(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137266
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】情報処理装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240927BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/06
G07G1/00 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048724
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】藪 秀二
【テーマコード(参考)】
3E142
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142DA07
3E142EA02
3E142GA20
3E142JA01
5L030BB72
5L049BB72
(57)【要約】 (修正有)
【課題】商品棚の点検業務において情報端末に入力された情報を電子棚札システムで共有する情報処理装置及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】電子棚札システムとサーバ間ネットワークによって接続するPOSシステムにおいて、ストアサーバ12は、通信手段と、取得手段と、付加手段と、送信手段と、を備える。通信手段は、商品棚に設けられ、商品棚に置かれている商品に係る商品情報を表示可能な電子棚札を制御するコントローラと通信する。取得手段は、電子棚札に表示すべき商品情報を取得する。付加手段は、取得手段により取得した商品情報に、当該商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す場所情報を付加する。送信手段は、場所情報が付加された商品情報を、通信手段によりコントローラに送信する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品棚に設けられ、当該商品棚に置かれている商品に係る商品情報を表示可能な電子棚札を制御するコントローラと通信する通信手段と、
前記電子棚札に表示すべき前記商品情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記商品情報に、当該商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す場所情報を付加する付加手段と、
前記場所情報が付加された前記商品情報を、前記通信手段により前記コントローラに送信する送信手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
端末を介して入力された前記場所情報を記憶する記憶手段、
をさらに具備し、
前記付加手段は、前記記憶手段により記憶されている前記場所情報の中から、前記商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す場所情報を検出して付加する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記付加手段は、前記商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す場所情報が前記記憶手段により記憶されていない場合には、前記商品情報に前記場所情報を付加せず、
前記送信手段は、前記場所情報が付加されていない前記商品情報を前記コントローラに送信する、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
上位サーバと通信する第2通信手段と、
前記端末を介して入力された前記場所情報を、前記第2通信手段により前記上位サーバに送信する第2送信手段と、
をさらに具備する請求項2又は3記載の情報処理装置。
【請求項5】
商品棚に設けられ、当該商品棚に置かれている商品に係る商品情報を表示可能な電子棚札を制御するコントローラと通信する通信手段を備えた情報処理装置のコンピュータを、
前記電子棚札に表示すべき前記商品情報を取得する取得手段、
前記取得手段により取得した前記商品情報に、当該商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す場所情報を付加する付加手段、及び、
前記場所情報が付加された前記商品情報を、前記通信手段により前記コントローラに送信する送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売店においては、POS(Point Of Sales)システムに加えて電子棚札システムを導入している店舗がある。電子棚札システムをPOSシステムと併用することで、POSシステムによって管理される各商品の品目名、価格等の商品情報を電子棚札システムと共有することが可能となる。商品情報を共有することで、例えば商品の売価変更に合わせて電子棚札の表示価格が即時に変更されるようになる。
【0003】
この種の小売店では、定期的に商品棚の点検業務を行っている。この業務は、従業員が売場を回って商品棚をチェックし、どの商品がどの場所に置かれているかという情報を情報端末に入力する業務である。情報端末に入力された情報は、POSシステムのサーバを経由して上位システムに送信される。上位システムは、情報端末に入力された情報を基に、例えば商品棚のレイアウト変更、あるいは商品の配置場所変更等を検討する上で重要な要素となるデータを作成し、出力する。
【0004】
ところで、商品棚の点検業務の際に情報端末に入力される情報には、商品の場所情報がある。場所情報は、商品が、どの売場の、どの商品棚の、どの段の、どの区画に置かれているかを示す情報であり、その区画に設けられた電子棚札の位置情報に相当する。したがって、場所情報が入力された商品の品目名が、その場所情報に相当する位置情報を有する電子棚札に表示されている場合には、電子棚札の表示が正しいと言える。そこで、商品棚の点検業務に合わせて電子棚札の表示をチェックできたならば、大変効率的である。そのためには、情報端末に入力された情報を電子棚札システムで共有する仕組みを構築する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、商品棚の点検業務において情報端末に入力された情報を電子棚札システムで共有することを可能とした情報処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、情報処理装置は、通信手段と、取得手段と、付加手段と、送信手段とを備える。通信手段は、商品棚に設けられ、当該商品棚に置かれている商品に係る商品情報を表示可能な電子棚札を制御するコントローラと通信する。取得手段は、電子棚札に表示すべき商品情報を取得する。付加手段は、取得手段により取得した商品情報に、当該商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す場所情報を付加する。送信手段は、場所情報が付加された商品情報を、通信手段によりコントローラに送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、店舗に構築されるPOSシステムと電子棚札システムとを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、POSシステムの商品マスタに保存される商品レコードの主要なデータ構造を示す模式図である。
【
図3】
図3は、電子棚札システムの棚札マスタに保存される棚札レコードの主要なデータ構造を示す模式図である。
【
図4】
図4は、POSシステムにおけるストアサーバの要部回路構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、ストアサーバが有する棚情報記憶部の構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、ストアサーバのプロセッサが業務プログラムに従って実行する第1の情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図7】
図7は、ストアサーバのプロセッサが業務プログラムに従って実行する第2の情報処理の手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、商品棚の点検業務において情報端末に入力された情報を電子棚札システムで共有することを可能とした情報処理装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態の情報処理装置は、POSシステムと電子棚札システムとを併用した店舗に適用される。そこで初めに、店舗のシステム構成について
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0010】
図1は、店舗の主要なシステム構成を示すブロック図である。店舗は、POSシステム10と電子棚札システム20とを備える。
POSシステム10は、複数台のPOS端末11と、各POS端末11を一元的に制御するストアサーバ12とを含む。POSシステム10は、各POS端末11とストアサーバ12とを通信ネットワーク13で接続してなる。POSシステム10は、各POS端末11で売上登録された各商品の販売データをストアサーバ12が通信ネットワーク13を介して収集し集計して、売上時点における販売管理を行うシステムである。
【0011】
ストアサーバ12は、商品マスタ14を有する。商品マスタ14は、店舗で販売される商品毎に作成される商品レコード141(
図2を参照)の集合体である。
【0012】
図2は、商品レコード141の主要なデータ構造を示す模式図である。商品レコード141は、商品コード、売場区分、印字用品目名、表示用品目名、通常価格、特売価格、価格フラグ、税区分等の項目を含む。
【0013】
商品コードは、各商品の品目を識別するために品目毎に設定された一意のコードである。商品コードは、例えばJANコードである。商品コードは、インストアマーキングのコードであってもよい。各商品には、商品コードを示すバーコードが付されている。
【0014】
売場区分は、商品が販売される売場の識別情報である。売場は、商品の分類別に区分けされたエリアである。各売場の商品棚には、それぞれその売場の分類に属する商品が配置される。各売場には、それぞれ固有の売場区分が設定されている。
【0015】
印字用品目名は、POS端末11のレシートプリンタでレシート用紙に印字される品目名のデータである。表示用品目名は、POS端末11の表示デバイスに表示される品目名のデータである。通常価格は、通常時における1点当たりの販売価格である。特売価格は、特売時における1点当たりの販売価格である。価格フラグは、通常価格を有効とするか特売価格を有効とするかを識別するための1ビットデータである。因みに本実施形態では、通常価格を有効とする場合の価格フラグを“0”とし、特売価格を有効とする場合の価格フラグを“1”とする。税区分は、外税なのか、内税なのか、非課税なのかを識別する情報である。
【0016】
図1の説明に戻る
POSシステム10は、通信サーバ15を含む。通信サーバ15は、インターネット又はイントラネット等の広域通信網31を介して接続される上位サーバとのデータ通信サービスを提供するコンピュータである。上位サーバは、例えば店舗の運営を管理する本部に構成される本部システムのサーバである。
【0017】
POSシステム10の通信ネットワーク13には、アクセスポイント16が接続されている。アクセスポイント16は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型の情報端末32と無線通信を行うための機器である。アクセスポイント16の数は特に限定されない。店舗の規模、売場のレイアウト等を考慮して2以上のアクセスポイント16が店舗内に設置され、通信ネットワーク13に接続されていてもよい。
【0018】
電子棚札システム20は、複数個の電子棚札21と、各電子棚札21を一元的に制御する棚札サーバ22とを含む。電子棚札システム20は、各電子棚札21と棚札サーバ22とを通信ネットワーク23で接続してなる。各電子棚札21は、商品棚に置かれた商品と対応付けてそれぞれ商品棚に取り付けられる。電子棚札システム20は、棚札サーバ22から各電子棚札21に通信ネットワーク23を介して表示データを配信して、各電子棚札21に商品の品目名、価格等を表示するシステムである。
【0019】
棚札サーバ22は、棚札マスタ24を有する。棚札マスタ24は、電子棚札21毎に作成される棚札レコード241(
図3を参照)の集合体である。
【0020】
図3は、棚札レコード241の主要なデータ構造を示す模式図である。棚札レコード241は、棚札IDと、棚情報と、商品情報とを含む。棚札IDは、各電子棚札21を個々に識別するために電子棚札21毎に割り当てられた一意の識別情報である。各電子棚札21は、自己に割り当てられた棚札IDを内蔵のメモリで記憶している。
【0021】
棚情報は、売場区分、棚番号、段数及び区画数を含む。売場区分、棚番号、段数及び区画数は、同一レコードの棚札IDによって識別される電子棚札21が取り付けられた商品棚の位置に関する情報である。すなわち棚札レコード241に含まれる棚情報は、電子棚札21が、どの売場の、どの商品棚の、どの段の、どの区画に取り付けられているかという示す位置情報の一例である。
【0022】
売場は、売場区分によって特定される。売場区分は、商品棚が設置されている売場の識別情報である。各売場には、それぞれ固有の売場区分が設定されている。商品棚は、棚番号によって特定される。棚番号は、売場区分で識別される売場に設置された商品棚毎に割り振られた一連の番号である。例えば1つの売場に3つの商品棚が設置されている場合には、各商品棚に対して「1」、「2」及び「3」の棚番号が割り振られる。段は、段数によって特定される。段数は、棚番号によって特定される商品棚の例えば一番下の段を1段目とし、上の段に上がるに従い2段目、3段目となるように“1”ずつ増加する値である。区画は、区画数によって特定される。商品棚の1つの段は、2以上の区画に区分される。区画数は、段数によって特定される段の例えば左端の区画を1区画目とし、右の区画にずれるに従い2区画目、3区画目となるように“1”ずつ増加する値である。
【0023】
したがって、例えば売場区分が“A”、棚番号が“1”、段数が“2”、区画数が“3”であった場合には、棚札IDで識別される電子棚札21は、A売場の1番目の商品棚の下から2段目でかつ左から3区画目に取り付けられていることとなる。
【0024】
商品情報は、商品コード、品目名、価格、付属情報等を含む。商品コード、品目名、価格、付属情報等は、同一レコードの棚札IDによって識別される電子棚札21に表示される商品の情報である。通常は、電子棚札21が取り付けられた区画に置かれている商品の情報が電子棚札21に表示される。一例としては、商品コード、品目名、価格及び付属情報が電子棚札21に表示される。商品コードは、バーコード又は二次元コードの形態で表示される場合もある。付属情報は、例えば「特売品」、「お勧め品」、「広告の品」、「付与ポイント数」等である。
【0025】
図1の説明に戻る。ストアサーバ12と棚札サーバ22とは、サーバ間ネットワーク33によって接続されている。この接続により、ストアサーバ12と棚札サーバ22とは、双方向のデータ通信が可能である。
【0026】
情報端末32は、商品棚の点検業務を行う従業員が携帯する。従業員は、定期的に売場を回って商品棚をチェックし、どの商品がどの場所に置かれているかという情報を情報端末32に入力する。具体的には従業員は、チェックした商品棚に置かれている商品毎に、その商品の商品コードと、売場区分、棚番号,段数及び区画数の棚情報とを情報端末32に入力する。売場区分は、その商品が置かれている売場の売場区分である。棚番号は、その商品が置かれている商品棚の棚番号である。段数は、その商品が置かれている段の段数である。区画数は、その商品が置かれている区画の区画数である。すなわち情報端末32に入力された棚情報は、商品が置かれている場所を示す場所情報である。以下では、情報端末32に入力された商品コードと棚情報との対データを棚点検データと称する。
【0027】
情報端末32に入力された棚点検データは無線送信され、アクセスポイント16を中継してストアサーバ12へと送信される。ストアサーバ12は、通信サーバ15を経由して棚点検データを上位サーバに送信する。上位サーバに送信された棚点検データは、例えば商品棚のレイアウト変更、あるいは商品の配置場所変更を検討する際の重要なデータとなる。
【0028】
本実施形態において、ストアサーバ12は、棚点検データを電子棚札システム20と共有するための支援機能、いわゆる共有支援機能を有している。すなわちストアサーバ12は、情報処理装置の一態様である。そこで次に、共有支援機能を有したストアサーバ12について詳細に説明する。
【0029】
図4は、ストアサーバ12の要部回路構成を示すブロック図である。ストアサーバ12は、プロセッサ41、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44、第1通信インターフェース45、第2通信インターフェース46及びシステム伝送路47等を備える。システム伝送路47は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路47は、プロセッサ41と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0030】
ストアサーバ12は、プロセッサ41と、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44、第1通信インターフェース45及び第2通信インターフェース46とを、システム伝送路47で接続することにより、コンピュータを構成する。
【0031】
プロセッサ41は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ41は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、ストアサーバ12としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ41は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ41は、複数のプロセッサコアを含み、複数の処理を並行して実行することが可能なマルチコア・プロセッサである。
【0032】
メインメモリ42は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ42は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ42は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ42は、プロセッサ41が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ42は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ41によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0033】
補助記憶デバイス43は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス43となり得る。補助記憶デバイス43は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ41での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス43は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0034】
時計44は、日付と時刻を計時する。プロセッサ41は、時計44によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0035】
第1通信インターフェース45は、サーバ間ネットワーク33で接続された棚札サーバ22との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。棚札サーバ22は、商品棚に設けられ、当該商品棚に置かれている商品に係る商品情報を表示可能な電子棚札21を制御するコントローラである。ここに第1通信インターフェース45は、当該コントローラ、つまりは棚札サーバ22と通信する通信手段として機能する。
【0036】
第2通信インターフェース46は、通信ネットワーク13に接続された各機器との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。すなわち第2通信インターフェース46は、各POS端末11とデータ通信を行う。また第2通信インターフェース46は、アクセスポイント16を介して情報端末32とデータ通信を行う。さらに第2通信インターフェース46は、通信サーバ15を介して上位サーバとデータ通信を行う。ここに第2通信インターフェース46は、上位サーバと通信する第2通信手段として機能する。
【0037】
かかる構成のストアサーバ12は、共有支援機能を実現するために、補助記憶デバイス43における記憶領域の一部を棚情報記憶部51の領域とし、メインメモリ42における揮発性メモリ領域の一部を第1バッファ52及び第2バッファ53の領域としている。第1バッファ52は、複数の棚点検データを上位サーバに送信するまで一時的に記憶するための領域である。第2バッファ53は、複数の商品情報を電子棚札システム20に送信するまで一時的に記憶するための領域である。
【0038】
図5は、棚情報記憶部51の構成を示す模式図である。図示するように棚情報記憶部51は、複数の棚情報ファイル511を記憶するための領域である。棚情報ファイル511は、商品コードと、売場区分、棚番号、段数及び区画数の棚情報とを記述したデータファイルである。ストアサーバ12は、情報端末32から受信した棚点検データを基に棚情報ファイル511を作成し、棚情報記憶部51で記憶する。ここに棚情報記憶部51は、記憶手段として機能する。
【0039】
またストアサーバ12は、共有支援機能を実現するために、プロセッサ41を、取得手段61、付加手段62、送信手段63及び第2送信手段64として機能させる。
取得手段61は、電子棚札21に表示すべき商品情報を取得する機能である。電子棚札21に表示すべき商品情報は、例えば品目名と価格である。このような商品情報は、商品マスタ14に記憶されている。取得手段61は、商品マスタ14から電子棚札21に表示すべき商品情報を取得する。
【0040】
付加手段62は、取得手段61により取得した商品情報に、当該商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す場所情報を付加する機能である。場所情報は、どの売場の、どの商品棚の、どの段の、どの区画かということを示す情報であり、情報端末32に入力された棚情報に相当する。棚情報は、棚情報記憶部51に記憶されている棚情報ファイル511に含まれている。付加手段62は、棚情報ファイル511に含まれている棚情報の中から、商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す棚情報を検出し、その棚情報、つまりは場所情報を取得手段61により取得した商品情報に付加する。
【0041】
送信手段63は、場所情報が付加された商品情報を棚札サーバ22に送信する機能である。送信手段63は、第1通信インターフェース45に接続されたサーバ間ネットワーク33を介して、場所情報が付加された商品情報を棚札サーバ22に送信する。なお、送信手段63は、場所情報が付加されていない商品情報を棚札サーバ22に送信する場合もある。
【0042】
第2送信手段64は、情報端末32を介して入力された場所情報を上位サーバに送信する機能である。情報端末32を介して入力される場所情報は、棚点検データに含まれる棚情報である。第2送信手段64は、アクセスポイント16を介して受信した棚点検データを、通信サーバ15を経由して上位サーバへと送信する。
【0043】
取得手段61、付加手段62、送信手段63及び第2送信手段64としての機能は、いずれもプロセッサ41が業務プログラムに従って実行する情報処理によって実現される。業務プログラムは、メインメモリ42又は補助記憶デバイス43に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。業務プログラムをメインメモリ42又は補助記憶デバイス43にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に業務プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により業務プログラムを配信して、メインメモリ42又は補助記憶デバイス43にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0044】
業務プログラムには、商品棚の点検業務を支援する第1モードのプログラムと、商品マスタ14のメンテナンス業務を支援する第2モードのプログラムとがある。因みに、商品マスタ14のメンテナンス業務とは、商品マスタ14に保存されている商品レコード141の追加、削除、修正等を行う業務である。例えば、複数台のPOS端末11のうち任意の1台をメンテナンス専用機とする。以下では、メンテナンス専用のPOS端末を専用POS端末111と表す。メンテナンス業務を担当する従業員は、新たに発売される商品の商品レコード141を商品マスタ14に追加するためのデータを専用POS端末111に入力する。従業員は、販売を終了した商品の商品レコード141を商品マスタ14から削除するためのデータを専用POS端末111に入力する。従業員は、例えば通常価格又は特売価格の変更があった商品の商品レコード141を修正するためのデータを専用POS端末111に入力する。このようなデータ入力により、専用POS端末111からストアサーバ12に商品マスタ14の保守データが送信されて、商品マスタ14のメンテナンスが行われる。
【0045】
図6及び
図7は、プロセッサ41が業務プログラムに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。具体的には、
図6は第1モードが選択されたときの手順を示しており、
図7は第2モードが選択されたときの手順を示している。なお、流れ図を用いて説明する情報処理の内容と手順は一例である。同様な作用効果を奏し得るのであれば、その内容及び手順は適宜変更することができる。
【0046】
商品棚の点検業務を行う従業員が、情報端末32を操作して業務の開始を指令する。この指令を受けると、ストアサーバ12のプロセッサ41は、第1モードを選択する。そしてプロセッサ41は、
図6の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。
【0047】
プロセッサ41は、ACT1として棚点検データを受信するのを待ち受ける。従業員が商品棚に置かれている商品の商品コードと、売場区分、棚番号,段数及び区画数の棚情報とを情報端末32に入力すると、商品コードと棚情報との対データである棚点検データが情報端末32から無線送信される。無線送信された棚点検データは、アクセスポイント16で受信され、通信ネットワーク13を通じてストアサーバ12へと送信される。
【0048】
棚点検データを受信したプロセッサ41は、ACT2へと進む。プロセッサ41は、ACT2として棚点検データを第1バッファ52に書き込む。次いで、プロセッサ41は、ACT3として棚点検データから商品コードを取得する。またプロセッサ41は、ACT4として棚点検データから棚情報を取得する。そしてプロセッサ41は、ACT5として商品コードと棚情報とで棚情報ファイル511を作成する。プロセッサ41は、ACT6として棚情報ファイル511を棚情報記憶部51で記憶する。
【0049】
ACT2乃至ACT6の処理を終えると、プロセッサ41は、ACT7へと進む。プロセッサ41は、ACT7として点検業務の終了が指令されたか否かを確認する。
【0050】
従業員は、商品棚に置かれている各商品について、その商品の商品コードと当該商品が置かれている場所を示す棚情報とを情報端末32に入力する、点検業務としての作業を繰り返す。そして、点検業務としての作業を終了すると、従業員は、情報端末32を操作して業務の終了を指令する。
【0051】
ACT7において、プロセッサ41は、点検業務の終了が指令されていない場合、ACT1に戻る。そして、次の棚点検データを受信すると、プロセッサ41は、ACT2乃至ACT6の処理を再度実行する。このように、プロセッサ41は、情報端末32から棚点検データを受信する毎に、ACT2乃至ACT6の処理を繰り返し実行する。その結果、第1バッファ52には、全ての棚点検データが記憶される。また、棚点検データ毎に作成された棚情報ファイル511が棚情報記憶部51に記憶される。
【0052】
ACT7において、プロセッサ41は、点検業務の終了が指令されたことを検知すると、ACT8へと進む。プロセッサ41は、ACT8として第1バッファ52のデータを上位サーバに送信するように第2通信インターフェース46を制御する。この制御により、第1バッファ52に記憶された全ての棚点検データが通信サーバ15を経由して上位サーバに送信される。上位サーバにおいては、受信した棚点検データを基に、例えば商品棚のレイアウト変更、あるいは商品の配置場所変更等を検討する上で重要な要素となるデータが作成される。
【0053】
以上で、プロセッサ41は、
図6の流れ図に示す手順の第1モード選択時の情報処理を終了する。なお、ACT8の処理を終えた時点で、第1バッファ52はクリアされる。あるいは第1バッファ52は、情報端末32から業務の開始の指令を受けた時点でクリアされてもよい。
【0054】
ここに、プロセッサ41は、ACT8の処理により第2送信手段64としての機能を実現する。
【0055】
商品マスタ14のメンテナンス業務を担当する従業員が専用のPOS端末11を操作して業務の開始を指令する。この指令を受けると、ストアサーバ12のプロセッサ41は、第2モードを選択する。そしてプロセッサ41は、
図7の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。
【0056】
プロセッサ41は、ACT11として保守データを受信するのを待ち受ける。保守データは、例えば商品マスタ14に追加する商品レコード141のデータである。保守データは、例えば商品マスタ14から削除する商品レコード141のデータであってもよい。保守データは、例えば通常価格又は特売価格を変更した商品レコード141のデータであってもよい。
【0057】
POS端末11から保守データを受信すると、プロセッサ41は、ACT12へと進む。プロセッサ41は、ACT12としてその保守データに基づいて商品マスタ14を更新する。例えば保守データが商品マスタ14に追加する商品レコード141のデータである場合には、プロセッサ41は、その商品レコード141を商品マスタ14に追加する。例えば保守データが商品マスタ14から削除する商品レコード141のデータである場合には、プロセッサ41は、その商品レコード141を商品マスタ14から削除する。例えば保守データが通常価格又は特売価格を変更した商品レコード141のデータである場合には、プロセッサ41は、商品マスタ14に保存されている商品レコード141を通常価格又は特売価格を変更する。
【0058】
商品マスタ14を更新したプロセッサ41は、ACT13へと進む。プロセッサ41は、保守データによって更新された商品マスタ14の商品レコード141から商品コード、品目名、価格等の商品情報を取得する。そしてプロセッサ41は、ACT14として取得した商品情報の商品コードで棚情報記憶部51を検索する。プロセッサ41は、ACT15としてその商品コードを含む棚情報ファイル511が棚情報記憶部51に記憶されているか否かを確認する。
【0059】
取得した商品情報の商品コードを含む棚情報ファイル511が棚情報記憶部51に記憶されていない場合には、プロセッサ41は、ACT16へと進む。プロセッサ41は、ACT16として商品情報を第2バッファ53に書き込む。
【0060】
取得した商品情報の商品コードを含む棚情報ファイル511が棚情報記憶部51に記憶されている場合には、プロセッサ41は、ACT17へと進む。プロセッサ41は、ACT17としてその棚情報ファイル511から棚情報を取得する。プロセッサ41は、ACT18として商品情報に棚情報を付加する。プロセッサ41は、ACT19として棚情報を付加した商品情報を第2バッファ53に書き込む。
【0061】
ACT16又はACT19の処理を終えると、プロセッサ41は、ACT20へと進む。プロセッサ41は、ACT20としてメンテナンス業務の終了が指令されたか否かを確認する。
【0062】
従業員は、商品マスタ14のメンテナンスに必要なデータを専用POS端末111に入力する作業を繰り返す。そしてメンテナンス業務を終了すると、従業員は、専用POS端末111を操作して業務の終了を指令する。
【0063】
ACT20において、プロセッサ41は、メンテナンス業務の終了が指令されていない場合、ACT11に戻る。そして、次の保守データを受信すると、プロセッサ41は、ACT12乃至ACT19の処理を再度実行する。このように、プロセッサ41は、専用POS端末111から保守データを受信する毎に、ACT12乃至ACT19の処理を繰り返し実行する。その結果、第2バッファ53には、保守データに含まれていた商品情報が記憶される。また、その商品情報に含まれる商品コードと関連付けられた棚情報が棚情報記憶部51に記憶されている場合には、商品情報にその棚情報が付加されて第2バッファ53に記憶される。
【0064】
ACT20において、プロセッサ41は、メンテナンス業務の終了が指令されたことを検知すると、ACT21へと進む。プロセッサ41は、ACT21として第2バッファ53のデータを棚札サーバ22に送信するように第1通信インターフェース45を制御する。この制御により、第2バッファ53に記憶された全ての商品情報がサーバ間ネットワーク33を介して棚札サーバ22に送信される。したがって、商品情報に含まれる商品コードと関連付けられた棚情報が棚情報記憶部51に記憶されている場合には、その棚情報が付加された商品情報が棚札サーバ22に送信される。商品情報に含まれる商品コードと関連付けられた棚情報が棚情報記憶部51に記憶されていない場合には、棚情報が付加されていない商品情報が棚札サーバ22に送信される。
【0065】
以上で、プロセッサ41は、
図7の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。なお、ACT21の処理を終えた時点で、第2バッファ53はクリアされる。あるいは第2バッファ53は、専用POS端末111から業務の開始の指令を受けた時点でクリアされてもよい。
【0066】
ここに、プロセッサ41は、ACT13の処理により取得手段61としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT18の処理により付加手段62としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT21の処理により送信手段63としての機能を実現する。
【0067】
以上詳述したように、ストアサーバ12は、取得手段61により、電子棚札21に表示すべき商品情報を取得し、付加手段62により、その商品情報に当該商品情報で特定される商品が置かれている場所を示す場所情報を付加し、送信手段63により、場所情報が付加された商品情報を棚札サーバ22に送信する機能を実現している。この機能により、商品棚の点検業務において情報端末32から受信した棚点検データの棚情報、すなわち商品の場所情報を、当該場所情報に相当する電子棚札21の位置情報を有した電子棚札システムで共有することが可能となる。その結果、電子棚札システム20においては、例えば共有した場所情報(棚情報)に相当する位置情報を有する電子棚札21に表示されている商品の情報が、当該場所情報(棚情報)と対になった商品コードで識別される商品の情報であるか否かをチェックすることができる。すなわち、商品棚の点検業務に合わせて電子棚札の表示をチェックすることができるので、大変効率的である。
【0068】
以上、一実施形態について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。
前記実施形態では、ストアサーバ12を情報処理装置の一態様として説明したが、情報処理装置の態様はストアサーバ12に限定されない。例えば、通信サーバ15を情報処理装置の一態様としてもよい。また、専用のサーバをPOSシステム10に組み入れ、そのサーバを情報処理装置の一態様としてもよい。
【0069】
前記実施形態では、情報端末32を介して入力された場所情報を、ストアサーバ12が通信手段を介して受信し、棚情報記憶部51に記憶する場合を例示した。この点に関しては、情報端末32を介して入力された場所情報をリムーバブルな記録媒体に記録し、ストアサーバ12が有する媒体読込み手段で読み込んで、棚情報記憶部51に記憶してもよい。
【0070】
商品棚の点検業務は、商品が商品棚のどの場所に置かれているかという情報を情報端末に入力する業務には限らない。例えば、商品棚に残っている在庫数を入力する棚卸の業務であってもよい。
【0071】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10…POSシステム、11…POS端末、12…ストアサーバ、13…通信ネットワーク、14…商品マスタ、15…通信サーバ、16…アクセスポイント、20…電子棚札システム、21…電子棚札、22…棚札サーバ、23…通信ネットワーク、24…棚札マスタ、31…広域通信網、32…情報端末、33…サーバ間ネットワーク、41…プロセッサ、42…メインメモリ、43…補助記憶デバイス、44…時計、45…第1通信インターフェース、46…第2通信インターフェース、47…システム伝送路、51…棚情報記憶部、52…第1バッファ、53…第2バッファ、61…取得手段、62…付加手段、63…送信手段、64…第2送信手段。