(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137188
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】仮想オブジェクト触覚提示システム、視覚提示装置、仮想オブジェクト触覚提示方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240927BHJP
A63F 13/285 20140101ALI20240927BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/01 510
A63F13/285
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048608
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 修一
(72)【発明者】
【氏名】木野井 慶介
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555AA76
5E555BA04
5E555BA20
5E555BA38
5E555BB04
5E555BB20
5E555BB38
5E555BE17
5E555CC26
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】触覚提示を行う触覚提示装置の押し込み量を定量的に表示することができる仮想オブジェクト触覚提示システムを提供する。
【解決手段】仮想オブジェクト触覚提示システムは、仮想オブジェクトを視覚的及び触覚的に提示する視覚提示装置及び触覚提示装置を備える。触覚提示装置は、ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部と、変位部の変位量を検出する変位センサと、検出された変位量を前記視覚提示装置へ送信する通信部とを備える。視覚提示装置は、触覚提示装置から送信された変位量を受信する通信部と、通信部にて受信した変位量を定量的に表示する処理を実行する処理部とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置と、前記仮想オブジェクトを触覚的に提示する触覚提示装置とを備える仮想オブジェクト触覚提示システムであって、
前記触覚提示装置は、
ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部と、
該変位部の変位量を検出する変位センサと、
検出された前記変位部の変位量を前記視覚提示装置へ送信する通信部と
を備え、
前記視覚提示装置は、
前記触覚提示装置から送信された変位量を受信する通信部と、
該通信部にて受信した変位量を定量的に表示する処理を実行する処理部と
を備える仮想オブジェクト触覚提示システム。
【請求項2】
前記処理部は、
前記仮想オブジェクトの画像を表示し、前記通信部にて受信した変位量に応じて、前記仮想オブジェクトの画像を変更すると共に、前記変位量を定量的に表示する
請求項1に記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
【請求項3】
前記処理部は、
前記変位部の変位量を、数値又はゲージ画像にて表示する
請求項1又は請求項2に記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
【請求項4】
前記処理部は、
前記変位部の所定位置をゼロとして、前記変位部の変位量を定量的に表示する
請求項1又は請求項2に記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
【請求項5】
前記処理部は、
前記触覚提示装置が触覚提示を開始する位置をゼロとして、前記変位部の変位量を定量的に表示する
請求項1又は請求項2に記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
【請求項6】
前記処理部は、
前記仮想オブジェクトの画像と、前記変位部の位置に対応する指画像とを表示し、受信した変位量に応じて前記オブジェクトの画像に対する前記指画像の位置を変更するようにしてあり、
前記オブジェクトの画像に対して、前記指画像が接触した位置をゼロとして、前記変位部の変位量を定量的に表示する
請求項1又は請求項2に記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
【請求項7】
仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置であって、
ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部と、該変位部の変位量を検出する変位センサとを備える触覚提示装置から送信された前記変位部の変位量を受信する通信部と、
該通信部にて受信した変位量を定量的に表示する処理を実行する処理部と
を備える視覚提示装置。
【請求項8】
ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部とを備える触覚提示装置と、仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置とを用いて、前記仮想オブジェクトを視覚的及び触覚的に提示する仮想オブジェクト触覚提示方法であって、
前記触覚提示装置の前記変位部の変位量を検出し、
前記視覚提示装置は、
検出された前記変位部の変位量を定量的に表示する
仮想オブジェクト触覚提示方法。
【請求項9】
仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置の動作を制御するためのコンピュータプログラムであって、
ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部と、該変位部の変位量を検出する変位センサとを備える触覚提示装置から送信された前記変位部の変位量を受信し、
受信した変位量を定量的に表示する
処理を前記視覚提示装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想オブジェクト触覚提示システム、視覚提示装置、仮想オブジェクト触覚提示方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
触覚を提示する技術(ハプティクス)が種々提案されている。発明者らは、磁気粘性流体に対する知見に基づいて、ユーザが操作可能であって、対象物によって異なる感触を再現する触覚提示装置を提案した(特許文献1等)。特許文献2には、触覚提示装置による触覚提示と、視覚提示(画像出力)とを合わせて出力するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6906275号
【特許文献2】特開2020-130632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、触覚提示を行う触覚提示装置の押し込み量を定量的に表示することができる仮想オブジェクト触覚提示システム、視覚提示装置、仮想オブジェクト触覚提示方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る仮想オブジェクト触覚提示システムは、仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置と、前記仮想オブジェクトを触覚的に提示する触覚提示装置とを備える仮想オブジェクト触覚提示システムであって、前記触覚提示装置は、ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部と、該変位部の変位量を検出する変位センサと、検出された前記変位部の変位量を前記視覚提示装置へ送信する通信部とを備え、前記視覚提示装置は、前記触覚提示装置から送信された変位量を受信する通信部と、該通信部にて受信した変位量を定量的に表示する処理を実行する処理部とを備える。
【0006】
本開示の一側面に係る視覚提示装置は、仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置であって、ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部と、該変位部の変位量を検出する変位センサとを備える触覚提示装置から送信された前記変位部の変位量を受信する通信部と、該通信部にて受信した変位量を定量的に表示する処理を実行する処理部とを備える。
【0007】
本開示の一側面に係る仮想オブジェクト触覚提示方法は、ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部とを備える触覚提示装置と、仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置とを用いて、前記仮想オブジェクトを視覚的及び触覚的に提示する仮想オブジェクト触覚提示方法であって、前記触覚提示装置の前記変位部の変位量を検出し、前記視覚提示装置は、検出された前記変位部の変位量を定量的に表示する。
【0008】
本開示の一側面に係るコンピュータプログラムは、仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置の動作を制御するためのコンピュータプログラムであって、ユーザの操作によって変位可能に設けられ、仮想オブジェクトを触覚的に提示するための力覚を生じさせる変位部と、該変位部の変位量を検出する変位センサとを備える触覚提示装置から送信された前記変位部の変位量を受信し、受信した変位量を定量的に表示する処理を前記視覚提示装置に実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、触覚提示を行う触覚提示装置の押し込み量を定量的に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態1におけるゲームシステムを示す模式図である。
【
図2】視覚提示装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】触覚提示装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】サーバ装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態1に係る触覚提示の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態1に係る触覚提示の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2に係る触覚提示の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態3に係る触覚提示の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る仮想オブジェクト触覚提示システム、視覚提示装置、仮想オブジェクト触覚提示方法、及びコンピュータプログラムを、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本実施形態に係る仮想オブジェクト触覚提示システムを適用したゲームシステムについて説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1におけるゲームシステム100を示す模式図である。ゲームシステム100は、情報処理装置である視覚提示装置1と、触覚提示装置2と、サーバ装置3とを含む。視覚提示装置1と、触覚提示装置2とは近距離無線通信で通信接続され、相互にデータを授受する。視覚提示装置1と、サーバ装置3とは、ネットワークNを介して相互にデータを送受信する。ネットワークNは、インターネットN1、キャリアネットワークN2、基地局BS、及びアクセスポイントAPを含む。
【0013】
視覚提示装置1は、仮想オブジェクトであるキャラクタCを視覚的に提示する装置である。また、視覚提示装置1は、キャラクタCを聴覚的に提示する機能も有する。視覚提示装置1は、例えば表示部14及び音声出力部15を有するスマートフォンである。視覚提示装置1は、スマートフォンに限られず、タブレット端末、ラップトップ型のPC(Personal Computer)、ゲーム専用機器などであってもよい。視覚提示装置1は、触覚提示装置2と一体化されたゲーム専用機器、すなわちコントローラ部分に触覚提示装置2を含むゲーム機であってもよい。なお、視覚提示装置1と、表示部14及び音声出力部15とは、別体の構成であってもよい。また、以下の説明において、視覚提示装置1は1台のコンピュータ又はスマートフォンとして説明するが、複数台のコンピュータをネットワークNで通信接続して分散処理させる態様であってもよい。
【0014】
触覚提示装置2は、ユーザが指を変位部202に沿えて持ちながら指を動かして操作できる装置である。触覚提示装置2は、ユーザが指を動かすことで変位する変位部202の位置を読み取り、内蔵するMRF(Magneto-Rheological Fluid)デバイス(駆動デバイス)24をその位置に応じて制御してユーザの変位部202への操作に対する反力(回転抵抗)により力覚を生じさせ、触覚を提示する装置である。触覚提示装置2の変位部202態様は、
図1に示すようなものに限られず、ボタンであってもよいし、スティック状であってもよいし、カバーに覆われたクッション状のものであってもよい。触覚提示装置2は、MRFデバイス24に代えて、モータ、ピエゾ素子、超音波発振器などを採用し、ユーザの操作に対し回転力や振動により力覚を生じさせるアクティブ型の触覚提示装置であってもよく、変位部202の他、振動や温感、冷感、電気刺激を提示するものと組み合わされてもよい。アクティブ型と、本願のようなパッシブ型の触覚提示装置を組み合わせてもよい。地面や壁、その他の任意の構造物に設置し、ユーザの手のひらや足等で操作される構造でもよい。
【0015】
ゲームシステム100では、ゲームアプリケーションプログラム(以下、ゲームアプリP1という)をインストールした視覚提示装置1が、サーバ装置3と通信してゲームを実行可能とする。視覚提示装置1は、サーバ装置3のコンテンツデータベース(DB:Data Base )311から、ゲームコンテンツをネットワークN経由で取得する。ゲームコンテンツは、ゲームのキャラクタCである仮想オブジェクトを視覚的、聴覚的及び触覚的に提示するための視覚データ、聴覚データ、触覚データを含む。視覚提示装置1は、取得したゲームコンテンツに含まれる視覚データに基づき、内蔵する表示部14にキャラクタCの画像を表示する(視覚的に提示する)。また、視覚提示装置1は、取得したゲームコンテンツに含まれる聴覚データに基づき、音声出力部15からキャラクタCの音声及び効果音を出力する(聴覚的に提示する)。更に、視覚提示装置1は、取得したゲームコンテンツに含まれる触覚データを触覚提示装置2へ送信し、キャラクタCを触覚的に提示する。
より具体的には
図1に示すように、視覚提示装置1は表示部14にキャラクタCを表示させる。ユーザが触覚提示装置2の変位部202を指で押し込むと、キャラクタCの種類に応じた触覚が生じる。表示中のキャラクタCの画像は、変位部202の操作及び触覚提示とともに変化し、変化に応じた音声又は効果音が音声出力部15から出力される。
【0016】
ゲームシステム100では、操作するキャラクタCが登場するゲームコンテンツを選択することができる。視覚提示装置1は、選択されたキャラクタCに応じた触覚を触覚提示装置2によって提示する。また、視覚提示装置1は変位部202における変位に応じて画像及び音声を変更して出力する。視覚提示装置1は、ゲームシナリオに応じた触覚提示装置2の操作に従って、所定のゲームポイントを加算させたり、抽選(いわゆるガチャ)を実行したりしてゲームを進行させる。
【0017】
図2は、視覚提示装置1の内部構成を示すブロック図である。視覚提示装置1は、処理部10、記憶部11、第1通信部12、第2通信部13、表示部14、音声出力部15、及び操作部16を備える。処理部10は、CPU(Central Processing Unit )及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサである。処理部10は、記憶部11が記憶するゲームアプリP1に基づき、ゲームに係る処理を実行する。
【0018】
記憶部11は、例えばフラッシュメモリ、SSD等の不揮発性メモリである。記憶部11は、ゲームアプリP1と、後述の感覚DB110と、その他、処理部10が参照するデータとを記憶する。ゲームアプリP1は、記憶媒体8に記憶されているゲームアプリP8を処理部10が読み出して記憶部11に複製したものであってもよい。ゲームアプリP1は、第1通信部12を介してサーバ装置3又は他のプログラムサーバ装置からダウンロードして実行可能に記憶したものである。
【0019】
記憶部11は、ゲームアプリP1のユーザID(触覚提示装置2のユーザを識別するID)を記憶する。記憶部11は、ユーザIDに対応付けて、ユーザがゲームアプリP1上で所有しているキャラクタC又はアイテム等を識別するコンテンツID及び個数を記憶する。記憶部11に記憶されているユーザIDとコンテンツID及び個数との関係は、サーバ装置3においてユーザIDに対応付けて記憶されているコンテンツID及び個数と同一の内容である。
【0020】
記憶部11は、キャラクタCに応じた触覚データ、視覚(画像、動画、テキスト)データ、及び聴覚(音声、効果音)データを格納した感覚DB110を記憶するストレージである。感覚DB110は、これらのデータを、逐次、サーバ装置3のコンテンツDB311からキャラクタC毎に取得するものであってもよいし、予め記憶されているものであってよい。
【0021】
第1通信部12は、インターネットN1又はキャリアネットワークN2を含むネットワークNを介したサーバ装置3との通信を実現する通信回路を含む。第1通信部12は具体的には、キャリアネットワークN2と接続する無線通信デバイスであってもよいし、WiFi用の無線通信デバイスであってもよい。処理部10は、第1通信部12によってサーバ装置3との間でデータを送受信する。
【0022】
第2通信部13は、近距離無線通信、例えばBluetooth(登録商標)の通信モジュールである。通信モジュールは通信回路を含む。処理部10は、第2通信部13によって触覚提示装置2との間でデータを送受信する。
【0023】
表示部14は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイである。表示部14は例えば、タッチパネル内蔵型ディスプレイである。処理部10は表示部14に、ゲームアプリP1に基づき、記憶部11が記憶するゲームコンテンツ、又は、サーバ装置3から提供される画像、テキスト等のゲームコンテンツを表示する。なお、スマートフォンのディスプレイを例示したが、表示部14は、スクリーンへの投影、ユーザへの網膜投影、虚像投影などを行う投影装置であってもよい。
【0024】
音声出力部15は、スピーカ等を含む。処理部10は、ゲームアプリP1に基づき、記憶部11が記憶するゲームコンテンツ、又は、サーバ装置3から提供されるゲームコンテンツに含まれる聴覚データに応じた音声、音楽等を音声出力部15から出力させる。
【0025】
操作部16は、ユーザによる操作情報を処理部10に与えるためのユーザインタフェースである。操作部16は、例えば表示部14に内蔵されたタッチパネルである。操作部16は、物理ボタンであってもよい。操作部16は、音声入力部と兼用であってもよい。
【0026】
図3は、感覚DB110の内容例を示す説明図である。感覚DB110は、触覚データテーブルと、視覚データ及び聴覚データを記憶する。
【0027】
感覚DB110は、コンテンツの種類によって異なる複数の触覚データテーブルをコンテンツIDに対応付けて記憶する。触覚データテーブルは、触覚データとして、変位部202の変位量(角度)と、触覚提示装置2のMRFデバイス24に供給する電流の値とを対応付けて格納している。
【0028】
感覚DB110は、コンテンツの種類によって異なるキャラクタCの画像又は動画(フレーム画像)等の画像データを、視覚データとしてコンテンツIDに対応付けて格納している。感覚DB110は、一つのコンテンツIDに対応付けて、パターンα、パターンβ、…と異なる複数パターンの視覚データを格納してもよい。
図3に示す例では、パターンαの視覚データは、変位部202の変位量によって画像が変化しない画像データである。パターンβの視覚データは、変位部202の変位量に応じて画像が変化する画像データである。パターンβの視覚データは、変位部202の複数の変位量(角度)にそれぞれ対応付けられた、複数の画像データを含む。パターンα、パターンβ、及びその他のパターンの視覚データは、ランダムに選択されてもよいし、ゲームのシナリオ及び状況に応じて選択されてもよい。
【0029】
感覚DB110は、コンテンツの種類によって異なるキャラクタCの音声又は効果音の音声データを、聴覚データとしてコンテンツIDに対応付けて格納している。感覚DB110は、一つのコンテンツIDに対応付けて、パターンα、パターンβ、…と異なる複数パターンの聴覚データを格納してもよい。
図3に示す例では、パターンαの聴覚データは、変位部202の変位量によって音声が変化しない音声データである。パターンβの聴覚データは、変位部202の変位量に応じて音声が変化する音声データである。パターンβの聴覚データは、変位部202の複数の変位量(角度)にそれぞれ対応付けられた、複数の音声データを含む。
【0030】
図4は、触覚提示装置2の構成を示すブロック図である。触覚提示装置2は、
図1に示すようにユーザによって把持及び操作される把持体201と、変位部202と、結束具203と、リンク機構204と、
図4に示す制御部20と、触覚データ記憶部21と、通信部22と、電源部23と、MRFデバイス24と、変位センサ25とを備える。なお、
図2に示す制御部20、電源部23等の制御及び給電に係る回路は、把持体201と一体的に構成してもよいし、別体で構成して有線又は無線で接続してもよい。
【0031】
把持体201は、ユーザが人差し指及び親指で挟持可能な偏平形状をなす筐体を有する。筐体は、例えば中空円板状部分を有し、磁気粘性流体と、回転軸を有するロータとを収納している。ロータは円板状の部材であり、磁気粘性流体で満たされた筐体の内部で回転する。ロータは、磁気粘性流体による回転抵抗力を受ける。また、把持体201には、磁気粘性流体に磁場を印加するための電磁石(不図示)が設けられており、電磁石は、磁気粘性流体及びロータ等とともにMRFデバイス24を構成している。具体的には、電磁石は、すき間を空けて円板状のロータを挟むように配されたヨークと、ヨークに設けられたコイルとを有する。コイルに電流が流れると磁界が発生し、磁気粘性流体の粘度(ずり応力)が変化し、回転軸に加わる回転抵抗力が与えられる。
【0032】
変位部202は、筐体の周面に沿うように湾曲した帯状の部材である。変位部202はユーザに力覚を与えるための部材である。変位部202は、それ自体がたわむことが可能な素材であるが、剛性の高い素材で形成されている。変位部202の基端部は、変位部202の先端部が筐体から接離する方向に移動することができるように、支軸によって筐体の周面に回動可能に支持されている。変位部202の先端部外側の面には、ユーザの指を結束するための結束具203が設けられている。結束具203はリングをなす帯状の部材、例えば布テープである。変位部202には、その表面にシリコンラバーや毛並みを持つもの等、多様な感触を加えた素材等が取り付けられていてもよい。変位部202の先端部と、ロータの回転軸とは、リンク機構204によって連結している。リンク機構204は、筐体に対して接近又は離反する変位部202の運動を、回転軸の回転運動に変換して伝達する機構である。
【0033】
ユーザは
図1に示したように、把持体201を例えば親指と中指とで把持しつつ、人差し指等の指を変位部202に沿わせて結束具203に人差し指を差し込んで使用する。ユーザは人差し指を押し込むように変位部202を動かすことができ、また、人差し指を伸ばして把持体201から変位部202を遠ざけるように動かすことができる。触覚提示装置2が大型の場合、把持体201を地面や壁、その他の任意の構造物に設置してもよい。ユーザは把持体201を把持せず、変位部202を足や手のひらで押し込む。また、触覚提示装置2の大きさにかかわらず、把持体201を地面や壁、その他の任意の構造物に設置してもよい。
【0034】
制御部20は、CPU、MPU(Micro-Processing Unit )等の制御プロセッサ20a、ROM(Read Only Memory)20b、RAM(Random Access Memory)20c等のメモリ、及びI/O20dを含む。制御部20は、例えばマイクロコントローラである。制御部20は、ROM20bに記憶されている制御プログラムP2に基づいて各構成部を制御し、触覚提示を実現する。
制御プログラムP2は、図示しない記憶媒体に記憶されている制御プログラムP2を制御部20が読み出してフラッシュメモリなどのROM20bに複製したものであってもよい。制御プログラムP2は、サーバ装置3又は他のプログラムサーバ装置からダウンロードして実行可能に記憶したものであってもよい。
【0035】
触覚データ記憶部21は、制御部20に対する補助記憶メモリであり、MRFデバイス24の制御データである触覚データを書き換え可能に記憶する。
【0036】
通信部22は、近距離無線通信、例えばBluetooth(登録商標)の通信モジュールである。通信モジュールは通信回路を含む。制御部20は、通信部22によって視覚提示装置1との間でデータを送受信する。
【0037】
制御部20は、電源部23、MRFデバイス24及び変位センサ25とI/O20dを介して接続されており、相互に信号を授受する。
【0038】
電源部23は、充電可能なバッテリ23aを備える。電源部23は、ON状態になると各構成部及びMRFデバイス24へ電力を供給する。
【0039】
変位センサ25は、変位部202の位置(角度)を測定して制御部20へ出力する。変位センサ25は変位部202の変位を、角度として測定して出力する。以下、所定位置、例えば把持体201の筐体から最も離隔した位置(以下、初期位置)を基準にした変位部202の相対位置又は相対角度を変位量又は押し込み量という。変位センサ25は、ジャイロセンサ、加速度センサ等の複数のセンサから構成されてもよい。
【0040】
図4に示すように構成される触覚提示装置2では、変位部202がユーザによって操作されると、変位部202の変位がリンク機構204を介してMRFデバイス24のロータの回転軸への回転方向に伝達される。回転軸は、MRFデバイス24が動作していない場合、すなわち制御電流がゼロである間は、自由に回転するため、変位部202は抵抗なく変動する。一方で、MRFデバイス24が動作し、制御電流が流れている場合には、MRFデバイス24へ流れる電流の大きさに応じてMRFデバイス24内部の磁気粘性流体の粘度(ずり応力)が変化する。制御部20が、MRFデバイス24への電流の大きさを連続的に変更したり、電流値を所定の周波数で振動させたりすることで、変位部202に対する抵抗の力やその出現方法を変更できる。つまり、制御部20はMRFデバイス24に流れる電流の波形及び電流値を制御することによって、あらゆる触覚を提示することができる。
【0041】
このようにして触覚提示装置2は、変位部202の押し込む量に応じて抵抗(電流値)を変動させてヌルリとした触覚を提示したり、押し込む量が大きくなるにつれて抵抗を大きくしてギュッとした固さの触覚を提示したり、抵抗の大小の繰り返しや矩形波によるON及びOFFの繰り返しによってザクザクとした触覚を提示したりすることができる。
【0042】
図5は、サーバ装置3の内部構成を示すブロック図である。サーバ装置3は、視覚提示装置1との間でデータの送受信が可能なゲームサーバである。以下の説明において、サーバ装置3は1台のゲームサーバとして説明するが、複数台のサーバコンピュータをネットワークNで通信接続して分散処理させる態様であってもよい。
【0043】
サーバ装置3は、サーバ処理部30、記憶部31、サーバ通信部32を備える。サーバ処理部30は、CPU及び/又はGPUを用いたプロセッサである。サーバ処理部30は、記憶部31に記憶されているサーバプログラムP3に基づき、ゲームサーバとしての処理を実行する。
【0044】
記憶部31は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive )等の不揮発性メモリである。記憶部31は、サーバ処理部30が参照するデータを記憶する。記憶部31は、サーバプログラムP3を記憶する。サーバプログラムP3は、記憶媒体9に記憶されているサーバプログラムP9をサーバ処理部30が読み出して記憶部31に複製したものであってもよい。サーバプログラムP3は、サーバ通信部32を介して他のプログラムサーバ装置からサーバ処理部30がダウンロードして記憶したものであってもよい。
【0045】
記憶部31は、コンテンツDB311を構成しており、ゲームで使用されるゲームコンテンツを記憶する。記憶部31が記憶するゲームコンテンツは、キャラクタデータ、アイテムデータ等を含む。記憶部31のうち、これらのゲームコンテンツのデータを記憶する記憶領域は、ネットワークNで通信接続された外部記憶媒体であってもよい。
【0046】
キャラクタデータは、ゲーム内に登場するキャラクタCのデータである。キャラクタデータは、名称(識別データ)、感覚DB110に含まれるべき触覚データ、視覚データ(画像、動画、テキスト等)、及び聴覚データ(音声、効果音)を含む。
【0047】
アイテムデータは、キャラクタC毎にキャラクタCに関連するアイテムのデータである。アイテムは特定のゲームによって得られる。アイテムデータは名称、画像データを含む。アイテムデータは、キャラクタデータ同様に触覚データを含んでもよい。アイテムデータは、レア度を含んでもよい。
【0048】
ゲームコンテンツにはその他、キャラクタC毎に、アイテム等との交換に用いられる交換用アイテム又は交換用ポイント等が含まれる。
【0049】
記憶部31は、これらのゲームコンテンツの実体(画像データ等)を、コンテンツ識別データ(以下、コンテンツIDという)に対応付けて記憶する。記憶部31は、各視覚提示装置1でユーザ毎に使用可能なゲームコンテンツのコンテンツIDを、ユーザを識別するユーザIDに対応付けて記憶する。例えば記憶部31は、ユーザIDに対応付けて、ユーザがゲームアプリP1上で使用可能なキャラクタC、アイテム等を識別するコンテンツID及び個数を記憶する。サーバ処理部30は、コンテンツIDを指定した取得要求に応じて、ゲームコンテンツのデータの複製をコンテンツテーブルから読み出して要求元に提供する。これらのユーザIDに対応付けられるデータを記憶する記憶領域は、ネットワークNで通信接続された外部記憶媒体であってもよい。
【0050】
サーバ通信部32は、ネットワークNを介した視覚提示装置1との通信を実現する通信回路を含む。サーバ通信部32は具体的には、ネットワークカードである。サーバ通信部32は、キャリアネットワークN2と接続する無線通信モジュールであってもよいし、WiFi用の無線通信モジュールであってもよい。サーバ処理部30は、サーバ通信部32によって視覚提示装置1との間でデータを送受信する。
【0051】
図6及び
図7は、実施形態1に係る触覚提示の処理手順を示すフローチャートである。ユーザによって、触覚提示を所望するキャラクタC及びゲームコンテンツが選択された場合、視覚提示装置1及び触覚提示装置2は以下の処理を実行する。視覚提示装置1は、選択されたゲームコンテンツの触覚提示を行うためのデータをサーバ装置3から取得しているものとして説明する。
【0052】
処理部10は、選択されたゲームコンテンツの仮想オブジェクトであるキャラクタCの画像及び指画像F(
図8~
図10参照)を含むゲーム画面141を表示し(ステップS101)し、ゲームのキャラクタC用の触覚データテーブルを触覚提示装置2へ送信する(ステップS102)。指画像Fは、変位部202の変位量によってキャラクタCの画像に対する位置が変化する指を模した画像である。変位部202が押し込まれると、指画像FはキャラクタCに近づくように移動する。
【0053】
触覚提示装置2は、通信接続中の視覚提示装置1から触覚データテーブルを受信すると(ステップS201)、受信した触覚データテーブルを触覚データ記憶部21に記憶する(ステップS202)。ステップS201で受信する触覚データは、上述した変位量毎の電流値の一覧テーブルである。
【0054】
触覚提示装置2の制御部20は、変位センサ25から出力される変位部202の変位量(角度)に対応する信号をサンプリングする(ステップS203)。制御部20は、サンプリングにより得られる押し込み量(変位量)を、視覚提示装置1へ送信する(ステップS204)。押し込み量(角度)は、初期位置からの相対的な変位量でもよいし、変位センサ25によって検出された絶対位置でもよい。
【0055】
制御部20は、サンプリングにより得られる変位量に対応する電流値を、触覚データ記憶部21に記憶した触覚データから参照する(ステップS205)。制御部20は、参照して得た電流値に応じた電流をMRFデバイス24へ出力する(ステップS206)。
【0056】
制御部20は、ステップS203~S206の処理を繰り返し実行することにより、キャラクタCの触覚提示を行うことができる。
【0057】
一方、ステップS102の処理を終えた視覚提示装置1の処理部10は、触覚提示装置2から送信される変位量を受信する(ステップS103)。処理部10は、感覚DB110が記憶する視覚データ及び聴覚データを参照し、受信した変位量に対応する画像データと、音声データとを読み出す(ステップS104)。そして、処理部10は、読み出した画像データ及び音声データをそれぞれ表示部14及び音声出力部15から出力させる(ステップS105)。ステップS105の処理によって、キャラクタCの画像は、変位部202の変位量に応じた画像に変更される(
図8~
図10参照)。また、処理部10は、受信した変位量に応じてキャラクタCの画像に対する指画像Fの位置を変更する。変位部202が押し込まれると、指画像FがキャラクタCに近づくように、その位置が変更される。
【0058】
次いで、処理部10は、変位部202の初期位置をゼロとして、変位部202の押し込み量を数値にて定量的に表示する(ステップS106)。初期位置は、把持体201の筐体から変位部202が最も離隔した位置、すなわち把持体201から持ち上げられた上端位置である。
【0059】
また、処理部10は、変位部202の初期位置をゼロとして、変位部202の押し込み量をバーゲージ画像143、円形ゲージ画像144、メーターゲージ画像145等にて表示する(ステップS107)。なお、ステップS106とステップS107は、必ずしも両方実行する必要はなく、ユーザの設定等に応じて、いずれかを選択的に実行してもよい。
【0060】
ステップS103~ステップS107を繰り返すことによって、変位部202の押し込み量に応じたキャラクタCの画像及び音声を出力することができ、変位部202の押し込み量を定量的に表示することができる。
【0061】
次いで、処理部10は、ゲームシナリオに基づいて、ゲームアプリP1を終了するか否かを判定する(ステップS108)。処理部10は、変位部202が最後まで押し込まれ、変位量が所定終了位置に到達した場合、ゲームアプリP1を終了とすると判定してもよい。ゲームアプリP1を終了しないと判定された場合(ステップS108:NO)、処理部10は処理をステップS103へ戻し、キャラクタCの画像及び音声を表示する処理を継続する。ゲームアプリP1を終了すると判定した場合(ステップS108:YES)、処理部10はゲームアプリP1を終了する。
【0062】
図8は、ゲーム画面141の第1の例を示す図である。第1の例のゲーム画面141は、ゲームコンテンツに係るキャラクタCの画像と、変位部202の位置に対応する指画像Fと、押し込み量表示部142と、バーゲージ画像143とを含む。押し込み量表示部142は、変位部202の押し込み量を数値にて表示する。処理部10は、初期位置を0%、最後まで押し込まれた変位部202の位置を100%として、変位部202の位置を数値で表示している。また、バーゲージ画像143は、変位部202の押し込み量を色付き又は図柄付きのバーの長さで表示する。バーゲージ画像143のバーは、押し込み量が大きい程、長くなるものとする。変位部202が初期位置にある場合、バーの長さは「0」、変位部202が最後まで押し込まれた場合、バーの長さは最長となる。
【0063】
図8Aは、変位部202が初期位置にある状態を示している。押し込み量表示部142には「0%」と表示され、バーゲージ画像143のバーの長さは「0」である。
図8Bに示すように変位部202が初期位置から4分の1程押し込まれると、押し込み量表示部142には「25%」と表示され、バーゲージ画像143のバーの長さは最長の長さの25%となる。変位部202が押し込まれて指画像Fが移動し、キャラクタCの画像に接触している。
【0064】
図8Cは、更に変位部202が押し込まれ、初期位置から2分の1程押し込まれた状態を示している。押し込み量表示部142には「50%」と表示され、バーゲージ画像143のバーの長さは最長の長さの50%となる。変位部202が押し込まれ、キャラクタCの画像が変化している。
図8Cに示す例では、ボールがへこんだような画像が表示されている。
【0065】
図8Dは、更に変位部202が押し込まれ、初期位置から90%程度押し込まれた状態を示している。押し込み量表示部142には「90%」と表示され、バーゲージ画像143のバーの長さは最長の長さの90%となる。変位部202が押し込まれ、キャラクタCの画像が変化している。
図8Dに示す例では、ボールが割れたような画像が表示されている。
【0066】
図9は、ゲーム画面141の第2の例を示す図である。
図9A~
図9Dは、
図8と同様の状態を示している。第2の例のゲーム画面141は、バーゲージ画像143に代えて、円形ゲージ画像144を含む。円形ゲージ画像144は、中心位置が共通の円画像と、扇形部分とで構成されている。円形ゲージ画像144は、変位部202の初期位置に対する押し込み量を、扇形部分の面積によってパーセンテージで表示する。円形ゲージ画像144は、押し込み量が大きい程、扇形部分の中心角が大きくなるものとする。変位部202が初期位置にある場合、扇形部分の中心角が「0°」、変位部202が最後まで押し込まれた場合、扇形部分の中心角が「360°」となる。
【0067】
図10は、ゲーム画面141の第3の例を示す図である。
図10A~
図10Dは、
図8と同様の状態を示している。第3の例のゲーム画面141は、バーゲージ画像143に代えて、メーターゲージ画像145を含む。メーターゲージ画像145は、扇形の目盛盤と、針画像とで構成されている。メーターゲージ画像145は、変位部202の初期位置に対する押し込み量を、針画像の位置で表示する。メーターゲージ画像145は、押し込み量が大きい程、針画像が右側へ振れていくものとする。変位部202が初期位置にある場合、針画像が目盛り「0」(左端)、変位部202が最後まで押し込まれた場合、針画像が目盛り「100」(右端)となる。
【0068】
以上の通り、本実施形態1に係るゲームシステム100によれば、触覚提示装置2の変位部202の押し込み量に応じたキャラクタCの画像変化と共に、変位部202の変位量を定量的に表示することができる。
ユーザはキャラクタCの画像の変化又は音声の変化によって、触覚提示装置2の変位部202が押し込まれていることが分かるが、画像及び音声の変化の仕方によっては、変位部202がどの程度、押し込まれているのか認識しにくいことがある。本実施形態1によれば、変位部202の押し込み量が定量的に表示されるため、ユーザは、実際の変位部202の変位量と、触覚提示装置2の操作感の認識とを一致させることができ、ユーザが違和感を覚えることを防ぐことができる。
【0069】
より具体的には、視覚提示装置1は、変位部202の押し込み量を押し込み量表示部142にて数値で表示することができる。
【0070】
また、視覚提示装置1は、変位部202の押し込み量をバーゲージ画像143、円形ゲージ画像144、メーターゲージ画像145等を用いて表示することができる。
【0071】
更に、本実施形態1に係る視覚提示装置1は、初期位置(把持体201の筐体から変位部202が最も離隔した位置)をゼロとして、変位部202押し込み量を表示することができる。ユーザは、初期位置を基準とした変位部202の押し込み量を認識することができる。
【0072】
(実施形態2)
実施形態2におけるゲームシステム(仮想オブジェクト触覚提示システム)100は、変位部202の押し込み量の計算方法が実施形態1と異なる。ゲームシステム100のその他の構成は、実施形態1に係るゲームシステム100と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0073】
図11は、実施形態2に係る触覚提示の処理手順を示すフローチャートである。実施形態2に係る視覚提示装置1は、実施形態1と同様ステップS101~105の処理を実行し、触覚提示装置2は、実施形態1と同様ステップS201~ステップS206の処理を実行する。
【0074】
ステップS105の処理を実行した処理部10は、次いで、触覚提示装置2が触覚提示を開始する位置をゼロとして、変位部202の押し込み量を数値にて定量的に表示する(ステップS136)。処理部10は、触覚データテーブルを参照し、触覚提示装置2のMRFデバイス24に電流が流れ始める変位部202の変位量を、触覚提示を開始する位置として特定することができる。例えば、初期位置を基準にして変位量0°~9°に対応する電流値が0Aで、変位量10°に対応する電流値が非ゼロである場合、変位量10°を基準して、変位部202の押し込み量を算出して表示部14に表示する。
【0075】
処理部10は、触覚提示装置2が触覚提示を開始する位置から、変位部202が最後まで押し込まれるまでの角度を100として、変位部202の変位量を表示するように構成するとよい。変位部202が変位できる角度範囲をθ、初期位置を基準にして触覚提示装置2が触覚提示を開始する位置をφ、現在の変位部202の変位量(角度)をωとした場合、現在の変位部202の押し込み量を(ω-φ)/(θ-φ)として計算するとよい。変位部202が変位できる角度範囲がθ=40°、初期位置を基準にして触覚提示装置2が触覚提示を開始する位置をφ=10°、現在の変位部202の変位量(角度)をω=25°とした場合、現在の変位部202の押し込み量は50%=(25°-10°)/(40°-10°)となる。
【0076】
また、処理部10は、触覚提示装置2が触覚提示を開始する位置をゼロとして、変位部202の押し込み量をバーゲージ画像143、円形ゲージ画像144、メーターゲージ画像145等にて表示する(ステップS137)。処理部10は、ステップS136と同様にして変位部202の押し込み量を算出し、算出された押し込み量をバーゲージ画像143、円形ゲージ画像144、メーターゲージ画像145等に表示する。なお、ステップS136とステップS137は、必ずしも両方実行する必要はなく、ユーザの設定等に応じて、いずれかを選択的に実行してもよい。
【0077】
実施形態2に係るゲームシステム100によれば、触覚提示装置2が触覚提示を開始する位置をゼロとして、変位部202の押し込み量を表示部14に表示することができる。ユーザは、触覚を感じ初めてからの変位部202の押し込み量を定量的に認識することができる。
【0078】
(実施形態3)
実施形態3におけるゲームシステム(仮想オブジェクト触覚提示システム)100は、変位部202の押し込み量の計算方法が実施形態1と異なる。ゲームシステム100のその他の構成は、実施形態1に係るゲームシステム100と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0079】
図12は、実施形態3に係る触覚提示の処理手順を示すフローチャートである。実施形態3に係る視覚提示装置1は、実施形態1と同様ステップS101~105の処理を実行し、触覚提示装置2は、実施形態1と同様ステップS201~ステップS206の処理を実行する。
【0080】
ステップS105の処理を実行した処理部10は、次いで、キャラクタCの画像に対して、指画像Fが接触した位置をゼロとして、変位部202の押し込み量を数値にて定量的に表示する(ステップS156)。
【0081】
処理部10は、キャラクタCの画像に対して、指画像Fが接触した位置から、変位部202が最後まで押し込まれるまでの角度を100として、変位部202の変位量を表示するように構成するとよい。変位部202が変位できる角度範囲をθ、初期位置を基準にしてキャラクタCの画像に指画像Fが接触した位置をφ、現在の変位部202の変位量(角度)をωとした場合、現在の変位部202の押し込み量を(ω-φ)/(θ-φ)として計算するとよい。
【0082】
また、処理部10は、キャラクタCの画像に対して、指画像Fが接触した位置をゼロとして、変位部202の押し込み量をバーゲージ画像143、円形ゲージ画像144、メーターゲージ画像145等にて表示する(ステップS157)。処理部10は、ステップS156と同様にして変位部202の押し込み量を算出し、算出された押し込み量をバーゲージ画像143、円形ゲージ画像144、メーターゲージ画像145等に表示する。なお、ステップS156とステップS157は、必ずしも両方実行する必要はなく、ユーザの設定等に応じて、いずれかを選択的に実行してもよい。
【0083】
実施形態3に係るゲームシステム100によれば、キャラクタCの画像に対して、指画像Fが接触した位置をゼロとして、変位部202の押し込み量を表示部14に表示することができる。ユーザは、触覚を感じ初めてからの変位部202の押し込み量を定量的に認識することができる。
【0084】
本開示の課題を解決するための手段を付記する。
(付記1)
仮想オブジェクトを視覚的に提示する視覚提示装置と、前記仮想オブジェクトを触覚的に提示する触覚提示装置とを備える仮想オブジェクト触覚提示システムであって、
前記触覚提示装置は、
ユーザによって把持される把持体と、
ユーザの操作によって前記把持体から接離する方向へ変位可能な部材であり、力覚を生じさせる変位部と、
該変位部の変位量を検出する変位センサと、
検出された前記変位部の変位量を前記視覚提示装置へ送信する通信部と
を備え、
前記視覚提示装置は、
前記触覚提示装置から送信された変位量を受信する通信部と、
該通信部にて受信した変位量を定量的に表示する処理を実行する処理部と
を備える仮想オブジェクト触覚提示システム。
(付記2)
前記処理部は、
前記仮想オブジェクトの画像を表示し、前記通信部にて受信した変位量に応じて、前記仮想オブジェクトの画像を変更すると共に、前記変位量を定量的に表示する
付記1に記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
(付記3)
前記処理部は、
前記変位部の変位量を、数値又はゲージ画像にて表示する
付記1又は付記2に記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
(付記4)
前記処理部は、
前記把持体に対する前記変位部の所定位置をゼロとして、前記変位部の変位量を定量的に表示する
付記1から付記3のいずれか1つに記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
(付記5)
前記処理部は、
前記触覚提示装置が触覚提示を開始する位置をゼロとして、前記変位部の変位量を定量的に表示する
付記1から付記4のいずれか1つに記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
(付記6)
前記処理部は、
前記仮想オブジェクトの画像と、前記変位部の位置に対応する指画像とを表示し、受信した変位量に応じて前記オブジェクトの画像に対する前記指画像の位置を変更するようにしてあり、
前記オブジェクトの画像に対して、前記指画像が接触した位置をゼロとして、前記変位部の変位量を定量的に表示する
付記1から付記5のいずれか1つに記載の仮想オブジェクト触覚提示システム。
【符号の説明】
【0085】
1 :視覚提示装置
2 :触覚提示装置
3 :サーバ装置
10 :処理部
11 :記憶部
12 :第1通信部
13 :第2通信部
14 :表示部
15 :音声出力部
16 :操作部
20 :制御部
21 :触覚データ記憶部
22 :通信部
23 :電源部
24 :MRFデバイス
25 :変位センサ
100 :ゲームシステム
141 :ゲーム画面
142 :押し込み量表示部
143 :バーゲージ画像
144 :円形ゲージ画像
145 :メーターゲージ画像
201 :把持体
202 :変位部
C :キャラクタ
F :指画像
P1 :ゲームアプリ