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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137317
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】モニターケース
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240927BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G09F9/00 351
H04N5/64 521P
G09F9/00 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048791
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 良視
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA19
5G435EE13
5G435EE16
5G435EE17
5G435EE18
5G435EE19
5G435EE50
5G435GG17
5G435LL17
5G435LL19
(57)【要約】
【課題】モニターをコンパクトに収容することが可能なモニターケースを提供する。
【解決手段】モニターケースは、ベース部材と、フードと、一対の第1アームを有する第1ラダー、一対の第2アームを有する第2ラダー及び一対の第3アームを有する第3ラダーと、第3ラダーに設けられモニターを取り付け可能なプレートとを備え、一対の第1アームの幅方向の内側に一対の第2アームが配置され一対の第2アームの幅方向の内側に一対の第3アームが配置されるように第1接続部及び第2接続部を支点に第1ラダー、第2ラダー及び第3ラダーを折り畳んだ状態で、モニターがフードに収容される第1位置に配置され、第1ラダー、第2ラダー及び第3ラダーが第1接続部及び第2接続部を支点に展開された状態で、モニターがフードの下方の第2位置に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に固定されるベース部材と、
前記ベース部材に固定され、モニターを覆うフードと、
一端が前記ベース部材にそれぞれ固定され幅方向に間隔を空けて配置された一対の第1アームを有する第1ラダーと、
前記幅方向について前記第1ラダーの内寸よりも外寸が小さく、前記第1アームの他端に第1接続部を介して回動可能に一端がそれぞれ接続された一対の第2アームを有する第2ラダーと、
前記幅方向について前記第2ラダーの内寸よりも外寸が小さく、前記第2アームの他端に第2接続部を介して回動可能に一端がそれぞれ接続された一対の第3アームを有する第3ラダーと、
前記第3ラダーに設けられ、前記モニターを取り付け可能なプレートと
を備え、
一対の前記第1アームの前記幅方向の内側に一対の前記第2アームが配置され、一対の前記第2アームの前記幅方向の内側に一対の前記第3アームが配置されるように前記第1接続部及び前記第2接続部を支点に前記第1ラダー、前記第2ラダー及び前記第3ラダーを折り畳んだ状態で、前記モニターが前記フードに収容される第1位置に配置され、
前記第1ラダー、前記第2ラダー及び前記第3ラダーが前記第1接続部及び前記第2接続部を支点に展開された状態で、前記モニターが前記フードの下方の第2位置に配置される
モニターケース。
【請求項2】
前記第2ラダーは、所定以上の応力で前記第1ラダーに対して0°以上180°以下の角度をなす範囲で回動可能であり、
前記第3ラダーは、所定以上の応力で前記第2ラダーに対して0°以上180°以下の角度をなす範囲で回動可能である
請求項1に記載のモニターケース。
【請求項3】
前記第3ラダーは、前記モニターの上部に配置される天吊りフックを有し、
前記ベース部材は、前記天吊りフックを吊り下げ可能な吊りガイドを有し、
前記天吊りフックは、出没可能な爪部を一端に有し、前記爪部の出没を切り替える切り替え機構を他端に有し、
前記切り替え機構は、前記天吊りフックの他端に雌ネジ部を有し、雄ネジ部を有する棒状部材を用いて前記雌ネジ部を締め込むことで前記爪部を収容させ、前記棒状部材を用いて前記雌ネジ部を緩めることで前記爪部を突出させる
請求項1に記載のモニターケース。
【請求項4】
前記第3ラダーは、前記プレートの背面に配置され、前記第1ラダー、前記第2ラダー及び前記第3ラダーを折り畳んだ状態で前記第1ラダーの一部に係止される背面フックを有する
請求項1に記載のモニターケース。
【請求項5】
前記第3ラダーは、前記幅方向の両側に突出したサイドバーを有し、
前記フードは、前記モニターに対して前記幅方向の両側に配置される側面部を有し、
前記側面部には、前記サイドバーを案内する案内溝と、前記サイドバーを位置決めする複数の位置決め溝とが設けられる
請求項1に記載のモニターケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モニターケースに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道、路面電車などの駅及びターミナルでは、顧客の乗降の安全性を確認するために、カメラとモニターとがプラットホームに設置されている。カメラで撮影した映像をモニターで表示し、車掌等の乗務員がモニターを見ることでドアの開閉を安全に行うことが可能となっている。プラットホームに配置されるモニターは、防水及び防塵の目的で、モニターケースに収容される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-154592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモニターケースにおいては、モニターをコンパクトに収容することが可能な構成が求められる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、モニターをコンパクトに収容することが可能なモニターケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るモニターケースは、構造物に固定されるベース部材と、前記ベース部材に固定され、モニターを覆うフードと、一端が前記ベース部材にそれぞれ固定され幅方向に間隔を空けて配置された一対の第1アームを有する第1ラダーと、前記幅方向について前記第1ラダーの内寸よりも外寸が小さく、前記第1アームの他端に第1接続部を介して回動可能に一端がそれぞれ接続された一対の第2アームを有する第2ラダーと、前記幅方向について前記第2ラダーの内寸よりも外寸が小さく、前記第2アームの他端に第2接続部を介して回動可能に一端がそれぞれ接続された一対の第3アームを有する第3ラダーと、前記第3ラダーに設けられ、前記モニターを取り付け可能なプレートとを備え、一対の前記第1アームの前記幅方向の内側に一対の前記第2アームが配置され一対の前記第2アームの前記幅方向の内側に一対の前記第3アームが配置されるように前記第1接続部及び前記第2接続部を支点に前記第1ラダー、前記第2ラダー及び前記第3ラダーを折り畳んだ状態で、前記モニターが前記フードに収容される第1位置に配置され、前記第1ラダー、前記第2ラダー及び前記第3ラダーが前記第1接続部及び前記第2接続部を支点に展開された状態で、前記モニターが前記フードの下方の第2位置に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、モニターをコンパクトに収容することが可能なモニターケースを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係るモニターケースの一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るモニターケースの一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係るモニターケースの一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係るモニターケースの一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係るモニターケースの一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係るモニターケースの一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態に係るモニターケースの一例を示す図である。
図8図8は、吊りガイドの一例を示す図である。
図9図9は、吊りガイドの一例を示す図である。
図10図10は、案内部により天吊りフックが案内される様子を示す図である。
図11図11は、受け部にアーム部材を係止した状態を示す図である。
図12図12は、吊りガイド及び天吊りフックの断面構成の一例を示す図である。
図13図13は、吊りガイド及び天吊りフックの断面構成の一例を示す図である。
図14図14は、天吊りフックを取り外す場合の一例を示す図である。
図15図15は、天吊りフックを取り外す場合の一例を示す図である。
図16図16は、モニターケースの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係るモニターケースの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
以下の説明において、正面背面、上下、左右の各方向は、モニターケースの設置状態における方向を示す。例えば、正面背面については、モニターMを収容した状態で表示部に面する側を正面側、当該正面側とは反対側を背面側とする。左右については、モニターMから正面を向いた場合の左方を左側、右方を右側とする。また、本実施形態において、左右方向はモニターケースの幅方向である。上下については、鉛直方向に平行であるとする。
【0011】
図1から図7は、本実施形態に係るモニターケースの一例を示す図である。図1は背面側から見た図、図2は正面側から見た図、図3から図6は左側から見た図、図7は背面側から見た図である。図3は、左側から見た場合にフード20の内側の構成を示すため、フード20のうち左側の側面部22を省略した状態を示している。図1から図4は、モニターMをフード20の内側に収容した状態を示している。図5は、モニターMを移動させる途中の状態を示している。図6及び図7は、モニターMをフード20の下方に移動させた状態を示している。
【0012】
図1から図7に示すモニターケース100及びモニターMは、例えば鉄道、路面電車などの駅及びターミナルのプラットホームに配置される。モニターMは、例えば電車等の車両のドア及びその付近の様子をカメラで撮影した映像を表示することができる。
【0013】
モニターケース100は、ベース部材10と、フード20と、第1ラダー30と、第2ラダー40と、第3ラダー50と、プレート60とを備える。
【0014】
ベース部材10は、天井C又は支柱P等の構造物に固定される。ベース部材10は、例えば複数のアンカーを用いて固定され、各アンカーがワイヤーで天井Cに固定される。ベース部材10の固定構造については、上記に限定されず、他の構成であってもよい。
【0015】
フード20は、ベース部材10に固定される。フード20は、モニターMの上方を覆う上面部21と、と左右の両側方を覆う側面部22とを有する。フード20は、正面側と下方側とが開放されている。フード20により、モニターMの防水性及び防塵性を確保し、直射日光の入射を防止することができる。側面部22には、後述する第3ラダー50のサイドバー62を案内する案内溝23が設けられる。案内溝23は、サイドバー62を位置決めする複数の位置決め溝24(24a、24b、24c)に接続される。
【0016】
第1ラダー30は、ベース部材10に固定される。第1ラダー30は、左側アーム31と、右側アーム32と、連結部材33とを有する。左側アーム31は、一端がベース部材10の左側の端部に固定される。右側アーム32は、一端がベース部材10の右側の端部に固定される。連結部材33は、例えば棒状であり、左側アーム31と右側アーム32とを幅方向に連結する。また、連結部材33は、フード20の左右両側に固定されてもよい。
【0017】
第2ラダー40は、第1ラダー30と後述する第3ラダー50との間を中継する。第2ラダー40は、複数設けられてもよい。第2ラダー40は、左側アーム41と、右側アーム42と、連結部材43とを有する。左側アーム41は、一端が接続部(第1接続部)81を介して第1ラダー30の左側アーム31の他端に回動可能に接続される。右側アーム42は、一端が接続部(第1接続部)82を介して第1ラダー30の右側アーム32の他端に回動可能に接続される。接続部81、82としては、例えばロータリーダンパー等が用いられる。接続部81、82は、所定以上の応力を加えた場合に回動するようになっている。連結部材43は、例えば板状であり、左側アーム41と右側アーム42とを幅方向に連結する。第2ラダー40において、左側アーム41及び右側アーム42は、連結部材43により連結されることで一体となって回動する。
【0018】
第3ラダー50は、モニターMを支持する。第3ラダー50は、左側アーム51と、右側アーム52と、連結部材53とを有する。左側アーム51は、一端が接続部(第2接続部)83を介して第2ラダー40の左側アーム41の他端に回動可能に接続される。右側アーム52は、一端が接続部(第2接続部)84を介して第2ラダー40の右側アーム42の他端に回動可能に接続される。接続部83、84としては、例えばロータリーダンパー等が用いられる。接続部83、84は、所定以上の応力を加えた場合に回動するようになっている。連結部材53は、例えば棒状であり、左側アーム51と右側アーム52とを幅方向に連結する。第3ラダー50において、左側アーム51及び右側アーム52は、連結部材53により連結されることで一体となって回動する。
【0019】
連結部材53には、センターレバー61が取り付けられる。センターレバー61は、連結部材53から前方に突出した状態で設けられる。センターレバー61には、サイドバー62が設けられる。サイドバー62は、センターレバー61から幅方向の両側に延び出した状態で設けられる。サイドバー62は、上記したフード20の側面部22の案内溝23及び位置決め溝24に挿入可能である。
【0020】
第1ラダー30は、フード20の幅方向の内側に配置される。第2ラダー40の幅方向の外寸(幅)L2は、第1ラダー30の幅方向の内寸L1よりも小さい。第2ラダー40は、第1ラダー30の幅方向の内側に配置可能である。第3ラダー50の幅方向の外寸(幅)L4は、第2ラダー40の幅方向の内寸L3よりも小さい。第3ラダー50は、第2ラダー40の幅方向の内側に配置可能である。
【0021】
第2ラダー40は、所定以上の応力を加えた場合、第1ラダー30に対して、0°以上180°以下の角度θ2(図5図6参照)をなす範囲で回動可能である。第3ラダー50は、所定以上の応力を加えた場合、第2ラダー40に対して、0°以上180°以下の角度θ3(図5図6参照)をなす範囲で回動可能である。所定以上の応力については、例えば、モニターMを取り付けて傾斜角θの値を閾値以下とした状態で第2ラダー40及び第3ラダー50が回動しない応力とすることができる。これにより、モニターMの姿勢が崩れることを抑制できる。
【0022】
プレート60は、第3ラダー50に固定される。プレート60は、モニターMが固定される。モニターMには、映像信号を伝達するための信号ケーブルC1及び電力を供給するための電源ケーブルC2が接続される。信号ケーブルC1は、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50の左右の一方のアーム(ここでは、左側アーム31、41、51)を伝って天井Cに引き回される。電源ケーブルC2は、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50の左右の他方のアーム(ここでは、右側アーム32、42、52)を伝って天井Cに引き回される。
【0023】
モニターケース100では、幅方向について、第1ラダー30の左側アーム31及び右側アーム32の内側に第2ラダー40の左側アーム41及び右側アーム42が配置され、第2ラダー40の左側アーム41及び右側アーム42の内側に第3ラダー50の左側アーム51及び右側アーム52が配置されるように、接続部81、82及び接続部83、84を支点に第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を折り畳んだ折り畳み状態とすることができる。この折り畳み状態において、モニターMは、フード20に収容される第1位置P1に配置される。また、折り畳み状態において、第3ラダー50のサイドバー62をフード20の位置決め溝24a、24b、24cに選択して挿入することにより、第2ラダー40に対する第3ラダー50の角度、すなわちモニターMの傾斜角θを調整することができる。なお、本実施形態において、モニターMの傾斜角θは、鉛直方向に対する傾斜角とする(図3参照)。
【0024】
また、モニターケース100では、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50が接続部81、82及び接続部83、84を支点に展開された展開状態とすることができる。この展開状態において、モニターMは、フード20の下方の第2位置P2に配置される。第2位置P2は、例えば作業者がメンテナンスを行うメンテナンス位置であってよい。
【0025】
第3ラダー50は、背面フック55を有する。背面フック55は、例えばプレート60の背面に配置される。背面フック55は、例えば連結部材53に固定される。背面フック55は、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を折り畳んだ状態で、モニターMの傾斜角θ(鉛直方向に対する傾斜角)が所定角度以上となった場合に、第1ラダー30の連結部材33に係止される。背面フック55が連結部材33に係止されることにより、モニターMの重量の一部を背面フック55及び連結部材33で受けることができるため、接続部81、82、83、84の負担を軽減し、モニターMの姿勢を安定させることができる。
【0026】
第3ラダー50は、天吊りフック54を有する。天吊りフック54は、モニターMの上部に配置される。天吊りフック54は、ベース部材10の吊りガイド14に吊り下げられる。
【0027】
図8及び図9は、吊りガイド14の一例を示す図である。図8は正面側から見た図、図9図8におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。図8及び図9に示すように、吊りガイド14は、アーム案内部14aと、アーム受け部14bと、爪受け部14cとを有する。アーム案内部14aは、天吊りフック54のアーム部材56及び棒状部材57の出し入れを案内する。
【0028】
図10は、アーム案内部14aにより天吊りフック54が案内される様子を示す図である。図8から図10に示すように、アーム案内部14aは、アーム部材56及び棒状部材57の形状に対応した形状を有する。アーム部材56及び棒状部材57がアーム案内部14aに挿入可能な姿勢を維持しつつ、天吊りフック54をアーム案内部14aに挿入することにより、アーム案内部14aに沿って天吊りフック54を吊りガイド14内に収容させることができる。
【0029】
アーム受け部14bは、アーム部材56が係止される。アーム受け部14bは、側断面視において、下方に湾曲した構成となっている。図11は、アーム受け部14bにアーム部材56を係止した状態を示す図である。図11に示すように、アーム受け部14bの当該形状により、アーム受け部14bに係止した状態でアーム部材56を左右方向に平行な軸回りに揺動させることができる。このため、例えば第3ラダー50の傾きを変化させる場合に、アーム部材56の傾きを許容することが可能となっている。
【0030】
爪受け部14cは、アーム受け部14bから幅方向に広がった形状を有する。爪受け部14cは、爪部58が突出状態となった場合、爪部58を受ける部分である。
【0031】
図12及び図13は、吊りガイド14及び天吊りフック54の断面構成の一例を示す図である。図12及び図13は、図11におけるB-B断面に沿った構成を示している。図12及び図13に示すように、天吊りフック54は、アーム部材56と、棒状部材57と、爪部58と、切り替え機構59とを有する。アーム部材56は、例えば板状に形成され、吊りガイド14に係止される。棒状部材57は、アーム部材56の径方向の中央部に連結されてアーム部材56を支持する。棒状部材57は、連結部材63によりプレート60に連結される。
【0032】
爪部58は、アーム部材56から長手方向に出没可能に設けられる。すなわち、爪部58は、アーム部材56から長手方向に突出した突出状態と、アーム部材56に収容された収容状態とが切り替え可能である。なお、爪部58の形状は、図12、13等で示された形状に限定されない。
【0033】
爪部58が突出状態となった状態においては、爪部58がアーム受け部14bから幅方向に広がって爪受け部14cに係止される。したがって、天吊りフック54を吊りガイド14から取り外そうして持ち上げた場合、爪部58がアーム案内部14aと爪受け部14cとの間の段部14dに干渉するため、アーム部材56がアーム案内部14a側に移動しない。このため、吊りガイド14からの天吊りフック54の抜けが抑制される。
【0034】
一方、爪部58が収容状態となった状態においては、天吊りフック54を吊りガイド14から取り外そうとして持ち上げた場合、爪部58が干渉しないため、アーム部材56がアーム案内部14aに挿入される。このため、アーム案内部14aに沿って吊りガイド14から天吊りフック54を取り外すことが可能となる。
【0035】
切り替え機構59は、爪部58を突出状態と収容状態とで切り替える。切り替え機構59は、雌ネジ部70と、伝達機構71とを有する。雌ネジ部70は、棒状部材57の他端に設けられる。雌ネジ部70は、対応する雄ネジ部72とネジ接合可能である。本実施形態では、雄ネジ部72が先端に形成された操作棒73が用いられる。
【0036】
伝達機構71は、雄ネジ部72の回転力を爪部58に伝達する。伝達機構71は、雄ネジ部72が雌ネジ部70に締め込まれていない場合には、爪部58が突出状態となるように当該爪部58を保持する。また、伝達機構71は、雄ネジ部72が雌ネジ部70に締め込まれる際に、雄ネジ部72の締め込み方向の回転力により爪部58が収容状態となるように当該爪部58に回転力を伝達する。また、伝達機構71は、雌ネジ部70に締め込まれた状態の雄ネジ部72を緩める際に、雄ネジ部72を緩める方向の回転力により爪部58が突出状態となるように当該爪部58に回転力を伝達する。
【0037】
したがって、雄ネジ部72を雌ネジ部70にネジ接合した場合、操作棒73が棒状部材57に装着されると共に、雄ネジ部72の回転が伝達機構71により爪部58に伝達されて爪部58が突出状態から収容状態に切り替わる。つまり、操作棒73を棒状部材57に装着する動作と、爪部58を収容状態とする動作とを連動して行うことができる。この動作は、天吊りフック54を吊りガイド14から取り外す場合に有効である。すなわち、棒状部材57に操作棒73を取り付ける動作を行うことで、連動して爪部58が収容状態となる。したがって、棒状部材57に操作棒73を取り付けた後、そのまま当該操作棒73を操作することで、アーム部材56を吊りガイド14から取り外すことが可能となる。
【0038】
また、雄ネジ部72に雌ネジ部70がネジ接合された状態から当該雄ネジ部72を緩める場合、操作棒73が棒状部材57から取り外されると共に、雄ネジ部72の回転が伝達機構71により爪部58に伝達されて爪部58が収容状態から突出状態に切り替わる。つまり、操作棒73を棒状部材57から取り外す動作と、爪部58を突出状態とする動作とを連動して行うことができる。この動作は、天吊りフック54を吊りガイド14に吊り下げる場合に有効である。すなわち、操作棒73を棒状部材57に装着した状態で、当該操作棒73を操作してアーム部材56を吊りガイド14に係止させる。この状態から操作棒73を回転させて棒状部材57から取り外す動作を行うことで、当該動作に連動して爪部58が突出状態となる。
【0039】
次に、上記のように構成されたモニターケース100の使用方法の一例を説明する。モニターケース100は、例えば図1から図4に示すように、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を折り畳み状態とし、天吊りフック54を吊りガイド14に吊り下げ、背面フック55を連結部材33に係止させた状態として、モニターMを第1位置Pで支持する。第1ラダー30に対する第2ラダー40の角度、第2ラダー40に対する第3ラダー50の角度を調整することにより、モニターMの傾斜角θを調整することができる。モニターMの傾斜角θについては、例えば、第1位置P1の高さ位置に応じて、床部から観察者が適切に観察可能な角度とすることができる。第1ラダー30と第2ラダー40との間は、所定応力以下の力では回動しないように接続部81、82により保持される。第2ラダー40と第3ラダー50との間は、所定応力以下の力では回動しないように接続部83、84により保持される。
【0040】
上記のようにモニターケース100に収容されたモニターMについてメンテナンス作業を行う場合、まず、天吊りフック54を吊りガイド14から取り外す。天吊りフック54を吊りガイド14から取り外す場合、上記した操作棒73の雄ネジ部72を棒状部材57の雌ネジ部70にネジ接合させることで、操作棒73を棒状部材57に接合すると共に爪部58を収容状態とする。その後、作業者は、操作棒73を操作して天吊りフック54を吊りガイド14から取り外す。図14及び図15は、天吊りフック54を取り外す場合の一例を示す図である。図14に示すように、作業者は、操作棒73を持ち上げることで、アーム部材56をアーム受け部14bから離して係止状態を解除する。その後、図15に示すように、作業者は、天吊りフック54の姿勢を維持したまま、操作棒73を正面側に平行に移動させる。これにより、天吊りフック54を吊りガイド14から取り外すことができる。天吊りフック54を取り外した後、センターレバー61を把持して第3ラダー50を回動させることで、背面フック55を連結部材33から取り外す。
【0041】
その後、作業者は、センターレバー61を把持したまま下方に引き下ろすことにより、図5に示すように、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を展開状態として、図6及び図7に示すようにモニターMを第2位置P2に移動させる。第2位置P2にモニターMを配置した後、作業者は、モニターMの清掃、保守点検、修理、交換等のメンテナンス作業を行う。
【0042】
メンテナンス作業を行った後、作業者は、センターレバー61を上方に持ち上げることにより、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を折り畳み状態とする。作業者は、サイドバー62をフード20の側面部22の案内溝23に沿って移動させ、背面フック55を連結部材33に係止させる。その後、作業者は、操作棒73を操作して天吊りフック54を吊りガイド14に吊り下げ、雄ネジ部72のネジ接合を解除することで、操作棒73を棒状部材57から取り外すと共に爪部58を突出状態とする。爪部58を突出状態とした後、作業者は、センターレバー61を把持した状態で、サイドバー62を複数の位置決め溝24のうちいずれかに保持させて、モニターMの傾斜角θを調整する。
【0043】
以上のように、本実施形態に係るモニターケース100は、構造物(天井C、支柱P等)に固定されるベース部材10と、ベース部材10に固定され、モニターMを覆うフード20と、一端がベース部材10にそれぞれ固定され幅方向に間隔を空けて配置された左側アーム31及び右側アーム32を有する第1ラダー30と、幅方向について第1ラダー30の内寸よりも外寸が小さく、左側アーム31及び右側アーム32の他端に接続部81、82を介して回動可能に一端がそれぞれ接続された左側アーム41及び右側アーム42を有する第2ラダー40と、幅方向について第2ラダー40の内寸よりも外寸が小さく、左側アーム41及び右側アーム42の他端に接続部83、84を介して回動可能に一端がそれぞれ接続された左側アーム51及び右側アーム52を有する第3ラダー50と、第3ラダー50に設けられ、モニターMを取り付け可能なプレートとを備え、左側アーム31及び右側アーム32の幅方向の内側に左側アーム41及び右側アーム42が配置され、左側アーム41及び右側アーム42の幅方向の内側に左側アーム51及び右側アーム52が配置されるように接続部81、82及び接続部83、84を支点に第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を折り畳んだ状態で、モニターMがフード20に収容される第1位置P1に配置され、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50が接続部81、82及び接続部83、84を支点に展開された状態で、モニターMがフード20の下方の第2位置P2に配置される。
【0044】
この構成によれば、左側アーム31及び右側アーム32の幅方向の内側に左側アーム41及び右側アーム42が配置され、左側アーム41及び右側アーム42の幅方向の内側に左側アーム51及び右側アーム52が配置されるように第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を折り畳み状態とすることで、モニターMをフード20内の第1位置P1にコンパクトに収容することができる。更に、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を折り畳み状態と展開状態とで切り替えることで、モニターMを容易に第1位置P1と第2位置P2との間で移動させることができる。これにより、モニターMのメンテナンス作業の容易化を図ることが可能となる。
【0045】
本実施形態に係るモニターケース100において、第2ラダー40は、所定以上の応力で第1ラダー30に対して0°以上180°以下の角度をなす範囲で回動可能であり、第3ラダー50は、所定以上の応力で第2ラダー40に対して0°以上180°以下の角度をなす範囲で回動可能である。この構成によれば、第2ラダー40及び第3ラダー50は、それぞれ所定未満の応力では第1ラダー30及び第2ラダー40に対して回動しない構成であるため、モニターMを保持しつつ回動しない状態を維持することができる。これにより、モニターMの傾斜角θを適切に設定することができる。
【0046】
本実施形態に係るモニターケース100において、第3ラダー50は、モニターMの上部に配置される天吊りフック54を有し、ベース部材10は、天吊りフック54を吊り下げ可能な吊りガイド14を有し、天吊りフック54は、出没可能な爪部58を一端に有し、爪部58の出没を切り替える切り替え機構59を他端に有し、切り替え機構59は、天吊りフック54の他端に雌ネジ部70を有し、雄ネジ部72を有する棒状部材73を用いて雌ネジ部70を締め込むことで爪部58を収容させ、棒状部材73を用いて雌ネジ部70を緩めることで爪部58を突出させる。この構成によれば、天吊りフック54を吊りガイド14に吊り下げた状態で爪部58を出没させることで、天吊りフック54の吊り下げ状態を、吊りガイド14に爪部58を作用させる状態と、吊りガイド14に爪部58を作用させない状態とで切り替えることができる。この場合、雄ネジ部72を雌ネジ部70に締め込むことで、棒状部材73を天吊りフック54に装着する動作と、爪部58を収容させる動作をと連動させることができる。また、雄ネジ部72の締め込みを緩めることで、棒状部材73を天吊りフック54から取り外す動作と、爪部58を突出させる動作とを連動させることができる。
【0047】
本実施形態に係るモニターケース100において、第3ラダー50は、プレート60の背面に配置され、第1ラダー30、第2ラダー40及び第3ラダー50を折り畳んだ状態で第1ラダー30の一部に係止される背面フック55を有する。この構成によれば、背面フック55を第1ラダー30の一部に係止させることで、接続部81、82、83、84への負担を抑えつつ、モニターMを取り付けた状態のプレート60を安定して支持することができる。
【0048】
本実施形態に係るモニターケース100において、第3ラダー50は、幅方向の両側に突出したサイドバー62を有し、フード20は、モニターMに対して幅方向の両側に配置される側面部22を有し、側面部22には、サイドバー62を案内する案内溝23と、サイドバー62を位置決めする複数の位置決め溝24とが設けられる。この構成によれば、サイドバー62を位置決めする位置決め溝24を選択することで、モニターMの傾斜角θを容易に調整することが可能となる。
【0049】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、モニターケース100が天井C又は支柱Pから吊り下げられた構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。
【0050】
図16は、モニターケースの他の例を示す図である。図16に示すように、モニターケース200は、例えば支柱PBにより地面に固定された構成であってもよい。このモニターケース200は、ベース部材110がコ字状となっている。ベース部材110は、支柱PBに連結される底面部111と、底面部111から上方に延びる背面部112と、背面部112から正面側に延びる上面部113とを有する。
【0051】
第1ラダー130は、ベース部材110の下部に固定される。第1ラダー130は、左側アーム131と、右側アーム132とを有する。左側アーム131と右側アーム132とは、例えば不図示の連結部材により連結されてもよい。左側アーム131は、接続部185を介してベース部材110に接続される。右側アーム132は、接続部186を介してベース部材110に接続される。なお、接続部185、186には、それぞれ左側アーム131、右側アーム132の回転を規制する規制部材190が設けられる。規制部材190が設けられることにより、第1ラダー130がベース部材110の底面部111と干渉することを回避できる。
【0052】
第2ラダー140は、複数設けられる。なお、第2ラダー140は、単数であってもよい。第2ラダー140は、ベース側ラダー140Aと、モニター側ラダー140Bとを有する。ベース側ラダー140Aは、左側アーム141Aと、右側アーム142Aとを有する。左側アーム141Aは、接続部181を介して第1ラダー130の左側アーム131に接続される。右側アーム142Aは、接続部182を介して第1ラダー130の右側アーム132に接続される。左側アーム141Aと右側アーム142Aとは、例えば不図示の連結部材により連結されてもよい。
【0053】
モニター側ラダー140Bは、左側アーム141Bと、右側アーム142Bとを有する。左側アーム141Bは、接続部187を介してベース側ラダー140Aの左側アーム141Aに接続される。右側アーム142Bは、接続部188を介してベース側ラダー140Aの右側アーム142Aに接続される。左側アーム141Bと右側アーム142Bとは、例えば不図示の連結部材により連結されてもよい。
【0054】
第3ラダー150は、左側アーム151と、右側アーム152とを有する。左側アーム151は、接続部183を介してモニター側ラダー140Bの左側アーム141Bに接続される。右側アーム152は、接続部184を介してモニター側ラダー140Bの右側アーム142Bに接続される。左側アーム151と右側アーム152とは、例えば不図示の連結部材により連結されてもよい。
【0055】
モニターケース200では、第1ラダー130の左側アーム131及び右側アーム132の内側に第2ラダー140のベース側ラダー140Aの左側アーム141A及び右側アーム142Aが配置され、ベース側ラダー140Aの左側アーム141A及び右側アーム142Aの内側にモニター側ラダー140Bの左側アーム141B及び右側アーム142Bが配置され、モニター側ラダー140Bの左側アーム141B及び右側アーム142Bの内側に第3ラダー150の左側アーム151及び右側アーム152が配置されるように第1ラダー130、第2ラダー140及び第3ラダー150を折り畳んだ折り畳み状態とすることができる。この折り畳み状態において、モニターMは、フード20に収容される第1位置P1に配置される。
【0056】
また、モニターケース200では、第1ラダー130、第2ラダー140(ベース側ラダー140A及びモニター側ラダー140B)及び第3ラダー150が接続部185、185、接続部181、182、接続部187、188及び接続部183、184を支点に展開された展開状態とすることができる。この展開状態において、モニターMは、フード20の下方の第2位置P3に配置される。第2位置P3は、支柱PBとの干渉を避けるため、例えば上記実施形態に記載のモニターケース200の第2位置P2に比べて、正面側の位置となる。
【0057】
このように、支柱PBにより地面に支持されるモニターケース200においても、第1ラダー130の左側アーム131及び右側アーム132の幅方向の内側にベース側ラダー140Aの左側アーム141A及び右側アーム142Aが配置され、ベース側ラダー140Aの左側アーム141A及び右側アーム142Aの内側にモニター側ラダー140Bの左側アーム141B及び右側アーム142Bが配置され、モニター側ラダー140Bの左側アーム141B及び右側アーム142Bの内側に第3ラダー150の左側アーム151及び右側アーム152が配置されるように第1ラダー130、第2ラダー140及び第3ラダー150を折り畳み状態とすることで、モニターMをフード20内の第1位置P1にコンパクトに収容することができる。更に、第1ラダー130、第2ラダー140及び第3ラダー150を折り畳み状態と展開状態とで切り替えることで、モニターMを容易に第1位置P1と第2位置P3との間で移動させることができる。これにより、モニターMのメンテナンス作業の容易化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
C…天井、C1…信号ケーブル、C2…電源ケーブル、M…モニター、P,PB…支柱、P1…第1位置、P2,P3…第2位置、10,110…ベース部材、14…吊りガイド、14a…アーム案内部、14b…アーム受け部、14c…爪受け部、14d…段部、20…フード、21,113…上面部、22…側面部、23…案内溝、24,24a,24b,24c…位置決め溝、30,130…第1ラダー、31,41,51,131,141A,141B,151…左側アーム、32,42,52,132,142A,142B,152…右側アーム、33,43,53,63…連結部材、40,140…第2ラダー、50,150…第3ラダー、54…天吊りフック、55…背面フック、56…アーム部材、57,73…棒状部材、58…爪部、59…切り替え機構、60…プレート、61…センターレバー、62…サイドバー、70…雌ネジ部、71…伝達機構、72…雄ネジ部、73…操作棒、81,82,83,84,181,182,183,184,185,186,187,188…接続部、100,200…モニターケース、111…底面部、112…背面部、140A…ベース側ラダー、140B…モニター側ラダー
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