IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アサヒグループ食品株式会社の特許一覧 ▶ アサヒグループホールディングス株式会社の特許一覧

特開2024-137212錠剤及びその製造方法、打錠適性の向上方法、並びに錠剤の崩壊遅延の抑制方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137212
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】錠剤及びその製造方法、打錠適性の向上方法、並びに錠剤の崩壊遅延の抑制方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/20 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 36/06 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 33/06 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240927BHJP
   A23L 33/14 20160101ALI20240927BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K9/20
A61K36/06 Z
A61K33/06
A61P3/02
A23L33/14
A23L33/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048645
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】715011078
【氏名又は名称】アサヒグループ食品株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000055
【氏名又は名称】アサヒグループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】安井 和歌奈
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 良貴
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018MD01
4B018MD10
4B018MD35
4B018MD36
4B018MD47
4B018MD81
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4B018MF08
4C076AA37
4C076BB01
4C076CC21
4C076CC40
4C076DD27
4C076DD41
4C076EE31
4C076EE38
4C076FF31
4C076FF36
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA04
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086NA03
4C086NA10
4C086NA11
4C086ZC21
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC12
4C087MA02
4C087MA35
4C087NA03
4C087NA10
4C087NA11
4C087ZC21
(57)【要約】
【課題】流動性が良好であり、打錠適性に優れた錠剤及びその製造方法、打錠適性の向上方法、並びに錠剤の崩壊遅延を抑制することができる錠剤の崩壊遅延の抑制方法を提供する。
【解決手段】酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む錠剤であって、前記酵母細胞壁含有組成物の前記錠剤における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、前記ミネラル含有組成物が粒子である錠剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む錠剤であって、
前記酵母細胞壁含有組成物の前記錠剤における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、
前記ミネラル含有組成物が粒子であることを特徴とする錠剤。
【請求項2】
前記ミネラル含有組成物の累積粒度分布における累積百分率10%、50%、90%に相当する粒子の粒子径をそれぞれD10、D50、D90とするとき、D10が20μm~90μmの範囲内であり、D50が90μm~180μmの範囲内であり、D90が170μm~280μmの範囲内である請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
前記酵母細胞壁含有組成物の前記錠剤における含有量が、0.1質量%~75質量%である請求項1から2のいずれかに記載の錠剤。
【請求項4】
前記酵母細胞壁含有組成物(A)に対する前記ミネラル含有組成物に含まれるミネラル原料(B)の割合(B/A×100)が、10質量%~80,000質量%である請求項1から2のいずれかに記載の錠剤。
【請求項5】
酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む混合物を打錠することを含む錠剤の製造方法であって、
前記酵母細胞壁含有組成物の前記混合物における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、
前記ミネラル含有組成物が粒子であることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記ミネラル含有組成物の粒子を調製する造粒工程を更に含み、
前記造粒工程におけるバインダー液の噴霧終了時の前記ミネラル含有組成物の水分含量が、5質量%~20質量%の範囲内である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを混合し、混合物とすることを含む打錠適性の向上方法であって、
前記酵母細胞壁含有組成物の前記混合物における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、
前記ミネラル含有組成物が粒子であることを特徴とする方法。
【請求項8】
酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む混合物を打錠することを含む錠剤の崩壊遅延の抑制方法であって、
前記酵母細胞壁含有組成物の前記混合物における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、
前記ミネラル含有組成物が粒子であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤及びその製造方法、打錠適性の向上方法、並びに錠剤の崩壊遅延の抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不規則な食生活や美容への意識の高まりなどに伴い、必要な栄養素を効率的に補給するため、たんぱく質、アミノ酸、ビタミン、ミネラル等の栄養素や、様々な栄養素を含む植物や動物原料由来の抽出物などの機能性成分を含有する栄養補助食品やサプリメントといった錠剤への需要が高まっている。
【0003】
酵母からエキスを抽出した後に残る酵母細胞壁含有組成物は、たんぱく質が多く含まれている有用な素材である。酵母細胞壁含有組成物を簡便に摂取するためには、錠剤化することが考えられる。
これまでに、例えば、たんぱく質などの栄養素を含み、さらに血糖値上昇抑制効果または中性脂肪上昇抑制効果等の健康機能性を有する組成物として、酵母菌体または酵母残渣の細胞壁分解酵素処理物である酵母たんぱく質含有組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、石化海藻粉末等のミネラル含有組成物も錠剤に配合する素材として有用である。
これまでに、日常的に使用可能であり、かつ、安全性が高い、関節軟骨の変性を含む関節異常に対して有用である物又は該物を含む組成物として、海藻カルシウム含有素材又は海藻カルシウム含有素材に由来するカルシウム化合物を含有する組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-183364号公報
【特許文献2】特開2016-141646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酵母細胞壁含有組成物や、石化海藻粉末等のミネラル含有組成物は、流動性が悪く、錠剤化する際に結合剤、賦形剤、流動化剤などを多く配合する必要があった。また、これらを配合してもなお、流動性に難があり、打錠機のスピードを上げられない、重量のバラツキが大きい等の製造適性(以下、「打錠適性」と称することがある。)に課題が生じていた。
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、流動性が良好であり、打錠適性に優れた錠剤及びその製造方法、打錠適性の向上方法、並びに錠剤の崩壊遅延を抑制することができる錠剤の崩壊遅延の抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、粒子状のミネラル含有組成物を用いることで、酵母細胞壁含有組成物を高配合した場合でも流動性が良好であり、打錠適性に優れた錠剤とすることができることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む錠剤であって、
前記酵母細胞壁含有組成物の前記錠剤における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、
前記ミネラル含有組成物が粒子であることを特徴とする錠剤である。
<2> 前記ミネラル含有組成物の累積粒度分布における累積百分率10%、50%、90%に相当する粒子の粒子径をそれぞれD10、D50、D90とするとき、D10が20μm~90μmの範囲内であり、D50が90μm~180μmの範囲内であり、D90が170μm~280μmの範囲内である前記<1>に記載の錠剤である。
<3> 前記酵母細胞壁含有組成物の前記錠剤における含有量が、0.1質量%~75質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の錠剤である。
<4> 前記酵母細胞壁含有組成物(A)に対する前記ミネラル含有組成物に含まれるミネラル原料(B)の割合(B/A×100)が、10質量%~80,000質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の錠剤である。
<5> 酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む混合物を打錠することを含む錠剤の製造方法であって、
前記酵母細胞壁含有組成物の前記混合物における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、
前記ミネラル含有組成物が粒子であることを特徴とする方法である。
<6> 前記ミネラル含有組成物の粒子を調製する造粒工程を更に含み、
前記造粒工程におけるバインダー液の噴霧終了時の前記ミネラル含有組成物の水分含量が、5質量%~20質量%の範囲内である前記<5>に記載の方法である。
<7> 酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを混合し、混合物とすることを含む打錠適性の向上方法であって、
前記酵母細胞壁含有組成物の前記混合物における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、
前記ミネラル含有組成物が粒子であることを特徴とする方法である。
<8> 酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む混合物を打錠することを含む錠剤の崩壊遅延の抑制方法であって、
前記酵母細胞壁含有組成物の前記混合物における含有量が、0質量%超75質量%以下であり、
前記ミネラル含有組成物が粒子であることを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、流動性が良好であり、打錠適性に優れた錠剤及びその製造方法、打錠適性の向上方法、並びに錠剤の崩壊遅延を抑制することができる錠剤の崩壊遅延の抑制方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(錠剤)
本発明の錠剤は、酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0012】
<酵母細胞壁含有組成物>
前記酵母細胞壁含有組成物とは、酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む組成物である。
【0013】
前記酵母細胞壁含有組成物は、市販品を使用してもよいし、適宜調製したものを使用してもよい。
【0014】
前記酵母細胞壁含有組成物の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培養乃至醸造した酵母菌を洗浄し、不純物を除去した後、エキス分を抽出することで、残った残渣(酵母細胞壁含有組成物)を得る方法などが挙げられる。
【0015】
前記酵母の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母などが挙げられる。
前記酵母の属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、キャンディダ(Candida)属などが挙げられる。これらの中でも、サッカロマイセス(Saccharomyces)属が好ましい。
前記サッカロマイセス(Saccharomyces)属の酵母の具体例としては、Saccharomyces cerevisiaeなどが挙げられる。
前記キャンディダ(Candida)属の酵母の具体例としては、Candida utilisなどが挙げられる。
前記酵母は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記エキス分の抽出方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、熱水抽出、自己消化、酵素分解などが挙げられる。これらの中でも、熱水抽出が好ましい。
【0017】
前記酵母細胞壁含有組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、泥状のもの、圧搾して水分を減らしたもの、乾燥して更に水分を減らしたもの、粉状のもの、液中に懸濁させたものなどが挙げられる。これらの中でも、粉状のものを好適に用いることができる。
前記乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドラムドライやスプレードライにより乾燥する方法などが挙げられる。
【0018】
前記酵母細胞壁含有組成物の前記錠剤における含有量としては、0質量%超75質量%以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%~75質量%が好ましく、0.1質量%~40質量%がより好ましく、1質量%~40質量%が特に好ましい。
【0019】
<ミネラル含有組成物>
前記ミネラル含有組成物は、ミネラル原料を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記ミネラル含有組成物は、粒子状のものを用いる。
ミネラル含有組成物を粒子状とすることで、流動性及び結合性の良い素材とすることができ、酵母細胞壁含有組成物を高配合した錠剤を製造することができる。また、ミネラル含有組成物自体の錠剤における配合量を高めることができる。
【0020】
前記ミネラル含有組成物は、市販品を使用してもよいし、適宜調製したものを使用してもよい。
【0021】
-造粒-
粒子状のミネラル含有組成物の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末状のミネラル含有組成物を造粒する方法などが挙げられる。
【0022】
前記造粒の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、流動層造粒法、攪拌造粒法、乾式造粒法、噴霧乾燥法などが挙げられる。
前記造粒の方法の具体例としては、前記ミネラル含有組成物を混合、練合、捏和、及び/又は攪拌し、適宜選択した、水、エタノール、これらの混合溶媒、又は結合剤を噴霧及び/又は添加する方法が挙げられる。
【0023】
前記結合剤(以下、「バインダー」と称することがある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、澱粉分解物や加工でんぷん等の澱粉加工物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、プルラン、グアガム等の増粘多糖類、イソマルトース、キシリトール、マルチトール、ソルビトール等の糖アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結合剤は、市販品を適宜使用することができる。
【0024】
前記結合剤は、噴霧するために、溶解液乃至分散液としてもよい。
前記結合剤を溶解乃至分散するために用いる溶媒としては、特に制限はなく、使用する結合剤の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、これらの混合溶媒などが挙げられる。
【0025】
前記噴霧に用いる液(以下、「バインダー液」と称することがある。)の粘度、噴霧に用いる液中の結合剤の濃度(固形分濃度)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0質量%~30質量%などが挙げられる。前記バインダー液は、水、エタノール、又はこれらの混合溶媒のみからなるものであってもよい。
前記噴霧の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、使用する造粒装置に設けられた噴霧手段、例えば、スプレーガン、噴霧ノズル等から噴霧する方法などが挙げられる。
前記噴霧の条件(噴霧量、噴霧する霧粒子(ミスト)の大きさ、噴霧時間、噴霧間隔等)としては、特に制限はなく、公知の条件を適宜選択することができる。
【0026】
前記造粒は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、噴霧造粒装置、流動層造粒装置、撹拌造粒装置などが挙げられる。
前記造粒の温度、時間等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0027】
前記ミネラル含有組成物の累積粒度分布における累積百分率10%に相当する粒子の粒子径(以下、「D10」と称することがある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm~90μmの範囲内であることが好ましく、30μm~80μmの範囲内であることがより好ましく、40μm~70μmの範囲内であることが特に好ましい。
なお、D10は、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の10%に達したときの粒子径のことをいう。
【0028】
前記ミネラル含有組成物の累積粒度分布における累積百分率50%に相当する粒子の粒子径(以下、「D50」と称することがある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90μm~180μmの範囲内であることが好ましく、100μm~170μmの範囲内であることがより好ましく、110μm~160μmの範囲内であることが特に好ましい。
なお、D50は、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の50%に達したときの粒子径のことをいう。
【0029】
前記ミネラル含有組成物の累積粒度分布における累積百分率90%に相当する粒子の粒子径(以下、「D90」と称することがある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、170μm~280μmの範囲内であることが好ましく、180μm~270μmの範囲内であることがより好ましく、190μm~260μmの範囲内であることが特に好ましい。
なお、D90は、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の90%に達したときの粒子径のことをいう。
【0030】
前記ミネラル含有組成物は、D10、D50、及びD90が、上記した好ましい範囲内であることが好ましい。
【0031】
前記D10、D50、及びD90を測定する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、レーザー回折散乱法を用いた測定機(例えば、MT3300EXII、マイクロトラック・ベル株式会社)を使用することにより測定することができる。
【0032】
前記ミネラル含有組成物に含まれるミネラル原料としては、特に制限はなく、従来錠剤に配合されているものを適宜選択することができるが、天然物に由来するものが好ましい。
前記ミネラル原料は、動物性原料であってもよいし、非動物性原料であってもよいが、栄養面だけでなくベジタリアンの方も使用可能な錠剤を提供することができる点では、非動物性原料が、好ましい。
【0033】
前記動物性原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホタテの貝殻などが挙げられる。
【0034】
前記非動物性原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、海藻の石灰質残渣である石化した海藻(以下、「石化海藻」と称することがある。)、苦灰石などが挙げられる。
【0035】
前記石化海藻としては、海藻が海中のカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を吸着して得られるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、紅藻類海藻の石灰質残渣が好ましく、サンゴモ科海藻の石灰質残渣がより好ましい。
【0036】
前記サンゴモ科海藻としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Lithothamnium corallioides、Phymatolithon calcareum、Lithothamnium glacialeなどが挙げられる。これらのサンゴモ科海藻は、冷たく穏やかな海に豊富にある海藻であり、このサンゴモ科海藻が枯れた後に残る石灰質残渣は、90質量%以上が無機質であり、主に炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムからなる。
【0037】
前記石化海藻は、市販品を使用してもよいし、適宜調製したものを使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、アクアミネラル(日本バイオコン社)、AQUAMIN(MARIGOT社)、海藻カルシウムIT-1(太陽化学社)などが挙げられる。
【0038】
前記石化海藻を調製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記石化海藻は、海底より浚渫された状態でも使用できるが、砂や貝殻などの夾雑物が含まれることから、これらの一部又は全部を、海水や真水などで洗浄することや、篩別、手作業により選別することなどの上記夾雑物を除去する方法を単独又は2種以上を組合せて、上記夾雑物が除去されたものであることが好ましい。また、石化海藻は、例えば、海底より浚渫された状態から夾雑物を取り除き、さらに過酸化水素水処理や加熱処理などで殺菌し、乾燥したものであることがより好ましい。石化海藻は、加工性の観点から、粉砕及び粉末化された石化海藻粉末であることがさらに好ましい。
【0039】
前記石化海藻を乾燥する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、日干し、熱風乾燥などが挙げられる。乾燥の程度としては、石化海藻の水分含有量が十分に低下したことが確認される程度であればよく、例えば、水分含有量を10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましい。
【0040】
前記石化海藻の粉末化の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールミル、ハンマーミル、ローラーミルなどにより、石化海藻を粉砕する方法などが挙げられる。なお、粉末化と乾燥の順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】
前記粉末化された石化海藻粉末は、造粒することで、粒子状のミネラル含有組成物とすることができる。
【0042】
前記ミネラル含有組成物は、デキストリン、ケイ酸カルシウム等のその他の成分を含んでいてもよい。
前記ミネラル含有組成物における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0043】
前記ミネラル含有組成物に含まれるミネラル原料の前記錠剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%~80質量%が好ましく、19質量%~80質量%がより好ましく、50質量%~80質量%が特に好ましい。
【0044】
前記酵母細胞壁含有組成物(A)に対する前記ミネラル含有組成物に含まれるミネラル原料(B)の割合(B/A×100)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%~80,000質量%であることが好ましく、100質量%~80,000質量%であることがより好ましい。
【0045】
<その他の成分>
前記錠剤におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した酵母細胞壁含有組成物及びミネラル含有組成物以外の機能性成分;ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、植物油脂、硬化油等の滑沢剤;部分α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム等の崩壊剤;デンプン、乳糖、デキストリン、コーンスターチ等の賦形剤;粉末セルロース;結晶セルロース;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー;還元麦芽糖水あめ、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール;トレハロース、パラチノース、イソマルト等の二糖類;大豆多糖類;とうもろこしタンパク等の結合剤;無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素等のケイ素、又はその塩、又は酸化物;固着剤;酸化チタン、酸化鉄等の着色剤;フィチン酸、クエン酸、コハク酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-リンゴ酸、リン酸、リン酸二ナトリウム等のpH調整剤又は緩衝剤;酸化防止剤などが挙げられる。
【0046】
前記酵母細胞壁含有組成物及びミネラル含有組成物以外の機能性成分としては、特に制限はなく、栄養補助食品やサプリメントなどに用いられている成分を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ヘスペリジン、イノシトール等のビタミン類;アミノ酸又はその塩;カゼイン分解物等の乳由来ペプチドを含有するペプチド含有物、鶏軟骨由来エキス等の動物由来ペプチドを含有するペプチド含有物、マカエキス、ゴマエキス等の植物由来ペプチドを含有するペプチド含有物、わかめエキス、こんぶエキス等の海藻由来ペプチドを含有するペプチド含有物、サメ軟骨抽出エキス、サケ鼻軟骨抽出エキス、マグロ抽出エキス等の魚類由来ペプチドを含有するペプチド含有物等のペプチド含有物;プラセンタ抽出物、コラーゲン含有抽出物等の動物抽出物;コエンザイムQ10、α-リポ酸、L-カルニチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ウコン、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、シリマリン、ルテイン、発酵大豆胚芽エキス末、ザクロエキス末等;イチョウ葉由来、リンゴ由来、グァバ由来、茶由来、松由来、ブドウ由来、サラシア由来等の各種ポリフェノールを含有する成分;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記錠剤におけるその他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記錠剤におけるその他の成分は、市販品を適宜使用することができる。
【0048】
前記錠剤におけるその他の成分の前記錠剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0049】
前記錠剤の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0050】
前記錠剤は、栄養補助食品やサプリメントとして好適に用いることができる。
【0051】
本発明によれば、多くのタンパク質を含む非常に有用な酵母細胞壁含有組成物を高含有する場合でも錠剤化することができ、また、錠剤硬度や崩壊性も良好なものとすることができる。そして、結合剤、賦形剤、流動化剤などの配合量を少なくした錠剤とすることもできる。
【0052】
前記錠剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する本発明の錠剤の製造方法により、好適に製造することができる。
【0053】
(錠剤の製造方法)
本発明の錠剤の製造方法は、打錠工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0054】
<打錠工程>
前記打錠工程は、酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む混合物を打錠する工程であり、これにより、錠剤を得ることができる。
【0055】
前記打錠工程における混合物(以下、「打錠末」と称することがある。)は、酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記酵母細胞壁含有組成物、前記ミネラル含有組成物、及び前記その他の成分は、上記した本発明の(錠剤)の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。
また、前記混合物における各成分の含有量は、本発明の(錠剤)の項目に記載した錠剤における各成分の含有量と同様である。
【0056】
前記打錠は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、打錠機(例えば、HT-APSS型、HT-AP-MS型、HT-X-SS型、HT-X-MS型(以上、株式会社畑鉄工所製);VEL5、VIRGO、AQUARIUS、LIBRA(以上、株式会社菊水製作所製);AUTOTAB-200(市橋精機株式会社製))などが挙げられる。
【0057】
前記打錠における打錠圧等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0058】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ミネラル含有組成物の粒子を調製する造粒工程、前記混合物を調製する混合工程などが挙げられる。
【0059】
<<造粒工程>>
前記造粒工程は、前記ミネラル含有組成物の粒子を調製する工程である。
前記ミネラル含有組成物の粒子を調製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(錠剤)の項目に記載した造粒と同様にして行うことができる。
【0060】
前記造粒工程におけるバインダー液の噴霧終了時の前記ミネラル含有組成物の水分含量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%~20質量%の範囲内であることが好ましく、8質量%~14質量%の範囲内であることがより好ましく、10質量%~13質量%の範囲内であることが特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、錠剤の保形性の維持と崩壊遅延の防止により優れる点で、有利である。
前記ミネラル含有組成物の水分含量の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0061】
<<混合工程>>
前記混合工程は、上記した酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、上記したミネラル含有組成物とを混合し、混合物とする工程である。前記混合工程では、必要に応じて更に上記したその他の成分を混合してもよい。
【0062】
前記混合工程は、前記酵母細胞壁含有組成物と、前記ミネラル含有組成物と、必要に応じて前記その他の成分とを1回でまとめて混合してもよいし、任意の成分ごとに複数回に分けて混合してもよい。
【0063】
前記混合は公知の装置を用いて行うことができ、該装置としては、例えば、コンテナタンブラー、V型混合機、ボーレーコンテナミキサー、ロッキングミキサーなどが挙げられる。
前記混合の温度、時間等の条件としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
【0064】
本発明の錠剤の製造方法によれば、多くのタンパク質を含む非常に有用な酵母細胞壁含有組成物を高含有する場合でも錠剤化することができ、また、錠剤硬度や崩壊性も良好な錠剤を簡易な方法で効率良く製造することができる。
【0065】
(打錠適性の向上方法)
本発明の打錠適性の向上方法は、混合工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0066】
<混合工程>
前記混合工程は、酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを混合し、混合物とする工程である。
前記混合工程は、上記した本発明の(錠剤の製造方法)の項目に記載した混合工程と同様にして行うことができる。
【0067】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(錠剤の製造方法)の項目に記載した造粒工程、打錠工程などが挙げられる。
【0068】
本発明の打錠適性の向上方法によれば、従来錠剤化が困難であった、多くのタンパク質を含む非常に有用な酵母細胞壁含有組成物を高含有する場合でも、流動性を良好にし、打錠適性を向上することができる。
【0069】
(錠剤の崩壊遅延の抑制方法)
本発明の錠剤の崩壊遅延の抑制方法は、打錠工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0070】
<打錠工程>
前記打錠工程は、酵母菌体から分離された酵母細胞壁を含む酵母細胞壁含有組成物と、ミネラル含有組成物とを含む混合物を打錠する工程であり、上記した本発明の(錠剤の製造方法)の項目に記載した打錠工程と同様にして行うことができる。
【0071】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の(錠剤の製造方法)の項目に記載した造粒工程、混合工程などが挙げられる。
【0072】
本発明の錠剤の崩壊遅延の抑制方法によれば、硬度を高くして保形性を保つと同時に、崩壊遅延も防止することができる。
【実施例0073】
以下に試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
【0074】
(試験例1)
-打錠末の調製-
下記表1~4に記載の各原料を混合し、各打錠末とした。
使用した「酵母細胞壁含有組成物」及び成分「ミネラル含有組成物」の詳細は下記のとおりである。なお、これらは一例として用いたものである。
【0075】
[酵母細胞壁含有組成物]
乾燥酵母(ハイパーイーストHG-DY、アサヒグループ食品株式会社製)を熱水抽出した後、遠心分離して得た水不溶画分を乾燥し、酵母細胞壁含有組成物とした。
【0076】
[ミネラル含有組成物]
・ 石化海藻粉末の造粒物(試験例1-1~1-6、1-8、1-13、1-14)
石化海藻粉末(製品名「アクアミネラルT」日本バイオコン株式会社製)、デキストリン、ケイ酸カルシウムを転動流動コーティング装置-FD-MP-01(株式会社パウレック製)へ投入し、デキストリン溶液をバインダー液として、造粒、乾燥の工程で流動層造粒を実施した。バインダー液の噴霧終了時の前記ミネラル含有組成物の水分値は5~20質量%であった。なお、試験例1-1~1-6、1-8、1-13、及び1-14のすべての試験例において、石化海藻粉末、デキストリン、ケイ酸カルシウムの造粒物における比率は、それぞれ、80質量%、18質量%、2質量%とした。また、打錠末における各成分の量は表1~4に記載の量とした。
得られた石化海藻粉末の造粒物の粒子径は、D10:53.33μm、D50:148.4μm、D90:249.7μmであった。
・ 貝カルシウム末の造粒物(試験例1-9)
石化海藻粉末を貝カルシウム末(製品名「ホタテ末」、製造会社名:株式会社エヌ・シー・コーポレーション)に代え、表3に記載の量で用いた以外は、石化海藻粉末の造粒物と同様にして造粒した。
得られた貝カルシウム末の造粒物の粒子径は、D10:47.5μm、D50:148.8μm、D90:234.1μmであった。
・ 苦灰石末の造粒物(試験例1-10)
石化海藻粉末を苦灰石(製品名「ドロマイト」、製造会社名:株式会社エヌ・シー・コーポレーション)に代え、表3に記載の量で用いた以外は、石化海藻粉末の造粒物と同様にして造粒した。得られた苦灰石末の造粒物の粒子径は、D10:60.03μm、D50:127.8μm、D90:218.4μmであった。
【0077】
-打錠適性-
単発打錠機(AUTOTAB-200、市橋精機株式会社製)を用い、前記打錠末を5kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径9mm、曲率半径(R)7.5mm、360mg/錠の錠剤を製造した際の打錠適性を下記の評価基準で評価した。結果を表1~4に示す。
[評価基準]
◎ : 非常に良い(打錠末が臼に不足なく充填されるまでに、粉末シューターが往復動作した回数が、1~3回)
○ : 良い(打錠末が臼に不足なく充填されるまでに、粉末シューターが往復動作した回数が、4~6回)
△ : あまり良くない(打錠末が臼に不足なく充填されるまでに、粉末シューターが往復動作した回数が、7~9回)
× : 打錠できない(粉末シューターが9回往復動作しても打錠末が臼に不足なく充填されない)
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
以上のように、粒子状のミネラル含有組成物を配合することで、酵母細胞壁含有組成物を含む打錠末の流動性が良好となり、打錠適性を向上させることができ、多くのタンパク質を含む非常に有用な酵母細胞壁含有組成物を高含有する場合でも錠剤化することができることが示された。
【0083】
(試験例2)
<試験例2-1>
試験例1の石化海藻粉末の造粒物の造粒において、バインダー液として水を用い、バインダー液の噴霧終了時のミネラル含有組成物の水分量を16.7質量%とした以外は、試験例1と同様にして石化海藻粉末の造粒物を調製した(造粒物の粒子径は、D10:65.61μm、D50:133.5μm、D90:206.7μmであった。)。なお、造粒におけるバインダー液の噴霧終了時のミネラル含有組成物における水分量は、下記のようにして測定した。
[造粒における噴霧終了時の粒子における水分量の測定方法]
造粒における噴霧終了の3分以内に赤外線水分計FD-720(株式会社ケツト科学研究所製)にて測定した(測定条件は5g、80℃、Δ(デルタ):0.05%)。
【0084】
上記で調製した石化海藻粉末の造粒物を用いた以外は、試験例1-3と同様にして、打錠末を調製した。
【0085】
<試験例2-2>
試験例2-1において、バインダー液の噴霧終了時のミネラル含有組成物の水分量を14質量%とした以外は、試験例2-1と同様にして石化海藻粉末の造粒物の調製及び打錠末の調製を行った。なお、造粒物の粒子径は、D10:48.62μm、D50:119.7μm、D90:193.5μmであった。
【0086】
<試験例2-3>
試験例2-1において、バインダー液として、デキストリンを10質量%の濃度で含むデキストリン溶液を用い、バインダー液の噴霧終了時のミネラル含有組成物の水分量を15.43質量%とした以外は、試験例2-1と同様にして石化海藻粉末の造粒物の調製及び打錠末の調製を行った。なお、造粒物の粒子径は、D10:56.07μm、D50:142.9μm、D90:243μmであった。
【0087】
<試験例2-4>
試験例2-3において、バインダー液の噴霧終了時のミネラル含有組成物の水分量を12.72質量%とした以外は、試験例2-3と同様にして石化海藻粉末の造粒物の調製及び打錠末の調製を行った。なお、造粒物の粒子径は、D10:53.33μm、D50:148.4μm、D90:249.7μmであった。
【0088】
<試験例2-5>
試験例2-3において、バインダー液の噴霧終了時のミネラル含有組成物の水分量を9.28質量%とした以外は、試験例2-3と同様にして石化海藻粉末の造粒物の調製及び打錠末の調製を行った。なお、造粒物の粒子径は、D10:41.38μm、D50:122.6μm、D90:224.2μmであった。
【0089】
-打錠-
単発打錠機(AUTOTAB-200、市橋精機株式会社製)を用い、前記試験例2-1~2-5の打錠末を5kNの圧力(打錠圧)で充填加圧して打錠加工し、直径9mm、曲率半径(R)7.5mm、360mg/錠の錠剤を製造した。
【0090】
-評価-
[錠剤硬度]
製造した錠剤の硬度(N)を、ロードセル式卓上硬度計 ポータブルチェッカーPC-30型(岡田精工株式会社製)を用いて測定した。結果を表5に示す。
【0091】
[崩壊時間]
製造した錠剤の崩壊時間を、全自動式崩壊試験器ZT322(ERWEKA社製)を用い、溶媒を水、水温37℃にて測定した。結果を表6に示す。
【0092】
【表5】
【0093】
【表6】
【0094】
造粒におけるバインダー液の噴霧終了時の水分量が14質量%のミネラル含有組成物を使用した試験例2-2では、造粒におけるバインダー液の噴霧終了時の水分量が16.7質量%のミネラル含有組成物を使用した試験例2-1と比較して、硬度が高い傾向が見られた。また、試験例2-2では、試験例2-1と比較して、打圧を上げた際の崩壊遅延が生じにくかった。
造粒におけるバインダー液の噴霧終了時の水分量が12.72質量%のミネラル含有組成物を使用した試験例2-4では、試験例2-3及び試験例2-5と比較して硬度が高い傾向が見られた。
以上のように、造粒におけるバインダー液の噴霧終了時のミネラル含有組成物の水分値を調整することにより、硬度を高くして保形性を保つと同時に、崩壊遅延も防止することが可能となった。