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特開2024-137281売上処理システム、売上処理装置及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137281
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】売上処理システム、売上処理装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240927BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20240927BHJP
   G06Q 20/20 20120101ALI20240927BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20240927BHJP
   G07G 1/06 20060101ALI20240927BHJP
   G07G 1/14 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q20/32
G06Q20/20
G07G1/00 301D
G07G1/06 Z
G07G1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048746
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 宏行
【テーマコード(参考)】
3E142
5L020
5L030
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142CA12
3E142CA17
3E142DA20
3E142EA04
3E142FA03
3E142FA08
3E142GA13
3E142GA16
3E142GA35
3E142JA01
3E142JA03
5L020AA42
5L020AA64
5L030BB72
5L049BB72
5L055AA42
5L055AA64
(57)【要約】
【課題】モバイル決済システムを採用した店舗の売上を正確に把握する。
【解決手段】売上処理装置は、監視手段と、第1取得手段と、処理手段とを備える。監視手段は、モバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する。第1取得手段は、モバイル決済システムで決済された商取引で売買された商品に係るデータを取得する。処理手段は、第1取得手段で取得した商品に係るデータを基に、モバイル決済システムで決済された商取引の売上データを処理する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
購買者によって操作されるモバイル端末を介して入力されたデータを基に当該購買者との商取引を決済するモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する監視手段と、
前記モバイル決済システムで決済された商取引で売買された商品に係るデータを取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段で取得した前記商品に係るデータを基に、前記モバイル決済システムで決済された商取引の売上データを処理する処理手段と、
を具備する売上処理装置。
【請求項2】
前記モバイル端末を介して入力されたデータから電子レシートの利用者を識別するユーザ識別情報を取得する第2取得手段と、
前記処理手段で売上データを処理した商取引の明細を示すレシートの電子データを、前記第2取得手段で取得したユーザ識別情報とともに電子レシートサーバに送信する送信手段と、
をさらに具備する請求項1記載の売上処理装置。
【請求項3】
商取引を決済する複数台のPOS端末と、
前記複数台のPOS端末で決済された商取引の売上データを集計するPOSサーバと、
を含み、
前記複数台のPOS端末のうちいずれか1台は、
購買者によって操作されるモバイル端末を介して入力されたデータを基に当該購買者との商取引を決済するモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する監視手段と、
前記モバイル決済システムで決済された商取引で売買された商品に係るデータを取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段で取得した前記商品に係るデータを基に、前記モバイル決済システムで決済された商取引の売上データを前記POSサーバで集計されるように処理する処理手段と、
を備えた売上処理装置として機能する、売上処理システム。
【請求項4】
前記売上処理装置として機能するPOS端末は、前記第1取得手段で取得した商品に係るデータに含まれる価格を用いて商取引の売上データを処理し、
前記売上処理装置として機能しないPOS端末は、各商品の価格を設定した価格ファイルに設定されている価格を用いて商取引の売上データを処理する、請求項3記載の売上処理システム。
【請求項5】
前記複数台のPOS端末は、電源の投入時に前記売上処理装置として機能するか否かを決定する決定手段、
をさらに具備し、
前記売上処理装置として機能することが決定されると、前記監視手段による監視動作を開始する、請求項3又は4記載の売上処理システム。
【請求項6】
売上処理装置のコンピュータを、
購買者によって操作されるモバイル端末を介して入力されたデータを基に当該購買者との商取引を決済するモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する監視手段、
前記モバイル決済システムで決済された商取引で売買された商品に係るデータを取得する第1取得手段、及び、
前記第1取得手段で取得した前記商品に係るデータを基に、前記モバイル決済システムで決済された商取引の売上データを処理する処理手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、売上処理システム、売上処理装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、購買者がモバイル端末を自ら操作して買上商品の登録から決済までを完結するようにしたモバイル決済システムが開発され、スーパーマーケット等で既に実用化されている。店舗は、モバイル決済システムを導入することで、会計場(レジ)の混雑を緩和できる。また店舗は、会計担当の従業員を減らせるので、人件費の削減を図ることができる。その一方で、モバイル決済システムを利用したくない購買者も多い。このため、既存の決済システムであるPOS(Point Of Sales)システムを残しつつモバイル決済システムを導入する、というのが一般的である。
【0003】
POSシステムは、POS端末で決済された商取引の売上データをPOSサーバでリアルタイムに集計するので、商品販売時点における店舗の売上をいつでも把握できるというメリットがある。しかし、POSシステムとモバイル決済システムとを併用した場合には、モバイル決済システムで決済された商取引の売上データをPOSシステムのPOSサーバで集計する術がない。このため、POSサーバで集計される売上データにモバイル決済システムで決済された商取引の売上データを統合することが困難である。その結果、POSシステムとモバイル決済システムとを併用した場合には、店舗の売上を把握するために煩雑な作業が強いられており、解決が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013-541107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、POSサーバで集計される売上データにモバイル決済システムで決済された商取引の売上データを統合することができる売上処理装置及びそのプログラムと、売上処理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、売上処理装置は、監視手段と、第1取得手段と、処理手段とを備える。監視手段は、購買者によって操作されるモバイル端末を介して入力されたデータを基に当該購買者との商取引を決済するモバイル決済システムで商取引が決済されるのを監視する。第1取得手段は、モバイル決済システムで決済された商取引で売買された商品に係るデータを取得する。処理手段は、第1取得手段で取得した商品に係るデータを基に、モバイル決済システムで決済された商取引の売上データを処理する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態において店舗に構築されるシステムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、取引ファイルに記述される主要なデータ構造を示す模式図である。
図3図3は、POS端末の要部回路構成を示すブロック図である。
図4図4は、POS端末のプロセッサが有する主要な機能構成を示す模式図である。
図5図5は、モバイル端末と連動してモバイルサーバが実行する情報処理の手順を示す流れ図である。
図6図6は、POS端末のプロセッサが実行する情報処理の手順を示す流れ図である。
図7図7は、売上処理装置として機能するPOS端末と連動してモバイルサーバが実行する情報処理の手順を示す流れ図である。
図8図8は、図6における売上統合処理の具体的な手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態は、スーパーマーケット等の店舗がPOSシステムとモバイル決済システムとを併用する場合において、1台のPOS端末が、POSサーバで集計される売上データにモバイル決済システムで決済された商取引の売上データを統合するように処理する売上処理装置として機能する場合である。
【0009】
[店舗システムの説明]
図1は、本実施形態の店舗に構築されるシステムの概略構成を示す模式図である。店舗には、POSシステム10とモバイル決済システム20とが構築されている。
【0010】
POSシステム10は、複数台のPOS端末11と、POSサーバ12とを含む。POSシステム10は、複数台のPOS端末11とPOSサーバ12とを通信ネットワーク13で接続する。通信ネットワーク13は、例えばLAN(Local Area Network)である。
【0011】
POS端末11は、買上商品の登録と商取引の決済とを行うための機器である。POS端末11は、従業員が買上商品の登録から商取引の決済までを行う対面式のものであってもよいし、客である購買者が買上商品の登録から商取引の決済までを行うセルフ式のものであってもよい。あるいは、従業員が買上商品の登録を行い、購買者が商取引の決済を行う分担式のものであってもよい。
【0012】
POSシステム10は、各POS端末11で決済された商取引で登録された買上商品の販売データをPOSサーバ12が通信ネットワーク13を介して収集し集計することにより、商品販売時点における店舗の売上、在庫等の情報を管理する。
【0013】
POSサーバ12は、第1商品マスタ14を備える。第1商品マスタ14は、店舗で販売される商品毎に作成した商品レコードの集合体である。商品レコードは、商品コード、商品名、価格等の商品データを記述したデータレコードである。商品コードは、各商品を識別するために商品毎に設定された一意のコードである。商品名及び価格は、同一レコードの商品コードで識別される商品の名称と1点当たりの価格である。第1商品マスタ14は、各商品の価格を設定した価格ファイルの一例である。
【0014】
POS端末11は、商品コードの入力手段を有する。例えば各商品には、それぞれ当該商品固有の商品コードを表すバーコードが付されており、POS端末11は、このバーコードをスキャニングするためのスキャナを入力手段として備えている。POS端末11は、入力手段を介して商品コードを入力すると、その商品コードで識別される商品の価格をPOSサーバ12に問合せる。問合せを受けたPOSサーバ12は、入力された商品コードを含む商品レコードを第1商品マスタ14から検出し、その商品レコードの商品名、価格等の商品データを問合せ元のPOS端末11に応答する。POS端末11は、POSサーバ12から応答があった商品データの価格等を基に、商品の売上データを処理する。
【0015】
モバイル決済システム20は、複数台のモバイル端末21と、モバイルサーバ22とを含む。モバイル決済システム20は、複数台のモバイル端末21と、モバイルサーバ22とを、通信ネットワーク23のアクセスポイント24を介して無線で接続する。
【0016】
モバイル端末21は、タッチパネル、カメラ等の入出力デバイスと、アクセスポイント24と無線通信が可能な無線通信ユニットと、を備えた携帯型の情報端末である。例えば購買者が所有するスマートフォン、店舗から貸し出されるハンディターミナル、ショッピングカートに取り付けられたタブレット端末等がモバイル端末21となり得る。
【0017】
モバイル端末21は、売場を移動しながら買上商品を集める購買者が操作者となる。購買者は、買上商品を入手する毎にモバイル端末21を操作して、その買上商品に係るデータを入力する。例えば購買者は、モバイル端末21のカメラで買上商品のバーコードをスキャニングすることにより、買上商品の商品コードを入力する。例えば購買者は、モバイル端末21のタッチパネルを操作することにより、買上商品の商品コード、買上点数等を入力する。モバイル端末21に入力された買上商品に係るデータは無線送信され、アクセスポイント24を介してモバイルサーバ22で受信される。
【0018】
売場での買物を終えた購買者は、会計を指示する操作をモバイル端末21に対して行う。購買者が会計を指示すると、モバイル端末21では代金の支払い方法が選択可能となるので、購買者は希望する支払い方法を選択し、その支払い方法で代金を支払うための操作をモバイル端末21に対して行う。購買者が代金を支払うための操作を行うと、モバイル端末21から支払いデータが無線送信され、アクセスポイント24を介してモバイルサーバ22で受信される。
【0019】
モバイルサーバ22は、第2商品マスタ25を備える。第2商品マスタ25は、第1商品マスタ14と同様に、店舗で販売される商品毎に作成した商品レコードの集合体である。第2商品マスタ25に保存される商品レコードは、第1商品マスタ14に保存される商品レコードと基本的には一致している。
【0020】
モバイルサーバ22は、複数の取引ファイル26を保存するための記憶領域を有する。取引ファイル26は、モバイル端末21を用いて買上商品の登録から商取引の決済までを行う購買者毎に作成されるデータファイルである。
【0021】
図2は、取引ファイル26に記述される主要なデータ構造を示す模式図である。図示するように取引ファイル26には、取引番号、取引開始日時、電子レシートID、1以上の商品販売データ、支払いデータ、決済完了フラグFa、統合フラグFb等が記述される。取引番号は、モバイル端末21で決済される商取引を識別するために発番される一意の番号である。取引開始日時は、その商取引が開始された日付及び時刻である。
【0022】
電子レシートIDは、電子レシートのユーザが所有する一意の識別情報である。電子レシートは、商取引の明細を記録したレシートを電子化したものである。電子レシートのデータは、電子レシートIDと関連付けて電子レシートサーバに保存される。電子レシートのユーザは、スマートフォン等を用いて電子レシートサーバにアクセスし、自らの電子レシートIDと関連付けられたレシートデータをダウンロードすることで、電子レシートを閲覧することができる。モバイル端末21を用いて買上商品の登録から商取引の決済までを行う購買者に対しては、紙レシートを発行することが困難である。したがって、モバイル端末21を使用する購買者は、電子レシートのユーザであることが好ましい。
【0023】
商品販売データは、買上商品の商品コード、価格、買上点数、買上金額等のデータで構成される。商品コードは、モバイル端末21に入力された買上商品の識別コードである。価格は、第2商品マスタ25に記憶されている商品レコードのうち、入力された商品コードを含む商品レコードに設定された価格である。買上点数は、モバイル端末21に買上点数が入力された場合にはその点数であり、買上点数が入力されていない場合には“1”である。買上金額は、価格に買上点数を乗算して算出される金額である。
【0024】
支払いデータは、代金の支払い方法を識別するための支払種別と、その支払い方法による支払い金額と、を含む。モバイル端末21で決済される商取引は、会計場(レジ)を通らないので、現金での支払いは困難である。このため、代金の支払い方法は、クレジットカード、電子マネー、コード決済等のキャッシュレス決済に限定される。
【0025】
決済完了フラグFaは、当該取引ファイル26で管理される商取引の決済が完了したか否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、決済が完了していないことを示す決済完了フラグFaを“0”とし、決済が完了したことを示す決済完了フラグFaを“1”とする。
【0026】
統合フラグFbは、当該取引ファイル26で管理される商取引の売上データをPOSシステム10で集計される売上データに統合済か否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、統合済でないことを示す統合フラグFbを“0”とし、統合済であることを示す統合フラグFbを“1”とする。
【0027】
図1の説明に戻る。
POSシステム10は、通信ネットワーク13に通信サーバ31を接続する。モバイル決済システム20は、通信ネットワーク23に通信サーバ32を接続する。通信サーバ31及び通信サーバ32は、いずれもサーバ間ネットワーク30を通じてデータ通信サービスを行うものである。このような接続により、POSシステム10におけるPOSサーバ12とモバイル決済システム20におけるモバイルサーバ22とは、相互間でデータを送受信することが可能となる。また図示しないが、サーバ間ネットワーク30には前述した電子レシートサーバが接続されている。このような接続により、POSサーバ12は、サーバ間ネットワーク30を通じて電子レシートサーバにレシートデータを送信することができる。
【0028】
[POS端末の構成説明]
図3は、POS端末11の要部回路構成を示すブロック図である。POS端末11は、プロセッサ41、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44、通信インターフェース45、キーボード46、ディスプレイ47、プリンタ48、スキャナインターフェース49、釣銭機インターフェース50及びシステム伝送路51等を備える。システム伝送路51は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路51は、プロセッサ41と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0029】
POS端末11は、プロセッサ41と、メインメモリ42、補助記憶デバイス43、時計44及び通信インターフェース45とを、システム伝送路51で接続することにより、コンピュータを構成する。そしてシステム伝送路51に、キーボード46、ディスプレイ47、プリンタ48等の入出力デバイス及びスキャナインターフェース49、釣銭機インターフェース50等のデバイスインターフェースを接続して、POS端末11としての機能を実現している。なお、システム伝送路51に接続される入出力デバイスまたはデバイスインターフェースは、上記のものに限定されない。例えばカードリーダ、ポインティングデバイス等の他の入出力デバイスが接続されてもよいし、キャッシュレス決済端末のインターフェース等が接続されてもよい。
【0030】
プロセッサ41は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ41は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、POS端末11としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ41は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ41は、複数のプロセッサコアを含み、複数の処理を並行して実行することが可能なマルチコア・プロセッサであることが好ましい。
【0031】
メインメモリ42は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ42は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ42は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ42は、プロセッサ41が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ42は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ41によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0032】
補助記憶デバイス43は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス43となり得る。補助記憶デバイス43は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ41での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス43は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0033】
時計44は、日付と時刻を計時する。プロセッサ41は、時計44によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0034】
通信インターフェース45は、通信ネットワーク13に接続されたPOSサーバ12との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0035】
かかる構成のPOS端末11において、プロセッサ41は、図4に示すように、決定手段61、監視手段62、第1取得手段63、処理手段64、第2取得手段65及び送信手段66としての機能を有する。
【0036】
決定手段61は、電源の投入時に売上処理装置として機能するか否かを決定する機能である。POS端末11は、オプションフラグとして売上処理フラグを有する。売上処理フラグは、売上処理装置として機能するか否かを識別するための1ビットデータであり、 “1”又は“0”に設定される。本実施形態では、売上処理装置として機能することを示す売上処理フラグを“1”とし、売上処理装置として機能しないことを示す売上処理フラグを“0”とする。決定手段61は、売上処理フラグをチェックし、“1”に設定されていた場合に売上処理装置として機能すると決定する。
【0037】
本実施形態では、複数台のPOS端末11のうち、任意の1台のPOS端末11が有する売上処理フラグを“1”として、売上処理装置として機能させる。売上処理装置として機能させるPOS端末11は、例えば店舗のバックヤードに設置する。その他のPOS端末11が有する売上処理フラグは“0”とする。売上処理フラグが“0”のPOS端末11は、店舗の会計場(レジ)に設置される。
【0038】
監視手段62、第1取得手段63、処理手段64、第2取得手段65及び送信手段66としての機能は、売上処理装置として機能するPOS端末11において、プロセッサ41が有する機能である。監視手段62は、モバイル決済システム20で商取引が決済されるのを監視する機能である。第1取得手段63は、モバイル決済システム20で決済された商取引で売買された商品に係るデータを取得する機能である。商品に係るデータは、商品コード及び価格を含む。処理手段64は、第1取得手段63で取得した商品に係るデータを基に、モバイル決済システム20で決済された商取引の売上データを処理する機能である。処理手段64は、モバイル決済システム20で決済された商取引の売上データを、POSシステム10のPOSサーバで集計されている売上データに統合するための処理を行う。第2取得手段65は、モバイル端末21を介して入力された商取引のデータから電子レシートの利用者を識別するユーザ識別情報、すなわち電子レシートIDを取得する機能である。送信手段66は、処理手段64で売上データを処理した商取引の明細を示すレシートの電子データを、第2取得手段65で取得したユーザ識別情報とともに電子レシートサーバに送信する機能である。
【0039】
決定手段61、監視手段62、第1取得手段63、処理手段64、第2取得手段65及び送信手段66としての機能は、プロセッサ41が業務プログラムに従って実行する情報処理によって実現される。業務プログラムは、メインメモリ42又は補助記憶デバイス43に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。業務プログラムをメインメモリ42又は補助記憶デバイス43にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に業務プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により業務プログラムを配信して、メインメモリ42又は補助記憶デバイス43にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0040】
[店舗システムの動作説明]
図5は、購買者がモバイル端末21を操作して買上商品の登録から商取引の決済までを行う際に、そのモバイル端末21と連動してモバイルサーバ22が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。図6は、POS端末11のプロセッサ41が実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。図7は、売上処理装置として機能するPOS端末11と連動してモバイルサーバ22が実行する情報処理の手順を示す流れ図である。図8は、図6における売上統合処理の具体的な手順を示す流れ図である。以下、各流れ図を用いて説明される情報処理の手順に従い、POSシステム10及びモバイル決済システム20の主要な動作について説明する。なお、以下に説明する動作は一例である。本実施形態と同様の作用効果を奏し得るのであればその動作に係る情報処理の手順及び処理の内容は特に限定されるものではない。
【0041】
はじめに、モバイル端末21を操作して買上商品の登録から商取引の決済までを行う購買者は、モバイル端末21に対して買物開始を指令するための操作を行う。例えば、モバイル端末21のタッチパネルに表示された起動画面のスタートボタンにタッチする。このような操作により、モバイル端末21から起動コマンドが発信される。起動コマンドは、アクセスポイント24を中継してモバイルサーバ22に送信される。
【0042】
起動コマンドを受信したモバイルサーバ22は、図5の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。モバイルサーバ22は、ACT1として新規の取引番号を発番する。例えばモバイルサーバ22は取引番号のカウンタを備えており、起動コマンドを受信する毎にそのカウンタをカウントアップする。モバイルサーバ22は、カウントアップしたカウンタの値を取引番号として取得する。
【0043】
モバイルサーバ22は、ACT2として取引開始日時を取得する。例えばモバイルサーバ22は、内蔵する時計用ICによって計時されている現在の日付及び時刻を取引開始日時として取得する。
【0044】
モバイルサーバ22は、ACT3として電子レシートIDを取得する。例えばモバイル端末21が、店舗から貸し出されるハンディターミナル又はショッピングカートに取り付けられたタブレット端末の場合には、操作者は、自身のスマートフォンに表示された電子レシートIDのバーコードをモバイル端末21のカメラで読み取らせる。そうすると、モバイル端末21から電子レシートIDのデータが発信される。一方、モバイル端末21が自身のスマートフォンであり、電子レシートIDが登録されている場合には、その電子レシートIDのデータがモバイル端末21から発信される。モバイル端末21から発信された電子レシートIDのデータは、アクセスポイント24を中継してモバイルサーバ22に送信される。モバイルサーバ22は、受信したデータから電子レシートIDを取得する。
【0045】
ACT1乃至ACT3の処理を終えたモバイルサーバ22は、ACT4へと進む。モバイルサーバ22は、ACT4として取引ファイル26を作成する。すなわちモバイルサーバ22は、ACT1の処理で取得した取引番号と、ACT2の処理で取得した取引開始日時と、ACT3の処理で取得した電子レシートIDとを記述した取引ファイル26を作成する。
【0046】
取引ファイル26を作成したモバイルサーバ22は、ACT5へと進む。モバイルサーバ22は、ACT5としてその取引ファイル26の決済完了フラグFa及び統合フラグFbをいずれも“1”とする。
【0047】
ACT1乃至ACT5の処理を終えると、モバイルサーバ22は、ACT6へと進む。モバイルサーバ22は、ACT6としてモバイル端末21から商品買上コマンドを受信するのを待ち受ける。商品買上コマンドは、モバイル端末21で買上商品に係るデータが入力されたことに応じて、モバイル端末21から発信されるコマンドである。商品買上コマンドには、買上商品に係るデータ、すなわち商品コード、買上点数等が含まれる。
【0048】
商品買上コマンドを受信すると、モバイルサーバ22は、ACT7へと進む。モバイルサーバ22は、ACT7として商品販売データを作成する。すなわちモバイルサーバ22は、商品買上コマンドに含まれる商品コードで第2商品マスタ25を検索し、その商品コードを含む商品レコードの価格を取得する。そしてモバイルサーバ22は、商品コード、価格、買上点数及び買上金額を含む商品販売データを作成する。
【0049】
商品販売データを作成したモバイルサーバ22は、ACT8へと進む。モバイルサーバ22は、ACT8としてその商品販売データをACT4の処理で作成した取引ファイル26に記述する。その後、モバイルサーバ22は、ACT9として会計コマンドを受信したか否かを確認する。会計コマンドは、モバイル端末21で支払いデータが入力されたことに応じて、モバイル端末21から発信されるコマンドである。会計コマンドには、支払いデータである支払い種別と支払い金額とが含まれる。
会計コマンドを受信していない場合、モバイルサーバ22は、ACT6に戻る。すなわちモバイルサーバ22は、商品買上コマンドを待ち受ける。そして商品買上コマンドを受信すると、モバイルサーバ22は、ACT7及びACT8の処理を前述したのと同様に実行する。このように、モバイルサーバ22は、モバイル端末21から商品買上コマンドを受信する毎に、ACT7及びACT8の処理を繰り返し実行する。その結果、取引ファイル26には、モバイル端末21で登録された買上商品毎に、商品販売データが記述される。
【0050】
モバイルサーバ22は、会計コマンドを受信すると、ACT10へと進む。モバイルサーバ22は、ACT10としてその会計コマンドに含まれる支払いデータを取引ファイル26に記述する。またモバイルサーバ22は、ACT11としてキャッシュレス決済処理を実行する。キャッシュレス決済処理は、例えば、支払いデータの支払い種別がクレジットカードの場合には、クレジットカードの信用取引に係る処理である。例えば、支払いデータの支払い種別が電子マネーの場合には、電子マネーの残高から支払い金額を減額する処理である。例えば、支払いデータの支払い種別がコード決済の場合には、コードで特定される支払い可能額から支払い金額を減額する処理である。このようなキャッシュレス決済処理は周知の処理であるので、詳細な説明は省略する。
【0051】
キャッシュレス決済処理を終えたモバイルサーバ22は、ACT12へと進む。モバイルサーバ22は、ACT12として取引ファイル26の決済完了フラグFaを“1”に切り替える。
【0052】
以上で、モバイルサーバ22は、モバイル端末21から起動コマンドを受信した際の情報処理を終了する。モバイルサーバ22は、他のモバイル端末21から起動コマンドを受信した場合も、ACT1乃至ACT12の処理を前述したのと同様に実行する。そして、1つのモバイル端末21に係る情報処理が終了する前に、他のモバイル端末21から起動コマンドを受信した場合には、モバイルサーバ22は、ACT1乃至ACT12の処理を並行して実行する。
【0053】
各POS端末11のプロセッサ41は、電源が投入されて起動すると、図6の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。先ずプロセッサ41は、ACT21としてオプションチェックを行う。オプションチェックは、補助記憶デバイス43に設定されたオプションフラグをチェックする処理である。オプションフラグは、前述した売上処理フラグを含む。プロセッサ41は、ACT42として売上処理フラグが“1”であるか否かを確認する。
【0054】
売上処理フラグが“1”でない場合には、当該POS端末11は、売上処理装置として機能しない設定になっている。この場合、プロセッサ41は、ACT23へと進む。プロセッサ41は、ACT23としてオペレータによるサインオンを待ち受ける。サインオンがあると、プロセッサ41は、ACT24へと進む。プロセッサ41は、ACT24として通常のPOS端末11としての処理を実行する。この処理は、周知の処理であるので、ここでの説明は省略する。
【0055】
一方、売上処理フラグが“1”である場合には、当該POS端末11は、売上処理装置として機能する設定になっている。この場合、プロセッサ41は、ACT25へと進む。プロセッサ41は、ACT25として自動サインオンを実行する。例えばプロセッサ41は、予め用意されたサインオンコードが入力されたものと仮定して、ACT26へと進む。プロセッサ41は、ACT26として売上統合モードを開始する。
【0056】
売上統合モードを開始したプロセッサ41は、ACT27へと進む。プロセッサ41は、ACT27として決済完了取引の問合せコマンドを送信するように通信インターフェース45を制御する。この制御により、通信インターフェース45から決済完了取引の問合せコマンドが送信される。決済完了取引の問合せコマンドは、サーバ間ネットワーク30を介して通信サーバ31から通信サーバ32へと送信され、さらにモバイルサーバ22へと送信される。
【0057】
決済完了取引の問合せコマンドを受信したモバイルサーバ22においては、詳細は後述するが、図7の流れ図に示す手順の情報処理が実行される。その結果、モバイルサーバ22から問合せ元のPOS端末11に対して、取引応答又は取引無し応答が返信される。
【0058】
プロセッサ41は、取引応答を受信した場合には、ACT29へと進む。プロセッサ41は、売上統合処理を実行する。これに対し、取引無し応答を受信した場合には、プロセッサ41は、売上統合処理を実行しない。売上統合処理については、図8を用いて後で説明する。
【0059】
取引応答に従い売上統合処理を実行するか、取引無し応答を受信したプロセッサ41は、ACT30へと進む。プロセッサ41は、ACT30として売上統合モードが終了したか否かを確認する。売上統合モードは、例えば閉店時刻以降の所定の時刻になると、終了する。
【0060】
売上統合モードか終了していない場合、プロセッサ41は、ACT27へと戻る。そしてプロセッサ41は、ACT27乃至ACT30の処理を前述したのと同様に実行する。このようにプロセッサ41は、売上統合モードを開始してから終了するまでの間、ACT27乃至ACT30の処理を繰り返し実行する。すなわちプロセッサ41は、周期的に決済完了の問合せコマンドを送信し、取引応答を受信した場合に限り売上統合処理を実行する。この周期は、情報処理の速度によるが、好ましくは数秒間隔、若しくは数十秒間隔である。
【0061】
ここに、プロセッサ41は、ACT22の処理により決定手段61としての機能を実現する。またプロセッサ41は、ACT27の処理により監視手段62としての機能を実現する。
【0062】
図7に示すように、モバイルサーバ22は、ACT41として決済完了取引の問合せコマンドを待ち受けている。問合せコマンドを受信すると、モバイルサーバ22は、ACT42へと進む。モバイルサーバ22は、ACT42として例えば取引番号が大きい順に取引ファイル26を検索して、決済完了フラグFaと統合フラグFbを調べる。
【0063】
決済完了フラグFaが“0”の取引ファイル26は、まだ決済を完了していない商取引のものである。決済完了フラグFaが“1”の取引ファイル26は、モバイル端末21の操作により決済を完了した商取引のものである。統合フラグFbが“0”の取引ファイル26は、売上統合処理を終えていないものである。統合フラグFbが“1”の取引ファイル26は、売上統合処理を既に終えたものである。
【0064】
モバイルサーバ22は、ACT43として決済完了フラグFaが“1”、統合フラグFbが“0”の取引ファイル26であるか否かを確認する。決済完了フラグFaが“0”の取引ファイル26の場合、若しくは統合フラグFbが“1”の取引ファイル26の場合には、モバイルサーバ22は、ACT44へと進む。モバイルサーバ22は、ACT44として取引ファイル26の検索を終了したか否かを確認する。取引ファイル26の検索を終了していない場合、モバイルサーバ22は、ACT42へと戻る。モバイルサーバ22は、次の取引ファイル26を検索して、決済完了フラグFaと統合フラグFbを調べる。
【0065】
モバイルサーバ22は、決済完了フラグFaが“1”、統合フラグFbが“0”の取引ファイル26を検出すると、ACT45へと進む。モバイルサーバ22は、ACT45としてその取引ファイル26の統合フラグFbを“1”に書き換える。次いでモバイルサーバ22は、ACT46としてその取引ファイル26を取得する。そしてモバイルサーバ22は、ACT47として取引応答を送信する。取引応答には、ACT46の処理で取得した取引ファイル26のデータが含まれる。取引応答は、問合せコマンド送信元のPOS端末11、すなわち売上処理装置として機能するPOS端末11で受信される。
【0066】
一方、決済完了フラグFaが“1”、統合フラグFbが“0”の取引ファイル26を検出することなく取引ファイル26の検索を終了した場合には、モバイルサーバ22は、ACT48へと進む。モバイルサーバ22は、ACT48として取引無し応答を送信する。取引無し応答もまた、問合せコマンド送信元のPOS端末11、すなわち売上処理装置として機能するPOS端末11で受信される。
【0067】
取引無応答又は取引応答を送信したモバイルサーバ22は、図7に示した手順の情報処理を終了する。
【0068】
このようにモバイルサーバ22は、決済完了取引の問合せコマンドを受信する毎に、ACT42乃至ACT48の処理を繰り返し実行する。その結果、決済完了フラグFaが“1”、統合フラグFbが“0”の取引ファイル26が生成されると、その取引ファイル26のデータを含む取引応答が、モバイルサーバ22から売上処理装置として機能するPOS端末11に送信される。取引応答を受信したPOS端末11のプロセッサ41は、前述したように売上統合処理を実行する。そこで次に、売上統合処理の具体的な手順について、図8を用いて説明する。
【0069】
図8に示すように、売上統合処理に入ると、プロセッサ41は、ACT51として取引番号を発番する。例えばPOS端末11は取引番号のカウンタを備えており、売上統合処理に入る毎にそのカウンタをカウントアップする。プロセッサ41は、カウントアップしたカウンタの値を取引番号として取得する。次いでプロセッサ41は、ACT52として取引応答に含まれる取引ファイル26から取引開始日時を取得する。またプロセッサ41は、ACT53として取引応答に含まれる取引ファイル26から電子レシートIDを取得する。
【0070】
ACT51乃至ACT53の処理を終えると、プロセッサ41は、ACT54に進む。プロセッサ41は、ACT54として取引応答に含まれる取引ファイル26から1つの商品販売データを取得する。そしてプロセッサ41は、ACT55として商品販売データの売上登録処理を実行する。すなわちプロセッサ41は、商品販売データに含まれる買上点数を、同商品販売データに含まれる商品コードで識別される商品の売上点数として登録する。また、プロセッサ41は、商品販売データに含まれる価格と買上点数とを乗算した金額を、同商品販売データに含まれる商品コードで識別される商品の売上金額として登録する。
【0071】
売上登録処理を実行し終えると、プロセッサ41は、ACT56へと進む。プロセッサ41は、ACT56として次の商品販売データが取引ファイル26に含まれているか否かを確認する。次の商品販売データが取引ファイル26に含まれている場合、プロセッサ41は、ACT54に戻る。そしてプロセッサ41は、ACT54及びACT55の処理を前述したのと同様に実行する。すなわちプロセッサ41は、商品販売データを取得し、その商品販売データを基に売上登録処理を実行する。
【0072】
こうして、取引ファイル26に含まれる全ての商品販売データについてACT54及びACT55の処理を実行し終えると、プロセッサ41は、ACT57へと進む。プロセッサ41は、ACT57として取引ファイル26から支払いデータを取得する。そしてプロセッサ41は、ACT58としてレシートデータを作成する。レシートデータは、ACT51の処理で取得した取引番号と、ACT52の処理で取得した取引開始日時と、ACT54の処理で取得した商品販売データと、ACT57の処理で取得した支払いデータとを基に編集される明細レシートの電子データである。プロセッサ41は、ACT59としてレシートデータをACT53の処理で取得した電子レシートIDとともに電子レシートサーバに送信する。以上で、プロセッサ41は、売上統合処理を抜ける。
【0073】
このように、プロセッサ41が売上統合処理を実行することによって、売上処理装置として機能するPOS端末11においては、モバイルサーバ22から取得した取引ファイル26内の商品販売データによる売上登録処理が実行される。この売上登録処理によって、モバイル決済システム20で決済された商取引の売上データがPOS端末11に登録される。POS端末11に登録された売上データは、POSサーバ12に収集され、他のPOS端末11で決済された商取引の売上データに統合される。
【0074】
ここに、プロセッサ41は、ACT52、ACT54及びACT57の処理により第1取得手段63としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT55の処理により処理手段64としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT53の処理により第2取得手段65としての機能を実現する。プロセッサ41は、ACT58及びACT59の処理により送信手段66としての機能を実現する。
【0075】
以上詳述したように、売上処理装置として機能するPOS端末11は、モバイル決済システム20で決済された商取引の売上データを取り込み、POSシステム10で集計される売上データに統合するための情報処理を実行する。その結果、POS端末11で決済された商取引の売上データに、モバイル決済システム20で決済された商取引の売上データを統合することができる。したがって、POSシステム10とモバイル決済システム20とを併用した店舗の売上を容易に把握することができる。
【0076】
また、売上処理装置として機能するPOS端末11は、モバイル決済システム20で決済された商取引のデータを基に電子化されたレシートデータを作成し、電子レシートサーバに送信する機能を有している。したがって、モバイル端末21を操作して買上商品の登録から商取引の決済までをセルフで行った購買者は、その取引の明細を示すレシートを電子レシートとして入手することができる。
【0077】
ところで、売上処理装置として機能するPOS端末11は、モバイル決済システム20から取得した取引ファイル26内の商品販売データを構成する価格を用いて、売上データを処理している。したがって、POS端末11がモバイルサーバ22から取引ファイル26を取り込む直前に買上商品の価格が変更された場合でも、POS端末11は、変更前の価格で売上データを処理することとなる。その結果、店舗の売上を正確に把握することができる。
【0078】
[他の実施形態]
前記実施形態において、監視手段62は、モバイルサーバ22に対して周期的に決済完了取引の問合せコマンドを送信する場合を例示した。他の実施形態としては、モバイルサーバ22が、図5の流れ図に示す手順のACT12の処理の後に、商取引が完了したことを示す信号を出力する。この信号は、通信サーバ32からサーバ間ネットワーク30へと送信され、通信サーバ31で受信される。売上処理装置として機能するPOS端末11は、通信サーバ31を監視し、商取引が完了したことを示す信号を受信したことを検出すると、モバイルサーバ22に問合せコマンドを送信する。このような他の実施形態によれば、決済完了取引の問合せコマンドを送信する回数が減るので、売上処理装置として機能するPOS端末11の処理負荷を軽減できる。
【0079】
前記実施形態において、売上処理装置として機能するPOS端末11のプロセッサ41は、第2取得手段65及び送信手段66を備えた場合を例示した。他の実施形態としては、電子レシートシステムに係る処理を担当する専用機をPOSシステム10の通信ネットワーク13に接続する。売上処理装置として機能するPOS端末11のプロセッサ41は、図8に示す売上連携処理のACT57の処理で取引ファイル26のデータを上記専用機に転送する。専用機は、取引ファイル26のデータから電子レシートの利用者を識別するユーザ識別情報を取得し、商取引の明細を示すレシートの電子データを、ユーザ識別情報とともに電子レシートサーバに送信する。このような他の実施形態によれば、売上処理装置として機能するPOS端末11は電子レシートに係る処理が不要となるので、処理負荷をさらに軽減することができる。
【0080】
前記実施形態では、複数台のPOS端末11のうちの任意の1台を売上処理装置として機能させる場合を例示した。他の実施形態としては、少なくとも監視手段62、第1取得手段63及び処理手段64としての機能を有するパソコンをPOSシステム10の通信ネットワーク13に接続し、このパソコンを用いて、モバイル決済システム20で決済された商取引の売上データをPOSサーバが集計されている売上データに統合する。このような他の実施形態によれば、POS端末よりも低価格なパソコンを売上処理装置として利用できるので、設備コストを低減することができる。
【0081】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10…POSシステム、11…POS端末、12…POSサーバ、13…通信ネットワーク、14…第1商品マスタ、20…モバイル決済システム、21…モバイル端末、22…モバイルサーバ、23…通信ネットワーク、24…アクセスポイント、25…第2商品マスタ、26…取引ファイル、30…サーバ間ネットワーク、31,32…通信サーバ、41…プロセッサ、61…決定手段、62…監視手段、63…第1取得手段、64…処理手段、65…第2取得手段、66…送信手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8