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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137269
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048727
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】511265154
【氏名又は名称】SPPテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100172362
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達哉
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 昌浩
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004CA01
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA18
5F004DB01
5F004EA02
5F004EA06
5F004EA28
5F004EA37
(57)【要約】
【課題】周辺がエッチングされた基板の一部分をエッチングして厚みを小さくする際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制することが可能な基板処理方法を提供する。
【解決手段】この基板処理方法は、シリコンを含む基板200の第1領域210および第2領域220の周辺をエッチングする第1エッチング工程と、第1エッチング工程により周辺がエッチングされた状態の第1領域210の高さが第2領域220の高さよりも小さくなるように、第1領域210をエッチングする第2エッチング工程と、を備える。第1エッチング工程は、第1領域210の幅が第1幅W1を有するように第1領域210の周辺をエッチングする第1工程と、第1工程後、第1領域210の幅が第1幅よりも小さい第2幅W2を有するように第1領域210の周辺をエッチングする第2工程とを含み、第1領域210に段差230を形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含む基板の第1領域および第2領域の周辺をエッチングする第1エッチング工程と、
前記第1エッチング工程により周辺がエッチングされた状態の前記第1領域および前記第2領域のうち、前記第1領域の高さが前記第2領域の高さよりも小さくなるように、前記第1領域をエッチングする第2エッチング工程と、を備え、
前記第1エッチング工程は、前記第1領域の幅が第1幅を有するように前記第1領域の周辺をエッチングする第1工程と、前記第1工程後、前記第1領域の幅が前記第1幅よりも小さい第2幅を有するように前記第1領域の周辺をエッチングする第2工程とを含み、前記第1領域に段差を形成する、基板処理方法。
【請求項2】
前記第2エッチング工程は、前記第1領域の高さが前記第2領域の高さよりも所定の長さだけ小さくなるように、前記第1領域をエッチングし、
前記第1エッチング工程は、前記第1工程において、前記所定の長さに対応する深さだけ、前記第1領域の周辺をエッチングする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1エッチング工程は、ボッシュプロセスによるドライエッチングにより、前記第1工程において、凹凸形状のスキャロップの凹部の大きさが小さくなるように、前記第1領域の周辺をエッチングし、前記第2工程において、前記第1工程よりもスキャロップの凹部の大きさが大きくなるように、前記第1領域の周辺をエッチングすることにより、前記第1領域に段差を形成する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第1エッチング工程は、前記第2工程において、前記第1工程よりもエッチング時間、圧力、ガス流量およびコイル印加電力のうち少なくとも1つを大きくして、前記第1工程よりもスキャロップの大きさが大きくなるように、前記第1領域の周辺をエッチングする、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第1領域および前記第2領域は、平面視において、各々、櫛歯状に加工されるとともに、櫛歯の歯が互いに交互に配置されるように加工される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項6】
シリコンを含む基板が配置される処理室と、
基板を処理するためのガスを前記処理室に供給するガス供給部と、
前記処理室内のガスをプラズマ化するプラズマ生成部と、
前記ガス供給部および前記プラズマ生成部を制御して基板に対するエッチング処理を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記処理室に配置された基板の第1領域および第2領域の周辺をエッチングする第1エッチング工程と、前記第1エッチング工程により周辺がエッチングされた状態の前記第1領域および前記第2領域のうち、前記第1領域の高さが前記第2領域の高さよりも小さくなるように、前記第1領域をエッチングする第2エッチング工程と、を行うエッチング処理を制御し、
前記第1エッチング工程は、前記第1領域の幅が第1幅を有するように前記第1領域の周辺をエッチングする第1工程と、前記第1工程後、前記第1領域の幅が前記第1幅よりも小さい第2幅を有するように前記第1領域の周辺をエッチングする第2工程とを含み、前記第1領域に段差を形成する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理方法および基板処理装置に関し、特に、基板をエッチングする基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板をエッチングする基板処理方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、シリコンを含む基板に細長形状のトーションバーを形成するために、トーションバーに対応する部分の周辺をエッチングし、その後、トーションバーに対応する部分をエッチングしてトーションバーの厚みを小さくして、トーションバーを形成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5223381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、細長形状のトーションバーの周辺がエッチングされた状態で、厚みを小さくするようにトーションバーをエッチングする場合がある。この時、エッチングを行う際に保護膜により基板を保護する作用がエッチングにより基板を削る作用よりも強い場合には、保護膜近傍の基板がエッチングされにくいため、トーションバーの保護膜近傍の端部にフェンス状の残渣が形成されると考えられる。一方、エッチングを行う際にエッチングにより基板を削る作用が保護膜により基板を保護する作用よりも強い場合には、エッチングによりトーションバーの端部が削られて、肩欠けが発生すると考えられる。また、エッチング処理の条件を調整して、保護膜により基板を保護する作用とエッチングにより基板を削る作用とのバランスを調整することにより、フェンス状の残渣の形成を抑制しつつ、肩欠けの発生を抑制することが可能であるものの、精度よくエッチング処理の条件を調整する必要がある。このため、保護膜により基板を保護する作用とエッチングにより基板を削る作用とのバランスを調整するために、エッチングの条件を調整することは、非常に困難である。その結果、周辺がエッチングされた基板の一部分をエッチングして厚みを小さくする際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制することが困難であるという課題がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、周辺がエッチングされた基板の一部分をエッチングして厚みを小さくする際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制することが可能な基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の局面による基板処理方法は、シリコンを含む基板の第1領域および第2領域の周辺をエッチングする第1エッチング工程と、第1エッチング工程により周辺がエッチングされた状態の第1領域および第2領域のうち、第1領域の高さが第2領域の高さよりも小さくなるように、第1領域をエッチングする第2エッチング工程と、を備え、第1エッチング工程は、第1領域の幅が第1幅を有するように第1領域の周辺をエッチングする第1工程と、第1工程後、第1領域の幅が第1幅よりも小さい第2幅を有するように第1領域の周辺をエッチングする第2工程とを含み、第1領域に段差を形成する。
【0008】
本発明の第1の局面による基板処理方法では、上記のように、第1エッチング工程は、第1領域の幅が第1幅を有するように第1領域の周辺をエッチングする第1工程と、第1工程後、第1領域の幅が第1幅よりも小さい第2幅を有するように第1領域の周辺をエッチングする第2工程とを含み、第1領域に段差を形成する。これにより、第1エッチング工程において、段差ができるように第1領域の上部の幅を大きくすることができる。その結果、第2エッチング工程において、第1領域をエッチングした際に、第1領域の上部にフェンス状の残渣が形成されたとしても、幅が小さくなる段差部分までエッチングされると第1領域においてフェンス状の残渣を支持することができなくなるため、フェンス状の残渣が除去される。これにより、フェンス状の残渣の形成を確実に抑制することができる。また、第1領域の上部に肩欠けが発生したとしても、幅が小さくなる段差部分までエッチングされると幅が小さくなる分、端部の肩欠けの発生を抑制することができる。これらの結果、周辺がエッチングされた基板の一部分をエッチングして厚みを小さくする際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制することができる。また、保護膜により基板を保護する作用とエッチングにより基板を削る作用とのバランスを調整するために、第2エッチング工程におけるエッチング処理の条件を精度よく調整する必要がないので、エッチング処理の条件の設定作業が煩雑になるのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による基板処理方法において、好ましくは、第2エッチング工程は、第1領域の高さが第2領域の高さよりも所定の長さだけ小さくなるように、第1領域をエッチングし、第1エッチング工程は、第1工程において、所定の長さに対応する深さだけ、第1領域の周辺をエッチングする。このように構成すれば、第2エッチング工程において第1領域の高さを小さくする高さ位置に合わせて、第1領域の幅が変化する段差を第1エッチング工程において形成することができる。
【0010】
上記第1の局面による基板処理方法において、好ましくは、第1エッチング工程は、ボッシュプロセスによるドライエッチングにより、第1工程において、凹凸形状のスキャロップの凹部の大きさが小さくなるように、第1領域の周辺をエッチングし、第2工程において、第1工程よりもスキャロップの凹部の大きさが大きくなるように、第1領域の周辺をエッチングすることにより、第1領域に段差を形成する。このように構成すれば、第1工程および第2工程においてスキャロップの大きさを調整することにより、第1領域の幅を変化させて容易に段差を形成することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、第1エッチング工程は、第2工程において、第1工程よりもエッチング時間、圧力、ガス流量およびコイル印加電力のうち少なくとも1つを大きくして、第1工程よりもスキャロップの大きさが大きくなるように、第1領域の周辺をエッチングする。このように構成すれば、第1エッチング工程において、第1工程と第2工程とで、エッチング時間、圧力、ガス流量およびコイル印加電力のうち少なくとも1つを調整することにより第1領域の幅を変化させてより容易に段差を形成することができる。
【0012】
上記第1の局面による基板処理方法において、好ましくは、第1領域および第2領域は、平面視において、各々、櫛歯状に加工されるとともに、櫛歯の歯が互いに交互に配置されるように加工される。このように構成すれば、櫛歯の歯の高さを互いに異なるように加工する際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制して、高さが異なる櫛歯状に基板を精度よく加工することができる。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第2の局面による基板処理装置は、シリコンを含む基板が配置される処理室と、基板を処理するためのガスを処理室に供給するガス供給部と、処理室内のガスをプラズマ化するプラズマ生成部と、ガス供給部およびプラズマ生成部を制御して基板に対するエッチング処理を制御する制御部と、を備え、制御部は、処理室に配置された基板の第1領域および第2領域の周辺をエッチングする第1エッチング工程と、第1エッチング工程により周辺がエッチングされた状態の第1領域および第2領域のうち、第1領域の高さが第2領域の高さよりも小さくなるように、第1領域をエッチングする第2エッチング工程と、を行うエッチング処理を制御し、第1エッチング工程は、第1領域の幅が第1幅を有するように第1領域の周辺をエッチングする第1工程と、第1工程後、第1領域の幅が第1幅よりも小さい第2幅を有するように第1領域の周辺をエッチングする第2工程とを含み、第1領域に段差を形成する。
【0014】
本発明の第2の局面による基板処理装置では、上記のように、第1エッチング工程は、第1領域の幅が第1幅を有するように第1領域の周辺をエッチングする第1工程と、第1工程後、第1領域の幅が第1幅よりも小さい第2幅を有するように第1領域の周辺をエッチングする第2工程とを含み、第1領域に段差を形成する。これにより、第1エッチング工程において、段差ができるように第1領域の上部の幅を大きくすることができる。その結果、第2エッチング工程において、第1領域をエッチングした際に、第1領域の上部にフェンス状の残渣が形成されたとしても、幅が小さくなる段差部分までエッチングされると第1領域において残渣を支持することができなくなるため、フェンス状の残渣が除去される。これにより、フェンス状の残渣の形成を確実に抑制することができる。また、第1領域の上部に肩欠けが発生したとしても、幅が小さくなる段差部分までエッチングされると幅が小さくなる分、端部の肩欠けの発生を抑制することができる。これらの結果、周辺がエッチングされた基板の一部分をエッチングして厚みを小さくする際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制することが可能な基板処理装置を提供することができる。また、保護膜により基板を保護する作用とエッチングにより基板を削る作用とのバランスを調整するために、エッチング処理の条件を精度よく調整する必要がないので、第2エッチング処理におけるエッチング処理の条件の設定作業が煩雑になるのを抑制することが可能な基板処理装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、周辺がエッチングされた基板の一部分をエッチングして厚みを小さくする際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】基板処理装置の概略構成を示した模式図である。
図2】加工処理した櫛歯状の基板を示した模式的な平面図である。
図3】基板処理方法の概要を説明するための模式図である。
図4】基板のエッチング処理において形成される段差を説明するための模式図である。
図5】基板のエッチング処理において段差を形成する際の処理条件の一例を示した図表である。
図6】基板のエッチング処理において一部分の厚みを小さくする際の状態を説明するための模式図である。
図7】比較例による基板のエッチング処理においてフェンス状の残渣を示した模式図である。
図8】フェンス状の残渣の形成を説明するための模式図である。
図9】比較例による基板のエッチング処理において肩欠けを示した模式図である。
図10】基板処理方法の第1例を説明するための模式図である。
図11】基板処理方法の第1例を説明するためのフロー図である。
図12】基板処理方法の第2例を説明するための模式図である。
図13】基板処理方法の第2例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1を参照して本実施形態の基板処理方法を行う基板処理装置100を説明する。
【0019】
(基板処理装置)
図1に示すように、基板処理装置100は、処理チャンバ10内にプラズマを形成して基板200のドライエッチングを行うプラズマ処理装置である。基板200は、シリコンにより形成されたシリコンウェハである。基板処理装置100は、たとえば、図2に示すように、基板200を櫛歯状の櫛歯電極ユニット201(櫛歯部201a、連結部201b)および櫛歯電極ユニット202(櫛歯部202a、連結部202b)を有するように加工する。具体的には、基板200の第1領域210には、櫛歯部201aが形成され、基板200の第2領域220には、櫛歯部202aが形成される。また、第1領域210および第2領域220は、平面視において、各々、櫛歯状に加工されるとともに、櫛歯の歯が互いに交互に配置されるように加工される。また、第1領域210の櫛歯部201aは、第2領域220の櫛歯部202aよりも、高さが小さくなるように形成される。さらに櫛歯部201aおよび櫛歯部202aは、基板200に対して垂直方向に浮いた状態である。櫛歯電極ユニット201および202が形成された基板200は、たとえば、加速度センサやジャイロセンサ(角速度センサ)や、振動ミラーなどのMEMSデバイスに用いられる。
【0020】
基板処理装置100は、処理チャンバ10と、基板載置部20と、ガス供給装置30と、プラズマ生成装置40と、排気装置50と、高周波電源60と、制御部70と、を備える。なお、処理チャンバ10は、特許請求の範囲の「処理室」の一例である。また、ガス供給装置30は、特許請求の範囲の「ガス供給部」の一例である。また、プラズマ生成装置40は、特許請求の範囲の「プラズマ生成部」の一例である。
【0021】
処理チャンバ10は閉塞空間を有し、閉塞空間内に基板載置部20を収容している。処理チャンバ10は、相互に連通した内部空間を有する上チャンバ11および下チャンバ12から構成される。処理チャンバ10には、シリコンを含む基板200が配置される。
【0022】
基板載置部20は、基板200が載置される載置面20aを有する。基板載置部20は、円板形状を有し、基台21と、基台21上に設置された静電チャック22と、静電チャック22の周囲を取り囲むリング部材23とを含む。基板載置部20は、昇降シリンダ25により処理チャンバ10内で昇降自在に設けられている。静電チャック22は、静電吸着用の電圧を印加する静電吸着用電源(図示せず)と接続されている。静電チャック22に電圧を印加すると、静電誘導により、基板200が静電チャック22の上面である載置面20aに吸着される。なお、基板載置部20には内部配管(図示せず)が設けられ、この内部配管に所定の冷媒を導入し、冷媒の温度を管理(例えば、10℃に管理)しながら、冷媒を循環させるチラー装置(図示せず)が取り付けられている。これにより、プラズマ処理の実行中、基板載置部20が冷却される。また、プラズマ処理の実行中、基板200の裏面には、所定の冷却ガス供給管(図示せず)から冷却ガス(Heガス等の不活性ガス)が供給され、基板200が冷却される。
【0023】
ガス供給装置30は、基板200を処理するためのガスを処理チャンバ10に供給する。具体的には、ガス供給装置30は、処理チャンバ10内にエッチングガスおよび保護膜形成ガスを供給する。ガス供給装置30は、エッチングガスとしてSFガスを供給するSFガス供給部31と、保護膜形成ガスとしてCガスを供給するCガス供給部32とを含む。各ガス供給部は、ガス供給用の分岐した供給管33により、上チャンバ11の上面から処理チャンバ10内に接続している。供給管33を介して、処理チャンバ10内にSFガスおよびCガスが供給される。
【0024】
プラズマ生成装置40は、処理チャンバ10内のガスをプラズマ化する。具体的には、プラズマ生成装置40は、処理チャンバ10内に供給されたガスにより誘導結合プラズマ(ICP)を生成する装置である。プラズマ生成装置40は、上チャンバ11の外周に設けられた螺旋状のコイル41と、このコイル41に高周波電力を供給する高周波電源42とを含む。高周波電源42によってコイル41に高周波電力を供給することにより、上チャンバ11内に供給されたガスがプラズマ化される。
【0025】
排気装置50は、処理チャンバ10内の圧力を減圧する。排気装置50は、処理チャンバ10内のガスを排気する真空ポンプ51と、真空ポンプ51を処理チャンバ10内に接続する排気管52とを含む。排気管52を介して、真空ポンプ51が処理チャンバ10内のガスを排気し、処理チャンバ10内を真空に近い所定の圧力状態とする。
【0026】
高周波電源60は、基板載置部20にバイアス電位用の高周波電力を供給する。高周波電源60は、基板載置部20の基台21に高周波電力を供給することで、基板載置部20(基台21)とプラズマとの間にバイアス電位を与える。
【0027】
制御部70は、基板処理装置100の各部を制御する。具体的には、ガス供給装置30およびプラズマ生成装置40を制御して基板200に対するエッチング処理を制御する。
【0028】
(基板処理方法の概要)
次に、本実施形態の基板処理方法の概要について説明する。本実施形態の基板処理方法は、図3(A)~(D)に示すように、シリコンを含む基板200の第1領域210および第2領域220の周辺をエッチングする第1エッチング工程と、第1エッチング工程により周辺がエッチングされた状態の第1領域210および第2領域220のうち、第1領域210の高さが第2領域220の高さよりも小さくなるように、第1領域210をエッチングする第2エッチング工程と、を備える。
【0029】
なお、第1領域210および第2領域220の周辺(第1エッチング工程においてエッチングを行う部分)とは、図2に示す例において、第1領域210(櫛歯部201a)に連結された連結部201b、および、第2領域220(櫛歯部202a)に連結された連結部202bを、含まない、周辺部分である。つまり、第1領域210および第2領域220の周辺(第1エッチング工程においてエッチングを行う部分)は、第1領域210(櫛歯部201a)と第2領域220(櫛歯部202a)とが対向する方向(Y方向)における第1領域210(櫛歯部201a)および第2領域220(櫛歯部202a)の隣接する部分(I)を含む。また、第1領域210および第2領域220の周辺(第1エッチング工程においてエッチングを行う部分)は、第1領域210(櫛歯部201a)の先端面(X方向において連結部201bとは反対側の端部)に隣接する部分(II)と、第2領域220(櫛歯部202a)の先端面(X方向において連結部202bとは反対側の端部)に隣接する部分(III)と、を含む。また、第1領域210および第2領域220は、三次元の領域である。つまり、第1領域210および第2領域220はX方向およびY方向(平面)に加えて、深さ方向(Z方向)の次元も含む領域である。
【0030】
そして、本実施形態の基板処理方法では、第1エッチング工程は、図3(B)および(C)に示すように、第1領域210の幅が第1幅W1を有するように第1領域210の周辺をエッチングする第1工程と、第1工程後、第1領域210の幅が第1幅W1よりも小さい第2幅W2を有するように第1領域210の周辺をエッチングする第2工程とを含み、第1領域210の側壁に段差230を形成する。
【0031】
具体的には、図3(D)に示すように、第2エッチング工程は、第1領域210の高さが第2領域220の高さよりも所定の長さL1だけ小さくなるように、第1領域210をエッチングする。また、図3(B)に示すように、第1エッチング工程は、第1工程において、所定の長さL1に対応する深さL2だけ、第1領域210の幅が第1幅W1を有するように第1領域210の周辺をエッチングする。第2エッチング工程においてエッチングする長さL1(第1領域210の高さを短くする量)は、たとえば、第1エッチング工程の第1工程においてエッチングした深さL2に対して、1倍以上1.1倍以下程度の長さが好ましい。つまり、長さL1は、深さL2の1倍以上1.3倍以下程度である。好ましくは、長さL1は、深さL1の1倍以上1.2倍以下程度である。より好ましくは、長さL1は、深さL2の1倍以上1.1倍以下程度である。また、L1およびL2は、基板200の面の平均値を用いてもよいし、基板200においてエッチングの量が大きい部分の値を用いてもよいし、エッチングの量が小さい部分の値を用いてもよい。
【0032】
また、第1エッチング工程は、図4に示すように、ボッシュプロセスによるドライエッチングにより、第1工程において、凹凸形状のスキャロップの凹部の大きさD1が小さくなるように、第1領域210の周辺をエッチングする。また、第2工程において、第1工程よりもスキャロップの凹部の大きさD2が大きくなるように、第1領域210の周辺をエッチングすることにより、第1領域210の側壁に段差230を形成する。なお、図4の第1領域210におけるスキャロップの大きさは、説明のために誇張して大きく描いている。
【0033】
ボッシュプロセスによるドライエッチングでは、保護膜の形成処理、異方性エッチング処理、および、等方性エッチング処理を、繰り返し複数回行う。保護膜の形成処理では、Cガスが供給されるとともに、放電によりプラズマを発生させて、基板200上に保護膜が形成される。異方性エッチング処理では、SFガスが供給されるとともに、放電によりプラズマを発生させる。そして、プラズマ中のイオンを基板200に衝突させて、底面の保護膜を除去する。等方性エッチング処理では、SFガスが供給されるとともに、放電によりプラズマを発生させる。そして、プラズマ中のラジカルが基板200のシリコンと反応して、保護膜が除去された部分のシリコンを等方的にエッチングする。保護膜の形成処理、異方性エッチング処理、および、等方性エッチング処理を行うサイクル毎に、スキャロップが形成される。なお、サイクル数は、エッチングする深さに応じて設定される。
【0034】
また、第1エッチング工程は、第2工程において、第1工程よりもエッチング時間、圧力、ガス流量およびコイルパワー(コイル印加電力)のうち少なくとも1つを大きくして、第1工程よりもスキャロップの大きさが大きくなるように、第1領域210の周辺をエッチングする。たとえば、図5に示すように、第2工程では、エッチング(Etch2)の時間を、第1工程よりも長くするとともに、エッチング(Etch2)の圧力を、第1工程よりも大きくする。ここで、エッチング処理において、エッチング(Etch1)では、異方性エッチングにより、主に底面の保護膜を除去する。また、エッチング(Etch2)では、等方性エッチングにより下方に加えて側方へのエッチングが進行する。つまり、エッチング(Etch2)の時間を長くすることにより、側方へのエッチングがより進行するため、スキャロップの大きさが大きくなる。なお、第2工程のエッチング(Etch2)におけるガス流量を、第1工程のエッチング(Etch2)におけるガス流量よりも多くしてもよい。また、第2工程のエッチング(Etch2)におけるコイルパワー(Coil RF)を、第1工程のエッチング(Etch2)におけるコイルパワーよりも大きくしてもよい。
【0035】
第2エッチング工程は、図6に示すように、第1エッチング工程において段差230が形成された状態の第1領域210の高さを小さくする場合、第1領域210の上部にフェンス状の残渣が形成されたとしても、幅が小さくなる段差230の部分までエッチングされると第1領域210においてフェンス状の残渣を支持することができなくなる。これにより、フェンス状の残渣が除去される。
【0036】
一方、基板の一部の領域の高さを小さくする場合に、段差230がない場合、図7に示す比較例のように、ボッシュプロセスにおけるエッチングを行う際に保護膜により基板を保護する作用がエッチングにより基板を削る作用よりも強い場合には、保護膜近傍の基板がエッチングされにくいため、基板の高さを小さくする領域の保護膜近傍の端部にフェンス状の残渣が形成される。具体的には、図8(A)に示す処理前の基板に対して、図8(B)において、保護膜を形成する。そして、図8(C)において、異方性エッチングにより底面の保護膜が除去される。ここで、保護膜が強い場合には、保護膜付近の基板(Si)のエッチングの進行が遅くなる。つまり、図8(D)において、中央部aよりも、保護膜に近い端部bの方が、エッチングの進行が遅くなる。具体的には、保護膜除去(異方性エッチング)後の等方性エッチング時に中央部aは面全体でラジカルと反応するのに対して、保護膜近傍の端部bでは、保護膜が付着しているため、基板(Si)のエッチングが進みにくい。このため、図8(E)に示すように、処理後の基板の保護膜に近い端部に、フェンス状の残渣が形成される。
【0037】
また、図9に示す比較例のように、ボッシュプロセスにおけるエッチングを行う際にエッチングにより基板を削る作用が保護膜により基板を保護する作用よりも強い場合には、エッチングにより基板の高さを小さくする領域の端部が削られて、肩欠けが発生する。
【0038】
(基板処理方法(第1例))
次に、本実施形態の基板処理方法の詳細について説明する。図10および図11に示すように、本実施形態の第1例による基板処理方法は、下記の工程S1~S9を備える。
【0039】
図11の工程S1では、図10(A)に示すように、基板200の表面(シリコン(Si)203上)に酸化膜(SiO)204を成膜する。酸化膜204の成膜は、たとえば、CVD法により行われる。なお、基板200は、支持基板208に絶縁層207を介してシリコン203の層が形成されている。つまり、シリコン203は、シリコンオンインシュレータ(SOI)である。なお、支持基板208は、シリコン203を加工後に貼り付けるようにしてもよい。また、支持基板208の材質は特に問わない。たとえば、支持基板208は、シリコンにより形成されていてもよいし、ガラスにより形成されていてもよい。また、支持基板208または絶縁層207にキャビティ(空洞)が形成されていてもよい。つまり、シリコン203は、Cavity-SOIでもよい。工程S2において、図10(B)に示すように、基板200の第2領域220に対応する位置にレジスト205のパターニングを行う。
【0040】
工程S3では、図10(C)に示すように、レジスト205をマスクにして、酸化膜204のエッチングを行い、レジスト205部分(第2領域220に対応する位置)以外の酸化膜204を除去する。工程S4では、図10(D)に示すように、レジスト205を剥離して、第2領域220に対応する位置のレジスト205を除去する。
【0041】
工程S5では、図10(E)に示すように、基板200の第1領域210および第2領域220に対応する位置にレジスト206のパターニングを行う。
【0042】
工程S6およびS7では、第1エッチング工程として、図10(F)に示すように、レジスト206をマスクにして、シリコン203のエッチングを行い、第1領域210および第2領域220の周辺をエッチングする。
【0043】
具体的には、工程S6では、第1エッチング工程の第1工程として、スキャロップが小さくなるように制御して、所定の深さL2だけシリコン203のエッチングを行う。つまり、工程S6の第1エッチング工程の第1工程は、所定の長さL1に対応する深さL2だけ、第1領域210の幅が第1幅W1を有するように第1領域210の周辺をエッチングする。
【0044】
そして、工程S7では、第1エッチング工程の第2工程として、スキャロップが大きくなるように制御して、シリコン203のエッチングを行う。
【0045】
工程S8では、図10(G)に示すように、レジスト206を剥離して、第1領域210および第2領域220に対応する位置のレジスト206を除去する。
【0046】
工程S9では、第2エッチング工程として、図10(H)に示すように、酸化膜204をマスクにして、シリコン203のエッチングを行う。これにより、第1領域210の高さを小さくする。
【0047】
つまり、工程S9の第2エッチング工程は、第1領域210の高さが第2領域220の高さよりも所定の長さL1だけ小さくなるように、第1領域210をエッチングする。
【0048】
その後、犠牲層となる絶縁層207(シリコン203の下方の層)が除去される。絶縁層207は、たとえば、酸化膜や窒化膜などである。これにより、第1領域210および第2領域220が櫛歯状に形成される。また、エッチングマスクとして残った酸化膜204を除去する。なお、酸化膜204は、絶縁層207(犠牲層)と同時に除去してもよい。
【0049】
(基板処理方法(第2例))
図12および図13に示すように、本実施形態の第2例による基板処理方法は、下記の工程S11~S19を備える。
【0050】
図13の工程S11では、図12(A)に示すように、基板200の表面(シリコン(Si)203上)に酸化膜(SiO)204を成膜する。酸化膜204の成膜は、たとえば、CVD法により行われる。なお、基板200は、支持基板208に絶縁層207を介してシリコン203の層が形成されている。つまり、シリコン203は、シリコンオンインシュレータ(SOI)である。なお、支持基板208は、シリコン203を加工後に貼り付けるようにしてもよい。また、支持基板208の材質は特に問わない。たとえば、支持基板208は、シリコンにより形成されていてもよいし、ガラスにより形成されていてもよい。また、支持基板208または絶縁層207にキャビティ(空洞)が形成されていてもよい。つまり、シリコン203は、Cavity-SOIでもよい。工程S12において、図12(B)に示すように、基板200の第2領域220に対応する位置にレジスト205のパターニングを行う。
【0051】
工程S13では、図12(C)に示すように、レジスト205をマスクにして、酸化膜204のエッチングを行い、レジスト205部分(第2領域220に対応する位置)以外の酸化膜204の高さを小さくする。工程S14では、図12(D)に示すように、基板200の第1領域210および第2領域220に対応する位置にレジスト206のパターニングを行う。
【0052】
工程S15では、図12(E)に示すように、レジスト206をマスクにして、酸化膜204のエッチングを行い、レジスト206部分(第1領域210および第2領域220に対応する位置)以外の酸化膜204を除去する。
【0053】
工程S16およびS17では、第1エッチング工程として、図12(F)に示すように、酸化膜204をマスクにして、シリコン203のエッチングを行い、第1領域210および第2領域220の周辺をエッチングする。なお、シリコン203のエッチング前にレジスト206を先に剥離除去してもよいし、レジスト206を除去せずに残して酸化膜204と一緒にマスクとして利用してもよい。
【0054】
具体的には、工程S16では、第1エッチング工程の第1工程として、スキャロップが小さくなるように制御して、所定の深さL2だけシリコン203のエッチングを行う。
【0055】
そして、工程S17では、第1エッチング工程の第2工程として、スキャロップが大きくなるように制御して、シリコン203のエッチングを行う。
【0056】
工程S18では、図12(G)に示すように、酸化膜204のエッチングを行い、第1領域210から酸化膜204を除去する。
【0057】
工程S19では、第2エッチング工程として、図12(H)に示すように、酸化膜204をマスクにして、シリコン203のエッチングを行う。これにより、第1領域210の高さを小さくする。
【0058】
つまり、工程S19の第2エッチング工程は、第1領域210の高さが第2領域220の高さよりも所定の長さL1だけ小さくなるように、第1領域210をエッチングする。
【0059】
その後、犠牲層となる絶縁層207(シリコン203の下方の層)が除去される。絶縁層207は、たとえば、酸化膜や窒化膜などである。これにより、第1領域210および第2領域220が櫛歯状に形成される。また、エッチングマスクとして残った酸化膜204を除去する。なお、酸化膜204は、絶縁層207(犠牲層)と同時に除去してもよい。
【0060】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
本実施形態の基板処理方法では、上記のように、第1エッチング工程は、第1領域210の幅が第1幅W1を有するように第1領域210の周辺をエッチングする第1工程と、第1工程後、第1領域210の幅が第1幅W1よりも小さい第2幅W2を有するように第1領域210の周辺をエッチングする第2工程とを含み、第1領域210に段差230を形成する。これにより、第1エッチング工程において、段差230ができるように第1領域210の上部の幅を大きくすることができる。その結果、第2エッチング工程において、第1領域210をエッチングした際に、第1領域210の上部にフェンス状の残渣が形成されたとしても、幅が小さくなる段差230の部分までエッチングされると第1領域210においてフェンス状の残渣を支持することができなくなるため、フェンス状の残渣が除去される。これにより、フェンス状の残渣の形成を確実に抑制することができる。また、第1領域210の上部に肩欠けが発生したとしても、幅が小さくなる段差230の部分までエッチングされると幅が小さくなる分、端部の肩欠けの発生を抑制することができる。これらの結果、周辺がエッチングされた基板200の一部分をエッチングして厚みを小さくする際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制することができる。また、保護膜により基板200を保護する作用とエッチングにより基板200を削る作用とのバランスを調整するために、エッチング処理の条件を精度よく調整する必要がないので、エッチング処理の条件の設定作業が煩雑になるのを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、第2エッチング工程は、第1領域210の高さが第2領域220の高さよりも所定の長さL1だけ小さくなるように、第1領域210をエッチングし、第1エッチング工程は、第1工程において、所定の長さL1に対応する深さL2だけ、第1領域210の周辺をエッチングする。これにより、第2エッチング工程において第1領域210の高さを小さくする高さ位置に合わせて、第1領域210の幅が変化する段差230を第1エッチング工程において形成することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、第1エッチング工程は、ボッシュプロセスによるドライエッチングにより、第1工程において、凹凸形状のスキャロップの凹部の大きさD1が小さくなるように、第1領域210の周辺をエッチングし、第2工程において、第1工程よりもスキャロップの凹部の大きさD2が大きくなるように、第1領域210の周辺をエッチングすることにより、第1領域210に段差230を形成する。これにより、第1工程および第2工程においてスキャロップの大きさを調整することにより、第1領域210の幅を変化させて容易に段差230を形成することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、第1エッチング工程は、第2工程において、第1工程よりもエッチング時間、圧力、ガス流量およびコイル印加電力のうち少なくとも1つを大きくして、第1工程よりもスキャロップの大きさが大きくなるように、第1領域210の周辺をエッチングする。これにより、第1エッチング工程において、第1工程と第2工程とで、エッチング時間、圧力、ガス流量およびコイル印加電力のうち少なくとも1つを調整することにより第1領域210の幅を変化させてより容易に段差230を形成することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、第1領域210および第2領域220は、平面視において、各々、櫛歯状に加工されるとともに、櫛歯の歯が互いに交互に配置されるように加工される。これにより、櫛歯の歯の高さを互いに異なるように加工する際に、フェンス状の残渣の形成および肩欠けの発生を確実に抑制して、高さが異なる櫛歯状に基板200を精度よく加工することができる。
【0066】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0067】
たとえば、上記実施形態では、図1に示した基板処理装置100を用いて基板処理方法を実施する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明の基板処理方法を実施する基板処理装置の装置構成は特に限定されず、図1の装置構成とは異なっていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、第1エッチング工程において、第1エッチング工程の第2工程において、等方性エッチングを行う際の時間および圧力を第1工程よりも大きくする構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1エッチング工程の第2工程において、他の条件を第1工程に対して異なるように設定してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、処理される基板200がSiを含むSi基板である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、処理される基板200がSiGeを含むSiGe基板であってもよいし、SiCを含むSiC基板であってもよい。
【0070】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0071】
(項目1)
シリコンを含む基板の第1領域および第2領域の周辺をエッチングする第1エッチング工程と、
前記第1エッチング工程により周辺がエッチングされた状態の前記第1領域および前記第2領域のうち、前記第1領域の高さが前記第2領域の高さよりも小さくなるように、前記第1領域をエッチングする第2エッチング工程と、を備え、
前記第1エッチング工程は、前記第1領域の幅が第1幅を有するように前記第1領域の周辺をエッチングする第1工程と、前記第1工程後、前記第1領域の幅が前記第1幅よりも小さい第2幅を有するように前記第1領域の周辺をエッチングする第2工程とを含み、前記第1領域に段差を形成する、基板処理方法。
【0072】
(項目2)
前記第2エッチング工程は、前記第1領域の高さが前記第2領域の高さよりも所定の長さだけ小さくなるように、前記第1領域をエッチングし、
前記第1エッチング工程は、前記第1工程において、前記所定の長さに対応する深さだけ、前記第1領域の周辺をエッチングする、項目1に記載の基板処理方法。
【0073】
(項目3)
前記第1エッチング工程は、ボッシュプロセスによるドライエッチングにより、前記第1工程において、凹凸形状のスキャロップの凹部の大きさが小さくなるように、前記第1領域の周辺をエッチングし、前記第2工程において、前記第1工程よりもスキャロップの凹部の大きさが大きくなるように、前記第1領域の周辺をエッチングすることにより、前記第1領域に段差を形成する、項目1または2に記載の基板処理方法。
【0074】
(項目4)
前記第1エッチング工程は、前記第2工程において、前記第1工程よりもエッチング時間、圧力、ガス流量およびコイル印加電力のうち少なくとも1つを大きくして、前記第1工程よりもスキャロップの大きさが大きくなるように、前記第1領域の周辺をエッチングする、項目3に記載の基板処理方法。
【0075】
(項目5)
前記第1領域および前記第2領域は、平面視において、各々、櫛歯状に加工されるとともに、櫛歯の歯が互いに交互に配置されるように加工される、項目1~4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【0076】
(項目6)
シリコンを含む基板が配置される処理室と、
基板を処理するためのガスを前記処理室に供給するガス供給部と、
前記処理室内のガスをプラズマ化するプラズマ生成部と、
前記ガス供給部および前記プラズマ生成部を制御して基板に対するエッチング処理を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記処理室に配置された基板の第1領域および第2領域の周辺をエッチングする第1エッチング工程と、前記第1エッチング工程により周辺がエッチングされた状態の前記第1領域および前記第2領域のうち、前記第1領域の高さが前記第2領域の高さよりも小さくなるように、前記第1領域をエッチングする第2エッチング工程と、を行うエッチング処理を制御し、
前記第1エッチング工程は、前記第1領域の幅が第1幅を有するように前記第1領域の周辺をエッチングする第1工程と、前記第1工程後、前記第1領域の幅が前記第1幅よりも小さい第2幅を有するように前記第1領域の周辺をエッチングする第2工程とを含み、前記第1領域に段差を形成する、基板処理装置。
【符号の説明】
【0077】
10:処理チャンバ(処理室)、30:ガス供給装置(ガス供給部)、40:プラズマ生成装置(プラズマ生成部)、70:制御部、100:基板処理装置、200:基板、210:第1領域、220:第2領域、230:段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13