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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137217
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】開閉器の電動操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/36 20060101AFI20240927BHJP
   H01H 33/28 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01H33/36
H01H33/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048657
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】土屋 正樹
【テーマコード(参考)】
5G028
【Fターム(参考)】
5G028AA08
5G028AA24
5G028EB01
5G028EB12
5G028EB13
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることができるとともに、メンテナンス作業の削減を図ることができる開閉器の電動操作装置を提供する。
【解決手段】モータ16と、モータギヤ17と、操作力伝達軸19に固定された出力ギヤ20と、操作力伝達軸に伝達された回動を、操作ハンドルに対して投入方向に回動する操作力として伝達する操作力伝達レバー21と、大径の親ギヤ18a及び小径の子ギヤ18bが一体化されてなる親子ギヤ18と、モータギヤに親ギヤを噛み合わせて親子ギヤを支持しているギヤキャリア22と、ギヤキャリアを揺動自在に支持しているキャリアホルダー23と、電圧が印加されている場合は、子ギヤが出力ギヤに噛み合うようにキャリアホルダーを揺動し、電圧が印加されない場合は、子ギヤが出力ギヤとの噛み合いを解消するようにキャリアホルダーを揺動する電気アクチュエータ24と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定電極と、前記固定電極に対して接離可能な可動電極と、操作ハンドルにより操作される操作軸と、前記操作軸の投入方向の回動を前記可動電極に対して前記固定電極に接続する方向に伝達するとともに、前記操作軸の遮断方向の回動を前記可動電極に対して前記固定電極から離間する方向に伝達する操作ロッドと、を備える開閉器の電動操作装置であって、
モータと、
前記モータの出力軸に固定されたモータギヤと、
操作力伝達軸に固定された出力ギヤと、
基端部が前記操作力伝達軸に固定されて前記操作ハンドルに係合しており、前記操作力伝達軸に伝達された回動を、前記操作ハンドルに対して投入方向に回動する操作力として伝達する操作力伝達レバーと、
大径の親ギヤ及び小径の子ギヤが一体化されてなる親子ギヤと、
前記モータギヤに前記親ギヤを噛み合わせて前記親子ギヤを支持しているギヤキャリアと、
ギヤキャリアを揺動自在に支持しているキャリアホルダーと、
電圧が印加されている場合は、前記子ギヤが前記出力ギヤに噛み合うように前記キャリアホルダーを揺動し、電圧が印加されない場合は、前記子ギヤが前記出力ギヤとの噛み合いを解消するように前記キャリアホルダーを揺動する電気アクチュエータと、を備えていることを特徴とする開閉器の電動操作装置。
【請求項2】
固定電極と、前記固定電極に対して接離可能な可動電極と、操作ハンドルにより操作される操作軸と、前記操作軸の投入方向の回動を前記可動電極に対して前記固定電極に接続する方向に伝達するとともに、前記操作軸の遮断方向の回動を前記可動電極に対して前記固定電極から離間する方向に伝達する操作ロッドと、を備える開閉器の電動操作装置であって、
モータと、
前記モータの出力軸に固定されたモータギヤと、
前記操作軸に固定された出力ギヤと、
大径の親ギヤ及び小径の子ギヤが一体化されてなる親子ギヤと、
前記モータギヤに前記親ギヤを噛み合わせて前記親子ギヤを支持しているギヤキャリアと、
ギヤキャリアを揺動自在に支持しているキャリアホルダーと、
電圧が印加されている場合は、前記子ギヤが前記出力ギヤに噛み合う方向に前記キャリアホルダーを揺動し、電圧が印加されない場合は、前記子ギヤ及び前記出力ギヤの噛み合いが解消する方向に前記キャリアホルダーを揺動する電気アクチュエータと、を備えていることを特徴とする開閉器の電動操作装置。
【請求項3】
前記電気アクチュエータは、ソレノイド本体と、前記ソレノイド本体から一端及び他端が突出しているプランジャとを有する電磁ソレノイドであり、前記プランジャの一端が前記キャリアホルダーに連結し、前記プランジャの他端に復帰ばねが係合しており、
前記電磁ソレノイドに電圧が印加された場合には、前記プランジャを第1方向に移動させて、前記子ギヤが前記出力ギヤに噛み合う方向に前記キャリアホルダーを揺動するとともに、前記復帰ばねにばね力を蓄勢し、
前記電磁ソレノイドに電圧が印加されていない場合には、蓄勢された前記復帰ばねのばね力により前記プランジャを前記第1方向とは逆方向の第2方向に移動させて、前記子ギヤ及び前記出力ギヤの噛み合いが解消する方向に前記キャリアホルダーを揺動することを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉器の電動操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧受配電設備の回路を開閉する開閉器の自動投入を行う電動操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や商業施設等の高圧受配電設備には、負荷電流の開閉や短絡電流の遮断のために開閉器が設置されている。
【0003】
例えば特許文献1には、固定電極と、固定電極に対して接離する可動電極と、可動電極を固定電極に対して回動操作する電動操作装置と、を備えた開閉器が記載されている。この開閉器の電動操作装置は、操作ハンドルと、操作ハンドルが取り付けられ、操作ハンドルと一体に回動する操作軸と、操作軸の回動によって回動して可動電極を回動させるリンク機構と、を備えている。
【0004】
特許文献1の電動操作装置には、操作軸に取り付けられ、一体に回動する駆動部材と、駆動部材と当接するとともに、操作軸の延出方向と直交する方向において移動するプランジャと、プランジャを回路の投入時に吸引するソレノイドと、を有する投入機構が設けられており、プランジャがソレノイドに吸引されると、プランジャが駆動部材を回動させることによって、操作軸が投入方向へ回動するようにしている。そして、この電動操作装置は、ソレノイドによって操作軸を回転させる自動投入機構としたので、投入動作時に瞬時電圧低下や停電が発生したとしても、投入動作の途中でプランジャが止まることがなく、投入動作の途中で固定電極及び可動電極が離間した状態で停止し、アーク放電による地絡事故などが発生するおそれを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6454571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の開閉器の電動操作装置は、大型のソレノイドを備えたソレノイド駆動方式としているので、小型化の面で問題がある。また、コンデンサを搭載したモータ駆動方式の電動操作装置も考えられるが、コンデンサを定期的に交換する必要があり、メンテナンス作業の面でも問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、小型化を図ることができるとともに、メンテナンス作業の削減を図ることができる開閉器の電動操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る開閉器の電動操作装置は、固定電極と、固定電極に対して接離可能な可動電極と、操作ハンドルを固定した操作軸と、操作軸の投入方向の回動を可動電極に対して固定電極に接続する方向に伝達するとともに、操作軸の遮断方向の回動を可動電極に対して前記固定電極から離間する方向に伝達するリンク機構と、を備える開閉器の電動操作装置であって、モータと、モータの出力軸に固定されたモータギヤと、操作力伝達軸に固定された出力ギヤと、基端部が操作力伝達軸に固定されて操作ハンドルに係合しており、操作力伝達軸に伝達された回動を、操作ハンドルに対して投入方向に回動する操作力として伝達する操作力伝達レバーと、大径の親ギヤ及び小径の子ギヤが一体化されてなる親子ギヤと、モータギヤに親ギヤを噛み合わせて親子ギヤを支持しているギヤキャリアと、ギヤキャリアを揺動自在に支持しているキャリアホルダーと、電圧が印加されている場合は、子ギヤが出力ギヤに噛み合うようにキャリアホルダーを揺動し、電圧が印加されない場合は、子ギヤが出力ギヤとの噛み合いを解消するようにキャリアホルダーを揺動する電気アクチュエータと、を備えている。
【0009】
また、本発明の一態様に係る開閉器の電動操作装置は、固定電極と、固定電極に対して接離可能な可動電極と、操作ハンドルを固定した操作軸と、操作軸の投入方向の回動を可動電極に対して固定電極に接続する方向に伝達するとともに、操作軸の遮断方向の回動を可動電極に対して固定電極から離間する方向に伝達するリンク機構と、を備える開閉器の電動操作装置であって、モータと、モータの出力軸に固定されたモータギヤと、前記操作軸に固定された出力ギヤと、大径の親ギヤ及び小径の子ギヤが一体化されてなる親子ギヤと、モータギヤに親ギヤを噛み合わせて親子ギヤを支持しているギヤキャリアと、ギヤキャリアを揺動自在に支持しているキャリアホルダーと、電圧が印加されている場合は、子ギヤが出力ギヤに噛み合う方向にキャリアホルダーを揺動し、電圧が印加されない場合は、子ギヤ及び出力ギヤの噛み合いが解消する方向にキャリアホルダーを揺動する電気アクチュエータと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の開閉器の電動操作装置は、小型化を図ることができるとともに、メンテナンス作業の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第1実施形態の電動操作装置を備えた開閉器を示す正面図である。
図2】第1実施形態の開閉器の電動操作装置を斜め上方から示した斜視図である。
図3】第1実施形態の開閉器の電動操作装置を構成するギヤキャリアの構成を示した側面図である。
図4】第1実施形態の開閉器の電動操作装置のギヤキャリアが上方に揺動している状態を示す側面図である。
図5】第1実施形態の開閉器の電動操作装置のギヤキャリアが下方に揺動している状態を示す側面図である。
図6】第1実施形態の開閉器の電動操作装置を構成する出力ギヤが親子ギヤの子ギヤに噛み合っている状態を示す図である。
図7】第1実施形態の開閉器の電動操作装置を構成する親子ギヤの子ギヤが出力ギヤに対して噛み合いを解消している状態を示す図である。
図8】本発明に係る第2実施形態の開閉器の電動操作装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0013】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
なお、以下の説明で記載されている「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」方向を示す用語は、添付図面の方向を参照して用いる。
[第1実施形態の開閉器]
【0015】
本発明に係る第1実施形態の開閉器1は、図1及び図2に示すように、開閉器本体2と電動操作装置3と、を備えている。
【0016】
開閉器本体2は、支持板4に、固定電極5と、固定電極5に対して接離可能な可動電極6が支持されている。支持板4には、左右方向に延在する操作軸7が回動自在に配置されており、操作軸の右端に操作ハンドル8が固定されている。操作ハンドル8を前方位置から上方位置まで回動操作すると操作軸7が正方向に回転し、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5に接続する位置まで回動する。そして、上方位置まで回動操作した操作ハンドル8は、ラッチ機構10と係合することで、固定電極5及び可動電極6が接続した投入状態が保持される。
【0017】
符号11は、操作軸7が遮断状態(可動電極6が固定電極5から離間した状態)から投入状態まで回動にしたときにばね力が蓄勢される遮断ばねである。そして、上方位置の操作ハンドル8に対してラッチ機構10を外すと、操作ハンドル8が前方位置に回動するとともに、遮断ばね11のばね力で操作軸7が逆方向に回転し、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5から離間して遮断状態となる。
【0018】
電動操作装置3は、図1に示すように、支持板4に左右方向に離間して固定された一対の操作支持板15a,15bの間に配置されており、モータ16、モータギヤ17、大径の親ギヤ18a及び小径の子ギヤ18bが一体化された親子ギヤ18、操作力伝達軸19、出力ギヤ20、操作力伝達レバー21、ギヤキャリア22、キャリアホルダー23、及び電磁ソレノイド24を備えている。
【0019】
モータ16は、一方の操作支持板15aに外側から固定されており、一方の操作支持板15aを貫通して他方の操作支持板15bに向けて延在するモータ出力軸にモータギヤ17が固定されている。
【0020】
ギヤキャリア22は、図1に示すように、左右に離間する一対のキャリア側板22a,22bと、一対のキャリア側板22a,22bを連結するキャリア底板22cと、を有するU字形状の部材である。モータギヤ17は、一方のキャリア側板22aを通過して配置されている。
【0021】
そして、図3に示すように、親子ギヤ18のギヤ軸18cが、一対のキャリア側板22a,22bの後側に形成した第1キャリア軸穴22dに嵌め込まれることで、親子ギヤ18がギヤキャリア22に回転自在に支持され、親子ギヤ18の親ギヤ18aがモータギヤ17に噛み合う。ここで、他方のキャリア側板22bの前側には、第2キャリア軸穴22eが形成されている。
【0022】
キャリアホルダー23は、図1に示すように、一方の操作支持板15aの内側に固定されている。このキャリアホルダー23のホルダー側板23aは、ギヤキャリア22の他方のキャリア側板22bを覆うように配置されている。図4に示すように、ホルダー側板23aの前側にはホルダー軸穴23bが形成され、後側には上下方向に長手方向が延在する長穴23cが形成されている。ここで、ホルダー軸穴23bは、前述したモータギヤ17と軸心同士が一致するように形成されている。そして、ホルダー側板23aのホルダー軸穴23bと、前述したギヤキャリア22の他方のキャリア側板22bに形成した第2キャリア軸穴22eとに連結軸30が嵌め込まれている(図1参照)。この際、連結軸30及びモータギヤ17は軸心が一致している。また、ホルダー側板23aの長穴23cに、親子ギヤ18のギヤ軸18cが嵌め込まれる。
【0023】
これにより、ギヤキャリア22は、ギヤ軸18cが長穴23cの長手方向(上下方向)に移動することで、連結軸30を回動中心として上下方向に揺動自在とされてキャリアホルダー23に支持される。
【0024】
図1に示すように、ギヤキャリア22の上方位置には、一対の操作支持板15a,15bを貫通して操作力伝達軸19が回転自在に配置されている。操作力伝達軸19の長手方向中央部には出力ギヤ20が固定され、左側端部に操作力伝達レバー21が固定されている。出力ギヤ20には、ギヤキャリア22が上方に揺動した際に親子ギヤ18の子ギヤ18bが噛み合う。また、操作力伝達レバー21は、操作ハンドル8に隣接して配置されており、その先端には、図2に示すように、操作ハンドル8の移動経路まで延在するL字状のハンドル係合部21aが形成されている。
【0025】
図1に示すように、ギヤキャリア22の下方には、一方の操作支持板15aに電磁ソレノイド24が固定されている。電磁ソレノイド24は、ソレノイド本体25と、ソレノイド本体25の内部に上下方向から延在して上下から突出しているプランジャ26とを備えており、プランジャ26の下部には復帰ばね27が係合している。そして、電磁ソレノイド24のプランジャ26の上端は、ギヤキャリア22のキャリア底板22cに連結している。そして、電磁ソレノイド24に電圧が印加されているときは、ソレノイド本体25の内部に配置されているコイルの励磁によりプランジャ26が上方に移動するとともに、プランジャ26の下部に係合している復帰ばね27が圧縮状態とされてばね力が蓄勢される。また、電磁ソレノイド24に電圧が印加されていないときは、プランジャ26に対するコイルによる励磁がなくなり、蓄勢された復帰ばね27のばね力によってプランジャ26が下方に移動する。ここで、電磁ソレノイド24に電圧が印加されているときプランジャ26が上方に移動することを、本発明では第1方向と称している。また、電磁ソレノイド24に電圧が印加されていないときに、復帰ばね27のばね力によってプランジャ26が下方に移動することを、本発明では第2方向と称している。
【0026】
図4は、電磁ソレノイド24に電圧が印加されているときの電動操作装置3を示しており、プランジャ26が上方に移動することで、ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として上方向に回動する。ギヤキャリア22が上方向に回動すると、図6に示すように、ギヤキャリア22に支持されている親子ギヤ18の子ギヤ18bが出力ギヤ20に噛み合う。一方、図5は、電磁ソレノイド24に電圧が印加されていないときの電動操作装置3を示しており、復帰ばね27のばね力でプランジャ26が下方に移動することで、ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として下方向に回動する。ギヤキャリア22が下方向に回動すると、図7に示すように、親子ギヤ18の子ギヤ18bと出力ギヤ20との噛み合いが解消される。
【0027】
第1実施形態の開閉器1の手動による投入動作は、操作ハンドル8を前方位置から上方位置まで手動で操作する。操作ハンドル8の回動により操作軸7が正方向に回転し、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5に接続する位置まで回動する。そして、上方位置まで回動操作した操作ハンドル8に、ラッチ機構10を係合することで、固定電極5及び可動電極6が接続した投入状態が保持される。
【0028】
また、第1実施形態の遮断動作は、前述した投入動作では遮断ばね11にばね力が蓄勢されているので、上方位置の操作ハンドル8に対してラッチ機構10を外すと、遮断ばね11のばね力で操作軸7が逆方向に回転し、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5から離間して遮断状態となる。
【0029】
次に、第1実施形態の開閉器1における電動操作装置3の自動投入動作について、図4及び図6を参照して説明する。開閉器1への自動投入指示により、モータ16及び電磁ソレノイド24に電圧が印加される。
【0030】
電磁ソレノイド24に電圧が印加されると、プランジャ26が上方に移動し、ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として上方向に回動することで、図6に示すように、親子ギヤ18の子ギヤ18bが出力ギヤ20に噛み合う。そして、電圧が印加されたモータ16のモータ出力軸が回転すると、モータギヤ17、親ギヤ18a、子ギヤ18b、出力ギヤ20、操作力伝達軸19に回転力が伝達されていく。図4に示すように、操作力伝達軸19に一端が固定されている操作力伝達レバー21は、遮断状態において前方に位置している操作ハンドル8に下側からハンドル係合部21aが係合している。操作力伝達軸19に回転力が伝達されていくことで、操作力伝達レバー21は、自身が前方位置から上方位置まで移動することで、ハンドル係合部21aで係合する操作ハンドル8を押し上げて前側位置に移動させる。そして、上方位置まで回動操作した操作ハンドル8にラッチ機構10を係合することで、固定電極5及び可動電極6が接続した投入状態が保持される。
【0031】
次に、第1実施形態の開閉器1の電動操作装置3の自動投入動作中で停電が発生した場合について、図5及び図7を参照して説明する。
【0032】
自動投入動作により、モータ16及び電磁ソレノイド24に電圧が印加され、モータ16の回転が操作力伝達軸19に伝達されることで、操作力伝達レバー21が操作ハンドル8を押し上げて前側位置から上側の途中まで移動しているものとする。
【0033】
この自動投入動作中で停電が発生すると、モータ16及び電磁ソレノイド24への電圧の印加が停止する。電磁ソレノイド24への電圧の印加が停止すると、復帰ばね27のばね力でプランジャ26が下方に移動し、図5に示すように、ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として下方向に回動する。ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として下方向に回動すると、図7に示すように、親子ギヤ18の子ギヤ18bと出力ギヤ20との噛み合いが解消される。ここで、遮断ばね11には自動投入動作でばね力が蓄勢されているので、遮断ばね11のばね力により操作軸7が逆方向に回転し、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5から離間して遮断状態となる。また、操作軸7が逆方向に回転することで操作ハンドル8も前方位置に移動し、この操作ハンドル8に下側で係合している操作力伝達レバー21も押し下げられていく。
【0034】
このように、第1実施形態では、電動操作装置3の自動投入動作中で停電が発生しても、操作力伝達レバー21が固定されている出力ギヤ20と親子ギヤ18(子ギヤ18b)との噛合いが解消され、遮断ばね11のばね力により操作軸7が逆方向に回転することで、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5から離間して遮断状態に復帰する。したがって、自動投入動作中で停電が発生しても、固定電極5及び可動電極6が離間した状態で停止するので、アーク放電による地絡事故などの発生確実に防止することができる。
【0035】
また、本実施形態の電動操作装置3は、モータ16の回転を複数のギヤで伝達するギヤ駆動方式であり、ギヤ伝達機構の一部を構成する親子ギヤ18を支持するギヤキャリア22を揺動させるために小型の電磁ソレノイド24を使用している構成であり、従来装置のような自動投入動作を行う大型のソレノイドを不要としているので小型化を図ることができる。また、本実施形態の電動操作装置3は、例えばコンデンサを搭載した従来のモータ駆動方式の電動操作装置と比較して、定期的に交換する必要があるコンデンサのような部品が存在しないので、メンテナンス作業の削減を図ることができる。
[第2実施形態の開閉器]
【0036】
次に、図8は、本発明に係る第2実施形態の開閉器31を示すものである。本実施形態の開閉器31は、開閉器本体2と電動操作装置32と、を備えている。
【0037】
開閉器本体2は、第1実施形態の開閉器本体2と同一構造である。
【0038】
本実施形態の電動操作装置32と、第1実施形態の電動操作装置3の異なる点は、第1実施形態では出力ギヤ20が操作力伝達軸19に固定され、操作力伝達軸19の右側端部に操作力伝達レバー21が固定されていたが、本実施形態の電動操作装置32は、操作力伝達軸19が存在せず、開閉器本体2の操作軸7が右側に延長して設けられ、一対の操作支持板15a,15bを貫通して設けられており、この操作軸7に出力ギヤ20が固定されている。また、本実施形態では、操作力伝達レバー21が存在しない。本実施形態の電動操作装置32のその他の構成は、第1実施形態の電動操作装置3と同一構成である。したがって、第1実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0039】
第2実施形態の開閉器31の手動による投入動作について説明する。なお、手動の投入動作では、電磁ソレノイド24に電圧が印加されておらず、復帰ばね27のばね力でプランジャ26が下方に移動することで、ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として下方向に回動している。これにより、親子ギヤ18の子ギヤ18bと出力ギヤ20との噛み合いが解消されている。
【0040】
操作ハンドル8を前方位置から上方位置まで手動で操作すると、操作ハンドル8の回動により操作軸7が正方向に回転し、操作軸7の回転がり操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5に接続する位置まで回動する。操作軸7が正方向に回転しているときには、親子ギヤ18の子ギヤ18bとの噛合いが解消されている出力ギヤ20は空回り動作を行う。そして、上方位置まで回動操作した操作ハンドル8に、ラッチ機構10を係合することで、固定電極5及び可動電極6が接続した投入状態が保持される。
【0041】
次に、第2実施形態の開閉器31における電動操作装置32の自動投入動作について説明する。開閉器31への自動投入指示により、モータ16及び電磁ソレノイド24に電圧が印加される。
【0042】
電磁ソレノイド24に電圧が印加されると、プランジャ26が上方に移動し、ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として上方向に回動することで、親子ギヤ18の子ギヤ18bが出力ギヤ20に噛み合う。そして、電圧が印加されたモータ16のモータ出力軸が回転すると、モータギヤ17、親ギヤ18a、子ギヤ18b、出力ギヤ20を介して操作軸7に正方向の回転力が伝達されていく。そして、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5に接続する位置まで回動する。そして、上方位置まで回動操作した操作ハンドル8にラッチ機構10を係合することで、固定電極5及び可動電極6が接続した投入状態が保持される。
【0043】
次に、第2実施形態の開閉器31の電動操作装置32の自動投入動作中で停電が発生した場合について説明する。
【0044】
自動投入動作により、モータ16及び電磁ソレノイド24に電圧が印加され、モータ16の回転がモータギヤ17、親ギヤ18a、子ギヤ18b、出力ギヤ20、操作軸7に伝達されることで、操作ハンドル8が上側の途中まで移動しているものとする。
【0045】
この自動投入動作中で停電が発生すると、モータ16及び電磁ソレノイド24への電圧の印加が停止する。電磁ソレノイド24への電圧の印加が停止すると、復帰ばね27のばね力でプランジャ26が下方に移動し、ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として下方向に回動する。ギヤキャリア22が連結軸30を回動中心として下方向に回動すると、親子ギヤ18の子ギヤ18bと出力ギヤ20との噛み合いが解消される。ここで、遮断ばね11には自動投入動作でばね力が蓄勢されているので、遮断ばね11のばね力により操作軸7が逆方向に回転し、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5から離間して遮断状態となる。操作軸7が回転しているときには、親子ギヤ18の子ギヤ18bとの噛合いが解消されている出力ギヤ20は空回り動作を行う。
【0046】
このように、第2実施形態においても、電動操作装置32の自動投入動作中で停電が発生した際に、操作軸7が固定されている出力ギヤ20と親子ギヤ18(子ギヤ18b)との噛合いが解消され、遮断ばね11のばね力により操作軸7が逆方向に回転することで、操作軸7の回転が操作ロッド9を介して可動電極6に伝達され、可動電極6が固定電極5から離間して遮断状態に復帰する。したがって、自動投入動作中で停電が発生しても、固定電極5及び可動電極6が離間した状態で停止するので、アーク放電による地絡事故などの発生確実に防止することができる。
【0047】
また、本実施形態の電動操作装置32も、ギヤキャリア22を揺動させるために小型の電磁ソレノイド24を使用している構成であり、大型のソレノイドを使用した従来装置と比較して小型化を図ることができる。また、本実施形態の電動操作装置32は、例えばコンデンサを搭載した従来のモータ駆動方式の電動操作装置と比較して、メンテナンス作業の削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1,31 開閉器
2 開閉器本体
3,32 電動操作装置
4 支持板
5 固定電極
6 可動電極
7 操作軸
8 操作ハンドル
9 操作ロッド
10 ラッチ機構
11 遮断ばね
15a,15b 操作支持板
16 モータ
17 モータギヤ
18 親子ギヤ
18a 親ギヤ
18b 子ギヤ
18c ギヤ軸
19 操作力伝達軸
20 出力ギヤ
21 操作力伝達レバー
21a ハンドル係合部
22 ギヤキャリア
22a,22b キャリア側板
22c キャリア底板
22d 第1キャリア軸穴
22e 第2キャリア軸穴
23 キャリアホルダー
23a ホルダー側板
23b ホルダー軸穴
23c 長穴
24 電磁ソレノイド
25 ソレノイド本体
26 プランジャ
27 復帰ばね
30 連結軸
図1
図2
図3
図4
図5
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図8