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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137231
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】収容体及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20240927BHJP
【FI】
H01M50/242
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048674
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】邵 永正
(72)【発明者】
【氏名】門野 大
(72)【発明者】
【氏名】富 永亮
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AY08
5H040AY10
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】収容体の複数のカバーの接合部の損傷を抑制する。
【解決手段】収容体20は、接合部200を介して互いに接合されて電池セル100の少なくとも一部分を覆うフロントカバー210及びサイドカバー230を備えている。サイドカバー230は、サイドカバー230の内部の下方中空空間237及び上方中空空間238を所定方向に互いに隔てる隔壁236を有している。隔壁236と、接合部200の当該所定方向の両端と、は当該所定方向に互いにずれて位置している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合部を介して互いに接合されて電池セルの少なくとも一部分を覆う複数のカバーを備え、
前記複数のカバーのうちの少なくとも1つのカバーが、前記少なくとも1つのカバーの内部の複数の中空空間を所定方向に互いに隔てる隔壁を有し、
前記隔壁と、前記接合部の前記所定方向の両端と、が前記所定方向に互いにずれて位置している、収容体。
【請求項2】
前記少なくとも1つのカバーが、前記電池セルに対して反対側に向けて突出したフランジをさらに有し、
前記隔壁と、前記フランジと、が前記所定方向に互いにずれて位置している、請求項1に記載の収容体。
【請求項3】
前記隔壁が、前記フランジの端部よりも、前記接合部のより近くに位置する端部を有する、請求項2に記載の収容体。
【請求項4】
前記少なくとも1つのカバーが、前記電池セルに対して反対側に向けて突出したフランジをさらに有し、
前記隔壁が、前記フランジの端部よりも、前記接合部のより近くに位置する端部を有する、請求項1に記載の収容体。
【請求項5】
接合部を介して互いに接合されて電池セルの少なくとも一部分を覆う複数のカバーを備え、
前記複数のカバーのうちの少なくとも1つのカバーが、前記少なくとも1つのカバーの内部の複数の中空空間を所定方向に互いに隔てる隔壁と、前記電池セルに対して反対側に向けて突出したフランジと、を有し、
前記隔壁と、前記フランジと、が前記所定方向に互いにずれて位置している、収容体。
【請求項6】
前記隔壁が、前記フランジの端部よりも、前記接合部のより近くに位置する端部を有する、請求項5に記載の収容体。
【請求項7】
接合部を介して互いに接合されて電池セルの少なくとも一部分を覆う複数のカバーを備え、
前記複数のカバーのうちの少なくとも1つのカバーが、前記少なくとも1つのカバーの内部の複数の中空空間を所定方向に互いに隔てる隔壁と、前記電池セルに対して反対側に向けて突出したフランジと、を有し、
前記隔壁が、前記フランジの端部よりも、前記接合部のより近くに位置する端部を有する、収容体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の収容体と、
前記収容体に収容された前記電池セルと、
を備える電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容体及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の電池セルを備える様々な電池モジュールが開発されている。複数の電池セルは、直列及び並列の組み合わせによって電気的に接続されている。電池モジュールは、複数の電池セルを収容する収容体を備えている。
【0003】
特許文献1には、電池接続モジュールの一例について記載されている。電池接続モジュールは、電池収容ケースを備えている。電池収容ケースの外側面からはフランジが突出している。
【0004】
特許文献2には、車両に対して電池を搭載するための構造の一例について記載されている。この構造は、車幅方向に並ぶ2つの電池モジュールと、当該2つの電池モジュールの間の隙間に配置された荷重伝達部材と、を備えている。荷重伝達部材は、車両の前後方向に延在した2つの中空部を画定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-109741号公報
【特許文献2】特開2017-197047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池セルを収容する収容体は、レーザ溶接等の接合方法によって形成された接合部を介して互いに接合された複数のカバーを備えていることがある。複数のカバーのうちの少なくとも1つのカバーは、当該カバーの内部の複数の中空空間を互いに隔てる隔壁を有していることがある。しかしながら、カバーが隔壁を有する場合、カバーが受けた衝撃による複数のカバーの接合部の損傷の抑制が難しくなることがある。
【0007】
本発明の目的の一例は、収容体の複数のカバーの接合部の損傷を抑制することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
接合部を介して互いに接合されて電池セルの少なくとも一部分を覆う複数のカバーを備え、
前記複数のカバーのうちの少なくとも1つのカバーが、前記少なくとも1つのカバーの内部の複数の中空空間を所定方向に互いに隔てる隔壁を有し、
前記隔壁と、前記接合部の前記所定方向の両端と、が前記所定方向に互いにずれて位置している、収容体。
[2]
前記少なくとも1つのカバーが、前記電池セルに対して反対側に向けて突出したフランジをさらに有し、
前記隔壁と、前記フランジと、が前記所定方向に互いにずれて位置している、[1]に記載の収容体。
[3]
前記隔壁が、前記フランジの端部よりも、前記接合部のより近くに位置する端部を有する、[2]に記載の収容体。
[4]
前記少なくとも1つのカバーが、前記電池セルに対して反対側に向けて突出したフランジをさらに有し、
前記隔壁が、前記フランジの端部よりも、前記接合部のより近くに位置する端部を有する、[1]に記載の収容体。
[5]
接合部を介して互いに接合されて電池セルの少なくとも一部分を覆う複数のカバーを備え、
前記複数のカバーのうちの少なくとも1つのカバーが、前記少なくとも1つのカバーの内部の複数の中空空間を所定方向に互いに隔てる隔壁と、前記電池セルに対して反対側に向けて突出したフランジと、を有し、
前記隔壁と、前記フランジと、が前記所定方向に互いにずれて位置している、収容体。
[6]
前記隔壁が、前記フランジの端部よりも、前記接合部のより近くに位置する端部を有する、[5]に記載の収容体。
[7]
接合部を介して互いに接合されて電池セルの少なくとも一部分を覆う複数のカバーを備え、
前記複数のカバーのうちの少なくとも1つのカバーが、前記少なくとも1つのカバーの内部の複数の中空空間を所定方向に互いに隔てる隔壁と、前記電池セルに対して反対側に向けて突出したフランジと、を有し、
前記隔壁が、前記フランジの端部よりも、前記接合部のより近くに位置する端部を有する、収容体。
[8]
[1]~[7]のいずれか一に記載の収容体と、
前記収容体に収容された前記電池セルと、
を備える電池モジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、収容体の複数のカバーの接合部の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。
図2】収容体が取り外された状態のセル群の斜視図である。
図3】実施形態に係る電池モジュールの左前側の部分の拡大斜視図である。
図4】実施形態に係る電池モジュールの左端部分の拡大前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電池モジュール1の斜視図である。図2は、収容体20が取り外された状態のセル群10の斜視図である。図3は、実施形態に係る電池モジュール1の左前側の部分の拡大斜視図である。図4は、実施形態に係る電池モジュール1の左端部分の拡大前面図である。
【0013】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の前側とし、X方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の後側とする。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール1の左右方向である。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の右側とし、Y方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の左側とする。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール1の上下方向である。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の上側とし、Z方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の下側とする。以下、必要に応じて、X方向に垂直な平面をYZ平面といい、Y方向に垂直な平面をZX平面といい、Z方向に垂直な平面をXY平面という。なお、X方向、Y方向及びZ方向の各々と、電池モジュール1の前後方向、左右方向及び上下方向の各々と、の関係は、上述した例に限定されない。
【0014】
図1及び図2を参照し、電池モジュール1について説明する。電池モジュール1は、セル群10及び収容体20を備えている。
【0015】
図2に示すように、セル群10は、複数の電池セル100を有している。複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。各電池セル100の長手方向は、X方向に対して略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に対して略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に対して略平行となっている。各電池セル100の形状は、この例に限定されない。
【0016】
各電池セル100は、不図示の電池要素、外装材102、正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。一例において、電池要素は、Y方向に交互に積層された不図示の複数の正極及び複数の負極と、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置する不図示のセパレータと、を含んでいる。外装材102は、電池要素と、不図示の電解液と、を封止している。正極タブ104は、電池要素の正極に電気的に接続されている。正極タブ104は、外装材102のX方向の両側の辺の一方から引き出されている。負極タブ106は、電池要素の負極に電気的に接続されている。負極タブ106は、外装材102のX方向の両側の辺の他方から引き出されている。ただし、各電池セル100の構造は、この例に限定されない。
【0017】
各電池セル100は、全固体電池であってもよい。全固体電池においては、セパレータに相当する部分に固体電解質層が設けられている。全固体電池は、電解液を含んでいない。以下、特に断りがない限り、各電池セル100は電解液を含む電池セルであるとして説明する。
【0018】
実施形態において、複数の電池セル100は、直列及び並列の組み合わせによって電気的に接続されている。具体的には、Y方向に隣り合って並列に接続された少なくとも2つの電池セル100を含むセル群が、Y方向に積層され直列に接続されている。セル群10の前方には、並列に接続されたセル群の電池セル100から引き出された正極タブ104と、並列に接続された他のセル群の電池セル100から引き出された負極タブ106と、が互いに電気的に接続されて、当該正極タブ104及び当該負極タブ106を含むタブ接続部108が形成されている。タブ接続部108における正極タブ104及び負極タブ106は、例えば、レーザ溶接によって互いに接合されている。セル群10の後方においても、タブ群が同様に形成されている。よって、セル群10のY方向の一端側に位置する上述のセル群からセル群10のY方向の他端側に位置する上述のセル群にかけて複数のセル群が直列に接続されている。
【0019】
複数の電池セル100の電気的接続は、上述した例に限定されない。例えば、単一の電池セル100が直列に接続されてセル群10が構成されていてもよい。
【0020】
図1に示すように、収容体20は、フロントカバー210、リアカバー220、一対のサイドカバー230、一対のフランジ235、ロアカバー240及びアッパカバー250を有している。
【0021】
フロントカバー210は、セル群10の前部分を覆っている。フロントカバー210は、Y方向に対して略平行な長手方向を有する略板形状を有し、YZ平面に対して略平行に配置されている。具体的には、フロントカバー210は、Y方向に対して略平行な一対の長辺及びZ方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状となっている。ただし、フロントカバー210の形状は、この例に限定されない。フロントカバー210は、例えば、金属プレートと、金属プレートに設けられた樹脂と、を有している。
【0022】
リアカバー220は、セル群10の後部分を覆っている。リアカバー220は、Y方向に対して略平行な長手方向を有する略板形状を有し、YZ平面に対して略平行に配置されている。具体的には、リアカバー220は、Y方向に対して略平行な一対の長辺及びZ方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状となっている。ただし、リアカバー220の形状は、この例に限定されない。リアカバー220は、例えば、金属プレートと、金属プレートに設けられた樹脂と、を有している。
【0023】
一対のサイドカバー230は、セル群10の左右の両側部分を覆っている。右側のサイドカバー230は、セル群10の右部分を覆っている。左側のサイドカバー230は、セル群10の左部分を覆っている。各サイドカバー230は、例えば、金属プレートと、金属プレートに設けられた樹脂と、を有している。各サイドカバー230は、例えば、押出成形によって形成されている。各サイドカバー230は、Y方向に対して長手方向を有する略フレーム形状を有している。
【0024】
ロアカバー240は、セル群10の下部分を覆っている。ロアカバー240は、XY平面に対して略平行に配置された略板形状を有している。具体的には、ロアカバー240は、X方向に対して略平行な一対の辺及びY方向に対して略平行な他の一対の辺を有する略四角形形状となっている。ただし、ロアカバー240の形状は、この例に限定されない。ロアカバー240は、例えば、金属プレートと、金属プレートに設けられた樹脂と、を有している。
【0025】
アッパカバー250は、セル群10の上部分を覆っている。アッパカバー250は、XY平面に対して略平行に配置された略板形状を有している。具体的には、アッパカバー250は、X方向に対して略平行な一対の辺及びY方向に対して略平行な他の一対の辺を有する略四角形形状となっている。ただし、アッパカバー250の形状は、この例に限定されない。アッパカバー250は、例えば、金属プレートと、金属プレートに設けられた樹脂と、を有している。
【0026】
図1を参照して、右側のサイドカバー230について説明する。以下、図1を参照してサイドカバー230について説明する事項は、特に断りがない限り、右側のサイドカバー230に関する。図1を参照して右側のサイドカバー230について説明する事項は、特に断りがない限り、一対のサイドカバー230が略対称である点を除いて、左側のサイドカバー230にも同様となっている。
【0027】
サイドカバー230は、インナプレート231、アウタプレート232、ロアプレート233、アッパプレート234、フランジ235及び隔壁236を含んでいる。サイドカバー230は、下方中空空間237及び上方中空空間238を画定している。
【0028】
インナプレート231は、セル群10の右部を覆っている。インナプレート231は、X方向に対して略平行な長手方向を有する略板形状を有し、ZX平面に対して略平行に配置されている。具体的には、インナプレート231は、X方向に対して略平行に延在する一対の長辺及びZ方向に対して略平行に延在する一対の短辺を有する略長方形形状となっている。ただし、インナプレート231の形状は、この例に限定されない。インナプレート231の前端部及びフロントカバー210の右端部は、接合部200を介して互いに接合されている。接合部200は、インナプレート231の前端部及びフロントカバー210の右端部を例えばレーザ溶接することで形成されている。インナプレート231の後端部及びリアカバー220の右端部も、インナプレート231の前端部及びフロントカバー210の右端部の間の接合部200と同様の不図示の接合部を介して互いに接合されている。
【0029】
アウタプレート232は、セル群10に対してインナプレート231の外側に位置している。アウタプレート232は、X方向に対して略平行な長手方向を有する略板形状を有し、ZX平面に対して略平行に配置されている。具体的には、アウタプレート232は、X方向に対して略平行に延在する一対の長辺及びZ方向に対して略平行に延在する一対の短辺を有する略長方形形状となっている。ただし、アウタプレート232の形状は、この例に限定されない。
【0030】
ロアプレート233は、インナプレート231の下端部及びアウタプレート232の下端部の間に位置している。ロアプレート233は、X方向に対して略平行な長手方向を有する略板形状を有し、XY平面に対して略平行に配置されている。具体的には、ロアプレート233は、X方向に対して略平行に延在する一対の長辺及びY方向に対して略平行に延在する一対の短辺を有する略長方形形状となっている。ただし、ロアプレート233の形状は、この例に限定されない。ロアプレート233のY方向の両端部は、インナプレート231のZ方向の下端部及びアウタプレート232のZ方向の下端部に接続されている。
【0031】
アッパプレート234は、インナプレート231の上端部及びアウタプレート232の上端部の間に位置している。アッパプレート234は、X方向に対して略平行な長手方向を有する略板形状を有し、XY平面に対して略平行に配置されている。具体的には、アッパプレート234は、X方向に対して略平行に延在する一対の長辺及びY方向に対して略平行に延在する一対の短辺を有する略長方形形状となっている。ただし、アッパプレート234の形状は、この例に限定されない。アッパプレート234のY方向の両端部は、インナプレート231のZ方向の上端部及びアウタプレート232のZ方向の上端部に接続されている。
【0032】
フランジ235は、アウタプレート232の外側面から突出している。フランジ235は、X方向に対して略平行な長手方向を有する略板形状を有し、XY平面に対して略平行に配置されている。フランジ235は、複数の挿通孔235aを画定している。複数の挿通孔235aは、X方向に対して略平行に並んでいる。各挿通孔235aには、ボルト等の締結具がZ方向に対して略平行に挿通可能になっている。よって、各挿通孔235aにボルト等の締結具を挿通することで、フランジ235を電池モジュール1の外部部材に固定することができる。
【0033】
隔壁236は、下方中空空間237及び上方中空空間238をZ方向に互いに隔てている。隔壁236は、X方向に対して略平行な長手方向を有する略板形状を有し、XY平面に対して略平行に配置されている。隔壁236は、X方向に対して略平行な一対の長辺及びY方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状となっている。ただし、隔壁236の形状は、この例に限定されない。隔壁236のY方向の両端部は、インナプレート231のZ方向の上端部及び下端部の間の部分と、アウタプレート232のZ方向の上端部及び下端部の間の部分と、に接続されている。
【0034】
下方中空空間237は、隔壁236の下方に位置している。図3に示す例において、下方中空空間237のX方向に垂直な断面は、略四角形となっている。具体的には、右側のサイドカバー230の下方中空空間237の左内側面、右内側面、下内側面及び上内側面は、それぞれ、インナプレート231の右側面のロアプレート233の左端部及び隔壁236の左端部の間の部分、アウタプレート232の左側面のロアプレート233の右端部及び隔壁236の右端部の間の部分、ロアプレート233の上面及び隔壁236の下面によって、画定されている。よって、下方中空空間237は、X方向に対して略平行に延在している。
【0035】
上方中空空間238は、隔壁236の上方に位置している。図3に示す例において、上方中空空間238のX方向に垂直な断面は、略四角形となっている。具体的には、右側のサイドカバー230の上方中空空間238の左内側面、右内側面、下内側面及び上内側面は、それぞれ、インナプレート231の右側面のアッパプレート234の左端部及び隔壁236の左端部の間の部分、アウタプレート232の左側面のアッパプレート234の右端部及び隔壁236の右端部の間の部分、隔壁236の上面及びアッパプレート234の下面によって、画定されている。よって、上方中空空間238は、X方向に対して略平行に延在している。
【0036】
実施形態では、各サイドカバー230の内部に下方中空空間237及び上方中空空間238が存在している。よって、下方中空空間237及び上方中空空間238が中実である場合と比較して、各サイドカバー230の重量を低減することができるとともに、各サイドカバー230の材料費用を低減することができる。加えて、下方中空空間237及び上方中空空間238は、ケーブル等の配線の経路や冷却液の経路等の用途に利用することができる。
【0037】
実施形態では、隔壁236が下方中空空間237及び上方中空空間238を互いに隔てている。よって、隔壁236が存在しないで下方中空空間237及び上方中空空間238が互いに連通した中空空間である場合と比較して、サイドカバー230の強度を向上させることができる。実施形態では、Z方向においてロアプレート233及びアッパプレート234の間の中空空間が1つの隔壁によって2つの中空空間に隔てられている。しかしながら、Z方向においてロアプレート233及びアッパプレート234の間の中空空間が2つ以上の隔壁によって3つ以上の中空空間に隔てられていてもよい。
【0038】
図3を参照して、左側のサイドカバー230について説明する。以下、図3を参照してサイドカバー230について説明する事項は、特に断りがない限り、左側のサイドカバー230に関する。図3を参照して左側のサイドカバー230について説明する事項は、特に断りがない限り、一対のサイドカバー230が略対称である点を除いて、右側のサイドカバー230にも同様となっている。
【0039】
インナプレート231の前端、アウタプレート232の前端、ロアプレート233の前端及び隔壁236の前端は、アッパプレート234の前端より、X方向において前方に位置している。インナプレート231の前端、アウタプレート232の前端、ロアプレート233の前端及び隔壁236の前端は、略面一となっている。具体的には、インナプレート231の前端、アウタプレート232の前端、ロアプレート233の前端及び隔壁236の前端の各々のX方向の位置は、X方向において略揃っている。フランジ235の前端は、インナプレート231の前端、アウタプレート232の前端、ロアプレート233の前端、アッパプレート234の前端及び隔壁236の前端より、X方向において後方に位置している。したがって、インナプレート231、アウタプレート232、アッパプレート234及び隔壁236は、X方向において、フランジ235の前端部よりも、接合部200のより近くに位置する前端部を有している。
【0040】
図3に示す例においては、隔壁236の前端のX方向の位置がフロントカバー210のX方向の位置より後方にずれた状態で隔壁236の前端のX方向の位置及びフランジ235の前端のX方向の位置がX方向に揃っている場合と比較して、サイドカバー230の前端部の強度を隔壁236によって補強することができ、サイドカバー230の強度を向上させることができる。また、図3に示す例においては、フランジ235の前端のX方向の位置及びフロントカバー210のX方向の位置がX方向に揃った状態で隔壁236の前端のX方向の位置及びフランジ235のX方向の位置がX方向に揃っている場合と比較して、フランジ235が受けた衝撃が隔壁236を介して接合部200に伝わることを抑制することができる。したがって、図3に示す例においては、隔壁236の前端のX方向の位置及びフランジ235の前端のX方向の位置がX方向に揃っている場合と比較して、接合部200の損傷を抑制することができる。
【0041】
なお、図1に示すように、右側のサイドカバー230では、インナプレート231の前端、アウタプレート232の前端、ロアプレート233の前端、アッパプレート234の前端及び隔壁236の前端が略面一となっている。右側のサイドカバー230においても、インナプレート231、アウタプレート232、アッパプレート234及び隔壁236は、X方向において、フランジ235の前端部よりも、接合部200のより近くに位置する前端部を有している。
【0042】
図4を参照して、左側のサイドカバー230について説明する。以下、図4を参照してサイドカバー230について説明する事項は、特に断りがない限り、左側のサイドカバー230に関する。図4を参照して左側のサイドカバー230について説明する事項は、特に断りがない限り、一対のサイドカバー230が略対称である点を除いて、右側のサイドカバー230にも同様となっている。
【0043】
図4には、説明のため、第1仮想線L1、第2仮想線L2、第3仮想線L3及び第4仮想線L4が付されている。第1仮想線L1は、接合部200の下端をY方向に対して略平行に通過している。第2仮想線L2は、接合部200の上端をY方向に対して略平行に通過している。第3仮想線L3は、隔壁236のZ方向の中央部をY方向に対して略平行に通過している。第4仮想線L4は、フランジ235のZ方向の中央部をY方向に対して略平行に通過している。
【0044】
接合部200は、Z方向に対して略平行な長手方向を有している。図4に示す例において、接合部200のZ方向の中央部は、インナプレート231のZ方向の中央部に対してZ方向の下方にずれて位置している。ただし、接合部200のZ方向の中央部は、インナプレート231のZ方向の中央部と略揃っていてもよいし、又はインナプレート231のZ方向の中央部に対してZ方向の上方にずれて位置していてもよい。
【0045】
フランジ235は、Z方向において、ロアプレート233の左端より、アッパプレート234の左端の近くに位置している。言い換えると、フランジ235は、Z方向において、アウタプレート232の中央部に対して上方に位置している。図4に示す例において、フランジ235のZ方向の位置は、接合部200のZ方向の上端のZ方向の位置に対して、Z方向の下方にずれて位置している。ただし、フランジ235のZ方向の位置及び接合部200のZ方向の上端の位置の関係は、この例に限定されない。
【0046】
隔壁236は、Z方向において、アッパプレート234より、ロアプレート233の近くに位置している。よって、上方中空空間238のZ方向の長さは、下方中空空間237のZ方向の長さより長くなっている。ただし、隔壁236のZ方向の位置は、この例に限定されない。例えば、隔壁236は、Z方向において、ロアプレート233及びアッパプレート234から等距離に位置していてもよい。或いは、隔壁236は、Z方向において、ロアプレート233より、アッパプレート234の近くに位置していてもよい。
【0047】
図4に示す例において、隔壁236と、接合部200のZ方向の両端と、はZ方向に互いにずれて位置している。具体的には、隔壁236は、接合部200のZ方向の下端に対して上方にずれて位置し、接合部200のZ方向の上端に対して下方にずれて位置している。仮に、隔壁236が接合部200のZ方向の一端とZ方向に揃っている場合、フランジ235が受けた衝撃が隔壁236を介して接合部200のZ方向の当該一端に伝わることがある。接合部200の接合強度は、接合部200のZ方向の両端において、接合部200のZ方向の両端以外の部分よりも、低くなりやすい。したがって、仮に、隔壁236が接合部200のZ方向の一端とZ方向に揃っている場合、フランジ235が受けた衝撃が隔壁236を介して接合部200のZ方向の当該一端に直接伝わることがある。よって、隔壁236が接合部200のZ方向の一端とZ方向に揃っている場合、接合部200の損傷を抑制することが難しいことがある。これに対して、図4に示す例では、フランジ235が受けた衝撃が隔壁236に伝わっても、隔壁236から接合部200のZ方向の両端に衝撃が直接伝わらない。したがって、図4に示す例では、隔壁236が接合部200のZ方向の一端とZ方向に揃っている場合と比較して、接合部200の損傷を抑制することができる。
【0048】
隔壁236と、接合部200のZ方向の両端と、をZ方向に互いにずらして位置させるための構造は、図4に示す例に限定されない。例えば、隔壁236は、接合部200のZ方向の下端に対して下方にずれて位置していてもよいし、又は接合部200のZ方向の上端に対して上方にずれて位置していてもよい。
【0049】
図4に示す例において、隔壁236と、フランジ235と、はZ方向に互いにずれて位置している。具体的には、隔壁236は、フランジ235に対してZ方向の下方にずれて位置している。よって、隔壁236及びフランジ235がZ方向に揃っている場合と比較して、フランジ235が受けた衝撃を隔壁236に伝えにくくすることができる。したがって、図4に示す例では、上述した場合と比較して、フランジ235が受けた衝撃が隔壁236を介して接合部200に伝わることを抑制することができる。よって、図4に示す例では、上述した場合と比較して、接合部200の損傷を抑制することができる。
【0050】
隔壁236及びフランジ235をZ方向に互いにずらして位置させるための構造は、図4に示す例に限定されない。例えば、隔壁236は、フランジ235に対してZ方向の上方にずれて位置していてもよい。
【0051】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0052】
例えば、実施形態では、収容体20を構成する複数のカバーのうち一対のサイドカバー230が中空空間を画定している。しかしながら、収容体20を構成するフロントカバー210、リアカバー220等の他のカバーも、一対のサイドカバー230と同様にして、中空空間を画定していてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電池モジュール、10 セル群、20 収容体、100 電池セル、102 外装材、104 正極タブ、106 負極タブ、108 タブ接続部、200 接合部、210 フロントカバー、220 リアカバー、230 サイドカバー、231 インナプレート、232 アウタプレート、233 ロアプレート、234 アッパプレート、235 フランジ、235a 挿通孔、236 隔壁、237 下方中空空間、238 上方中空空間、240 ロアカバー、250 アッパカバー、L1 第1仮想線、L2 第2仮想線、L3 第3仮想線、L4 第4仮想線
図1
図2
図3
図4