(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137278
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】パレット昇降装置、搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 35/06 20060101AFI20240927BHJP
B66F 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65G35/06 K
B66F1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048741
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小川 教喜
(57)【要約】
【課題】パレット昇降装置において、送り込まれたパレットの支持と昇降の完了した他のパレットの送り出しとの双方を同時に実現可能とする。
【解決手段】パレット昇降装置は、パレットを支持して昇降させるための複数の支持部を備える。各前記支持部は、水平軸である第1軸に直交する方向に延伸し、前記第1軸の周りに回転するアームと、前記アームの両端に設けられた一対のローラと、を有する。それぞれの前記ローラは、ローラ軸が前記アームの長手方向に沿った第2軸に直交し、前記ローラ軸が前記第1軸と平行である、前記ローラが前記パレットを支持するための第1姿勢をとり得るように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の高さにおいて送り込まれたパレットを、第2の高さに上昇または下降させてから送り出す、パレット昇降装置であって、
前記パレットを支持して昇降させるための複数の支持部を備え、
各前記支持部は、
水平軸である第1軸に直交する方向に延伸し、自身の長手方向の中央に位置する前記第1軸の周りに回転するアームと、
前記アームの両端に設けられた一対のローラと、を有し、
それぞれの前記ローラは、
ローラ軸が前記アームの長手方向に沿った第2軸に直交し、
前記ローラ軸が前記第1軸と平行である、前記ローラが前記パレットを支持するための第1姿勢をとり得るように構成されている、パレット昇降装置。
【請求項2】
それぞれの前記ローラは、
前記ローラ軸が前記第2軸の周りに回転可能であって、
前記第1姿勢から前記第2軸の周りに前記ローラ軸が回転した、前記ローラが前記パレットから退避する第2姿勢をとり得るように構成されている、請求項1に記載のパレット昇降装置。
【請求項3】
各前記支持部は、
各前記ローラの前記ローラ軸と連動して前記第2軸の周りを公転する補助ローラと、前記アームの回転に伴って、前記補助ローラを案内して前記ローラの姿勢を前記第1姿勢と前記第2姿勢とに交互に変化させる補助ローラガイドと、を有する請求項2に記載のパレット昇降装置。
【請求項4】
前記第2姿勢にある前記ローラは、前記アームの側よりも反対の側の方が上方に位置する請求項2に記載のパレット昇降装置。
【請求項5】
前記アームに形成された一対の前記ローラのうち一方に前記パレットを積載した状態において前記アームが前記第1軸の周りに回転する間、一対の前記ローラのうち他方は、当該パレットとの当接に伴い撓むとともに、当該パレットとの当接の解除に伴い復元される請求項1に記載のパレット昇降装置。
【請求項6】
それぞれの前記ローラは、前記アームの前記第1軸の周りの回転に関わらず前記第1姿勢にあり、
前記アームに形成された一対の前記ローラのうち一方に前記パレットを積載した状態において前記アームが前記第1軸の周りに回転する間、一対の前記ローラのうち他方は当該パレットの周囲を移動する請求項1に記載のパレット昇降装置。
【請求項7】
前記第1の高さにおいて前記パレットを搬送する第1駆動ローラと、前記第2の高さにおいて前記パレットを搬送する第2駆動ローラと、を備えた請求項1から6の何れか1項に記載のパレット昇降装置。
【請求項8】
前記第1駆動ローラによる前記パレットの搬送と前記第2駆動ローラによる他の前記パレットの搬送とを同時に実行可能である請求項7に記載のパレット昇降装置。
【請求項9】
前記第1駆動ローラと前記第2駆動ローラとのそれぞれは、前記パレットの搬送の間前記パレットを側方から挟持する一方、前記アームが前記第1軸の周りに回転する間前記パレットから離れる請求項7に記載のパレット昇降装置。
【請求項10】
少なくとも一つの前記ローラが従動ローラである請求項7に記載のパレット昇降装置。
【請求項11】
前記アームのそれぞれは前記第1軸の周りの一方方向にのみ回転する請求項1から6の何れか1項に記載のパレット昇降装置。
【請求項12】
各前記支持部は、前記アームの長手方向の中央に形成されるとともに前記第1軸に沿って延伸するシャフトを有し、
複数の前記支持部の前記シャフトの間に架け渡され、複数の前記アームの回転を連動させるベルトを備えた請求項1から6の何れか1項に記載のパレット昇降装置。
【請求項13】
前記第1の高さに位置する搬送路に沿って、搬送方向にパレットを搬送する搬送部と、
前記搬送路の下方かつ前記第2の高さに位置する返送路に沿って、前記搬送方向と反対方向に前記パレットを搬送する返送部と、
前記パレットを前記搬送路から前記返送路に受け渡す下降部と、
前記パレットを前記返送路から前記搬送路に受け渡す上昇部と、を備えた搬送装置であって、
前記下降部および前記上昇部の少なくとも一方は、請求項1から6の何れか1項に記載のパレット昇降装置を備えた搬送装置。
【請求項14】
前記下降部および前記上昇部の双方が前記パレット昇降装置を備えた請求項13に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は貨物を積載したパレットを昇降させるパレット昇降装置、および当該パレット昇降装置を備え、かつ、パレットの搬送により貨物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガイドレールに沿って台車(パレット)を搬送する搬送装置における、上下に位置する搬送経路部および返送経路部の間において台車の搬送を行うための下降経路部および上昇経路部について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の上昇経路部のように、パレットを上下させる機構を搬送装置が備える場合、当該機構がパレットを上下させた後パレットを受け入れる位置に戻るまでの間、機構にパレットを積載させることができない。このため、上記搬送装置においては、複数のパレットの上下移送に時間を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るパレット昇降装置は、第1の高さにおいて送り込まれたパレットを、第2の高さに上昇または下降させてから送り出す、パレット昇降装置であって、前記パレットを支持して昇降させるための複数の支持部を備え、各前記支持部は、水平軸である第1軸に直交する方向に延伸し、自身の長手方向の中央に位置する前記第1軸の周りに回転するアームと、前記アームの両端に設けられた一対のローラと、を有し、それぞれの前記ローラは、ローラ軸が前記アームの長手方向に沿った第2軸に直交し、前記ローラ軸が前記第1軸と平行である、前記ローラが前記パレットを支持するための第1姿勢をとり得るように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
パレット昇降装置において、送り込まれたパレットの支持と昇降の完了した他のパレットの送り出しとの双方を同時に実現可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態1に係る搬送装置の拡大斜視図および支持部の拡大斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係る搬送装置の概略斜視図、概略平面図、および概略側面図である。
【
図3】本開示の実施形態1に係るローラの一方が第2姿勢である支持部の拡大斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態1に係る支持部の一部の概略側面図および概略平面図である。
【
図5】本開示の実施形態1に係るローラの第1姿勢から第2姿勢への移行の様子を示す支持部の一部と補助ローラガイドの一部との概略図である。
【
図6】本開示の実施形態1に係るローラの第2姿勢から第1姿勢への移行の様子を示す支持部の一部と補助ローラガイドの一部との概略図である。
【
図7】本開示の実施形態1に係る搬送部または返送部とパレット昇降装置との間のパレットの受け渡しにおける、搬送ユニット、返送ユニット、およびパレット昇降装置との一部の工程側面図である。
【
図8】本開示の実施形態1に係るパレット昇降装置の各駆動ローラと各パレットとの位置関係を示す、各駆動ローラと各パレットとの概略側面図である。
【
図9】本開示の実施形態1に係る複数の支持部をベルトにて連結した例を示すパレット昇降装置の拡大斜視図である。
【
図10】本開示の実施形態2に係る支持部の拡大斜視図である。
【
図11】本開示の実施形態2に係るパレット昇降装置によってパレットを支持および昇降している状態における、支持部の一つとパレットの一部との拡大側面図である。
【
図12】本開示の実施形態3に係る搬送装置の拡大斜視図および支持部の拡大斜視図である。
【
図13】本開示の実施形態3に係るパレット昇降装置によってパレットを支持および昇降している状態における、パレット昇降装置の一部とパレットとの拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
<搬送装置:概要>
本実施形態においては、貨物を積載したパレットを一定経路に沿って搬送することにより貨物を搬送する搬送装置について説明する。特に、本実施形態に係る搬送装置は、パレット上に自動車等の車体を積載し、当該車体を搬送する搬送装置である。本実施形態に係る搬送装置について、
図2を参照して説明する。
【0009】
図2は、本実施形態に係る搬送装置2の概略斜視
図202、概略平面
図204、および概略側面
図206をそれぞれ示す図である。
図2においては、搬送装置2によって搬送される車体Xについても併せて図示する。なお、概略平面
図204、および概略側面
図206については、後述する下降部10および上昇部12のそれぞれの近傍を拡大して示し、また、概略斜視
図202に全体を示す搬送装置2の一部を省略して示す。
【0010】
搬送装置2は、パレット4と、搬送部6と、返送部8と、下降部10と、上昇部12と、を備える。搬送装置2は、搬送部6、返送部8、下降部10、および上昇部12により一定経路に沿ってパレット4を搬送する。また、搬送装置2は、後述する方法により、車体Xを積載したパレット4を搬送部6によって搬送することにより、車体Xを搬送する。
【0011】
<搬送装置:パレット>
パレット4は、例えば、複数の踏板を枠体の開口に嵌合して有する板状部材である。例えば、パレット4は、枠体に取り付けられた治具を介して車体Xを保持しつつ、踏板上に作業者等が移乗して車体Xに対する部品の組付け等の作業が可能となるように構成されていてもよい。
【0012】
<搬送装置:搬送部>
搬送部6は、搬送方向DTに延伸する搬送路6Wに沿って、搬送方向DTにパレット4を搬送する。搬送装置2は、パレット4に車体Xを積載し、当該パレット4を搬送部6により搬送方向DTに搬送することにより、車体Xを搬送方向DTに搬送する。搬送部6は、例えば、複数の搬送ユニット6Uを搬送方向DTに配列して備える。搬送部6は、ある搬送ユニット6Uから搬送方向DTに隣接する搬送ユニット6Uへのパレット4の受け渡しを繰り返すことにより、パレット4を搬送方向DTに輸送する。
【0013】
搬送路6Wの始端に位置するパレット4上には、図示しない投入装置により搬送された車体Xが積載される。また、搬送路6Wの終端に位置するパレット4上からは、図示しない取り出し装置により車体Xが取り出される。後述する方法により、搬送路6Wの始端には、車体Xが積載されていないパレット4が搬送される。搬送装置2は、例えば、車体Xを積載された搬送路6Wの始端に位置するパレット4を搬送部6により順次搬送してもよい。当該方法により、搬送装置2は、同時に複数の車体Xを搬送部6により搬送してもよい。上述の通り、搬送部6により搬送されるパレット4上には作業者が移乗してもよく、当該作業者は搬送される車体Xに対する部品の組付け等の作業を行ってもよい。
【0014】
<搬送装置:返送部>
返送部8は、搬送方向DTと反対方向である返送方向DRに延伸する返送路8Wに沿って、返送方向DRにパレット4を搬送する。例えば、返送路8Wは、搬送路6Wの下方に位置し、平面視において少なくとも一部が搬送路6Wと重なる。このため、搬送部6と返送部8との一方は、第1の高さにおいてパレット4を搬送し、搬送部6と返送部8との他方は、第2の高さにおいてパレット4を搬送する。
【0015】
搬送装置2は、パレット4を返送部8により返送方向DRに搬送することにより、パレット4を返送路8Wの上流側に搬送する。返送部8は、例えば、複数の返送ユニット8Uを返送方向DRに配列して備える。返送部8は、ある返送ユニット8Uから返送方向DRに隣接する返送ユニット8Uへのパレット4の受け渡しを繰り返すことにより、パレット4を返送方向DRに輸送する。
【0016】
<搬送装置:下降部、上昇部>
下降部10は、搬送路6Wの終端まで搬送されたパレット4を下降させ、パレット4を搬送路6Wの終端から返送路8Wの始端に受け渡す。上昇部12は、返送路8Wの終端まで搬送されたパレット4を上昇させ、パレット4を返送路8Wの終端から搬送路6Wの始端に受け渡す。これにより、搬送装置2は、搬送部6と、返送部8と、下降部10と、上昇部12とにより、パレット4を循環させる。
【0017】
下降部10は、搬送路6Wの終端側に位置する搬送ユニット6U、および返送路8Wの始端側に位置する返送ユニット8Uと隣接するパレット昇降装置24を備える。また、上昇部12は、搬送路6Wの始端側に位置する搬送ユニット6U、および返送路8Wの終端側に位置する返送ユニット8Uと隣接するパレット昇降装置24を備える。下降部10と上昇部12とは、後述するローラ42の姿勢制御の方法を除き、同一構成のパレット昇降装置24を備えていてもよい。
【0018】
<搬送装置:搬送ユニットおよび返送ユニット>
搬送部6、返送部8、およびパレット昇降装置24について、
図1を参照してより詳細に説明する。
図1は、搬送装置2の一部の拡大斜視
図102、および、パレット昇降装置24の一部である後述の支持部32の拡大斜視
図104を示す図である。
【0019】
拡大斜視
図102は、特に、搬送装置2の上昇部12が備えるパレット昇降装置24と、当該パレット昇降装置24に隣接する搬送ユニット6Uおよび返送ユニット8Uとを拡大して示す斜視図である。搬送部6および返送部8のそれぞれは、拡大斜視
図102に示す搬送ユニット6Uおよび返送ユニット8Uのそれぞれと同一の構成を有する搬送ユニット6Uおよび返送ユニット8Uを複数備えていてもよい。また、下降部10は、拡大斜視
図102に示すパレット昇降装置24と同一の構成を有するパレット昇降装置24を備えていてもよい。
【0020】
搬送部6の搬送ユニット6Uは、レール26と、ローラ28と、摩擦駆動ユニット30とを有する。レール26は、搬送方向DTに沿って配置される。搬送ユニット6Uは、搬送方向DTおよび上下方向に直交する方向に間をおいて配置された2本のレール26を有する。ローラ28は、搬送方向DTに沿ってレール26のそれぞれに複数形成される。ローラ28は、各レール26に、2つのレール26の各ローラ28同士が向かい合うように配置される。
【0021】
摩擦駆動ユニット30は、2つのレール26のそれぞれに配置される。各摩擦駆動ユニット30は、上下方向に回転軸を有する駆動ローラ30Rを有する。2つの駆動ローラ30Rは、搬送されるパレット4が両者の間に位置するように配置される。特に、2つの駆動ローラ30Rは、パレット4を側方から挟持し、互いにパレット4の側面と摩擦するように配置される。
【0022】
ローラ28は、搬送方向DTおよび上下方向に直交する方向に延伸する回転軸に回転可能に拘束される。搬送ユニット6Uは、2つのレール26のそれぞれのローラ28上にパレット4を配置することにより、パレット4をローラ28に支持させる。
【0023】
この状態において、搬送ユニット6Uの摩擦駆動ユニット30は、2つの駆動ローラ30Rにパレット4を挟持させつつ、当該2つの駆動ローラ30Rを回転軸周りに回転させる。これにより、摩擦駆動ユニット30は、2つの駆動ローラ30Rが挟持するパレット4を搬送方向DTに送り出す。ここで、各ローラ28が支持するパレット4との摩擦により、各ローラ28は回転軸周りに回転する。以上により、搬送ユニット6Uはローラ28により支持するパレット4を搬送路6Wに沿って搬送方向DTに搬送する。
【0024】
返送部8の返送ユニット8Uは、搬送ユニット6Uの下方に位置し、各駆動ローラ30Rの回転方向が反対であることを除いて、同一の構成を備える。このため、返送ユニット8Uはローラ28により支持するパレット4を返送路8Wに沿って返送方向DRに搬送する。搬送ユニット6Uと返送ユニット8Uとは、互いのレール26同士が互いに固定されることにより、一体として形成されていてもよい。
【0025】
<パレット昇降装置:概要>
パレット昇降装置24は、拡大斜視
図102に示すように、複数の支持部32と、複数の摩擦駆動ユニット30と、を備える。パレット昇降装置24が有する摩擦駆動ユニット30は、搬送ユニット6Uおよび返送ユニット8Uが有する摩擦駆動ユニット30と同一であってもよい。
【0026】
下降部10が備えるパレット昇降装置24は、搬送部6から送り込まれたパレット4を下降させ、返送部8に送り込む。上昇部12が備えるパレット昇降装置24は、返送部8から送り込まれたパレット4を上昇させ、搬送部6に送り込む。換言すれば、パレット昇降装置24は、第1の高さにおいて送り込まれたパレット4を、第2の高さに上昇または下降させてから送り出す装置である。
【0027】
特に、パレット昇降装置24は、複数の支持部32により搬送部6または返送部8から送り込まれたパレット4を支持しつつ昇降させ、搬送部6または返送部8に送り出す。搬送部6または返送部8から送り込まれたパレット4の受け入れ、および搬送部6または返送部8へのパレット4の送り出しは、摩擦駆動ユニット30により実行される。
【0028】
パレット昇降装置24が備える摩擦駆動ユニット30によるパレット4の駆動は、例えば、上述した通り、摩擦駆動ユニット30が含む2つの駆動ローラ30Rにパレット4を挟持させた状態において駆動ローラ30Rを回転させることにより実現する。
【0029】
特に、本実施形態において、パレット昇降装置24が備える摩擦駆動ユニット30は、搬送部6または返送部8の一方から送り込まれたパレット4を駆動する第1駆動ローラとしての駆動ローラ30Rを含む。また、パレット昇降装置24が備える摩擦駆動ユニット30は、搬送部6または返送部8の他方から送り込まれたパレット4を駆動する第2駆動ローラとしての駆動ローラ30Rを含む。
【0030】
パレット昇降装置24は、パレット4の搬送方向DTおよび上下方向に直交する方向において互いに向かい合う一対の支持部32を複数有する。また、複数の一対の支持部32は、パレット4の搬送方向DTと略同一の方向に整列する。一対の支持部32は、互いに後述するローラ42の側が向き合うように配置される。各支持部32は、平面視において、後述の方法によってパレット昇降装置24に送り込まれるパレット4と、後述するローラ42およびローラ軸44のみとが重なるように配置される。
【0031】
以降、特に記載しない限り、本実施形態に係るパレット昇降装置24は、上昇部12が備えるパレット昇降装置24を指す。
【0032】
<パレット昇降装置:支持部:概要>
支持部32について、支持部32の拡大斜視
図104を参照してより詳細に説明する。なお、支持部32の各部の説明をより簡素かつ明確に説明するために、
図1を含む各図においては支持部32が備える部材の一部を省略している場合がある。
【0033】
支持部32は、水平軸である第1軸に沿って延伸するシャフト34と、シャフト34の長手方向を軸に回転可能に拘束するシャフト軸受36と、シャフト34の回転を駆動するモータ等を有するシャフト駆動部38と、を有する。シャフト34は、搬送方向DTおよび上下方向に直交する方向に延伸する。シャフト軸受36は、例えば、地面に対し固定された不図示の土台にボルト36B等を介して固定される。これにより、シャフト34は、シャフト駆動部38により駆動され、搬送方向DTおよび上下方向に直交する方向の周りに回転可能である一方、地面に対し位置を固定されている。
【0034】
<パレット昇降装置:支持部:アームおよびローラ>
さらに、支持部32は、シャフト34の搬送路6Wの側の端部に固定されたアーム40と、アーム40の両端に設けられた一対のローラ42と、を有する。本実施形態において、支持部32は、各ローラ42の自転軸である一対のローラ軸44と、ローラ軸44が形成され、かつ、アーム40の両端に形成されたローラ軸支持部46と、を有する。
【0035】
アーム40はシャフト34の延伸方向と直交する方向の双方に延伸する。このため、アーム40の長手方向の中央にはシャフト34が位置し、アーム40はシャフト34の回転に伴ってシャフト34の延伸方向の周りに回転する。なお、拡大斜視
図104は、アーム40が上下方向に延伸する状態である支持部32を示す。
【0036】
各ローラ42は、ローラ軸44の周りに回転可能に拘束される。各ローラ軸44は、アーム40の長手方向に沿った第2軸と直交する。各ローラ軸支持部46はアーム40の長手方向の周りに回転可能に、アーム40に拘束される。このため、各ローラ42のローラ軸44は、アーム40の周りに回転可能であり、ひいては各ローラ42についても、アーム40の周りに回転可能である。
【0037】
本実施形態において、各ローラ42は、外力によってローラ軸44の周りを自転する従動ローラである。例えば、各ローラ42は、後述の方法により搬送されるパレット4との摩擦によってローラ軸44の周りを自転する。なお、ローラ42の一部は駆動ローラであってもよいが、ローラ42を回転させるための駆動部の個数を低減する観点から、全てのローラ42が従動ローラであってもよい。
【0038】
例えば、支持部32は、2つのローラ42として、ローラ軸44Aの周りを回転するローラ42Aと、ローラ軸44Bの周りを回転するローラ42Bと、を有する。特に、拡大斜視
図104は、ローラ42Aがアーム40の上端、ローラ42Bがアーム40の下端に位置する状態である支持部32を示す。また、支持部32は、2つのローラ軸支持部46として、ローラ軸44Aが形成されるローラ軸支持部46Aと、ローラ軸44Bが形成されるローラ軸支持部46Bと、を有する。
【0039】
2つのローラ42は、アーム40のシャフト34の周りの回転に伴い、第1軸の周り、換言すればシャフト34の長手方向の延長線の周りに公転する。例えば、本実施形態において、拡大斜視
図104に示す支持部32は、シャフト駆動部38により、ローラ42からシャフト34への方向にみて、シャフト34を反時計回りに回転させる。これに伴い、2つのローラ42は、ローラ42からシャフト34への方向にみて、第1軸の周りに反時計回りに公転する。
【0040】
<パレット昇降装置:支持部:ローラの姿勢>
ここで、拡大斜視
図104には、2つのローラ42が第1姿勢である状態について示している。ローラ42が第1姿勢である場合、当該ローラ42のローラ軸44は第1軸と並行、換言すれば、シャフト34の延伸方向と並行である。第1姿勢にあるローラ42は、アーム40の延伸方向の周りに回転しない限り、アーム40のシャフト34の周りの回転によらず常に第1姿勢を維持する。
【0041】
また、各ローラ42は、第1姿勢から第2軸の周り、換言すればアーム40の延伸方向の周りにローラ軸44がローラ軸支持部46とともに回転した第2姿勢をとり得る。第2姿勢のローラ42について、
図3を参照し詳細に説明する。
図3は支持部32の他の拡大斜視図であり、拡大斜視
図104と同一の方向から支持部32を示した図である。
【0042】
図3は、アーム40が上下方向に延伸する状態からシャフト34の周りに回転した状態における支持部32を示す。このため、2つローラ42のうち、ローラ42Aは
図1の状態から下方に移動し、ローラ42Bは
図1の状態から上方に移動している。また、
図3に示すローラ42Aは、ローラ軸支持部46Aがアーム40の周りに回転することに伴い、ローラ軸44Aがアーム40の周りに回転した第2姿勢をとり、ローラ42Bは第1姿勢を維持する。特に、本実施形態において、第2姿勢にあるローラ42Aは、アーム40の側よりも反対の側の方が上方に位置する。ローラ42Aの第2姿勢は、ローラ軸44Aが第1姿勢より約90度アーム40の周りに回転した姿勢であってもよい。
【0043】
<パレット昇降装置:支持部:補助ローラ>
本実施形態に係るローラ42の姿勢の変更は、支持部32が有する、補助ローラ48および
図1および
図3においては図示を省略した補助ローラガイドによって実現する。
【0044】
補助ローラ48は、アーム40の延伸方向の周りに回転可能に各ローラ軸支持部46に拘束された、第1補助ローラ50と第2補助ローラ52とを含む。このため、第1補助ローラ50と第2補助ローラ52とは、ローラ軸支持部46のアーム40の周りの回転に伴い、ローラ軸44と連動してアーム40の周りを公転する。第1補助ローラ50はローラ軸支持部46に直接形成されてもよく、第2補助ローラ52は補助ローラ支持部48Sを介してローラ軸支持部46に形成されてもよい。
【0045】
特に、ローラ軸支持部46Aには第1補助ローラ50Aと第2補助ローラ52Aとが形成され、ローラ軸支持部46Bには第1補助ローラ50Bと第2補助ローラ52Bとが形成される。このため、第1補助ローラ50Aと第2補助ローラ52Aとはローラ42Aとともにアーム40の周りを公転し、第1補助ローラ50Bと第2補助ローラ52Bとはローラ42Bとともにアーム40の周りを公転する。なお、拡大斜視
図104において、ローラ42Bの紙面向かって奥側に位置することを示すため、第1補助ローラ50Bは点線にて示されている。
【0046】
<パレット昇降装置:支持部:補助ローラガイド>
補助ローラガイドは、アーム40のシャフト34の周りの回転に伴って、補助ローラ48を案内してローラ42の姿勢を第1姿勢と第2姿勢とに交互に変化させる。補助ローラガイドの具体的構成について、さらに
図4を参照して詳細に説明する。
図4には、一つの支持部32の一部について抜き出して示す支持部32の概略側面
図402および概略平面
図404を示す。特に、概略側面
図402および概略平面
図404は、一つの支持部32のうち、シャフト34の一部、アーム40、ローラ42、ローラ軸支持部46、補助ローラ48、および補助ローラガイド54を抜き出して示す。概略側面
図402は、支持部32の一部をシャフト34の延伸方向にアーム40の側からみて示す図である。
【0047】
補助ローラガイド54は、第1ガイド部56、第2ガイド部58、第3ガイド部60、第4ガイド部62、第1ガイド支持部64、および第2ガイド支持部66を含む。
【0048】
第1ガイド部56、第2ガイド部58、第3ガイド部60、および第4ガイド部62は、アーム40のシャフト34の周りの回転に伴い、後述するように表面を補助ローラ48の外周面が摩擦する板状部材である。特に、第1ガイド部56、第2ガイド部58、第3ガイド部60、および第4ガイド部62は、シャフト34の延伸方向にアーム40の側からみて、アーム40がシャフト34の周りに回転した場合に補助ローラ48の外周面が通る軌跡と重なる位置にある。例えば、第1ガイド部56、第2ガイド部58、第3ガイド部60、および第4ガイド部62は、シャフト34を中心とした円周方向に長手方向を有する。
【0049】
第1ガイド部56および第2ガイド部58は第1ガイド支持部64に、第3ガイド部60および第4ガイド部62は第2ガイド支持部66に固定されている。第1ガイド支持部64および第2ガイド支持部66は地面に対し位置を固定されている。このため、第1ガイド部56、第2ガイド部58、第3ガイド部60、および第4ガイド部62は、アーム40のシャフト34の周りの回転によらず位置を固定されている。
【0050】
第1ガイド部56は、長手方向における上側の端部にシャフト34からアーム40への方向に突出する第1突出部68を有する。また、第2ガイド部58は、長手方向における下側の端部にアーム40からシャフト34への方向に突出する第2突出部70を有する。
【0051】
<パレット昇降装置:支持部:ローラの第1姿勢から第2姿勢への案内>
補助ローラガイド54による補助ローラ48の案内を介した、ローラ42の第1姿勢と第2姿勢との変化について、
図5および
図6を参照して説明する。
図5はローラ42Aが第1姿勢から第2姿勢に変化する様子を示す模式図であり、
図6はローラ42Aが第2姿勢から第1姿勢に変化する様子を示す模式図である。
図5および
図6に示す模式図は何れも、ローラ軸44Aの長手方向のうちローラ42Aからローラ軸支持部46Aへ向かう方向に、ローラ42Aおよび当該ローラ42Aの近傍をみた模式図である。
【0052】
模式
図502は、
図4に示すアーム40の延伸方向が上下方向に略一致し、ローラ42Aが第1姿勢にある状態を示す。シャフト34の回転により、ローラ42Aは模式
図502に向かって左方に移動する。ここで、第1ガイド部56の第1突出部68は、シャフト34の回転によるローラ42Aの移動に伴って移動する第1補助ローラ50Aの経路上に位置する。
【0053】
模式
図504は、模式
図502に示す状態からシャフト34が回転した状態を示す。模式
図504に示すように、シャフト34の回転およびローラ42Aの移動に伴い、第1補助ローラ50Aは第1突出部68と当接する。
【0054】
模式
図506は、模式
図504に示す状態からシャフト34がさらに回転した状態を示す。第1補助ローラ50Aと第1突出部68とが当接した状態からさらにシャフト34が回転することにより、アーム40のローラ42Aの側の端部は引き続き移動する一方、第1補助ローラ50Aの移動が第1突出部68によって妨げられる。これにより、模式
図506に示すように、第1補助ローラ50Aが第1突出部68に押され、これに伴い、ローラ軸支持部46Aがアーム40の周りに回転する。以上により、ローラ軸支持部46Aとともにローラ軸44Aおよびローラ42Aがアーム40の周りに回転する。
【0055】
模式
図508は、模式
図506に示す状態からシャフト34がさらに回転した状態を示す。模式
図508に示すように、第1補助ローラ50Aが第1突出部68を乗り越えるまでシャフト34が回転した場合、第1補助ローラ50Aの外周面が第1ガイド部56の側面と摩擦することにより第1補助ローラ50Aは自転し始める。
【0056】
また、模式
図508に示すように、第1補助ローラ50Aが第1突出部68を乗り越えるまでシャフト34が回転した場合、ローラ軸支持部46Aは、ローラ軸44Aの長手方向がシャフト34の長手方向と直交する位置まで、アーム40の周りに回転する。これにより、ローラ42Aの姿勢は、模式
図502に示す第1姿勢から、模式
図508に示す第2姿勢まで変化する。
【0057】
ローラ42Aの姿勢が第2姿勢である間、第2補助ローラ52Aの外周面は第2ガイド部58の側面と摩擦し、第2補助ローラ52Aは自転する。第2補助ローラ52Aの外周面と第2ガイド部58とが摩擦する間、ローラ42Aの姿勢は第2姿勢に維持される。
【0058】
<パレット昇降装置:支持部:ローラの第2姿勢から第1姿勢への案内>
模式
図602は、模式
図508に示す状態からシャフト34がさらに回転した状態を示す。模式
図508に示す状態からシャフト34が引き続き回転することにより、第2補助ローラ52Aは第2ガイド部58の第3ガイド部60の側の端部まで移動する。ここで、第3ガイド部60の第2突出部70は、第2補助ローラ52Aの経路上に位置する。
【0059】
模式
図604は、模式
図602に示す状態からシャフト34が回転した状態を示す。模式
図604に示すように、シャフト34の回転およびローラ42Aの移動に伴い、第2補助ローラ52Aは第2ガイド部58から離れ、第2突出部70と当接する。
【0060】
模式
図606は、模式
図604に示す状態からシャフト34がさらに回転した状態を示す。第2補助ローラ52Aと第2突出部70とが当接した状態からさらにシャフト34が回転することにより、アーム40のローラ42Aの側の端部は引き続き移動する一方、第2補助ローラ52Aの移動が第2突出部70によって妨げられる。これにより、模式
図606に示すように、第2補助ローラ52Aが第2突出部70に押され、これに伴い、ローラ軸支持部46Aがアーム40の周りに回転する。以上により、ローラ軸支持部46Aとともにローラ軸44Aおよびローラ42Aがアーム40の周りに回転する。
【0061】
模式
図608は、模式
図606に示す状態からシャフト34がさらに回転した状態であり、特に、アーム40が再び略上下方向に延伸する位置までシャフト34が回転した状態を示す。模式
図608に示すように、第2補助ローラ52Aが第2突出部70を乗り越えるまでシャフト34が回転した場合、第2補助ローラ52Aの外周面が第3ガイド部60の側面と摩擦することにより第2補助ローラ52Aは自転し始める。
【0062】
また、模式
図608に示すように、第2補助ローラ52Aが第2突出部70を乗り越えるまでシャフト34が回転した場合、ローラ軸支持部46Aは、ローラ軸44Aの長手方向がシャフト34の長手方向と並行となる位置まで、アーム40の周りに回転する。これにより、ローラ42Aの姿勢は、模式
図602に示す第2姿勢から、模式
図608に示す第1姿勢まで変化する。
【0063】
<パレット昇降装置:支持部:ローラの姿勢制御の補記>
模式
図608に示す状態からシャフト34がさらに回転した場合、第2補助ローラ52Aは引き続き第3ガイド部60の側面と摩擦し、また、第1補助ローラ50Aは第4ガイド部62の側面と摩擦する。このため、ローラ軸支持部46Aは、第1補助ローラ50Aおよび第2補助ローラ52Aを介して第3ガイド部60と第4ガイド部62とに挟持され、アーム40周りの回転が固定される。したがって、模式
図608に示す状態からシャフト34がさらに回転した場合、ローラ42Aが模式
図502に示す状態となるまでの間、ローラ42Aの姿勢は第1姿勢に維持される。
【0064】
ローラ42Aが模式
図502に示す状態である場合、ローラ42Bは模式
図608に示す状態である。このため、ローラ42Aが模式
図502に示す状態から模式
図608に示す状態まで変化する間、換言すれば、ローラ42Aの姿勢が、第1姿勢から第2姿勢に変化し、さらに第2姿勢から第1姿勢に変化する間、ローラ42Bの姿勢は第1姿勢に維持される。さらに、ローラ42Aが模式
図608に示す状態から模式
図502に示す状態まで変化する間、ローラ42Bの姿勢は、第1姿勢から第2姿勢に変化し、さらに第2姿勢から第1姿勢に変化する。
【0065】
以上により、ローラ42Aとローラ42Bとのそれぞれの姿勢は、シャフト34の回転に伴い、第1姿勢と第2姿勢とに交互に変化する。特に、上昇部12が備えるパレット昇降装置24の支持部32においては、上述の通り、シャフト34の回転に伴い、下降するローラ42の姿勢が第1姿勢から第2姿勢を経て再び第1姿勢に変化し、上昇するローラ42の姿勢が第1姿勢に維持される。
【0066】
<搬送装置によるパレットの受け渡し>
パレット昇降装置24による、搬送部6と返送部8との間におけるパレット4の受け渡しについて、
図7を参照して詳細に説明する。
図7は、上昇部12が備えるパレット昇降装置24が、返送部8から搬送部6へパレット4を移動させる際の、搬送部6、返送部8、および当該パレット昇降装置24の一部を拡大した工程側面図である。
【0067】
特に、
図7の各工程側面図は、拡大斜視
図102に示す方向DC、換言すれば、後述する2つのレール26の一方から他方への方向に、互いに隣接する搬送ユニット6Uおよび返送ユニット8Uとパレット昇降装置24とをみた拡大図である。
図7の各工程断面図においては、搬送されるパレット4を点線にて示し、パレット4よりも紙面に向かって奥側の部材についてパレット4を透過して示している。
【0068】
例えば、
図7の工程側面
図702に示すように、返送部8が、上昇部12と隣接する返送ユニット8U、換言すれば、返送路8Wの終端側まで、パレット4を搬送したとする。上記時点において、パレット昇降装置24は、各支持部32のアーム40の長手方向が上下方向と略一致するようにシャフト34の回転を制御する。この場合、ローラ42Aの上端の高さは搬送ユニット6Uのローラ28の上端の高さと略一致し、ローラ42Bの上端の高さは返送ユニット8Uのローラ28の上端の高さと略一致する。
【0069】
このため、返送ユニット8Uは、摩擦駆動ユニット30によるパレット4の送り出しにより、返送ユニット8Uからローラ42B上へパレット4を搬送できる。これにより、
図7の工程断面
図704に示すように、搬送装置2は返送部8からパレット昇降装置24に向けてパレット4を移動させる。
【0070】
なお、工程断面
図704に示すように、パレット昇降装置24が備える摩擦駆動ユニット30の少なくとも1組は、有する駆動ローラ30Rが返送ユニット8Uから送り込まれたパレット4を側方から挟持できる位置にある。このため、当該摩擦駆動ユニット30は、返送ユニット8Uから送り込まれたパレット4の全体が返送部8を離れパレット昇降装置24の支持部32まで移動するようにさらに駆動してもよい。あるいは、当該摩擦駆動ユニット30は、返送ユニット8Uから送り込まれたパレット4が支持部32上にて静止するように、駆動ローラ30Rの回転を停止させ、パレット4の移動を停止させてもよい。
【0071】
工程側面
図706に示すように、搬送装置2は、パレット4を返送ユニット8Uのローラ28上から支持部32のローラ42B上に移動させることにより、返送部8からパレット昇降装置24へのパレット4の受け渡しが完了する。
【0072】
次いで、パレット昇降装置24は、工程側面
図708に示すように、各支持部32のシャフト34を回転させることにより、ローラ42Bとともにローラ42B上のパレット4を上昇させる。ローラ42Bが上昇する間、工程側面
図708に示すように、ローラ42Aは下降する。
【0073】
ここで、下降するローラ42の姿勢は、上述した補助ローラガイド54による補助ローラ48の案内により、第1姿勢から第2姿勢に変化する。特に、第2姿勢において、ローラ軸44Aは、シャフト34の延伸方向と直交する向き、かつ、ローラ軸支持部46Aよりローラ42Aが上方となる向きとなる。このため、ローラ42B上のパレット4が上昇する間においても、ローラ42Aとパレット4との干渉は避けられる。換言すれば、ローラ42Aの第2姿勢は、ローラ42Aがローラ42B上のパレット4から退避する姿勢である。
【0074】
パレット昇降装置24は、工程側面
図710に示すように、各支持部32のシャフト34の延伸方向が上下方向と略一致するまで、当該シャフト34を回転させる。この場合、ローラ42Bの上端の高さは搬送ユニット6Uのローラ28の上端の高さと略一致し、ローラ42Aの上端の高さは返送ユニット8Uのローラ28の上端の高さと略一致する。これにより、パレット4は、ローラ42B上から搬送ユニット6Uのローラ28上に搬送可能となるまで上昇する。
【0075】
なお、本実施形態においては、工程側面
図710に示すように、パレット4の上昇が完了するまでに、上昇部12の側の返送ユニット8Uに他のパレット4が搬送されてもよい。返送ユニット8Uにおける他のパレット4の搬送は、パレット4の上昇が完了するまで上昇部12の手前にて停止してもよい。
【0076】
パレット4の上昇の完了に次いで、
図7の工程断面
図712に示すように、各摩擦駆動ユニット30はローラ42B上のパレット4を駆動ローラ30Rによって側方から挟持しつつ、駆動ローラ30Rを回転させて、搬送ユニット6Uのローラ28上に送り出す。これにより、搬送装置2はパレット昇降装置24から搬送部6に向けてパレット4を移動させる。
【0077】
また、パレット昇降装置24から搬送部6へのパレット4の移動と同時に、
図7の工程断面
図712に示すように、各摩擦駆動ユニット30は返送ユニット8Uのローラ28上の他のパレット4をローラ42A上に送り出す。これにより、搬送装置2は、パレット昇降装置24から搬送部6に向けてパレット4を移動させつつ、返送部8からパレット昇降装置24に向けて他のパレット4を移動させる。以上により、搬送装置2は、駆動ローラ30Rによるパレット昇降装置24から搬送部6へのパレット4の受け渡しと、他の駆動ローラ30Rによる返送部8からパレット昇降装置24への他のパレット4の受け渡しとを、同時に実行可能である。
【0078】
以降、ローラ42Aとローラ42Bとを読み換えて上記方法を実行することにより、パレット昇降装置24は上記他のパレット4を上昇させる。さらに以降、同一の方法を繰り返し実行することにより、搬送装置2は、返送部8からパレット昇降装置24を介して搬送部6へパレット4を逐次受け渡す。
【0079】
<パレットの受け渡しの間の摩擦駆動ユニットの動作>
パレット4が返送部8から搬送部6へ受け渡される間のパレット昇降装置24が備える摩擦駆動ユニット30の動作について、
図8を参照して説明する。
図8は、パレット昇降装置24が備える摩擦駆動ユニット30の各駆動ローラ30Rと各パレット4との位置関係を示す、各駆動ローラ30Rと各パレット4との概略側面図である。特に、概略側面
図802は、返送部8からパレット昇降装置24へのパレット4の受け渡しと、パレット昇降装置24から搬送部6へのパレット4の受け渡しと、を同時に実行している間における概略側面図である。また、概略側面
図804は、パレット昇降装置24がローラ42B上のパレット4を上昇させている間における概略側面図である。
【0080】
概略側面
図802に示すように、搬送部6または返送部8とパレット昇降装置24との間のパレット4の受け渡しを実行する場合、パレット昇降装置24の摩擦駆動ユニット30は、駆動ローラ30Rに各パレット4を側方から挟持させる。換言すれば、パレット昇降装置24が備える駆動ローラ30Rは、パレット4の搬送の間、パレット4を側方から挟持する。上記の場合、パレット4の搬送方向DTおよび上下方向と直交する方向において、一端側の駆動ローラ30Rから他端側の駆動ローラ30Rまでの距離は、パレット4の一端側から他端側までの距離と略同一となる。
【0081】
一方、概略側面
図802に示すように、パレット昇降装置24によるパレット4を上昇させる場合、パレット昇降装置24の摩擦駆動ユニット30は、駆動ローラ30Rをパレット4から退避させる。換言すれば、パレット昇降装置24が備える駆動ローラ30Rは、パレット4の昇降の間、換言すれば、アーム40がシャフト34の周りに回転する間、パレット4から離れる。
【0082】
特に当該摩擦駆動ユニット30は、駆動ローラ30Rを、パレット4の搬送方向DTおよび上下方向と直交する方向において、パレット4から離れる方向に移動させる。上記の場合、パレット4の搬送方向DTおよび上下方向と直交する方向において、一端側の駆動ローラ30Rから他端側の駆動ローラ30Rまでの距離は、パレット4の一端側から他端側までの距離よりも長くなる。
【0083】
これにより、パレット昇降装置24が備える摩擦駆動ユニット30は、搬送部6または返送部8とパレット昇降装置24との間のパレット4の受け渡しを実行しつつ、パレット4と駆動ローラ30Rとの干渉を低減できる。
【0084】
<シャフトの回転の連動>
なお、本実施形態においては、支持部32のシャフト34が、何れもローラ42からシャフト34への方向にみて反時計回りに回転する場合について説明したが、これに限られない。例えば、支持部32のシャフト34は、ローラ42からシャフト34への方向にみて時計回りに回転してもよい。
【0085】
一つのパレット昇降装置24が備える複数の支持部32の間においては、各支持部32のシャフト34の回転によらず、上方側のローラ42の高さ、および下方側のローラ42の高さが略一致してもよい。これにより、パレット昇降装置24の複数の支持部32が支持するパレット4の傾きを低減できる。特に、一つのパレット昇降装置24が備える複数の支持部32は、シャフト34の回転が連動してもよく、換言すれば、アーム40の回転が連動してもよい。
【0086】
複数の支持部32のシャフト34の回転を連動させる方法の一例について、
図9を参照して説明する。
図9は、パレット昇降装置24が有する支持部32のうち、パレット4の搬送方向DTに整列する2つの支持部32を抜き出して示す概略斜視図である。
【0087】
パレット昇降装置24は、パレット4の搬送方向DTに整列する2つの支持部32のシャフト34に架け渡されたベルト72をさらに備えていてもよい。当該ベルト72は、
図9に示す2つの支持部32とパレット4の搬送方向DTおよび上下方向に直交する方向において向かい合う他方の2つの支持部32のシャフト34に架け渡されてもよい。
【0088】
ベルト72は、上記2つの支持部32の間において、シャフト34の回転の伝達を介し、アーム40の回転を連動させる。これにより、パレット昇降装置24は、当該2つの支持部32の一方の支持部32のシャフト34の回転を駆動するのみにより、2つの支持部32の双方のアーム40を回転させることができる。
【0089】
<補記>
上昇部12が備えるパレット昇降装置24の支持部32は何れも、上述の通り、シャフト34の回転に伴い下降するローラ42の姿勢が、第1姿勢から第2姿勢を経て再び第1姿勢に戻る。また、上昇部12が備えるパレット昇降装置24の支持部32は何れも、上述の通り、シャフト34の回転に伴い上昇するローラ42の姿勢が、第1姿勢に維持される。
【0090】
これに対し、下降部10が備えるパレット昇降装置24の支持部32は何れも、シャフト34の回転に伴い上昇するローラ42の姿勢が、第1姿勢から第2姿勢を経て再び第1姿勢に戻る。また、下降部10が備えるパレット昇降装置24の支持部32は何れも、シャフト34の回転に伴い下降するローラ42の姿勢が、第1姿勢に維持される。当該支持部32は、補助ローラガイド54の各ガイド部の位置を適切に変更することにより達成してもよい。
【0091】
このため、下降部10が備えるパレット昇降装置24による、搬送部6から返送部8へのパレット4の受け渡しについても、上述した方法と同様の方法により実現する。例えば、搬送装置2は、搬送部6からパレット昇降装置24へのパレット4の移動、パレット昇降装置24によるパレット4の下降、およびパレット昇降装置24から返送部8へのパレット4の移動を実行し、搬送部6から返送部8にパレット4を受け渡す。
【0092】
以上により、搬送装置2は、搬送部6、下降部10、返送部8、および上昇部12の順にパレット4を受け渡すことにより、パレット4を循環させる。搬送装置2は、複数のパレット4を循環させつつ、搬送部6に位置する複数のパレット4のそれぞれに車体Xを載置することにより、複数の車体Xを順次搬送する。
【0093】
本実施形態において、パレット昇降装置24の支持部32のシャフト34およびアーム40は、何れも一方方向に回転するが、これに限られず、シャフト駆動部38は、シャフト34の回転方向を逆転可能であってもよい。例えば、支持部32は、アーム40が上下方向に延伸する状態から、アーム40の一方方向への半回転と、アーム40の逆方向への半回転とを繰り返すことにより、パレット4を昇降してもよい。この場合、ローラ軸支持部46のアーム40の周りの回転は、他のモータ等の駆動部によって実現してもよく、支持部32は、適宜各ローラ42の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間において変更してもよい。
【0094】
〔実施形態2〕
<可撓性を有するローラ>
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、以降の実施形態においては、前述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材について、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0095】
本実施形態に係る搬送装置2は、パレット昇降装置24が支持部32に代えて支持部74を備える点を除き、前実施形態に係る搬送装置2と同一の構成を備える。本実施形態に係る支持部74について
図10を参照して説明する。
図10は支持部74の拡大斜視図である。
【0096】
本実施形態に係る支持部74は、前実施形態に係る支持部32と比較して、ローラ42、ローラ軸44、およびローラ軸支持部46に代えて、それぞれ、ローラ76、ローラ軸78、およびローラ軸支持部80を備える。
【0097】
ローラ76は、アーム40の両端のそれぞれに形成され、シャフト34の回転に伴いシャフト34の周りに公転する。また、ローラ軸78はローラ軸支持部80に形成され、ローラ76は、ローラ軸78の周りに自転する。本実施形態において、ローラ軸支持部80はアーム40に固定されている。このため、ローラ76およびローラ軸78に後述する外力がかからない限り、ローラ軸78は常にシャフト34の延伸方向と略平行な方向に延伸する。
【0098】
本実施形態に係るローラ76およびローラ軸78は、何れも可撓性および弾性を有する。特に、ローラ76およびローラ軸78は、シャフト34の延伸方向と直交する方向の力が加わることにより、シャフト34の延伸方向と略平行に延伸する状態から、ローラ軸支持部80の側を軸に湾曲する。一方、ローラ76およびローラ軸78は、当該力が解除されることにより、シャフト34の延伸方向と略平行に延伸する状態まで復元する。なお、ローラ76およびローラ軸78は、シャフト34の延伸方向と完全に平行に延伸する状態まで復元していなくともよく、ローラ軸78の周りのローラ76の回転に支障がない程度まで復元すればよい。ローラ76およびローラ軸78は、ローラ42およびローラ軸44と比較して、軸方向の長さがより長くともよい。
【0099】
支持部74は、例えば、2つのローラ76として、ローラ軸78Aの周りを回転するローラ76Aと、ローラ軸78Bの周りを回転するローラ76Bと、を有する。特に、
図10は、ローラ76Aがアーム40の上端、ローラ76Bがアーム40の下端に位置する状態である支持部74を示す。また、支持部74は、2つのローラ軸支持部80として、ローラ軸78Aが形成されるローラ軸支持部80Aと、ローラ軸78Bが形成されるローラ軸支持部80Bと、を有する。
【0100】
上記点を除き、本実施形態に係る支持部74は、前実施形態に係る支持部32と同一の構成を備える。このため、本実施形態に係るパレット昇降装置24においても、支持部74の各ローラ76は、パレット4を支持するための第1姿勢をとり得る。
【0101】
本実施形態に係るパレット昇降装置24によるパレット4の昇降について、
図11を参照して説明する。
図11は、パレット昇降装置24によってパレット4を支持および昇降している状態における、支持部74の一つとパレット4の一部との拡大側面図である。特に、
図11は、支持部74の一つとパレット4の一部とを返送方向DRにみて示す図である。
【0102】
本実施形態における搬送部6または返送部8からパレット昇降装置24へのパレット4の搬送は、前実施形態における方法と同一の方法によって実現する。特に、
図11の拡大側面
図1102には、アーム40の延伸方向を上下方向とし、かつ、ローラ76Bをローラ76Aの下方とした状態において、返送部8のローラ28上から支持部74のローラ76B上までパレット4を搬送した状態について示している。
【0103】
本実施形態において、ローラ76およびローラ軸78は、上述の通り可撓性を有しつつも、パレット4の自重程度の力によっては湾曲しない程度の剛性を有してもよい。例えば、ローラ76およびローラ軸78は、ローラ76上にパレット4を積載した状態においてパレット4の支持に支障がない程度の剛性を有してもよい。
【0104】
ローラ76Aの下方に位置するローラ76B上にパレット4を積載した状態において、シャフト34およびアーム40が回転すると、パレット4とローラ76Bとが上昇するとともに、ローラ76Aが下降する。シャフト34およびアーム40の回転が継続することにより、ローラ76Aはローラ76B上のパレット4と当接する。
【0105】
このため、ローラ76Aはアーム40と反対の側においてローラ76B上のパレット4によって押し上げられる。これにより、拡大側面
図1104に示すように、ローラ76Aはローラ軸78Aとともに上方に撓む。
【0106】
引き続きシャフト34およびアーム40の回転が継続することにより、ローラ76Aとローラ76B上のパレット4との当接は解除される。これにより、ローラ76Aとローラ軸78Aとは、拡大側面
図1106に示すように、シャフト34の延伸方向と略同一の方向に延伸する第1姿勢まで復元する。
【0107】
本実施形態に係るパレット4の昇降においても、シャフト34およびアーム40は、アーム40の延伸方向が上下方向となり、かつ、ローラ76Bがローラ76Aの上方に位置するまで回転する。これにより、拡大側面
図1106に示すように、ローラ76B上のパレット4の上昇が完了する。本実施形態におけるパレット昇降装置24から搬送部6または返送部8へのパレット4の搬送は、前実施形態における方法と同一の方法によって実現する。特に、
図11の拡大側面
図1106に示す、上昇が完了したローラ76B上のパレット4は、支持部74のローラ76B上から搬送部6のローラ28上まで搬送される。
【0108】
拡大側面
図1106に示すように、ローラ76B上のパレット4の上昇が完了した時点において、ローラ76Aは第1姿勢まで復元している。このため、本実施形態に係る搬送装置2は、当該時点において返送部8のローラ28上の他のパレット4を支持部74のローラ76Aへ搬送することが可能である。換言すれば、本実施形態に係る搬送装置2は、パレット昇降装置24から搬送部6へのパレット4の搬送と、返送部8からパレット昇降装置24への他のパレット4の搬送とを、同時に実行できる。
【0109】
本実施形態において、下降部10が備えるパレット昇降装置24による、搬送部6から返送部8へのパレット4の受け渡しについても、上述した方法と同様の方法により実現する。以上により、本実施形態に係る搬送装置2は、搬送部6、下降部10、返送部8、および上昇部12の順にパレット4を受け渡すことにより、パレット4を循環させる。
【0110】
〔実施形態3〕
<パレットの周囲を通るローラ>
本開示のさらなる実施形態について、
図12を参照して以下に説明する。
図12は、搬送装置2の一部の拡大斜視
図1202、および、パレット昇降装置24の一部である後述の支持部82の拡大斜視
図1204を示す図である。
【0111】
本実施形態に係る搬送装置2は、実施形態1に係る搬送装置2と比較して、拡大斜視
図1202に示すように、パレット昇降装置24が支持部32に代えて支持部82を備える。また、本実施形態に係るパレット昇降装置24は、支持部82を摩擦駆動ユニット30より搬送方向DTの端部の側に備える。以上を除き、本実施形態に係る搬送装置2は、実施形態1に係る搬送装置2と同一の構成を備える。
【0112】
本実施形態に係る支持部82は、実施形態1に係る支持部32と比較して、拡大斜視
図1204に示すように、ローラ軸支持部46に代えて前実施形態に係るローラ軸支持部80を備える点を除き同一の構成を備える。換言すれば、本実施形態に係る支持部82は、実施形態1に係る支持部32と比較して、アーム40のシャフト34の周りの回転によらず、常にローラ42の姿勢が第1姿勢である点を除き、同一の構成を備える。
【0113】
なお、支持部82は、例えば、2つのローラ42として、ローラ軸44Aの周りを回転するローラ42Aと、ローラ軸44Bの周りを回転するローラ42Bと、を有する。特に、拡大斜視
図1204は、ローラ42Aがアーム40の上端、ローラ42Bがアーム40の下端に位置する状態である支持部82を示す。また、支持部82は、2つのローラ軸支持部80として、ローラ軸44Aが形成されるローラ軸支持部80Aと、ローラ軸44Bが形成されるローラ軸支持部80Bと、を有する。
【0114】
本実施形態に係るパレット昇降装置24によるパレット4の昇降について、
図13を参照して説明する。
図13は、パレット昇降装置24によってパレット4を支持および昇降している状態における、パレット昇降装置24の一部とパレット4との拡大側面図である。
【0115】
特に、
図13は、パレット昇降装置24のうち2つの支持部74を搬送方向DTおよび上下方向に直交する方向にみて示す。
図13においては、パレット4を点線にて示し、パレット4よりも紙面向かって奥側の部材を透過して示す。また、パレット4の全体を明確に図示するために、
図13におけるパレット4の搬送方向DTにおける縮尺は、パレット4の全体が
図13の各図に収まるように縮小されている。
【0116】
本実施形態における搬送部6または返送部8からパレット昇降装置24へのパレット4の搬送は、前述の各実施形態における方法と同一の方法によって実現する。特に、
図13の拡大側面
図1302には、アーム40の延伸方向を上下方向とし、かつ、ローラ42Bをローラ42Aの下方とした状態において、返送部8のローラ28上から支持部82のローラ42B上までパレット4を搬送した状態について示している。
【0117】
上述の通り、本実施形態に係るパレット昇降装置24は、支持部82を摩擦駆動ユニット30より搬送方向DTの端部の側に備える。このため、本実施形態に係るパレット昇降装置24の各支持部82は、搬送方向DTにおけるパレット4の端部をローラ42Bにて支持することにより、パレット4を支持する。
【0118】
ローラ42Aの下方に位置するローラ42B上にパレット4を積載した状態において、シャフト34およびアーム40が回転すると、パレット4とローラ42Bとが上昇するとともに、ローラ42Aが下降する。ここで、本実施形態において、拡大側面
図1304に示すように、各支持部82のアーム40は、パレット4を支持するローラ42Bが搬送方向DTにおけるパレット4の中央の側に移動するように回転する。例えば、拡大側面
図1304に示すように、紙面に向かって左側の支持部82のアーム40は紙面に向かって反時計回りに回転する一方、紙面に向かって右側の支持部82のアーム40は紙面に向かって時計回りに回転する。
【0119】
これにより、本実施形態において、拡大側面
図1304に示すように、各支持部82のローラ42Aは、搬送方向DTにおいてパレット4の端部よりもさらに周囲側を通りつつ下降する。以上により、各支持部82のローラ42Aは、パレット4の周囲を移動することにより、第1姿勢を維持したまま下降する。
【0120】
本実施形態に係るパレット4の昇降においても、シャフト34およびアーム40は、アーム40の延伸方向が上下方向となり、かつ、ローラ42Bがローラ42Aの上方に位置するまで回転する。これにより、拡大側面
図1306に示すように、ローラ42B上のパレット4の上昇が完了する。本実施形態におけるパレット昇降装置24から搬送部6または返送部8へのパレット4の搬送は、前述の各実施形態における方法と同一の方法によって実現する。特に、
図13の拡大側面
図1306に示す、上昇が完了したローラ42B上のパレット4は、支持部82のローラ42B上から搬送部6のローラ28上まで搬送される。
【0121】
図13の各図に示すように、アーム40の回転に関わらず、ローラ42Aの姿勢は第1姿勢にある。このため、本実施形態に係る搬送装置2は、支持部82のローラ42B上のパレット4の上昇が完了した時点において返送部8のローラ28上の他のパレット4をローラ42A上へ搬送することが可能である。換言すれば、本実施形態に係る搬送装置2は、パレット昇降装置24から搬送部6へのパレット4の搬送と、返送部8からパレット昇降装置24への他のパレット4の搬送とを、同時に実行できる。
【0122】
本実施形態において、下降部10が備えるパレット昇降装置24による、搬送部6から返送部8へのパレット4の受け渡しについても、上述した方法と同様の方法により実現する。以上により、本実施形態に係る搬送装置2は、搬送部6、下降部10、返送部8、および上昇部12の順にパレット4を受け渡すことにより、パレット4を循環させる。
【0123】
<まとめ>
(1)本開示の態様1に係るパレット昇降装置は、第1の高さにおいて送り込まれたパレットを、第2の高さに上昇または下降させてから送り出す、パレット昇降装置であって、前記パレットを支持して昇降させるための複数の支持部を備え、各前記支持部は、水平軸である第1軸に直交する方向に延伸し、自身の長手方向の中央に位置する前記第1軸の周りに回転するアームと、前記アームの両端に設けられた一対のローラと、を有し、それぞれの前記ローラは、ローラ軸が前記アームの長手方向に沿った第2軸に直交し、前記ローラ軸が前記第1軸と平行である、前記ローラが前記パレットを支持するための第1姿勢をとり得るように構成されている。
【0124】
上記構成により、パレット昇降機構は一対のローラの双方を第1姿勢とすることにより、一方のローラからのパレットの搬出、および他方のローラ上への他のパレットの搬入を可能とする。したがって、パレット昇降装置は、昇降したパレットを搬出した後、他のパレットを搬入ための時間を要せず、パレットの搬出と他のパレットの搬入に次いで、他のパレットの昇降に移ることができる。ゆえに、パレット昇降装置は、複数のパレットをより短時間にて昇降させることを可能とする。
【0125】
(2)本開示の態様2に係るパレット昇降装置においては、上記態様1において、それぞれの前記ローラの前記ローラ軸が前記第2軸の周りに回転可能であって、前記第1姿勢から前記第2軸の周りに前記ローラ軸が回転した、前記ローラが前記パレットから退避する第2姿勢をとり得るように構成されている。
【0126】
上記構成により、パレット昇降機構は、一方のローラにパレットを積載しつつアームを回転させてパレットを昇降させた場合においても、他方のローラの姿勢を第2姿勢に切り換えることにより、当該他方のローラとパレットとの干渉を低減できる。これにより、パレット昇降機構は、昇降するパレットに対する支持部の位置によらず、効率的にパレットを昇降させることを可能とする。
【0127】
(3)本開示の態様3に係るパレット昇降装置においては、上記態様2において、各前記支持部が、各前記ローラの前記ローラ軸と連動して前記第2軸の周りを公転する補助ローラと、前記アームの回転に伴って、前記補助ローラを案内して前記ローラの姿勢を前記第1姿勢と前記第2姿勢とに交互に変化させる補助ローラガイドと、を有する。
【0128】
上記構成により、パレット昇降機構は、アームを回転させるのみにより、ローラの姿勢を第1姿勢と第2姿勢とに相互に切り換えることができる。このため、パレット昇降装置は、ローラの姿勢を変更するための駆動部を別途備える必要がなく、より簡素な構成により支持部を実現する。
【0129】
(4)本開示の態様4に係るパレット昇降装置においては、上記態様2または3において、第2姿勢にある前記ローラが、前記アームの側よりも反対の側の方が上方に位置する。
【0130】
上記構成により、パレット昇降機構は、ローラが第2姿勢である場合に当該ローラがアームの下端よりも下方に位置することを低減できる。このため、パレット昇降装置は、支持部の形成位置を地面からより低くした場合においても、地面とローラとの干渉を低減できる。支持部の形成位置を地面から低くすることにより、パレット昇降装置は、装置全体の高さを低減することができ、換言すれば、パレットを搬入する高さおよびパレットを搬出する高さを低減する。
【0131】
パレット昇降装置の高さを低減することは、当該パレット昇降装置を備えた搬送装置において、パレットを搬送する高さを低くすることにつながる。搬送装置がパレットに車体等の物体を積載して搬送しつつ、搬送されるパレットに作業者が移乗して物体への作業を行う場合、パレットを搬送する高さを低くすることにより、作業者がパレットに対し乗り降りする負担を低減できる。
【0132】
(5)本開示の態様5に係るパレット昇降装置においては、上記態様1において、前記アームに形成された一対の前記ローラのうち一方に前記パレットを積載した状態において前記アームが前記第1軸の周りに回転する間、一対の前記ローラのうち他方が、当該パレットとの当接に伴い撓むとともに、当該パレットとの当接の解除に伴い復元される。
【0133】
上記構成により、パレット昇降機構は、パレットとローラとが当接した場合においても、ローラが変形してパレットを回避し、パレットとの当接の解除に伴い復元し、当該ローラ上への他のパレットの搬入を可能とする。したがって、パレット昇降装置は、アームの周りにローラを回転させる機構等を不要としつつ、昇降するパレットに対する支持部の位置によらず、効率的にパレットを昇降させることを可能とする。
【0134】
(6)本開示の態様6に係るパレット昇降装置においては、上記態様1において、それぞれの前記ローラが、前記アームの前記第1軸の周りの回転に関わらず前記第1姿勢にあり、前記アームに形成された一対の前記ローラのうち一方に前記パレットを積載した状態において前記アームが前記第1軸の周りに回転する間、一対の前記ローラのうち他方が当該パレットの周囲を移動する。
【0135】
上記構成により、パレット昇降機構は、ローラの姿勢を第1姿勢としたまま、ローラにパレットを回避させつつパレットを昇降させることができる。したがって、パレット昇降装置は、アームの周りにローラを回転させる機構等を不要としつつ、また、ローラの剛性の低下を抑制しつつ、効率的にパレットを昇降させることを可能とする。
【0136】
(7)本開示の態様7に係るパレット昇降装置においては、上記態様1から6の何れかにおいて、前記第1の高さにおいて前記パレットを搬送する第1駆動ローラと、前記第2の高さにおいて前記パレットを搬送する第2駆動ローラと、を備える。
【0137】
上記構成により、パレット昇降機構は、駆動ローラによって搬入されるまたは搬出されるパレットの搬送を可能とし、また、搬入されるパレットの指定位置への停止を可能とする。
【0138】
(8)本開示の態様8に係るパレット昇降装置においては、上記態様7において、前記第1の高さにおいて前記パレットを搬送する第1駆動ローラと、前記第2の高さにおいて前記パレットを搬送する第2駆動ローラと、を備える。
【0139】
上記構成により、パレット昇降機構は、より効率よくパレットの搬出と他のパレットの搬入とを同時に実現し、複数のパレットをより短時間にて昇降させることを可能とする。
【0140】
(9)本開示の態様9に係るパレット昇降装置においては、上記態様7または8において、前記第1駆動ローラと前記第2駆動ローラとのそれぞれが、前記パレットの搬送の間前記パレットを側方から挟持する一方、前記アームが前記第1軸の周りに回転する間前記パレットから離れる。
【0141】
上記構成により、パレット昇降機構は、パレットと駆動ローラとの干渉を低減できる。
【0142】
(10)本開示の態様10に係るパレット昇降装置においては、上記態様7から9の何れかにおいて、少なくとも一つの前記ローラが従動ローラである。
【0143】
上記構成により、パレット昇降機構は、ローラを回転させるための駆動部を低減しつつ、パレットの搬送を可能とする。
【0144】
(11)本開示の態様11に係るパレット昇降装置においては、上記態様1から10の何れかにおいて、前記アームのそれぞれが前記第1軸の周りの一方方向にのみ回転する。
【0145】
上記構成により、パレット昇降機構は、アームの回転方向を切り替える等の機構を不要とでき、より簡素な構成により支持部を実現する。
【0146】
(12)本開示の態様12に係るパレット昇降装置においては、上記態様1から11の何れかにおいて、各前記支持部が、前記アームの長手方向の中央に形成されるとともに前記第1軸に沿って延伸するシャフトを有し、複数の前記支持部の前記シャフトの間に架け渡され、複数の前記アームの回転を連動させるベルトを備える。
【0147】
上記構成により、パレット昇降機構は、アームを回転させる駆動部を低減しつつ、複数の支持部の間においてアームの回転の連動を可能とする。
【0148】
(13)本開示の態様13に係る搬送装置は、前記第1の高さに位置する搬送路に沿って、搬送方向にパレットを搬送する搬送部と、前記搬送路の下方かつ前記第2の高さに位置する返送路に沿って、前記搬送方向と反対方向に前記パレットを搬送する返送部と、前記パレットを前記搬送路から前記返送路に受け渡す下降部と、前記パレットを前記返送路から前記搬送路に受け渡す上昇部と、を備えた搬送装置であって、前記下降部および前記上昇部の少なくとも一方は、上記態様1から12の何れかのパレット昇降装置を備える。
【0149】
上記構成により、搬送装置は、複数のパレットをより短時間にて循環させることができ、複数の物体の搬送にかかる時間を短縮できる。
【0150】
(14)本開示の態様14に係る搬送装置は、上記態様13において、前記下降部および前記上昇部の双方が前記パレット昇降装置を備える。
【0151】
上記構成により、搬送装置は、複数のパレットをさらに短時間にて循環させることができ、複数の物体の搬送にかかる時間をさらに短縮できる。
【0152】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0153】
2 搬送装置
4 パレット
6 搬送部
8 返送部
10 下降部
12 上昇部
24 パレット昇降装置
30R 駆動ローラ
32 支持部
34 シャフト
40 アーム
42 ローラ
44 ローラ軸
48 補助ローラ
54 補助ローラガイド
72 ベルト