(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137205
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】接合治具
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61M25/00 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048635
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】藤本 充千
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB02
4C267CC07
4C267CC08
4C267CC26
4C267GG02
4C267GG22
4C267GG24
4C267GG31
4C267HH01
(57)【要約】
【課題】ワイヤ等の線状部材とリング状部材との接合位置の精度を高め、安定して接合することができる接合治具を提供する。
【解決手段】リング状部材110に複数の線状部材120の遠位部を接合するための治具1であって、中心軸を有しており、中心軸を回転軸として回転可能である回転体60と、回転体60に対向して配置されており、回転体60から離れる方向に延在している線状部材支持部20と、リング状部材110の内腔に挿入可能であって、回転体60の線状部材支持部20側に突出している複数の突出部11と、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状部材に複数の線状部材の遠位部を接合するための治具であって、
中心軸を有しており、前記中心軸を回転軸として回転可能である回転体と、
前記回転体に対向して配置されており、前記回転体から離れる方向に延在している線状部材支持部と、
前記リング状部材の内腔に挿入可能であって、前記回転体の前記線状部材支持部側に突出している複数の突出部と、を有している接合治具。
【請求項2】
前記回転体の前記線状部材支持部側の面において、前記回転体は、前記回転体の外形の図心を中心とし、前記回転体の外形の短径の長さの半分を直径とした円の領域である中央部と、前記中央部を除いた領域である周縁部と、を有しており、
複数の前記突出部は、前記周縁部に配置されている請求項1に記載の接合治具。
【請求項3】
複数の前記突出部は、前記回転体の前記中心軸に平行な方向に延在しており、
複数の前記突出部は、それぞれの前記突出部の延在方向に垂直な断面積が異なっている請求項1または2に記載の接合治具。
【請求項4】
前記線状部材支持部は、前記リング状部材に未接合の線状部材を載置可能である第1溝部と、前記リング状部材に接合された線状部材を収容可能である第2溝部と、を有している請求項1または2に記載の接合治具。
【請求項5】
前記第1溝部の深さ方向は、鉛直方向であり、
前記第2溝部の深さ方向は、水平方向である請求項4に記載の接合治具。
【請求項6】
前記第2溝部の最大深さは、前記第1溝部の最大深さよりも大きい請求項4に記載の接合治具。
【請求項7】
前記突出部の延在方向に垂直な断面における前記突出部の断面形状は、上部に曲部と、前記曲部の下方に直線部を有している請求項1または2に記載の接合治具。
【請求項8】
前記線状部材支持部は、前記リング状部材に未接合の線状部材を載置可能である第1溝部と、前記リング状部材に接合された線状部材を収容可能である第2溝部と、を有しており、
前記第2溝部は、上部壁面を有しており、
前記第2溝部の延在方向から見て、前記直線部が前記上部壁面となす角度は、0度以上10度以下(0度を含む)である請求項7に記載の接合治具。
【請求項9】
前記リング状部材は、前記リング状部材の軸方向に沿って延在している切り欠き部を有しており、
前記リング状部材に未接合の線状部材は、前記第1溝部に載置され、かつ前記切り欠き部の内部に配置される請求項4に記載の接合治具。
【請求項10】
前記突出部は、前記突出部から前記線状部材支持部へ向かう方向に延在している第3溝部を有しており、
前記第3溝部の深さ方向から見て、前記第3溝部の一方端および他方端を通る仮想直線は、前記第1溝部に重なっている請求項9に記載の接合治具。
【請求項11】
前記第1溝部の幅は、前記切り欠き部の幅よりも大きい請求項9に記載の接合治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング状部材に複数の線状部材の遠位部を接合するための治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、通常、血管や消化管、尿管等の体腔に挿入するためのチューブと、チューブの近位側に設けられたハンドルと、から構成されている。カテーテルには、手元側のハンドルを操作してチューブの遠位端部を屈曲できるように構成されたものが知られている。
【0003】
このようなカテーテルとして、チューブの内腔にワイヤが配され、ワイヤの遠位端部がチューブの遠位端部に配されているリング状の部材に固定され、ワイヤの近位端部がハンドルに接続されており、ハンドルを操作することによりチューブの遠位端部を屈曲することができるものがある。例えば、チューブの内腔にワイヤが2本配されたカテーテルでは、ハンドルを操作することにより、2本のワイヤの一方を近位側に引っ張ることでチューブの遠位端部を一方側に屈曲させ、他方を引っ張ることでチューブの遠位端部を他方側に屈曲させることができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、両側面にそれぞれ取付溝が設けられ、遠位端にはリング部材を着脱自在に取り付けるための取付凸部が設けられているワイヤ付きリングの製造用治具であって、前記取付溝には、それぞれ前記第1ワイヤおよび第2ワイヤの遠位端が軸方向に移動自在で着脱自在に取り付けることが可能になっており、前記治具の遠位端から飛び出している前記第1ワイヤおよび第2ワイヤの各遠位端が前記リング部材の通孔の内周面に接触しながら前記通孔を貫通して飛び出すように、前記リング部材を前記治具の取付凸部に着脱自在に取り付けられるようになっているワイヤ付きリングの製造用治具が記載されている。また、特許文献2には、略円筒状の円筒部を有する複数の節輪を軸心方向に沿って順次隣接して基端から先端にわたって延在するように配設してなる節輪構造体であって、前記複数の節輪の各節輪は、前記円筒部の基端側の面に突出するように形成され、軸心に関して互いに略対称な位置に配置された一対の基端側山部と、前記円筒部の先端側の面に突出するように形成され、前記基端側山部に対応する位置に配置された一対の先端側山部とを備え、先端部が最先端の節輪に係合し、基端部が当該節輪構造体の基端に至る複数のワイヤを設けた節輪構造体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-163128号公報
【特許文献2】特開2020-137898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カテーテルの遠位端部を屈曲させる機構において、リング状の部材とワイヤとは、強固かつ精密な接合が必要である。カテーテルの低侵襲性のため、カテーテルのシャフトの外径を小さくする要望があるが、外径が小さいチューブは内径も小さく、リング状の部材およびワイヤを配置するチューブの空間も小さくなる。リング状の部材とワイヤとの接合強度を高めるために、リング状部材にワイヤを接合する際に生じてしまうワイヤの浮きや接合のばらつきを抑え、安定的に接合することが求められている。
【0007】
特許文献1および2に記載されているような構成では、リング状の部材とワイヤとの接合や接合位置にばらつきが生じやすく、安定的な接合のために改善の余地があった。
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイヤ等の線状部材とリング状部材との接合位置の精度を高め、安定して接合することができる接合治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決することができた本発明の接合治具は、以下の通りである。
[1]リング状部材に複数の線状部材の遠位部を接合するための治具であって、
中心軸を有しており、前記中心軸を回転軸として回転可能である回転体と、
前記回転体に対向して配置されており、前記回転体から離れる方向に延在している線状部材支持部と、
前記リング状部材の内腔に挿入可能であって、前記回転体の前記線状部材支持部側に突出している複数の突出部と、を有している接合治具。
[2]前記回転体の前記線状部材支持部側の面において、前記回転体は、前記回転体の外形の図心を中心とし、前記回転体の外形の短径の長さの半分を直径とした円の領域である中央部と、前記中央部を除いた領域である周縁部と、を有しており、
複数の前記突出部は、前記周縁部に配置されている[1]に記載の接合治具。
[3]複数の前記突出部は、前記回転体の前記中心軸に平行な方向に延在しており、
複数の前記突出部は、それぞれの前記突出部の延在方向に垂直な断面積が異なっている[1]または[2]に記載の接合治具。
[4]前記線状部材支持部は、前記リング状部材に未接合の線状部材を載置可能である第1溝部と、前記リング状部材に接合された線状部材を収容可能である第2溝部と、を有している[1]~[3]のいずれかに記載の接合治具。
[5]前記第1溝部の深さ方向は、鉛直方向であり、
前記第2溝部の深さ方向は、水平方向である[4]に記載の接合治具。
[6]前記第2溝部の最大深さは、前記第1溝部の最大深さよりも大きい[4]または[5]に記載の接合治具。
[7]前記突出部の延在方向に垂直な断面における前記突出部の断面形状は、上部に曲部と、前記曲部の下方に直線部を有している[1]~[6]のいずれかに記載の接合治具。
[8]前記線状部材支持部は、前記リング状部材に未接合の線状部材を載置可能である第1溝部と、前記リング状部材に接合された線状部材を収容可能である第2溝部と、を有しており、
前記第2溝部は、上部壁面を有しており、
前記第2溝部の延在方向から見て、前記直線部が前記上部壁面となす角度は、0度以上10度以下(0度を含む)である[7]に記載の接合治具。
[9]前記リング状部材は、前記リング状部材の軸方向に沿って延在している切り欠き部を有しており、
前記リング状部材に未接合の線状部材は、前記第1溝部に載置され、かつ前記切り欠き部の内部に配置される[4]~[8]のいずれかに記載の接合治具。
[10]前記突出部は、前記突出部から前記線状部材支持部へ向かう方向に延在している第3溝部を有しており、
前記第3溝部の深さ方向から見て、前記第3溝部の一方端および他方端を通る仮想直線は、前記第1溝部に重なっている[4]~[9]のいずれかに記載の接合治具。
[11]前記第1溝部の幅は、前記切り欠き部の幅よりも大きい[4]~[10]のいずれかに記載の接合治具。
【発明の効果】
【0010】
本発明の接合治具によれば、中心軸を回転軸として回転可能である回転体と、回転体に対向して配置されており回転体から離れる方向に延在している線状部材支持部と、リング状部材の内腔に挿入可能であって回転体の線状部材支持部側に突出している複数の突出部と、を有していることにより、回転体を回転させることによって接合を行うリング状部材の形状や接合する線状部材の数等に適した突出部に切り替えることが容易となる。そのため、リング状部材と線状部材との接合において、リング状部材と線状部材との位置合わせを行いながら接合することを効率的に行いやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態における接合治具の斜視図を表す。
【
図2】複数の線状部材の遠位部が接合されたリング状部材の斜視図を表す。
【
図3】
図1に示した接合治具の回転体の側面図を表す。
【
図5】
図1に示した接合治具の突出部の延在方向に垂直な断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0013】
図1は本発明の一実施の形態における接合治具1の斜視図であり、
図2は複数の線状部材120の遠位部が接合されたリング状部材110の斜視図を表す。なお、
図1は、接合治具1を用いてリング状部材110に線状部材120を接合している状態を図示しており、接合治具1にリング状部材110および線状部材120が配置されている。
図1および
図2に示すように、接合治具1は、リング状部材110に複数の線状部材120の遠位部を接合するための治具であって、中心軸を有しており、中心軸を回転軸として回転可能である回転体60と、回転体60に対向して配置されており、回転体60から離れる方向に延在している線状部材支持部20と、リング状部材110の内腔に挿入可能であって、回転体60の線状部材支持部20側に突出している複数の突出部11と、を有している。
【0014】
接合治具1は、チューブと、チューブの遠位端部の内腔に配置されているリング状部材110と、リング状部材110に遠位端が接合されている複数の線状部材120と、を有する先端可動カテーテルの製造において用いられるものであることが好ましい。
【0015】
図2に示すように、リング状部材110に複数の線状部材120の遠位部が接合される。カテーテルのシャフトを構成するチューブの内腔に、複数の線状部材120の遠位部が接合されているリング状部材110を配置し、複数の線状部材120の近位部をハンドルに接続することにより、ハンドルの操作によってチューブの遠位端部を屈曲させることが可能となる。
【0016】
リング状部材110は、リング状の部材である。リング状部材110の形状は、例えば、円筒状、多角筒状、筒に切れ込みが入った断面C字状の形状、線材を巻回したコイル形状等が挙げられる。中でも、リング状部材110の形状は、円筒状であることが好ましい。リング状部材110の形状が円筒状であることにより、リング状部材110の表面が滑らかなものとなる。そのため、カテーテルにおいて、リング状部材110の表面とチューブとが接触してもチューブを傷つけにくくすることができる。
【0017】
リング状部材110を構成する材料としては、ステンレス鋼、炭素鋼、チタン、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等の金属、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリカーボネート樹脂、繊維強化樹脂等の合成樹脂、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、天然ゴム等が挙げられる。中でも、リング状部材110を構成する材料は、金属であることが好ましく、ステンレス鋼であることがより好ましい。リング状部材110を構成する材料が金属であることにより、リング状部材110の強度が高まり、チューブの遠位端部を繰り返し屈曲させてもリング状部材110が破損しにくくなる。
【0018】
線状部材120は、1本の線材であってもよく、複数の線材からなる構成を有していてもよい。つまり、線状部材120は、単線であってもよく撚線であってもよい。中でも、線状部材120は、単線であることが好ましい。線状部材120が単線であることにより、線状部材120をリング状部材110に強固に接合しやすくすることができる。
【0019】
線状部材120の長手軸方向に垂直な断面の形状は、例えば、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状とすることができる。中でも、線状部材120の長手軸方向に垂直な断面の形状は、円形状であることが好ましい。線状部材120の断面形状が円形状であることにより、線状部材120の表面が滑らかになる。そのため、チューブの内腔において、線状部材120がチューブに接触してもチューブを破損しにくくすることが可能となる。
【0020】
線状部材120を構成する材料としては、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等の金属、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、炭素繊維等の繊維が挙げられる。繊維は、モノフィラメントであってもよいし、マルチフィラメントであってもよい。中でも、線状部材120を構成する材料は、金属であることが好ましく、ステンレス鋼であることがより好ましい。線状部材120を構成する材料が金属であることにより、線状部材120の強度を高めることができ、チューブの遠位端部の屈曲のために線状部材120を手元側に引いても線状部材120を破損しにくくすることができる。
【0021】
線状部材120を構成する材料は、リング状部材110を構成する材料と異なるものであってもよいが、リング状部材110を構成する材料と同じものであることが好ましい。線状部材120を構成する材料が、リング状部材110を構成する材料と同じものであることにより、リング状部材110と線状部材120との接合強度を高めやすくなる。
【0022】
図1に示すように、接合治具1は、回転体60、線状部材支持部20、および複数の突出部11を有している。回転体60は、中心軸を有しており、この中心軸を回転軸として回転可能である。線状部材支持部20は、回転体60に対向して配置されており、回転体60から離れる方向に延在している。つまり、線状部材支持部20は、回転体60の軸方向に対向して配置されている。回転体60は、
図1に示すように、円盤状の形状であることが好ましい。突出部11は、リング状部材110の内腔に挿入可能であり、回転体60の線状部材支持部20の方向へ突出している。リング状部材110への線状部材120の接合において、接合治具1は、突出部11によってリング状部材110を支持し、線状部材支持部20によって線状部材120を支持する。
【0023】
接合治具1が、リング状部材110の内腔に挿入可能であり、回転体60の線状部材支持部20の方向へ突出している突出部11を有していることにより、リング状部材110の内方からリング状部材110を支持することができる。そのため、リング状部材110と線状部材120との接合を安定して行いやすくなる。
【0024】
突出部11の延在方向の長さは、リング状部材110の軸方向の長さよりも長いことが好ましい。突出部11の延在方向の長さは、リング状部材110の軸方向の長さよりも長いことにより、リング状部材110の軸方向の全体を突出部11によって支えることが可能となる。そのため、突出部11によってリング状部材110をより安定して支持することができる。
【0025】
回転体60の線状部材支持部20に近い側に複数の突出部11が配されていることにより、回転体60を回転させることによって、接合に用いるリング状部材110や線状部材120に適した突出部11に切り替えることが可能となる。そのため、リング状部材110および線状部材120の位置合わせを精度よく行うことができ、リング状部材110と線状部材120との接合を効率的に行いやすくすることが可能となる。
【0026】
回転体60を構成する材料は、鉄、銅、アルミニウム、またはこれらの合金等の金属、アクリル樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)等の合成樹脂が挙げられる。例えば、鉄の合金としてはステンレス鋼等が挙げられ、銅の合金としては真鍮等が挙げられ、アルミニウムの合金としてはジュラルミン等が挙げられる。中でも、回転体60を構成する材料は、金属であることが好ましい。回転体60を構成する材料が金属であることにより、回転体60の強度を高めることができる。
【0027】
突出部11は、回転体60とは別の部材であってもよく、回転体60と一体の構造であってもよい。中でも、突出部11は、回転体60と一体構造であることが好ましい。突出部11が回転体60と一体構造であることにより、回転体60を回転させたとき等において突出部11が回転体60から意図せず外れてしまうことを防止できる。その結果、安定してリング状部材110と線状部材120との接合を行うことができる接合治具1とすることができる。
【0028】
突出部11が回転体60と別の部材である場合、突出部11を構成する材料は、鉄、銅、アルミニウム、またはこれらの合金等の金属、アクリル樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)等の合成樹脂が挙げられる。中でも、突出部11を構成する材料は、リング状部材110を構成する材料および線状部材120を構成する材料と異なる材料であることが好ましい。突出部11を構成する材料がリング状部材110および線状部材120を構成する材料と異なる材料であることにより、リング状部材110に線状部材120を接合する際に、突出部11も一緒に接合されてしまうおそれを低減することができる。
【0029】
また、突出部11を構成する材料は、リング状部材110および線状部材120を構成する材料と異なる材料であって、かつ、金属であることが好ましい。具体的には、リング状部材110および線状部材120を構成する材料がステンレス鋼である場合、突出部11を構成する材料は、真鍮であることが好ましい。突出部11を構成する材料がリング状部材110および線状部材120を構成する材料と異なる材料かつ金属であることにより、リング状部材110と線状部材120との接合の際にリング状部材支持部10も一緒に接合されてしまうことを防止しながら、突出部11の強度を高めることができる。そのため、突出部11にリング状部材110を繰り返し取り付けおよび取り外ししても、突出部11が変形する等の破損が生じにくくなる。
【0030】
突出部11が回転体60と別の部材である場合、突出部11を構成する材料は、回転体60を構成する材料と同じであることが好ましい。突出部11を構成する材料が回転体60を構成する材料と同じであることにより、回転体60に突出部11を取り付ける際に、回転体60および突出部11の少なくとも一方を傷つけにくくすることができる。
【0031】
線状部材支持部20を構成する材料は、鉄、銅、アルミニウム、またはこれらの合金等の金属、アクリル樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)等の合成樹脂が挙げられる。中でも、線状部材支持部20を構成する材料は、合成樹脂であることが好ましい。線状部材支持部20を構成する材料が合成樹脂であることにより、線状部材支持部20の重量が重くなりにくくなる。その結果、接合治具1の全体の重量を軽量化することができ、取り扱いやすい接合治具1とすることができる。また、線状部材支持部20を構成する材料が合成樹脂であることにより、線状部材120等の他物と線状部材支持部20とが接触した際に他物を傷つけにくくすることが可能となる。
【0032】
リング状部材110と線状部材120との接合は、例えば、溶接、接着、溶着、ろう付け等の方法が挙げられる。中でも、リング状部材110と線状部材120との接合は、溶接であることが好ましい。リング状部材110と線状部材120とが溶接によって接合されていることにより、リング状部材110と線状部材120との接合強度を高めやすくすることができる。
【0033】
リング状部材110における線状部材120との接合箇所は、リング状部材110の少なくとも外表面にあることが好ましい。具体的には、リング状部材110と線状部材120とが溶接によって接合されている場合、リング状部材110の外方から溶接を行い、リング状部材110の少なくとも外表面においてリング状部材110と線状部材120とが接合されていることが好ましい。リング状部材110における線状部材120との接合箇所がリング状部材110の少なくとも外表面にあることにより、リング状部材110と線状部材120との接合が行いやすくなり、リング状部材110と線状部材120との位置合わせの精度を高めることや接合強度を高めることが可能となる。
【0034】
図1に示すように、接合治具1は、回転体60および線状部材支持部20を固定する台座40を有していることが好ましい。台座40は、台座40の上方に回転体60および線状部材支持部20を載置して固定することが好ましい。接合治具1が台座40を有していることにより、回転体60および線状部材支持部20を安定して配置することができ、リング状部材110と線状部材120との接合が行いやすくなる。
【0035】
台座40を構成する材料は、鉄、銅、アルミニウム、またはこれらの合金等の金属、アクリル樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)等の合成樹脂が挙げられる。中でも、台座40を構成する材料は、合成樹脂であることが好ましい。台座40を構成する材料が合成樹脂であることにより、接合治具1の全体の重量を軽量なものとすることができ、接合治具1を取り扱いやすくすることができる。また、台座40を構成する材料が合成樹脂であることにより、台座40にリング状部材110や線状部材120等の他物が接触した際に、他物に傷がつくおそれを低減することが可能となる。台座40を構成する材料は、線状部材支持部20を構成する材料と同じものであることがより好ましい。
【0036】
図3は接合治具1の回転体60の側面図である。
図3は回転体60を突出部11の先端側、つまり線状部材支持部20が配置されている側から見た図である。
【0037】
図3に示すように、回転体60の線状部材支持部20側の面において、回転体60は、回転体60の外形の図心を中心とし、回転体60の外形の短径の長さの半分を直径とした円の領域である中央部A1と、中央部A1を除いた領域である周縁部A2と、を有しており、複数の突出部11は、周縁部A2に配置されていることが好ましい。複数の突出部11が、回転体60の周縁部A2に配置されていることにより、回転体60を回転することによる突出部11の切り替えが行いやすくなる。また、1つの回転体60に多くの突出部11を設けやすくすることが可能となる。
【0038】
回転体60の中央部A1には、突出部11が配置されていないことが好ましい。つまり、突出部11は、周縁部A2に配置されており、中央部A1には配置されていないことが好ましい。中央部A1には突出部11が配置されていないことにより、線状部材120を接合するリング状部材110に、回転体60に配置されている突出部11を挿入しやすくすることができる。そのため、リング状部材110と線状部材120との接合が行いやすい接合治具1とすることができる。
【0039】
図1および
図3に示すように、複数の突出部11は、回転体60の中心軸に平行な方向に延在しており、複数の突出部11は、それぞれの突出部11の延在方向に垂直な断面積が異なっていることが好ましい。つまり、複数の突出部11は、突出部11の延在方向に垂直な断面における突出部11の形状や大きさがそれぞれ異なっていることが好ましい。複数の突出部11は、それぞれの突出部11の延在方向に垂直な断面積が異なっていることにより、リング状部材110と線状部材120との接合において、接合に用いるリング状部材110の形状や接合する線状部材120の数等、様々な態様のリング状部材110および線状部材120に対応することができる接合治具1とすることが可能となる。
【0040】
図1に示すように、線状部材支持部20は、リング状部材110に未接合の線状部材121を載置可能である第1溝部31と、リング状部材110に接合された線状部材122を収容可能である第2溝部32と、を有していることが好ましい。接合治具1を用いたリング状部材110と線状部材120との接合において、リング状部材110に接合する前の線状部材121を線状部材支持部20の第1溝部31に載置し、リング状部材110に接合した後の線状部材122を線状部材支持部20の第2溝部32に収容する。具体的には、線状部材120を第1溝部31に載置して、第1溝部31に載置されている線状部材121を突出部11が支持しているリング状部材110に接合し、リング状部材110を回転や移動させる等して、リング状部材110に接合された線状部材122を第2溝部32に収容する。
【0041】
線状部材支持部20が、リング状部材110に未接合の線状部材121を載置可能である第1溝部31を有していることにより、リング状部材110に接合する前の線状部材121を第1溝部31に配置することによって、リング状部材110と線状部材121との位置合わせを行いやすくすることができる。そのため、リング状部材110に線状部材120を精度よく目的の位置に配置することが行いやすく、線状部材120が接合されている位置の精度がよいリング状部材110を製造しやすくなる。
【0042】
また、線状部材支持部20が、リング状部材110に接合された線状部材122を収容可能である第2溝部32を有していることにより、リング状部材110に接合した後の線状部材122を第2溝部32に収容することによって、接合後の線状部材120がリング状部材110と他の接合前の線状部材121とを接合するときの妨げとなりにくくすることができる。その結果、複数の線状部材120を精度よく位置合わせしながらリング状部材110に接合することが行いやすくなる。
【0043】
図4は接合治具1の側面図であり、線状部材支持部20側から接合治具1を見た図である。
図4に示すように、第1溝部31の深さ方向は、鉛直方向であり、第2溝部32の深さ方向は、水平方向であることが好ましい。線状部材支持部20が有している第1溝部31の深さ方向が鉛直方向であることにより、リング状部材110に接合する前の線状部材120を第1溝部31に載置して支持することができる。その結果、リング状部材110と線状部材120との接合位置の調整が行いやすくなる。線状部材支持部20が有している第2溝部32の深さ方向が水平方向であることにより、リング状部材110と線状部材120とを接合した後に、リング状部材110をリング状部材110の周方向に回転させることによって、リング状部材110に接合されている線状部材120を第2溝部32の内方に収容することができる。その結果、リング状部材110に別の線状部材120を接合することが行いやすくなる。
【0044】
図4に示すように、第2溝部32の最大深さD4は、第1溝部31の最大深さD3よりも大きいことが好ましい。なお、
図5に示すように、第1溝部31の深さ方向が鉛直方向である場合、第1溝部31の最大深さD3は、鉛直方向における第1溝部31の開口部から底部までの最大の距離を指す。また、
図5に示すように、第2溝部32の深さ方向が水平方向である場合、第2溝部32の最大深さD4は、水平方向における第2溝部32の開口部から底部までの最大の距離を指す。第2溝部32の最大深さD4が第1溝部31の最大深さD3よりも大きいことにより、リング状部材110に接合された線状部材122を第2溝部32の奥深くに収容することが可能となる。その結果、リング状部材110の周方向において隣接する線状部材120の距離を離すことができ、リング状部材110と線状部材120との接合が行いやすくなる。
【0045】
第2溝部32の最大深さD4は、第1溝部31の最大深さD3の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、15倍以上であることがさらに好ましい。第2溝部32の最大深さD4と第1溝部31の最大深さD3との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、第2溝部32の中にリング状部材110に接合された線状部材122を収容しやすくすることができる。また、第2溝部32の最大深さD4は、第1溝部31の最大深さD3の100倍以下であることが好ましく、95倍以下であることがより好ましく、90倍以下であることがさらに好ましい。第2溝部32の最大深さD4と第1溝部31の最大深さD3との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、第2溝部32の深さが深くなりすぎることを防ぎ、線状部材支持部20の強度を高めることができる。
【0046】
接合治具1は、回転体60および線状部材支持部20の少なくとも一方が、互いに近づく方向および離れる方向へ移動可能であることが好ましい。詳細には、接合治具1は、回転体60から線状部材支持部20へ向かう方向における突出部11と線状部材支持部20との最短距離が、リング状部材110の軸方向の長さL1よりも大きい第1距離である第1状態と、回転体60から線状部材支持部20へ向かう方向における突出部11と線状部材支持部20との最短距離が、第1距離よりも小さい第2距離である第2状態と、を有していることが好ましい。回転体60および線状部材支持部20の少なくとも一方が、互いに近づく方向および離れる方向へ移動可能であることにより、突出部11の先端から線状部材支持部20へ向かう方向における突出部11と線状部材支持部20との距離を変えることができ、突出部11へのリング状部材110の取り付けや取り外しが行いやすく、また、リング状部材110と線状部材120との位置合わせを行いやすくすることができる。
【0047】
回転体60は、線状部材支持部20へ近づく方向、および線状部材支持部20から離れる方向にそれぞれ移動可能であることが好ましい。回転体60が線状部材支持部20へ近づく方向および線状部材支持部20から離れる方向にそれぞれ移動可能であることにより、リング状部材110と線状部材120との位置合わせや、リング状部材110を突出部11から取り外す際に、回転体60を移動させることによって線状部材支持部20により支持されている線状部材120に負荷が加わりにくくなる。その結果、リング状部材110に線状部材120を接合する際に、線状部材120が折れ曲がる等の破損が起こりにくくなる。
【0048】
線状部材支持部20は、回転体60へ近づく方向および回転体60から離れる方向の少なくとも一方に移動可能であってもよいが、いずれの方向にも移動できないことが好ましい。線状部材支持部20が移動不可であることにより、線状部材支持部20が支持している線状部材120に、線状部材支持部20が移動することによる負荷が加わりにくくなり、線状部材120の破損を防ぎやすくすることができる。
【0049】
図5は接合治具1の突出部11の延在方向に垂直な断面図である。
図5に示すように、突出部11の延在方向に垂直な断面における突出部11の断面形状は、上部に曲部12と、曲部12の下方に直線部13を有していることが好ましい。突出部11の延在方向に垂直な断面における直線部13の延在方向は、水平方向であってもよく、鉛直方向であってもよい。突出部11の断面形状が、上部に曲部12と、曲部12の下方に直線部13を有していることにより、曲部12によってリング状部材110の上部をリング状部材110の内方から支えながら、突出部11が直線部13を曲部12の下方に有していることにより、リング状部材110に接合された線状部材122が突出部11に干渉しにくくなる。そのため、突出部11が内腔に挿入されているリング状部材110を回転させやすくすることができる。また、突出部11が内腔に挿入されているリング状部材110を回転させた際に、リング状部材110に接合されている線状部材120が突出部11に接触しにくくなり、線状部材120が折れ曲がる等の破損が生じにくくなる。
【0050】
図5に示すように、突出部11の延在方向に垂直な断面における突出部11の断面形状は、曲部12の下方に、水平方向に延在している直線部13と、鉛直方向に延在している直線部13aの両方を有していることが好ましい。突出部11の断面形状が、曲部12の下方に、水平方向に延在している直線部13および鉛直方向に延在している直線部13aを有していることにより、リング状部材110に接合された線状部材122が突出部11に干渉しにくくなる効果をより高めることができる。
【0051】
図4および
図5に示すように、第2溝部32は、上部壁面21を有しており、第2溝部32の延在方向から見て、直線部13が上部壁面21となす角度は、0度以上10度以下(0度を含む)であることが好ましい。直線部13が上部壁面21となす角度が0度以上10度以下(0度を含む)であることにより、リング状部材110に接合されている線状部材120を第2溝部32の内方に収容する際に、この線状部材120が第2溝部32の上部壁面21により接触しにくくすることができる。その結果、リング状部材110に接合されている線状部材120が第2溝部32の上部壁面21に接触して線状部材120が折れ曲がる等の破損を起こりにくくすることができる。
【0052】
第2溝部32の延在方向から見て、直線部13は、上部壁面21と平行であることがより好ましい。つまり、第2溝部32の延在方向から見て、直線部13が上部壁面21となす角度は、0度であることがより好ましい。直線部13が上部壁面21と平行であることにより、リング状部材110に接合されている線状部材120と上部壁面21とがより接触しにくくなる。
【0053】
図2に示すように、リング状部材110は、リング状部材110の軸方向に沿って延在している切り欠き部111を有しており、リング状部材110に未接合の線状部材121は、第1溝部31に載置され、かつ切り欠き部111の内部に配置されることが好ましい。リング状部材110に未接合の線状部材121が、第1溝部31に載置され、かつ切り欠き部111の内部に配置されることにより、リング状部材110に線状部材120を接合する際に、未接合の線状部材121が第1溝部31と切り欠き部111の内部の両方に配置されることとなる。その結果、第1溝部31および切り欠き部111によってリング状部材110と未接合の線状部材121との位置合わせの精度を高めることが可能となる。
【0054】
図1、
図3および
図5に示すように、突出部11は、線状部材支持部20へ向かう方向に延在している第3溝部33を有しており、第3溝部33の深さ方向から見て、第3溝部33の一方端33aおよび他方端33bを通る仮想直線は、第1溝部31に重なっていることが好ましい。つまり、第3溝部33は、線状部材支持部20へ近づく方向に延在しており、接合治具1の上方から見て、突出部11の第3溝部33の延在方向と、線状部材支持部20の第1溝部31の延在方向とが同じであることが好ましい。第3溝部33の一方端33aおよび他方端33bを通る仮想直線が第1溝部31に重なっていることにより、リング状部材110と線状部材120とを接合する際に、リング状部材110と線状部材120との位置ずれを生じにくくすることが可能となる。
【0055】
リング状部材110の軸方向における切り欠き部111の長さは、リング状部材110の軸方向の長さよりも短いことが好ましい。切り欠き部111の長さがリング状部材110の軸方向の長さよりも短いことにより、リング状部材110と線状部材120との位置合わせが行いやすくなる。
【0056】
第1溝部31の幅は、切り欠き部111の幅よりも大きいことが好ましい。第1溝部31の幅が切り欠き部111の幅よりも大きいことにより、リング状部材110と線状部材120との位置合わせを行いながら、線状部材120を第1溝部31に配置しやすくなる。そのため、リング状部材110と線状部材120との接合を効率的に行うことができる。
【0057】
第1溝部31の幅は、切り欠き部111の幅の1.05倍以上であることが好ましく、1.10倍以上であることがより好ましく、1.15倍以上であることがさらに好ましい。第1溝部31の幅と切り欠き部111の幅との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、リング状部材110に未接合の線状部材121を切り欠き部111の内部に配置しながら、第1溝部31の内部にも配置しやすくなる。そのため、リング状部材110と線状部材120との位置合わせを行いやすくすることができる。また、第1溝部31の幅は、切り欠き部111の幅の3.0倍以下であることが好ましく、2.5倍以下であることがより好ましく、2.0倍以下であることがさらに好ましい。第1溝部31の幅と切り欠き部111の幅との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、リング状部材110と線状部材120との位置合わせが行いやすく、かつリング状部材110と線状部材120との位置ずれが生じにくくなる。
【符号の説明】
【0058】
1:接合治具
11:突出部
12:曲部
13:直線部
13a:直線部
20:線状部材支持部
21:上部壁面
31:第1溝部
32:第2溝部
33:第3溝部
33a:第3溝部の一方端
33b:第3溝部の他方端
40:台座
60:回転体
110:リング状部材
111:切り欠き部
120:線状部材
121:リング状部材に未接合の線状部材
122:リング状部材に接合された線状部材
L1:リング状部材の軸方向の長さ
A1:中央部
A2:周縁部
D3:第1溝部の最大深さ
D4:第2溝部の最大深さ