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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013723
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】トルクセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/14 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
G01L3/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116040
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 賢二
(57)【要約】
【課題】従来に対し、他軸剛性に対してトルク剛性を低くする。
【解決手段】外周側に設けられて第1の外部機器101が締結される外周側締結部11、内周側に設けられて第2の外部機器102が締結される内周側締結部12、及び、当該外周側締結部11と当該内周側締結部12との間に設けられたセンシング部14を有するフランジ1と、フランジ1におけるセンシング部14に接合されたセンサ素子2と、フランジ1に設けられた梁状部材3とを備え、梁状部材3は、主面が当該フランジ1における周方向に沿って配置され、一端側がフランジ1の外周側に接続され、当該フランジ1の軸方向に延びた第1の板部31と、主面が当該フランジ1における周方向に沿って配置され、一端側がフランジ1の内周側に接続され、当該フランジ1の軸方向に延びた第2の板部32と、第1の板部31における他端側と第2の板部32における他端側とを連結する連結板部33とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周側に設けられて第1の外部機器が締結される外周側締結部、内周側に設けられて第2の外部機器が締結される内周側締結部、及び、当該外周側締結部と当該内周側締結部との間に設けられたセンシング部を有するフランジと、
前記フランジにおけるセンシング部に接合されたセンサ素子と、
前記フランジに設けられた梁状部材とを備え、
前記梁状部材は、
主面が当該フランジにおける周方向に沿って配置され、一端側が前記フランジの外周側に接続され、当該フランジの軸方向に延びた第1の板部と、
主面が当該フランジにおける周方向に沿って配置され、一端側が前記フランジの内周側に接続され、当該フランジの軸方向に延びた第2の板部と、
前記第1の板部における他端側と前記第2の板部における他端側とを連結する連結板部とを有する
ことを特徴とするトルクセンサ。
【請求項2】
前記梁状部材は、前記フランジに対して周方向に沿って複数設けられた
ことを特徴とする請求項1記載のトルクセンサ。
【請求項3】
前記センサ素子は、対称的に配置され、
前記梁状部材は、前記センサ素子の配置を基準として対称的に配置された
ことを特徴とする請求項2記載のトルクセンサ。
【請求項4】
前記梁状部材は、前記第1の板部及び前記第2の板部を前記フランジに対して周方向に沿って複数組有し、
前記連結板部は、各組の前記第1の板部及び前記第2の板部をまとめて連結する
ことを特徴とする請求項1記載のトルクセンサ。
【請求項5】
前記センサ素子は、対称的に配置され、
前記第1の板部及び前記第2の板部は、前記センサ素子の配置を基準として対称的に配置された
ことを特徴とする請求項4記載のトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トルクを検出するトルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
トルクセンサは、フランジに搭載されたセンサチップであるセンサ素子によって、トルク(トルク軸周りにおける加重)を検出する。このトルクセンサにおけるトルクの検知方法としては、トルク負荷以外の影響をキャンセル又は補正することでトルクのみ検知する方法が挙げられる。
【0003】
従来のトルクセンサでは、例えば図9及び図10に示すように、ディスク状のフランジ1に、外周側締結部11、内周側締結部12、スリット部13、及び、センシング部14が設けられている。
【0004】
外周側締結部11は、第1の外部機器(不図示)が締結される部位である。この外周側締結部11は、フランジ1における外周側に設けられ、フランジ1における一方の面に上記第1の外部機器が締結される。
【0005】
この外周側締結部11には、孔111が周方向に複数設けられている。孔111は、ボルト等の締結部材(不図示)の軸部を挿入可能に構成されている。そして、この孔111により、上記第1の外部機器が上記締結部材を介して外周側締結部11に締結される。
図9及び図10では、孔111は、合計8つ設けられている。
【0006】
内周側締結部12は、第2の外部機器(不図示)が締結される部位である。この内周側締結部12は、フランジ1における内周側に設けられ、フランジ1における他方の面に上記第2の外部機器が締結される。
【0007】
この内周側締結部12には、孔121が周方向に複数設けられている。孔121は、ボルト等の締結部材(不図示)の軸部を挿入可能に構成されている。そして、この孔121により、上記第2の外部機器が上記締結部材を介して内周側締結部12に締結される。
図9及び図10では、孔121は、合計8つ設けられている。
【0008】
なお、例えば、ロボットにおけるモータ等の駆動系及びロボットハンド等の負荷系のうちの一方が、第1の外部機器に相当し、当該駆動系及び当該負荷系のうちの他方が、第2の外部機器に相当する。
【0009】
スリット部13は、フランジ1における外周側締結部11と内周側締結部12と間に複数設けられた円弧状のスリットである。この複数のスリット部13は、回転対称に配置されている。図9及び図10では、スリット部13は、8つ設けられている。
このスリット部13は、トルクセンサに加えられるトルクに対する感度を向上するための部位である。
【0010】
センシング部14は、スリット部13間に設けられ、センサ素子2が設けられた部位である。図9及び図10では、センシング部14は、トルク軸(トルクセンサの軸心)に垂直な面(フランジ面)において90°毎に設けられた軸(センサ軸)を中心にして1つずつ、合計4か所設けられている。
【0011】
そして、センサ素子2は、フランジ1におけるセンシング部14に接合されている。
【0012】
一方、このトルクセンサにおける剛性に関する設計は、トルク検出精度に関わる重要な要素である(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、第1構造体と第2構造体を備えるトルクセンサにおいて、剛性に関する重要性が示されている。
【0013】
より具体的には、トルクセンサにおいて、他軸剛性(トルク軸に垂直な軸であるX軸周りのモーメント、又は、トルク軸に垂直な軸であるY軸周りのモーメントの剛性)とトルク剛性(トルク軸であるZ軸周りのモーメントの剛性)の比を大きくすることについて、常に改善が求められている。
すなわち、トルクセンサにおいて、他軸剛性に対してトルク剛性が低い場合、トルク感度の高い構造となる。また、この場合、トルクセンサは、キャンセルし切れない他軸負荷の影響による誤差も小さくできる。
【0014】
しかしながら、従来のトルクセンサでは、円板部材であるフランジの設計に限界があり、他軸剛性に対してトルク剛性を十分に低くすることができない。そのため、従来のトルクセンサでは、キャンセルし切れない他軸負荷の影響によるトルクの検出誤差が生じていた。ここで、例えば、力制御に利用されるトルクに検出誤差が生じている場合、その力制御の誤差に直結してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2020-12660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このように、従来のトルクセンサでは、他軸剛性に対してトルク剛性を十分に低くすることができない。そして、その結果、従来のトルクセンサでは、キャンセルし切れない他軸負荷の影響によるトルクの検出誤差が生じていた。
【0017】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、従来に対し、他軸剛性に対してトルク剛性を低くすることが可能となるトルクセンサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本開示に係るトルクセンサは、外周側に設けられて第1の外部機器が締結される外周側締結部、内周側に設けられて第2の外部機器が締結される内周側締結部、及び、当該外周側締結部と当該内周側締結部との間に設けられたセンシング部を有するフランジと、フランジにおけるセンシング部に接合されたセンサ素子と、フランジに設けられた梁状部材とを備え、梁状部材は、主面が当該フランジにおける周方向に沿って配置され、一端側がフランジの外周側に接続され、当該フランジの軸方向に延びた第1の板部と、主面が当該フランジにおける周方向に沿って配置され、一端側がフランジの内周側に接続され、当該フランジの軸方向に延びた第2の板部と、第1の板部における他端側と第2の板部における他端側とを連結する連結板部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、上記のように構成したので、従来に対し、他軸剛性に対してトルク剛性を低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1に係るトルクセンサの構成例を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係るトルクセンサの構成例を示す模式的な側断面図である。
図3図3A図3Bは、実施の形態1に係るトルクセンサの効果例を説明するための図である。
図4】実施の形態1に係るトルクセンサの効果例を説明するための図である。
図5】実施の形態1に係るトルクセンサの別の構成例を示す模式的な側断面図である。
図6】実施の形態1に係るトルクセンサの別の構成例を示す模式的な側断面図である。
図7】実施の形態1に係るトルクセンサの別の構成例を示す模式的な側断面図である。
図8】実施の形態1に係るトルクセンサの別の構成例を斜視図である。
図9】従来のトルクセンサの構成例を示す斜視図である。
図10】従来のトルクセンサの構成例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1及び図2は実施の形態1に係るトルクセンサの構成例を示す図である。
トルクセンサは、トルクを検出する。このトルクセンサは、図1及び図2に示すように、フランジ1、センサ素子2、梁状部材3、及び、演算部4(不図示)を備えている。
【0022】
フランジ1は、例えばステンレスにより構成される。
図1及び図2に示すフランジ1は、軸心に孔を有するディスク状部材である。このフランジ1は、図1及び図2に示すように、外周側締結部11、内周側締結部12、スリット部13、及び、センシング部14を有している。
【0023】
外周側締結部11は、第1の外部機器101が締結される部位である。この外周側締結部11は、フランジ1における外周側に設けられている。図2では、第1の外部機器101が、フランジ1における一方の面(下面)に締結される場合を示している。
なお、図1では、第1の外部機器101の図示を省略している。
【0024】
この外周側締結部11には、孔111が周方向に複数設けられている。孔111は、ボルト等の締結部材5の軸部を挿入可能に構成されている。そして、この孔111により、上記第1の外部機器101が上記締結部材5を介して外周側締結部11に締結される。図1及び図2では、孔111は、合計8つ設けられている。
なお、図1では、孔111に挿入される締結部材5の図示を省略している。
【0025】
内周側締結部12は、第2の外部機器102が締結される部位である。この内周側締結部12は、フランジ1における内周側に設けられている。図2では、第2の外部機器102が、フランジ1における一方の面(下面)に締結される場合を示している。
なお、図1では、第2の外部機器102の図示を省略している。
【0026】
この内周側締結部12には、孔121が周方向に複数設けられている。孔121は、ボルト等の締結部材5の軸部を挿入可能に構成されている。そして、この孔121により、上記第2の外部機器102が上記締結部材5を介して内周側締結部12に締結される。図1及び図2では、孔121は、合計8つ設けられている。
なお、図1では、孔121に挿入される締結部材5の図示を省略している。
【0027】
なお、例えば、ロボットにおけるモータ等の駆動系及びロボットハンド等の負荷系のうちの一方が、第1の外部機器101に相当し、当該駆動系及び当該負荷系のうちの他方が、第2の外部機器102に相当する。
【0028】
スリット部13は、フランジ1における外周側締結部11と内周側締結部12と間に複数設けられた円弧状のスリットである。この複数のスリット部13は、回転対称に配置されている。図1及び図2では、スリット部13は、8つ設けられている。
このスリット部13は、トルクセンサに加えられるトルクに対する感度を向上するための部位である。
【0029】
センシング部14は、スリット部13との間に設けられ、センサ素子2が設けられた部位である。図1及び図2では、センシング部14は、トルク軸(トルクセンサの軸心)に垂直な面(フランジ面)において90°毎に設けられた軸(センサ軸)を中心にして1つずつ、合計4か所設けられている。
【0030】
なお、図1及び図2に示すフランジ1の構成は一例であり、フランジ1の構成はこれに限らない。すなわち、フランジ1は、外周側締結部11、内周側締結部12、及び、センシング部14を有するフランジであればよい。
【0031】
センサ素子2は、フランジ1におけるセンシング部14に接合されている。このセンサ素子2は、外部からのせん断応力に応じた信号を出力する。センサ素子2としては、例えば半導体歪ゲージ又は金属歪ゲージを用いることができる。
なお、図1及び図2では、センサ素子2は、対称的に配置されている。
【0032】
梁状部材3は、フランジ1に設けられた部材である。図1及び図2では、梁状部材3がフランジ1とは別体に構成された場合を示している。また、図1及び図2では、梁状部材3がフランジ1に対して周方向に沿って4つ設けられている。
この梁状部材3は、図1に示すように、第1の板部31、第2の板部32、連結板部33、外周側締結板部34、及び、内周側締結板部35を有している。
【0033】
第1の板部31は、主面がフランジ1における周方向に沿って配置され、一端側が当該フランジ1の外周側に接続され、当該フランジ1の軸方向に延びた板状の部位である。
なお、図1及び図2では、第1の板部31は、外周側締結部11の孔111よりも内側に配置されている。また、図1及び図2では、第1の板部31の一端側は、外周側締結板部34を介してフランジ1における外周側に接続されている。
また、図1及び図2では、1つの梁状部材3に対して第1の板部31が1つ設けられている。
【0034】
第2の板部32は、主面がフランジ1における周方向に沿って配置され、一端側が当該フランジ1の内周側に接続され、当該フランジ1の軸方向に延びた板状の部位である。
なお、図1及び図2では、第2の板部32は、内周側締結部12の孔121よりも外側に配置されている。また、図1及び図2では、第2の板部32の一端側は、内周側締結板部35を介してフランジ1における内周側に接続されている。
また、図1及び図2では、1つの梁状部材3に対して第2の板部32が1つ設けられている。
【0035】
連結板部33は、第1の板部31における他端側と第2の板部32における他端側とを連結する板状の部位である。図1及び図2では、連結板部33の主面が、第1の板部31の主面及び第2の板部32の主面に対して垂直(略垂直の意味を含む)であり、且つ、フランジ1の面に対して水平(略垂直の意味を含む)に配置されている。
また、図1及び図2では、連結板部33は、1つの第1の板部31と1つの第2の板部32とを連結する。
【0036】
外周側締結板部34は、第1の板部31をフランジ1の外周側に接続するための板状の部位である。この外周側締結板部34は、一端が第1の板部31の一端に連結され、また、外周側締結部11の孔111に対向する箇所には、孔341が設けられている。図1及び図2では、外周側締結板部34の主面が、第1の板部31の主面に対して垂直(略垂直の意味を含む)であり、且つ、フランジ1の面に対して水平(略垂直の意味を含む)に配置されている。また、孔341は、ボルト等の締結部材5の軸部を挿入可能に構成されている。また、図1及び図2では、孔341は、外周側締結部11側に2つ設けられている。
そして、この孔341により、第1の外部機器101の外周側締結部11への締結に伴って、外周側締結板部34が外周側締結部11に締結される。
【0037】
内周側締結板部35は、第2の板部32をフランジ1の内周側に接続するための板状の部位である。この内周側締結板部35は、一端が第2の板部32の一端に連結され、また、内周側締結部12の孔121に対向する箇所には、孔351が設けられている。図1及び図2では、内周側締結板部35の主面が、第2の板部32の主面に対して垂直(略垂直の意味を含む)であり、且つ、フランジ1の面に対して水平(略垂直の意味を含む)に配置されている。また、孔351は、ボルト等の締結部材5の軸部を挿入可能に構成されている。また、図1及び図2では、孔351は、内周側締結部12側に2つ設けられている。
そして、この孔351により、第2の外部機器102の内周側締結部12への締結に伴って、内周側締結板部35が内周側締結部12に締結される。
【0038】
なお、図1及び図2では、梁状部材3が、センサ素子2の配置を基準として対称的に配置されている。すなわち、図1及び図2では、梁状部材3が、センサ素子2間に配置されている。
【0039】
演算部4は、センサ素子2により出力された信号に基づいて、トルクを演算する。この演算部4による演算方法については、既存の演算方法を用いることが可能であり、その説明を省略する。
なお、演算部4は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0040】
次に、図1及び図2に示す実施の形態1に係るトルクセンサによる効果について説明する。
ここで、円板部材であるフランジ1のみでは、他軸剛性に対してトルク剛性を十分に低くすることができない。
【0041】
これに対し、仮に、板状の部材をフランジ1の径方向に垂直な方向(フランジ1の面内)に伸ばした場合には、フランジ1のみの場合に対し、トルク剛性は比較的落ちない。
また、仮に、板状の部材をフランジ1の径方向又は軸方向に伸ばした場合には、フランジ1のみの場合に対し、トルク剛性は比較的落ちる。
一方、仮に、板状の部材をフランジ1の径方向又は径方向に垂直な方向(フランジ1の面内)に伸ばした場合には、フランジ1のみの場合に対し、他軸剛性は比較的落ちる。
また、仮に、板状の部材をフランジの軸方向に伸ばした場合には、フランジ1のみの場合に対し、他軸剛性は比較的落ちない。
【0042】
以上から、板状の部材をフランジ1の軸方向に伸ばすことで、フランジ1のみの場合に対し、トルク剛性は比較的落ちるものの、他軸剛性は比較的落ちない構成を実現でき、すなわち、他軸剛性をトルク剛性に対して高くすることができる。
【0043】
そこで、図1及び図2に示す実施の形態1に係るトルクセンサでは、フランジ1に対し、主面がフランジ1における周方向に沿って配置され、当該フランジ1の軸方向に延びた第1の板部31及び第2の板部32を有する梁状部材3が追加されている。これにより、この実施の形態1に係るトルクセンサでは、従来に対し、他軸剛性に対してトルク剛性を低くすることが可能となる。その結果、実施の形態1に係るトルクセンサでは、従来に対し、トルクの検出誤差を抑制可能となる。
【0044】
なお、例えば図3Aに示すように、フランジ1にブロック状の部材3bが追加された構成では、他軸剛性をトルク剛性に対して高くするという効果は得られない。すなわち、図3Aに示すような構成では、ブロック状の部材3bの根元側に力が集中してしまう。そのため、図3Aに示すような構成では、結果として、図3Bに示すようなフランジ1のみの構成と同様の状況となってしまい、他軸剛性をトルク剛性に対して高くするという効果が得られない。
これに対し、例えば図4に示すように、フランジ1に、外周側に設けられた第1の板部31及び内周側に設けられた第2の板部32を有する梁状部材3が追加された構成では、力の伝搬経路が矢印で示すような経路となり力の伝搬経路が長くなる。そのため、図4に示すような構成では、トルク(Z軸周りのモーメント)負荷による変形量が大きくなる。一方で、図4に示すような構成では、他軸(X軸周りのモーメント及びY軸周りのモーメント)負荷による変形量は小さくなる。そのため、図4に示すような構成では、トルク負荷と他軸負荷とでの変形量に差が出る、すなわちトルク負荷と他軸負荷とでの剛性に差が出る。
【0045】
また、フランジ1に梁状部材3が追加されることで、センサ素子2のねじれを抑制することが可能となる。すなわち、フランジ1に梁状部材3が追加されることで、他軸負荷による変形量が小さくなるため、フランジ1において外周側と内周側とで軸方向における高低差を抑制可能であり、これにより、センサ素子2のねじれが抑制される。
また、図1及び図2に示すように、センサ素子2が対称的に配置され、梁状部材3がセンサ素子2の配置を基準として対称的に配置されることで、全てのセンサ素子2に対して均一にねじれを抑制することが可能となる。
【0046】
なお、フランジ1及び梁状部材3と第1の外部機器101及び第2の外部機器102との配置関係は、図1及び図2に示す配置関係に限らない。例えば、図5に示すような配置関係であってもよい。
すなわち、図1及び図2では、第1の外部機器101が、フランジ1における一方の面(下面)に締結され、第2の外部機器102が、フランジ1における一方の面(下面)に締結されているのに対し、図5では、第1の外部機器101が、フランジ1における他方の面(上面)に締結され、第2の外部機器102が、フランジ1における一方の面(下面)に締結されている。
【0047】
また、梁状部材3の構成は、図1及び図2に示す構成に限らない。すなわち、梁状部材3は、他の部材(例えば第1の外部機器101又は第2の外部機器102)と干渉しない構成であればよく、例えば図6又は図7に示すような構成であってもよい。
ここで、図6では、第1の板部31が外周側締結部11の孔111よりも外側に配置され、第2の板部32が内周側締結部12の孔111よりも外側に配置された場合を示している。
一方、図7では、第1の板部31が外周側締結部11の孔111よりも外側に配置され、第2の板部32が内周側締結部12の孔111よりも内側に配置された場合を示している。
【0048】
また、フランジ1に対して複数の梁状部材3が設けられる場合、それぞれの梁状部材3の構成は同一である必要はなく、異なる構成であってもよい。
【0049】
また、図1及び図2では、梁状部材3がフランジ1に対して周方向に沿って複数設けられた場合を示した。しかしながら、これに限らず、梁状部材3は、第1の板部31及び第2の板部32をフランジ1に対して周方向に沿って複数組有し、連結板部33は、各組の第1の板部31及び第2の板部32をまとめて連結するように構成されていてもよい。
例えば図8に示すように、梁状部材3は、複数組の第1の板部31及び第2の板部32と、各組の第1の板部31及び第2の板部32をまとめて連結するディスク状の連結板部33とを有するように構成されていてもよい。
【0050】
また、図1及び図2では、梁状部材3がフランジ1とは別体に構成された場合を示した。しかしながら、これに限らず、梁状部材3はフランジ1と一体に構成されていてもよい。
すなわち、この場合には、梁状部材3に対し、内周側締結板部35、及び、外周側締結板部34は不要である。
【0051】
以上のように、この実施の形態1によれば、トルクセンサは、外周側に設けられて第1の外部機器101が締結される外周側締結部11、内周側に設けられて第2の外部機器102が締結される内周側締結部12、及び、当該外周側締結部11と当該内周側締結部12との間に設けられたセンシング部14を有するフランジ1と、フランジ1におけるセンシング部14に接合されたセンサ素子2と、フランジ1に設けられた梁状部材3とを備え、梁状部材3は、主面が当該フランジ1における周方向に沿って配置され、一端側がフランジ1の外周側に接続され、当該フランジ1の軸方向に延びた第1の板部31と、主面が当該フランジ1における周方向に沿って配置され、一端側がフランジ1の内周側に接続され、当該フランジ1の軸方向に延びた第2の板部32と、第1の板部31における他端側と第2の板部32における他端側とを連結する連結板部33とを有する。これにより、実施の形態1に係るトルクセンサは、従来に対し、他軸剛性に対してトルク剛性を低くすることが可能となる。
【0052】
また、この実施の形態1によれば、梁状部材3は、フランジ1に対して周方向に沿って複数設けられていてもよい。これにより、実施の形態1に係るトルクセンサは、他軸剛性に対してトルク剛性をより低くすることが可能となる。
また、この実施の形態1によれば、上記構成において、センサ素子2は、対称的に配置され、梁状部材3は、センサ素子2の配置を基準として対称的に配置されていてもよい。これにより、実施の形態1に係るトルクセンサは、全てのセンサ素子2に対して均一にねじれを抑制することが可能となる。
【0053】
また、この実施の形態1によれば、梁状部材3は、第1の板部31及び第2の板部32をフランジ1に対して周方向に沿って複数組有し、連結板部33は、各組の第1の板部31及び第2の板部32をまとめて連結してもよい。これにより、実施の形態1に係るトルクセンサは、他軸剛性に対してトルク剛性をより低くすることが可能となる。
また、この実施の形態1によれば、上記構成において、センサ素子2は、対称的に配置され、第1の板部31及び第2の板部32は、センサ素子2の配置を基準として対称的に配置されていてもよい。これにより、実施の形態1に係るトルクセンサは、全てのセンサ素子2に対して均一にねじれを抑制することが可能となる。
【0054】
なお、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 フランジ
2 センサ素子
3 梁状部材
4 演算部
5 締結部材
11 外周側締結部
12 内周側締結部
13 スリット部
14 センシング部
31 第1の板部
32 第2の板部
33 連結板部
34 外周側締結板部
35 内周側締結板部
101 第1の外部機器
102 第2の外部機器
111 孔
121 孔
341 孔
351 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10