(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137211
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240927BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20240927BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F17/04 N
H01F27/32 140
H01F37/00 A
H01F37/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048644
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀川 俊之
(72)【発明者】
【氏名】國保 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 良二
【テーマコード(参考)】
5E044
5E070
【Fターム(参考)】
5E044CA03
5E044CA08
5E044CA09
5E044CB01
5E044CB03
5E070AA11
5E070AB01
5E070AB09
5E070BA08
5E070CA03
5E070DA05
5E070EA02
5E070EB01
(57)【要約】
【課題】優れた放熱性を有し、小型化を図ることが可能なコイル装置を提供すること。
【解決手段】コイル装置1は、第1ワイヤ4が巻回されてなる第1巻回部40と、第2ワイヤ5が巻回されてなる第2巻回部50と、第1巻回部40と第2巻回部50との径方向の内側に配置される中脚コア2と、第1巻回部40と第2巻回部50との径方向の外側に配置される外脚コア3aと、中脚コア2と外脚コア3aとを連結する第1連結コア6bと、を有する。第1巻回部40および第2巻回部50の少なくとも一方の内周面は、中脚コア2の外周面に接触している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ワイヤが巻回されてなる第1巻回部と、
第2ワイヤが巻回されてなる第2巻回部と、
前記第1巻回部と前記第2巻回部との径方向の内側に配置される中脚コアと、
前記第1巻回部と前記第2巻回部との径方向の外側に配置される外脚コアと、
前記中脚コアと前記外脚コアとを連結する第1連結コアと、を有し、
前記第1巻回部および前記第2巻回部の少なくとも一方の内周面は、前記中脚コアの外周面に接触しているコイル装置。
【請求項2】
前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの少なくとも一方は、前記中脚コアの外周面に直接的に巻回されている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記第1巻回部および前記第2巻回部の少なくとも一方の外周面には、前記外脚コアの内周面が接触している請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記外脚コアは、前記中脚コアとは別体で構成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記中脚コアは、前記第1連結コアとは別体で構成されている請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記外脚コアは、前記第1連結コアとは別体で構成されている請求項5に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記中脚コアは、前記第1ワイヤが巻回される第1分割コアと、前記第1分割コアとは別体からなり、前記第2ワイヤが巻回される第2分割コアとを有し、
前記第1分割コアと前記第2分割コアとの間には、第1ギャップが形成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記中脚コアの軸方向に沿って、前記第1連結コアと対向する第2連結コアをさらに有し、
前記中脚コアの軸方向の端部と、前記第2連結コアとの間には、第2ギャップが形成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの少なくとも一方は、絶縁被覆ワイヤであり、
前記第1巻回部および前記第2巻回部の少なくとも一方は、前記絶縁被覆ワイヤの被膜の上から、樹脂によって覆われている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記中脚コアと前記外脚コアとを収容するケースをさらに有し、
前記ケースには、前記第1巻回部と前記第2巻回部とを覆うように、放熱性樹脂が充填されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記中脚コアと前記外脚コアとを連結する第1連結コアと、
前記中脚コアの軸方向に沿って、前記第1連結コアと対向する第2連結コアと、
前記第2連結コアの頂面に沿って配置される天板部と、前記頂面に垂直な前記第2連結コアの側面に沿って配置される側部とを有する放熱板と、をさらに有する請求項1または2に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状のボビンと、ボビンの外周面に配置された第1巻回部および第2巻回部と、ボビンに装着され、中脚部と外脚部とを備えたE型のコアと、を有するコイル装置が記載されている。中脚部は、ボビンの貫通孔に差し込まれており、第1巻回部と第2巻回部との径方向の内側に配置されている。外脚部は、第1巻回部と第2巻回部との径方向の外側に配置されている。
【0003】
ところで、特許文献1のコイル装置では、上述した各部材を組み合わせたときに、例えばボビンと中脚部との間に隙間が不可避的に形成される。本発明者等の調査によると、このような隙間が、コイル装置の放熱性および小型化を阻害する要因となり得ることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、優れた放熱性を有し、小型化を図ることが可能なコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
第1ワイヤが巻回されてなる第1巻回部と、
第2ワイヤが巻回されてなる第2巻回部と、
前記第1巻回部と前記第2巻回部との径方向の内側に配置される中脚コアと、
前記第1巻回部と前記第2巻回部との径方向の外側に配置される外脚コアと、
前記中脚コアと前記外脚コアとを連結する第1連結コアと、を有し、
前記第1巻回部および前記第2巻回部の少なくとも一方の内周面は、前記中脚コアの外周面に接触している。
【0007】
本発明に係るコイル装置では、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方の内周面が、中脚コアの外周面に接触している。そのため、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方と中脚コアとの間に隙間が形成されにくく、コイル装置の小型化を図ることができる。加えて、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方で発生する熱が中脚コアに直接的に伝熱されやすくなり、コイル装置の放熱性を高めることができる。また、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方と中脚コアとの間にボビンが介在しないため、ボビンの肉厚分、コイル装置の小型化を図ることができる。
【0008】
前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの少なくとも一方は、前記中脚コアの外周面に直接的に巻回されていてもよい。この場合、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方の内周面が中脚コアの外周面に接触する。そのため、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方と中脚コアとの間に隙間が形成されにくく、コイル装置の小型化および放熱性の向上を効果的に図ることができる。
【0009】
前記第1巻回部および前記第2巻回部の少なくとも一方の外周面には、前記外脚コアの内周面が接触していてもよい。この場合、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方と外脚コアとの間に隙間が形成されにくくなる。そのため、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方と外脚コアとの間に伝熱経路が確保され、コイル装置の小型化および放熱性の向上を効果的に図ることができる。
【0010】
前記外脚コアは、前記中脚コアとは別体で構成されていてもよい。この場合、外脚コアと中脚コアとを分離した状態で、第1ワイヤおよび第2ワイヤを中脚コアに巻回することができる。そのため、外脚コアに阻害されることなく、第1ワイヤおよび第2ワイヤを中脚コアに巻回することができ、第1ワイヤおよび第2ワイヤの巻回作業が容易になる。
【0011】
前記中脚コアは、前記第1連結コアとは別体で構成されていてもよい。この場合、第1連結コアと中脚コアとを分離した状態で(すなわち、中脚コア単独で)、第1ワイヤおよび第2ワイヤを中脚コアに巻回することができる。そのため、第1ワイヤおよび第2ワイヤを中脚コアに巻回しやすくなる。
【0012】
前記外脚コアは、前記第1連結コアとは別体で構成されていてもよい。この場合、外脚コアと、中脚コアと、第1連結コアとが、相互に別体となる。そのため、外脚コアの配置の自由度が高くなり、例えば、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方の外周面に外脚コアの内周面が接触するように、外脚コアを配置することができる。この場合、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方と外脚コアとの間に隙間が形成されにくく、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方と外脚コアとの間に伝熱経路を確保することができる。そのため、コイル装置の小型化および放熱性の向上を効果的に図ることができる。
【0013】
前記中脚コアは、前記第1ワイヤが巻回される第1分割コアと、前記第1分割コアとは別体からなり、前記第2ワイヤが巻回される第2分割コアとを有し、前記第1分割コアと前記第2分割コアとの間には、第1ギャップが形成されていてもよい。この場合、第1ギャップによって、第1巻回部と第2巻回部との間の距離を調整し、第1巻回部と第2巻回部との間の結合を調整することができる。これにより、コイル装置のリーケージを最適化することができる。
【0014】
前記中脚コアの軸方向に沿って、前記第1連結コアと対向する第2連結コアをさらに有し、前記中脚コアの軸方向の端部と、前記第2連結コアとの間には、第2ギャップが形成されていてもよい。この場合、第2ギャップによって、第1巻回部と第2巻回部との間の結合を調整し、コイル装置のリーケージを最適化することができる。
【0015】
前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの少なくとも一方は、絶縁被覆ワイヤであり、前記第1巻回部および前記第2巻回部の少なくとも一方は、前記絶縁被覆ワイヤの被膜の上から、樹脂によって覆われていてもよい。この場合、樹脂によって、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方の形状を維持することができる。そのため、第1巻回部および第2巻回部の少なくとも一方の巻き解れを防止し、コイル装置の磁気特性を向上させることができる。
【0016】
前記中脚コアと前記外脚コアとを収容するケースをさらに有し、前記ケースには、前記第1巻回部と前記第2巻回部とを覆うように、放熱性樹脂が充填されていてもよい。この場合、放熱性樹脂およびケースを介して、第1巻回部、第2巻回部およびコアの熱を放熱させることができる。
【0017】
前記中脚コアと前記外脚コアとを連結する第1連結コアと、前記中脚コアの軸方向に沿って、前記第1連結コアと対向する第2連結コアと、前記第2連結コアの頂面に沿って配置される天板部と、前記頂面に垂直な前記第2連結コアの側面に沿って配置される側部とを有する放熱板と、をさらに有していてもよい。この場合、放熱板の天板部および側部を介して、特に、第2連結コアの熱を放熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【
図3】
図3は
図1に示すIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は
図1に示すコイル装置からケースおよび放熱性樹脂を省略した一部分解斜視図である。
【
図5】
図5は
図4に示す第1巻回部、第2巻回部、各種コアおよび放熱板の側面図である。
【
図6】
図6は
図2に示す中脚部に巻回された第1巻回部および第2巻回部の側面図である。
【
図7】
図7は本発明の第2実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
図1に示す本発明の第1実施形態に係るコイル装置1は、例えばリーケージトランスとして機能し、車載用充電器や各種電気機器の電源回路等に用いられる。
図2に示すように、コイル装置1は、中脚コア2と、外脚コア3aおよび3bと、第1連結コア6aおよび6bと、第1巻回部40と、第2巻回部50とを有する。コイル装置1は、第2連結コア7aおよび7bと、ケース8と、放熱板9a~9dと、端子固定板11aおよび11bと、台座12aおよび12bと、端子13a~13dと、放熱性樹脂14(
図1)とをさらに有するが、これらの部材は必須ではなく、省略されてもよい。
【0021】
図2等において、X軸は、第1連結コア6aと第1連結コア6bとが対向する方向に平行な軸である。Y軸は、外脚コア3aと外脚コア3bとが対向する方向に平行な軸である。Z軸は、X軸およびY軸に垂直な軸である。また、Z軸は、中脚コア2の軸方向に平行な軸でもある。以下の説明では、X軸、Y軸およびZ軸の各々について、コイル装置1の中心に向かう方向を内側と呼び、コイル装置1の中心から離れる方向を外側と呼ぶ。
【0022】
図2に示すように、第1巻回部40は、第1ワイヤ4が螺旋状に巻回されることにより形成されている。第2巻回部50は、第2ワイヤ5が螺旋状に巻回されることにより形成されている。第1巻回部40および第2巻回部50の巻軸は、Z軸に平行であり、実装基板(図示略)に対して垂直に配置される。
図3に示すように、第1巻回部40および第2巻回部50は、Z軸に沿って、離間して配置されている。第1巻回部40と第2巻回部50とは、相互に接触しないように、例えば絶縁性を有するリング状の隔壁板によって、Z軸方向に隔てられていてもよい。ただし、第1巻回部40と第2巻回部50とは、Z軸に沿って、接触するように配置されていてもよい。第1巻回部40および第2巻回部50の一方は一次側コイルであり、他方は二次側コイルである。
【0023】
第1ワイヤ4および第2ワイヤ5は、自己融着線である。
図3の拡大図に示すように、第1ワイヤ4は、芯部42と、被膜43と、融着層44とを有する。また、第2ワイヤ5は、芯部52と、被膜53と、融着層54とを有する。芯部42および52は、銅などで構成される丸線、平角線、撚り線、リッツ線、編組線などの導電性芯線である。被膜43および53は、絶縁性の被膜であり、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル等の樹脂で構成されている。融着層44および54は、特に限定されないが、例えばポリアミド系あるいはポリイミド系の樹脂など、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成されている。融着層44および54の融点は、被膜43および53の融点よりも低くなっている。
【0024】
詳細な図示は省略するが、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5を加熱することにより、融着層44および54は融解する。これにより、第1巻回部40を構成する各ターン同士が、融着層44(接着層)によって相互に固定(接着)され、第1巻回部40が、被膜43の上から、融着層44によって覆われる。これにより、第1巻回部40が自己保持され、第1巻回部40の形状が安定する。また、第2巻回部50を構成する各ターン同士が、融着層54(接着層)によって相互に固定(接着)され、第2巻回部50が、被膜53の上から、融着層54によって覆われる。これにより、第2巻回部50が自己保持され、第2巻回部50の形状が安定する。なお、本実施形態では、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5のいずれも自己融着線であるが、いずれか一方のみが自己融着線でもよい。
【0025】
第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の少なくとも一方は、自己融着線でない絶縁被覆ワイヤでもよい。また、第1巻回部40は、例えば樹脂含浸あるいはワニス含浸によって、被膜43(あるいは、芯部42)の上から、樹脂で覆われていてもよい。同様に、第2巻回部50は、例えば樹脂含浸あるいはワニス含浸によって、被膜53(あるいは、芯部52)の上から、樹脂で覆われていてもよい。この場合、樹脂によって、第1巻回部40および第2巻回部50の形状を維持することができる。そのため、第1巻回部40および第2巻回部50の巻き解れを防止し、コイル装置1の磁気特性を向上させることができる。
【0026】
第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の各々の線径(直径)は、例えば1.0~3.0mmである。第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の線径は、それぞれ等しくてもよく、あるいは異なっていてもよい。たとえば、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5のうち、電流が大きい一方のワイヤの線径を他方のワイヤの線径よりも太くしてもよい。
【0027】
図2に示すように、引出部41aおよび41bは、第1巻回部40から引き出されている。また、引出部51aおよび51bは、第2巻回部50から立ち上げられるように引き出されている(
図6参照)。
【0028】
中脚コア2は、第1分割コア21と、第1分割コア21とは別体からなる第2分割コア22とを有する。第1分割コア21と第2分割コア22とは、ギャップ部材10を介して、Z軸方向に組み合わされる(
図3)。本実施形態では、中脚コア2は、複数の分割コアで構成されているが、1つのコアで構成されていてもよい。また、分割コアの数は、3つ以上でもよい。
【0029】
第1分割コア21は、柱体からなり、第1分割コア21の横断面形状は、楕円形である。ただし、第1分割コア21の横断面形状は、円形、四角形あるいはその他の多角形でもよい。第2分割コア22は、柱体からなり、第1分割コア21と同様の形状を有する。ただし、第2分割コア22の形状は、第1分割コア21の形状とは異なっていてもよい。第2分割コア22の軸方向の長さは、第1分割コア21の軸方向の長さよりも長く(あるいは、短く)てもよい。
【0030】
第1分割コア21および第2分割コア22の材質は、特に限定されないが、フェライト粒子または金属磁性体粒子が分散された合成樹脂である。フェライト粒子としては、特に限定されないが、Ni-Zn系フェライト、Mn-Zn系フェライト等が例示される。金属磁性体粒子としては、特に限定されないが、Fe-Ni合金粉、Fe-Si合金粉、Fe-Si-Cr合金粉、Fe-Co合金粉、Fe-Si-Al合金粉、アモルファス鉄等が例示される。合成樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂等が例示される。第1分割コア21および第2分割コア22の材質は同一であるが、異なっていてもよい。
【0031】
第2分割コア22は、第1連結コア6aと第1連結コア6bとを跨ぐように、第1連結コア6aおよび6bに配置される。第2分割コア22は、第1連結コア6aおよび6bのY軸方向の中央部に配置されるが、第2分割コア22の位置は、第1連結コア6aおよび6bのY軸方向の中央に対して位置ずれしていてもよい。
【0032】
図3に示すように、第1分割コア21の外周面23には、第1ワイヤ4が巻回され、第1巻回部40が形成されている。また、第2分割コア22の外周面24には、第2ワイヤ5が巻回され、第2巻回部50が形成されている。そのため、中脚コア2は、第1巻回部40と第2巻回部50との径方向の内側に配置されている。
【0033】
ギャップ部材10は、絶縁性のシートであり、第1分割コア21と第2分割コア22との間に配置されている(挟まれている)。ギャップ部材10の横断面形状は、第1分割コア21または第2分割コア22の横断面形状と同一である。ギャップ部材10は、例えばPPS、PET、PBT、LCP等のプラスチック、あるいはその他の絶縁部材(好ましくは、耐熱性を有する材料)で構成されている。ギャップ部材10の厚みは、第1分割コア21または第2分割コア22の厚みよりも小さい。ギャップ部材10のZ軸に沿った厚みは、例えば1~3mmである。また、ギャップ部材10の厚みは、第1ワイヤ4または第2ワイヤ5の線径よりも小さいが、これと同等でもよく、あるいはこれよりも大きくてもよい。
【0034】
本実施形態では、ギャップ部材10によって、第1分割コア21と第2分割コア22との間にギャップ(コアが配置されない領域)が形成され、第1分割コア21と第2分割コア22との間のZ軸に沿った距離を調整することができる。そのため、第1分割コア21に配置された第1巻回部40と、第2分割コア22に配置された第2巻回部50との間のZ軸に沿った距離を調整することができる。これにより、第1巻回部40と第2巻回部50との間の結合を調整し、コイル装置1のリーケージを最適化することができる。
【0035】
第1巻回部40および第2巻回部50のいずれも、ギャップ部材10と重複しないように配置されている。すなわち、第1巻回部40は、Z軸に沿って、ギャップ部材10よりも一方側に配置されている。また、第2巻回部50は、Z軸に沿って、ギャップ部材10よりも他方側に配置されている。これにより、上述した第1巻回部40と第2巻回部50との間の結合を調整する効果が得られやすくなる。
【0036】
なお、ギャップ部材10を省略して、第1分割コア21と第2分割コア22との間に空気の層(空隙)を形成してもよい。例えば、第1分割コア21を第2連結コア7aおよび7bに連結してT型コアを形成するとともに、第2分割コア22を第1連結コア6aおよび6bに連結してT型コアを形成することにより、第1分割コア21と第2分割コア22との間にギャップ(空気の層)を形成することができる。
【0037】
第1分割コア21のZ軸に沿った長さは、第1巻回部40のZ軸に沿った長さと同等であるが、これよりも長くてもよい。第2分割コア22のZ軸に沿った長さは、第2巻回部50のZ軸に沿った長さと同等であるが、これよりも長くてもよい。
【0038】
図2に示すように、外脚コア3aおよび3bは、それぞれY軸方向に扁平な板状のコアである。外脚コア3aと外脚コア3bとは、Y軸方向に対向している。外脚コア3aと外脚コア3bとは、同一の形状を有するが、異なる形状を有していてもよい。外脚コア3aおよび3bの材質は、特に限定されないが、フェライト粒子または金属磁性体粒子が分散された合成樹脂である。外脚コア3aおよび3bの材質は同一であるが、異なっていてもよい。外脚コア3aおよび3bの材質は、中脚コア2の材質と同一であるが、異なっていてもよい。
【0039】
外脚コア3aは、中脚コア2よりもY軸方向の一方側において、第1連結コア6aと第1連結コア6bとを跨ぐように、第1連結コア6aおよび6bに配置される。外脚コア3bは、中脚コア2よりもY軸方向の他方側において、第1連結コア6aと第1連結コア6bとを跨ぐように、第1連結コア6aおよび6bに配置される。
【0040】
図3に示すように、外脚コア3aは、第1巻回部40と第2巻回部50との径方向の外側に配置されている。また、外脚コア3bは、第1巻回部40と第2巻回部50との径方向の外側に配置されている。そのため、第1巻回部40の少なくとも一部は、中脚コア2と外脚コア3aとで挟まれているとともに、中脚コア2と外脚コア3bとで挟まれている。また、第2巻回部50の少なくとも一部は、中脚コア2と外脚コア3aとで挟まれているとともに、中脚コア2と外脚コア3bとで挟まれている。
【0041】
外脚コア3aは、1つのコアで構成されているが、複数のコアで構成されていてもよい。また、外脚コア3bは、1つのコアで構成されているが、複数のコアで構成されていてもよい。例えば、外脚コア3aは、中脚コア2と同様に、少なくとも1つのギャップ部材を介してZ軸に沿って配置された複数の分割コアで構成されていてもよい。また、外脚コア3bは、少なくとも1つのギャップ部材を介してZ軸に沿って配置された複数の分割コアで構成されていてもよい。
【0042】
図2に示すように、外脚コア3aの内周面30は、湾曲面となっており、第1巻回部40の外周面および第2巻回部50の外周面に沿って湾曲している。外脚コア3aの内周面30の曲率半径は、第1巻回部40および第2巻回部50の各々の外周面の曲率半径と等しくなっているが、これよりも小さくてもよく、あるいは大きくてもよい。
【0043】
また、外脚コア3bの内周面30は、湾曲面となっており、第1巻回部40の外周面および第2巻回部50の外周面に沿って湾曲している。外脚コア3bの内周面30の曲率半径は、第1巻回部40および第2巻回部50の各々の外周面の曲率半径と等しくなっているが、これよりも小さくてもよく、あるいは大きくてもよい。
【0044】
外脚コア3aまたは3bのY軸方向の厚み(最大厚みまたは平均厚み)は、中脚コア2のY軸方向の厚み(最大厚みまたは平均厚み)よりも小さいが、これと同等、あるいはこれよりも大きくてもよい。
【0045】
第1連結コア6aおよび6bは、それぞれZ軸方向に扁平な板状のコアである。第1連結コア6aと第1連結コア6bとは、同一の形状を有するが、異なる形状を有していてもよい。第1連結コア6aおよび6bの材質は、特に限定されないが、フェライト粒子または金属磁性体粒子が分散された合成樹脂である。第1連結コア6aおよび6bの材質は同一であるが、異なっていてもよい。第1連結コア6aおよび6bの材質は、他のコア(中脚コア2、外脚コア3aおよび外脚コア3b)の材質と同一であるが、異なっていてもよい。
【0046】
第1連結コア6aおよび6bは、X軸方向に隣接して配置されている(
図4参照)。第1連結コア6aと第1連結コア6bとは、X軸に沿って、接触していてもよい。あるいは、第1連結コア6aと第1連結コア6bとの間には、X軸に沿って、隙間が形成されていてもよい。第1連結コア6aおよび6bは、中脚コア2に対して直交するように配置されている。また、第1連結コア6aおよび6bは、外脚コア3aおよび3bに対して直交するように配置されている。
【0047】
図3に示すように、第1連結コア6b(第1連結コア6aも同様)は、Z軸に沿って、第2巻回部50に隣接して配置されている。より詳細には、第1連結コア6bは、第2巻回部50とケース8の底部80との間に配置されている。第1連結コア6bの外面60は、ケース8の底部80に直接的に接触している。ただし、外面60と底部80との間には、絶縁性または導電性の部材が配置されていてもよい。
【0048】
第1連結コア6bの内面65には、中脚コア2(第2分割コア22)と、外脚コア3aと、外脚コア3bとが配置されている。そのため、第1連結コア6bは、中脚コア2(第2分割コア22)と、外脚コア3aと、外脚コア3bとを連結している。
【0049】
詳細な図示は省略するが、
図2に示す第1連結コア6aの内面65には、中脚コア2(第2分割コア22)と、外脚コア3aと、外脚コア3bとが配置されている。そのため、第1連結コア6aは、中脚コア2(第2分割コア22)と、外脚コア3aと、外脚コア3bとを連結している。
【0050】
図3に示すように、第2分割コア22の底面26は、第1連結コア6b(第1連結コア6aも同様)の内面65に直接的に接触している。ただし、第2分割コア22の底面26と第1連結コア6b(第1連結コア6a)の内面65との間には、絶縁性または導電性の部材が配置されていてもよい。
【0051】
また、外脚コア3aの底面33は、第1連結コア6b(第1連結コア6aも同様)の内面65に直接的に接触している。同様に、外脚コア3bの底面33は、第1連結コア6b(第1連結コア6aも同様)の内面65に直接的に接触している。ただし、外脚コア3aの底面33と第1連結コア6b(第1連結コア6a)の内面65との間には、絶縁性または導電性の部材が配置されていてもよい。同様に、外脚コア3bの底面33と第1連結コア6b(第1連結コア6a)の内面65との間には、絶縁性または導電性の部材が配置されていてもよい。
【0052】
図2に示すように、第1連結コア6aのX軸方向の外側の側面には、V字状に凹む凹部66が形成されている。また、第1連結コア6bのX軸方向の外側の側面には、V字状に凹む凹部66が形成されている。なお、凹部66は、第1連結コア6aおよび6bから省略されてもよい。
【0053】
第1連結コア6aと第1連結コア6bとは別体で構成されているが、一体となっていてもよい。あるいは、第1連結コア6aは、さらに複数のコアに分割されていてもよく、第1連結コア6bは、さらに複数のコアに分割されていてもよい。
【0054】
第2連結コア7aおよび7bは、それぞれZ軸方向に扁平な板状のコアである。第2連結コア7aと第2連結コア7bとは、同一の形状を有するが、異なる形状を有していてもよい。第2連結コア7aおよび7bの材質は、特に限定されないが、フェライト粒子または金属磁性体粒子が分散された合成樹脂である。第2連結コア7aおよび7bの材質は同一であるが、異なっていてもよい。第2連結コア7aおよび7bの材質は、他のコア(中脚コア2、外脚コア3aおよび外脚コア3b、第1連結コア6aおよび6b)の材質と同一であるが、異なっていてもよい。
【0055】
第2連結コア7aおよび7bは、X軸方向に隣接して配置されている(
図4参照)。第2連結コア7aと第2連結コア7bとは、X軸に沿って、接触していてもよい。あるいは、第2連結コア7aと第2連結コア7bとの間には、X軸に沿って、隙間が形成されていてもよい。第2連結コア7aおよび7bは、中脚コア2に対して直交するように配置されている。また、第2連結コア7aおよび7bは、外脚コア3aおよび3bに対して直交するように配置されている。
【0056】
第2連結コア7aおよび7bは、中脚コア2の軸方向に沿って、第1連結コア6aおよび6bと対向している。
図3に示すように、第2連結コア7b(第2連結コア7aも同様)は、Z軸に沿って、第1巻回部40に隣接して配置されている。
【0057】
第2連結コア7b(第2連結コア7aも同様)の内面75には、外脚コア3aと外脚コア3bとが配置されている。そのため、第2連結コア7bは、外脚コア3aと外脚コア3bとを連結している。また、第2連結コア7aは、外脚コア3aと外脚コア3bとを連結している。
【0058】
第1分割コア21の頂面25は、第2連結コア7bの内面75には接触してはいない。詳細な図示は省略するが、第1分割コア21の頂面25は、第2連結コア7aの内面75には接触してはいない。すなわち、第1分割コア21の頂面25(中脚コア2の軸方向の端部)と、第2連結コア7bの内面75との間には、ギャップGが形成されている。同様に、第1分割コア21の頂面25(中脚コア2の軸方向の端部)と、第2連結コア7aの内面75との間には、ギャップGが形成されている。
【0059】
ギャップGには、空気の層(空隙)が形成されているが、ギャップGには、例えば放熱性樹脂14(
図1)が充填されていてもよい。あるいは、ギャップGには、絶縁性の部材が配置されていてもよい。本実施形態では、ギャップGによって、第1巻回部40と第2巻回部50との間の結合を調整し、コイル装置1のリーケージを最適化することができる。なお、第1分割コア21の頂面25は、第2連結コア7aの内面75および第2連結コア7bの内面75に直接的に接触していてもよい。
【0060】
外脚コア3aの頂面32は、第2連結コア7b(第2連結コア7aも同様)の内面75に直接的に接触している。同様に、外脚コア3bの頂面32は、第2連結コア7b(第2連結コア7aも同様)の内面75に直接的に接触している。ただし、外脚コア3aの頂面32と第2連結コア7b(第2連結コア7a)の内面75との間には、絶縁性または導電性の部材が配置されていてもよい。また、外脚コア3bの頂面32と第2連結コア7b(第2連結コア7a)の内面75との間には、絶縁性または導電性の部材が配置されていてもよい。
【0061】
図2に示すように、第2連結コア7aのX軸方向の外側の側面には、V字状に凹む凹部76が形成されている。また、第2連結コア7bのX軸方向の外側の側面には、V字状に凹む凹部76が形成されている。なお、凹部76は、第2連結コア7aおよび7bから省略されてもよい。
【0062】
本実施形態では、第2連結コア7aと第2連結コア7bとは別体で構成されているが、一体となっていてもよい。あるいは、第2連結コア7aは、さらに複数のコアに分割されていてもよく、第2連結コア7bは、さらに複数のコアに分割されていてもよい。
【0063】
中脚コア2と、外脚コア3aと、外脚コア3bと、第1連結コア6aおよび6bとは、E型コアを構成している。また、第2連結コア7aおよび7bは、I型コアを構成している。すなわち、本実施形態のコイル装置1では、E型コアとI型コアとが組み合わされている。
【0064】
本実施形態では、第1連結コア6aおよび6bの結合体と、第2連結コア7aおよび7bの結合体との間の空間に、外脚コア3aおよび3bが配置されるように、これらのコアは組み合わされている。
【0065】
外脚コア3aは、中脚コア2とは別体で構成されており、外脚コア3bは、中脚コア2とは別体で構成されている。そのため、外脚コア3aおよび3bと中脚コア2とを分離した状態で、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5を中脚コア2(第1分割コア21および第2分割コア22)に巻回することができる。これにより、外脚コア3aおよび3bに阻害されることなく、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5を中脚コア2に巻回することができ、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の巻回作業が容易である。
【0066】
なお、外脚コア3aは、中脚コア2と一体となっていてもよい。例えば、外脚コア3aは、第1連結コア6aおよび6bを介して、中脚コア2と一体となっていてもよい。この場合、外脚コア3aと、中脚コア2と、第1連結コア6aおよび6bとで、U型コアを形成することができる。
【0067】
同様に、外脚コア3bは、中脚コア2と一体となっていてもよい。例えば、外脚コア3bは、第1連結コア6aおよび6bを介して、中脚コア2と一体となっていてもよい。この場合、外脚コア3bと、中脚コア2と、第1連結コア6aおよび6bとで、U型コアを形成することができる。
【0068】
中脚コア2は、第1連結コア6aおよび6bとは別体で構成されている。そのため、第1連結コア6aおよび6bと中脚コア2とを分離した状態で(すなわち、中脚コア2単独で)、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5を中脚コア2(第1分割コア21および第2分割コア22)に巻回することができる。これにより、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5を中脚コア2に巻回しやすくなる。なお、中脚コア2は、第1連結コア6aおよび6bと一体となっていてもよい。この場合、中脚コア2と、第1連結コア6aおよび6bとで、T型コアを形成することができる。
【0069】
外脚コア3aおよび3bは、第1連結コア6aおよび6bとは別体で構成されているが、第1連結コア6aおよび6bと一体となっていてもよい。この場合、外脚コア3aおよび3bと、第1連結コア6aおよび6bとで、U型コアを形成することができる。
【0070】
図3に示すように、第1巻回部40の内周面45は、第1分割コア21の外周面23に接触している。第1ワイヤ4は第1分割コア21の外周面23に直接的に巻回されているからである。第1巻回部40の内周面45を形成するすべてのターンは、外周面23に接触しているが、いずれかのターンが、外周面23に接触していなくてもよい。
【0071】
また、第2巻回部50の内周面55は、第2分割コア22の外周面24に接触している。第2ワイヤ5は第2分割コア22の外周面24に直接的に巻回されているからである。第2巻回部50の内周面55を形成するすべてのターンは、外周面24に接触しているが、いずれかのターンが、外周面24に接触していなくてもよい。
【0072】
なお、第1巻回部40および第2巻回部50のいずれか一方が、中脚コア2の外周面に接触していなくてもよい。この場合、第1巻回部40および第2巻回部50のいずれか一方が空芯コイルであってもよい。
【0073】
第1巻回部40の外周面46には、外脚コア3aの内周面30および外脚コア3bの内周面30が接触している。第1巻回部40の外周面46を形成するすべてのターンは、外脚コア3aの内周面30に接触しているが、いずれかのターンが、内周面30に接触していなくてもよい。同様に、第1巻回部40の外周面46を形成するすべてのターンは、外脚コア3bの内周面30に接触しているが、いずれかのターンが、内周面30に接触していなくてもよい。また、外脚コア3aの内周面30および外脚コア3bの内周面30のいずれか一方が、第1巻回部40の外周面46に接触していなくてもよい。
【0074】
第2巻回部50の外周面56には、外脚コア3aの内周面30および外脚コア3bの内周面30が接触している。第2巻回部50の外周面56を形成するすべてのターンは、外脚コア3aの内周面30に接触しているが、いずれかのターンが、内周面30に接触していなくてもよい。同様に、第2巻回部50の外周面56を形成するすべてのターンは、外脚コア3bの内周面30に接触しているが、いずれかのターンが、内周面30に接触していなくてもよい。また、外脚コア3aの内周面30および外脚コア3bの内周面30のいずれか一方が、第2巻回部50の外周面56に接触していなくてもよい。
【0075】
図2に示すように、外脚コア3aは、第1連結コア6aおよび6bと、第2連結コア7aおよび7bとは別体で構成されている。そのため、
図3に示すように、外脚コア3aを第1連結コア6b(第1連結コア6a)のY軸方向の一端から、距離D1だけ、Y軸方向の他方側へ離間した位置に配置することができる。これにより、外脚コア3aの内周面30を、第1巻回部40の外周面46および第2巻回部50の外周面56に接触させることができる。
【0076】
同様に、
図2に示すように、外脚コア3bは、第1連結コア6aおよび6bと、第2連結コア7aおよび7bとは別体で構成されている。そのため、
図3に示すように、外脚コア3bを第1連結コア6b(第1連結コア6a)のY軸方向の他端から、距離D2だけ、Y軸方向の一方側へ離間した位置に配置することができる。これにより、外脚コア3bの内周面30を、第1巻回部40の外周面46および第2巻回部50の外周面56に接触させることができる。
【0077】
なお、第1巻回部40の外周面46および第2巻回部50の外周面56のいずれか一方のみが、外脚コア3aの内周面30および/または外脚コア3bの内周面30に接触していてもよい。
【0078】
第2巻回部50は、第1連結コア6b(第1連結コア6a)の内面65から、Z軸に沿って離間した位置に配置されているが、第1連結コア6b(第1連結コア6a)の内面65に接触していてもよい。また、第1巻回部40は、第2連結コア7b(第2連結コア7a)の内面75から、Z軸に沿って離間した位置に配置されているが、第2連結コア7b(第2連結コア7a)の内面75に接触していてもよい。
【0079】
図2に示すように、ケース8は、例えば、底部80と、側部81と、突出部82aおよび82bと、凹部83aおよび83bとを有する。ケース8は、アルミ等の冷却性に優れた金属等で構成されている。ケース8には、少なくとも、中脚コア2と、外脚コア3aおよび3bと、第1連結コア6aおよび6bと、第2連結コア7aおよび7bと、第1巻回部40と、第2巻回部50とが収容される。
【0080】
突出部82aは、側部81のX軸方向の一端に形成されており、側部81の外面からX軸方向の外側に向けて突出している。突出部82aは、第1壁部82a1と、第2壁部82a2と、底壁部82a3とを有する。第1壁部82a1と第2壁部82a2とは、Y軸に沿って対向している。底壁部82a3は、第1壁部82a1と第2壁部82a2とを連結している。第1壁部82a1と第2壁部82a2と底壁部82a3とは、C字状となるように連続している。凹部83aは、第1壁部82a1と第2壁部82a2と底壁部82a3とで画定された凹部であり、突出部82aの内側に形成されている。
【0081】
突出部82bは、側部81のX軸方向の他端に形成されており、側部81の外面からX軸方向の外側に向けて突出している。突出部82bは、第1壁部82b1と、第2壁部82b2と、底壁部82b3とを有する。第1壁部82b1と第2壁部82b2とは、Y軸に沿って対向している。底壁部82b3は、第1壁部82b1と第2壁部82b2とを連結している。第1壁部82b1と第2壁部82b2と底壁部82b3とは、C字状となるように連続している。凹部83bは、第1壁部82b1と第2壁部82b2と底壁部82b3とで画定された凹部であり、突出部82bの内側に形成されている。
【0082】
図1および
図2に示すように、ケース8の内部には、放熱性樹脂14が充填されている。放熱性樹脂14は、少なくとも、第1巻回部40と、第2巻回部50と、中脚コア2と、外脚コア3aおよび3bと、第1連結コア6aおよび6bとを覆う(浸漬する)ように、ケース8の内部に充填されている。放熱性樹脂14は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂あるいはエポキシ樹脂等で構成される。放熱性樹脂14は、ケース8の開口部付近、例えば側部81のZ軸に沿った高さの70~90%程度まで充填される。
図1に示す例では、放熱性樹脂14は、第2連結コア7aおよび7bを覆っていないが、第2連結コア7aおよび7bを覆っていてもよい。
【0083】
本実施形態では、放熱性樹脂14およびケース8を介して、第1巻回部40と、第2巻回部50と、中脚コア2と、外脚コア3aおよび3bと、第1連結コア6aおよび6bの熱を外部に効率よく放熱し、コイル装置1の冷却効率を高めることができる。
【0084】
図4に示すように、端子13a~13dは、同一の形状を有し、それぞれ、継線部130と、接続部131とを有する。端子13aおよび13bは、端子固定板11bに一体成形されているが、端子固定板11bに後付可能に構成されていてもよい。端子13cおよび13dは、端子固定板11aに一体成形されているが、端子固定板11aに後付可能に構成されていてもよい。
図4に示す例では、継線部130の一部と接続部131の一部とが、端子固定板11aまたは11bに埋設されている。
【0085】
端子13aの継線部130には、引出部41aがかしめられつつ接続される。端子13bの継線部130には、引出部41bがかしめられつつ接続される。端子13cの継線部130には、引出部51aがかしめられつつ接続される。端子13dの継線部130には、引出部51bがかしめられつつ接続される。引出部41a、41b、51aおよび51bは、継線部130に対して溶接されてもよい。あるいは、引出部41a、41b、51aおよび51bは、継線部130に対して、例えばレーザ溶接、ハンダ、導電性接着剤、熱圧着、超音波接合、抵抗ろう付け、紫外線硬化樹脂接合等によって接続されてもよい。
【0086】
接続部131は、例えば実装基板に接続される。接続部131は、Z軸に沿って突出しているが、X軸またはY軸に沿って突出していてもよい。
【0087】
端子固定板11aおよび11bは、直方体形状を有する板体であり、例えば絶縁性の部材で構成されている。台座12aおよび12bは、
図2に示すケース8に取り付けられる(
図1参照)。
図2および
図4に示すように、台座12aおよび12bは、それぞれ、底部120と、囲い部121と、ケース固定部122とを有する。
【0088】
底部120は、平面視において長方形状を有する板体である。囲い部121およびケース固定部122は、底部120の外縁部から、Z軸に沿って突出している。囲い部121は、底部120の第1の辺~第3の辺(1つの長辺と2つの短辺)に沿って配置されており、C字形状となるように延在している。ケース固定部122は、底部120の第4の辺(長辺)に沿って配置されており、囲い部121とは反対側に向かって突出している。ケース固定部122の一部は、囲い部121のY軸方向の両側方に位置する。
【0089】
端子固定板11aは、台座12aの底部120に配置され、端子固定板11bは、台座12bの底部120に配置される(
図1参照)。また、台座12aは、ケース8の突出部82aの内側に形成された凹部83aに配置される(
図1参照)。また、台座12bは、ケース8の突出部82bの内側に形成された凹部83bに配置される(
図1参照)。また、ケース固定部122は、ケース8の側部81の内面に固定(係合)される(
図1参照)。
【0090】
図2に示すように、放熱板9aおよび9bは、同一の形状を有し、例えば接着剤やテープによって第2連結コア7aに取り付けられる。また、放熱板9cおよび9dは、同一の形状を有し、例えば接着剤やテープによって第2連結コア7bに取り付けられる。放熱板9a~9dは、アルミニウム、銅、銀等の金属、あるいは樹脂で構成されている。放熱板9a~9dの厚みは、0.5~2mmである。
【0091】
図4に示すように、放熱板9aは、第2連結コア7aのY軸方向の一方側に取り付けられ、放熱板9bは、第2連結コア7aのY軸方向の他方側に取り付けられる。放熱板9aと放熱板9bとは、Y軸に沿って、離間している。
【0092】
放熱板9cは、第2連結コア7bのY軸方向の一方側に取り付けられ、放熱板9dは、第2連結コア7bのY軸方向の他方側に取り付けられる。放熱板9cと放熱板9dとは、Y軸に沿って、離間している。
【0093】
図2に示すように、放熱板9a~9dは、それぞれ、L字形状を有しており、天板部90と、側部91とを有する。本実施形態では、天板部90および側部91を介して、特に、第2連結コア7aおよび7bの熱を放熱させることができる。
図5に示すように、天板部90は、第2連結コア7a(第2連結コア7b)の外面(頂面)70に当接しつつ、外面70に沿って延在している。側部91は、天板部90のY軸方向の一端に接続されており、天板部90に対して直交するように、Z軸に沿って延在している。
【0094】
放熱板9aの側部91は、第2連結コア7aの第1側面71と、外脚コア3aの外側面31と、第1連結コア6aの第1側面61とに沿って延在している。放熱板9aの側部91は、第1側面71および第1側面61に当接しているが、第1側面71および第1側面61から離間していてもよい。
【0095】
放熱板9bの側部91は、第2連結コア7aの第2側面72と、外脚コア3bの外側面31と、第1連結コア6aの第2側面62とに沿って延在している。放熱板9bの側部91は、第2側面72および第2側面62に当接しているが、第2側面72および第2側面62から離間していてもよい。
【0096】
詳細な図示は省略するが、
図2に示す放熱板9cの側部91は、第2連結コア7bの第1側面71と、外脚コア3aの外側面31と、第1連結コア6bの第1側面61とに沿って延在している。放熱板9dの側部91は、第2連結コア7bの第2側面72と、外脚コア3bの外側面31と、第1連結コア6bの第1側面61とに沿って延在している。
【0097】
次に、コイル装置1の製造方法について説明する。まず、
図2に示す各部材を準備する。
図4に示すように、端子固定板11aには、端子13cおよび13dを一体的に形成しておき、端子固定板11bには、端子13aおよび13bを一体的に形成しておく。次に、
図3および
図6に示すように、第1分割コア21の外周面23に第1ワイヤ4を巻回し、第1巻回部40を形成する。また、第2分割コア22の外周面24に第2ワイヤ5を巻回し、第2巻回部50を形成する。次に、第1分割コア21と第2分割コア22との間に、ギャップ部材10を配置し、これらを接着する。
【0098】
次に、
図2および
図3に示すように、第2分割コア22の底面26に、第1連結コア6aの内面65および第1連結コア6bの内面65を接着し、第2分割コア22に第1連結コア6aおよび6bを組み合わせる。また、外脚コア3aの底面33に、第1連結コア6aの内面65および第1連結コア6bの内面65を接着し、外脚コア3aに第1連結コア6aおよび6bを組み合わせる。また、外脚コア3bの底面33に、第1連結コア6aの内面65および第1連結コア6bの内面65を接着し、外脚コア3bに第1連結コア6aおよび6bを組み合わせる。
【0099】
また、外脚コア3aの頂面32に、第2連結コア7aの内面75および第2連結コア7bの内面75を接着し、外脚コア3aに第2連結コア7aおよび7bを組み合わせる。また、外脚コア3bの頂面32に、第2連結コア7aの内面75および第2連結コア7bの内面75を接着し、外脚コア3bに第2連結コア7aおよび7bを組み合わせる。このとき、外脚コア3aの内周面30が、第1巻回部40の外周面46および第2巻回部50の外周面56に当接するように、外脚コア3aの位置を調整する。また、外脚コア3bの内周面30が、第1巻回部40の外周面46および第2巻回部50の外周面56に当接するように、外脚コア3bの位置を調整する。
【0100】
次に、
図2および
図4に示すように、端子13aの継線部130に引出部41aを接続する。また、端子13bの継線部130に引出部41bを接続する。また、端子13cの継線部130に引出部51aを接続する。また、端子13dの継線部130に引出部51bを接続する。なお、第1巻回部40および第2巻回部50を形成した直後に、継線部130に引出部41a等を接続してもよい。
【0101】
次に、第2連結コア7aに放熱板9aおよび9bを例えば接着剤で取り付けるとともに、第2連結コア7bに放熱板9cおよび9dを例えば接着剤で取り付ける。次に、端子固定板11aを台座12aに配置するとともに、端子固定板11bを台座12bに配置する。次に、上述した各部材をケース8に収容または固定し、ケース8の内部に放熱性樹脂14を充填する。以上のようにして、コイル装置1を製造することができる。
【0102】
図3に示すように、本実施形態のコイル装置1では、第1巻回部40の内周面45が、第1分割コア21の外周面23に接触している。また、第2巻回部50の内周面55が、第2分割コア22の外周面24に接触している。そのため、第1巻回部40と第1分割コア21の間、さらには第2巻回部50と第2分割コア22の間に、隙間が形成されにくく、コイル装置1の小型化を図ることができる。加えて、第1巻回部40および第2巻回部50で発生する熱が、それぞれ第1分割コア21および第2分割コア22に直接的に伝熱されやすくなり、コイル装置1の放熱性を高めることができる。その結果、中脚コア2、あるいは外脚コア3aおよび3bにクラックが発生することを防止することができる。また、第1巻回部40と第1分割コア21の間、さらには第2巻回部50と第2分割コア22との間に、ボビンが介在せず、ボビンレスのコイル装置1を構成することができる。そのため、ボビンの肉厚分、コイル装置1の小型化を図ることができる。
【0103】
また、第1ワイヤ4は、第1分割コア21の外周面23に直接的に巻回されており、第2ワイヤ5は、第2分割コア22の外周面24に直接的に巻回されている。そのため、第1巻回部40の内周面45は第1分割コア21の外周面23に接触し、第2巻回部50の内周面55は第2分割コア22の外周面24に接触する。それゆえ、第1巻回部40と第1分割コア21との間、さらには第2巻回部50と第2分割コア22との間に、隙間が形成されにくく、コイル装置1の小型化および放熱性の向上を効果的に図ることができる。
【0104】
また、第1巻回部40の外周面46および第2巻回部50の外周面56には、外脚コア3aの内周面30が接触しているとともに、外脚コア3bの内周面30が接触している。そのため、第1巻回部40および第2巻回部50と外脚コア3aとの間、さらには第1巻回部40および第2巻回部50と外脚コア3bとの間に、隙間が形成されにくくなる。これにより、第1巻回部40および第2巻回部50と外脚コア3aとの間、さらには第1巻回部40および第2巻回部50と外脚コア3bとの間に、伝熱経路が確保され、コイル装置1の小型化および放熱性の向上を効果的に図ることができる。
【0105】
また、外脚コア3aおよび3bは、第1連結コア6aおよび6bとは別体で構成されている。また、外脚コア3aおよび3bと、中脚コア2と、第1連結コア6aおよび6bとが、相互に別体である。そのため、外脚コア3aおよび3bの配置の自由度が高くなり、上述したように、第1巻回部40の外周面46および第2巻回部50の外周面56に、外脚コア3aおよび3bの内周面30が接触するように、外脚コア3aおよび3bを配置することができる。これにより、上述した効果を有効に得ることができる。
【0106】
(第2実施形態)
図7に示す第2実施形態のコイル装置1Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0107】
図7と
図3とを対比すれば明らかなように、第1連結コア6bおよび第2連結コア7bは、外脚コア3aと外脚コア3bとの間に配置されており、外脚コア3aと外脚コア3bとでY軸方向に挟まれている。詳細な図示は省略するが、第1連結コア6aおよび第2連結コア7aは、外脚コア3aと外脚コア3bとの間に配置されており、外脚コア3aと外脚コア3bとでY軸方向に挟まれている。
【0108】
第1分割コア21の頂面25は、第2連結コア7b(第2連結コア7aについても同様)の内面75に接触している。ただし、第1実施形態と同様に、第1分割コア21の頂面25と第2連結コア7b(第2連結コア7a)との間には、ギャップGが形成されていてもよい。
【0109】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、コイル装置1A(ただし、ケース8を除いた部分)のZ軸に沿った高さを、外脚コア3aおよび3bのZ軸に沿った高さに合わせることができる。これにより、コイル装置1Aの低背化を図ることができる。
【0110】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。例えば、上記各実施形態において、
図3に示す第1巻回部40および第2巻回部50は、空芯コイルで形成されていてもよい。
【0111】
上記各実施形態において、第一のE型コアと第二のE型コアとの組み合わせにより、コアを形成してもよい。あるいは、E型コアとI型コアの組み合わせにより、コアを形成してもよい。あるいは、少なくとも1個のU型コアと、少なくとも1個のI型コアとの組み合わせにより、コアを形成してもよい。
【0112】
上記各実施形態において、
図3に示すように、第1巻回部40と第2巻回部50とはZ軸に沿って配置されていたが、第1巻回部40の径方向の外側に第2巻回部50が配置されていてもよい。あるいは、第2巻回部50の径方向の外側に第1巻回部40が配置されていてもよい。
【0113】
図2に示すように、上記各実施形態では、コイル装置1には、2つの外脚コア3aおよび3bが具備されていたが、外脚コアの数は1つでもよい。また、コイル装置1には、2つの第1連結コア6aおよび6bが具備されていたが、第1連結コアの数は1つでもよい。また、コイル装置1には、2つの第2連結コア7aおよび7bが具備されていたが、第2連結コアの数は1つでもよい。
【0114】
上記各実施形態において、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5のいずれも絶縁被覆ワイヤであったが、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5のいずれか一方が絶縁被覆ワイヤであってもよい。
【0115】
上記各実施形態において、
図3に示すように、外脚コア3aおよび3bの内周面30は、第1巻回部40の外周面46および第2巻回部50の外周面56に接触していたが、これらの間には、隙間が形成されていてもよい。
【0116】
上記各実施形態では、本発明のトランスへの適用例について説明したが、本発明をトランス以外のコイル装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0117】
1,1A…コイル装置
2…中脚コア
21…第1分割コア
22…第2分割コア
23,24…外周面
25…頂面
26…底面
3a,3b…外脚コア
30…内周面
31…外側面
32…頂面
33…底面
4…第1ワイヤ
40…巻回部
41a,41b…引出部
42…芯部
43…被膜
44…融着層
45…内周面
46…外周面
5…第2ワイヤ
50…巻回部
51a,51b…引出部
52…芯部
53…被膜
54…融着層
55…内周面
56…外周面
6a,6b…第1連結コア
60…外面
61…第1側面
62…第2側面
65…内面
66…凹部
7a,7b…第2連結コア
70…外面
71…第1側面
72…第2側面
75…内面
76…凹部
8…ケース
80…底部
81…側部
82a,82b…突出部
83a,83b…凹部
9a~9d…放熱板
90…天板部
91…側部
10…ギャップ部材
11a,11b…端子固定板
12a,12b…台座
120…底部
121…囲い部
122…ケース固定部
13a~13d…端子
130…継線部
131…接続部
14…放熱性樹脂