(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137292
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】予測装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/163 20240101AFI20240927BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240927BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240927BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20240927BHJP
G16Y 10/80 20200101ALI20240927BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240927BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20240927BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20240927BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G06Q30/0601 312
G06Q50/10
G06Q10/04
G16Y10/80
G16Y20/20
G16Y20/30
G16Y40/10
G16Y40/20
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048760
(22)【出願日】2023-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】畑 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊東 純也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敏之
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼弘 龍太郎
【テーマコード(参考)】
5L010
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L030BB53
5L049AA04
5L049BB53
5L049CC11
5L049CC28
5L050CC11
5L050CC28
(57)【要約】
【課題】売却物件が顕在化される前の段階で所有者に対して不動産買取または仲介の営業等を行うことを可能とする。
【解決手段】顧客の属性情報を取得する属性情報取得部12と、顧客のライフラインに関する情報を取得するライフライン情報取得部13と、顧客のライフラインの利用停止に関する情報を取得する利用停止情報取得部14と、利用停止に関する情報を取得した顧客の属性や過去のライフラインの利用に関する情報を教師データとして機械学習させることにより、取得した他の顧客の属性やライフラインに関する情報から他の顧客のライフラインの利用停止を予測する予測部15と、を備えた予測装置10である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の属性情報を取得する属性情報取得部と、
顧客のライフラインに関する情報を取得するライフライン情報取得部と、
前記顧客のライフラインの利用停止に関する情報を取得する利用停止情報取得部と、
利用停止に関する情報を取得した前記顧客の属性や過去のライフラインの利用に関する情報を教師データとして機械学習させることにより、取得した他の顧客の属性やライフラインに関する情報から当該他の顧客のライフラインの利用停止を予測する予測部と、
を備えた予測装置。
【請求項2】
前記顧客のライフラインの利用停止に関する情報を取得した場合の当該顧客の電話に関する情報を、前記予測部に前記教師データとして機械学習させる、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記顧客のライフラインに関する情報に、当該顧客との接点履歴の媒体種別を示す情報が含まれる、
請求項2に記載の予測装置。
【請求項4】
前記顧客のライフラインに関する情報に、電話番号が固定電話か否かを示す情報が含まれる、
請求項2に記載の予測装置。
【請求項5】
前記顧客のライフラインに関する情報に、当該顧客の属性情報として電話番号の登録の有無を示す情報が含まれる、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項6】
前記顧客のライフラインに関する情報に、顧客接点履歴としていつ、誰が、どのような目的で、どのような媒体で、何を申込んだかを示す情報が含まれる、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項7】
前記ライフラインに関する情報に、利用開始からの経過期間を示す情報が含まれる、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項8】
前記ライフラインに関する情報に、予め定められている利用期間における利用量と1日のうちの予め定められた時間帯における利用量との比について、複数の顧客の平均値に対する顧客ごとの比較の結果を示す情報が含まれる、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項9】
前記ライフラインに関する情報に、予め定められている利用期間における利用量と、直近の利用量の傾向に変化があることを示す情報が含まれる、
請求項1に記載の予測装置。
【請求項10】
情報処理装置に、
顧客の属性情報を取得する属性情報取得機能と、
顧客のライフラインに関する情報を取得するライフライン情報取得機能と、
前記顧客のライフラインの利用停止に関する情報を取得する利用停止情報取得機能と、
利用停止に関する情報を取得した前記顧客の属性や過去のライフラインの利用に関する情報を教師データとして機械学習させることにより、取得した他の顧客の属性やライフラインに関する情報から当該他の顧客のライフラインの利用停止を予測する予測機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題や資源有効活用への意識の高まりにより不動産の新築偏重の傾向が見直されつつある中で、中古マンション等の中古住宅市場が活性化されている。
例えば特許文献1には、ネットワークに接続されて不動産の買取を支援する不動産買取システムとして、ネットワークに接続され、不動産情報やユーザ情報の送受信を行うネットワーク通信手段と、ネットワーク通信手段で受信した不動産の物件情報を登録する物件登録手段と、物件登録手段で登録された物件情報からネットワーク上に提供する物件提供情報を準備する物件提供手段と、を備え、ネットワーク通信手段は、物件提供手段で準備された物件提供情報を、ネットワークを介して開示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年では、中古物件を仲介業者経由で売買する個人間取引の他、中古物件を仲介業者が買い取ってリフォームやリノベーションにより資産価値を高めた上で新築よりも割安な価格で再販する買取再販ビジネスがある。かかる買取再販ビジネスでは、従前からの仲介ビジネス同様に中古物件を大量に仕入れることが事業継続性の点で重要である。
売却を検討している中古物件の所有者においては、一般的には、ビラ、DM(Direct Mail)、TVコマーシャル、街での看板、などを介して知った不動産業者(仲介業者、買取再販業者問わず)に所有者自身が連絡をし、自ら売却の意思を伝えるが、不動産業者から所有者へのアプローチ方法は前述のように限られており、受動的に待ち受けることになる。すなわち、売却意思のある所有者を不動産業者が特定することは難しく、特定できないと中古物件を大量に安定的に仕入れることは難しい。
自己の不動産を中古物件として売却しようとする者が不動産業者に売却の意思を伝える時期にライフラインの利用停止の申込みをすでに行っている場合が想定される。かかる場合、当該不動産業者や、利用停止受付けのライフライン業者が中古物件に関するビジネスを展開している場合の当該ライフライン業者は、他の業者に比べて、当該中古物件の取扱いについて有利な立場にあることから、他の業者にとってはそのような中古物件の継続的な仕入れが困難になる。また、中古物件に関するビジネスには、売買や仲介のほかに、例えば引っ越しビジネス、リフォームビジネス等も含まれる。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決することであり、具体的には、売却物件が顕在化される前の段階で所有者に対して不動産買取または仲介の営業等を行うことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、顧客の属性情報を取得する属性情報取得部と、顧客のライフラインに関する情報を取得するライフライン情報取得部と、前記顧客のライフラインの利用停止に関する情報を取得する利用停止情報取得部と、利用停止に関する情報を取得した前記顧客の属性や過去のライフラインの利用に関する情報を教師データとして機械学習させることにより、取得した他の顧客の属性やライフラインに関する情報から当該他の顧客のライフラインの利用停止を予測する予測部と、を備えた予測装置である。
ここで、前記顧客のライフラインの利用停止に関する情報を取得した場合の当該顧客の電話に関する情報を、前記予測部に前記教師データとして機械学習させる、ようにすることができる。また、前記顧客のライフラインに関する情報に、当該顧客との接点履歴の媒体種別を示す情報が含まれる、ようにすることができる。また、前記顧客のライフラインに関する情報に、電話番号が固定電話か否かを示す情報が含まれる、ようにすることができる。
また、前記顧客のライフラインに関する情報に、当該顧客の属性情報として電話番号の登録の有無を示す情報が含まれる、ようにすることができる。
さらに、前記顧客のライフラインに関する情報に、顧客接点履歴としていつ、誰が、どのような目的で、どのような媒体で、何を申込んだかを示す情報が含まれる、ようにすることができる。
またさらに、前記ライフラインに関する情報に、利用開始からの経過期間を示す情報が含まれる、ようにすることができる。
さらにまた、前記ライフラインに関する情報に、予め定められている利用期間における利用量と1日のうちの予め定められた時間帯における利用量との比について、複数の顧客の平均値に対する顧客ごとの比較の結果を示す情報が含まれる、ようにすることができる。
さらに、前記ライフラインに関する情報に、予め定められている利用期間における利用量と、直近の利用量の傾向に変化があることを示す情報が含まれる、ようにすることができる。
上記の目的を達成する他の本発明は、情報処理装置に、顧客の属性情報を取得する属性情報取得機能と、顧客のライフラインに関する情報を取得するライフライン情報取得機能と、前記顧客のライフラインの利用停止に関する情報を取得する利用停止情報取得機能と、利用停止に関する情報を取得した前記顧客の属性や過去のライフラインの利用に関する情報を教師データとして機械学習させることにより、取得した他の顧客の属性やライフラインに関する情報から当該他の顧客のライフラインの利用停止を予測する予測機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、売却物件が顕在化される前の段階で所有者に対して不動産買取または仲介の営業等を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る不動産取引案内システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】予測装置及び端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】ガス消費量の変化があった顧客の抽出を説明する図であり、(a)及び(c)は、3月までの毎月の消費量、(b)は、同じ顧客の昨年の毎月の消費量を示す。
【
図7】電話受付の場合に事業者の端末に出力表示される画面例を示す図であり、(a)は、電話オペレータ用閉栓依頼の受付画面の一例を示し、(b)は、受付画面の他の例を部分的に示し、(c)は、受付画面の別の例を部分的に示す。
【
図8】Web受付の場合に使用者の端末に出力表示される画面例を示す図であり、(a)は、閉栓申込みのWeb受付画面(1/n)を示し、(b)は、閉栓申込みのWeb受付画面(2/n)の一例を示す。
【
図9】Web受付の場合に使用者の端末に出力表示される画面例を示す図であり、(a)は、受付画面(2/n)の他の例を示し、(b)は、受付画面(2/n)の別の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る不動産取引案内システム1の全体構成例を示す図である。
本実施形態に係る不動産取引案内システム1は、インフラ事業の契約又は使用に関する情報を用いて人が住まなくなる空き家の推定を行い、不動産取引の営業効率が向上する不動産取引先の候補を案内するシステムである。
なお、空き家と推定される不動産には、現在の居住者が引っ越しする予定がある場合のほか、すでに引っ越ししている場合も含まれる。
【0010】
ここにいうインフラ事業とは、産業や生活を支える基盤としての事業をいい、電力やガス等のエネルギーインフラ事業が含まれる。エネルギーインフラ事業の契約や使用状況の変化は、空き家推定に有用な情報である。また、ここにいうインフラ事業に、空き家推定に有用な可能性がある他のインフラ事業を含ませることができる。インフラ事業の分類には様々なものがあるが、例えば、上下水道や放送受信のほか、電話網及び通信網の通信インフラ等の生活インフラ事業を挙げることができる。
【0011】
不動産取引案内システム1は、予測装置10と、端末20と、端末30と、端末40を備える。予測装置10と端末20、予測装置10と端末30、および予測装置10と端末40とは、ネットワーク90を介して接続されている。
【0012】
端末20は、インフラ事業に関する消費者ないし利用者、使用者(以下、使用者という)の装置であり、電話機T20と共に居住用建物内にある。
端末30は、インフラ事業の供給者ないし提供者、事業者(以下、事業者という)の装置である。事業者には、使用者の電話機T20と通話するための電話機T30がある。
端末40は、不動産取引例えば不動産買取取引や不動産仲介取引を行う取引業者の装置である。取引業者には、端末40から各種の印刷を行うためのプリンターP40がある。
【0013】
不動産取引案内システム1の予測装置10は、中古マンション等の中古住宅の情報を取得し、また、中古住宅におけるガスや電力、水道、電話、通信等の契約や利用状況の情報を取得する。より詳細には、上述した中古住宅の情報は、住宅情報等のデータベースにより取得してもよく、インターネット等で公開されている情報から自動取得ないし手動での取得をしてもよい。
ここにいう中古住宅は、現在住居者がいる居住用建物であり、新築時から居住者がいない居住用建物は含まれない。さらに説明すると、中古住宅は、現在の住居者が新築当時から居住している場合の他、現居住者の前に前居住者がいた場合も含まれる。また、建築後予め定められている年数が経過しても売買契約が成立していない新築のマンションは、新古マンションとも呼ばれるが、かかる新古マンションは中古住宅に含まれない。
また、中古物件は、居住用建物としての分譲マンション等の集合住宅のほか、分譲一戸建てである。分譲マンションの場合は、分譲単位である部屋である。
【0014】
予測装置10は、例えば、コンピュータ等の情報処理装置により実現される。予測装置10は、単一のコンピュータにより構成しても良いし、複数のコンピュータによる分散処理により実現しても良い。
【0015】
端末20は、上述したように、インフラ事業の利用者の装置であり、例えば、PC(Personal Computer)等により実現される。
端末30は、上述したように、インフラ事業の事業者の装置であり、例えば、PC等により実現される。事業者としては、例えば、ガスを供給するガス事業者や、電力を供給する電力事業者である。かかるガス事業者や電力事業者は、サービス提供者ということができる。
端末40は、上述したように、不動産取引の取引業者の装置であり、例えば、PC等により実現される。取引業者としては、不動産買取業者や不動産仲介業者である。
【0016】
なお、本実施の形態では、端末30と端末40とが互いに異なる装置である構成例を採用するが、これに限られず、端末30及び端末40が同じ装置である構成例を採用してもよい。また、本実施の形態では、予測装置10と端末40とが互いに異なる装置である構成例を採用するが、これに限られず、予測装置10及び端末40が同じ装置である構成例を採用してもよい。
さらに、本実施の形態では、予測装置10と端末30と端末40とが互いに異なる装置である構成例を採用するが、これに限られず、予測装置10、端末30及び端末40が同じ装置である構成例を採用してもよい。
【0017】
また、予測装置10と端末20との接続、予測装置10と端末30との接続、および予測装置10と端末40との接続に用いられるネットワーク90は、データの送受信が可能であれば、その種類は特に限定されず、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等として良い。データ通信に用いられる通信回線は、有線であっても無線であっても良い。また、複数のネットワーク90や通信回線を介して各装置を接続する構成としても良い。
【0018】
<ハードウェア構成例>
図2は、予測装置10及び端末20~40のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、予測装置10、使用者の端末20、事業者の端末30および取引業者の端末40の各々は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)100aと、主記憶手段であるメモリ100cとを備える。また、各装置は、外部デバイスとして、磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)100g、ネットワークインターフェイス100f、表示機構100d、音声機構100h、キーボードやマウス等の入力デバイス100i等を備える。
【0019】
メモリ100cおよび表示機構100dは、システムコントローラ100bを介してCPU100aに接続されている。また、ネットワークインターフェイス100f、磁気ディスク装置100g、音声機構100hおよび入力デバイス100iは、I/Oコントローラ100eを介してシステムコントローラ100bと接続されている。各構成要素は、システムバスや入出力バスなどの各種のバスによって接続される。
【0020】
磁気ディスク装置100gには、各機能を実現するためのプログラムが格納されている。そして、このプログラムがメモリ100cにロードされ、このプログラムに基づく処理がCPU100aにより実行されることで、各種の機能が実現される。
【0021】
<予測装置の機能構成>
次に、予測装置10の機能構成について説明する。
図3は、予測装置10の機能構成例を示す図である。
予測装置10は、送受信部11と、属性情報取得部12と、ライフライン情報取得部13と、利用停止情報取得部14と、予測部15と、出力部16と、を備える。
【0022】
送受信部11は、ネットワーク90(
図1参照)を介して使用者の端末20、事業者の端末30および取引業者の端末40と接続するためのネットワークインターフェイスである。これにより、予測装置10は、端末20~40とデータ交換を行う。
【0023】
属性情報取得部12は、事業者の端末30(
図1参照)に格納されている契約している顧客の情報(顧客情報)である顧客の属性情報を、ネットワーク90(
図1参照)を介して取得する。顧客の属性情報には、契約者の氏名や住所(住居表示)、電話番号、契約者番号等の情報が含まれる。
【0024】
ライフライン情報取得部13は、顧客のライフラインに関する情報であるライフライン情報を取得する。かかる顧客のライフラインは、水道、ガス、電気などを含める趣旨であり、インフラ事業と同義である。
ここにいうライフライン情報とは、予め定められた期間における水道、ガス、電気などを使用ないし利用した使用量ないし利用量、消費量や、利用量等に対応する料金を示す情報をいう。
【0025】
利用停止情報取得部14は、顧客のライフラインの利用停止に関する情報である利用停止情報を取得する。かかる顧客のライフラインの利用停止には、水道・ガスなどの閉栓のほか、電気の停止を含む。
ここにいう利用停止情報は、閉栓を行ったことを示す情報や電気の停止を行ったことを示す情報を含む。また、利用停止情報には、いつ閉栓するかの日にち指定の情報を含んでもよい。
【0026】
予測部15は、属性情報取得部12により取得した顧客の属性情報と、ライフライン情報取得部13により取得したライフライン情報と、利用停止情報取得部14により取得した利用停止情報と、を入力として生成された後述の機械学習モデル50を使用する。かかる機械学習モデル50は、他の顧客のライフライン情報と他の顧客のライフラインの利用停止との関係性を規定するものであり、予測結果を用いて検証することで更新される。
予測部15は、生成した機械学習モデル50により、取得した他の顧客のライフライン情報から他の顧客のライフラインの利用停止を予測する。かかる予測は、他の顧客が閉栓依頼を行う前の段階で行われる。なお、閉栓依頼の態様としては、電話受付の場合とWeb受付の場合とがある。かかる閉栓は、利用停止の一態様を指すものであり、他の態様、例えば電力や水道の使用停止であってもよい。
【0027】
出力部16は、顧客のライフライン情報を用いて予測された他の顧客のライフラインの利用停止を示す情報を出力する。その顧客の住居は、例えば引っ越しにより人が住まなくなり空き家になる可能性があり、それゆえ、利用停止を示す情報は、その住居が空き家になる可能性が高いと推定される物件であることを示す情報である。出力先は、取引業者の端末40であり、ネットワーク90(
図1参照)を介して行われる。
【0028】
したがって、出力部16により出力される情報により、閉栓前の段階で自宅の売却を検討している顧客にアプローチすることができる。このため、出力部16の情報を用いることにより、売却物件が顕在化される前の段階で所有者に対して不動産買取の営業等を行うことが可能になる。
なお、ここにいう不動産買取の営業等は、不動産買取の営業や不動産仲介の営業が含まれる概念であり、所有者が売却しようとする不動産を不動産業者が買い取る不動産買取の場合と、不動産の買い手を不動産業者が見つける不動産仲介の場合が含まれる。
【0029】
図4は、機械学習モデル50を説明する図である。機械学習モデル50は、予測部15(
図3参照)により生成される。
図4に示す機械学習モデル50は、過去の閉栓受付済情報を教師データとして機械学習させることにより、近いうちに閉栓を申込む可能性がある顧客を予測するモデルを構築する。
【0030】
機械学習モデル50では、入力データとしては、属性情報5a、ライフライン情報5b及び利用停止情報5cであり、入力層51に入力される。
利用停止に関する情報を取得した顧客の過去のライフライン情報を教師データとする。
なお、属性情報5aは、属性情報取得部12により取得された情報である。また、ライフライン情報5bは、ライフライン情報取得部13により取得された情報であり、利用停止情報5cは、利用停止情報取得部14により取得された情報である。
【0031】
中間層52では、演算処理により属性情報5a、ライフライン情報5b及び利用停止情報5cが組み合わさって相互の関連付けを行う。
中間層52では、入力層51に入力された属性情報5a、ライフライン情報5b及び利用停止情報5cのうちの過去の一部を用いて機械学習させ、過去の残余の情報を用いて検証を行い、重み付け調整を行う。
なお、機械学習の際は、閉栓が終わった日付を引っ越しが完了した日にあたるものとする。また、閉栓したか否かについて、正解データとして0/1で示す。閉栓完了日に閉栓していない場合はないが、したか否かという0/1のデータがないと機械学習できないので、正解データを作っている。加えて、タイミング予測が別にある。
【0032】
出力層53は、顧客のライフラインの使用停止ないし利用停止を予測する出力解を出力する。このようにして、閉栓していない顧客について、その顧客のライフライン情報からライフラインの利用停止を予測する。
【0033】
ここで、利用停止に関する情報を取得した顧客の過去のライフライン情報を教師データとする機械学習について説明する。
顧客の利用停止情報を取得した場合のその顧客の電話に関する情報を教師データとして機械学習させる一例としては以下がある。かかる一例は、数多いデータの中から、有意なものであることを確認できたものを挙げたものであり、これに限られない。
【0034】
例えば、顧客のライフラインの利用停止に関する情報を取得した場合のその顧客の電話に関する情報を、予測部15(
図3参照)に教師データとして機械学習させることである。
より詳細には、顧客のライフラインに関する情報に、顧客との接点履歴の媒体種別を示す情報が含まれる。ここにいう媒体種別は、固定電話、携帯電話、メール、SMS(short message service)、Webサイト等である。
【0035】
また、例えば、顧客のライフラインに関する情報に、電話番号が固定電話か否かを示す情報が含まれることである。より詳細には、固定電話の方が古い物件であること、及び、開栓してからある程度経過していること、という情報の組合せを用いると閉栓の可能性が高まることである。
また、例えば、顧客の電話に関する情報に、その顧客からの電話が携帯電話であることを示す情報が含まれることである。より詳細には、顧客の電話に関する情報に、電話番号の上3桁が090、080等の携帯電話であることを示す情報が含まれる顧客に固定電話の場合に比べて電話接続しやすいことから、電話による営業を行いやすくなり不動産取引に繋がりやすいという情報である。
【0036】
例えば、顧客のライフラインに関する情報に、その顧客の属性情報として電話番号の登録の有無を示す情報が含まれることである。より詳細には、実際に閉栓した顧客の中で、そもそも電話番号のない顧客は古くからの契約者である可能性が高く、かかる顧客は閉栓の可能性が高いという情報である。
【0037】
また、顧客のライフラインに関する情報に、顧客接点履歴としていつ、誰が、どのような目的で、どのような媒体で、何を申込んだかを示す情報が含まれることである。より詳細には、名義変更などは所有者が変更したことの証明となる可能性があること、及び契約者以外の方からの申し込みがある可能性に着目した情報である。
また、顧客のライフライン情報に、ライフラインの利用に伴う連絡が予め定められた期間内になかったことを示す情報が含まれることである。より詳細には、電話番号がない人が、実際に閉栓した場合にはすでに利用していない可能性が高いという情報である。
【0038】
また、ライフラインに関する情報に、利用開始からの経過期間を示す情報が含まれることである。すなわち、開栓してから何か月経過しているかという情報である。
【0039】
また、ライフラインに関する情報に、予め定められている利用期間における利用量と1日のうちの予め定められた時間帯における利用量との比について、複数の顧客の平均値に対する顧客ごとの比較の結果を示す情報が含まれることである。例えば、電力データが早朝の時間帯と全体との比で平均値が高いと、閉栓の確率が高いという情報である。早朝に活動する傾向がある顧客の場合である。かかる情報は、経時的な生活パターンの変化により変わってくることから、機械学習モデル50の更新を行うことで対応可能である。
【0040】
また、ライフラインに関する情報に、予め定められている利用期間における利用量と、直近の利用量の傾向に変化があることを示す情報が含まれることである。かかる情報としては、増加を示す情報と減少を示す情報とがある。利用量を一か月前や三ヶ月前で比較したり、一年前の同月で比較したりすることで、減っている場合には閉栓する可能性が高いという情報である。かかる期間のいずれが閉栓の可能性が高いかは、月ごとで変わる場合には、毎月の更新を行うことで対応可能である。
【0041】
なお、実際に閉栓した顧客のうち既にライフラインを使わなくなった顧客の割合は高い。すなわち、既にライフラインを使わなくなった顧客が実際に閉栓する可能性は高い。また、ライフラインの利用に際し使用される製品や設備のうち比較的大型のものを設置しているかどうかという観点の教師データも考えられる。
【0042】
図5(a)~(c)は、同じ顧客の消費量を示すものであり、(a)は直近の検針による3月のガス消費量の一例、(b)は昨年の毎月の消費量、(c)は直近の検針による3月のガス消費量の他の例をそれぞれ示す。なお、参考のために、(a)及び(c)の3月分については、(b)の3月のガス消費量を破線で示している。
【0043】
図5(a)~(c)は、ガス暖房を使用する顧客の月ごとのガス消費量を示している。このため、寒くなる12月頃から3月頃までは、ガス消費量が比較的多く、ガス暖房を使用しないそれ以外の時期は、ガス消費量が少ないという季節変動がある。また、日々使用する温水を作るためのガス消費量も寒い時期にはガス消費量が多くなるという季節変動もある。したがって、同図(b)に示すように、年間のガス消費量が変動する。その一方で、寒さが例年よりも厳しかったりそうでもなかったりすることで、ガス消費量の増減があるものの、年間のガス消費量の動向は変わらない。
【0044】
しかしながら、ガス消費量が例年よりも減少していたり消費量がなかったりする場合には、そのような季節変動の要因以外の要因が想定される。そのため、昨年度とのガス消費量の変動に着目することで、引っ越しが完了していることや、近い将来に引っ越しの予定があることを推定することができる。
【0045】
以下、具体的に説明する。
図5(a)に示す今年1月及び2月は、同図(b)に示す昨年1月及び2月と比べると、大きな変化は確認できない。その一方で、今年3月のガス消費量は、(b)に示す昨年3月と比べると、減少している。
また、
図5(c)に示す今年1月及び2月は、同図(b)に示す昨年1月及び2月と比べると、大きな変化は確認できない。その一方で、今年3月のガス消費量はなく、ガスを消費していない。
【0046】
このように、同図(a)や(c)の3月として示すガス消費量には、ガス利用傾向の変化が見られる。ガス消費量の変化があった顧客の抽出は、過去の対応する期間のガス消費量と比べて減少している場合のほか、過去の対応する期間のガス消費があるものの今年はガス消費量がなかった場合も行われる。
【0047】
なお、このように、過去の対応する期間のガス消費量と比べることにより、1年のうち長期出張を行う等の不在期間があったとしても、季節変動要因で減少等した場合に対応でき、空き家推定の精度が低下する事態を防止することができる。
図5に示す場合、契約期間が1年以上の顧客に対して適用できる。
【0048】
ここで、
図5の場合とは異なる場合を説明する。
すなわち、寒い時期にガス暖房機を使用しなかったり通年であまり浴室を使わなかったりする場合には、年間を通じてガス消費量がほぼ一定である。そのため、先月まではガス消費量が通常であったが、直近の検針による今月のガス消費量が先月と比べて減少している場合や、今月のガス消費量がなかった場合に、ガス消費量の変化があった顧客として抽出するようにしてもよい。
また、引っ越しが比較的多くなる時期例えば3月~5月のいずれかの月に、前年よりもガス消費量が減少している場合に、ガス消費量の変化があった顧客として抽出するようにしてもよい。
【0049】
なお、
図5ではガス消費量の場合について説明したが、これに限られず、電力消費量、水道使用量等について適用することができる。
【0050】
次に、教師データの他の例について
図6を用いて説明する。
図6は、教師データの他の例を説明する図である。
かかる教師データとしては、例えば築年数や、Web閉栓/電話閉栓の別、契約期間等の情報またはこれらの組み合わせが用いられる。ライフラインの利用停止の予測結果を利用する不動産取引の営業を考慮したものが含まれる。
【0051】
ここにいう築年数は、ライフラインが利用される建物についての情報であり、ライフライン情報に含まれる。建物についての情報には、例えば中古分譲マンションにおける分譲単位である部屋を示す情報が含まれ、不動産取引の営業を行うとされる不動産取引の営業先の候補である。
【0052】
築年数は、竣工からある程度の年数が経った物件に絞られ、竣工して間もない築浅の物件が除外される。築年数が数年である築浅物件は、資産価値が新築の場合に比べてさほど落ちていないこと及び売却物件としての数が多くないことから、買取や仲介の不動産業者間の競争が厳しい。その一方で、ある程度の年数が経った中古物件については、標準仕様でリフォームすることで資産価値をより高めることができる。また、築年数により、新耐震基準であるか否かの区別や、アスベスト不使用の建物特性等をある程度反映させることが可能であり、リフォーム時の作業負担を軽減することができる。なお、新耐震基準は、建築確認の日付が1981年6月1日以降の建物に対して適用されていることから、新耐震基準の適用の有無の観点で、築年数の上限値を設定することができる。
【0053】
Web閉栓/電話閉栓の別は、閉栓依頼の方法であり、Web閉栓と電話閉栓を区別しておくことで、営業資料としての付加価値を高めることができる。その一例を示すと、Web閉栓の場合は、一般的に比較的若い世代の割合が高いことが推定され、電話閉栓の場合は、一般的に比較的高齢者の割合が高いことが推定される。
Web閉栓の場合は、ネット情報の収集に長けている割合が高いと推定されることから、例えば、ガス事業者が不動産取引の営業についてネットで広告を行っておく場合に営業効率が高いグループであると考えられる。また、電話閉栓の顧客に対して不動産取引の電話営業を行う場合に、ビジネスの親和性が高いと考えられる。
ガスのWeb閉栓と電話閉栓の区別について説明したが、電気の利用停止についてもWebと電話の双方があり、ガスの場合と同様に区別することが可能であり、また、区別する意義がある。
さらに説明すると、ガスの開栓や電気の利用開始についても、電話のほかにWebで依頼する場合がある。このため、エネルギー利用開始時とエネルギー利用停止時の双方をWebで依頼する顧客は一定の割合で存在することから、不動産取引の営業広告をネットで行っておくことで、営業効率の高いグループを見出すことができる。
【0054】
契約期間を条件に含むのは、賃貸の場合は契約更新時またはその契約更新の少し前というタイミングで引っ越してエネルギー契約を解約するという傾向があり、エネルギーの契約年数は賃貸マンションの居住者の方が分譲マンションの居住者の場合よりも短い可能性が高いことから、エネルギー契約年数が短い顧客を除外することで、実需案件の割合を高めるためである。
ここにいう契約期間は、ガスの契約の場合のほか、ガス以外の例えば電力の契約を含んでもよい。電力の自由化により、ガス事業者であってもガスと電力の両方を契約していたり電力だけを契約していたりする顧客の属性情報を有することによる。
【0055】
図6を用いて具体的に説明する。
図6の(1)~(2)は、築年数と契約期間を組み合わせている。すなわち、(1)の場合は、「築年15年以上かつ契約期間3年以上」であり、(2)の場合は、「築年10年以上かつ契約期間3年以上」である。これにより、物件の資産価値をより高めることが可能な比較的築年数のある分譲マンションが含まれる可能性の高いグループにすることができる。
なお、上述の(1)~(2)における契約期間は、ガスの契約期間であり、電力の契約期間をも含む後述の例えば(10)~(11)とは異なる。
【0056】
付言すると、分譲マンションには、購入者ないしその関係者が居住するいわゆる実需の場合と、購入者ないしその関係者が居住せず貸し出すいわゆる投資の場合が含まれるが、実需に絞り込むことは困難である。
【0057】
図6の(3)~(6)では、築年数、契約期間及び閉栓依頼方法を組み合わせている。すなわち、「契約期間3年以上」とした上で、築年が「5年以上」と「15年以上」、閉栓依頼方法を「Web閉栓」と「電話閉栓」とした場合の4つの組み合わせが上述の(3)~(6)である。
【0058】
さらに説明すると、上述の(3)~(4)の「築年15年以上かつ契約期間3年以上」の場合は、新築時から入居している居住者の場合の他、その後の売買等により居住者が変わった新たな居住者の場合も含まれ得る。
その一方で、上述の(5)~(6)の「築年5年以上かつ契約期間3年以上」の場合は、上述の(3)~(4)に比べて、新築時から入居している居住者の割合が高くなる。また、分譲マンションは、築年が10年超よりも10年以内に売りに出される傾向があると仮定したとき、上述の(5)~(6)の場合は築年5年以上であることから、閉栓依頼の情報と組み合わせることで、現在入居している分譲マンションを売りに出そうと考えている顧客の割合が上述の(3)~(4)よりも高くなることが期待できる。
【0059】
図6の(7)~(8)は、「築年5年以上かつ契約期間4年以上」を、閉栓依頼方法が「Web閉栓」の場合と「電話閉栓」の場合とで別々にしている。築年と契約期間の差が上述の(5)~(6)の場合よりも小さいことから、新築時から入居している居住者の割合がさらに高くなる。人生で不動産の売買を経験する回数は一般的に多くないことから、上述の(7)~(8)の場合は、不動産の売買を経験したことがなく初めてである割合が、上述の(5)~(6)の場合よりも高いと考えられる。
【0060】
図6の(9)は、「Web閉栓」の場合で「築年15年以上かつ契約期間5年以上」であり、上述の(3)よりも契約期間の閾値が2年長い。これにより、上述の(3)の場合よりも賃貸マンションの居住者が除外され、実需案件の割合を高めることが期待される。また、上述の(9)では「Web閉栓」を条件とすることから、上述したように、ネット広告の効果が高いことが考えられる。
【0061】
図6の(10)~(11)は、「築年5年以上かつ契約期間3年以上」の顧客のうち、その契約がガス契約及び電力契約である顧客を、閉栓依頼方法が「Web閉栓」の場合と「電話閉栓」の場合とで別々にしている。
上述の(10)~(11)は、ガス契約のみならず、電力自由化により電力契約も行っている契約者の場合である。一般的に、ガス事業者にガス及び電力の契約を行っている顧客は、いずれか一方のみの契約を行っている顧客に比べて、ガス事業者に対して高い信頼性を持っていることが推定され、ガス事業者の名前を用いた不動産取引の電話営業を行う際に、関心をもって最後まで説明を聞いてもらえる割合が高いことが期待できる。
【0062】
さらに説明すると、上述の(10)~(11)の築年数や契約期間は、上述の(5)~(6)と同じであることから、上述の(5)と(10)、又は上述の(6)と(11)をそれぞれ組み合わせることで、ガス契約のみの顧客や、ガスと電力の双方を契約している顧客、電力契約のみの顧客をリスト化することが可能である。なお、電力契約のみの顧客の場合は、オール電化の物件である可能性が高いと考えられる。
また、電力契約をしている場合、ガスは閉栓したが、電力契約をしている場合には、まだ定期的に自宅に戻る可能性があるが、今後空き家になる可能性が高いと考えられる。電気もガスも契約が終了した場合は、現時点で空き家と推定されるマンションの可能性が高い。
【0063】
図6の(12)~(13)は、「築年2年以上かつ契約期間2年以上」を、閉栓依頼方法が「Web閉栓」の場合と「電話閉栓」の場合とで別々にしている。築年と契約期間が同じであることから、上述の(7)~(8)よりも、新築時から入居している居住者の割合がさらに高くなる。
【0064】
図6の(14)~(15)は、「契約期間2年未満の電力契約者」を、閉栓依頼方法が「Web閉栓」の場合と「電話閉栓」の場合とで別々にしている。上述の(14)~(15)は、築年数を含んでいない点及び電力契約者である点で、ガス契約者である上述の(12)~(13)とは異なることから、観点が異なる条件とすることができる。
【0065】
図6の(16)~(17)は、「築年12年以上かつ契約期間3年以上」を、閉栓依頼方法が「Web閉栓」の場合と「電話閉栓」の場合とで別々にしている。築年15年以上である上述の(3)~(4)の場合よりも件数が多くなる。
【0066】
図示を省略するが、ライフライン情報に含まれる他の情報について説明する。
かかる他の情報として、例えば、各種営業活動や定期点検(電気設備点検・ガス定期保安点検)や機器修理といった事業者が建物居住者との過去最終接点から現在までの期間(事業者側が建物の居住者との過去に遡った直近の接点以降の期間の一例)を挙げることができる。
また、他の情報として、各種機器(電気・ガス・通信事業者が販売または提供し、宅内に設置されているもの(例えば終端装置・ガス警報器))など最終設置から現在までの期間(設置された時期以降の期間の一例)を挙げることができる。
さらに、建物の所在するエリアについて、例えば、国内の人及び世帯の実態把握のために行われる国勢調査による人口流出率等の人口変動の統計情報のほか、各年代の数や世帯構成の割合等の統計情報(人及び/又は世帯に関する統計情報の一例)を用いた条件を挙げることができる。なお、かかる統計情報は、複数の調査時期による統計の比較による同一エリアにおける変動に着目してもよく、単一の調査時期の統計におけるエリアの比較による相違に着目してもよい。
【0067】
また、不動産取引の営業に着目したものとして、以下がある。
すなわち、分譲マンションリストに、部屋の広さ及び/又は間取りを示す情報が含まれている場合に、部屋の広さ(m2)や間取り情報から流通性の高い物件かどうか判断してもよい。例えば、実需として人気の高い50m2~80m2の場合に重み付けを大きくし、その一方で、30m2以下のワンルームなどは重み付けを小さくすることが考えられる。
また、分譲マンションリストに、最寄り駅を示す情報や最寄り駅からの距離を直接的又は間接的に示す情報である住所情報例えば徒歩分数情報が含まれている場合に、最寄り駅名や徒歩分数情報から流通性の高い物件かどうか判断し、重み付けを調整してもよい。例えば、横浜駅には複数路線があり最寄り駅として人気であるので、重み付けを大きくすることが考えられる。また、例えば、最寄り駅徒歩25分はバスを使用して移動することになり(バス圏)、流通性が低いと想定されることから、重み付けを小さくすることが考えられる。
さらに、分譲マンションリストに、過去の不動産取引に関する情報が含まれている場合、過去の不動産取引データ(外部情報含む)から、成約価格(又は坪単価)から一件当たりの利幅が大きい、つまりは営業効率が高い物件を特定してもよい。
【0068】
また、顧客の属性情報に、契約者の契約に関する条件として、エネルギー業者との契約情報・その他確認できるサービスの契約情報(インフラ事業の契約の複数の種類を示す情報の一例)が含まれている場合、契約情報の種類や数などから重み付けしてもよい。例えば、ガスに加えて、電気の契約がある(あった)顧客は、そのエネルギー会社に対して高いロイヤリティを持っているため営業効率が高い可能性があると考えられることから、重み付けを大きくすることが考えられる。そのほか、エネルギー業者の展開する付帯サービスを契約している場合も同様に行うことが考えられる。
【0069】
さらに、顧客の属性情報に、契約者と申し込み者の関係が異なる場合などエネルギー契約者とエネルギー利用停止申込者の関係性を示す情報が含まれる場合、特に名字が同一で関係性が子などの場合、相続された建物である可能性が高いことから、重み付けを大きくしてもよい。言い換えると、契約者以外の者から例えばガス閉栓依頼を受け付けた場合に、その者が契約者の親族である等の例えば家族関係を有する場合に、相続された案件の可能性があるとして、重み付けを大きくすることが考えられる。ここにいう親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいう。
【0070】
次に、予測部15による予測結果を用いる応用例について説明する。
かかる応用例は、予測結果を基に、案内に関する判定を出力部16(
図3参照)が行う場合である。かかる案内は、空き家になることに伴い提供可能なサービスの案内を行うかどうかの案内の有無及び/又は案内を行う際の案内の程度である。
【0071】
案内に関する判定は、予測結果の確率を用いて行うことができる。例えば、予測結果が高い確率の場合には、案内の程度は、詳しくしっかりと説明するという詳細な説明とされ、予測結果が低い確率の場合には、案内の程度は、さらりと簡易に説明するという簡易な説明とされる。
付言すると、案内を行う/行わないという判定を行ってもよい。この場合には、案内を行うという判定の場合に、上述した案内の程度を判定する。
【0072】
応用例における案内は、顧客による閉栓申し込みの際に行われるものである。閉栓申し込みとしては、電話による場合(電話閉栓)とWebによる場合(Web閉栓)とがある。以下、電話閉栓での判定を応用例1、Web閉栓での判定を応用例2として説明する。
なお、判定を行う時期としては、事前に判定しておき、申し込みがあった場合に事前判定結果を基に対応する場合と、申し込みがあった場合に顧客について判定を行い、判定結果を基に対応する場合と、があるが、これらを区別せずに、応用例について説明する。
【0073】
図7は、電話受付の場合に事業者の端末30(
図1参照)に出力表示される画面例を示す図であり、(a)は、電話オペレータ用閉栓依頼の受付画面の一例を示し、(b)は、受付画面の他の例を部分的に示し、(c)は、受付画面の別の例を部分的に示す。すなわち、(b)及び(c)は、(a)の領域62のみを示す。なお、
図7における閉栓依頼は、ガスの使用停止ないし利用停止の意味で用いているが、これに限られず、電気の使用停止ないし利用停止などの他のインフラに対するものについても同様である。
図7(a)に示す受付画面60は、顧客情報を表示する領域61と、領域61の下に位置し、案内に関する情報を表示する領域62と、を有する。
【0074】
受付画面60の領域61には、上から順に「閉栓依頼のお客さま情報」の表示と、契約者番号を入力する入力領域61aと、入力領域61aに入力された契約者番号に対応付けられている「氏名」及び「住所」を表示する領域と、がある。ここにいう契約者番号ないし氏名は、上述したように、契約者を特定する特定情報の一例である。
図7(a)に示す例では、電話対応中の電話オペレータが電話機T30(
図1参照)で顧客から聞き取った契約者番号「○○○○○」が入力領域61aに入力された状況である。すると、領域61には、契約者番号「○○○○○」に対応する「氏名」として「□□□ □□」、及び「住所」として「△△△県△△△市△△区△△1-1-1」が表示される。
【0075】
領域61に表示される「氏名」及び「住所」は、電話オペレータが顧客の本人確認を行うためのものであり、電話オペレータは、顧客が伝える氏名と住所が表示のものと一致するかどうかで本人確認する。
【0076】
受付画面60の領域62には、上から順に「空き家になることに伴い提供可能なサービスの案内」の表示と、領域61の契約者番号「○○○○○」の顧客に対する判定結果を示す領域63と、がある。判定結果を示す領域63は、案内するかどうかを示す表示63aと、案内する場合の案内の程度を示す表示63bと、が含まれている。
【0077】
図7(a)では、判定結果を示す領域63の表示63aが「案内の有無:有」であり、表示63bが「案内の程度:詳細」である。したがって、電話オペレータは、本人確認後に、判定結果を示す領域63の表示63a、63bを参照し、通話中の顧客に対して、空き家になることに伴い提供可能なサービスをしっかり説明する。
例えば、当社では、不動産の買取ないし仲介のサービスを提供していることを説明した上で、不動産の売却を考えているかという質問や、本サービスに興味があるかという質問などをしながら、本サービスによる顧客のメリットを説明したり顧客からの疑問に答えたりする。さらに、顧客の希望により、パンフレット等の資料を自宅に送付したり営業担当を訪問させるアポイントメントをとったりする。
【0078】
図7(b)では、判定結果を示す領域63の表示63aが「案内の有無:有」であり、表示63bが「案内の程度:簡易」である。電話オペレータは、通話中の顧客に対して、空き家になることに伴い提供可能なサービスをさらりと説明する。
例えば、当社では不動産の買取ないし仲介のサービスを提供していることを説明し、興味があればお問合せしてほしいことを伝える程度にとどめる。
【0079】
図7(c)では、判定結果を示す領域63の表示63aが「案内の有無:無」であり、表示63bが「-」である。電話オペレータは、通話中の顧客に対して、空き家になることに伴い提供可能なサービスを説明しないで、閉栓依頼の受付のみを行う。
【0080】
このように、判定結果を示す領域63には、案内の有無及び案内の程度が表示されることから、電話オペレータは、領域63の表示に従って電話対応することで、閉栓依頼の電話をかけてきた顧客のうち不動産取引の案内をすべきと判定された顧客に対し、確実に不動産取引の案内を行うことができる。
また、案内を行う場合、例えば空き家可能性の高低という推定結果に応じて判定される案内の程度に従って案内を行うことで、空き家可能性の高い顧客に対してはしっかりとした説明をし、空き家可能性の低い顧客に対してはさらりと説明することで、不動産取引の営業を効率的に行うことができる。
【0081】
図8及び
図9は、Web受付の場合に使用者の端末20(
図1参照)に出力表示される画面例を示す図であり、
図8(a)は、閉栓申込みのWeb受付画面(1/n)を示す。また、
図8(b)は、閉栓申込みのWeb受付画面(2/n)の一例を示し、
図9(a)は、受付画面(2/n)の他の例を示し、(b)は、受付画面(2/n)の別の他の例を示す。ここにいう「n」は、2以上の整数である。
図8(a)に示す受付画面70は、「閉栓申込みを受け付けます。」及び「契約者番号を入力してください。」という顧客に対するメッセージと、顧客情報を表示する領域71と、を有する。
【0082】
受付画面70の領域71には、契約者番号を入力する入力領域71aと、入力領域71aに入力された契約者番号に対応付けられている「氏名」及び「住所」を表示する領域と、がある。
図8(a)に示す例は、上述した
図7(a)に示す場合と同じ「氏名」及び「住所」の表示がなされている。
使用者は、内容確認し、正しければ、OKボタンを操作する。これにより、
図8(b)の画面に進む。
【0083】
なお、セキュリティのために、予め定められた暗証番号ないしパスワードを入力させる場面を介してもよく、また、
図8(a)の画面をログイン操作後に表示するようにしてもよい。暗証番号やログインする際に入力する情報は、契約者を特定する特定情報の一例である。
【0084】
図8(b)に示す受付画面70には、閉栓希望日についての領域72と、不動産取引サービスの説明を表示する説明表示領域73と、がある。
領域72には、上から順に「閉栓の希望日を入力してください。」という表示と、使用者が閉栓希望日を入力するための領域72aと、がある。
図8(b)に示す例では、領域72aは、未入力の空欄である。
【0085】
説明表示領域73には、上から順に「不動産取引サービスのご案内」の表示と、案内の表示範囲を示すための一点鎖線で囲まれている領域73aと、がある。さらに説明すると、
図8(b)に示す一例は、使用者に対する判定結果が「案内の有無:有」及び「案内の程度:詳細」の場合であり、案内の文章が長い。このため、案内の内容を示す領域73aには、説明表示領域73内の表記を上下にずらすことで表示されていない部分を表示させるためのスクロールバー73bが表示されている。
【0086】
図9(a)に示す受付画面70には、閉栓希望日についての領域72と、不動産取引サービスの説明を表示する説明表示領域73と、がある。領域72は、
図8(b)に示す場合と同じであり、その説明を省略する。
説明表示領域73には、
図8(b)に示す場合と同じく、上から順に「不動産取引サービスのご案内」の表示と、領域73aと、がある。
図9(a)に示す他の例は、使用者に対する判定結果が「案内の有無:有」及び「案内の程度:簡易」の場合であり、案内の文章が
図8(b)の場合に比べて短い。このため、案内の内容を示す領域73aには、
図8(b)に表示されているスクロールバー73bが表示されていない。
【0087】
図9(b)に示す受付画面70には、閉栓希望日についての領域72がある。領域72は、
図8(b)に示す場合と同じであり、その説明を省略する。
さらに説明すると、
図9(b)に示す別の他の例は、使用者に対する判定結果が「案内の有無:無」及び「案内の程度:-」の場合であり、案内の表記が省略される。このため、
図9(b)に示す受付画面70には、
図8(b)や
図9(a)に図示されている説明表示領域73がない。説明表示領域73において説明の長さに差異を持たせている(説明の長短)。
【0088】
このように、説明表示領域73の領域73aに、Web依頼の顧客のうち不動産取引の案内をすべきと判定された顧客に対し、確実に不動産取引の案内を行うことができる。また、案内を行う場合、案内の程度に応じて案内の内容が変更される。すなわち、引っ越しにより空き家になる可能性が低い顧客に対し、一応は案内するもののその顧客が引っ越し予定のない可能性があることも想定して簡単に説明する。その一方で、引っ越しにより空き家になる可能性が高い顧客に対しては、不動産取引の案内に興味を持つ可能性が高いとして、要点をまとめつつ詳細に説明する。これにより、Web依頼を行う画面において効率的な不動産取引の案内を行うことができる。なお、引っ越しにより空き家になる可能性に着目しているが、それと共に又はそれに代えて顧客の年齢層に応じて案内の程度を判定してもよい。
そして、引っ越しの可能性が極めて低い顧客に対しては、不動産取引の案内を省略することで、顧客の操作に伴う画面確認の負担を軽減することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0090】
10…予測装置、12…顧客情報取得部、13…ライフライン情報取得部、14…利用停止情報取得部、15…予測部