(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137237
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ガス消費型発電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04664 20160101AFI20240927BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/04089 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240927BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240927BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M8/04664
H01M8/04 N
H01M8/04089
H01M8/0438
H01M8/04746
H01M8/04 H
H01M8/04313
F23N5/24 102Z
F23N5/24 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048681
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】岩見 潤
(72)【発明者】
【氏名】森一 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】脇 欣士郎
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AC02
5H127BA05
5H127BA56
5H127DA05
5H127DB02
5H127DB09
5H127DB96
5H127EE18
5H127EE19
5H127EE25
5H127EE27
(57)【要約】
【課題】ガス供給の異常を検知可能なガス消費型発電システムを提供する。
【解決手段】ガスを消費して発電する発電装置14と、ガスメータ1を経由して供給されるガスが発電装置14へと流れるガス供給路16と、ガスを流すガスブロア13と、ガスの単位時間当たりの流量を測定するガス流量測定器12と、運転制御部15とを備えるガス消費型発電システム10であって、運転制御部15は、ガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が所定の目標流量になるように、ガスブロア13の出力を定めるための動作指令値を所定期間調節する流量調節処理を、目標流量を異ならせて複数回行うように構成され、運転制御部15は、流量調節処理を行った後での動作指令値とガスブロア13の回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れる場合、ガス供給路16を介した発電装置14へのガスの供給に関連するガス関連異常があると判定する検証処理を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを消費して発電する発電装置と、
ガスメータを経由して供給される前記ガスが前記発電装置へと流れるガス供給路と、
前記ガス供給路で前記ガスを流すガスブロアと、
前記ガス供給路を介して前記発電装置に供給される前記ガスの単位時間当たりの流量を測定するガス流量測定器と、
運転制御部とを備えるガス消費型発電システムであって、
前記運転制御部は、前記ガス流量測定器が測定する実際のガス流量が所定の目標流量になるように、前記ガスブロアの出力を定めるための動作指令値を所定期間調節する流量調節処理を、前記目標流量を異ならせて複数回行うように構成され、
前記運転制御部は、前記流量調節処理を行った後での前記動作指令値と前記ガスブロアの回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れる場合、前記ガス供給路を介した前記発電装置への前記ガスの供給に関連するガス関連異常があると判定する検証処理を行うガス消費型発電システム。
【請求項2】
前記目標流量は、発電運転させる場合に前記発電装置に供給することが想定されている前記ガスの流量の上限値よりも大きな値を含む請求項1に記載のガス消費型発電システム。
【請求項3】
前記運転制御部は、前記検証処理において、前記動作指令値に対する前記ガスブロアの回転速度が、前記正常範囲よりも大きい方に外れている場合、前記ガスの漏洩という前記ガス関連異常があると判定する請求項1又は2に記載のガス消費型発電システム。
【請求項4】
前記運転制御部は、前記検証処理において、前記動作指令値に対する前記ガスブロアの回転速度が、前記正常範囲よりも小さい方に外れている場合、前記発電装置に対する前記ガスの供給圧低下、前記ガス供給路の容量不足、又は、前記ガス供給路の圧損上昇という前記ガス関連異常があると判定する請求項1又は2に記載のガス消費型発電システム。
【請求項5】
前記運転制御部は、前記流量調節処理を行っている間に前記ガス流量測定器が測定する実際の前記ガス流量が前記目標流量にならない場合、前記発電装置に対して前記ガスが正常に供給されていないことを示す異常が発生していると判定する請求項1又は2に記載のガス消費型発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを消費して発電する発電装置を備えるガス消費型発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスを消費して発電する燃料電池装置を発電装置として備えるシステムが記載されている。このようなシステムでは、発電装置へのガスの供給が正常に行われることが必要である。そのため、特許文献1に記載のシステムでは、ガス圧力に関する物理量を検知する圧力検知要素をガスの通路に設けている。そして、圧力検知要素により検知される圧力の変動に基づいて圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方が異常であるか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々なシステムで、コストカットを目的とした搭載部品の削減が進められている。例えば、特許文献1に記載のシステムであれば、ガスの流路に設けられる圧力検知要素なども削減対象とされる。但し、圧力検知要素のような部品を削減する場合には、その部品を用いずに、ガスの供給に関連するガス関連異常の有無を検証するための新たな手法が必要である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス供給の異常を検知可能なガス消費型発電システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るガス消費型発電システムの特徴構成は、ガスを消費して発電する発電装置と、
ガスメータを経由して供給される前記ガスが前記発電装置へと流れるガス供給路と、
前記ガス供給路で前記ガスを流すガスブロアと、
前記ガス供給路を介して前記発電装置に供給される前記ガスの単位時間当たりの流量を測定するガス流量測定器と、
運転制御部とを備えるガス消費型発電システムであって、
前記運転制御部は、前記ガス流量測定器が測定する実際のガス流量が所定の目標流量になるように、前記ガスブロアの出力を定めるための動作指令値を所定期間調節する流量調節処理を、前記目標流量を異ならせて複数回行うように構成され、
前記運転制御部は、前記流量調節処理を行った後での前記動作指令値と前記ガスブロアの回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れる場合、前記ガス供給路を介した前記発電装置への前記ガスの供給に関連するガス関連異常があると判定する検証処理を行う点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、運転制御部は、ガス流量測定器が測定する実際のガス流量が所定の目標流量になるように、ガスブロアの出力を定めるための動作指令値を所定期間調節する流量調節処理をその目標流量を異ならせて複数回行う。尚、ガスの供給が正常に行われている場合、流量調節処理を行った後での動作指令値とガスブロアの回転速度との相関関係は所定の正常範囲内になるはずである。しかし、例えばガスの供給圧力の異常やガスを供給する装置の異常などがある場合、ガスブロアの出力を定めるための動作指令値とガスブロアの回転速度との相関関係は所定の正常範囲から外れることもある。そのため、運転制御部は、検証処理において、流量調節処理を行った後での動作指令値とガスブロアの回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れる場合、ガス供給路を介した発電装置へのガスの供給に関連するガス関連異常があると判定できる。特に、特定の一つの目標流量では異常が現れない場合であっても、目標流量を異ならせて複数回の流量調節処理を行うことで、ガス関連異常が現れることが期待される。
従って、ガス供給の異常を検知可能なガス消費型発電システムを提供できる。
【0008】
本発明に係るガス消費型発電システムの別の特徴構成は、前記目標流量は、発電運転させる場合に前記発電装置に供給することが想定されている前記ガスの流量の上限値よりも大きな値を含む点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、目標流量には、発電運転させる場合に発電装置に供給することが想定されているガスの流量の上限値よりも大きな値が含まれる。つまり、小さい目標流量では異常が現れない場合であっても、目標流量を大きくして流量調節処理を行うことで、ガス関連異常が現れることが期待される。
【0010】
本発明に係るガス消費型発電システムの別の特徴構成は、前記運転制御部は、前記検証処理において、前記動作指令値に対する前記ガスブロアの回転速度が、前記正常範囲よりも大きい方に外れている場合、前記ガスの漏洩という前記ガス関連異常があると判定する点にある。
【0011】
ガスの漏洩が発生している場合、例えばガスの流路でガスが流れ易くなるため、動作指令値は同じであってもガスブロアの回転速度は高くなる。
そこで本特徴構成では、運転制御部は、検証処理において、動作指令値に対するガスブロアの回転速度が正常範囲よりも大きい方に外れている場合、ガスの漏洩というガス関連異常があると判定できる。
【0012】
本発明に係るガス消費型発電システムの別の特徴構成は、前記運転制御部は、前記検証処理において、前記動作指令値に対する前記ガスブロアの回転速度が、前記正常範囲よりも小さい方に外れている場合、前記発電装置に対する前記ガスの供給圧低下、前記ガス供給路の容量不足、又は、前記ガス供給路の圧損上昇という前記ガス関連異常があると判定する点にある。
【0013】
発電装置に対するガスの供給圧低下、ガス供給路の容量不足、又は、ガス供給路の圧損上昇が発生している場合、ガスの流路でガスが流れ難くなるため、動作指令値は同じであってもガスブロアの回転速度は低くなる。
そこで本特徴構成では、動作指令値に対するガスブロアの回転速度が正常範囲よりも小さい方に外れている場合、発電装置に対するガスの供給圧低下、ガス供給路の容量不足、又は、ガス供給路の圧損上昇というガス関連異常があると判定できる。
【0014】
本発明に係るガス消費型発電システムの別の特徴構成は、前記運転制御部は、前記流量調節処理を行っている間に前記ガス流量測定器が測定する実際の前記ガス流量が前記目標流量にならない場合、前記発電装置に対して前記ガスが正常に供給されていないことを示す異常が発生していると判定する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、流量調節処理を行うことで、発電装置に対してガスが正常に供給されているか否かを判定するのと併せて、上述したように、流量調節処理を行った後での動作指令値とガスブロアの回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れる場合にガス供給路を介した発電装置へのガスの供給に関連するガス関連異常があると判定する検証処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】ガス消費型発電システムの構成を示す図である。
【
図2】ガス消費型発電システムの動作を検証する処理を示すフローチャートである。
【
図3】ガスブロアの動作指令値とガスブロアの回転速度との相関関係の正常範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係るガス消費型発電システム10の構成について説明する。
図1は、ガス消費型発電システム10の構成を示す図である。図示するように、ガス消費型発電システム10は、ガスを消費して発電する発電装置14と、ガスメータ1を経由して供給されるガスが発電装置14へと流れるガス供給路16と、ガス供給路16でガスを流すガスブロア13と、ガス供給路16を介して発電装置14に供給されるガスの単位時間当たりの流量を測定するガス流量測定器12と、運転制御部15とを備える。
【0018】
ガスメータ1を経由して供給されるガスは、例えば都市ガスなどの炭化水素ガスや、水素ガスなどである。
【0019】
発電装置14は、ガスメータ1を経由して供給されるガスを消費して動作する燃料電池装置や、ガスメータ1を経由して供給されるガスを消費して動作するガスエンジンとそのガスエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などである。ガスメータ1を経由して供給されるガスが炭化水素ガスの場合、燃料電池装置には、その炭化水素ガスを改質処理して水素を含むガスを生成する改質装置が設けられる。
【0020】
運転制御部15が遮断弁11を開作動させ且つガスブロア13に対して動作指令値を与えてガスブロア13を動作させることで、発電装置14に供給される単位時間当たりのガスの流量を調節できる。例えば、運転制御部15は、ガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が所定の目標流量になるように、ガスブロア13の出力を定めるための動作指令値を調節する流量調節処理を行う。
【0021】
運転制御部15がガスブロア13に与える動作指令値を大きくすると、ガスブロア13の回転速度も大きくなる。そして、動作指令値と回転速度との相関関係は様々な要因によって変化するものの、ガスブロア13の動作が正常である場合、動作指令値と回転速度との相関関係は所定の正常範囲内に収まる。
【0022】
尚、ガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が所定の目標流量になっており、見かけ上はガスの供給が滞りなく行われているように見えても、実際には何らかの不具合が生じていることもある。例えば、ガスの漏洩、発電装置14に対するガスの供給圧低下、ガス供給路16の容量不足、ガス供給路16の圧損上昇などのガス関連異常が生じていることもある。そして、そのようなガス関連異常が発生している場合、ガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が所定の目標流量になっているとしても、動作指令値とガスブロア13の回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れることがある。
【0023】
図3は、ガスブロア13の動作指令値とガスブロア13の回転速度との相関関係の正常範囲を示す図である。図示するように、運転制御部15がガスブロア13に所定の動作指令値を与えた場合、ガスブロア13の動作に不具合が生じていなければ、ガスブロア13の回転速度は
図3に示す正常範囲内に収まるはずである。例えば、ガスブロア13の動作指令値ごとにガスブロア13の標準回転速度が定まる場合、ガスブロア13の動作に不具合が生じていなければ、実際のガスブロア13の回転速度はその標準回転速度から基準値未満(例えば±30%未満など)しか乖離しないはずであり、その標準回転速度からの乖離が基準値未満の範囲が上記正常範囲となる。
【0024】
尚、
図3に示す正常範囲は例示目的で記載したものであり、更に、正常範囲の設定手法は適宜変更可能である。例えば、特定の動作指令値を与えてガスブロア13の回転速度を複数回計測し、その回転速度の標準偏差をσとした場合、±3σの範囲にある回転速度を正常範囲内にある回転速度としてもよい。
【0025】
そして、本実施形態のガス消費型発電システム10は、
図2のフローチャートに示すようなガス消費型発電システム10の動作を検証する処理を行う。例えば、運転制御部15は、ガス消費型発電システム10の起動時や試運転時などに、
図2のフローチャートに示す処理を行う。
【0026】
図2の工程#10において運転制御部15は、所定の目標流量を設定する。そして、工程#11において運転制御部15は、ガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が所定の目標流量になるように、ガスブロア13の出力を定めるための動作指令値を所定期間(例えば数分間~数十分間など)調節する流量調節処理を行う。この1回の流量調節処理が行われる所定期間は後述する
図4で示すt1~t2の期間、t2~t3の期間などであり、その間は目標流量が維持される。そして、後述するように、一つの目標流量を所定期間維持して行われる流量調節処理が、目標流量を異ならせて複数回行われる。
【0027】
次に、工程#12において運転制御部15は、流量調節処理を行った後にガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が正常な値になっているか否か、即ち、ガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が目標流量から設定範囲内になっているか否かを判定する。そして、運転制御部15は、ガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が正常な値になっていない場合には、工程#13に移行して、ガス流量異常と判定する。つまり、運転制御部15は、流量調節処理を行っている間にガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が目標流量にならない場合、発電装置14に対してガスが正常に供給されていないことを示す異常が発生している、即ち、発電装置14に供給するガスの流量をガスブロア13によって正常に調節できていないと判定する。
【0028】
それに対して、運転制御部15は、ガス流量測定器12が測定する実際のガス流量が正常な値になっている場合には、工程#14に移行する。工程#14において運転制御部15は、流量調節処理を行った後での動作指令値とガスブロア13の回転速度との相関関係が所定の正常範囲にあるか或いは外れるかを判定する。そして、運転制御部15は、流量調節処理を行った後での動作指令値とガスブロア13の回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れている場合には工程#15に移行し、正常範囲から外れていない場合には工程#18に移行する。
【0029】
つまり、運転制御部15は、工程#14において、流量調節処理を行った後での動作指令値とガスブロア13の回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れる場合、ガス供給路16を介した発電装置14へのガスの供給に関連するガス関連異常があると判定する検証処理を行う。そして、運転制御部15は、引き続く工程でそのガス関連異常の具体的な内容を検証する。
【0030】
先ず、工程#15において運転制御部15は、ガスブロア13の回転速度は低下側に逸脱しているか否かを判定する。つまり、運転制御部15は、検証処理において、動作指令値に対するガスブロア13の回転速度が、正常範囲よりも小さい方に外れているか否かを判定する。
【0031】
例えば、発電装置14に対するガスの供給圧低下、ガス供給路16の容量不足、ガス供給路16の圧損上昇が発生している場合、ガス供給路16でガスが流れ難くなるため、動作指令値は同じであってもガスブロア13の回転速度は低くなると考えられる。
それに対して、ガスの漏洩が発生している場合、ガス供給路16でガスが流れ易くなるため、動作指令値は同じであってもガスブロア13の回転速度は高くなると考えられる。
【0032】
そして、工程#15において運転制御部15は、動作指令値に対するガスブロア13の回転速度が上記正常範囲よりも小さい方に外れている場合、工程#16に移行して、発電装置14に対するガスの供給圧低下、ガス供給路16の容量不足、又は、ガス供給路16の圧損上昇というガス関連異常があると判定する。
【0033】
それに対して、運転制御部15は、動作指令値に対するガスブロア13の回転速度が上記正常範囲よりも小さい方に外れていない場合(即ち、大きい方に外れている場合)、工程#17に移行して、ガスの漏洩というガス関連異常があると判定する。
【0034】
以上のようにして、運転制御部15は、ガス関連異常の具体的な内容を検証する。尚、本実施形態では、工程#14において流量調節処理を行った後での動作指令値とガスブロア13の回転速度との相関関係が所定の正常範囲から外れていないと判定した場合でも、目標流量を異ならせて上記流量調節処理を複数回行うように構成されている。
【0035】
具体的には、工程#18において運転制御部15は、流量調節処理の現在の作動回数aは、所定回数b(bは2以上の整数)に到達したか否かを判定する。そして、運転制御部15は、流量調節処理の現在の作動回数aが所定回数bに到達している場合にはこのフローチャートを終了する。それに対して、運転制御部15は、流量調節処理の現在の作動回数aが所定回数bに到達していない場合には工程#19に移行する。
【0036】
工程#19において運転制御部15は、流量調節処理の現在の作動回数aと所定回数bとについて、「(b-X)/2>a」という式が成立するか否かを判定する。ここで、Xは正の定数である。
【0037】
例えば、流量調節処理の現在の作動回数a=1であり、所定回数b=8であり、X=1である場合、「(8-1)/2>1」という式が成立する。そのため、運転制御部15は工程#20に移行する。そして、工程#20において、次の流量調節処理での目標流量を「現在の目標流量+Y」(Yは正の数)に設定し、工程#11に移行する。また、流量調節処理の現在の作動回数aを1回加算する。
【0038】
また、流量調節処理の現在の作動回数a=2、3の場合、「(8-1)/2>a」という式が成立するため、工程#20で目標流量がYだけ増加される。それに対して、流量調節処理の現在の作動回数a=4、5、6、7の場合、「(8-1)/2>a」という式が成立しないため、工程#21で目標流量がYだけ減少される。
【0039】
図4は、時刻t1~時刻t9までの間の目標流量の推移を示す図である。作動回数a=1の場合の流量調節処理の目標流量がQ1の場合、作動回数a=2、3、4である場合の流量調節処理の目標流量はQ2、Q3、Q4となる。また、作動回数a=5、6、7、8である場合の流量調節処理の目標流量はQ5、Q6、Q7、Q8となる。つまり、合計8回の流量調節処理での各目標流量には、作動回数a=1の場合の流量調節処理の目標流量Q1よりも多い流量(Q2、Q3、Q4、Q5、Q6)と少ない流量(Q8)とが含まれる。このように、基準となる目標流量Q1よりも多い流量と少ない流量との両方で、上述した流量調節処理及び検証処理が行われる。そのため、特定の一つの目標流量では異常が現れない場合であっても、目標流量を異ならせて複数回の流量調節処理を行うことで、ガス関連異常が現れることが期待される。
【0040】
また、目標流量は、発電運転させる場合に発電装置14に供給することが想定されているガスの流量の上限値よりも大きな値を含むことが好ましい。発電運転させる場合に発電装置14に供給することが想定されているガスの流量の上限値とは、発電装置14が定格運転する場合に発電装置14に供給されるガスの流量である。尚、経年劣化などに伴って発電装置14が定格運転する場合に発電装置14に供給されるガスの流量が増加することが想定されている場合もある。その場合、上限値は、経年劣化後に発電装置14が定格運転する場合に発電装置14に供給されるガスの流量になる。例えば、
図4に示す最大の目標流量Q4がその上限値よりも大きな値になっている。
【0041】
<別実施形態>
上記実施形態では、ガス消費型発電システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0042】
上記実施形態では、目標流量を増加させる場合の変化量をYとし、目標流量を減少させる場合の変化量をYとする例を説明したが、目標流量を増加させる場合と減少させる場合とでその変化量を異ならせてもよい。
【0043】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ガス供給の異常を検知可能なガス消費型発電システムに利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 :ガスメータ
10 :ガス消費型発電システム
11 :遮断弁
12 :ガス流量測定器
13 :ガスブロア
14 :発電装置
15 :運転制御部
16 :ガス供給路