動時は、ドアノブ18が「開」又は「閉」のいずれかであり、それらはいずれも、駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っていない状態である(図14又は図16)。よって通常処理はS3に進み、上述の携帯端末50等からの指示を待つ。
【0029】
スマートロック10が何らかの指示を含むデータを受信したら、S4において、その指示がアンロック指示であるか否かを識別する。アンロック指示であるときは、反射型センサ38を用いて従動ギヤ28の角度位置を検出し(S5)、従動ギヤ28がアンロック位置にあるか否かを判定する(S6)。
【0030】
S6において従動ギヤ28が図16に示すようなロック位置にあるときは、モータ22によって駆動ギヤ24を回転させることにより、図15に示すように駆動ギヤ24が従動ギヤ28に噛み合い、従動ギヤ28を図14に示すようなアンロック位置に回転移動させる(S7)。一方、従動ギヤ28が既に図14に示すようなアンロック位置にあるときは、S7を実行する必要がないので、S7はスキップする。
【0031】
次のS8では、スマートロック10がアンロック状態であることを示すデータをステータスとして外部に送信し、次のS9において、現在の従動ギヤ28の角度を図示しないメモリ等に記録しておく。その後、処理はS3に戻り、スマートロック10は新たな指示を待つ状態になる。
【0032】
S10-S13は、S3において受信したデータがロック指示であるときの処理の一例を示す。S4の後、反射型センサ38を用いて従動ギヤ28の角度位置を検出し(S10)、従動ギヤ28がロック位置にあるか否かを判定する(S11)。
【0033】
S11において従動ギヤ28が図14に示すようなアンロック位置にあるときは、モータ22によって駆動ギヤ24を回転させることにより、図15に示すように駆動ギヤ24が従動ギヤ28に噛み合い、従動ギヤ28を図16に示すようなロック位置に回転移動させる(S12)。一方、従動ギヤ28が既に図16に示すようなロック位置にあるときは、S12を実行する必要がないので、S12はスキップする。
【0034】
次のS13では、スマートロック10がロック状態であることを示すデータをステータスとして外部に送信し、次のS9において、現在の従動ギヤ28の角度を図示しないメモリ等に記録しておく。その後、処理はS3に戻り、スマートロック10は新たな指示を待つ状態になる。
【0035】
なおS2に関し、スマートロック10の通常の操作では、駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合った状態で停止することはないが、停電やバッテリ切れ等によってそのような状態となる場合も考えられる。よってS2において両ギヤが噛み合っているときは、S14に進み、安全確保のため、S12と同様の操作によってスマートロック10をロック状態とすることが好ましい。
【0036】
上述の実施形態では、反射型センサ38、従動ギヤ28のグラデーション部56、及び駆動ギヤ24の回転板67に形成された開口部68を組み合わせることで、実質1つの反射型センサ38によって、駆動ギヤ24と従動ギヤ28とが噛み合っているか否かの判定と、両ギヤが噛み合っていないときの従動ギヤ28の回転角度位置の検出とを行うことができるので、スマートロック10の小型化及び低コスト化の観点から非常に有利である。しかしこれは一例であり、両ギヤが噛み合っているか否かの判定と、従動ギヤ28の回転角度位置の検出とをそれぞれ別のセンサで行うことも可能である。
【0037】
本開示によれば、歯部が周方向に部分的に形成された駆動ギヤを使用することにより、ギヤの移動機構等を使用せずに、駆動モータの駆動トルクが従動ギヤに伝わらないようにすることができるので、スマートロックの小型化及び低コスト化が可能となる。また駆動ギヤと従動ギヤとが噛み合っているか否かを検出する機能を有する検出部の使用により、スマートロックが手動操作可能であるかを容易に知ることができる。検出部が従動ギヤの回転角度位置を検出できる機能をさらに具備することで、スマートロックのロック/アンロック操作を容易に行うことができる。またさらに、反射型センサ、従動ギヤのグラデーション部、駆動ギヤと一体的に回転しかつ開口部を有する回転板の使用により、実質1つのセンサで上記2つの機能を実現でき、スマートロックの小型化及び低コスト化に大きく寄与する。
【符号の説明】
【0038】
10 スマートロック、12 筐体、14 駆動機構、16 ドア、18 ドアノブ、
20 操作ノブ、22 駆動モータ、24 駆動ギヤ、26 ギヤユニット、
28 従動ギヤ、36 検出部、38 反射型センサ、42 プロセッサ、
50 携帯端末、56 グラデーション部、58 保持部、64,66 歯部、
67 回転板、 68 開口部、70 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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