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特開2024-137318情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137318
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048794
(22)【出願日】2023-03-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日 令和4年4月11日 展示場所 ダイアン・いこ皮ふ科クリニック(京都府京都市西京区川島松園町3番地)
(71)【出願人】
【識別番号】598112279
【氏名又は名称】佐伯 午郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 午郎
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA02
5L049AA02
(57)【要約】
【課題】商材の画像情報が写る画面を顧客と共に見ながら対話が行われる営業活動に関し、定量化された顧客の感情の推移を当該顧客に気付かれないように当該画面に表示可能とする。
【解決手段】情報処理装置は、商材に関する画像情報を顧客に見せる画面で視認しながら商材の営業活動を行う担当者と対話する顧客の音声データを解析し、顧客の対話における感情の状態を類別することと、類別された感情の状態を所定の条件に基づいて定量化することと、定量化の結果を、商材に関する画像情報における商材を宣伝する演出として画面視認可能に表示することと、を実行する制御部を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商材に関する画像情報を顧客に見せる画面で視認しながら前記商材の営業活動を行う担当者と対話する前記顧客の音声データを解析し、前記顧客の対話における感情の状態を類別することと、
前記類別された感情の状態を所定の条件に基づいて定量化することと、
前記定量化の結果を、前記商材に関する画像情報における前記商材を宣伝する演出として前記画面に視認可能に表示することと、
を実行する制御部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、所定期間における前記感情の状態の推移を定量化するための閾値、前記所定期間における発話量を定量化するための閾値、前記所定期間の間隔、前記所定期間が適用される区間の少なくとも一つの条件にしたがって、前記類別された感情の状態を定量化する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定期間において定量化された前記感情の状態の推移、前記発話量の少なくとも一つの大小関係から前記定量化の結果を評価し、前記評価の結果を前記商材に関する画像情報における前記商材を宣伝する演出として前記画面に視認可能に表示する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記商材に関する画像情報は、表示領域が指定された表示枠と、前記表示枠内に表示される前記商材の宣伝画像とによって構成され、
前記制御部は、前記定量化の結果に応じて前記表示枠の表示色の色種別を更新する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、表示色の濃淡、明度、彩度のうちの少なくとも一つの要素を段階的に推移させるグラデーションが施された表示色を前記表示枠に表示させる、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記更新前の前記表示枠の表示色を徐々に暗くさせて前記商材に関する画像情報から消去させるフェードアウト、および、前記更新後の前記表示枠の表示色を徐々に明るくさせて前記商材に関する画像情報に表示させるフェードインの手法を用いて前記表示枠の表示色の色種別を更新する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、音声の高低、音声の大きさ、発話の速さ、発話の間隔、発話の長さ、発話の休止の頻度、抑揚のうちの少なくとも一つ、または、前記少なくとも一つの変化量を音声の特徴量として、前記音声データを解析する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記感情の状態は、喜び、平常、悲しみ、怒り、元気度のうちの少なくとも一つの状態である、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
商材に関する画像情報を顧客に見せる画面で視認しながら前記商材の営業活動を行う担当者と対話する前記顧客の音声データを解析し、前記顧客の対話における感情の状態を類別することと、
前記類別された感情の状態を所定の条件に基づいて定量化することと、
前記定量化の結果を、前記商材に関する画像情報における前記商材を宣伝する演出として前記画面に視認可能に表示することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
商材に関する画像情報を顧客に見せる画面で視認しながら前記商材の営業活動を行う担当者と対話する前記顧客の音声データを解析し、前記顧客の対話における感情の状態を類別することと、
前記類別された感情の状態を所定の条件に基づいて定量化することと、
前記定量化の結果を、前記商材に関する画像情報における前記商材を宣伝する演出として前記画面に視認可能に表示することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、対話による営業支援に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヘアサロン等の美容業界、マッサージ等のリラクゼーション業界、歯科、クリニック等の美容医療の医療業界等のサービス業においては、集客、営業促進を目的として種々のサービスが顧客に提供されている。例えば、特許文献1では、デジタルカメラ等で撮影したユーザの画像等を用いて、ヘアースタイル等のシミュレーションを可能とする表示装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-10356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記各種のサービス業の営業においては、顧客に施術を施す施術者が自ら当該顧客に提供するサービスや商品(以下、商材ともいう)等の斡旋、勧誘を行う場合がある。施術者は、例えば、商材等の情報をタブレット等の画面上に表示させて顧客に提示する。そして施術者は、画面上に表示された商材等の情報を見せながら内容、効果、料金等の説明を行うとともに、顧客とのコミュニケーションを適宜にはかり、会話内容等を通じて顧客の嗜好等を把握しながら提案する商材等の契約成立に至る営業活動を行う。しかしながら、提案される商材等が顧客の嗜好や状況等に合わない場合には、強引な営業活動と受け取られ、顧客の喪失につながる虞がある。
【0005】
そこで、本願は、商材の画像情報が写る画面を顧客と共に見ながら対話が行われる営業活動に関し、定量化された顧客の感情の推移を当該顧客に気付かれないように当該画面に表示可能とする支援技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、顧客の感情の推移を定量化し、定量化の結果を商材に関する画像情報が表示された画面における商材を宣伝する演出として視認可能に表示することにした。
【0007】
詳細には、本発明の一形態は、情報処理装置であって、商材に関する画像情報を顧客に見せる画面で視認しながら商材の営業活動を行う担当者と対話する顧客の音声データを解析し、顧客の対話における感情の状態を類別することと、類別された感情の状態を所定の条件に基づいて定量化することと、定量化の結果を、商材に関する画像情報における商材を宣伝する演出として画面に視認可能に表示することと、を実行する制御部を備える。
【0008】
上記の情報処理装置であれば、定量化された顧客の感情の状態の結果を、商材を宣伝する演出として視認可能に、商材に関する画像情報の表示画面に表示できる。顧客は画面上に表示された定量化された顧客の感情の状態の結果を、商材を宣伝する演出として視認し、担当者は表示された感情の状態の結果に応じて、営業活動を継続するか否かの判断が可能になる。
【0009】
また、制御部は、所定期間における感情の状態の推移を定量化するための閾値、所定期間の発話量を定量化するための閾値、所定期間の間隔、所定期間が適用される区間の少なくとも一つの条件にしたがって、類別された感情の状態を定量化するようにしてもよい。定量化の結果、所定期間毎の商材に対する顧客の感情の推移が評価可能になる。なお、感情の状態は所定期間で指定された間隔で定量化されるため、顧客の一時的な感情の状態に左右されることはない。
【0010】
また、制御部は、所定期間において定量化された感情の状態の推移、発話量の少なくとも一つの大小関係から定量化の結果を評価し、評価の結果を商材に関する画像情報における商材を宣伝する演出として画面に視認可能に表示するようにしてもよい。このようにすれば、所定期間において定量化された感情の状態の推移の大小関係、発話量の大小関係を用いて商材に対する顧客の感情の推移が評価できる。
【0011】
また、商材に関する画像情報は、表示領域が指定された表示枠と、表示枠内に表示される商材の宣伝画像とによって構成され、制御部は、定量化の結果に応じて表示枠の表示色の色種別を更新するようにしてもよい。このようにすれば、担当者は、表示枠の色種別に応じて、話題を変える、営業活動を中止する、更なる宣伝画像を用いて営業活動を継続し、契約成立の機会を窺う等の対処判断が可能になる。
【0012】
また、制御部は、表示色の濃淡、明度、彩度のうちの少なくとも一つの要素を段階的に推移させるグラデーションが施された表示色を表示枠に表示させるようにしてもよい。また、制御部は、更新前の表示枠の表示色を徐々に暗くさせて商材に関する画像情報から消去させるフェードアウト、および、更新後の表示枠の表示色を徐々に明るくさせて商材に関する画像情報に表示させるフェードインの手法を用いて表示枠の表示色の色種別を更新するようにしてもよい。このようにすれば、表示枠の表示色の変化は、商材を宣伝する演出として強調できる。
【0013】
また、制御部は、音声の高低(周波数)、音声の大きさ(音量)、発話の速さ、発話の間隔、発話の長さ、発話の休止の頻度、抑揚のうちの少なくとも一つ、または、少なくとも一つの変化量を音声の特徴量として、音声データを解析するようにしてもよい。このようにすれば、より精度の高い音声データの解析が期待できる。
【0014】
また、感情の状態は、喜び、平常、悲しみ、怒り、元気度のうちの少なくとも一つの状態であってもよい。このようにすれば、細やかな感情の機微にも対応することができる。
【0015】
本発明の他の一形態は、コンピュータの情報処理方法であって、商材に関する画像情報を顧客に見せる画面で視認しながら商材の営業活動を行う担当者と対話する顧客の音声データを解析し、顧客の対話における感情の状態を類別することと、類別された感情の状態を所定の条件に基づいて定量化することと、定量化の結果を、商材に関する画像情報における商材を宣伝する演出として画面に視認可能に表示することとを実行する。
【0016】
さらに、本発明の他の一形態は、コンピュータのプログラムであって、商材に関する画像情報を顧客に見せる画面で視認しながら商材の営業活動を行う担当者と対話する顧客の音声データを解析し、顧客の対話における感情の状態を類別することと、類別された感情の状態を所定の条件に基づいて定量化することと、定量化の結果を、商材に関する画像情報における商材を宣伝する演出として画面に視認可能に表示することとを実行させる。
【0017】
このような形態であっても、コンピュータは、定量化された顧客の感情の状態の結果を、商材を宣伝する演出として視認可能に、商材に関する画像情報の表示画面に表示できる。顧客は画面上に表示された定量化された顧客の感情の状態の結果を、商材を宣伝する演
出として視認し、担当者は表示された感情の状態の結果に応じて、営業活動を継続するか否かの判断が可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、商材の画像情報が写る画面を顧客と共に見ながら対話が行われる営業活動に関し、定量化された顧客の感情の推移を当該顧客に気付かれないように当該画面に表示可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係る営業支援システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る支援装置の支援形態を説明する図である。
図3図3は、支援装置による表示枠の表示色の変化を説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る支援装置の機能構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る支援装置の評価条件を設定する設定画面の一例である。
図6図6は、実施形態に係る支援装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る表示端末の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための一の形態(以下、一実施形態、実施形態ともいう)を説明する。以下に示す実施形態は、本発明の一形態であり、本発明の技術的範囲を下記の実施形態に限定するものではない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0021】
(システム構成)
図1は、本実施形態に係る営業支援システム1の構成の一例を示す図である。図1に示されるように、営業支援システム1は、ネットワークN1によって相互に接続された支援装置10と、表示端末20とを備える。営業支援システム1は、表示端末20の表示画面に表示された商材(サービス、商品)の画像情報を用いて当該商材の斡旋、勧誘が行われる際に、当該商材に対する顧客B1の興味の度合いを推定し、担当者A1の対話による営業活動を支援するシステムである。
【0022】
ネットワークN1は、例えば、インターネット等の公衆通信網であり、他の通信網、例えば、携帯電話等の電話通信網、WiFi等の無線通信網、VPN等の専用通信網、を含み得る。なお、図1の営業支援システム1では、1台の支援装置10、表示端末20を例示するが、これらの機器は複数に存在し得る。
【0023】
表示端末20は、担当者A1が使用する、スマートフォン、タブレットPC、ノートPC、デスクトップPC等の情報処理端末である。担当者A1は、例えば、施術者となって顧客B1に施すヘアカット、マッサージ、美容診療または医療診療等における自由診療等の商材に関する画像情報を表示端末20の表示画面に表示させる。ここで自由診療とは、公的医療保険(健康保険)が適用されない診療であり、例えば、審美治療、矯正治療、インプラント治療、各種の医療サービス等が例示される。表示端末20に表示される画像情報は、顧客B1に対して営業活動が行われる画像情報であればよく、静止画像、動画像、スライド、アニメーション等の何れでもよく、または、これらの組合せであってもよい。
【0024】
担当者A1は、表示端末20に表示された画像情報を顧客B1に提示し、提案する商材の内容、効果、料金等を説明しながら、顧客B1との対話によるコミュニケーションを適
宜にはかり、提案する商材等の契約成立に至る営業活動を行う。提案された商材の斡旋、勧誘が成功して契約成立の場合には、当該商材に関するヘアカット、マッサージ、自由診療等の施術が顧客B1に施され、そうでない場合は提案された商材に関する施術が顧客B1に施されることはない。なお、担当者A1が顧客B1に施術を施す施術者に限定されるわけではなく、顧客B1との対話による営業活動がサービス業に限定されるわけではない。例えば、担当者A1は、企業や会社等の顧客先に赴いて商談を行う営業員であってもよく、保険や証券といった金融商品、物品等を対面で顧客B1に販売する販売員であってもよい。表示端末20に表示された商材に関する画像情報を顧客B1と担当者A1が視認しながら、対話によるコミュニケーションを適宜にはかり、当該商材の斡旋、勧誘、販売等が行われる営業活動であればよい。
【0025】
表示端末20は、接続バスによって相互に接続されたプロセッサ201と、主記憶部202と、補助記憶部203と、入出力部204と、通信部205とを備える。主記憶部202および補助記憶部203はメモリを構成し、表示端末20が読み取り可能な記録媒体である。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0026】
プロセッサ201は、表示端末20の全体の動作を制御する中央処理演算装置であり、表示端末20における制御部の一例である。プロセッサ201は、例えば、CPUまたはMPU等とも呼ばれる。プロセッサ201は、例えば、補助記憶部203に記憶されたプログラムを主記憶部202の作業領域に実行可能に展開し、当該プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。
【0027】
主記憶部202は、フラッシュメモリ、RAM、ROM等を含み、プロセッサ201が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。補助記憶部203は、HDDまたはSSD等の記憶装置である。補助記憶部203には、USBメモリ、SDカード等の可搬型記録媒体が含まれる。補助記憶部203は、主記憶部202を補助する記憶領域として使用され、各種のプログラム、各種のテーブル、各種のデータが読み書き自在に格納される。補助記憶部203には、通信部205を介して接続された機器との間でデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含むオペレーティングシステム(OS)が格納される。
【0028】
入出力部204は、プロセッサ201で処理されるデータや情報、メモリに記憶されるデータや情報に対する入出力を行うインターフェースである。入出力部204には、例えば、ボタン、キーボード、タッチパネル20b、マウス等のポインティングデバイス、マイク20cといった入力デバイスが含まれる。また、入出力部204には、LCD、有機ELパネル等の表示デバイス20a、スピーカ等の出力デバイスが含まれる。表示デバイ
ス20aは、タッチパネル20bと組合されて入力デバイスを構成する。タッチパネル20bを通じて、商材等の画像情報とともに表示画面に表示されたGUIに対する操作指示が受け付けられる。マイク20cを介して、対話によって顧客B1が発話する音声が電気信号(音声データ)に変換されて受け付けられる。表示デバイス20aおよびマイク20cは、表示端末20と一体的に構成されてもよく、別体で構成されてもよい。
【0029】
通信部205は、ネットワークN1等の通信回線を通じて外部装置と通信を行うための通信インターフェースである。通信部205は、通信回線との接続方式に応じて適宜の構成が採用され得る。通信部205として、LANインターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等が例示される。
【0030】
支援装置10は、表示端末20に表示された商材等の画像情報を用いて当該商材の斡旋、勧誘等を行う担当者A1の営業活動を支援するコンピュータ(情報処理装置)である。
支援装置10は、提示された商材に関する画像情報を視認しながら担当者A1と対話する顧客B1の音声データを解析し、定量化された感情の状態から当該商材に対する興味の度合いを推定する機能を有する。支援装置10は、接続バスによって相互に接続されたプロセッサ101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、入出力部104と、通信部105とを備える。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0031】
支援装置10のプロセッサ101は、表示端末20のプロセッサ201と同等の構成であり、説明が省略される。プロセッサ101は、支援装置10の制御部の一例である。プロセッサ101は、単一のプロセッサで構成されてもよく、複数のプロセッサで構成されてもよい。同様にして、主記憶部102、補助記憶部103、入出力部104、通信部105のそれぞれは、表示端末20の主記憶部202、補助記憶部203、入出力部204、通信部205と同等の構成であるため説明が省略される。主記憶部102および補助記憶部103は支援装置10のメモリを構成する。補助記憶部103に格納される情報は主記憶部102に格納されてもよく、主記憶部102に格納される情報が補助記憶部103に格納されてもよい。補助記憶部103には、アプリケーションプログラム(ソフトウェア)、および解析された音声データを評価するための情報等が格納される。また、支援装置10は、単一のコンピュータで構成されてもよく、複数台のコンピュータが連携する構成であってもよい。
【0032】
本実施形態において、支援装置10は、ネットワークN1を介して、表示端末20の表示画面に表示された商材に関する画像情報を視認しながら担当者A1と対話する顧客B1の音声データを取得する。顧客B1の発話による音声の音声データは、表示端末20のマイク20cを通じて取得される。支援装置10は、音声データを解析し、発話する顧客B1の音声の特徴量から営業活動を受ける顧客B1の感情を定量化する。このような音声データによる感情の解析は、公知の感情解析技術により行われる。
【0033】
支援装置10は、例えば、顧客B1の音声データを、特徴量を抽出するための抽出期間毎に区分する。抽出期間は、発話された単語、助詞で区切られた区間、所定の周期等が例示される。支援装置10は、区分された抽出期間における音声の高低(周波数)、音声の大きさ(音量)、発話の速さ、発話の間隔、発話の長さ、発話の休止の頻度、抑揚といった音声の特徴量を抽出する。ただし、音声の特徴量はこれらに限定されない。例えば、上記した特徴量の組合せ、変化量および変化量の組合せであってもよい。
【0034】
支援装置10は、音声データから抽出された音声の特徴量から顧客B1の感情の状態を解析する。支援装置10は、例えば、「喜び」、「平常(冷静)」、「悲しみ」、「怒り」、「元気度」といった感情について音声の特徴量を学習した学習モデルとの類似度を用いて、顧客B1の感情の状態を解析する。解析の結果、顧客B1の感情の状態は、喜び、平常(冷静)、悲しみ、怒り、元気度のうちの少なくとも一つの状態に類別される。そして、支援装置10は、例えば、類別された感情の状態の推移、発話量、時間等を求め、顧客B1の提案された商材に対する興味の度合いを評価(推定)する。興味の度合いは、例えば、類別された感情の状態の推移、発話量、時間等に応じて複数段階(例えば、5段階)に評価される。興味の度合いを評価する条件は、例えば、管理者A2によって予め設定される。支援装置10は、推定された興味の度合いの結果を、商材に関する画像情報とともに表示端末20の表示画面に表示する。
【0035】
図2は、支援装置10による営業活動の支援形態を説明する図である。図2においては、表示端末20の表示デバイス20aに表示される、商材に関する画像情報の一例が示されている。図2に例示の商材は、しわ取り治療といった美容診療に関する画像情報であり、例えば、皮ふ科クリニック等の美容診療における自由診療の斡旋、勧誘に関する商材の
一形態である。
【0036】
図2に示されるように、表示端末20において、表示デバイス20aは、保持枠20a2と、当該保持枠に保持されたLCD等の表示パネル20a1により構成されている。本実施形態では、商材に関する画像情報は、顧客B1に斡旋、勧誘される商材の宣伝画像Z2と、当該宣伝画像の外側を囲む表示枠Z1とによって構成され、表示パネル20a1の表示領域に一体的に表示される。
【0037】
図2に示される形態では、表示枠Z1は、表示パネル20a1の表示領域において、外枠Z1aと内枠Z1bとの間に所定の表示領域幅を有するとともに、宣伝画像Z2の表示領域を囲む略矩形枠として設けられる。商材の宣伝画像Z2は、内枠Z1bに囲まれた内側の表示領域に当該内枠に隣接して表示される。表示端末20の表示デバイス20aにおいて、商材の宣伝画像Z2と表示枠Z1は、商材に関する画像情報を表示するための同一の画面として構成されている。
【0038】
宣伝画像Z2は、例えば、自由診療が施される部位を複数に含む画像領域Z3、各部位における施術の内容を表す画像領域Z4、商材の名称や効果を宣伝する画像領域Z5、料金等が表示される画像領域Z6によって構成されている。担当者A1は、表示端末20に表示された宣伝画像Z2を顧客B1に提示し、商材の内容、効果、料金等を説明しながら適宜にコミュニケーションをはかり、当該商材の斡旋、勧誘を行う。提示された宣伝画像Z2を視認する顧客B1は、担当者A1の説明等の発話に応じて、例えば、「***の承認を受けているなんてすごいじゃない」、「最近、目尻の小じわが気になってね」、「結構なお値段ね」等の対話を行う。
【0039】
支援装置10では、表示端末20のマイク20cを介して受け付けられた顧客B1の発話による音声データが取得され、音声の特徴量から顧客B1の感情解析が行われる。感情解析により、発話する顧客B1の感情の状態が、喜び、平常(冷静)、悲しみ、怒り、元気度のうちの少なくとも一つの状態に類別され、感情の状態の推移、発話量、時間等から提案された商材に対する興味の度合いが推定される。本実施形態において、支援装置10は、推定された興味の度合いの結果に対応して、表示枠Z1に配色される表示色を変化させる。
【0040】
図3は、支援装置10による表示枠Z1の表示色の変化を説明する図である。図3においては、表示枠Z1への配色がレベル1からレベル5の5段階の推定結果に対応して変化させる形態が例示される。5段階の興味の度合いとして、例えば、レベル1が最も低く、レベル3は平均的な状態を表し、レベル5が最も高い状態を表す。レベル2は、レベル1より高いが、レベル3の状態よりも低い状態であり、レベル4は、レベル3より高くレベル5の状態よりも低い状態を表す。言い換えれば、レベル1からレベル2では、提示された商材に対して興味の度合いが低いため、顧客B1から強引な営業活動と受け取られる可能性が高いといえる。一方、レベル4からレベル5では、提示された商材に対して興味の度合いが高いため、契約成立の可能性が高いといえる。なお、レベル3では、強引な営業活動と受け取られる可能性は否定できないが、契約成立の可能性は残されている状態といえる。支援装置10は、例えば、図3(a)に示される初期状態の表示枠Z1の表示色を、推定結果のレベル1からレベル5の各段階に応じて図3(b)から図3(f)の状態に変化させる。
【0041】
図3(a)に示される初期状態では、例えば、顧客B1に対して興味の度合いを推定するための情報を取得している段階である。このため、表示枠Z1への配色は、5段階の推定結果に対応して配色される表示色以外の色であればよく、無色であってもよい。レベル1からレベル5への配色は、例えば、色相環に沿って順に配色される形態が例示できる。
例えば、レベル1の表示色を赤色、レベル5の表示色を緑色に選定し、レベル2からレベル4の表示色を順に橙色、黄色、黄緑色に配色する形態が例示できる。また、レベル1の表示色を青色、レベル5の表示色を赤味の橙色とし、レベル2からレベル4の表示色を順に緑色、黄色、黄味の橙色に配色するようにしてもよい。各評価レベルに応じた表示色は予め設定される。色相環に沿って表示枠Z1の表示色を変化させることで、提示された商材の宣伝画像Z2を視認する顧客B1に対し、視覚効果を高めるための演出として認識させることが期待できる。
【0042】
また、商材の斡旋、勧誘を行う担当者A1には、表示枠Z1の表示色の更新により、表示画面に表示された商材に対する顧客B1の興味の度合いを認識させることができる。顧客B1との対話を継続中の担当者A1は、例えば、表示枠Z1の表示色がレベル1、レベル2の状態を示す場合には、話題を変える、営業活動を中止する等の対処が可能になる。また、表示枠Z1の表示色がレベル3、レベル4、レベル5の状態を示す場合には、更なる宣伝画像を表示画面に表示させて営業活動を継続し、契約成立の機会を窺うことが可能になる。対話による営業活動において、顧客B1との信頼を損ねることなく、契約成立の機会を高めることができる。
【0043】
なお、表示枠Z1に配色される表示色は、単一色であってもよく、配色された表示色の濃淡を表示枠Z1の表示領域内で段階的に推移させるグラデーションを施してもよい。例えば、図2において、表示枠Z1の外枠Z1aから内枠Z1bにかけて、表示色の濃淡を段階的に推移させてもよい。このようなグラデーションとして、表示枠Z1の外枠Z1a側の明度を相対的に低くし、内枠Z1b側の明度を相対的に高めてもよく、外枠Z1a側の彩度を相対的に低くし、内枠Z1b側の彩度を相対的に高めてもよい。グラデーションを施すことで、表示枠Z1の存在を、表示画面に表示された商材の視覚効果を高めるための演出として顧客B1に認識させる効果が期待できる。
【0044】
また、表示枠Z1の表示色を更新させる際には、フェードイン・フェードアウトの手法を採用することもできる。例えば、更新前の表示色が配色された表示枠Z1を徐々に暗くさせて表示画面から消して行き、更新後の表示色が配色された表示枠Z1を徐々に明るくさせて表示画面に表示させてもよい。このような手法を採用することで、表示枠Z1の存在は、商材を宣伝するための演出であるとして顧客B1に認識させることが期待できる。表示枠Z1の表示色の動的変化が、提案された商材に対する顧客B1の興味の度合いの推移を表すものであることを顧客B1に認識されずに、推定結果を担当者A1が視認可能なように表示できる。よって、表示画面を顧客B1と共に見ながら対話が行われる営業活動に関し、定量化された顧客B1の感情の推移を当該顧客B1に気付かれないように当該画面に表示できると言える。
【0045】
(支援装置10の機能構成)
図4は、支援装置10の機能構成の一例を示す図である。支援装置10は、音声データ取得部11、感情解析部12、評価推定処理部13、表示制御部14、音声データDB15、感情解析用DB16、評価推定用DB17、商材用DB18を機能構成に備える。
【0046】
音声データ取得部11は、表示端末20から送信される顧客B1の音声データを取得する。取得された音声データは、例えば、表示端末20の端末ID、担当者A1の担当者ID、商材ID、対話開始日時、対話終了日時等が関連付けられて、音声データDB15に格納される。
【0047】
感情解析部12は、取得された音声データを、特徴量を抽出するための抽出期間毎に区分し、区分された抽出期間毎の音声の特徴量を抽出する。ここで、音声の特徴量とは、例えば、音声の高低(周波数)、音声の大きさ(音量)、発話の速さ、発話の間隔、発話の
長さ、発話の休止の頻度、抑揚等の特性である。そして、感情解析部12は、抽出された音声の特徴量から顧客B1の感情の状態を解析する。感情解析部12は、感情解析用DB16に格納された学習モデルとの類似度により、感情の状態の解析を行う。
【0048】
感情解析用DB16には、例えば、「喜び」、「平常(冷静)」、「悲しみ」、「怒り」、「元気度」といった感情ごとの音声の特徴量を学習した学習モデルが格納される。感情解析部12は、感情解析用DB16を参照し、音声データから抽出された特徴量と各感情の学習モデルとの類似度を求め、「喜び」、「平常(冷静)」、「悲しみ」、「怒り」、「元気度」のうちの少なくとも一つの感情の状態に類別する。解析の結果、類別された感情の状態は、主記憶部102の所定の領域に一時的に記憶される。
【0049】
評価推定処理部13は、感情解析部12によって類別された感情の状態の推移、発話量、時間等から、顧客B1の提案された商材に対する興味の度合いを評価(推定)する。興味の度合いは、例えば、類別された感情の状態の推移、発話量、時間等に応じて複数段階(例えば、5段階)に評価される。興味の度合いを推定するための評価条件は、例えば、管理者A2によって予め設定される。
【0050】
図5は、支援装置10における評価条件を設定する設定画面の一例である。図5では、レベル1からレベル5に至る複数の評価段階に対する設定画面を例示するが、評価段階は3段階または7段階であってもよく5段階には限定されない。また、図5では、評価条件として、類別された感情の状態の推移、発話量、時間を例示するが、他の条件が含まれてもよい。支援装置10を操作する管理者A2は、例えば、キーボード等の入力デバイスを操作し、図5に例示の設定画面Z7を表示デバイスに表示させる。管理者A2は、マウス、キーボード等の入力デバイスを介して表示画面に表示されたGUIを操作し、興味の度合いを評価するための条件を設定する。設定画面Z7を介して設定された条件は、例えば、設定日時、条件ID、商材ID等と関連付けされて評価推定用DB17に格納される。
【0051】
設定画面Z7において、管理者A2は、GUI7b、GUI7d、GUI7iを用いて、興味の度合いを評価するための条件を設定する。なお、設定画面Z7において、GUIZ7aは、既に評価推定用DB17に格納された設定条件を参照するための表示部品である。GUI7aの操作によって設定画面Z7に呼び出された評価条件は、設定画面Z7を介して編集可能であり、条件設定に係る時間が短縮できる。GUIZ7cには、興味の度合いを評価(推定)するための条件を、画面上で識別するための色見本が表示される。色見本の表示により、設定画面Z7を介して設定された評価条件を構成する各種パラメータの視認が容易化される。GUI7jは、設定画面Z7を介して設定された各評価レベルの条件を規定値に戻すための表示部品、GUI7kは、設定画面Z7を介して設定された評価レベルの条件を評価推定用DB17に保存するための表示部品である。GUI7lは、設定画面Z7を介して設定された評価レベルの条件を取り消すための表示部品である。
【0052】
GUI7bにおいては、発話を検知するための音量レベル(閾値)が設定される。評価推定処理部13は、GUI7bで設定された閾値を超える音量により発話の開始を検知し、音量が閾値を下回ることで発話の終了を検知する。評価推定処理部13は、例えば、検知された発話単位を計数し、判定時間における発話量とする。なお、発話を検知するための閾値が未設定の場合には、デフォルト値が適用される。
【0053】
GUI7iにおいては、興味の度合いを評価(推定)するための判定時間が設定される。GUI7iで設定される判定時間は、「所定期間」の一例である。評価推定処理部13は、GUI7iで設定された判定時間内の、類別された感情の状態の推移を評価する。例えば、判定時間において、「怒り」の学習モデルに類似する音声の特徴量の頻度が高ければ、怒りの状態が大きいと評価され、「悲しみ」の学習モデルに類似する音声の特徴量の
頻度が少なければ悲しみの状態が小さいと評価される。判定時間の設定は、例えば、分秒単位の時間、発話開始からの経過時間等が設定される。なお、判定時間が未設定の場合には、デフォルト値(例えば、3分)が適用される。
【0054】
GUI7dにおいては、興味の度合いを評価(推定)するための条件が、感情の状態(「喜び」、「平常(冷静)」、「悲しみ」、「怒り」、「元気度」)の推移、時間、発話量をパラメータとしてレベル1からレベル5の5段階に設定される。各評価レベルにおいては、最大5つの条件が論理和、論理積等によって組み合わせることができる。なお、GUI7dで設定された条件を用いて評価推定が行われるときには、レベル数の高い設定条件が優先されて、興味の度合いが推定される。
【0055】
感情の状態の推移に対するパラメータとして、例えば、判定時間内での感情の状態の推移を定量化するための閾値が設定される。例えば、GUI7eでは、レベル1の評価段階として、判定時間内における「怒り」に類別された頻度の平均値に対する閾値(小数点第2位まで)が設定されている。なお、感情の状態の推移を定量化するための閾値は、合計値、標準偏差であってもよい。レベル1の評価段階に対して、評価条件をさらに追加する場合には、例えば、GUI7fの追加ボタンを押下操作し、追加する条件を登録するとともに、追加前の条件との論理関係(論理積(AND)、論理和(OR))を設定するラジオボタンを操作すればよい。
【0056】
時間に対するパラメータでは、興味の度合いを評価するための判定時間が適用される区間が指定される。時間の指定は、例えば、対話開始からの経過時間、開始時間および終了時間を指定する期間等が例示される。GUI7gの例では、レベル3の評価段階を構成するパラメータとして開始時間および終了時間を、記号「>」、「<」を用いて分秒単位(MM:SS)で指定した区間が設定されている。
【0057】
発話量に対するパラメータでは、判定時間内で検知された発話量の大小を評価するための閾値が設定される。発話量の大小を評価するための閾値は、判定時間における平均値、合計値、標準偏差等が設定できる。例えば、GUI7hにおいては、レベル4の評価段階を構成するパラメータとして発話量の合計に対して大小を判定する閾値が設定されている。
【0058】
図4に戻り、評価推定処理部13は、評価推定用DB17を参照し、設定画面Z7を介して設定された興味の度合いを評価するための条件を取得する。評価推定処理部13は、例えば、商材ID、設定日時、条件IDを検索キーとして対応する条件を取得する。そして、評価推定処理部13は、取得された条件にしたがって、顧客B1の提案された商材に対する興味の度合いをレベル1からレベル5の複数段階に評価する。
【0059】
例えば、判定時間において検知された発話量が13であり、それぞれの発話に対して類別された各感情の状態の内訳が、平常(冷静):8、悲しみ:2、喜び:3であると想定する。レベル2の評価段階では、発話量の閾値が15以上と、悲しみの閾値が2.5以下とが論理和(or)で設定されている場合には、当該判定時間における興味の度合いはレベル2の条件に対応するといえる。しかしながら、レベル3の評価段階において、喜びの閾値が3以上と、悲しみの閾値が2以下とが論理積(and)で設定されている場合には、評価推定処理部13は、当該判定時間における興味の度合いはレベル3の段階であると評価する。評価推定処理部13は、判定時間における評価の結果(推定された評価レベル)を主記憶部102の所定の領域に一時的に記憶し、表示制御部14に引き渡す。
【0060】
表示制御部14は、評価推定処理部13から引き渡された評価の結果に対応して、表示枠Z1の表示色を更新(変化)させる。各評価レベルに対応する表示色は例えば、色相環
に沿ってレベル1からレベル5の順に、赤色、橙色、黄色、黄緑色、緑色といったように予め設定されている。表示制御部14は、赤色、橙色、黄色、黄緑色、緑色といった色種別を指定し、表示枠Z1の表示領域に表示される表示色をレベル数に応じた表示色に変化させる。例えば、直前の評価レベルがレベル3であり、評価の結果がレベル4である場合には、表示制御部14は、表示枠Z1の表示領域に表示される表示色を橙色から黄色に変化させる。
【0061】
なお、表示枠Z1に配色される表示色は、単一色であってもよく、配色された表示色の濃淡を表示枠Z1の表示領域内で段階的に推移させるグラデーションを施してもよい。また、表示枠Z1の表示色を変化させる際には、フェードイン・フェードアウトの手法を採用してもよい。これらの指定は予め設定される。表示制御部14は、評価レベルに対応した色種別、グラデーションの有無、フェードイン・フェードアウトの有無を指定して、表示端末20の表示デバイス20aに表示された表示枠Z1の配色を更新する。
【0062】
商材用DB18には、表示端末20の表示画面に表示させる商材に関する画像情報(静止画像、動画像、スライド、アニメーション等)が商材IDに関連付けられて格納されている。担当者A1は、例えば、表示端末20を操作し、商材用DB18に格納された営業活動に係る商材に関する画像情報を取得する。そして、担当者A1は、取得された商材に関する画像情報を表示画面に表示させて顧客B1に提示し、対話による商材の斡旋、勧誘等の営業活動を開始する。表示端末20においては、例えば、担当者A1による音声取得開始の操作を受け付け、マイク20cを介して顧客B1の音声を受け付けるとともに、受け付けられた音声の支援装置10への送信が開始される。
【0063】
(処理の流れ)
図6および図7を参照して、本実施形態に営業支援システム1の処理を説明する。図6は、支援装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7は、表示端末20の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0064】
(支援装置)
図6において、処理の開始は、表示端末20から送信された音声データの受け付けのときが例示される。処理の開始後、支援装置10は、表示端末20のマイク20cを介して受け付けられた音声データを取得する(ステップS1)と、処理はステップS2に進む。表示端末20の表示画面に表示された商材に関する画像情報を視認しながら、担当者A1による当該商材の斡旋、勧誘等の営業活動を受ける顧客B1の対話についての音声データが取得される。商材に関する画像情報は、顧客B1に斡旋、勧誘される商材の宣伝画像Z2と、当該宣伝画像の外側を囲む表示枠Z1とによって構成され、表示端末20の表示パネル20a1の表示領域に一体的に表示される。
【0065】
ステップS2では、取得された音声データを、特徴量を抽出するための抽出期間毎に区分し、区分された抽出期間毎の音声の特徴量が抽出されると、処理はステップS3に進む。音声の特徴量とは、例えば、音声の高低(周波数)、音声の大きさ(音量)、発話の速さ、発話の間隔、発話の長さ、発話の休止の頻度、抑揚等の特性である。ステップS3では、抽出された音声の特徴量から顧客B1の感情の状態が解析されると、処理はステップS4に進む。感情の状態は、例えば、「喜び」、「平常(冷静)」、「悲しみ」、「怒り」、「元気度」等である。支援装置10は、上記感情毎の音声の特徴量を学習した学習モデルと、音声データから抽出された特徴量との類似度を求め、「喜び」、「平常(冷静)」、「悲しみ」、「怒り」、「元気度」のうちの少なくとも一つの感情の状態に類別する。
【0066】
ステップS4では、評価推定用DB17に格納された、興味の度合いを推定するための
評価条件が取得されると、処理はステップS5に進む。評価条件は、例えば、感情の状態の推移を定量化するための閾値、発話量の大小関係を評価するための閾値、興味の度合いを推定するための判定時間の長さ、判定時間が適用される区間等である。判定時間は「所定期間」の一例である。ステップS5においては、評価推定用DB17から取得された評価条件にしたがって推定された興味の度合いが評価される。興味の度合いは、例えば、レベル1からレベル5の複数段階に評価される。
【0067】
ステップS6においては、支援装置10は、評価結果に対応した色種別で、商材に関する画像情報を構成する表示枠Z1の表示色を更新する。表示枠Z1の表示色にはグラデーションが施されてもよく、表示色の更新にはフェードイン・フェードアウトの手法が採用されてもよい。
【0068】
表示枠Z1に彩色される色種別は、直近の判定時間における顧客B1の表示パネル20a1に表示された商材の宣伝画像Z2に対する興味の度合いを推定する評価結果である。担当者A1は、例えば、更新された表示枠Z1の色種別を視認し、評価のレベルに応じて話題を変える、営業活動を中止する、更なる宣伝画像を用いて営業活動を継続し、契約成立の機会を窺う等の対処判断が可能になる。
【0069】
また、表示枠Z1の表示色は、少なくとも判定時間毎の評価段階に応じて指定された色種別に変化する。表示枠Z1の表示色は、商材の斡旋、勧誘等の営業活動を否定する顧客B1の一時的な感情の状態によって変化するわけではない。このため、宣伝画像Z2とともに表示画面に表示された表示枠Z1の表示色が商材を宣伝する演出であり、顧客B1の興味の度合いの推定を評価する情報であることを悟られずに、商材に関する一体的な画像情報として認識させることが可能になる。よって、表示画面を顧客B1と共に見ながら対話が行われる営業活動に関し、定量化された顧客B1の感情の推移を当該顧客B1に気付かれないように当該画面に表示できると言える。
【0070】
また、表示枠Z1の表示色にグラデーションを施こすこと、表示色の更新にはフェードイン・フェードアウトの手法を採用することで、表示端末20の表示画面に表示された商材に関する画像情報の演出効果を高めることが期待できる。商材の営業活動を受ける顧客B1には、表示枠Z1の表示色の変化が宣伝画像Z2を宣伝するための演出効果であるものと捉えさせることができる。
【0071】
ステップS7においては、担当者A1による、商材に関する画像情報を表示端末20の表示画面に表示させて当該画像情報を視認しながら顧客B1との対話が行われる営業活動の終了が判定される。支援装置10は、例えば、表示端末20の表示画面に表示された商材に関する画像情報の表示終了の通知を受けた場合には(ステップS7、“Yes”)、本ルーチンを一旦終了する。一方、そうでない場合には(ステップS7、“No”)、ステップS1の処理に戻る。
【0072】
(表示端末)
次に、表示端末20に処理を説明する。図7において、処理の開始は、表示端末20に対する担当者A1の、商材用DB18に格納された商材に関する画像情報の取得操作の受け付けのときが例示される。処理の開始後、表示端末20は、担当者A1の操作で指定された、商材に関する画像情報を商材用DB18から取得(ステップS11)し、表示パネル20a1の表示領域に取得した商材に関する画像情報を表示する(ステップS12)。商材に関する画像情報は、商材の宣伝画像Z2と、当該宣伝画像の外側を囲む表示枠Z1とによって構成され、それぞれ表示領域が指定されている。表示端末20は、指定された表示領域にしたがって、表示枠Z1および商材の宣伝画像Z2を表示パネル20a1の表示領域に表示する。
【0073】
ステップS13では、表示端末20は、担当者A1の操作入力にしたがって、マイク20cを介して受け付けられた顧客B1の音声データを支援装置10に送信する。表示画面に表示された商材に関する画像情報を視認しながら担当者A1と対話する顧客B1の発話による音声データが支援装置10に送信される。
【0074】
ステップS14では、表示端末20は、支援装置10から指定された色種別にしたがって、商材に関する画像情報を構成する表示枠Z1を彩色する。担当者A1は、更新された表示枠Z1の色種別を視認し、評価のレベルに応じて話題を変える、営業活動を中止する、更なる宣伝画像を用いて営業活動を継続し、契約成立の機会を窺う等の対処判断が可能になる。
【0075】
ステップS15では、表示画面に商材に関する画像情報を表示させて顧客B1との対話を行う担当者A1の営業活動の継続が判定される。表示端末20は、例えば、表示画面に表示された商材に関する画像情報の表示終了の操作入力を受け付けた場合には(ステップS15、“No”)、ステップS16の処理に進む。そうでない場合には(ステップS15、“Yes”)、ステップS13の処理に戻る。ステップS16では、表示端末20は営業活動が終了したことを支援装置10に送信する。ステップS16の処理後、本ルーチンを一旦終了する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る営業支援システム1の支援装置10は、表示端末20に表示された商材に関する画像情報を視認しながら担当者A1との対話による営業活動を受けている顧客B1の音声データが取得できる。商材に関する画像情報は、表示領域が指定された表示枠Z1と、表示枠Z1内に表示される商材の宣伝画像Z2とによって構成される。表示枠Z1は所定の表示領域を有し、表示端末20の備える表示パネル20a1の表示領域に商材の宣伝画像Z2とともに一体的に表示される。
【0077】
支援装置10は、抽出期間で抽出された音声の高低(周波数)、音声の大きさ(音量)、発話の速さ、発話の間隔、発話の長さ、発話の休止の頻度、抑揚といった音声の特徴量から、感情の状態を解析する。解析の結果、感情の状態は、例えば、「喜び」、「平常(冷静)」、「悲しみ」、「怒り」、「元気度」のうちの少なくとも一つの状態に類別される。そして、支援装置10は、類別された感情の状態の推移、発話量、時間等から、担当者A1と対話が行われている顧客B1の、提案された商材に対する興味の度合いを評価(推定)する。興味の度合いは、発話の開始からの経過時間、開始時間および終了時間が指定された期間、各感情の状態に設定された閾値に対する大小、発話量に設定された閾値に対する大小を条件として複数段階に評価される。
【0078】
支援装置10は、推定された興味の度合いの評価段階に対応させて、商材の宣伝画像Z2とともに表示される表示枠Z1の表示色の色種別を更新する。表示枠Z1に彩色される色種別が示す情報は、直近の判定時間における顧客B1の、表示パネル20a1に表示された商材の宣伝画像Z2に対する興味の度合いを推定する評価結果である。表示枠Z1の表示色は、少なくとも判定時間毎の評価段階に応じて指定された色種別に変化するものであり、顧客B1への営業活動を否定する一時的な感情の状態によって変化するわけではない。このため、表示パネル20a1の表示領域に表示された表示枠Z1の表示色は、興味の度合いを示す情報であることを認識されずに、宣伝画像Z2とともに商材に関する一体的な画像情報の演出効果として認識させることが可能になる。担当者A1は、顧客B1に営業活動を否定する一時的な感情の状態が生じても、表示枠Z1の直前の表示色が示す興味の度合いに応じて、営業活動を継続するか否かの判断が可能になる。本実施形態によれば、商材の画像情報が写る画面を顧客と共に見ながら対話が行われる営業活動に関し、定量化された顧客の感情の推移を当該顧客に気付かれないように当該画面に表示可能とする
支援技術が提供できる。
【0079】
(その他の実施形態)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0080】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。例えば、表示端末20が、支援装置10の機能を備えて一体的に構成されてもよい。また、支援装置10が備える音声データDB15、感情解析用DB16、評価推定用DB17、商材用DB18は、例えば、ネットワークN1に接続された外部記憶装置であってもよい。
【0081】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0082】
1 営業支援システム
10 支援装置
11 音声データ取得部
12 感情解析部
13 評価推定処理部
14 表示制御部
15 音声データデータベース
16 感情解析用データベース
17 評価推定用データベース
18 商材用データベース
20 表示端末
20a 表示デバイス
20b タッチパネル
20c マイク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7