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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013722
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】搬送制御装置及び搬送制御方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240125BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20240125BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B25J13/00 A
B25J13/08 A
B65G47/90 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116037
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 義博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聡
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS09
3C707DS01
3C707ES01
3C707HS27
3C707JS02
3C707KS03
3C707KS36
3C707KS38
3C707KT01
3C707KT06
3C707KT18
3C707KV11
3C707KW06
3C707LT06
3C707LV07
3C707LV14
3C707MT02
3C707NS02
3F072AA06
3F072GA10
3F072KA01
3F072KD01
(57)【要約】
【課題】ロボットアームによる作業の時間効率を向上させることができる搬送制御装置及び搬送制御方法を提供する。
【解決手段】搬送制御装置30は、搬送装置10によって搬送された第1の物品W1及び第2の物品W2が所定位置に到達するタイミングに関する情報を取得する情報取得部104と、情報取得部が取得した情報に基づいて、ロボットアーム20による第1の物品に対する作業と、ロボットアームによる第2の物品に対する作業と、の間の時間が予め設定された所定の時間に近づくように、ロボットアームによる第1の物品及び第2の物品に対する作業のタイミングを制御する制御部106と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置によって搬送された第1の物品及び第2の物品が所定位置に到達するタイミングに関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報に基づいて、ロボットアームによる前記第1の物品に対する作業と、前記ロボットアームによる前記第2の物品に対する作業と、の間の時間が予め設定された所定の時間に近づくように、前記ロボットアームによる前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業のタイミングを制御する制御部と、を備えた
ことを特徴とする搬送制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記情報取得部が取得した情報に基づいて前記ロボットアームの動作を制御することによって、前記ロボットアームによる前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業のタイミングを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記情報取得部が取得した情報に基づいて前記搬送装置の動作を制御することによって、前記ロボットアームによる前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業のタイミングを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送制御装置。
【請求項4】
前記所定位置は、第2位置であり、
前記第1の物品及び前記第2の物品が前記第2位置に到達するタイミングに関する情報は、前記第1の物品及び前記第2の物品が前記第2位置よりも前記搬送装置の搬送方向における上流の位置である第1位置に到達したことを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1記載の搬送制御装置。
【請求項5】
前記第1の物品及び前記第2の物品が前記第2位置に到達するタイミングに関する情報は、前記第1の物品及び前記第2の物品が前記第1位置から前記第2位置までの距離を移動したことを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項4記載の搬送制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記情報取得部が取得した情報に基づいて、前記第1の物品及び前記第2の物品が前記第1位置から前記第2位置まで移動した際の移動時間を算出し、当該移動時間に基づいて、前記ロボットアームが前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業を行う位置を変化させることによって、前記ロボットアームによる前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業のタイミングを制御する
ことを特徴とする請求項5記載の搬送制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記移動時間が予め設定された時間よりも長い場合、前記ロボットアームによる前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業を、予め設定された基準位置よりも前記搬送方向における上流の位置である第3位置で行うことを決定する
ことを特徴とする請求項6記載の搬送制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記移動時間が予め設定された時間よりも短い場合、前記ロボットアームによる前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業を、予め設定された基準位置よりも前記搬送方向における下流の位置である第4位置で行うことを決定する
ことを特徴とする請求項6記載の搬送制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記移動時間が予め設定された範囲内である場合、前記ロボットアームによる前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業を、前記基準位置で行うことを決定する
ことを特徴とする請求項7または8記載の搬送制御装置。
【請求項10】
情報取得部と、制御部と、を備えた装置が行う物品の搬送制御方法であって、
前記情報取得部が、搬送装置によって搬送された第1の物品及び第2の物品が所定位置に到達するタイミングに関する情報を取得するステップと、
前記制御部が、前記情報取得部が取得した情報に基づいて、ロボットアームによる前記第1の物品に対する作業と、前記ロボットアームによる前記第2の物品に対する作業と、の間の時間が予め設定された所定の時間に近づくように、前記ロボットアームによる前記第1の物品及び前記第2の物品に対する作業のタイミングを制御するステップと、を備えた
ことを特徴とする搬送制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送制御装置及び搬送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトコンベアによって搬送される食製品をロボットで保持して持上げ、収容ケースへ搬送する搬送システムが開示されている(特許文献1参照)。この搬送システムは、ベルトコンベアによって連続的に搬送されて来る食製品の搬送速度をCCDカメラによって検出し、食製品の搬送速度に応じてロボットの動作を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-251828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、搬送装置によって搬送された複数の物品に対してロボットアームによる作業を順次行う場合、搬送装置による物品の搬送速度にばらつきが生じると、ロボットアームによる作業の時間効率が低下する場合がある。例えば、搬送装置による物品の搬送速度が大きすぎると、ロボットアームによる作業が間に合わず、物品に対してロボットアームによる作業が適切に行われない場合がある。また、例えば、搬送装置による物品の搬送速度が小さすぎると、ロボットアームが作業を行わずに待機する時間が発生して、ロボットアームによる作業の時間効率が低下してしまう。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するものであって、ロボットアームによる作業の時間効率を向上させることができる搬送制御装置及び搬送制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送制御装置は、搬送装置によって搬送された第1の物品及び第2の物品が所定位置に到達するタイミングに関する情報を取得する情報取得部と、情報取得部が取得した情報に基づいて、ロボットアームによる第1の物品に対する作業と、ロボットアームによる第2の物品に対する作業と、の間の時間が予め設定された所定の時間に近づくように、ロボットアームによる第1の物品及び第2の物品に対する作業のタイミングを制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、搬送装置によって搬送された第1の物品に対する作業と、搬送装置によって搬送された第2の物品に対する作業と、の間の時間が予め設定された所定の時間に近づくように、ロボットアームによる作業のタイミングを制御するので、搬送装置による物品の搬送速度のばらつきを吸収し、ロボットアームによる作業の時間効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る搬送システムの概略構成を示す上方から視た模式図。
図2】実施の形態1に係る搬送システムの構成を示すブロック図。
図3】実施の形態1に係る演算部のハードウェア構成の例を示すブロック図。
図4】実施の形態1に係る演算部のハードウェア構成の例を示すブロック図。
図5】実施の形態1に係る演算部が行う搬送制御処理を示すフローチャート。
図6】実施の形態1に係る搬送システムにおいて、移動時間が基準時間よりも長い場合のロボットアームの動作を示す上方から視た模式図。
図7】実施の形態1に係る搬送システムにおいて、移動時間が基準時間よりも短い場合のロボットアームの動作を示す上方から視た模式図。
図8】実施の形態2に係る搬送システムにおいて、ワークの向きが統一されていない状態でワークが搬送されている状態を示す上方から視た模式図。
図9】実施の形態3に係る演算部が行う搬送制御処理を示すフローチャート。
図10】実施の形態4に係る演算部が行う搬送制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
まず、図1を参照して、実施の形態1に係る搬送システム1の概略構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る搬送システム1の概略構成を示す上方から視た模式図である。搬送システム1は、搬送装置10、ロボットアーム20及び搬送制御装置30を備えている。
【0010】
搬送装置10は、複数の物品としてのワークWを搬送方向D1に沿って順次搬送する。具体的には、搬送装置10は、ベルトコンベヤによって構成されており、モータ11と、駆動ローラ12と、従動ローラ13と、無端状のコンベアベルト14と、を有している。モータ11は、駆動ローラ12を回転駆動する。例えば、モータ11は、不図示の電源から電力の供給を受けて作動する直流モータ、サーボモータ又はステッピングモータ等のモータによって構成されている。コンベアベルト14は、駆動ローラ12と従動ローラ13とに亘って巻き回されており、駆動ローラ12の回転に伴って回転する。モータ11に電力が供給されると、コンベアベルト14が回転し、コンベアベルト14が回転すると、コンベアベルト14に載置されたワークWが搬送方向D1に搬送される。
【0011】
ロボットアーム20は、搬送装置10によって搬送されたワークWに対して作業を行う。例えば、ロボットアーム20は、多関節ロボットによって構成されている。具体的には、ロボットアーム20は、ロボットアーム本体22と、複数のリンクLと、複数の関節Jと、複数のモータ21と、エンドエフェクタEと、を有している。また、ロボットアーム本体22及び複数のリンクLは、互いに相対移動が可能となるように、複数の関節Jによって互いに接続されている。複数のモータ21は、ロボットアーム本体22及び複数のリンクLを互いに相対移動させ、かつエンドエフェクタEを作動させる。例えば、複数のモータ21は、不図示の電源から電力の供給を受けて作動するサーボモータ又はステッピングモータ等のモータによって構成されている。
【0012】
例えば、エンドエフェクタEは、ロボットアーム20の先端に配置されており、ロボットアーム20がワークWに対する作業を行う際、作業位置に位置しているワークWに接触または近接して、作業の一部または全部を行う。具体的には、エンドエフェクタEは、搬送装置10によって搬送されたワークWを、作業範囲A1内のいずれかの作業位置としての把持位置で把持する。作業範囲A1は、ロボットアーム20がワークWに対する作業、例えば、ワークWの把持を行うことが可能な範囲である。例えば、ロボットアーム20は、上記の通り構成されて、搬送装置10によって搬送されたワークWをエンドエフェクタEによって把持し、ワークWを把持した状態で各リンクが互いに相対移動することによって、ワークWを搬送装置10上から他の搬送先へ移動して、搬出する。
【0013】
搬送制御装置30は、各種センサと、各種演算を行う演算部100と、を備えている。例えば、搬送制御装置30が備えるセンサには、搬送装置10によって搬送されているワークWの位置を検出するための位置検出センサS1、及び搬送装置10によるワークWの移動距離を検出するための移動量検出センサS2を含んでいる。例えば、位置検出センサS1は、光電センサ200によって構成されている。例えば、光電センサ200は、投光部201と、受光部202と、を有して、投光部201から出射した光L1を受光部202で検出する光透過型のセンサである。光透過型のセンサである光電センサ200は、投光部201から出射した光L1がワークWによって遮られると、ワークWを検出したことを示す検出信号を出力する。言い換えると、光電センサ200は、投光部201から出射した光L1が遮られる位置である検出位置にワークWが到達すると、ワークWが検出位置に到達したことを示す検出信号を出力する。
【0014】
また、例えば、位置検出センサS1は、画像センサ300によって構成されている。例えば、画像センサ300は、CCD(Charge Coupled Device)画像センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)画像センサ等によって構成されている。画像センサ300は、所定の検出範囲にワークWが位置する状態でワークWを撮像し、撮像したワークWに応じた撮像信号を出力する。このように、搬送制御装置30は、位置検出センサS1が検出信号または撮像信号等、ワークWを検出したことを示す信号を出力することで、ワークWの位置を把握することができる。
【0015】
また、例えば、移動量検出センサS2は、搬送装置10の駆動ローラ12の回転を検出するエンコーダ400によって構成されている。エンコーダ400は、駆動ローラ12の回転を検出すると、駆動ローラ12の回転量に応じた検出信号を出力する。このように、搬送制御装置30は、移動量検出センサS2が駆動ローラ12の回転量に応じた検出信号を出力することで、ワークWの移動量を把握することができる。言い換えると、搬送制御装置30は、移動量検出センサS2が駆動ローラ12の回転量に応じた検出信号を出力することで、搬送方向D1におけるワークWの移動距離を把握することができる。
【0016】
演算部100は、各種センサ、搬送装置10及びロボットアーム20と接続されて、これらを制御するための各種演算を行う。例えば、演算部100は、位置検出センサS1及び移動量検出センサS2等の各種センサから入力された信号に基づいて、搬送装置10及びロボットアーム20を制御する。
【0017】
次に、図2を参照して、搬送制御装置30が、位置検出センサS1として光電センサ200及び画像センサ300を備え、移動量検出センサS2としてエンコーダ400を備えている場合を例に、実施の形態1に係る演算部100の詳細について説明する。図2は、実施の形態1に係る搬送システム1の構成を示すブロック図である。
【0018】
例えば、演算部100は、光電センサ200、画像センサ300、エンコーダ400、搬送装置10及びロボットアーム20と電気的に接続されており、光電センサ200、画像センサ300及びエンコーダ400から入力された信号に基づいて、搬送装置10のモータ11及びロボットアーム20の複数のモータ21の動作を制御する。また、例えば、演算部100は、通信部101、記憶部102、移動量算出部103、座標算出部104、時間計測部105及び制御部106を有している。
【0019】
通信部101は、演算部100に接続されている他のセンサ及び装置等と、無線または有線で通信を行い、演算部100に入力される信号を受付け、かつ外部へ信号を出力する。例えば、通信部101は、光電センサ200、画像センサ300及びエンコーダ400から入力された信号を受付けて、搬送装置10のモータ11及びロボットアーム20の複数のモータ21へ制御信号を出力する。
【0020】
記憶部102は、演算部100が行う処理に用いられる各種データを記憶する。例えば、記憶部102は、搬送装置10によって搬送されるワークWを検出するための情報、具体的には、ワークWの大きさ、形状、色等の情報、及び位置検出センサS1の位置に関する情報を記憶している。また、例えば、記憶部102は、各種センサから入力された信号及び外部へ出力した信号に関する情報、具体的には、ワークWを検出したか否かを示す情報、各種センサから信号が入力された時刻を示す情報、外部へ信号を出力した時刻に関する情報、演算部100の各部における演算の結果に関する情報を記憶している。
【0021】
移動量算出部103は、移動量検出センサS2からの情報に基づいて、搬送装置10によって搬送されるワークWの移動量を算出する。言い換えると、移動量算出部103は、移動量検出センサS2からワークWの移動量を示す情報を取得し、取得した情報に基づいてワークWの移動量を算出する。例えば、移動量算出部103は、エンコーダ400から入力された駆動ローラ12の回転量に応じた検出信号に基づいて、搬送装置10によって搬送されるワークWの搬送方向D1における移動量を算出する。
【0022】
座標算出部104は、位置検出センサS1からの情報に基づいて、搬送装置10によって搬送されているワークWの位置を算出する。言い換えると、座標算出部104は、位置検出センサS1からワークWの位置を示す情報を取得し、取得した情報に基づいてワークWの位置を算出する。また、言い換えると、座標算出部104は、位置検出センサS1から、位置検出センサS1によってワークWを検出する検出位置にワークWが到達したことを示す情報を取得し、取得した情報に基づいてワークWの位置を算出する。例えば、座標算出部104は、光電センサ200から入力された検出信号に基づいて、搬送装置10によって搬送されているワークWの位置を、搬送方向D1におけるワークWの座標として算出する。具体的には、座標算出部104は、光電センサ200から検出信号が入力された時刻である検出時刻におけるワークWの位置を、光電センサ200によってワークWを検出する検出位置の座標として算出する。
【0023】
また、例えば、座標算出部104は、画像センサ300から入力された撮像信号に基づいて、搬送装置10によって搬送されているワークWの位置を算出する。具体的には、座標算出部104は、画像センサ300からワークWを撮像した撮像信号が入力された時刻である検出時刻におけるワークWの位置を、画像センサ300がワークWを撮像した際の撮像信号によってワークWを検出する検出位置の座標として算出する。なお、以下の記載において、位置検出センサS1によってワークWを検出する「検出位置」を「第1位置」ともいう。
【0024】
また、例えば、座標算出部104は、光電センサ200から入力された検出信号と、搬送装置10によるワークWの移動量に関する情報と、に基づいて、搬送装置10によって搬送されているワークWの位置を、搬送方向D1におけるワークWの座標として算出する。具体的には、座標算出部104は、光電センサ200の検出位置の座標と、光電センサ200の検出時刻と、移動量算出部103が算出した検出時刻からワークWの移動後の時刻である移動後時刻までの期間におけるワークWの移動量と、に基づいて、搬送装置10によって搬送されているワークWの移動後時刻における位置である移動後位置を、搬送方向D1におけるワークWの座標として算出する。より具体的には、座標算出部104は、光電センサ200の検出位置の座標に、移動量算出部103が算出した検出時刻から移動後時刻までの期間におけるワークWの移動量を加算することで、搬送装置10によって搬送されているワークWの移動後時刻における位置を、搬送方向D1におけるワークWの座標として算出する。
【0025】
また、例えば、座標算出部104は、画像センサ300から入力された撮像信号と、搬送装置10によるワークWの移動量に関する情報と、に基づいて、搬送装置10によって搬送されているワークWの位置を、ワークWの座標として算出する。具体的には、座標算出部104は、画像センサ300がワークWを撮像した際の撮像信号によって求められるワークWの位置の座標に、移動量算出部103が算出した検出時刻から移動後時刻までの期間におけるワークWの移動量を加算することで、搬送装置10によって搬送されているワークWの移動後時刻における位置である移動後位置を、搬送方向D1におけるワークWの座標として算出する。
【0026】
時間計測部105は、演算部100が各種演算を行う際に用いられる時間を計測する。例えば、時間計測部105は、クロックパルスをカウントすることで時間を計測するデジタルタイマを有している。また、例えば、時間計測部105は、複数のワークWに関する検出時刻、移動後時刻、検出時刻と移動後時刻との間の時間を計測する。また、例えば、時間計測部105は、座標算出部104の算出結果に基づいて、第1位置よりも搬送装置10の搬送方向D1において所定距離下流の所定位置である第2位置に達した移動後時刻を計測し、検出時刻と当該移動後時刻との間の時間を計測する。
【0027】
言い換えると、時間計測部105は、座標算出部104の算出結果に基づいて、ワークWが、第1位置から、第1位置よりも搬送装置10の搬送方向D1において所定距離下流の位置である第2位置に達するまでの移動時間を計測する。また、言い換えると、時間計測部105は、搬送装置10によって搬送されているワークWが第1位置に達した時刻と、当該ワークWが第2位置に達した時刻と、に基づいて、当該ワークWが、第1位置から第2位置に達するまでの移動時間を計測する。なお、第2位置は、搬送方向D1において、ロボットアーム20の作業範囲A1の上流端よりも上流に位置していることが望ましい。
【0028】
制御部106は、通信部101を介して各種センサから取得した情報、演算部100の各部における演算の結果及び記憶部102に記憶されている情報に基づいて、搬送装置10のモータ11及びロボットアーム20の複数のモータ21を制御するための制御信号を、通信部101を介して出力する。例えば、制御部106は、通信部101を介して各種センサから取得した情報、演算部100の各部における演算の結果及び記憶部102に記憶されている情報に基づいて、ロボットアーム20がワークWに対して行う作業のタイミングを制御する。制御部106の詳細については、後述する。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、実施の形態1に係る演算部100のハードウェア構成について説明する。図3は、実施の形態1に係る演算部100のハードウェア構成の例を示すブロック図であり、図4は、実施の形態1に係る演算部100のハードウェア構成の図3とは異なる例を示すブロック図である。例えば、図3に示すように、演算部100は、プロセッサ100A、メモリ100B及びI/Oポート100Cを有しており、メモリ100Bに格納されているプログラムをプロセッサ100Aが読み出して実行するように構成されている。なお、上述した時間計測部105は、プロセッサ100Aに内蔵されたタイマを有していてもよいし、プロセッサ100A、メモリ100B及びI/Oポート100Cとは別に設けられている不図示のタイマを有していてもよい。
【0030】
また、例えば、図4に示すように、演算部100は、専用のハードウェアである処理回路100D及びI/Oポート100Cを有している。処理回路100Dは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらの組み合わせによって構成される。演算部100の各機能は、これらプロセッサ100A又は専用のハードウェアである処理回路100Dがソフトウェアであるプログラムを実行することによって実現される。
【0031】
次に、図1図5乃至図7を参照して、実施の形態1に係る演算部100が行う搬送制御処理について説明する。図5は、実施の形態1に係る演算部100が行う搬送制御処理を示すフローチャートであり、図6は、実施の形態1に係る搬送システム1において、移動時間が基準時間よりも長い場合のロボットアーム20の動作を示す上方から視た模式図であり、実施の形態1に係る搬送システム1において、移動時間が基準時間よりも短い場合のロボットアーム20の動作を示す上方から視た模式図である。
【0032】
図5に示すように、例えば、搬送方向D1に間隙を存して配置された複数のワークW1、W2、W3及びW4が、搬送装置10によって順次搬送されている状態において、演算部100は、搬送制御処理を開始すると、まず、位置検出センサS1から入力された信号に基づいて、第1位置でワークWを検出する(ステップST1)。この処理において、座標算出部104は、位置検出センサS1から入力された信号に基づいて、搬送装置10によって搬送されて第1位置に達した特定のワークWの座標を算出している。言い換えると、この処理において、座標算出部104は、位置検出センサS1からワークWの位置を示す情報を取得して、当該ワークWの座標を算出している。また、この処理において、時間計測部105は、位置検出センサS1から入力された信号に基づいて、検出時刻を示す情報を取得している。
【0033】
ステップST1の処理を行うと、演算部100は、第1位置から第2位置までの移動時間を取得する(ステップST2)。この処理において、座標算出部104は、位置検出センサS1から入力された信号に基づいてワークWが第1位置に到達したことを示す情報を取得し、移動量算出部103は、移動量検出センサS2から入力された信号に基づいてワークWが第1位置から第2位置までの距離を移動したことを示す情報を取得し、時間計測部105は、座標算出部104及び移動量算出部103が取得した情報に基づいて、搬送装置10によって搬送されている当該ワークWが第1位置に達した時刻と、当該ワークWが第2位置に達した時刻と、の差によって、当該ワークWが、第1位置から第2位置に達するまでの移動時間を算出している。
【0034】
ステップST2の処理を行うと、演算部100は、ステップST2の処理で取得したワークWの移動時間が、予め設定されている基準時間よりも長いか否かを判定する(ステップST3)。例えば、基準時間は、第1位置と第2位置との間の距離を、搬送装置10による搬送速度の設計値で除算した値である。したがって、搬送装置10による搬送速度にばらつきが生じている状態において、ステップST2の処理で取得したワークWの移動時間が基準時間よりも長い場合、搬送速度は設計値に対して小さく、ステップST2の処理で取得したワークWの移動時間が基準時間よりも短い場合、搬送速度は設計値に対して大きい。
【0035】
このような状態の搬送システム1においては、搬送速度が設計値に対して大きすぎると、ロボットアーム20による作業が間に合わず、ワークWに対してロボットアーム20による作業が適切に行われない場合がある。また、搬送装置が設計値に対して小さすぎると、ロボットアーム20が作業を行わずに待機する時間が発生して、ロボットアーム20による作業の時間効率が低下してしまう。このため、実施の形態1に係る搬送制御装置30は、設計値に対する搬送速度のばらつきが生じた際に、ロボットアーム20がワークWに対する作業を行う位置を変化させることによって、ロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングを制御し、ワークWに対する作業が適切に行われるようにすると共に、ワークWに対する作業の時間効率を向上させている。
【0036】
ステップST3の処理において、移動時間が基準時間よりも長い場合(ステップST3のYES)、演算部100は、ロボットアーム20によってワークWを把持する把持位置を、作業範囲A1内かつ予め設定されている基準位置よりも上流の位置となるように設定する(ステップST4)。この処理において、制御部106は、ワークWの移動時間が基準時間よりも長いことに基づいて、ロボットアーム20が当該ワークWを把持する把持位置を、作業範囲A1内かつ基準位置よりも上流の位置となるように決定することで、基準位置で把持するよりも早いタイミングでロボットアーム20が当該ワークWを把持するように、ロボットアーム20による当該ワークWに対する作業のタイミングを制御している。例えば、この処理において、制御部106は、ワークWの移動時間が基準時間よりも長い場合、基準位置よりも上流かつ搬送方向D1における基準位置との距離が、ワークWの移動時間と基準時間との差に応じた距離となるように、ロボットアーム20が当該ワークWを把持する把持位置を設定する。なお、基準位置よりも上流の位置となるように設定された把持位置は、実施の形態1において、第3位置を構成する。
【0037】
ステップST4の処理を行うことによって、制御部106は、ワークWの移動時間に基づいて、複数のワークWに対して行う作業間の時間が、予め設定された所定の時間であるタクトタイムに近づくように、ロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングを制御している。言い換えると、制御部106は、ワークWの移動時間に基づいて、ロボットアーム20によるワークW1に対する作業と、ロボットアーム20によるワークW2に対する作業と、の間の時間が予め設定された所定の時間に近づくように、ロボットアーム20によるワークW1及びワークW2に対する作業のタイミングを制御している。なお、ワークW2は、ワークW1に対して上流に配置され、ロボットアーム20によってワークW1の次に作業が行われるワークWである。また、ワークW1は、実施の形態1において、第1の物品を構成し、ワークW2は、実施の形態1において、第2の物品を構成する。
【0038】
また、上述したように、ワークWの移動時間は、座標算出部104が取得したワークWの位置を示す情報と、移動量算出部103が取得したワークWの移動量を示す情報と、に基づいて、時間計測部105が算出している。このため、制御部106は、ワークWの位置を示す情報と、ワークWの移動量を示す情報と、に基づいて、ロボットアーム20によるワークW1に対する作業と、ロボットアーム20によるワークW2に対する作業と、の間の時間が予め設定された所定の時間に近づくように、ロボットアーム20によるワークW1及びワークW2に対する作業のタイミングを制御しているといえる。また、搬送装置10によって搬送されるワークWの位置及びワークWの移動量によってワークWが第2位置に到達するタイミングが変化するため、ワークWの位置を示す情報及びワークWの移動量を示す情報は、いずれもワークWが第2位置に到達するタイミングに関する情報であるといえる。このため、移動量算出部103及び座標算出部104は、ワークWが第2位置に到達するタイミングに関する情報を取得しているといえる。なお、移動量算出部103及び座標算出部104は、実施の形態1において、情報取得部を構成する。
【0039】
ステップST3の処理において、移動時間が基準時間よりも短い場合(ステップST3のNO)、演算部100は、ロボットアーム20によってワークWを把持する把持位置を、作業範囲A1内かつ予め設定されている基準位置よりも下流の位置となるように設定する(ステップST5)。この処理において、制御部106は、ワークWの移動時間が基準時間よりも短いことに基づいて、ロボットアーム20が当該ワークWを把持する把持位置を、作業範囲A1内かつ基準位置よりも下流の位置となるように決定することで、基準位置で把持するよりも遅いタイミングでロボットアーム20が当該ワークWを把持するように、ロボットアーム20による当該ワークWに対する作業のタイミングを制御している。例えば、この処理において、制御部106は、ワークWの移動時間が基準時間よりも短い場合、基準位置よりも下流かつ搬送方向D1における基準位置との距離が、ワークWの移動時間と基準時間との差に応じた距離となるように、ロボットアーム20が当該ワークWを把持する把持位置を設定する。なお、基準位置よりも下流の位置となるように設定された把持位置は、実施の形態1において、第4位置を構成する。
【0040】
ステップST4の処理及びステップST5の処理のいずれかの処理を行うと、演算部100は、ワークWが把持位置に到達したか否かを判定する(ステップST6)。この処理において、制御部106は、ステップST4の処理及びステップST5の処理のいずれかの処理で設定された作業範囲A1内の把持位置に、搬送装置10によって搬送されるワークWが到達したか否かを判定している。
【0041】
ステップST6の処理において、まだワークWが把持位置に到達していない場合(ステップST6のNO)、演算部100は、ステップST6の処理を繰り返す。ステップST6の処理において、ワークWが把持位置に到達した場合(ステップST6のYES)、演算部100は、ワークWをロボットアーム20に把持させる(ステップST7)。この処理において、演算部100は、ロボットアーム20を制御する制御信号を出力して、エンドエフェクタEがワークWに向けて移動させ、エンドエフェクタEを動作させてワークWをロボットアーム20に把持させるように、ロボットアーム20を制御する。
【0042】
図6は、基準位置よりも上流の位置に把持位置が設定された状態で、基準位置で把持するよりも早いタイミングでワークW1を把持しているロボットアーム20を示している。また、図7は、基準位置よりも下流の位置に把持位置が設定された状態で、基準位置で把持するよりも遅いタイミングでワークW1を把持しているロボットアーム20を示している。このように、実施の形態1に係る制御部106は、ロボットアーム20の動作を制御することによって、ロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングを制御している。
【0043】
ステップST7の処理を行うと、演算部100は、ロボットアーム20を制御する制御信号を出力してロボットアーム20を制御し、ワークWを把持した状態でロボットアーム20によって持ち上げ(ステップST8)、ワークWを把持した状態でロボットアーム20によってワークWを搬送装置10上から搬出位置へ移動させ(ステップST9)、ワークWの把持を解除する。
【0044】
ステップST9の処理を行い、ワークWの把持を解除すると、演算部100は、ロボットアーム20を制御する制御信号を出力して、ロボットアーム20がワークWに作業を行う前の初期位置としての待機位置に位置するように、ロボットアーム20を制御して、搬送制御処理を終了する。
【0045】
以上、実施の形態1に係る搬送制御装置30は、搬送装置10によって搬送されたワークW1及びワークW2が第2位置に到達するタイミングに関する情報を取得する移動量算出部103及び座標算出部104と、移動量算出部103及び座標算出部104が取得した情報に基づいて、ロボットアーム20によるワークW1に対する作業と、ロボットアーム20によるワークW2に対する作業と、の間の時間が予め設定された所定の時間に近づくように、ロボットアーム20によるワークW1及びワークW2に対する作業のタイミングを制御する制御部106と、を備えた。
【0046】
このように構成されて、搬送制御装置30は、搬送速度のばらつきが生じた場合であっても、複数のワークWに対して行う作業間の時間を均等化することが可能になり、ロボットアーム20によるワークWに対する作業が間に合わなくなることを抑制してロボットアーム20に作業を適切に行わせると共に、ロボットアーム20による作業の待ち時間を抑制してロボットアーム20による作業の時間効率を向上させている。
【0047】
また、実施の形態1に係る制御部106は、移動量算出部103及び座標算出部104が取得した情報に基づいてロボットアーム20の動作を制御することによって、ロボットアーム20によるワークW1及びワークW2に対する作業のタイミングを制御する。これにより、搬送制御装置30は、例えば、ワークWに対する作業のタイミングを制御するための別途の装置等を設けることなく、ロボットアーム20の動作制御のみでワークWに対する作業のタイミングを制御することが可能になる。
【0048】
また、実施の形態1に係る演算部100が取得する、ワークWが第2位置に到達するタイミングに関する情報は、ワークWが第2位置よりも搬送装置10の搬送方向D1における上流の位置である第1位置に到達したことを示す情報、及びワークWが第1位置から第2位置までの距離を移動したことを示す情報の少なくとも一方を含む。実施の形態1に係る演算部100は、このような情報に基づいてロボットアーム20によるワークW1及びワークW2に対する作業のタイミングを制御するように構成されているため、搬送装置10の搬送速度にばらつきが生じている場合であっても、例えば、光電センサ及びエンコーダ等の簡易な構成によってロボットアーム20による作業のタイミングを制御することが可能になる。
【0049】
なお、実施の形態1において、ロボットアーム20は、エンドエフェクタEによってワークWを把持して移動させることで、ワークWを搬送装置10上から搬出位置へ移動させる作業を行うように構成されているが、これに限定されない。ロボットアームは、ワークWに近接または接触してワークWに対して何らかの作業を行うように構成されていればよく、例えば、ロボットアームは、ヘラ状のエンドエフェクタによってワークWを掬って持ち上げて移動させる作業を行うように構成されていてもよいし、ワークWに対して他の部品を取付ける作業を行うように構成されていてもよいし、ワークWの検査等を行うことによってワークWの情報を取得する作業を行うように構成されていてもよい。
【0050】
また、実施の形態1において、搬送装置10は、ベルトコンベヤによって構成されているが、これに限定されない。搬送装置は、複数のワークを順次搬送する装置であればよく、例えば、ベルトの代わりにエプロンチェーンを有するチェーンコンベヤであってもよいし、駆動力によって回転する複数のローラを有するローラコンベヤであってもよいし、コンベヤ以外の装置であってもよい。
【0051】
また、実施の形態1において、搬送システム1は、搬送装置10によって搬送されるワークWに対して作業を行う1つのロボットアーム20を備えているが、これに限定されない。搬送システムは、搬送装置10によって搬送されるワークWに対して作業を行う複数のロボットアームを備えていてもよく、例えば、搬送システムは、搬送装置と、第1ロボットアームと、第2ロボットアームと、搬送制御装置と、を備え、搬送装置によって順次搬送されたワークに対して、第1ロボットアームと第2ロボットアームとが作業を行うように構成されていてもよい。具体的には、搬送システムは、搬送装置によってワークW1、W2、W3、W4が順次搬送される場合、第1ロボットアームがワークW1、W3に対して作業を行い、第2ロボットアームがワークW2、W4に対して作業を行うように、第1ロボットアーム及び第2ロボットアームが交互に作業を行うように構成されていてもよいし、同一のワークに対して第1ロボットアーム及び第2ロボットアームが異なる作業を行うように構成されていてもよい。
【0052】
また、実施の形態1において、搬送システム1は、搬送装置によるワークWの移動量を検出する移動量検出センサS2としてエンコーダ400を備えているが、これに限定されない。移動量検出センサは、搬送装置によるワークの移動量を検出可能であればよく、ポテンショメータによって構成されていてもよいし、画像センサによって構成されていてもよいし、搬送装置によるワークの移動量を検出するためのセンサと、ワークの位置を検出するためのセンサと、が1つまたは複数の画像センサによって構成されていてもよい。
【0053】
また、実施の形態1において、搬送制御装置30は、搬送装置10によって搬送されたワークWが所定位置に到達するタイミングに関する情報として、ワークWの位置を示す情報と、ワークWの移動量を示す情報と、を取得するように構成されているが、これに限定されない。搬送制御装置は、搬送装置によって搬送されたワークWが所定位置に到達するタイミングに関する情報として、ロボットアームによるワークWに対する作業のタイミングを制御するために用いられる情報を取得するように構成されていればよく、例えば、搬送装置によってワークWが搬送される搬送速度を示す情報を取得するように構成されていてもよいし、搬送装置によって搬送される複数のワーク間の距離を示す情報を取得するように構成されていてもよい。
【0054】
例えば、搬送制御装置は、搬送装置によって搬送されたワークWが所定位置に到達するタイミングに関する情報として、搬送装置の搬送速度を示す情報を取得するように構成されている場合、取得した搬送速度が予め設定されている基準速度よりも低い場合、ロボットアームによる作業位置を基準位置よりも搬送方向における上流の位置となるように設定するように構成されていてもよいし、取得した搬送速度が予め設定されている基準速度よりも高い場合、ロボットアームによる作業位置を基準位置よりも搬送方向における下流の位置となるように設定するように構成されていてもよい。
【0055】
また、例えば、搬送制御装置は、搬送装置によって搬送されたワークWが所定位置に到達するタイミングに関する情報として、搬送装置によって搬送される複数のワーク間の距離を示す情報を取得するように構成されている場合、取得したワーク間の距離が予め設定されている基準距離よりも長い場合、ロボットアームによる作業位置を基準位置よりも搬送方向における上流の位置となるように設定するように構成されていてもよいし、取得したワーク間の距離が予め設定されている基準距離よりも短い場合、ロボットアームによる作業位置を基準位置よりも搬送方向における下流の位置となるように設定するように構成されていてもよい。
【0056】
一般に、複数のワークWを搬送装置で搬送する際、複数のワークW間の距離にばらつきが生じる場合がある。搬送制御装置が搬送装置によって搬送される複数のワーク間の距離を示す情報を取得するように構成されている場合、複数のワークW間の距離にばらつきが生じている場合であっても、複数のワークWに対して行う作業間の時間を均等化することが可能になる。なお、搬送装置によって搬送される複数のワーク間の距離を示す情報は、位置検出センサによって特定のワークを検出してから、位置検出センサによって次に搬送されるワークを検出するまでのワークの移動量に基づいて取得してもよいし、搬送方向における搬送装置の互いに異なる位置に配置された複数の位置検出センサによって取得してもよいし、複数のワークを同時に撮像可能な画像センサによって取得してもよい。
【0057】
また、実施の形態1において、搬送制御装置30は、位置検出センサS1として、1つの光電センサ200と1つの画像センサ300とを備えているが、これに限定されない。搬送制御装置は、ワークの位置を示す情報を取得可能であればよく、例えば、位置検出センサS1として、光電センサ及び画像センサのいずれか一方のみを備えていてもよいし、複数の光電センサ及び複数の画像センサを備えていてもよい。
【0058】
また、搬送制御装置は、複数の位置検出センサを備えている場合、それぞれの位置検出センサから入力された信号の組合せによって、ワークの位置及びワークの移動量を検出するように構成されていてもよい。例えば、搬送方向における搬送装置の互いに異なる位置に配置された複数の位置検出センサを備えている場合、複数の位置検出センサによって特定のワークを検出した時刻の差に基づいて、ロボットアームによる作業位置を変化させるように構成されていてもよい。搬送制御装置がこのように構成された場合、上流側に配置された位置検出センサの検出位置が第1位置、下流側に配置された位置検出センサの検出位置が第2位置、ワークを第1位置で検出した時刻と第2位置で検出した時刻が第1位置から第2位置までのワークの移動時間になる。
【0059】
実施の形態2.
次に、図8を参照して、実施の形態2に係る搬送システムについて説明する。実施の形態2に係る搬送システムは、実施の形態1に係る搬送システムと比較して、演算部100が行う処理が異なるが、他の処理については同様であり、実施の形態1と同様の処理及び構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図8は、実施の形態2に係る搬送システム1において、ワークWの向きが統一されていない状態でワークWが搬送されている状態を示す上方から視た模式図である。実施の形態2に係る演算部100において、座標算出部104は、画像センサ300から入力された撮像信号に基づいてワークWの位置及び向きを示す情報を取得し、制御部106は、座標算出部104が取得した情報に基づいて、ワークWの向きに応じたロボットアーム20の制御信号を出力する。例えば、制御部106は、座標算出部104が取得した情報に基づいて、ワークWを把持する際に、エンドエフェクタEの向きがワークWの向きに応じた向きとなるようにロボットアーム20を制御する制御信号を出力する。
【0061】
なお、実施の形態2に係る搬送システム1において、制御部106は、ロボットアーム20によってワークWに対する作業を行う際の作業時間がワークWの向きに応じて異なる場合、座標算出部104が取得したワークWの向きを示す情報に基づいて、ロボットアーム20がワークWに対する作業を行う位置を変化させることによって、ロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングを制御するように構成されていてもよい。例えば、制御部106は、ワークWの向きが、ロボットアーム20がワークWに対して作業を行う際の作業時間が予め設定されている基準時間よりも長い作業時間となる向きである場合、ロボットアーム20がワークWに対する作業を行う位置を基準位置よりも上流の位置に変化させることによって、ロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングを制御するように構成されていてもよい。また、制御部106は、ワークWの向きが、ロボットアーム20がワークWに対して作業を行う際の作業時間が予め設定されている基準時間よりも短い作業時間となる向きである場合、ロボットアーム20がワークWに対する作業を行う位置を基準位置よりも下流の位置に変化させることによって、ロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングを制御するように構成されていてもよい。
【0062】
実施の形態3.
次に、図9を参照して、実施の形態3に係る搬送システムについて説明する。実施の形態3に係る搬送システムは、実施の形態1に係る搬送システムと比較して、演算部100が行う処理が異なるが、他の処理については同様であり、実施の形態1と同様の処理及び構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図9は、実施の形態3に係る演算部100が行う搬送制御処理を示すフローチャートである。図9に示すように、実施の形態3に係る演算部100は、搬送制御処理において、第1位置から第2位置までのワークWの移動時間を取得すると(ステップST2)、移動時間が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する(ステップST12)。この処理において、制御部106は、移動時間が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定し、把持位置を基準位置とは異なる位置とする必要の有無を判定している。
【0064】
ステップST12の処理において、移動時間が予め設定された許容範囲内である場合(ステップST12のYES)、演算部100は、把持位置を基準位置に設定する(ステップST13)。また、ステップST12の処理において、移動時間が予め設定された許容範囲内でない場合(ステップST12のNO)、演算部100は、移動時間が許容範囲における上限時間よりも長いか否かを判定する(ステップST14)。ステップST14の処理において、移動時間が許容範囲における上限時間よりも長い場合(ステップST14のYES)、演算部100は、ロボットアーム20によってワークWを把持する把持位置を、作業範囲A1内かつ予め設定されている基準位置よりも上流の位置となるように設定する(ステップST4)。
【0065】
ステップST14の処理において、移動時間が許容範囲における上限時間よりも短い場合(ステップST14のNO)、即ち、移動時間が許容範囲における下限時間よりも短い場合、演算部100は、ロボットアーム20によってワークWを把持する把持位置を、作業範囲A1内かつ予め設定されている基準位置よりも下流の位置となるように設定する(ステップST5)。
【0066】
このように、実施の形態3に係る演算部100は、第1位置から第2位置までのワークWの移動時間が基準時間と異なる場合であっても、移動時間が予め設定された許容範囲内である場合、把持位置を基準位置に設定する。これにより、移動時間と基準時間との差異が比較的に小さく、把持位置を変更する必要性が比較的に低い場合、逐一把持位置を基準位置とは異なる位置に設定する処理を行うことを抑制し、装置の処理負担を軽減することができる。
【0067】
実施の形態4.
次に、図10を参照して、実施の形態4に係る搬送システムについて説明する。実施の形態4に係る搬送システムは、実施の形態1に係る搬送システムと比較して、演算部100が行う処理が異なるが、他の処理については同様であり、実施の形態1と同様の処理及び構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図10は、実施の形態4に係る演算部100が行う搬送制御処理を示すフローチャートである。図10に示すように、実施の形態4に係る演算部100は、搬送制御処理のステップST3の処理において、移動時間が基準時間よりも長い場合(ステップST3のYES)、演算部100は、搬送装置10によるワークWの搬送速度を予め設定されている基準速度よりも高い速度となるように設定する(ステップST24)。この処理において、制御部106は、ワークWの移動時間が基準時間よりも長いことに基づいて、搬送装置10によるワークWの搬送速度を上昇させる制御信号を、通信部101を介して搬送装置10に向けて出力している。
【0069】
また、ステップST3の処理において、移動時間が基準時間よりも短い場合(ステップST3のNO)、演算部100は、搬送装置10によるワークWの搬送速度を予め設定されている基準速度よりも低い速度となるように設定する(ステップST25)。この処理において、制御部106は、ワークWの移動時間が基準時間よりも短いことに基づいて、搬送装置10によるワークWの搬送速度を低下させる制御信号を、通信部101を介して搬送装置10に向けて出力している。
【0070】
搬送装置10の搬送速度が変化すると、ワークWが把持位置に到達するまでの時間が変化するため、ロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングが変化する。なお、基準速度は、ステップST24及びステップST25において搬送速度を変更する前の状態での搬送速度であってもよいし、予め設定されたタクトタイムに基づいて設定される搬送速度であってもよい。
【0071】
このように、実施の形態4に係る制御部106は、搬送装置10の動作を制御することによって、ロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングを制御している。これにより、実施の形態4に係る制御部106は、ロボットアーム20による動作を変化させることなくロボットアーム20によるワークWに対する作業のタイミングを制御することが可能になり、簡易な処理で複数のワークWに対して行う作業間の時間を均等化することが可能になる。なお、制御部は、ロボットアームの動作及び搬送装置の動作を共に制御することによって、ロボットアームによるワークWに対する作業のタイミングを制御するように構成されていてもよい。
【0072】
なお、本開示は、各実施の形態の自由な組合せ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 :搬送システム
10 :搬送装置
11 :モータ
12 :駆動ローラ
13 :従動ローラ
14 :コンベアベルト
20 :ロボットアーム
21 :モータ
22 :ロボットアーム本体
30 :搬送制御装置
100 :演算部
101 :通信部
102 :記憶部
103 :移動量算出部(情報取得部)
104 :座標算出部(情報取得部)
105 :時間計測部
106 :制御部
200 :光電センサ
201 :投光部
202 :受光部
300 :画像センサ
400 :エンコーダ
A1 :作業範囲
D1 :搬送方向
E :エンドエフェクタ
J :関節
L :リンク
L1 :光
S1 :位置検出センサ
S2 :移動量検出センサ
W :ワーク(物品)
W1 :ワーク(第1の物品)
W2 :ワーク(第2の物品)
W3 :ワーク
W4 :ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10