(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137236
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240927BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/04664 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20240927BHJP
C01B 3/36 20060101ALI20240927BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240927BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04 Z
H01M8/0612
H01M8/04313
H01M8/0438
H01M8/04664
H01M8/04746
H01M8/0432
C01B3/36
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048680
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】樋口 和宏
(72)【発明者】
【氏名】野田 航平
【テーマコード(参考)】
4G140
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EB03
4G140EB43
4G140EB47
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC02
5H127AC03
5H127AC05
5H127BA01
5H127BA13
5H127BA34
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB19
5H127BB37
5H127DB03
5H127DB47
5H127DB75
5H127DB77
5H127DC04
5H127DC08
5H127DC82
5H127EE03
(57)【要約】
【課題】気化部での突沸が発生してもセルスタックでの悪影響が抑制される燃料電池装置を提供する。
【解決手段】燃料電池装置が、改質用水を気化させる気化部2と、原燃料を気化部2から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質部3と、燃料ガス及び空気を用いて発電するセルスタック4と、燃料ガスがセルスタック4に向けて流れる燃料ガス流路11と、セルスタック4から排出されるオフガスを燃焼する燃焼部5と、セルスタック4から燃焼部5へ供給されるオフガスが流れるオフガス配管15と、制御部19と、燃料ガス流路11の途中の分岐部11aから分岐してオフガス配管15の途中の合流部15aに合流するバイパス路17と、気化部2で水の突沸状態が発生している場合、バイパス路17をガスが通流する通流状態にさせる圧力調整機構21とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料を供給する原燃料供給器と、空気を供給する空気供給器と、改質用水を供給する改質用水供給器と、前記改質用水供給器から供給される前記改質用水を気化させる気化部と、前記原燃料供給器から供給される前記原燃料を前記気化部から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質部と、前記改質部で生成された前記燃料ガス及び前記空気供給器から供給される前記空気を用いて発電するセルスタックと、前記改質部で生成された前記燃料ガスが前記セルスタックに向けて流れる燃料ガス流路と、前記セルスタックから排出されるオフガスを燃焼する燃焼部と、前記セルスタックから前記燃焼部へ供給される前記オフガスが流れるオフガス配管と、制御部とを備える燃料電池装置であって、
前記燃料ガス流路の途中の分岐部から分岐して前記オフガス配管の途中の合流部に合流するバイパス路と、
前記気化部で水の突沸状態が発生している場合、前記バイパス路をガスが通流する通流状態にさせる圧力調整機構とを備える燃料電池装置。
【請求項2】
前記気化部で前記突沸状態を検出する突沸検出部を備え、
前記圧力調整機構は、前記バイパス路をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁を有し、
前記制御部は、前記突沸検出部が前記突沸状態を検出している間、前記バイパス路をガスが通流する通流状態に前記開閉弁を動作させる請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記気化部で前記突沸状態を検出する突沸検出部と、前記セルスタックの温度を検出する温度センサとを備え、
前記圧力調整機構は、前記バイパス路をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁を有し、
前記制御部は、前記突沸検出部が前記突沸状態を検出しており、且つ、前記セルスタックの温度が基準温度以上である間、前記バイパス路をガスが通流する通流状態に前記開閉弁を動作させる請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記気化部で前記突沸状態を検出する突沸検出部と、前記燃料ガス流路の内部の圧力を検出する燃料圧力センサとを備え、
前記圧力調整機構は、前記バイパス路をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁を有し、
前記制御部は、前記突沸検出部が前記突沸状態を検出しており、且つ、前記燃料圧力センサが検出する圧力が設定圧力以下である場合、前記バイパス路をガスが通流する通流状態に前記開閉弁を動作させる請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記突沸検出部は、前記気化部の内部の圧力を検出する気化圧力センサを有し、
前記気化圧力センサが検出する圧力が基準圧力以上である場合に、前記突沸検出部が前記突沸状態を検出していると判定される請求項2~4の何れか一項に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記圧力調整機構は、前記燃料ガス流路の圧力が基準圧力以上の場合に前記バイパス路をガスが通流する通流状態にさせる逃し弁を有する請求項1に記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池装置には、供給される改質用水を気化させる気化部、原燃料を気化部から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質部、改質部で生成された燃料ガスを用いて発電する複数の燃料電池セルを有するセルスタック、及び、セルスタックから排出されるオフガスを燃焼する燃焼部などが設けられている。
【0003】
このような燃料電池装置では、気化部で水蒸気の発生量が急激に増加する突沸が発生することがある。そして、その圧力上昇がセルスタックにまで伝わると、セルスタックの構成部材に悪影響を与える可能性がある。
【0004】
特許文献1(特開2017-199537号公報)には、気化部(蒸発器200)で発生する突沸への対応が考慮されている。例えば、気化部において水が突然沸騰するような突沸が発生した場合、一時的に水蒸気の発生量が増加し、その水蒸気がそのまま改質部に供給されてしまうと、改質部では水蒸気と原燃料との間における量のバランスが崩れてしまうという問題が記載されている。
【0005】
特許文献1に記載の発明では、水位調整部(300)が気化部(蒸発器200)と連結して設けられ、気化部が備える貯水部における水蒸気の圧力上昇に伴って、水位調整部が貯水部の水位を低下させる機能を有している。そして、貯水部の水位が下がると、気化部からの蒸発量が少なくなる構成になっている。つまり、突沸が発生して貯水部の水蒸気の圧力が高まると、貯水部の水位が下がることで水蒸気の蒸発量が抑制されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の燃料電池装置では、気化部(蒸発器200)及び水位調整部(300)の構成が複雑になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気化部での突沸が発生してもセルスタックでの悪影響が抑制される燃料電池装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池装置の特徴構成は、原燃料を供給する原燃料供給器と、空気を供給する空気供給器と、改質用水を供給する改質用水供給器と、前記改質用水供給器から供給される前記改質用水を気化させる気化部と、前記原燃料供給器から供給される前記原燃料を前記気化部から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質部と、前記改質部で生成された前記燃料ガス及び前記空気供給器から供給される前記空気を用いて発電するセルスタックと、前記改質部で生成された前記燃料ガスが前記セルスタックに向けて流れる燃料ガス流路と、前記セルスタックから排出されるオフガスを燃焼する燃焼部と、前記セルスタックから前記燃焼部へ供給される前記オフガスが流れるオフガス配管と、制御部とを備える燃料電池装置であって、
前記燃料ガス流路の途中の分岐部から分岐して前記オフガス配管の途中の合流部に合流するバイパス路と、
前記気化部で水の突沸状態が発生している場合、前記バイパス路をガスが通流する通流状態にさせる圧力調整機構とを備える点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、圧力調整機構により、気化部で水の突沸状態が発生している場合には、燃料ガス流路を流れるガスの少なくとも一部がバイパス路を介して、即ち、セルスタックを迂回してオフガス配管へ流れる。つまり、気化部で水の突沸状態が発生して、燃料ガス流路の圧力が非常に高くなったとしても、その高圧のガスの全てがセルスタックに流入することを回避できる。
従って、気化部での突沸が発生してもセルスタックでの悪影響が抑制される燃料電池装置を提供できる。
【0011】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記気化部で前記突沸状態を検出する突沸検出部を備え、
前記圧力調整機構は、前記バイパス路をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁を有し、
前記制御部は、前記突沸検出部が前記突沸状態を検出している間、前記バイパス路をガスが通流する通流状態に前記開閉弁を動作させる点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、開閉弁の開閉を切り替えることで、バイパス路をガスが通流する通流状態と通流しない非通流状態とを切り替えることができる。
【0013】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記気化部で前記突沸状態を検出する突沸検出部と、前記セルスタックの温度を検出する温度センサとを備え、
前記圧力調整機構は、前記バイパス路をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁を有し、
前記制御部は、前記突沸検出部が前記突沸状態を検出しており、且つ、前記セルスタックの温度が基準温度以上である間、前記バイパス路をガスが通流する通流状態に前記開閉弁を動作させる点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、セルスタックの温度が基準温度以上である間、即ち、セルスタックの強度低下が顕著に現れる間に突沸検出部が突沸状態を検出した場合に、バイパス路をガスが通流する通流状態に開閉弁を動作させられる。つまり、セルスタックの強度低下が顕著に現れる温度域では、突沸状態が発生した場合の圧力上昇がセルスタックに伝わることを回避できる。
それに対して、セルスタックの温度が基準温度未満である間、例えば、燃料電池の起動工程を行っている間などでは、セルスタックの強度低下が顕著に現れないため、突沸検出部が突沸状態を検出したとしても、バイパス路をガスが通流する通流状態に開閉弁を動作させることはなく、セルスタックへガスが流入し続ける。その結果、燃料電池の起動工程におけるセルスタックの昇温を素早く行うことができる。
【0015】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記気化部で前記突沸状態を検出する突沸検出部と、前記燃料ガス流路の内部の圧力を検出する燃料圧力センサとを備え、
前記圧力調整機構は、前記バイパス路をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁を有し、
前記制御部は、前記突沸検出部が前記突沸状態を検出しており、且つ、前記燃料圧力センサが検出する圧力が設定圧力以下である場合、前記バイパス路をガスが通流する通流状態に前記開閉弁を動作させる点にある。
【0016】
燃料圧力センサが検出する圧力が非常に高い場合、バイパス路にガスを流すと、バイパス路を流れるガスの圧力も非常に高くなるため、バイパス路を流れたガスがオフガス配管からセルスタックへ逆流する恐れがある。
ところが本特徴構成では、突沸検出部が突沸状態を検出しており、且つ、燃料圧力センサが検出する圧力が設定圧力以下である場合、即ち、バイパス路を流れるガスの圧力がそれほど高くなっていない場合に、バイパス路をガスが通流する通流状態に開閉弁を動作させる。その結果、バイパス路を流れたガスがオフガス配管からセルスタックへ逆流する可能性を低くできる。
【0017】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記突沸検出部は、前記気化部の内部の圧力を検出する気化圧力センサを有し、
前記気化圧力センサが検出する圧力が基準圧力以上である場合に、前記突沸検出部が前記突沸状態を検出していると判定される点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、気化圧力センサを用いて、突沸状態が発生しているか否かを検出できる。
【0019】
本発明に係る燃料電池装置の別の特徴構成は、前記圧力調整機構は、前記燃料ガス流路の圧力が基準圧力以上の場合に前記バイパス路をガスが通流する通流状態にさせる逃し弁を有する点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、圧力調整機構が有する逃し弁が、燃料ガス流路の圧力が基準圧力以上の場合に、燃料ガス流路からバイパス路を介してオフガス配管へガスを流すように動作する。その結果、燃料ガス流路の圧力が基準圧力以上の場合には、セルスタックが基準圧力以上になることが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の燃料電池装置の構成を説明する図である。
【
図2】第3実施形態の燃料電池装置の構成を説明する図である。
【
図3】第4実施形態の燃料電池装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る燃料電池装置について説明する。
図1は、第1実施形態の燃料電池装置の構成を説明する図である。図示するように、燃料電池装置は、気化部2と、改質部3と、セルスタック4と、燃焼部5とを備える。ホットモジュール6は容器1を有し、その容器1の内部に、気化部2、改質部3、セルスタック4、及び、燃焼部5を有する。
【0023】
気化部2には、改質用水供給路9を介して改質用水が供給される。改質用水供給路9には、ポンプや流量計などを用いて実現される、改質用水を供給する改質用水供給器10が設けられる。改質用水供給器10が、気化部2に供給する単位時間当たりの改質用水の流量を調節できる。そして、気化部2では、後述する燃焼部5で発生した燃焼熱の供給を受けて、改質用水供給器10から供給される改質用水を気化させる。
【0024】
また、気化部2には、原燃料供給路7を介して炭化水素を含む原燃料が供給される。原燃料供給路7には、ブロアや流量計などを用いて実現される、原燃料を供給する原燃料供給器8が設けられる。原燃料供給器8が、気化部2に供給する単位時間当たりの原燃料の流量を調節できる。
【0025】
本実施形態では、気化部2で生成された水蒸気と供給される原燃料とが混合されて、その混合ガスが改質部3に供給される構成を示しているが、原燃料を気化部2を介さずに改質部3に対して直接供給してもよい。
【0026】
更に、燃料電池装置は、気化部2で水の突沸状態を検出する突沸検出部Bを備える。例えば、突沸検出部Bは気化部2の内部の圧力を検出する気化圧力センサ16を有する。本実施形態では、気化部2の内部の圧力と改質部3の内部の圧力とが同じであるという前提で、気化圧力センサ16が改質部3の内部の圧力を検出している。尚、気化圧力センサ16が気化部2の圧力を検出してもよい。そして、気化圧力センサ16が検出する圧力が基準圧力以上である場合に、突沸検出部Bが突沸状態を検出していると判定される。
【0027】
例えば、突沸検出部Bが、気化圧力センサ16の検出圧力を参照して、気化部2において水の突沸状態が発生したことを自身で判定し、その判定結果を制御部19に伝達してもよい。
【0028】
或いは、突沸検出部Bが気化圧力センサ16の検出圧力を制御部19に伝達し、制御部19が、気化圧力センサ16の検出圧力が基準圧力以上である場合に気化部2において水の突沸状態が発生したと判定してもよい。
【0029】
改質部3には、上述したような原燃料供給路7を介して炭化水素を含む原燃料が供給される。改質部3には、気化部2での改質用水の気化によって生成された水蒸気が気化部2から供給される。また、改質部3には、後述する燃焼部5で発生した燃焼熱が供給される。そして、改質部3では、原燃料供給器8から供給される原燃料を気化部2から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する。改質部3で生成された燃料ガスは、燃料ガス流路11を介してセルスタック4に向けて流れる。
【0030】
セルスタック4は、アノードと、カソードと、電解質とを有する複数の燃料電池セルを備える。例えば、燃料電池セルは、固体酸化物形の燃料電池セルであるが、他のタイプの燃料電池セルでも構わない。また、セルスタック4の温度を測定する温度センサT1も設けられる。燃料電池装置は、改質部3で生成された燃料ガスがセルスタック4に向けて流れる燃料ガス流路11と、セルスタック4に供給される空気が流れる空気供給路12とを備える。尚、改質部3で燃料ガスが生成されていない場合は、燃料ガス流路11には原燃料ガスが流れる。
【0031】
そして、各燃料電池セルは、改質部3で生成された燃料ガス及び空気供給器13から供給される空気(酸素)を用いて発電する。具体的には、アノードには、燃料ガス流路11を介して燃料ガスが供給され、カソードには、空気供給路12を介して空気(酸素)が供給される。空気供給路12には、ポンプや流量計などを用いて実現される、空気を供給する空気供給器13が設けられる。空気供給器13が、セルスタック4に供給する単位時間当たりの空気の流量を調節できる。
【0032】
尚、アノードに供給される燃料ガスに含まれる例えば水素等の全てが発電で用いられるのではなく、アノードから排出されるアノード排ガスにも水素等は含まれている。また、カソードから排出されるカソード排ガスにも酸素は含まれている。燃料電池装置は、セルスタック4から燃焼部5へ供給されるオフガス(アノード排ガス及びカソード排ガス)が流れるオフガス配管15を備えている。つまり、アノード排ガス及びカソード排ガスが混合された状態でオフガス配管15を流れる。そして、燃焼部5では、セルスタック4から排出されるオフガスに含まれるアノード排ガスが燃焼される。燃焼部5で発生した燃焼熱は容器1の内部空間の温度を上昇させ、特に改質部3及び気化部2に伝達される。燃焼部5から排出される燃焼排ガスは燃焼排ガス路14を介して容器1の外部に排出される。
【0033】
燃料電池装置の動作、即ち、原燃料供給器8の動作、空気供給器13の動作、改質用水供給器10の動作などは制御部19が制御する。
【0034】
このような燃料電池装置において、気化部2で水蒸気の発生量が急激に増加する突沸が発生することがある。その場合、圧力の急上昇が発生し、その圧力上昇がセルスタック4にまで伝わると、セルスタック4の構成部材に悪影響を与える可能性がある。ところが、本実施形態の燃料電池装置は、そのような圧力の急上昇に対処可能な構成になっている。
【0035】
具体的に説明すると、燃料電池装置は、燃料ガス流路11の途中の分岐部11aから分岐してオフガス配管15の途中の合流部15aに合流するバイパス路17と、気化部2で水の突沸状態が発生している場合、バイパス路17をガスが通流する通流状態にさせる圧力調整機構21とを備える。圧力調整機構21は、バイパス路17をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁18を有する。
【0036】
そして、制御部19は、突沸検出部Bが突沸状態を検出している間、即ち、気化圧力センサ16の検出圧力が基準圧力以上である間、バイパス路17をガスが通流する通流状態に開閉弁18を動作(即ち、開作動)させる。このような構成を採用することで、気化部2で発生した水の突沸による圧力の急上昇がセルスタック4に伝わり難くなる。
それに対して、制御部19は、突沸検出部Bが突沸状態を検出していない間、即ち、気化圧力センサ16の検出圧力が基準圧力未満である間、バイパス路17をガスが通流しない状態に開閉弁18を動作(即ち、閉作動)させる。
【0037】
以上のように、圧力調整機構21により、気化部2で水の突沸状態が発生している場合には、燃料ガス流路11を流れるガスの少なくとも一部がバイパス路17を介して、即ち、セルスタック4を迂回してオフガス配管15へ流れる。つまり、気化部2で水の突沸状態が発生して、燃料ガス流路11の圧力が非常に高くなったとしても、その高圧のガスの全てがセルスタック4に流入することを回避できる。従って、気化部2での突沸が発生してもセルスタック4での悪影響が抑制される燃料電池装置を提供できる。
【0038】
<第2実施形態>
第2実施形態の燃料電池装置は、圧力調整機構21の動作が上記実施形態と異なっている。以下に、第2実施形態の燃料電池装置について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0039】
本実施形態の燃料電池装置は、気化部2で水の突沸状態を検出する突沸検出部Bと、セルスタック4の温度を検出する温度センサT1とを備える。圧力調整機構21は、第1実施形態で説明したのと同様に、バイパス路17をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁18を有する。
【0040】
そして、制御部19は、突沸検出部Bが突沸状態を検出しており、且つ、セルスタック4の温度が基準温度以上である間、バイパス路17をガスが通流する通流状態に開閉弁18を動作させる。つまり、セルスタック4の強度低下が顕著に現れる温度域では、突沸状態が発生した場合の圧力上昇がセルスタック4に伝わることを回避できる。
【0041】
それに対して、制御部19は、突沸検出部Bが突沸状態を検出していない間、即ち、気化圧力センサ16の検出圧力が基準圧力未満である間、並びに、セルスタック4の温度が基準温度以上である間、バイパス路17をガスが通流しない状態に開閉弁18を動作(即ち、閉作動)させる。つまり、セルスタック4の温度が基準温度未満である間、例えば、燃料電池装置の起動工程を行っている間などでは、セルスタック4の強度低下が顕著に現れないため、突沸検出部Bが突沸状態を検出したとしても、バイパス路17をガスが通流する通流状態に開閉弁18を動作させることはなく、セルスタック4へ全てのガスが流入し続ける。その結果、燃料電池の起動工程におけるセルスタック4の昇温を素早く行うことができる。
【0042】
<第3実施形態>
第3実施形態の燃料電池装置は、圧力調整機構21の動作が上記実施形態と異なっている。以下に、第3実施形態の燃料電池装置について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0043】
図2は、第3実施形態の燃料電池装置の構成を説明する図である。本実施形態の燃料電池装置は、気化部2で水の突沸状態を検出する突沸検出部Bと、燃料ガス流路11の内部の圧力を検出する燃料圧力センサ22とを備える。また、圧力調整機構21は、バイパス路17をガスが通流する状態と通流しない状態とを切り替える開閉弁18を有する。
【0044】
燃料圧力センサ22が検出する圧力が非常に高い場合、バイパス路17にガスを流すと、バイパス路17を流れるガスの圧力も非常に高くなるため、バイパス路17を流れたガスがオフガス配管15からセルスタック4へ逆流する恐れがある。ところが本実施形態では、制御部19は、突沸検出部Bが突沸状態を検出しており、且つ、燃料圧力センサ22が検出する圧力が設定圧力以下である場合、即ち、バイパス路17を流れるガスの圧力がそれほど高くなっていない場合に限って、バイパス路17をガスが通流する通流状態に開閉弁18を動作(開作動)させる。
【0045】
それに対して、制御部19は、突沸検出部Bが突沸状態を検出しいない場合、及び、燃料圧力センサ22が検出する圧力が設定圧力より高い場合、即ち、バイパス路17を流れるガスの圧力が非常に高くなっている場合には、バイパス路17をガスが通流しない状態に開閉弁18を動作(閉作動)させる。その結果、バイパス路17を流れたガスがオフガス配管15からセルスタック4へ逆流する可能性を低くできる。
【0046】
<第4実施形態>
第4実施形態の燃料電池装置は、圧力調整機構21の動作が上記実施形態と異なっている。以下に、第4実施形態の燃料電池装置について説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0047】
図3は、第4実施形態の燃料電池装置の構成を示す図である。図示するように、燃料電池装置は、燃料ガス流路11の途中の分岐部11aから分岐してオフガス配管15の途中の合流部15aに合流するバイパス路17と、燃料ガス流路11の圧力が基準圧力以上の場合にバイパス路17をガスが通流する通流状態にさせる圧力調整機構21とを備える。
【0048】
本実施形態の圧力調整機構21は、燃料ガス流路11の圧力が基準圧力以上の場合にバイパス路17をガスが通流する通流状態にさせる(即ち、開作動する)逃し弁20を有する。尚、逃し弁20は、燃料ガス流路11の圧力が基準圧力未満の場合にはバイパス路17をガスが通流しない状態にさせる(即ち、閉作動する)。
【0049】
このように、逃し弁20は、気化部2で水の突沸状態が発生している場合、バイパス路17をガスが通流する通流状態にさせる圧力調整機構21として機能する。このような構成を採用することで、気化部2の圧力を検出しなくても、燃料ガス流路11の圧力が基準圧力以上の場合には、セルスタック4が基準圧力以上になることが回避される。
【0050】
<別実施形態>
上記実施形態では、燃料電池装置の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0051】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、気化部での突沸が発生してもセルスタックでの悪影響が抑制される燃料電池装置に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
2 :気化部
3 :改質部
4 :セルスタック
5 :燃焼部
8 :原燃料供給器
10 :改質用水供給器
11 :燃料ガス流路
11a :分岐部
13 :空気供給器
15 :オフガス配管
15a :合流部
16 :気化圧力センサ(突沸検出部 B)
17 :バイパス路
18 :開閉弁(圧力調整機構 21)
19 :制御部
20 :逃し弁(圧力調整機構 21)
21 :圧力調整機構
22 :燃料圧力センサ
B :突沸検出部
T1 :温度センサ