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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137308
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】在庫管理システム及び在庫管理装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048779
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】京谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】栗山 哲
(72)【発明者】
【氏名】原 和規
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA01
3F522BB16
3F522BB24
3F522CC05
3F522CC06
3F522DD03
3F522DD23
3F522DD32
3F522EE02
3F522EE13
3F522EE17
3F522FF35
3F522FF36
3F522GG23
3F522GG25
3F522GG27
3F522GG37
3F522HH02
3F522HH30
3F522KK02
3F522LL04
(57)【要約】
【課題】物品の収納位置を、所定の収納庫又はそれ以外に端的に分別する。
【解決手段】本発明の在庫管理システムは、居住空間に持ち込まれた物品に付された無線タグと通信可能な第1のアンテナを有する持込検知部と、前記無線タグと通信可能な第2のアンテナを有し、前記物品を収納する収納庫と、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを介して前記無線タグと通信することによって、前記物品が前記収納庫に収納されているか否かを判断する在庫管理装置と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住空間に持ち込まれた物品に付された無線タグと通信可能な第1のアンテナを有する持込検知部と、
前記無線タグと通信可能な第2のアンテナを有し、前記物品を収納する収納庫と、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを介して前記無線タグと通信することによって、前記物品が前記収納庫に収納されているか否かを判断する在庫管理装置と、
を備えることを特徴とする在庫管理システム。
【請求項2】
前記無線タグと通信可能な第3のアンテナを有し、廃棄された前記物品を収納する廃棄検知部を備え、
前記在庫管理装置は、
前記第3のアンテナを介して前記無線タグと通信することによって、前記物品が廃棄されたか否かを判断すること、
を特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項3】
前記在庫管理装置は、
前記物品が前記収納庫に収納されているか否か、又は、前記物品が廃棄されたか否かを表示するように指示を出すこと、
を特徴とする請求項2に記載の在庫管理システム。
【請求項4】
前記収納庫は、
複数存在し、
前記在庫管理装置は、
前記物品が前記複数の収納庫のうちの何れに収納されているかを判断すること、
を特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項5】
前記持込検知部は、
前記廃棄検知部を兼ね、
前記持込検知部が検知した前記物品の在庫情報が既に格納されている場合、検知した前記物品は前記居住空間から廃棄されたと判断し、
前記持込検知部が検知した前記物品の在庫情報が格納されていない場合、検知した前記物品は前記居住空間に持ち込まれたと判断すること、
を特徴とする請求項2に記載の在庫管理システム。
【請求項6】
前記持込検知部は、
所定の期間に検知した複数の前記物品のうち少なくとも1つが前記居住空間から廃棄されたと判断した場合、前記所定の期間に検知した複数の前記物品のうち在庫情報が格納されていない他の物品も、前記居住空間に持ち込まれたのではなく廃棄されたと判断すること、
を特徴とする請求項5に記載の在庫管理システム。
【請求項7】
前記持込検知部は、
前記廃棄検知部を兼ね、
ユーザの操作に応じて、又は、前記居住空間内の任意の位置に設置されたユーザ動線を検知するセンサから受信した情報に基づき、前記持込検知部の機能と前記廃棄検知部の機能とを切り替えること、
を特徴とする請求項2に記載の在庫管理システム。
【請求項8】
前記持込検知部は、
前記廃棄検知部を兼ね、
前記居住空間に設けられた扉の開閉を検知する扉開閉センサから受信した情報に基づき、前記物品が前記居住空間の持ち込まれたか又は廃棄されたかを判断すること、
を特徴とする請求項2に記載の在庫管理システム。
【請求項9】
ユーザが購入した物品の情報を受信する購入物品受信部と、
前記物品に付された無線タグと通信可能なアンテナを有し、前記物品を収納する収納庫と、
前記受信した物品の情報及び前記アンテナを介した前記無線タグとの通信によって、前記物品が前記収納庫に収納されているか否かを判断する在庫管理装置と、
を備えることを特徴とする在庫管理システム。
【請求項10】
居住空間に持ち込まれた物品に付された無線タグと通信可能な第1のアンテナを有する持込検知部と接続されるとともに、
前記無線タグと通信可能な第2のアンテナを有し、前記物品を収納する収納庫と接続されており、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを介して前記無線タグと通信することによって、前記物品が前記収納庫に収納されているか否かを判断すること、
を特徴とする在庫管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理システム及び在庫管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、居住空間において、食品及び日用品を含む物品の所在又は消耗の度合いを自動的に知る技術が普及している。特許文献1の在庫管理システムは、収納スペースに保管されている物品の重量及び画像を時系列で取得し、重量の差分及び画像の差分に基づき、その収納スペースから取り出された物品を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6993138号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の在庫管理システムは、住宅内を多数の区画に分割し、分割した区画のそれぞれに対し、重量センサ及びカメラを配置することを前提としている。しかしながら、実際には、部屋等の区画の数が多い場合、区画の形状が複雑である場合、又は、区画に家具等が置かれ死角が発生する場合、多くの重量センサ及びカメラが必要になる。すると、コスト的に不利になるだけでなく、当該在庫管理システムに対する設定も複雑になる。さらに、特許文献1は、物品が所定の収容庫に収納されているか否か、例えば、廃棄されたか否を知ることに焦点を合わせていない。
そこで、本発明は、物品の収納位置を、所定の収納庫又はそれ以外に端的に分別することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の在庫管理システムは、居住空間に持ち込まれた物品に付された無線タグと通信可能な第1のアンテナを有する持込検知部と、前記無線タグと通信可能な第2のアンテナを有し、前記物品を収納する収納庫と、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを介して前記無線タグと通信することによって、前記物品が前記収納庫に収納されているか否かを判断する在庫管理装置と、を備えることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態の中で説明する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、物品の収納位置を、所定の収納庫又はそれ以外に端的に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の在庫管理装置の構成等を説明する図である。
図2】庫内アンテナ及び庫外アンテナの配置を説明する図である。
図3】庫内アンテナ及び庫外アンテナの配置を説明する図である。
図4】庫内アンテナ及び庫外アンテナの受信電波強度の推移を説明する図である。
図5】庫内アンテナ及び庫外アンテナの受信電波強度の推移を説明する図である。
図6】持込検知部を説明する図である。
図7】第1の実施形態の処理手順のフローチャートである。
図8】在庫情報の一例である。
図9】第2の実施形態の在庫管理装置の構成等を説明する図である。
図10】廃棄検知部を説明する図である。
図11】第2の実施形態の処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、居住空間において、冷蔵庫等の収納庫に食品を収納する例である。しかしながら、本発明は、生産現場等、居住空間以外の空間において、工具、部品等、食品以外の物品を収納する例にも一般的に適用可能である。本実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態を有する。基本型である第1の実施形態に加えて、第2の実施形態は、廃棄検知部を備える(詳細後記)。
【0009】
〈第1の実施形態〉
(在庫管理装置)
図1は、在庫管理装置10の構成等を説明する図である。在庫管理装置10は、一般的なコンピュータ(サーバ、パーソナルコンピュータ等)である。在庫管理装置10は、中央制御装置13、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力装置14、ディスプレイ等の出力装置15、主記憶装置12、補助記憶装置11及び通信装置16を備える。これらは、バス17で相互に接続されている。
【0010】
補助記憶装置11は、開閉情報11a、読取情報11b及び在庫情報11cを格納している。開閉情報11aは、冷蔵庫2の各扉(又は引き出し)の開閉状態を記憶する。読取情報11bは、庫内アンテナ5、庫外アンテナ6及び持込検知アンテナ31が読み取った情報を記憶する。在庫情報11cは、居住空間K1内及び/又は冷蔵庫2内の食品の在庫に関する情報を記憶する(図8において詳細後記)。
【0011】
主記憶装置12における入出力処理部12a及び在庫管理部12bは、プログラムである。中央制御装置13は、これらのプログラムを補助記憶装置11から読み出して主記憶装置12にロードすることによって、それぞれのプログラムの機能(詳細後記)を実現する。補助記憶装置11が在庫管理装置10から独立した構成であってもよい。
【0012】
居住空間K1に、冷蔵庫2が存在する。冷蔵庫2は、冷却機能を有さない食品庫及び食品棚を含む一般的な収納庫であってもよい。冷蔵庫2は、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6を有する。庫内アンテナ5は、冷蔵庫2の内部空間の天井等に設置されている。庫外アンテナ6は、冷蔵庫の外側、例えば、引き出しの外部面等に設置されている。冷蔵庫2(収納庫)は、複数存在していてもよい。
【0013】
居住空間K1に、持込検知部30及び収容スペース40が存在する。持込検知部30は、居住空間K1の入口(玄関)付近に配置されたゲートである。持込検知部30は、持込検知アンテナ31を有する。収容スペース40は、居住空間K1における、物品保管用の任意の空間である。収容スペース40は、冷蔵庫2とは区別される。収容スペース40は、アンテナを有してもよいし、有さなくてもよい(図9も同様)。
【0014】
本実施形態においては、RFID(Radio Frequency Identifier)タグ4が個々の食品F1に添付されており、RFIDタグ4内の電子チップは、食品に関する様々なデータを記憶している。この様々なデータは、メーカ名、品目名等を含み、“タグ情報”と総称される。庫内アンテナ5、庫外アンテナ6及び持込検知アンテナ31は、RFIDタグ4に対して電波を放射し、反射した電波を受信することによって、タグ情報を読み取る。RFIDタグ4は、無線タグの一例である。
【0015】
ある食品F1は、居住空間K1に運び込まれ、その後、持込検知部30に通される。このとき、持込検知アンテナ31がタグ情報を読み取る。次に、食品F1は、冷蔵庫2又は収容スペース40のいずれかに収納される。食品F1が冷蔵庫2に収納される場合、まず庫外アンテナ6がタグ情報を読み取り、次に庫内アンテナ5がタグ情報を読み取る。調理タイミングが到来すると、食品F1は、冷蔵庫2から取り出される。このとき、まず庫内アンテナ5がタグ情報を読み取り、次に庫外アンテナ6がタグ情報を読み取る。図1には、冷蔵庫2の扉は図示されていない。しかしながら、扉が開いているとき、庫外アンテナ6が庫内アンテナ5の役割を補完する(詳細後記)。
【0016】
在庫管理装置10は、ネットワークN1を介して、庫内アンテナ5、庫外アンテナ6及び持込検知アンテナ31と通信可能であり、それらの電波放射タイミング及び放射電力を制御することもできる。さらに、在庫管理装置10は、ネットワークN1を介して、扉開閉センサ及び引き出し開閉センサ(図示せず)とも通信可能である。冷蔵庫(収納庫)2、庫内アンテナ5、庫外アンテナ6、在庫管理装置10、持込検知部30及び持込検知アンテナ31は、在庫管理システム1を構成する。在庫管理装置10は、冷蔵庫2と一体になっていてもよい。携帯端末装置3は、例えば冷蔵庫2のユーザによって使用され、ネットワークN1に接続されている。なお、持込検知アンテナ31は、“第1のアンテナ”に相当する。庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6は、“第2のアンテナ”に相当する。
【0017】
図2は、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6の配置を説明する図である。図2は、特に、各扉が閉じられた状態を示している。図2の例では、冷蔵庫2における複数の貯蔵室のうちの最上段に冷蔵室R1が設けられている。冷蔵室R1の下側には、左右に併設された製氷室R2及び上段冷凍室R3が設けられている。製氷室R2及び上段冷凍室R3の下側には野菜室R4が設けられ、最下段には下段冷凍室R5が設けられている。
【0018】
図2に示すように、冷蔵室R1の天井に庫内アンテナ5が設置されている。庫内アンテナ5の電波放射領域5aは、冷蔵室R1の空間を含む。庫内アンテナ5は、冷蔵室R1に向けて電波を放射し、さらに、冷蔵室R1の食品のRFIDタグ4(図1参照)から電波を受信する。なお、在庫管理装置10(図1参照)は、庫内アンテナ5と冷蔵室R1とを予め対応付けている。そして、庫内アンテナ5がタグ情報を読み取った場合、在庫管理装置10は、そのRFIDタグ4が付された食品が冷蔵室R1にあると推定する。
【0019】
図2では図示を省略しているが、冷蔵室R1以外の貯蔵室にも庫内アンテナ5が設置されている。具体的には、上段冷凍室R3、野菜室R4及び下段冷凍室R5にも庫内アンテナ5がひとつずつ設置されている。製氷室R2は製氷用の空間であるため、庫内アンテナ5を設ける必要は特にない。
【0020】
図2の例では、引出し式の製氷室扉D2の外表面に庫外アンテナ6が設置されている。冷蔵庫2の外箱及び各扉は鋼板製であり、また、電波は金属面で反射するため、庫外アンテナ6の電波放射領域6aは、製氷室扉D2から外側に向かう所定領域になっている。なお、各扉は、ガラス等の面材を備えていてもよく、その際は、電波シールド可能なシート等を備えれば、後半性と同様の機能を発揮できる。庫外アンテナ6は、冷蔵庫2の扉(例えば、冷蔵室扉D1)が開けられて食品が出し入れされる際、その食品のタグ情報を読み取る機能を有している。
【0021】
図3もまた、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6の配置を説明する図である。図3は、特に、冷蔵室扉D1が開かれた状態を示している。図3に示すように、冷蔵室扉D1が開かれると、庫内アンテナ5の電波放射領域5aが扉ポケットD11の付近まで拡大する。冷蔵室扉D1が開かれた状態では、庫内アンテナ5の電波放射領域5a及び庫外アンテナ6の電波放射領域6aが扉ポケットD11の付近で重なっている。このように電波放射領域5a及び6aが重なる領域は、ユーザによって食品が出し入れされる際に食品が通過する領域でもある。そして、食品のRFIDタグ4から放射された電波を庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6が受信する。他の上段冷凍室R3、野菜室R4及び下段冷凍室R5の扉が開けられた場合も同様のことがいえる。
【0022】
図4は、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6の受信電波強度の推移を説明する図である。図4は、特に、冷蔵庫に食品が入れられた場合を示している(適宜、図3も参照)。図4の横軸は時刻であり、縦軸は庫内アンテナ5又は庫外アンテナ6の受信電波強度である。図4は、庫内アンテナ5の受信電波強度のデータを黒丸でプロットし、庫外アンテナ6の受信電波強度のデータを白抜きの丸でプロットしている。また、図4は、冷蔵庫2の扉が開けられた時刻を“開扉”と記載し、扉が閉められた時刻を“閉扉”と記載している。
【0023】
図4の例は、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6が時間的に交互に電波を放射し、これに伴って、時間的に交互に電波を受信した場合を示している。庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6から電波が放射される際の強度は、ほとんど変化せずに一定であるものとする。
【0024】
ユーザが冷蔵庫2の扉(例えば、冷蔵室扉D1:図3参照)を開けて、貯蔵室に食品を入れる場合には、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6の受信電波強度が図4のように変化することが多い。すなわち、貯蔵室に食品が入れられる過程で、食品のRFIDタグ4が庫内アンテナ5に近づくにつれて、庫内アンテナ5の受信電波強度が高くなる。また、貯蔵室に食品が入れられる過程で、食品のRFIDタグ4が庫外アンテナ6に近づくにつれて庫外アンテナ6の受信電波強度が高くなり、その後にRFIDタグ4が庫外アンテナ6から遠ざかるにつれて庫外アンテナ6の受信電波強度が低くなる。在庫管理装置10は、このような受信電波強度の変化を、所定の貯蔵室に食品が入れられたか否かの判断に用いる。
【0025】
図4に示すように、冷蔵庫2の扉が開けられている期間の他、扉が閉められてから所定時間Δt1(例えば、数秒間)の間も庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6が電波を間欠的に放射するようにするとよい。これによって、扉が閉められた状態での受信電波強度のデータが取得されるため、食品の入庫又は出庫の判断を高精度で行うことができる。例えば、食品が新たに冷蔵庫2に入れられたのか、それとも、開扉前から扉ポケットD11(図3参照)に入っていたのかを区別しやすくなる。なお、図4に示す所定閾値α1については後記する。
【0026】
図5は、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6の受信電波強度の推移を説明する図である。図5は、特に、冷蔵庫から食品が取り出された場合を示している(適宜、図3も参照)。図5の横軸・縦軸については、図4と同様である。ユーザが冷蔵庫2の扉(例えば、冷蔵室扉D1)を開けて、貯蔵室から食品を取り出した場合、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6の受信電波強度は図5のように変化することが多い。すなわち、貯蔵室から食品が取り出される過程で、食品のRFIDタグ4が庫内アンテナ5から遠ざかるにつれて、庫内アンテナ5の受信電波強度が低くなる。また、冷蔵室R1から食品が取り出される過程で、RFIDタグ4が庫外アンテナ6に近づくにつれて庫外アンテナ6の受信電波強度が高くなる。
【0027】
図6は、持込検知部30を説明する図である。図6の持込検知部30は、居住空間K1の入口付近に配置され、その形状は、薄い平面形状(カーペット形状)である。持込検知部30は、持込検知アンテナ31、重量センサ32、蓄電池33及びこれらを制御する制御装置34を有する。重量センサ32は、持込検知部30に食品F1が置かれたことを検知する。重量センサ32の役割は、食品F1の重量を計測することではなく、食品F1が居住空間K1に入ったことを検知することである。したがって、重量センサ32は、人感センサ、玄関扉の開閉センサ、玄関の照度センサ、他の物理スイッチ等に代替され得る。
【0028】
持込検知アンテナ31は、持込検知部30に食品F1が置かれたことを契機として、食品F1に貼付されたRFIDタグ4に電波を放射し、タグ情報を読み取る。持込検知アンテナ31は、さらに、ネットワークN1を介して、在庫管理装置10との間で所定の通信を行う。持込検知部30は、図6の形状の他にも、玄関の手すり又はゲートに持込検知アンテナ31を内蔵する構造を有していてもよい。また、持込検知部30は、複数のアンテナを有し、複数方向に電波を放射してもよい。
【0029】
(処理手順)
図7は、処理手順のフローチャートである。
ステップS101において、入出力処理部12aは、持込検知部30が食品F1を検知したか否かを判断する。検知した場合(ステップS101“Yes”)、入出力処理部12aは、ステップS102に進む。それ以外の場合(ステップS101“Nо”)、入出力処理部21aは、ステップS103に進む。
【0030】
ステップS102において、入出力処理部12aは、持込検知アンテナ31が読み取ったタグ情報を受信する。すると、在庫管理部12bは、タグ情報を使用して、在庫情報11cのレコードを作成する。
【0031】
ステップS103において、入出力処理部12aは、冷蔵庫2の扉が開かれたか否かを判断する。例えば、冷蔵室扉D1が開かれた場合、冷蔵室扉D1に対応する扉スイッチ(図示せず)から開信号が出力される。この信号は、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6が、タグ情報を読み取る際の契機となるとともに、開閉情報11aの作成にも使用される。扉が開かれた場合(ステップS103“Yes”)、入出力処理部12aは、ステップS104に進み、それ以外の場合(ステップS103“Nо”)、入出力処理部12aは、ステップS110に進む。
【0032】
ステップS104において、入出力処理部12aは、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6を介してタグ情報を読み取る。つまり、入出力処理部12aは、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6に電波を間欠的に放射させ、RFIDタグ4からの電波を受信させる。貯蔵室に複数のRFIDタグ4が存在する場合、複数のRFIDタグ4からそれぞれのタグ情報が読み取られる。
【0033】
ステップS105において、在庫管理部12bは、開閉情報11a及び読取情報11bのレコードを作成する。開閉情報11aは、冷蔵庫2の扉の開閉状態、貯蔵室の識別情報、扉が開閉されたときの日付・時刻等を相互に関連付けている。また、読取情報11bは、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6が読み取ったタグ情報(商品コードやシリアル番号)、各アンテナの識別情報及び受信電波強度、読取りが行われた日付・時刻等を相互に関連付けている。これらの開閉情報11a及び読取情報11bは、補助記憶装置11に格納される。
【0034】
ステップS106において、入出力処理部12aは、冷蔵庫2の扉が閉められたか否かを判断する。扉が閉められた場合(S106“Yes”)、入出力処理部12aは、ステップS107に進む。それ以外の場合(ステップS106“No”)、入出力処理部12aは、ステップS105に戻る。なお、図7では省略しているが、前記したように、冷蔵庫2の扉が閉められたときから所定時間Δt1(例えば、数秒間)の間は、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6から間欠的に電波が放射され、RFIDタグ4の情報が読み取られる(図4図5参照)。
【0035】
ステップS107において、在庫管理部12bは、RFIDタグ4の位置を特定する。例えば、在庫管理部12bは、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6の受信電波強度の変化に基づいて、RFIDタグ4の位置を特定する。
【0036】
具体的には、図4に示すように、貯蔵室の扉が開けられている間、及び、扉が閉められてから所定時間Δt1が経過するまでの間の期間において、庫内アンテナ5の受信電波強度が増加傾向にあり、かつ、庫外アンテナ6の受信電波強度が増加から減少に転じているとする。この場合、在庫管理部12bは、そのRFIDタグ4が付けられた食品が貯蔵室に入れられたと判断する。また、図5に示すように、前記した期間において、庫内アンテナ5の受信電波強度が減少傾向にあり、さらに、庫外アンテナ6の受信電波強度が増加から減少に転じているとする。この場合、在庫管理部12bは、そのRFIDタグ4が付けられた食品が貯蔵室から取り出されたと判断する。
【0037】
在庫管理部12bは、次の方法でRFIDタグ4の位置を特定するようにしてもよい。すなわち、図4に示すように、貯蔵室の扉が閉められてから所定時間Δt1が経過するまでに庫内アンテナ5が最後に受信した電波(データP1)の受信電波強度が所定閾値α1以上であり、かつ、庫外アンテナ6が最後に受信した電波(データP2)の受信電波強度が所定閾値α1未満であるとする。この場合、在庫管理部12bは、そのRFIDタグ4が付けられた食品が貯蔵室に入れられたと判断する。なお、図4及び図5の所定閾値α1は、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。また、貯蔵室ごとに所定閾値α1を異なる値としてもよい。
【0038】
図5に示すように、貯蔵室の扉が閉められてから所定時間Δt1が経過するまでに庫内アンテナ5が最後に受信した電波(データP3)の受信電波強度が所定閾値α1未満であり、かつ、庫外アンテナ6が最後に受信した電波(データP4)の受信電波強度が所定閾値α1以上であるとする。この場合、在庫管理部12bは、そのRFIDタグ4が付けられた食品が貯蔵室から取り出されたと判断する。
【0039】
なお、庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6の受信電波強度の変化率を用いる第1の方法と、受信電波強度を所定閾値α1と比較する第2の方法と、が適宜に組み合わされるようにしてもよい。
【0040】
図7に戻り、ステップS108において、在庫管理部12bは、それぞれのRFIDタグ4の前回の位置と今回の位置とを比較する。つまり、在庫管理部12bは、冷蔵庫2の扉が開閉される直前における各食品の在庫位置と、扉の今回の開閉後における各食品の在庫位置を比較する。
【0041】
ステップS109において、在庫管理部12bは、食品の冷蔵庫への入庫又は冷蔵庫からの出庫を判断する。例えば、冷蔵庫2の扉の開閉直前の在庫に含まれていない所定の食品が、扉の今回の開閉後の在庫情報11cに含まれている場合、在庫管理部12bは、その食品が所定の貯蔵室に入れられたと判断する。また、冷蔵庫2の扉の開閉直前の在庫情報11cに含まれていた所定の食品が、扉の今回の開閉後の在庫情報11cに含まれていない場合、在庫管理部12bは、その食品が所定の貯蔵室から取り出されたと判断する。なお、ここでの“在庫情報11cに含まれる”とは、その食品F1が冷蔵庫2内に収納されていることを、在庫情報11cが記憶していることを意味する。
【0042】
例えば、冷蔵庫内の食品のRFIDタグ4が金属製の缶に接触している場合、又は、水分の多いペットボトル、紙パック等に接触している場合、RFIDタグ4から放射される電波の強度が弱くなる傾向がある。このような場合でも、この食品が冷蔵庫2に入れられる過程で庫内アンテナ5及び庫外アンテナ6がRFIDタグ4からの電波を確実に受信するため、この食品の情報は在庫情報11cに残っている。したがって、在庫管理部12bは、在庫情報11cに含まれているが、扉の今回の開閉時にはRFIDタグ4の情報が読み取れなかった食品については、そのまま在庫情報11cに残すようにするとよい。
【0043】
これによって、冷蔵庫2に収納されている食品が誤って在庫情報11cから削除されることを防止できる。なお、冷蔵庫2の内部の状況(金属製の缶との接触等)に関わらず、冷蔵庫2から食品が取り出される際には、その食品のRFIDタグ4の情報が少なくとも庫外アンテナ6によって読み取られる。
【0044】
ステップS110において、在庫管理部12bは、最新のタグ読取による判断が“冷蔵庫出庫”であるか否かを判断する。最新のタグ読取による判断が“冷蔵庫出庫”(冷蔵庫からの出庫)であった場合(ステップS110“Yes”)、在庫管理部12bは、ステップS111に進む。最新のタグ読取による判断が“冷蔵庫出庫”以外であった場合(ステップS110“Nо”)、在庫管理部12bは、ステップS112に進む。
【0045】
ステップS111において、在庫管理部12bは、“冷蔵庫出庫”からの経過時間と閾値を比較し、ステータスを更新する。“経過時間>閾値”である場合、在庫管理部12bは、その食品のステータス(詳細後記)を“消費完/廃棄”に更新する。“経過時間≦閾値”である場合、在庫管理部12bは、何もしない。在庫管理部12bは、ステップS110及びステップS111の処理結果をユーザに携帯端末装置3を介して表示し、処理結果に対する修正を受け付けてもよい。その後、在庫管理部12bは、ステップS114に進む。
【0046】
ステップS112において、在庫管理部12bは、最新のタグ読取による判断が“持込”であるか否かを判断する。最新のタグ読取による判断が“持込”(居住空間K1への持込)であった場合(ステップS112“Yes”)、在庫管理部12bは、ステップS113に進む。最新のタグ読取による判断が“持込”以外であった場合(ステップS112“Nо”)、在庫管理部12bは、“冷蔵庫入庫”(冷蔵庫への入庫)を保持してステップS114に進む。
【0047】
ステップS113において、在庫管理部12bは、“持込”からの経過時間と保管期間を比較し、ステータスを更新する。“経過時間>保管期間”である場合、在庫管理部12bは、その食品のステータス(詳細後記)を“消費完/廃棄”に更新する。“経過時間≦保管期間”である場合、在庫管理部12bは、何もしない。なお、保管期間とは、食品が安全に食される期間である(詳細後記)。在庫管理部12bは、ステップS112及びステップS113の処理結果をユーザに携帯端末装置3を介して表示し、処理結果に対する修正を受け付けてもよい。
【0048】
ステップS114において、在庫管理部12bは、在庫情報11cを更新する。つまり、在庫管理部12bは、“冷蔵庫入庫”と判断された食品を“庫内”(詳細後記)とし、“持込”又は“冷蔵庫出庫”と判断された食品を“庫外”(詳細後記)とする。さらに在庫管理部12bは、ステータスが“消費完/廃棄”と更新された食品を在庫情報11cから削除する。さらに、在庫管理部12bは、在庫情報11c(図8)を出力装置15又は携帯端末装置3に表示する。その後、処理手順を終了する。
【0049】
(在庫情報)
図8は、在庫情報11cの一例である。在庫情報11cにおいては、メーカ名201、食品名202、保管期間203、前回収納場所204、最新のタグ読取結果205、消費完/廃棄判断206、及び、在庫有/無(場所)207が、相互に関連付けて記憶されている。
【0050】
メーカ名201は、食品の生産者の名称である。
食品名202は、食品の名称(普通名詞)である。
保管期間203は、一般的には、食品が仮に冷蔵庫2に収納されていなくても安全に食される期間である。具体的には、保管期間は、居住空間K1に持ち込まれた時刻から、食品の賞味期限又は消費期限までの期間である。賞味期間又は消費期間は、食品の生産者が指定する。さらに、例えば瓶詰めのドレッシングの場合、保管期間203は、開栓前は賞味期限までの期間であり、開栓後(冷蔵庫2に収納した後)は、所定の期間(例えば1月)であってもよい。又は、保管期間203は、ユーザが任意に設定したものであってもよい。
【0051】
前回収納場所204は、直前回に検知された食品の位置であり、“庫内”、 “庫外”又は “無”のいずれかである。“庫内”は、食品が居住空間K1内かつ冷蔵庫2内に存在することを示す。“庫外”は、食品が居住空間K1内かつ冷蔵庫2外に存在することを示す。“無”は、食品が居住空間K1内に存在しないことを示す。
最新のタグ読取結果205は、タグ情報が読み取られた最新の時刻及びステータスの組み合わせである、ここでのステータスは、“持込”、“冷蔵庫入庫”又は“冷蔵庫出庫”の何れかである。“持込”は、食品が居住空間K1に持ち込まれたことを示す。“冷蔵庫入庫”は、食品が冷蔵庫2に入れられたことを示す。“冷蔵庫出庫”は、食品が冷蔵庫2から取り出されたことを示す。
【0052】
消費完/廃棄判断206は、消費完/廃棄判断処理が行われた時刻(現在時刻)及びステータスの組み合わせである。消費完/廃棄判断処理とは、図7のステップS110~S114の処理である。ここでのステータスは、“消費完/廃棄”又は“-”の何れかである。“消費完/廃棄”は、食品が完全に消費され廃棄されたと判断されたことを示す。“-”は、食品が完全に消費され廃棄されたと判断されなかったこと、つまり、ステータスの更新がなかったことを示す。図8において、現在時刻として、各レコード共通に“2022/10/3 10:00”が記憶されている。このことは、在庫管理部12bがこの時刻に、消費完/廃棄判断処理を居住空間K1内のすべての食品について実行したことを意味する。
【0053】
在庫有/無(場所)207は、“有(庫内)”、“有(庫外)”又は“無”の何れかである。“有(庫内)”は、食品が居住空間K1内かつ冷蔵庫2内に存在することを示す。“有(庫外)”は、食品が居住空間K1内かつ冷蔵庫2外に存在することを示す。“無”は、食品が居住空間K1の内に存在しないことを示す。
【0054】
在庫情報11cのレコード208は、以下のことを示している。
・A社のドレッシングは、2022年10月1日10時00分、初めて居住空間K1に持ち込まれた。
・2022年10月3日10時00分、在庫管理部12bは、A社のドレッシングが持ち込まれてから現在までの経過時間“2日”と保管期間“6月”とを比較した。その結果、経過時間のほうが短かった。
・その結果、在庫管理部12bは、ステータス“持込”を更新しなかった。
・在庫管理部12bは、2022年10月3日10時00分においてA社のドレッシングが居住空間K1内かつ冷蔵庫2外に存在すると判断している。
【0055】
在庫情報11cのレコード209は、以下のことを示している。
・B社の長ネギは、2022年9月1日10時00分、初めて居住空間K1に持ち込まれた。
・2022年10月3日10時00分、在庫管理部12bは、B社の長ネギが持ち込まれてから現在までの経過時間“1月+2日”と保管期間“1月”とを比較した。その結果、経過時間のほうが長かった。
・その結果、在庫管理部12bは、ステータス“持込”を“消費完/廃棄”に更新した。
・在庫管理部12bは、2022年10月3日10時00分においてB社の長ネギが居住空間K1内に存在しないと判断している。
【0056】
在庫情報11cのレコード210は、以下のことを示している。
・C社のビールは、前回の消費完/廃棄判断処理において、庫外にあると判断された。
・2022年10月2日15時00分、C社のビールは、冷蔵庫2に入った。
・2022年10月3日10時00分、在庫管理部12bは、ステータス“冷蔵庫入庫”を更新しなかった。
・在庫管理部12bは、2022年10月3日10時00分においてC社のビールが居住空間K1内かつ冷蔵庫2内に存在すると判断している。
【0057】
在庫情報11cのレコード211は、以下のことを示している。
・D社のミニトマトは、前回の消費完/廃棄判断処理において、庫内にあると判断された。
・2022年10月3日8時00分、D社のミニトマトは、冷蔵庫2から出た。
・2022年10月3日10時00分、在庫管理部12bは、D社のミニトマトが出庫されてから現在までの経過時間“2時間”と閾値(図示していないが“1時間”)とを比較した。その結果、経過時間のほうが長かった。
・その結果、在庫管理部12bは、ステータス“冷蔵庫出庫”を“消費完/廃棄”に更新した。
・在庫管理部12bは、2022年10月3日10時00分においてD社のミニトマトが居住空間K1内に存在しないと判断している。
【0058】
〈第2の実施形態〉
図9もまた、在庫管理装置10の構成等を説明する図である。図9の在庫管理システム1は、図1の在庫管理システム1に比して、居住空間K1内に廃棄検知部50を追加的に備える点が異なる。廃棄検知部50は、ごみ箱としての機能を備え、その内部に廃棄された食品F1のタグ情報を読み取る廃棄検知アンテナ51を有する。廃棄検知アンテナ51は、ネットワークN1に接続されている。廃棄検知部50及び廃棄検知アンテナ51は、在庫管理システム1の一部を構成する。廃棄検知アンテナ51は、“第3のアンテナ”に相当する。
【0059】
図10は、廃棄検知部50を説明する図である。図10の廃棄検知部50は、居住空間K1の任意の位置に配置される、円筒状のごみ箱である。廃棄検知部50は、廃棄検知アンテナ51、開閉センサ52、蓄電池53及びこれらを制御する制御装置54を備える。開閉センサ52は、廃棄検知部50の蓋が開閉されたことを検知する。廃棄検知部50が蓋を備えない場合もある。このような場合、開閉センサ52は、人感センサ、重量センサ、照度センサ、他の物理ボタン等に代替され得る。廃棄検知部50が図10のようなごみ箱である場合、開閉センサ52は、廃棄検知部50の蓋の内側に設置されていてもよい。
【0060】
廃棄検知アンテナ51は、廃棄検知部50の蓋が開けられたことを契機として、食品F1に貼付されたRFIDタグ4に電波を放射し、タグ情報を読み取る。廃棄検知アンテナ51は、さらに、ネットワークN1を介して、在庫管理装置10との間で所定の通信を行う。廃棄検知アンテナ51は、近接領域にあるタグ情報のみを読み込むように出力調整されたうえで、ユーザが廃棄する食品F1を近付けるのを検知してもよい。すると、在庫管理部12bは、食品F1が廃棄されたことを確実に検知することができる。
【0061】
なお、“廃棄された食品(物品)”とは、以下の例を含む。
・RFIDタグ4が付された包装材
・RFIDタグ4が付された包装材及び食べ残り(使い残り)の食品(物品)
・RFIDタグ4が付された食品(物品)そのもの
【0062】
(処理手順)
図11もまた、処理手順のフローチャートである。図11の処理手順は、図7の処理手順に比して以下の点のみが異なる。
・ステップS109の直後かつステップS110の直前に、ステップS1091及びステップS1092が存在する。
・ステップS103の“Nо”の後、処理は、ステップS1091に進む。
以降では、異なる部分のみ説明する。
【0063】
ステップS1091において、入出力処理部12aは、廃棄検知部50が食品を検知したか否かを判断する。検知した場合(ステップS1091“Yes”)、入出力処理部12aは、ステップS1092に進む。それ以外の場合(ステップS1091“Nо”)、入出力処理部12aは、ステップS110に進む。
【0064】
ステップS1092において、入出力処理部12aは、廃棄検知アンテナ51が読み取ったタグ情報を受信する。すると、在庫管理部12bは、タグ情報を使用して、在庫情報11cのレコードを作成する。具体的には、在庫管理部12bは、在庫情報11cにおいてその食品のステータスを“消費完/廃棄”に更新する。その後、処理は、ステップS110に進む。
【0065】
(収納庫の個数)
冷蔵庫(収納庫)2は、食品(又は物品)が適切に収納されるために必要な温度等の条件ごとに、複数存在していてもよい。在庫管理装置10の在庫管理部12bは、特定の食品が複数の冷蔵庫のうちの何れに収納されているかを判断することができる。
【0066】
(購入物品受信部)
ユーザは、リアルなスーパマーケット等で食品を自ら購入し、居住空間K1に入った時点でその食品のタグ情報を自ら持込検知部30に読み取らせる場合が多い。しかしながら、ネットワーク上の仮想店舗等でクレジットカード等を使用して食品を購入する場合もあり得る。この際、ユーザは、宅配で居住空間K1に届けられた食品(箱詰めの缶ビール等)のタグ情報を、持込検知部30に読み取らせることを、失念しがちである。
【0067】
そこで、図1又は図9において、在庫管理装置10は、プログラムとしての購入物品受信部12c(図示せず)を有してもよい。ユーザは、携帯端末装置3を介して、仮想店舗で食品を購入する。このとき、購入物品受信部12cは、携帯端末装置3から、ユーザが購入した食品についての情報(その食品に付されたRFIDタグ4が記憶している情報と同等の情報)を受信する。在庫管理部12bは、購入物品受信部12cがこのような情報(購入情報)を受信することを、持込検知部30の持込検知アンテナ31がその食品のタグ情報を読み取ったことを同値であると見做す。
【0068】
在庫管理部12bは、例えば宅配業者の配達員が操作する端末装置から、食品が居住空間K1の入口等に配達された旨の信号(配達情報)を受信してもよい。この場合、在庫管理部12bは、購入情報及び配達情報を受信することを、持込検知部30の持込検知アンテナ31がその食品のタグ情報を読み取ったことを同値であると見做す。
【0069】
(詰め替え)
ユーザは、食品を使い切る前、又は、廃棄する前に、その食品が持ち込まれたときにその食品を包装していた材を交換する(詰め替える)場合がある。例えば、RFIDタグ4が付された1枚のビニル袋で包装された20個のソーセージをユーザが購入する。ユーザは、そのRFIDタグ4を持込検知部30に読み込ませる。その後、ユーザは、そのビニル袋を開封することなく、冷蔵庫2に収納する。すると、庫内アンテナ5は、そのタグ情報を読み取る。その後ユーザは、ビニル袋を冷蔵庫2から取り出し、20個のうち5個を調理に使用する。ユーザは、より透明性及び密閉性に優れた別容器に残りの15個を収納し、冷蔵庫2に戻す。このとき、ユーザは、もとのビニル袋を廃棄検知部50(ゴミ箱)に廃棄する。
【0070】
このような場合、もとのビニル袋と別容器との関連付けが必要になる。在庫管理部12bは、ユーザが冷蔵庫2からビニル袋を取り出す際、扉上に配置されたタッチスクリーン上の“詰め替えボタン”(図示せず)を押下するのを受け付ける。つぎに、在庫管理部12bは、ユーザが冷蔵庫2へ別容器を入れる際、その“詰め替えボタン”を再度押下するのを受け付ける。なお、冷蔵庫2は、付属品として、RFIDタグ4を有する詰め替え用の別容器を複数有している。ユーザが前記の操作をする際に、在庫管理部12bは、もとのビニル袋のタグ情報のうちRFIDタグ4の個体を特定する情報以外の情報を、別容器のRFIDタグ4にコピーする。
【0071】
(持込検知部兼廃棄検知部)
食品は、居住空間K1に入った直後に持込検知部30によって読み取られるのが望ましい。同様に、食品は、居住空間K1から出る直前に廃棄検知部50によって読み取られるのが望ましい。結局、持込検知部30及び廃棄検知部50の両者は、居住空間K1の玄関、勝手口等の近辺に配置されることが便宜である。そこで、持込検知部30は、持込検知部30の機能及び廃棄検知部50の機能を同時に有していてもよい。
【0072】
持込検知アンテナ31が読み取ったタグ情報が在庫情報11cに格納されていない場合、検知された食品は、新たに居住空間K1に持ち込まれたと判断されてもよい。反対に、持込検知アンテナ31が読み取ったタグ情報が在庫情報11cに格納されている場合、検知された食品は、居住空間K1から持ち出されて廃棄されたと判断されてもよい。また、所定の期間(例えば、1分間)内に複数の食品を持込検知アンテナ31が読み取り、少なくとも1つの食品が廃棄されたと判断された場合、所定の期間内に検知された複数の食品のうち在庫情報11cが格納されていない他の食品も併せて廃棄されたと判断されてもよい。これにより、居住空間K1に食品が持ち込まれた際に持込検知アンテナ31がタグ情報を検知できないことに起因して、実際には当該食品が持ち出されて廃棄される際に、当該食品が居住空間K1に持ち込まれたと誤って判断されることを防ぐ。
【0073】
通常、持込検知部30は、本来の持込検知部30として機能する。ユーザが持込検知部30の任意の箇所に配置される“切り替えボタン”を操作した場合、持込検知部30は、廃棄検知部50として機能する。入出力処理部12aは、食品F1を持ち居住空間K1内を移動するユーザの動線を、居住空間K1内の任意の位置に設置されたセンサによって検知し、ユーザの動線の向きに応じて、持込検知部30の機能及び廃棄検知部50の機能を切り替えてもよい。
【0074】
また、玄関又は勝手口の扉が扉開閉センサ(図示せず)を有し、持込検知アンテナ31がタグ情報を読み取った後に、持込検知部30が、扉開閉センサからの情報に基づき、持込/廃棄を判断してもよい。具体的には、持込検知アンテナ31がタグ情報を読み取る前に玄関又は勝手口の扉が開いたことを検知した場合、持込検知部30は、当該食品が居住空間K1に持ち込まれたと判断する。一方、持込検知アンテナ31がタグ情報を読み取った後に玄関又は勝手口の扉が開いたことを検知した場合、持込検知部30は、当該食品が廃棄されたと判断する。なお、扉開閉センサが設置される扉は、玄関又は勝手口の扉に限らず、居住空間K1のキッチン等に通じる他の扉であってもよい。
【0075】
例えば、持込検知部30が玄関に設置され、キッチン等に通じる居住空間K1内の扉に扉開閉センサが設置されていると想定する。この想定において、持込検知アンテナ31がタグ情報を読み取る直前の例えば1分以内に扉が開いたことを扉開閉センサが検知した場合、持込検知部30は、当該食品が居住空間K1から廃棄されたと判断する。一方、持込検知アンテナ31がタグ情報を読み取った後、扉が開いたことを扉開閉センサが検知した場合、持込検知部30は、当該食品が居住空間K1に持ち込まれたと判断する。つまり、ユーザは、持込検知部30と、扉開閉センサとの位置関係に応じて、運用しやすい判断基準を設定することができる。
【0076】
(本実施形態の効果)
本実施形態の在庫管理システムの効果は以下の通りである。
(1)在庫管理システムは、物品が特定の収納庫に収納されているか否かを端的に分別することができる。
(2)在庫管理システムは、物品が廃棄されているか否かを分別することができる。
(3)在庫管理システムは、物品が特定の収納庫に収納されているか否か、又は、物品が廃棄されているか否かを表示することができる。
【0077】
(4)在庫管理システムは、物品が何れの収納庫に収納されているかを分別することができる。
(5)在庫管理システムは、廃棄検知部の機能を持込検知部に兼ねさせることができる。
(6)在庫管理システムは、物品の購入情報を使用して、物品が特定の収納庫に収納されているか否かを端的に分別することができる。
【0078】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0079】
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウエアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。在庫管理装置10の各種情報は、クラウド上に存在していてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 在庫管理システム
2 冷蔵庫(収納庫)
3 携帯端末装置
4 RFIDタグ(無線タグ)
5 庫内アンテナ(第2のアンテナ)
5a 電波放射領域
6 庫外アンテナ(第2のアンテナ)
6a 電波放射領域
10 在庫管理装置
11 補助記憶装置
11a 開閉情報
11b 読取情報
11c 在庫情報
12 主記憶装置
12a 入出力処理部
12b 在庫管理部
12c 購入物品受信部
13 中央制御装置
14 入力装置
15 出力装置
16 通信装置
30 持込検知部
31 持込検知アンテナ(第1のアンテナ)
40 収容スペース
50 廃棄検知部
51 廃棄検知アンテナ(第3のアンテナ)
F1 食品(物品)
K1 居住空間
N1 ネットワーク
R1 冷蔵室(貯蔵室)
R2 製氷室(貯蔵室)
R3 上段冷凍室(貯蔵室)
R4 野菜室(貯蔵室)
R5 下段冷凍室(貯蔵室)
D1 冷蔵室扉
D2 製氷室扉
D11 扉ポケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11