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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137208
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】カラーフィルタ及び固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048639
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩見 貴浩
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148BF02
2H148BG11
2H148BH01
(57)【要約】
【課題】 400nm乃至700nmの範囲内の各波長において分光透過率が高く、且つ、ヒトの目の感度に近い分光感度特性を有するカラーフィルタ及びそれを備えた固体撮像素子を提供する。
【解決手段】 固体撮像素子1は、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部を含み、400nm乃至500nmの範囲内の各波長において、前記イエロー色フィルタ部、前記シアン色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が76%以上であり、500nm乃至700nmの範囲内の各波長において、前記イエロー色フィルタ部、前記シアン色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が90%以上であるカラーフィルタ。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部を含み、400nm乃至500nmの範囲内の各波長において、前記イエロー色フィルタ部、前記シアン色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が76%以上であり、500nm乃至700nmの範囲内の各波長において、前記イエロー色フィルタ部、前記シアン色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が90%以上であるカラーフィルタ。
【請求項2】
前記シアン色フィルタ部の透過スペクトルと前記イエロー色フィルタ部の透過スペクトルとは第1交点で交わり、前記第1交点の波長と前記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルの極大吸収波長との差は-20nm乃至+20nmの範囲内にあり、前記第1交点における前記シアン色フィルタ部及び前記イエロー色フィルタ部の分光透過率と、前記第1交点と同じ波長における前記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率との差は80%以上である請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記イエロー色フィルタ部の透過スペクトルと前記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとは、480nm乃至500nmの波長範囲内の第2交点で交わり、前記第2交点における前記イエロー色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率は40%以下である請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記シアン色フィルタ部の透過スペクトルと前記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとは、580nm乃至600nmの波長範囲内の第3交点で交わり、前記第3交点における前記シアン色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率は50%以下である請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記シアン色フィルタ部の透過スペクトルと前記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとは、580nm乃至600nmの波長範囲内の第3交点で交わり、前記第3交点における前記シアン色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率は50%以下である請求項3に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
前記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルと前記シアン色フィルタ部の透過スペクトルとは、400nm乃至450nmの波長範囲内の第4交点で交わり、前記第4交点における前記マゼンタ色フィルタ部及び前記シアン色フィルタ部の分光透過率と、前記第4交点と同じ波長における前記イエロー色フィルタ部の分光透過率との差は80%以上である請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
前記イエロー色フィルタ部の透過スペクトルと前記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとは、600nm乃至650nmの波長範囲内の第5交点で交わり、前記第5交点における前記イエロー色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率と、前記第5交点と同じ波長における前記シアン色フィルタ部の分光透過率との差は90%以上である請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項8】
前記イエロー色フィルタ部の透過スペクトルと前記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとは、600nm乃至650nmの波長範囲内の第5交点で交わり、前記第5交点における前記イエロー色フィルタ部及び前記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率と、前記第5交点と同じ波長における前記シアン色フィルタ部の分光透過率との差は90%以上である請求項6に記載のカラーフィルタ。
【請求項9】
複数のフォトダイオードが設けられた基板と、
前記基板上に設けられた、請求項1乃至8の何れか1項に記載のカラーフィルタと
を備えた固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ及び固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子(又はイメージセンサ)には、フォトダイオードが形成された基板上に、下地膜、カラーフィルタ、及びマイクロレンズアレイをこの順に設けた構造を有しているものがある。カラーフィルタにおいては、例えば、赤色、緑色、及び青色の3原色の着色画素を含むカラーフィルタに加え、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の少なくとも1種以上の補色の着色画素を含むカラーフィルタが提案され、使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-51350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、400nm乃至700nmの範囲内の各波長において分光透過率が高く、且つ、ヒトの目の感度に近い分光感度特性を有するカラーフィルタ及びそれを備えた固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によると、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部を含み、400nm乃至500nmの範囲内の各波長において、上記イエロー色フィルタ部、上記シアン色フィルタ部及び上記マゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が76%以上であり、500nm乃至700nmの範囲内の各波長において、上記イエロー色フィルタ部、上記シアン色フィルタ部及び上記マゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が90%以上であるカラーフィルタが提供される。
【0006】
本発明の他の側面によると、上記シアン色フィルタ部の透過スペクトルと上記イエロー色フィルタ部の透過スペクトルとは第1交点で交わり、上記第1交点の波長と上記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルの極大吸収波長との差は-20nm乃至+20nmの範囲内にあり、上記第1交点における上記シアン色フィルタ部及び上記イエロー色フィルタ部の分光透過率と、上記第1交点と同じ波長における上記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率との差は80%以上である上記側面に係るカラーフィルタが提供される。
【0007】
本発明の更に他の側面によると、上記イエロー色フィルタ部の透過スペクトルと上記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとは、480nm乃至500nmの波長範囲内の第2交点で交わり、上記第2交点における上記イエロー色フィルタ部及び上記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率は40%以下である上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0008】
本発明の更に他の側面によると、上記シアン色フィルタ部の透過スペクトルと上記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとは、580nm乃至600nmの波長範囲内の第3交点で交わり、上記第3交点における上記シアン色フィルタ部及び上記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率は50%以下である上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0009】
本発明の更に他の側面によると、上記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルと上記シアン色フィルタ部の透過スペクトルとは、400nm乃至450nmの波長範囲内の第4交点で交わり、上記第4交点における上記マゼンタ色フィルタ部及び上記シアン色フィルタ部の分光透過率と、上記第4交点と同じ波長における上記イエロー色フィルタ部の分光透過率との差は80%以上である上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0010】
本発明の更に他の側面によると、上記イエロー色フィルタ部の透過スペクトルと上記マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとは、600nm乃至650nmの波長範囲内の第5交点で交わり、上記第5交点における上記イエロー色フィルタ部及び上記マゼンタ色フィルタ部の分光透過率と、上記第5交点と同じ波長における上記シアン色フィルタ部の分光透過率との差は90%以上である上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0011】
本発明の更に他の側面によると、上記イエロー色フィルタ部は、イソインドリン骨格を含む着色剤を含有する上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、上記シアン色フィルタ部は、アルミニウムフタロシアニン系顔料を含有する上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0013】
本発明の更に他の側面によると、上記マゼンタ色フィルタ部は、キサンテン染料を含有する上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、複数のフォトダイオードが設けられた基板と、上記基板上に設けられた、上記側面の何れかに係るカラーフィルタとを備えた固体撮像素子が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、400nm乃至700nmの範囲内の各波長において分光透過率が高く、且つ、ヒトの目の感度に近い分光感度特性を有するカラーフィルタ及びそれを備えた固体撮像素子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の一部を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す固体撮像素子のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、例1に係る補色系カラーフィルタの透過スペクトルを示すグラフである。
図4図4は、比較例1に係る補色系カラーフィルタの透過スペクトルを示すグラフである。
図5図5は、図3に示す透過スペクトルと図4に示す透過スペクトルを一つに纏めたグラフである。
図6図6は、3原色系カラーフィルタの透過スペクトルの代表的な一例を示すグラフである。
図7図7は、ヒトの明視野感度曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0018】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の一部を示す斜視図である。図2は、図1に示す固体撮像素子のII-II線に沿った断面図である。
【0021】
図1及び図2に示す固体撮像素子1Aは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子1Aは、基板2と、下地膜3と、カラーフィルタ4と、マイクロレンズアレイ5とを含んでいる。
【0022】
なお、各図において、X方向は、基板2のマイクロレンズアレイ5と向き合った主面に平行な方向である。Y方向は、先の主面に平行であり且つX方向と交差する方向である。Z方向は、X方向及びY方向に対して垂直な方向、即ち、基板2の厚さ方向である。ここでは、一例として、X方向及びY方向は、互いに対して垂直であるとする。
【0023】
基板2は、シリコン基板等の半導体基板である。基板2の表面領域には、図2に示すように、光電変換素子である複数のフォトダイオード21が設けられている。フォトダイオード21は、X方向とY方向とに配列している。
【0024】
下地膜3は、基板2のフォトダイオード21側の主面上に設けられている。下地膜3は、カラーフィルタ4へ平坦な下地を提供している。下地膜3は、無色透明であり、フォトダイオード21に入射させるべき光に対して高い透過率を示す。下地膜3は、例えば、アクリル樹脂などのポリマーからなる。下地膜3は、省略することができる。
【0025】
カラーフィルタ4は、下地膜3上に設けられている。カラーフィルタ4は、透過スペクトルが異なる複数種のフィルタ部を含んでいる。ここでは、カラーフィルタ4は、第1フィルタ部41、第2フィルタ部42、第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44を含んでいる。カラーフィルタ4が含むフィルタ部の種類は、後述する3種以上であればよく、4種でなくてもよい。
【0026】
第1フィルタ部41及び第2フィルタ部42は、X方向へ各々が伸び、Y方向へ配列した複数の第1列を形成している。第1列の各々において、第1フィルタ部41及び第2フィルタ部42は、X方向へ交互に配列している。第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44は、X方向へ各々が伸び、Y方向へ配列した複数の第2列を形成している。第2列の各々において、第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44は、X方向へ交互に配列している。そして、第1列及び第2列は、Y方向へ交互に配列している。
【0027】
カラーフィルタ4は、第1フィルタ部41、第2フィルタ部42、第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44のうち、3種のフィルタ部が、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部、及びマゼンタ色フィルタ部からなる補色系のカラーフィルタである。カラーフィルタ4において、残りのフィルタ部は特に限定されるものではない。一例によれば、第1フィルタ部41、第2フィルタ部42、及び第3フィルタ部43は、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部、及びマゼンタ色フィルタ部であり、第4フィルタ部44は、グリーン色フィルタ部、無色透明層、近赤外透過層、又は近赤外吸収層であってよい。
【0028】
各層は、感光性樹脂を含む塗膜の形成、およびフォトリソグラフィ法を用いた塗膜のパターニングによって形成される。例えば、マゼンタ色用感光性樹脂を含む塗膜は、マゼンタ色用感光性樹脂を含む塗布液の塗布、および塗膜の乾燥によって形成される。マゼンタ色層は、マゼンタ色用感光性樹脂を含む塗膜のうちマゼンタ色層に相当する領域に対する露光、および現像を経て形成される。
【0029】
マイクロレンズアレイ5は、カラーフィルタ4上に設けられている。マイクロレンズアレイ5は、透明材料からなる。この透明材料は、有機物であってもよく、無機物であってもよい。
【0030】
マイクロレンズアレイ5は、複数のマイクロレンズ51を含んでいる。これらマイクロレンズ51は、下地膜3及びカラーフィルタ4を間に挟んでフォトダイオード21とそれぞれ向き合っている。
【0031】
マイクロレンズ51の各々は、上面が凸面である凸レンズである。ここでは、各マイクロレンズ51は、Z方向に対して垂直な平面への正射影が円形である。この正射影は、角が丸まった四角形などの他の形状を有していてもよい。
【0032】
カラーフィルタ4とマイクロレンズアレイ5との間には、平坦化膜を設けてもよい。平坦化膜は、無色透明であり、フォトダイオード21に入射させるべき光に対して高い透過率を示す。平坦化膜は、マイクロレンズアレイ5へ平坦な下地を提供する。平坦化膜は、例えば、アクリル樹脂などのポリマーからなる。
【0033】
この固体撮像素子1Aは、X方向とY方向とに配列した複数の画素を含んでいる。ここでは、各画素は、第1乃至第4サブ画素を含んでいる。第1サブ画素は、第1フィルタ部41と、これと向き合ったフォトダイオード21及びマイクロレンズ51を含んでいる。第2サブ画素は、第2フィルタ部42と、これと向き合ったフォトダイオード21及びマイクロレンズ51を含んでいる。第3サブ画素は、第3フィルタ部43と、これと向き合ったフォトダイオード21及びマイクロレンズ51を含んでいる。第4サブ画素は、第4フィルタ部44と、これと向き合ったフォトダイオード21及びマイクロレンズ51を含んでいる。
【0034】
固体撮像素子1Aは、カラーフィルタ4を備えることを第一の特徴とする。カラーフィルタ4は、上述のとおり、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部からなる補色系のカラーフィルタである。そして、このカラーフィルタ4では、400nm乃至500nmの範囲内の各波長において、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が76%以上であり、500nm乃至700nmの範囲内の各波長において、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が90%以上である。好ましい態様において、400nm乃至500nmの範囲内の各波長における、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の1以上の分光透過率は、90%以上である。
【0035】
図3は、カラーフィルタ4の透過スペクトルの一例を示すグラフである。この透過スペクトルは、後述する[実施例]の例1に係る補色系カラーフィルタの透過スペクトルである。
【0036】
図3には、イエロー色フィルタ部Ye2又はイエロー色フィルタ部Ye3の透過スペクトルと、シアン色フィルタ部Cy2又はシアン色フィルタ部Cy3の透過スペクトルと、マゼンタ色フィルタ部Mg2の透過スペクトルの組み合わせからなる4種のカラーフィルタの透過スペクトルが示されている。これら4種のカラーフィルタは、何れも400nm乃至500nmの範囲内の各波長において、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が76%以上であり、500nm乃至700nmの範囲内の各波長において、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が90%以上であり、本実施形態に係るカラーフィルタ4に該当する。
【0037】
図4に、従来の補色系カラーフィルタの透過スペクトルの代表的な一例を示す。この透過スペクトルは、後述する[実施例]の比較例1に係る補色系カラーフィルタの透過スペクトルである。
【0038】
図4には、イエロー色フィルタ部Ye1の透過スペクトルと、シアン色フィルタ部Cy1の透過スペクトルと、マゼンタ色フィルタ部Mg1の透過スペクトルの組み合わせからなるカラーフィルタの透過スペクトルが示されており、上述のとおり、従来の補色系カラーフィルタの透過スペクトルの代表的な一例である。この透過スペクトルでは、マゼンタ色フィルタ部Mg1の透過スペクトルにおいて、波長405nm(極小吸収波長)における極大透過率が75.08%である。このため図4に示される透過スペクトルを有する補色系カラーフィルタは、400nm乃至500nmの範囲内の各波長において、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が76%以上という本実施形態に係るカラーフィルタ4の要件を満たしていない。
【0039】
図3に示す例1に係る補色系カラーフィルタでは、図4に示す比較例1に係る補色系カラーフィルタに対し、400nmからマゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとシアン色フィルタ部の透過スペクトルとの交点(第4交点)の波長までの波長帯におけるマゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルの透過率を上げている。これにより、カラーフィルタ4は、400nm乃至700nmの範囲内の各波長において分光透過率が76%以上という高い分光透過率を達成している。図5に、図3に示す例1に係る補色系カラーフィルタの透過スペクトルと、図4に示す比較例1に係る従来の補色系カラーフィルタの透過スペクトルとを一つのグラフに纏めたものを示す。
【0040】
このようにカラーフィルタ4は、400乃至700nmの範囲内の各波長において分光透過率が高く、このようなカラーフィルタ4を備えた固体映像素子1Aは感度が高い。
【0041】
本実施形態に係るカラーフィルタ4は、400乃至700nmの範囲内の各波長において分光透過率に優れることに加え、以下に説明するように、ヒトの目の感度に近い分光感度特性をも有する。
【0042】
図7に示すように、ヒトの明視野感度曲線は、正規分布曲線に近い形状を有しており、極大値は550nm乃至560nmの範囲内にある。即ち、ヒトの明視野感度曲線は、550nm乃至560nmの範囲内に極大値を有しており、550nm乃至560nmの範囲内の波長に対して長波長側の波長帯と短波長側の波長帯とで略対称であり、極小値を有していない。
【0043】
それ故、或る物体を撮像することによって得られる画像データから再現されるカラー画像を、その物体をヒトが観察することによって知覚する画像により近くするには、固体撮像素子は、以下の特徴A1及びA2を有していることが好ましく、以下の特徴A1乃至A3を有していることが更に好ましい。
【0044】
A1.550nm乃至560nmの範囲内の波長の光に対して高い量子効率を有していること。
A2.特定の波長帯における量子効率が、この波長帯を挟んだ一対の波長帯における量子効率に対して極端に小さくないこと。
A3.550nm乃至560nmの範囲内の上記波長に対して長波長側の波長帯と短波長側の波長帯とで、量子効率曲線が略対称であること。
【0045】
従って、カラーフィルタが含んでいるフィルタ部全種の透過スペクトルから分光透過率の最大値を波長毎に選んでなる透過率曲線は、以下の特徴B1及びB2を有していることが好ましく、以下の特徴B1乃至B3を有していることが更に好ましい。
【0046】
B1.550nm乃至560nmの範囲内の波長の光に対して高い透過率を有していること。
B2.特定の波長帯における透過率が、この波長帯を挟んだ一対の波長帯における透過率に対して極端に小さくないこと。
B3.550nm乃至560nmの範囲内の上記波長に対して長波長側の波長帯と短波長側の波長帯とで、透過率曲線が略対称であること。
【0047】
固体撮像素子が備えるカラーフィルタとして、従来より、赤色フィルタ部、緑色フィルタ部及び青色フィルタ部からなる3原色系カラーフィルタが用いられている。図6に3原色系カラーフィルタの透過スペクトルの代表的な一例を示す。この3原色系カラーフィルタの透過スペクトルは、赤色フィルタ部RE1の透過スペクトルと、緑色フィルタ部GR1の透過スペクトルと、青色フィルタ部BL1の透過スペクトルとを含む。図6からわかるように、3原色系カラーフィルタの透過スペクトルでは、赤色フィルタ部RE1の透過スペクトルと緑色フィルタ部GR1の透過スペクトルとの交点近傍、及び、緑色フィルタ部GR1の透過スペクトルと青色フィルタ部BL1の透過スペクトルとの交点近傍の透過率が何れも70%未満と低い。
【0048】
このような3原色系カラーフィルタは、良好な色分離性を有するものの、その反面、それらフィルタ部の透過スペクトルの交点近傍の波長における透過率が低い。それ故、光の分離性に優れた3原色系のカラーフィルタを用いた固体撮像素子は、上記の交点近傍の波長を有している光に対する量子効率が低い。3原色系のカラーフィルタを用いた固体撮像素子において、優れた光の分離性と、可視域全体での高い量子効率とを達成するには、青色フィルタ部BL1の透過スペクトルと緑色フィルタ部GR1の透過スペクトルとの交点近傍の波長の光を選択的に透過させる着色フィルタ部と、赤色フィルタ部RE1の透過スペクトルと緑色フィルタ部GR1の透過スペクトルとの交点近傍の波長の光を選択的に透過させる着色フィルタ部とを追加する必要がある。
【0049】
上記の通り、本実施形態のカラーフィルタ4は、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部を含んだ補色系のカラーフィルタである。そして、このカラーフィルタでは、400nm乃至500nmの範囲内の各波長において、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が76%以上であり、500nm乃至700nmの範囲内の各波長において、イエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の1以上は分光透過率が90%以上である。即ち、このカラーフィルタ4では、上記の透過率曲線は、上述した特徴B1及びB2を有している。
【0050】
従って、このカラーフィルタ4を固体撮像素子1Aに使用すると、或る物体を撮像することによって得られる画像データから再現されるカラー画像を、その物体をヒトが観察することによって知覚する画像へ近づけることができる。
【0051】
カラーフィルタ4は、上述した特徴B3の観点から、それが含んでいるイエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部全種の透過スペクトルから分光透過率の最大値を波長毎に選んでなる透過率曲線が、略対称であること(対称性を有すること)が好ましい。カラーフィルタ4は、この対称性の観点から、以下に示す好ましい態様(a1)乃至(a7)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
【0052】
(a1)カラーフィルタ4において、シアン色フィルタ部の透過スペクトルとイエロー色フィルタ部の透過スペクトルとの交点(以下において、「第1交点」という。)の波長と、マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルの極大吸収波長との差は、-20nm乃至+20nmの範囲内にあることが好ましく、-12nm乃至+12nmの範囲内にあることがより好ましい。図3に示す透過スペクトルにおいて、第1交点の波長(527nm、527.4nm、531.8nm、及び532nm)とマゼンタ色フィルタ部Mg2の透過スペクトルの極大吸収波長(539nm)との差は、-20nm乃至+20nmの範囲内にある。
【0053】
(a2)カラーフィルタ4において、イエロー色フィルタ部の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとの交点(以下において、「第2交点」という。)の波長は、480nm乃至500nmの波長範囲内にあることが好ましい。図3に示す透過スペクトルにおいて、第2交点の波長(488.5nm及び490.1nm)は、480nm乃至500nmの範囲内にある。
【0054】
(a3)カラーフィルタ4において、シアン色フィルタ部の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとの交点(以下において、「第3交点」という。)は、580nm乃至600nmの波長範囲内にあることが好ましい。図3に示す透過スペクトルにおいて、第3交点の波長(587.4nm及び591.2nm)は、580nm乃至600nmの範囲内にある。
【0055】
(a4)カラーフィルタ4において、第2交点は480nm乃至500nmの波長範囲内にあり、且つ、第3交点は580nm乃至600nmの波長範囲内にあることがより好ましい。
【0056】
(a5)カラーフィルタ4において、マゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとシアン色フィルタ部の透過スペクトルとの交点(以下において、「第4交点」という。)は、400nm乃至450nmの波長範囲内にあることが好ましい。図3に示す透過スペクトルにおいて、第4交点の波長(417.7nm及び439.8nm)は、400nm乃至450nmの範囲内にある。
【0057】
(a6)カラーフィルタ4において、イエロー色フィルタ部の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部の透過スペクトルとの交点(以下において、「第5交点」という。)は、600nm乃至650nmの波長範囲内にあることが好ましい。図3に示す透過スペクトルにおいて、第5交点の波長(630nm及び635nm)は、600nm乃至650nmの範囲内にある。
【0058】
(a7)カラーフィルタ4において、第4交点は400nm乃至450nmの波長範囲内にあり、且つ、第5交点は600nm乃至650nmの波長範囲内にあることがより好ましい。
【0059】
また、図4に代表される従来の補色系カラーフィルタは、3原色系のカラーフィルタよりも透過率を高くすることができるが、各フィルタは本来なら遮光するべき光波長域の光でも通す。このため、従来の補色系のカラーフィルタを用いた固体撮像素子では、感度は高いがノイズが多くなり、原色系のカラーフィルタと比較して色分離性が低下するという問題があった。
【0060】
本実施形態に係るカラーフィルタ4は、透過率及び色分離性の観点から、以下に示す好ましい態様(b1)乃至(b5)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
【0061】
(b1)カラーフィルタ4において、第1交点におけるシアン色フィルタ部及びイエロー色フィルタ部の分光透過率と、第1交点と同じ波長におけるマゼンタ色フィルタ部の分光透過率との差は80%以上であることが好ましい。この分光透過率の差が80%以上である場合、2種のフィルタ部で光を透過し、残りの1種のフィルタ部で光を遮断することで、透過率と色分離性の双方を向上させることができる。図3に示す透過スペクトルにおいて、この分光透過率の差は80%以上である。
【0062】
(b2)カラーフィルタ4において、第2交点におけるイエロー色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の分光透過率は40%以下であることが好ましい。透過スペクトルの交点の分光透過率が低いことは、特に色分離性の観点から好ましい。図3に示す透過スペクトルにおいて、第2交点の分光透過率(26.77%及び29.38%)は、40%以下である。
【0063】
(b3)カラーフィルタ4において、第3交点におけるシアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の分光透過率は50%以下であることが好ましい。透過スペクトルの交点の分光透過率が低いことは、特に色分離性の観点から好ましい。図3に示す透過スペクトルにおいて、第3交点の分光透過率(38.73%及び47.95%)は、50%以下である。
【0064】
(b4)カラーフィルタ4において、第4交点におけるマゼンタ色フィルタ部及びシアン色フィルタ部の分光透過率と、第4交点と同じ波長におけるイエロー色フィルタ部の分光透過率との差は80%以上であることが好ましい。この分光透過率の差が80%以上である場合、2種のフィルタ部で光を透過し、残りの1種のフィルタ部で光を遮断することで、透過率と色分離性の双方を向上させることができる。図3に示す透過スペクトルにおいて、この分光透過率の差は80%以上である。
【0065】
(b5)カラーフィルタ4において、第5交点におけるイエロー色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部の分光透過率と、第5交点と同じ波長におけるシアン色フィルタ部の分光透過率との差は90%以上であることが好ましい。この分光透過率の差が90%以上である場合、2種のフィルタ部で光を透過し、残りの1種のフィルタ部で光を遮断することで、透過率と色分離性の双方を向上させることができる。図3に示す透過スペクトルにおいて、この分光透過率の差は90%以上である。
【0066】
カラーフィルタ4が備えるイエロー色フィルタ部、シアン色フィルタ部及びマゼンタ色フィルタ部は、それぞれ着色剤を含有する。各フィルタ部に含有される着色剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。また、各フィルタ部に含有される着色剤は、顔料であってもよいし、染料であってもよいし、これらの両方であってもよい。
【0067】
好ましい態様において、イエローフィルタ部は、着色剤として少なくとも黄色着色剤を含有する。中でも、同等のカラーフィルタの厚み及び着色剤濃度での対比で明度をより高くし得ることから、黄色着色剤として、イソインドリン骨格を有する化合物を含むことが好ましい。イソインドリン骨格を有する化合物である黄色着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 139、185等が挙げられる。
【0068】
別の好ましい態様において、シアン色フィルタ部は、着色剤として少なくともフタロシアニン顔料を含有する。フタロシアニン顔料には、中心金属を有するものもと、有さないものとの双方が含まれる。中心金属を有する場合、主に銅、亜鉛、アルミニウムなどが挙げられる。例えば、着色剤としてアルミニウムフタロシアニン系顔料のような青色又は緑色顔料を用いることができる。アルミニウムフタロシアニン系顔料としては、無置換フタロシアニンアルミニウム(例えば、C.I.Pigment Blue 79等)、塩素化フタロシアニンアルミニウム、臭素化フタロシアニンアルミニウム等が挙げられる。
【0069】
別の好ましい態様において、マゼンタ色フィルタ部は、着色剤として少なくともマゼンタ色を示す色素を含有する。マゼンタ色を示す色素として、キサンテン系色素が知られている。その中でキサンテン系染料は、優れた分光特性を有しているため、マゼンタ色フィルタ部の着色剤として好適に用いられる。
【実施例0070】
以下に、本発明に関連して行った試験例を記載する。
<サンプルの作製>
透明基板上に、表1に示す色材(着色剤)を含有する8種の着色層(膜厚0.8μm)を作製した。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に記載の各着色層について、400nm乃至700nmの波長範囲における透過スペクトルを測定した。
【0073】
<例1>
上記透過スペクトルの中から、イエロー色フィルタYe2、イエロー色フィルタYe3、シアン色フィルタCy2、シアン色フィルタCy3、及びマゼンタ色フィルタMg2の透過スペクトルを選択し、これら透過スペクトルを組み合わせたグラフを図3に示す。図3に示す透過スペクトルの組み合わせ、すなわち、イエロー色フィルタYe2又はイエロー色フィルタYe3の透過スペクトルと、シアン色フィルタCy2又はシアン色フィルタCy3の透過スペクトルと、マゼンタ色フィルタMg2の透過スペクトルの組み合わせは、本発明の実施形態に係るカラーフィルタ4の透過スペクトルに該当する。
【0074】
図3に示すグラフについて、透過スペクトルの極小透過率並びに極大吸収波長と、極大透過率並びに極小吸収波長と、透過スペクトルの交点の透過率並びに波長を表2に纏めた。
【0075】
<比較例1>
上記透過スペクトルの中から、イエロー色フィルタYe1、シアン色フィルタCy1、及びマゼンタ色フィルタMg1の透過スペクトルを選択し、これら透過スペクトルを組み合わせたグラフを図4に示す。図4に示す透過スペクトルの組み合わせは、従来の補色系カラーフィルタの透過スペクトルに該当する。
【0076】
図4に示すグラフについて、透過スペクトルの極小透過率並びに極大吸収波長と、極大透過率並びに極小吸収波長と、透過スペクトルの交点の透過率並びに波長を表2に纏めた。
【0077】
【表2】
【0078】
[態様(a1)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、シアン色フィルタ部(Cy2、Cy3)の透過スペクトルとイエロー色フィルタ部(Ye2、Ye3)の透過スペクトルとの交点(第1交点)の波長(527nm、527.4nm、531.8nm、及び532nm)と、マゼンタ色フィルタ部Mg2の透過スペクトルの極大吸収波長(539nm)との差は、-20nm乃至+20nmの範囲内にあり、好ましい態様(a1)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、シアン色フィルタ部(Cy1)の透過スペクトルとイエロー色フィルタ部(Ye1)の透過スペクトルとの交点(第1交点)の波長(510.6nm)と、マゼンタ色フィルタ部Mg1の透過スペクトルの極大吸収波長(535nm)との差は、-20nm乃至+20nmの範囲外であり、好ましい態様(a1)を満たしていない。
【0079】
[態様(a2)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、イエロー色フィルタ部(Ye2、Ye3)の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部(Mg2)の透過スペクトルとの交点(第2交点)の波長(488.5nm及び490.1nm)は、480nm乃至500nmの範囲内にあり、好ましい態様(a2)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、イエロー色フィルタ部(Ye1)の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部(Mg1)の透過スペクトルとの交点(第2交点)の波長(479.6nm)は、480nm乃至500nmの範囲外であり、好ましい態様(a2)を満たしていない。
【0080】
[態様(a3)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、シアン色フィルタ部(Cy2、Cy3)の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部(Mg2)の透過スペクトルとの交点(第3交点)の波長(587.4nm及び591.2nm)は、580nm乃至600nmの範囲内にあり、好ましい態様(a3)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、シアン色フィルタ部(Cy1)の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部(Mg1)の透過スペクトルとの交点(第3交点)の波長(577.2nm)は、580nm乃至600nmの範囲外であり、好ましい態様(a3)を満たしていない。
【0081】
[態様(a4)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、上記の通り、第2交点の波長(488.5nm及び490.1nm)は、480nm乃至500nmの範囲内にあり、且つ、第3交点の波長(587.4nm及び591.2nm)は、580nm乃至600nmの範囲内にあり、好ましい態様(a4)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、上記の通り、第2交点の波長(479.6nm)は、480nm乃至500nmの範囲外であり、第3交点の波長(577.2nm)は、580nm乃至600nmの範囲外であり、り、好ましい態様(a4)を満たしていない。
【0082】
[態様(a5)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、マゼンタ色フィルタ部(Mg2)の透過スペクトルとシアン色フィルタ部(Cy2、Cy3)の透過スペクトルとの交点(第4交点)の波長(417.7nm及び439.8nm)は、400nm乃至450nmの範囲内にあり、好ましい態様(a5)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、マゼンタ色フィルタ部(Mg1)の透過スペクトルとシアン色フィルタ部(Cy1)の透過スペクトルとの交点(第4交点)の波長(405.4nm)は、400nm乃至450nmの範囲内であり、好ましい態様(a5)を満たしている。
【0083】
[態様(a6)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、イエロー色フィルタ部(Ye2、Ye3)の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部(Mg2)の透過スペクトルとの交点(第5交点)の波長(630nm及び635nm)は、600nm乃至650nmの範囲内にあり、好ましい態様(a6)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、イエロー色フィルタ部(Ye1)の透過スペクトルとマゼンタ色フィルタ部(Mg1)の透過スペクトルとの交点(第5交点)の波長(660nm)は、600nm乃至650nmの範囲から外れており、好ましい態様(a6)を満たしていない。
【0084】
[態様(a7)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、上記のとおり、第4交点の波長(417.7nm及び439.8nm)は400nm乃至450nmの範囲内にあり、且つ、第5交点の波長(630nm及び635nm)は、600nm乃至650nmの波長範囲内にあり、好ましい態様(a7)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、第4交点の波長(405.4nm)は400nm乃至450nmの範囲内にあり、且つ、第5交点の波長(660nm)は、600nm乃至650nmの範囲から外れており、好ましい態様(a7)を満たしていない。
【0085】
[態様(b1)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、第1交点におけるシアン色フィルタ部(Cy2、Cy3)及びイエロー色フィルタ部(Ye2、Ye3)の分光透過率(92.65%、92.73%、94.53%、94.56%)と、第1交点と同じ波長におけるマゼンタ色フィルタ部(Mg2)の分光透過率との差は80%以上であり、好ましい態様(b1)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、第1交点におけるシアン色フィルタ部(Cy1)及びイエロー色フィルタ部(Ye1)の分光透過率(90.31%)と、第1交点と同じ波長におけるマゼンタ色フィルタ部(Mg1)の分光透過率との差は80%未満であり、好ましい態様(b1)を満たしていない。
【0086】
[態様(b2)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、第2交点におけるイエロー色フィルタ部(Ye2、Ye3)及びマゼンタ色フィルタ部(Mg2)の分光透過率(26.77%及び29.38%)は40%以下であり、好ましい態様(b2)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、第2交点におけるイエロー色フィルタ部(Ye)及びマゼンタ色フィルタ部(Mg1)の分光透過率(43.29%)は40%超であり、好ましい態様(b2)を満たしていない。
【0087】
[態様(b3)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、第3交点におけるシアン色フィルタ部(Cy2、Cy3)及びマゼンタ色フィルタ部(Mg2)の分光透過率(38.73%及び47.95%)は50%以下であり、好ましい態様(b3)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、第3交点におけるシアン色フィルタ部(Cy1)及びマゼンタ色フィルタ部(Mg1)の分光透過率(14.88%)は50%以下であり、好ましい態様(b3)を満たしている。
【0088】
[態様(b4)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、第4交点におけるマゼンタ色フィルタ部(Mg2)及びシアン色フィルタ部(Cy2、Cy3)の分光透過率(84.42%、83.50%)と、第4交点と同じ波長におけるイエロー色フィルタ部(Ye2、Ye3)の分光透過率との差は80%以上であり、好ましい態様(b4)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、第4交点におけるマゼンタ色フィルタ部(Mg1)及びシアン色フィルタ部(Cy1)の分光透過率(75.10%)と、第4交点と同じ波長におけるイエロー色フィルタ部(Ye1)の分光透過率との差は80%未満であり、好ましい態様(b4)を満たしていない。
【0089】
[態様(b5)について]
図3に示す透過スペクトルにおいて、第5交点におけるイエロー色フィルタ部(Ye2、Ye3)及びマゼンタ色フィルタ部(Mg2)の分光透過率(97.0%、98.0%)と、第5交点と同じ波長におけるシアン色フィルタ部(Cy2、Cy3)の分光透過率との差は90%以上であり、好ましい態様(b5)を満たしている。一方、図4に示す透過スペクトルにおいて、第5交点におけるイエロー色フィルタ部(Ye1)及びマゼンタ色フィルタ部(Mg1)の分光透過率(98.0%)と、第5交点と同じ波長におけるシアン色フィルタ部(Cy1)の分光透過率との差は90%以下であり、好ましい態様(b5)の要件を満たしていない。
【0090】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0091】
1A…固体撮像素子、2…基板、3…下地膜、4…カラーフィルタ、5…マイクロレンズアレイ、21…フォトダイオード、41…第1フィルタ部、42…第2フィルタ部、43…第3フィルタ部、44…第4フィルタ部、51… マイクロレンズ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7