(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137259
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20240927BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240927BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240927BHJP
H05K 3/42 20060101ALI20240927BHJP
H05K 3/24 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H05K1/11 H
H05K3/46 E
H05K3/46 N
H05K3/40 E
H05K3/42
H05K3/46 T
H05K3/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048710
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雅
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】福島 志保
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
5E343
【Fターム(参考)】
5E316AA15
5E316AA43
5E316BB02
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5E343DD43
5E343FF16
5E343GG02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い品質を有する配線基板を提供する。
【解決手段】配線基板は、スルーホール導体を有するコア基板と、コア基板上に形成されていてる第1樹脂絶縁層20Fと、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上に形成されている第1導体層と、開口内に形成されていて、スルーホール導体と第1導体層を電気的に接続しているビア導体と、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fと第1導体層上に形成されている第2樹脂絶縁層120Fと、を有する。第1導体層は、第1面22F上に形成されている第1層31Faと第1層31Fa上の第2層31Fbとからなるシード層30Faとシード層30Fa上の電解めっき層30Fbで形成されていて、第1導体層に含まれる導体回路の断面において、第1層31Faの幅D2は第2層31Fbの幅D3より大きく、電解めっき層30Fbの幅D1は第1層31Faの幅D2より大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製の基板と前記基板を貫通する貫通孔と前記貫通孔内に形成されているスルーホール導体とを有するコア基板と、
前記コア基板上に形成されていて、第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至るビア導体用の開口とを有する第1樹脂絶縁層と、
前記第1樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第1導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記スルーホール導体と前記第1導体層を電気的に接続しているビア導体と、
前記第1樹脂絶縁層の前記第1面と前記第1導体層上に形成されている第2樹脂絶縁層、とを有する配線基板であって、
前記第1導体層は前記第1面上に形成されている第1層と前記第1層上の第2層とからなるシード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されていて、前記第1導体層に含まれる導体回路の断面において、前記第1層の幅は前記第2層の幅より大きく、前記電解めっき層の幅は前記第1層の幅より大きい。
【請求項2】
請求項1の配線基板であって、前記導体回路の幅は、前記シード層と前記電解めっき層の境界部分で最小値を有する。
【請求項3】
請求項1の配線基板であって、前記第1樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されており、前記無機粒子は前記開口の内壁面を形成する第1無機粒子と前記第1樹脂絶縁層内に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子の形状は前記第2無機粒子の形状と異なる。
【請求項4】
請求項1の配線基板であって、前記第2層の幅を前記電解めっき層の幅と前記第1層の幅より小さくすることで、前記導体回路の側壁は凹みを有し、前記第2樹脂絶縁層は無機粒子と樹脂によって形成されており、前記凹みは前記第2樹脂絶縁層で充填され、前記凹み内に存在する前記無機粒子(第3無機粒子)の径は前記凹み以外の部分に存在する前記無機粒子の径より小さい。
【請求項5】
請求項4の配線基板であって、前記第3無機粒子の径は1.0μm以下である。
【請求項6】
請求項1の配線基板であって、前記第1層と前記第2層はスパッタリングで形成される。
【請求項7】
請求項1の配線基板であって、前記第1層は銅合金で形成され、前記第2層は銅で形成されている。
【請求項8】
請求項7の配線基板であって、前記銅合金中の銅の含有量が90.0at%以上である。
【請求項9】
請求項7の配線基板であって、前記銅合金は、銅とアルミニウムと特定金属で形成され、前記特定金属はニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムのうちの少なくとも1つである。
【請求項10】
請求項1の配線基板であって、前記シード層の厚みは、0.02μm以上1.0μm以下である。
【請求項11】
請求項1の配線基板であって、前記第1層の厚みは、0.01μm以上0.5μm以下である。
【請求項12】
請求項1の配線基板であって、前記第2層の厚みは、0.01μm以上0.9μm以下である。
【請求項13】
請求項3の配線基板であって、前記第1無機粒子は平坦部を有し、前記内壁面は前記平坦部の露出面と前記樹脂の面で形成される。
【請求項14】
請求項13の配線基板であって、前記開口を形成することは、前記第2無機粒子から突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記露出面は前記突出部分を除去することで形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はガラス材質のコアを有する多層基板を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1はガラス材質からなる第1絶縁層の光透過率を制御している。光透過率の制御方法の例として、特許文献1は第1絶縁層内に着色剤が含有されると述べている。ガラス材質からなる第1絶縁層が着色剤を均一に含有することは難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、ガラス製の基板と前記基板を貫通する貫通孔と前記貫通孔内に形成されているスルーホール導体とを有するコア基板と、前記コア基板上に形成されていて、第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至るビア導体用の開口とを有する第1樹脂絶縁層と、前記第1樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第1導体層と、前記開口内に形成されていて、前記スルーホール導体と前記第1導体層を電気的に接続しているビア導体と、前記第1樹脂絶縁層の前記第1面と前記第1導体層上に形成されている第2樹脂絶縁層、とを有する。前記第1導体層は前記第1面上に形成されている第1層と前記第1層上の第2層とからなるシード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されていて、前記第1導体層に含まれる導体回路の断面において、前記第1層の幅は前記第2層の幅より大きく、前記電解めっき層の幅は前記第1層の幅より大きい。
【0006】
本発明の実施形態の配線基板では、コア基板はガラス製の基板を含む。ガラス製の基板は平坦性に優れる。そのため第1樹脂絶縁層の第1面は平坦性に優れる。第1面は平滑性に優れる。第1樹脂絶縁層の第1面上に微細な信号配線を形成することができる。導体回路の断面において、第2層の幅は第1層の幅と電解めっき層の幅より小さい。導体回路の側壁はまっすぐに形成されない。側壁は凹みを有する。ガラス製の基板の熱膨張率と樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層、第2樹脂絶縁層)の熱膨張率の差に起因するストレスが導体回路の側壁に沿って第1樹脂絶縁層に伝わりがたい。凹み部分によりストレスが分散されると考えられる。導体回路の側壁と第2樹脂絶縁層の界面の延長線に沿うクラックが第1樹脂絶縁層内に発生しがたい。第1層の幅は第2層の幅より大きい。導体回路の側壁が凹みを有するので、導体回路の側壁と第2樹脂絶縁層間の接触面積が大きい。第2樹脂絶縁層が導体回路の側壁から剥がれがたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態の配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図。
【
図3】実施形態の配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図。
【
図4A】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4B】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4C】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4D】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4E】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4F】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4G】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4H】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
【
図4I】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4J】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4K】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5】改変例の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図6】改変例の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態の配線基板2を示す断面図である。
図2と
図3は実施形態の配線基板2の一部を示す拡大断面図である。
図1に示されるように、配線基板2は、コア基板3と表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bとを有する。
【0009】
コア基板3は基板4と貫通孔6とスルーホール導体8を有する。基板4は表面5Fと表面5Fと反対側の裏面5Bを有する。基板4はガラス製である。貫通孔6は基板4を貫通する。貫通孔6の形状は略円柱である。貫通孔6の径はほぼ一定である。貫通孔6の形状は略円錐台であってもよい。貫通孔6の形状は2つの略円錐を繋げることで得られる形状でもよい。2つの円錐は表面側の円錐と裏面側の円錐である。表面側の円錐の底面は表面5Fに位置し、裏面側の円錐の底面は裏面5Bに位置する。この場合、貫通孔6の側面は表面5Fから裏面5Bに向かってテーパーしている面と裏面5Bから表面5Fに向かってテーパーしている面で形成される。
【0010】
スルーホール導体8は貫通孔6内に形成されている。スルーホール導体8は主に銅によって形成されている。スルーホール導体8は、貫通孔6の内壁面上に形成されるシード層10aとシード層10a上に形成される電解めっき層10bを含む。電解めっき層10bは貫通孔6を充填する。シード層10aは無電解めっきによって形成される。スルーホール導体8は上端8Fと下端8Bを有する。上端8Fの面と表面5Fは実質的に同一な平面を形成する。下端8Bの面と裏面5Bは実質的に同一な平面を形成する。上端8Fは表面5Fから露出する。下端8Bは裏面5Bから露出する。
【0011】
表側ビルドアップ層300Fは基板4の表面5F上に形成されている。表側ビルドアップ層300Fは、表側の樹脂絶縁層と表側の導体層と表側の樹脂絶縁層を貫通する表側のビア導体を有する。表側の導体層と表側のビア導体はスルーホール導体8に電気的に繋がっている。表側の樹脂絶縁層と表側の導体層は交互に積層されている。
図1中の表側の樹脂絶縁層は、第1樹脂絶縁層20Fと第2樹脂絶縁層120Fである。表側の導体層は第1導体層30Fと第2導体層130Fである。表側のビア導体は第1ビア導体40Fと第2ビア導体140Fである。
【0012】
第1樹脂絶縁層20Fは第1面22Fと第1面22Fと反対側の第2面24Fを有する。第2面24Fと表面5Fが対向するように、第1樹脂絶縁層20Fは基板4の表面5F上に形成されている。
図1の例では、第2面24Fは表面5Fに接している。第2面24Fは上端8Fの一部と接している。表面5Fと第2面24Fとの間に導体回路は存在しない。表面5F上に導体回路は形成されていない。第1樹脂絶縁層20Fはスルーホール導体8の上端8Fに至る第1開口26Fを有する。第1開口26Fは第1面22F上の開口(トップ開口)と第2面24F上の開口(ボトム開口)を有する。トップ開口とボトム開口の形状はほぼ円である。ボトム開口は上端8Fと表面5Fを同時に露出することができる。この場合、上端8Fの周りの表面5Fが露出される。ボトム開口は上端8Fの一部とその一部の周りの表面5Fを露出しても良い(第1例)。ボトム開口は上端8Fの全てと上端8Fの周りの表面5Fを露出しても良い(第2例)。
図1に示されるように、ボトム開口は上端8Fのみを露出することができる(第3例)。第1例と第2例と第3例の内、2つの例が混在しても良い。第1例と第2例と第3例の全てが混在しても良い。第1例と第3例が混在することが好ましい。この場合、いくつかのスルーホール導体8の上端8Fは第1例の開口で露出され、残りのスルーホール導体8の上端8Fは第3例の開口で露出される。第1樹脂絶縁層20Fは樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90はガラス粒子である。無機粒子90はアルミナであってもよい。第1樹脂絶縁層20F中の無機粒子90の含有量は75wt%以上である。
【0013】
図1と
図2に示されるように、無機粒子90は、第1開口26Fの内壁面27Fを形成する第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第2無機粒子92の形は球である。第1無機粒子91の形状は球を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。
【0014】
第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは樹脂80のみで形成されている。第1面22Fから無機粒子90(第2無機粒子92)は露出しない。第1面22Fは第2無機粒子92の表面を含まない。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fには凹凸が形成されていない。第1面22Fは荒らされていない。第1面22Fは平滑に形成されている。
【0015】
図2に示されるように、第1開口26Fの内壁面27Fは樹脂80と第1無機粒子91で形成されている。第1無機粒子91は平坦部91aを有する。平坦部91aは内壁面27Fを形成する。内壁面27Fは樹脂80と平坦部91aで形成されている。平坦部91aと内壁面27Fを形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。内壁面27Fを形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面27Fを形成する樹脂80の面は平滑である。平坦部91aの露出面91b(内壁面27Fを形成する面)上に凹凸が形成されない。平坦部91aの露出面91bは平滑である。内壁面27Fは平滑に形成される。内壁面27Fの算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【0016】
第1無機粒子91の平坦部91aは第1無機粒子91の周りに形成されている樹脂80の面(内壁面27Fを形成する面)80aを延長することで得られる面とほぼ一致する。
図1と
図2中に実質的な直線で描かれている平坦部91aは平面を意味している。
図1と
図2に示される断面において平坦部91aは平面である。平坦部91aは完全な平面でなくてもよい。平坦部91aは実質的な平面であってほぼ平滑な面である。
【0017】
図2に示されるように、第1開口26Fの内壁面27Fは傾斜している。基板4の表面5Fと内壁面27Fとの間の角度(傾斜角度)θ1は70°以上85°以下である。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fと内壁面27Fとの間の角度(傾斜角度)θ2は95°以上110°以下である。
【0018】
図1と
図2に示される断面では、第1開口26Fの形状は略逆台形に示されている。しかしながら、実際の第1開口26Fの形状は略逆円錐台形状である。そのため実際の第1開口26Fの内壁面(側壁)27Fは略曲面である。すなわち、平坦部91aと樹脂80で形成される共通な面は略曲面で形成される内壁面(側壁)27Fを含む。
【0019】
図1に示されるように、第1導体層30Fは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上に形成されている。第1導体層30Fは第1信号配線32Fと第2信号配線34Fとランド36Fとを含む。図に示されていないが、第1導体層30Fは第1信号配線32Fと第2信号配線34Fとランド36F以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32Fと第2信号配線34Fはペア配線を形成している。第1導体層30Fは主に銅によって形成される。第1導体層30Fは、シード層30Faとシード層30Fa上の電解めっき層30Fbで形成されている。例えば、シード層30Faは銅合金で形成される。シード層30Faはスパッタリングによって形成されている。シード層30Faは第1面22F上の第1層31Faと第1層31Fa上の第2層31Fbで形成されている。第1層31Faは第1面22Fに接している。第2層31Fbは必須ではない。第1導体層30Fのうち第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fと対向する面は第1面22Fの表面形状に沿って形成されている。第1導体層30Fは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fの内側に入り込まない。
【0020】
第1層31Faは銅とアルミニウムと特定金属を含有する銅合金からなる。特定金属の例は、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムである。銅合金は1種類の特定金属、または、2種類の特定金属、または、3種類の特定金属を含むことが好ましい。銅合金中の銅の含有量は90.0at%以上である。銅合金中のアルミニウムの含有量は1.0at%以上15.0at%以下である。特定金属の例はケイ素である。銅合金中の特定金属の含有量は0.5at%以上10.0at%以下である。第1層31Faは不純物を含んでも良い。不純物の例は酸素と炭素である。第1層31Faは酸素、または、炭素を含むことができる。第1層31Faは酸素と炭素を含むことができる。実施形態では、銅合金はさらに炭素を含有している。銅合金中の炭素の含有量は50ppm以下である。銅合金はさらに酸素を含有している。銅合金中の酸素の含有量は100ppm以下である。上記各元素の含有量の値は一例である。第1層31Faを形成する元素の中で銅の量が最も大きい。次いで、アルミニウムの量が大きい。特定金属の量はアルミニウムの量より小さい。従って、銅は主の金属であり、アルミニウムは第1の副の金属であり、特定金属は第2の副の金属である。不純物の量は特定金属の量より小さい。
【0021】
第2層31Fbは銅で形成されている。第2層31Fbを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。第2層31Fb中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。電解めっき層30Fbは銅で形成されている。電解めっき層30Fbを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。電解めっき層30Fb中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。
【0022】
第1樹脂絶縁層20Fはガラス製の基板4上に形成される。ガラスは平坦性に優れるので、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fも平坦性に優れる。表面5Fと第1樹脂絶縁層20F間に導体回路が形成されないと、第1面22Fが表面5Fに追従することができる。第1面22Fは表面5Fと同等な平坦性を有することができる。実施形態は第1面22F上に微細な配線を形成することができる。例えば、第1導体層30Fは1.5μm以上、3.5μm以下の幅を有する配線を有することができる。隣接する配線間のスペースの幅は1.5μm以上、3.5μm以下である。
【0023】
第1ビア導体40Fは第1開口26F内に形成されている。第1ビア導体40Fはスルーホール導体8と第1導体層30Fを電気的に接続する。第1ビア導体40Fはスルーホール導体8と第1ビア導体40Fのランド36Fを電気的に接続する。第1ビア導体40Fはシード層30Faとシード層30Fa上の電解めっき層30Fbで形成されている。第1ビア導体40Fを形成するシード層30Faと第1導体層30Fを形成するシード層30Faは共通である。第1ビア導体40Fを形成する電解めっき層30Fbと第1導体層30Fを形成する電解めっき層30Fbは共通である。第1ビア導体40Fを形成するシード層30Faは、第1開口26Fの内壁面27F上と第1開口26Fから露出するスルーホール導体8の上端8F上に形成されている第1層31Faと第1層31Fa上の第2層31Fbで形成されている。
図1では第1ビア導体40Fは上端8Fに繋がっている。第1層31Faはスルーホール導体8の上端8Fと内壁面27Fに接している。第1ビア導体40Fは上端8Fの直上に形成されている。
【0024】
ビア導体用の開口が表面5Fを露出する場合、第1層31Faはガラス製の基板4に接する。第1例の開口と第2例の開口は表面5Fを露出する。さらに、第1例の開口と第2例の開口は上端8Fを露出する。第1層31Faがアルミニウムを含み、ガラスが酸素を含むので、第1層31Faと基板4間の接合強度が増すと考えられる。さらに、第1層31Faがケイ素を含むと、第1層31Faと基板4は同じ元素(ケイ素)を含む。さらに、第1層31Faと基板4間の接合強度が増すと考えられる。ビア導体を形成するシード層の一部がガラス製の基板4に接すると、配線基板2が熱衝撃を受けてもビア導体がスルーホール導体8から剥がれ難い。上端8Fに接しているビア導体を形成するシード層(例えば、第1層31Fa)は上端8Fと表面5Fの両方に接することが好ましい。同様に、下端8Bに接しているビア導体を形成するシード層(例えば、第1層)は下端8Bと裏面5Bの両方に接することが好ましい。表面5Fと第2面24Fの間に第1樹脂絶縁層20Fなどの樹脂絶縁層と基板4を接着するための接着層が配置される場合、接着層は樹脂絶縁層の一部であってもよい。接着層は樹脂絶縁層に含まれる。接着層は有機製接着層と無機製接着層を含む。接着層は絶縁材料で形成される。
【0025】
第2樹脂絶縁層120Fは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fと第1導体層30F上に形成されている。第2樹脂絶縁層120Fと第1樹脂絶縁層20Fとの間に第1導体層30Fが形成されている。第2樹脂絶縁層120Fは第1面122Fと第1面122Fと反対側の第2面124Fを有する。第2樹脂絶縁層120Fの第2面124Fは第1導体層30Fと対向する。第2樹脂絶縁層120Fは第1樹脂絶縁層20Fと同様に樹脂80と無機粒子90(第1無機粒子91、第2無機粒子92)で形成されている。従って、第2樹脂絶縁層120Fの材質と第1樹脂絶縁層20Fの材質は同様である。第2樹脂絶縁層120Fの第1面122Fと第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは同様である。第2樹脂絶縁層120Fは第1導体層30Fを形成する導体回路間の空間を充填している。
【0026】
第2樹脂絶縁層120Fは第1導体層30Fを露出する第2開口126Fを有している。第2開口126Fはランド36Fを露出している。第2開口126Fは内壁面127Fを有する。第1開口26Fと第2開口126Fは同様である。従って、第1開口26Fの内壁面27Fと第2開口126Fの内壁面127Fは同様である。
【0027】
第2導体層130Fは第2樹脂絶縁層120Fの第1面122F上に形成されている。第2導体層130Fは第1信号配線132Fと第2信号配線134Fとランド136Fとを含む。図に示されていないが、第2導体層130Fは第1信号配線132Fと第2信号配線134Fとランド136F以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線132Fと第2信号配線134Fはペア配線を形成している。第2導体層130Fと第1導体層30Fは同様である。従って、第2導体層130Fは、シード層130Faとシード層130Fa上の電解めっき層130Fbで形成されている。シード層130Faは第1層131Faと第1層131Fa上の第2層131Fbで形成されている。第2導体層130Fを形成する第1層131Faと第1導体層30Fを形成する第1層31Faは同様である。第2導体層130Fを形成する第2層131Fbと第1導体層30Fを形成する第2層31Fbは同様である。第2導体層130Fを形成する電解めっき層130Fbと第1導体層30Fを形成する電解めっき層30Fbは同様である。
【0028】
第2ビア導体140Fは第2開口126F内に形成されている。第2ビア導体140Fは第1導体層30Fと第2導体層130Fを電気的に接続する。
図1では第2ビア導体140Fはランド36Fとランド136Fを電気的に接続する。第2ビア導体140Fと第1ビア導体40Fは同様である。従って、第2ビア導体140Fはシード層130Faとシード層130Fa上の電解めっき層130Fbで形成されている。シード層130Faは第1層131Faと第1層131Fa上の第2層131Fbで形成されている。第2ビア導体140Fを形成する第1層131Faと第2導体層130Fを形成する第1層131Faは共通である。第2ビア導体140Fを形成する第2層131Fbと第2導体層130Fを形成する第2層131Fbは共通である。第2ビア導体140Fを形成する電解めっき層130Fbと第2導体層130Fを形成する電解めっき層130Fbは共通である。
【0029】
図3は、実施形態内の導体回路の拡大断面図を示す。
図3には、実施形態内の導体回路の代表例として、第1導体層30Fの第1信号配線32Fが示されている。
図3に示されるように、第1信号配線32Fは、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上のシード層30Faと、シード層30Fa上の電解めっき層30Fbによって形成されている。シード層30Faは、第1面22F上の第1層31Faと第1層31Fa上の第2層31Fbで形成されている。第1層31Faは第1面22Fに接している。第1面22Fと対向する第1層31Faの面は第1面22Fの表面形状に沿って形成されている。電解めっき層30Fbは第2層31Fbの直上に形成されている。
【0030】
第1信号配線32Fのシード層30Faの幅は電解めっき層30Fbの幅よりも小さい。第1信号配線32Fの幅は、シード層30Faと電解めっき層30Fbの境界部分Bで最小値を有する。第1層31Faの幅D2は第2層31Fbの幅D3より大きく、電解めっき層30Fbの幅D1は第1層31Faの幅D2より大きい。第1信号配線32Fの断面において、シード層30Faの側壁と第1面22Fとの間の角度θ3は、電解めっき層30Fbの側壁下端部から境界部分Bに向かう直線と第1面22Fとの間の角度θ4より大きい。各幅D1、D2、D3は
図3等の断面図を用いて測定される。測定に用いられる断面と第1面は垂直である。もしくは、測定に用いられる断面と表面5Fは垂直である。もしくは、測定に用いられる断面と裏面5Bは垂直である。測定に用いられる断面と測定対象の導体回路の側面は垂直である。
【0031】
幅D1は、電解めっき層30Fbの上面から延びていて第1面22Fに向かっている電解めっき層30Fbの2つの面間の距離である。電解めっき層30Fbの上面はシード層30Faから離れている面である。幅D1を測定するために用いられる面は電解めっき層30Fbの壁面(側壁)を形成する。導体回路(例えば、第1信号配線32F)の幅は幅D1で代表されてもよい。幅D1は導体回路の上面近くで測定される。幅D2は第1面22F上で測定される。幅D3は第2層31Fbと電解めっき層30Fbとの間の界面で測定される。
【0032】
図3に示されるように、電解めっき層30Fbの断面形状の例は略六角形である。断面形状が略六角形であると、六角形を形成する辺の内、シード層30Faと接する辺は下辺BLである。下辺BLと対向する辺は上辺ULである。上辺ULから延びている辺は第1辺SL1と第2辺SL2である。第1辺SL1と第2辺SL2は幅D1を測定するための2辺である。下辺BLから延びている辺は第3辺SL3と第4辺SL4である。第3辺SL3は第1辺SL1に繋がる。第3辺SL3は第1辺SL1と下辺BL間に形成されている。第4辺SL4は第2辺SL2に繋がる。第4辺SL4は第2辺SL2と下辺BL間に形成されている。第1辺SL1を含む面は電解めっき層30bの一方の側壁(側面)を形成する。第2辺SL2を含む面は電解めっき層30bの他方の側壁(側面)を形成する。
【0033】
第2層31Fbの幅D3を電解めっき層30Fbの幅D1と第1層31Faの幅D2より小さくすることで、導体回路の側壁は凹み33Fを有する。導体回路の例は第1信号配線32F等の信号配線である。電解めっき層30Fbの側面を含む面と第1面22Fと導体回路の実際の側面で囲まれる領域が凹み33Fを形成する。実際の側面はシード層30Faの側面を含む。凹み33Fは第2樹脂絶縁層120Fで充填される。凹み33Fを充填している第2樹脂絶縁層120Fは特定部分Sと称される。特定部分Sは第3無機粒子93を含む。特定部分Sに含まれる第3無機粒子93の径は他の部分に含まれる第2無機粒子92の径より小さい。特定部分Sに含まれる第3無機粒子93の径は例えば1.0μm以下である。特定部分Sの幅は
図3のCに相当する。特定部分Sの幅は1.0μm程度である。特定部分S内の樹脂80の含有量はそれ以外の部分に含まれている樹脂の含有量より大きい。そのため、シード層30Faと電解めっき層30Fb間の界面に発生する応力が緩和される。
【0034】
図3は第1信号配線32Fを例示するが、第1導体層30F内の他の導体回路(第2信号配線34Fとランド36F等)も第1信号配線32Fと同様の構成を有する。第2導体層130F内の導体回路(第1信号配線132F、第2信号配線134F、ランド136F等)も第1信号配線32Fと同様の構成を有する。
【0035】
裏側ビルドアップ層300Bは、裏側の樹脂絶縁層と裏側の導体層と裏側の樹脂絶縁層を貫通する裏側のビア導体を有する。裏側の樹脂絶縁層と裏側の導体層は交互に積層されている。裏側の導体層と裏側のビア導体はスルーホール導体8に電気的に繋がっている。
図1中の裏側の樹脂絶縁層は、第1面22Bと第2面24Bを有する第1樹脂絶縁層20Bと第1面122Bと第2面124Bを有する第2樹脂絶縁層120Bである。裏側の導体層は第1導体層30Bと第2導体層130Bである。第1導体層30Bと第2導体層130Bは第1信号配線32B、132Bと第2信号配線34B、134Bを含む。裏側のビア導体は第1ビア導体40Bと第2ビア導体140Bである。
【0036】
表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bは同様である。従って、表側ビルドアップ層300Fを形成する表側の樹脂絶縁層と裏側ビルドアップ層300Bを形成する裏側の樹脂絶縁層は同様である。各裏側の樹脂絶縁層は樹脂80と無機粒子90で形成される。各裏側の樹脂絶縁層は第1無機粒子91と第2無機粒子92を含む。各樹脂絶縁層の第1面は樹脂のみで形成されている。表側の導体層と裏側の導体層は同様である。表側のビア導体用の開口と裏側のビア導体用の開口は同様である。各ビア導体用の開口の内壁面は樹脂80の面(露出面)80aと無機粒子の露出面91bで形成されている。表側のビア導体と裏側のビア導体は同様である。
【0037】
図に示されないが、配線基板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。実施形態によって形成される信号配線の長さは5mm以上である。信号配線の長さは10mm以上、20mm以下であってもよい。
【0038】
[実施形態の配線基板2の製造方法]
図4A~
図4Kは実施形態の配線基板2の製造方法を示す。
図4A~
図4G、
図4I~
図4Kは断面図である。
図4Hは拡大断面図である。
図4Aはガラス製の基板4を示す。基板4は表面5Fと裏面5Bを有する。
図4Bに示されるように、表面5Fから裏面5Bに至る貫通孔6が形成される。貫通孔6は基板4を貫通する。基板4の表面5F側からレーザ光が照射される。その後、基板4はフッ酸に浸漬される。貫通孔6が形成される。
【0039】
図4Cに示されるようにシード層10aが形成される。シード層10aは無電解めっきによって形成される。シード層10aは貫通孔6の内壁面上と表面5F上と裏面5B上に形成される。
【0040】
図4Dに示されるように電解めっき層10bが形成される。電解めっき層10bはシード層10a上に形成される。電解めっき層10bは貫通孔6内を充填する。
【0041】
図4Eに示されるように、表面5F上の電解めっき層10bとシード層10aが研磨で除去される。裏面5B上の電解めっき層10bとシード層10aが研磨で除去される。基板4の表面5Fと裏面5Bが露出する。貫通孔6の内壁面上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bによってスルーホール導体8が形成される。スルーホール導体8の上端8Fは表面5Fから露出する。スルーホール導体8の下端8Bは裏面5Bから露出する。上端8Fを形成する面と表面5Fは同一平面を形成する。下端8Bを形成する面と裏面5Bは同一平面を形成する。コア基板3(
図1)が形成される。
図1のコア基板3は表面5F上に導体回路を有していない。
図1のコア基板3は裏面5B上に導体回路を有していない。
【0042】
コア基板3上に表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bは同様な方法で形成される。表側ビルドアップ層300Fの形成方法が以下に示される。図には裏側ビルドアップ層300Bも描かれている。
【0043】
図4Fに示されるように、基板4の表面5Fと上端8F上に第1樹脂絶縁層20Fと保護膜50Fが形成される。第1樹脂絶縁層20Fの第2面24Fが基板4の表面5Fと対向している。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上に保護膜50Fが形成されている。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは樹脂80のみで形成されている。第1面22Fから無機粒子90は露出しない。第1面22Fは無機粒子90の表面を含まない。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fには凹凸が形成されていない。第1樹脂絶縁層20Fは表面5Fと上端8Fで形成される平面上に形成される。そのため、第1面22Fは実質的な平面で形成される。表面5Fと第1面22Fはほぼ平行である。
【0044】
図4Gに示されるように、保護膜50Fの上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50Fと第1樹脂絶縁層20Fを同時に貫通する。スルーホール導体8の上端8Fに至るビア導体用の第1開口26Fが形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。第1開口26Fによりスルーホール導体8の上端8Fが露出する。第1開口26Fが形成される時、第1面22Fは保護膜50Fで覆われている。第1開口26Fが形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22Fに樹脂が付着することが抑制される。
【0045】
第1面22Fが平坦性に優れる。レーザ光Lが第1面22Fに照射されるとき、レーザ光Lが乱反射しがたい。各第1開口26Fが形成される時、レーザ光Lの焦点の位置が一致しやすい。小さな径を有するビア導体用の開口を形成することができる。各ビア導体用の開口の径がほぼ等しい。例えば、15μm以上、35μm以下の径を有するビア導体用の開口を形成することができる。径の大きさは第1面22F上で測定される。
【0046】
図4Hは、レーザ光照射後の第1開口26Fの内壁面27Fbを示す。内壁面27Fbは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の内壁面27Fbは処理される。樹脂80から突出している無機粒子90を選択的に除去することが好ましい。これにより、無機粒子90から第1無機粒子91が形成される。例えば、レーザ光照射後の内壁面27Fbを薬品で処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面27Fbをプラズマで処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理することで、平坦部91a(
図2参照)を有する第1無機粒子91が得られる。レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理するための条件を制御することで、内壁面27Fの形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0047】
第1樹脂絶縁層20Fにレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の内壁面27Fbを形成する。レーザ光照射後の内壁面27Fbを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。レーザ光照射後の内壁面27Fbが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで内壁面27Fbが処理される。突出部分Pが選択的に除去され、実施形態の内壁面27F(
図1、
図2)が形成される。第2無機粒子92から第1無機粒子91が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部91aを有する第1無機粒子91が形成される。平坦部91aは平面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第1無機粒子91の形状が得られる。内壁面27Fは平坦部91aと樹脂80の面80aで形成され、平坦部91aの露出面91bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。例えば、スパッタリングで内壁面27Fb上にシード層30Faが形成されると、突出部分Pはスパッタ膜(スパッタリング製膜)の成長を阻害する。例えば、内壁面27Fb上に連続しているシード層30Faが形成されない。あるいは、シード層30Faの厚みを大きくしなければならない。微細な導体回路を形成することができない。実施形態では、突出部分Pが除去される。スパッタリングで形成されるシード層30Faの厚みを薄くできる。スパッタリングで形成されるシード層30Faの厚みが薄くても、連続しているシード層30Faが得られる。
【0048】
第1開口26Fを形成することは、突出部分Pを有する無機粒子(第2無機粒子92)90を形成することを含む。突出部分Pは第1開口26Fの内壁面27Fbを形成する樹脂80から突出している。第1無機粒子91は無機粒子(第2無機粒子92)90の突出部分Pを除去することで形成される。第1開口26Fの内壁面27Fは第1無機粒子91の露出面91bを含む。第1無機粒子91の露出面91bは突出部分Pを除去することで形成される。
【0049】
球の形を持つ第2無機粒子92を平面で切断することで第1無機粒子91の形状を得ることは、無機粒子90の突出部分Pを除去することを含む。実際の第1開口26Fの内壁面27Fは略曲面である。突出部分Pを除去することで平坦部91aが形成されるので、平坦部91aの露出面91bは曲面を含む。すなわち、平坦部91aと樹脂80で共通な面を形成することは実質的な曲面で形成される内壁面27Fを形成することを含む。
【0050】
内壁面27Fは、第1無機粒子91の露出面91bとその露出面91bを有する第1無機粒子91を囲んでいる樹脂80の面80aとの間に段差を有することができる。露出面91bは樹脂80の面80aから凹んでいる。あるいは、露出面91bは樹脂80の面80aから出っ張っている。段差(露出面91bと樹脂80の面80aとの間の距離)は5μm以下である。段差は3μm以下であることが好ましい。段差は1.5μm以下であることがより好ましい。段差が形成されていても、段差が小さいので、露出面91bと樹脂80の面80aはほぼ共通な面を形成する。
【0051】
内壁面27F上に凹凸が形成されない。内壁面27Fは平滑に形成される。レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさが制御される。
【0052】
第1開口26F内が洗浄される。第1開口26F内を洗浄することにより、第1開口26F形成時に発生する樹脂残渣が除去される。第1開口26F内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。
【0053】
第1開口26F内が洗浄される時、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは保護膜50Fで覆われている。第1面22Fはプラズマの影響を受けない。第1面22Fは樹脂80のみで形成されている。第1面22Fから無機粒子90は露出しない。第1面22Fは無機粒子90の表面を含まない。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは凹凸を有さない。第1面22Fは平滑に形成されている。
【0054】
レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理することが第1開口26F内を洗浄することを含む場合、第1開口26F内を洗浄することを削除することができる。
【0055】
図4Iに示されるように、第1開口26F内を洗浄することの後に、第1樹脂絶縁層20Fから保護膜50Fが除去される。レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理することが第1開口26F内を洗浄することを含む場合、レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理することの後に、第1樹脂絶縁層20Fから保護膜50Fが除去される。レーザ光照射後の内壁面27Fbが処理される時、保護膜50Fは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを覆っている。保護膜50F除去後、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを荒らすことは行われない。
【0056】
図4Jに示されるように、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上にシード層30Faが形成される。シード層30Faはスパッタリングによって形成される。シード層30Faの形成はドライプロセスで行われる。シード層30Faは第1開口26Fから露出するスルーホール導体8の上端8Fと第1開口26Fの内壁面27Fにも形成される。シード層30Faは主に銅で形成される。第1層31Faが第1面22F上にスパッタリングで形成される。第1開口26Fから露出する内壁面27Fとスルーホール導体8の上端8F上に第1層31Faがスパッタリングで形成される。第2層31Fbが第1層31Fa上にスパッタリングで形成される。
【0057】
第1層31Faの形成後、第1層31Faに熱処理が施されても良い。例えば、熱処理の温度は120度であり、熱処理の時間は1時間である。第2層31Fbの形成後、第2層31Fbに熱処理が施されても良い。例えば、熱処理の温度は80度であり、熱処理の時間は30分である。第2層31Fbの形成後、熱処理が施されると、その熱処理は第1層31Faにも施される。
【0058】
シード層30Faの第1層31Faは銅とアルミニウムとケイ素を含有する銅合金によって形成されている。アルミニウムは高い延性と高い展性を有する。そのため、第1樹脂絶縁層20Fと第1層31Fa間の密着力が高い。ヒートサイクルにより第1樹脂絶縁層20Fが伸縮したとしても、アルミニウムを含むシード層30Faがその伸縮に追従することができると考えられる。第1面22Fが平滑であっても、シード層30Faは第1樹脂絶縁層20Fから剥がれ難い。アルミニウムは酸化しやすいと考えられる。第1無機粒子91が酸素を含む無機粒子90であると、第1開口26Fの内壁面27F上に形成される第1層31Faは内壁面27Fを形成する無機粒子90内の酸素を介して第1無機粒子91に密着すると考えられる。第1層31Faと内壁面27Fが強く接合される。第1開口26Fの内壁面27Fと第1層31Fa間の密着力を高くすることができる。シード層30Faは内壁面27Fから剥がれ難い。内壁面27Fを形成する無機粒子90は酸素を含むことが好ましい。第2層31Fbは銅で形成されている。
【0059】
第1面22Fは平坦性に優れる。スパッタリングを用いて第1面22F上にシード層30Faが形成されるとき、ターゲットと第1面22F間の距離がほぼ一定である。ほぼ均一な厚みを有するシード層30Faを形成することができる。
【0060】
シード層30Faの厚みは、0.02μm以上1.0μm以下である。より好ましい例は0.03μm以上0.5μm以下である。さらに好ましい例は0.05μm以上0.3μm以下である。第1面22Fの算術平均粗さ(Ra)は、0.02μm以上0.06μm以下である。シード層30Faの厚みが0.02μm未満であると、シード層30Faを第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上全体に均一に形成することが困難である。厚みが1.0μmより大きいと、シード層30Faが除去される時、電解めっき層30Fbの幅の制御が難しい。第1層31Faの厚みは、0.01μm以上0.5μm以下である。より好ましい例は0.02μm以上0.3μm以下である。さらに好ましい例は0.03μm以上0.1μm以下である。第1層31Faの厚みが0.01μm未満であると、第1層31Faと第1樹脂絶縁層20F間の密着性が低下する。第1層31Faの厚みが0.5μmより大きいと、配線抵抗値が高くなる。第2層31Fbの厚みは、0.01μm以上0.9μm以下である。より好ましい例は0.02μm以上0.3μm以下である。さらに好ましい例は0.03μm以上0.2μm以下である。第2層31Fbの厚みが0.01μm未満であると、配線抵抗値が高くなる。第2層31Fbの厚みが0.9μmより大きいと、シード層30Faが除去される時、電解めっき層30Fbの幅の制御が難しい。シード層30Faは第1面22Fの表面形状に沿って形成されている。第1導体層30F内の導体回路を形成するシード層30Faは第1樹脂絶縁層20Fの内側に入り込まない。シード層30Faが除去される時、エッチング量を小さくすることができる。導体回路が過度に除去され難い。導体回路の幅を設計値に近くすることができる。
【0061】
シード層30Fa上にめっきレジストが形成される。めっきレジストは、第1信号配線32Fと第2信号配線34Fとランド36F(
図1)を形成するための開口を有する。
【0062】
めっきレジストから露出するシード層30Fa上に電解めっき層30Fbが形成される。電解めっき層30Fbの厚みは5μm以上20μm以下である。電解めっき層30Fbは電解銅めっき層で形成されている。電解めっき層30Fbは第1開口26Fを充填する。第1面22F上のシード層30Faと電解めっき層30Fbによって、第1信号配線32Fと第2信号配線34Fとランド36F(
図1)が形成される。第1導体層30Fが形成される。第1開口26F内のシード層30Faと電解めっき層30Fbによって、第1ビア導体40F(
図1)が形成される。第1ビア導体40Fは、スルーホール導体8とランド36Fを接続する。第1信号配線32Fと第2信号配線34Fはペア配線を形成する。
【0063】
めっきレジストが除去される。電解めっき層30Fbから露出するシード層30Faがエッチングで除去される。
図4Kに示されるように、第1導体層30Fと第1ビア導体40Fが同時に形成される。
【0064】
第2層31Fbのエッチング速度R2は第1層31Faのエッチング速度R1より大きい。第1層31Faのエッチング速度R1は電解めっき層30Fbのエッチング速度REより大きい。シード層30Faのエッチング速度RSは電解めっき層30Fbのエッチング速度REより大きい。例えば、第2層31Fbのエッチング速度R2と電解めっき層30Fbのエッチング速度REとの比(R2/RE)は1.2以上1.5以下である。第1層31Faのエッチング速度R1と電解めっき層30Fbのエッチング速度REとの比(R1/RE)は1.1以上1.4以下である。第2層31Fbのエッチング速度R2と第1層31Faのエッチング速度R1との比(R2/R1)は1.1以上1.5以下である。そのため、
図3に示されるように、第1層31Faの幅D2は第2層31Fbの幅D3より大きい。電解めっき層30Fbの幅D1は第1層31Faの幅D2より大きい。シード層30Faが除去される時、電解めっき層30Fbのエッチング量が小さい。導体回路が過度に除去されがたい。導体回路の幅を設計値に近くすることができる。シード層30Faを除去するためのエッチング液として、第1層31Faより第2層31Fbをより溶解するエッチング液が好ましい。配線の幅(配線の側壁間の距離)は第2層31Fbと電解めっき層30Fbとの境界部分Bで最小値を有する(
図3)。境界部分Bで応力は最大値を示すので、第1層31Faと第1樹脂絶縁層20Fとの密着性が向上する。
【0065】
導体回路を形成する各層31Fa、31Fb、30Fbの間でエッチング速度が異なる。各層31Fa、31Fb、30Fbの構造比率(アモルファス構造/結晶構造)がエッチング速度の違いに関わっていると推察される。なぜなら、アモルファス構造は格子欠陥を有しやすい。そのため、大きな構造比率を有する層は大きなエッチング速度を有しやすい。構造比率を求めるための装置の例は透過電子顕微鏡やX線回折である。例えば、構造比率は両者の体積を用いて算出される。あるいは、構造比率は断面に含まれる両者の面積を用いて算出される。面積が用いられる場合、面積比(アモルファス構造の面積/結晶構造の面積)が構造比率の代表値として用いられる。
【0066】
構造比率が大きいと、エッチング速度は大きいと考えられる。従って、第2層31Fbの構造比率は第1層31Faの構造比率より大きいはずである。第1層31Faの構造比率は電解めっき層30Fbの構造比率より大きいはずである。熱量や組成、厚み、時間、形成方法、密度、結晶性等が構造比率に影響していると考えられる。第1層31Faに加えられる熱量は第2層31Fbに加えられる熱量より大きい。第1層31Faの厚みと第2層31Fbの厚みはほぼ等しい。電解めっき層30Fbの厚みは第1層31Faの厚みよりかなり厚い。第2層31Fbと電解めっき層30Fbは銅で形成され、第1層31Faは銅合金で形成されている。第1層31Faは樹脂上に形成される。第2層31Fbは銅合金からなる第1層31Fa上に形成される。電解めっき層30Fbは銅からなる第2層31Fb上に形成されている。第1層31Faと第2層31Fb、電解めっき層30Fbの内、第1層31Faが最も先に形成される。第1層31Faと第2層31Fbはスパッタリングで形成される。電解めっき層30Fbは電解めっきで形成される。導体回路を形成する各層31Fa、31Fb、30Fbの間で共通する点と相違する点が存在する。構造比率に影響する因子を制御することで、各層31Fa、31Fb、30Fbのエッチング速度を制御することができると考えられる。
【0067】
第1無機粒子91の平坦部91aが内壁面27Fを形成するので、第1層31Faの厚みを小さくすることができる。第1層31Faの厚みは電解めっき層30Fbの厚みより十分薄い。そのため、第1層31Faを形成する粒子の配向性は電解めっき層30Fbを形成する粒子の配向性より小さくなりやすい。あるいは、第1層31Faの密度は電解めっき層30Fbの密度より小さくなりやすい。あるいは、第1層31Faの結晶性は電解めっき層30Fbの結晶性より小さくなりやすい。第1無機粒子91の平坦部91aが内壁面27Fを形成するので、第2層31Fbの厚みを小さくすることができる。第2層31Fbの厚みは電解めっき層30Fbの厚みより十分薄い。そのため、第2層31Fbを形成する粒子の配向性は電解めっき層30Fbを形成する粒子の配向性より小さくなりやすい。あるいは、第2層31Fbの密度は電解めっき層30Fbの密度より小さくなりやすい。あるいは、第2層31Fbの結晶性は電解めっき層30Fbの結晶性より小さくなりやすい。このため、第1層31Faと第2層31Fbのエッチング速度は電解めっき層30Fbのエッチング速度より大きい。電解めっき層30Fbから露出するシード層30Faが除去されると、電解めっき層30Fbの幅D1は第1層31Faの幅D2より大きい。電解めっき層30Fbの幅D1は第2層31Fbの幅D3より大きい。電解めっき層30Fbのエッチング速度はシード層30Faのエッチング速度より小さい。そのため、電解めっき層30Fbを溶解するために消費されるエッチング液中の溶解成分の量は小さい。実施形態によれば、溶解成分がシード層30Faに十分に到達する。シード層30Faが効率的に溶解する。目標値の幅を有する信号配線を形成することができる。第1層31Faは第2層31Fbで覆われている。第2層31Fbを溶解するために溶解成分が消費される。そのため、第1層31Faの溶解量を第2層31Fbの溶解量より小さくすることができる。電解めっき層30Fbから露出するシード層30Faが除去されると、第1層31Faの幅D2は第2層31Fbの幅D3より大きい。
【0068】
シード層30Faのエッチング速度は電解めっき層30Fbのエッチング速度より大きい。そのため第1信号配線32Fの断面において角度θ3が角度θ4より大きい。境界部分Bの深さが小さい。応力集中が緩和される。
【0069】
第2樹脂絶縁層120Fが第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fと第1導体層30F上に形成される。第2導体層130Fが第2樹脂絶縁層120Fの第1面122F上に形成される。第2ビア導体140Fが第2樹脂絶縁層120Fの第2開口126F内に形成される。第2樹脂絶縁層120Fは第1樹脂絶縁層20Fと同様の手法で形成される。第2導体層130Fは第1導体層30Fと同様の手法で形成される。第2ビア導体140Fは第1ビア導体40Fと同様の手法で形成される。実施形態の配線基板2(
図1)が得られる。
【0070】
第2層31Fbの幅D3を電解めっき層30Fbの幅D1と第1層31Faの幅D2より小さくすることで、第1信号配線32Fの側壁は凹み33Fを有する(
図3)。ガラス製の基板4の熱膨張率と樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層20F、第2樹脂絶縁層120F)の熱膨張率の差に起因するストレスが第1信号配線32Fの側壁に沿って第1樹脂絶縁層20Fに伝わりがたい。凹み33Fによりストレスが分散される。第1信号配線32Fの側壁と第2樹脂絶縁層120Fの界面の延長線に沿うクラックが第1樹脂絶縁層20F内に発生しがたい。第1層31Faの幅D2は第2層31Fbの幅D3より大きい。第1信号配線32Fの側壁が凹み33Fを有するので、第1信号配線32Fと第2樹脂絶縁層120F間の接触面積が大きい。第2樹脂絶縁層120Fが第1信号配線32Fから剥がれがたい。
【0071】
第1導体層30Fのうち第1面22Fと対向する面は第1面22Fの表面形状に沿って形成されている。そのため、第1導体層30F内の導体回路(第1信号配線32F、第2信号配線34F、ランド36F)を形成するシード層30Faは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fより内側に入り込まない。薄いシード層30Faが形成される。シード層30Faの厚みのバラツキが小さい。シード層30Faが除去される時、エッチング量が小さい。導体回路が過度に除去され難い。導体回路の幅を設計値に近くすることができる。
【0072】
実施形態の配線基板2(
図1)のコア基板3はガラス製の基板4を含む。ガラス製の基板4は平坦性に優れる。第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bは樹脂80で形成されている。第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bは樹脂80のみで形成されている。第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bは無機粒子90の表面を含まない。第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bは平坦性と平滑性に優れる。第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22B上に微細な信号配線32F、32B、34F、34Bを形成することができる。第2樹脂絶縁層120F、120Bの第1面122F、122Bも第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bと同様である。そのため第2樹脂絶縁層120F、120Bの第1面122F、122B上に微細な信号配線132F、132B、134F、134Bを形成することができる。実施形態によって形成される信号配線のL/Sは例えば5μm/5μm未満である。信号配線のL/Sは1.5μm/1.5μm以上3.5μm/3.5μm以下であることが好ましい。Lは信号配線の幅を意味し、Sは隣接する信号配線間のスペースの幅を意味する。
【0073】
実施形態では内壁面上に形成される第1層はスパッタリングによって形成されている。ガラス製の基板4上の樹脂絶縁層は反りがたい。ビア導体用の開口の内壁面を形成する樹脂80と第1無機粒子91間にスパッタ膜の成長を阻害する隙間が発生しがたい。開口の内壁面が大きなうねりや大きな凹凸を有しがたい。内壁面上のスパッタ膜の厚みが薄くても、連続するスパッタ膜を形成することができる。スパッタリングで形成される膜をスパッタ膜と称することができる。
【0074】
ビア導体用の開口(第1開口、第2開口)の内壁面は樹脂80と第1無機粒子91の平坦部91aの露出面91bで形成されている。第1層が形成されるとき、スパッタ膜を形成する粒子が第1無機粒子91に付着すると考えられる。スパッタ膜を形成する粒子は第1無機粒子91の中に埋まらないと考えられる。内壁面上に薄くて連続するシード層を形成することができる。実施形態によれば、第1面と内壁面上に薄くて連続するシード層を形成することができる。シード層が除去される時、エッチング量が少ない。そのため電解めっき層のエッチング量が少ない。信号配線が設計値通りの幅を有する。微細な信号配線を形成することができる。高い品質を有する配線基板2が提供される。
【0075】
実施形態の配線基板2(
図1)では第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bは樹脂80で形成されている。第1面22F、22Bには無機粒子90が露出しない。第1面22F、22Bには凹凸が形成されない。第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22B近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面22F、22Bの比誘電率は場所によって大きく変わらない。第1信号配線32F、32Bと第2信号配線34F、34Bが第1面22F、22Bに接していても、第1信号配線32F、32Bと第2信号配線34F、34B間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態の配線基板2ではノイズが抑制される。実施形態の配線基板2にロジックICが実装されても、第1信号配線32F、32Bで伝達されるデータと第2信号配線34F、34Bで伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。ロジックICの誤動作を抑制することができる。第1信号配線32F、32Bの長さと第2信号配線34F、34Bの長さが5mm以上であっても、両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第1信号配線32F、32Bの長さと第2信号配線34F、34Bの長さが10mm以上、20mm以下であっても、ロジックICの誤動作を抑制することができる。第2樹脂絶縁層120F、120Bの第1面122F、122Bも第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bと同様である。そのため第1信号配線132F、132Bと第2信号配線134F、134Bも第1信号配線32F、32Bと第2信号配線34F、34Bと同様の効果を有する。高い品質を有する配線基板2が提供される。
【0076】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、第1層を形成する銅合金に含まれる特定金属は、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムのうちの少なくとも1つである。
【0077】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2では、第1層を形成する銅合金は炭素を含有していない。
【0078】
[実施形態の別例3]
実施形態の別例3では、第1層を形成する銅合金は酸素を含有していない。
【0079】
[実施形態の改変例]
改変例の配線基板は実施形態と同様にコア基板3と表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bを有する。実施形態のコア基板3と改変例のコア基板3は異なる。実施形態の表側ビルドアップ層300Fと改変例の表側ビルドアップ層300Fは同様である。実施形態の裏側ビルドアップ層300Bと改変例の裏側ビルドアップ層300Bは同様である。改変例のコア基板3の断面が
図5と
図6に示される。
図5と
図6に示されるように、改変例のコア基板3はガラス製の基板4の表面5F上に導体層10F、11Fを有する。導体層10F、11Fはスルーホール導体8の上端8Fを覆うランド14Fを含む。さらに、改変例のコア基板3は基板4の裏面5B上に導体層10B、11Bを有する。導体層10B、11Bはスルーホール導体8の下端8Bを覆うランド14Bを含む。ランド14Fとランド14Bはスルーホール導体8によって電気的に接続されている。実施形態のコア基板3は表面5F上の導体層と裏面5B上の導体層を有していない。
【0080】
改変例では、表側ビルドアップ層300Fを形成する表側の樹脂絶縁層(コア基板直上の樹脂絶縁層)は導体層10F、11Fと表面5F上に形成される。コア基板直上の樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層20F)はランド14Fに至るビア導体用の開口(第1開口26F)を有する。ビア導体用の開口内に実施形態と同様なビア導体(第1ビア導体40F)が形成されている。コア基板直上の樹脂絶縁層を貫通するビア導体はランド14Fに至るので、そのビア導体を形成するシード層(第1層31Fa)はランド14Fの上面と開口の内壁面に接している。コア基板直上の樹脂絶縁層を貫通するビア導体はランド14Fを介しスルーホール導体8に電気的に繋がっている。
【0081】
改変例では、裏側ビルドアップ層300Bを形成する裏側の樹脂絶縁層(コア基板直下の樹脂絶縁層)は導体層10B、11Bと裏面5B上に形成される。コア基板直下の樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層20B)はランド14Bに至るビア導体用の開口(第1開口)を有する。ビア導体用の開口内に実施形態と同様なビア導体(第1ビア導体40B)が形成されている。コア基板直下の樹脂絶縁層を貫通するビア導体はランド14Bに至るので、そのビア導体を形成するシード層はランド14Bの上面と開口の内壁面に接している。コア基板直下の樹脂絶縁層を貫通するビア導体はランド14Bを介しスルーホール導体8に電気的に繋がっている。
【0082】
[改変例の配線基板の製造方法]
図5に示されるコア基板3は第1例のコア基板3である。第1例のコア基板3の製造方法が次に示される。
図4Dに示される途中基板が準備される。サブトラクティブ法によって、表面5F上に導体層10Fが形成される。裏面5B上に導体層10Bが形成される。改変例の第1例にかかるコア基板3が得られる。
【0083】
導体層10Fはシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。導体層10Bはシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aは無電解めっきによって形成される。導体層10Fを形成するシード層10aと導体層10Bを形成するシード層10aとスルーホール導体8を形成するシード層10aは共通である。導体層10Fを形成する電解めっき層10bと導体層10Bを形成する電解めっき層10bとスルーホール導体8を形成する電解めっき層10bは共通である。導体層10F、10Bとスルーホール導体8は同時に形成されている。スルーホール導体8とランド14F、14Bは同時に形成される。スルーホール導体8とランド14F、14Bは一体的に形成される。上端8Fとランド14F間にシード層が存在しない。下端8Bとランド14B間にシード層が存在しない。
【0084】
図6に示されるコア基板3は第2例のコア基板3である。第2例のコア基板3の製造方法が次に示される。
図4Eに示される途中基板が準備される。表面5F上と裏面5B上にシード層11Fa、11Baが形成される。シード層11Fa、11Baは無電解めっきによって形成される。シード層11Fa、11Baはスパッタリングで形成されてもよい。シード層11Faは基板4の表面5Fとスルーホール導体8の上端8Fを覆う。シード層11Baは基板4の裏面5Bとスルーホール導体8の下端8Bを覆う。シード層11Fa、11Ba上に電解めっき層11Fb、11Bbが形成される。その後、サブトラクティブ法によって導体層11F、11Bが形成される。改変例の第2例にかかるコア基板3が得られる。
【0085】
導体層11Fはシード層11Faとシード層11Fa上の電解めっき層11Fbで形成されている。導体層11Bはシード層11Baとシード層11Ba上の電解めっき層11Bbで形成されている。シード層11Faは基板4の表面5F上に形成されている。シード層11Faはスルーホール導体8の上端8Fを覆っている。シード層11Baは基板4の裏面5B上に形成されている。シード層11Baはスルーホール導体8の下端8Bを覆っている。シード層11Fa、11Baは無電解めっきによって形成される。シード層11Fa、11Baはスパッタリングによって形成されてもよい。導体層11F、11Bを形成するシード層11Fa、11Baとスルーホール導体8を形成するシード層10aは異なる。導体層11F、11Bを形成する電解めっき層11Fb、11Bbとスルーホール導体8を形成する電解めっき層10bは異なる。導体層11F、11Bとスルーホール導体8は別々に形成されている。第2例では、上端8Fを形成する電解めっき層10bとランド14Fを形成する電解めっき層11Fb間にランド14Fを形成するシード層11Faが存在する。下端8Bを形成する電解めっき層10bとランド14Bを形成する電解めっき層11Bb間にランド14Bを形成するシード層11Baが存在する。それに対し、第1例(
図5)では、上端8Fを形成する電解めっき層10bとランド14Fを形成する電解めっき層10bが連続している。下端8Bを形成する電解めっき層10bとランド14Bを形成する電解めっき層10bが連続している。
【0086】
改変例のコア基板3上に実施形態と同様な方法で表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bが形成される。
【0087】
本明細書内では、平面は内壁面の形状と平坦部91aの形状、第1無機粒子91の形状に対し用いられている。これらに対し用いられている平面の意味は
図1と
図2に示されている。すなわち、
図1と
図2では、内壁面はほぼまっすぐに描かれている。
図1と
図2中の内壁面の形状はほぼ直線である。本明細書内の平面は、断面中に示されている実質的な直線を含む。
図1と
図2の第1無機粒子91の断面に示されるように、断面では、平面で切断することは直線で切断することを含む。本明細書内の平面は完全な平面を意味せず実質的な平面を含む。実質的な平面は小さな凹凸を含んでもよい。
【符号の説明】
【0088】
2:配線基板
3:コア基板
4:基板
5F:表面
5B:裏面
6:貫通孔
8:スルーホール導体
10F、10B:導体層
11F、11B:導体層
14F、14B:ランド
20F、20B:第1樹脂絶縁層
22F、22B:第1面
24F、24B:第2面
26F:第1開口
27F:内壁面
30F、30B:第1導体層
30Fa:シード層
30Fb:電解めっき層
32F、32B:第1信号配線
33F:凹部
34F、34B:第2信号配線
36F:ランド
40F、40B:第1ビア導体
80:樹脂
90:無機粒子
91:第1無機粒子
91a:平坦部
91b:露出面
92:第2無機粒子
93:第3無機粒子
120F、120B:第2樹脂絶縁層
122F、122B:第1面
124F、124B:第2面
126F:第2開口
127F:内壁面
130F、130B:第2導体層
130Fa:シード層
130Fb:電解めっき層
132F、132B:第1信号配線
134F、134B:第2信号配線
136F:ランド
140F、140B:第2ビア導体
300F:表側ビルドアップ層
300B:裏側ビルドアップ層