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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137325
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】建設機械の情報共有システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240927BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240927BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/08
E02F9/24 Z
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048805
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅一
(72)【発明者】
【氏名】日暮 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】多胡 尚
(72)【発明者】
【氏名】坂井 大斗
(72)【発明者】
【氏名】三ツ橋 元気
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA07
5H181BB04
5H181FF10
5H181LL08
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】数多くのヒヤリハット事例を多くの当事者で共有することにより、事故発生を有効に抑制できる建設機械の情報共有システムを提供する。
【解決手段】ヒヤリハット事例に係わる情報共有を行う建設機械の情報共有システム1であって、プロセッサ210は、撮影された、ヒヤリハット事例に係わるトリガー動画を取得する動画取得部210Aと、取得されたトリガー動画を、複数の視聴者が視聴可能な共有領域10に公開する動画公開部210Bと、公開されたトリガー動画に対する、契約者端末6からのいいね!ボタン34の操作を受け付ける第1操作受付部210Cと、公開されたトリガー動画に対する、契約者端末6からのヒヤリハットボタン32の操作を受け付ける第2操作受付部210Dとを有し、第1及び第2操作受付部210C,210Dで受け付けた操作結果をいいね!数表示部33及びヒヤリハット数表示部31で表示する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に通信可能に接続された通信I/F及び制御部を備えたサーバを有し、建設機械の事故前兆であるヒヤリハット事例に係わる情報共有を行う建設機械の情報共有システムであって、
前記制御部は、
前記建設機械において撮影された、前記ヒヤリハット事例に係わる動画を前記通信I/Fを介し取得する動画取得部と、
前記動画取得部で取得された前記動画を、複数の視聴者が視聴可能な共有領域に公開する処理を行う動画公開部と、
前記動画公開部で処理された前記動画に対する、前記視聴者の視聴者端末からの注目表明操作を受け付ける第1操作受付部と、
前記動画公開部で処理された前記動画に対する、前記視聴者の視聴者端末からの前記ヒヤリハット事例としての検証参加操作を受け付ける第2操作受付部と、
前記第1操作受付部及び前記第2操作受付部で受け付けた操作結果を前記視聴者端末で表示するための処理を行う操作結果表示部と、
を有することを特徴とする建設機械の情報共有システム。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の情報共有システムにおいて、
前記制御部は、
前記動画公開部により公開された前記動画に対する、当該動画に係わる前記ヒヤリハット事例の当事者によるコメント を受け付けるための処理を行うコメント受付部をさらに有する
ことを特徴とする建設機械の情報共有システム。
【請求項3】
請求項2記載の建設機械の情報共有システムにおいて、
前記コメント受付部で受け付けるコメントは、
当該動画に対応する前記ヒヤリハット事例の内容に関する前記当事者による事例コメントと、
当該ヒヤリハット事例への対策に関する前記当事者による対策コメントとを含む、
ことを特徴とする建設機械の情報共有システム。
【請求項4】
請求項2記載の建設機械の情報共有システムにおいて、
前記制御部は、
前記動画取得部により取得された未公開状態の前記動画を公開するための公開操作を受け付けるための処理を行う公開操作受付部をさらに有し、
前記動画公開部は、
前記公開操作受付部により前記公開操作が受け付けられた場合に、対応する前記動画を前記共有領域に公開する
ことを特徴とする建設機械の情報共有システム。
【請求項5】
請求項4記載の建設機械の情報共有システムにおいて、
前記制御部は、
前記当事者による、前記未公開状態の前記動画の公開を承諾する承諾操作を受け付けるための処理を行う承諾操作受付部をさらに有し、
前記公開操作受付部は、
前記承諾操作受付部により前記承諾操作を受け付けた場合に、対応する前記動画を公開するための前記公開操作を受け付ける
ことを特徴とする建設機械の情報共有システム。
【請求項6】
請求項5記載の建設機械の情報共有システムにおいて、
前記サーバには、記憶装置を備え、
前記記憶装置には、
前記動画取得部により取得された未公開状態の前記動画を、対応する前記当事者ごとに記憶する個別領域と、
前記個別領域に記憶されている前記動画を、対応する前記承諾操作が受け付けられた場合に記憶する公開準備領域と、
をさらに有し、
前記動画公開部は、
前記公開操作受付部により前記公開操作が受け付けられた場合に、前記公開準備領域に記憶されている対応する前記動画を前記共有領域に公開する
ことを特徴とする建設機械の情報共有システム。
【請求項7】
請求項6記載の建設機械の情報共有システムにおいて、
前記個別領域及び前記公開準備領域は、
複数の前記動画を、前記視聴者に対する非公開状態で記憶している
ことを特徴とする建設機械の情報共有システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報共有を行う建設機械の情報共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の前方の物体を検出する物体検出装置と、物体検出装置の検出結果に基づいて衝突の可能性を判断する衝突判断部と、衝突判断部の判断結果に基づいて、衝突による被害を軽減するための信号を出力する制御部とを備えた運搬車両を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2015/030240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、取得したセンサ情報を基に、ヒヤリハット事象が発生した時点の情報をシステムが自動的に抽出して記録している。ヒヤリハットとは、労働災害におけるハインリッヒの法則として広く認識される、重大な事故には至らないものの事故に直結してもおかしくない、事故の一歩手前の前兆のことである。ヒヤリハットの発生を抑止できれば、結果的に、重大な事故の発生を抑えることができる。
【0005】
しかしながら、例えばヒヤリハットの当事者である1つ1つの建設業者の自社内にて発生するヒヤリハット事例の数及び種類は限定的なものであるため、それらヒヤリハット事例に基づく事故発生の抑制効果も限定的なものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、数多くのヒヤリハット事例を多くの当事者で共有することにより、事故発生を有効に抑制できる建設機械の情報共有システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、建設機械の事故前兆であるヒヤリハット事例に係わる情報共有を行う建設機械の情報共有システムであって、前記建設機械において撮影された、前記ヒヤリハット事例に係わる動画を取得する動画取得部と、前記動画取得部により取得された前記動画を、複数の視聴者が視聴可能な共有領域に公開する動画公開部と、前記動画公開部により公開された前記動画に対する、前記視聴者による注目表明操作を受け付ける第1操作受付部と、前記動画公開部により公開された前記動画に対する、前記視聴者による前記ヒヤリハット事例としての検証参加操作 を受け付ける第2操作受付部と、前記第1操作受付部及び前記第2操作受付部により受け付けた操作結果を表示する操作結果表示部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、数多くのヒヤリハット事例を多くの当事者で共有することにより、事故発生を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による建設機械の情報共有システムのシステム構成図である。
図2】建設機械の一例としての油圧ショベルの全体外観構造を表す側面図である。
図3】建設機械に搭載される、ヒヤリハット事象の検知のための機能的構成の一例を表す機能ブロック図である。
図4図3に示した機能を得るために、実際に建設機械に実装されるハードウェア構成の一例を表す機能ブロック図である。
図5】サーバの詳細機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
図6】契約者端末の表示部に表示される契約者専用ブラウザの一例を表す説明図である。
図7】動画公開の最終意思確認をするためのポップアップ画面を表す説明図である。
図8】管理者端末の表示部に表示される管理者専用ブラウザの一例を表す説明図である。
図9】契約者端末の表示部に表示される共有掲示板ブラウザの一例を表す説明図である。
図10】情報処理プログラムに基づきサーバのプロセッサが実行する制御手順を表すフローチャートである。
図11】情報処理プログラムに基づきサーバのプロセッサが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<システム構成>
本実施形態による建設機械の情報共有システム1のシステム構成図を図1に示す。図1に示すように、情報共有システム1は、このシステムを管理する者又は企業(以下適宜、「管理者」と称する)により保有される管理者端末5と、このシステムの利用契約をした者又は企業(以下適宜、「契約者」と称する)により保有される契約者端末6と、を有する。なお契約者端末6が、視聴者端末の一例を構成する。
【0012】
この例では、管理者端末5と、複数の契約者端末6とが、ネットワークを介しサーバ4に対し通信可能に接続されている。サーバ4は、いわゆるクラウドサーバでもよい。サーバ4にはまた、各契約者により保有されている建設機械、この例では油圧ショベル3が通信可能に接続されている。なお、建設機械として、油圧ショベル3以外に、ホイールローダ、ダンプトラック、クローラクレーン等、他の機械を用いてもよい。以下、本願明細書においては、油圧ショベル3を例にとって説明し、以下単に「建設機械3」と称する。
【0013】
管理者端末5及び契約者端末6は、例えばパソコン、タブレット、携帯端末等の適宜の情報端末であり、ディスプレイ等の表示部5a,6aと、マウスやキーボード等の操作部5b,6bと、図示しない記憶部及びプロセッサとをそれぞれ備えている。
【0014】
<建設機械の詳細構成>
建設機械3の詳細構成を図2に示す。建設機械3は、この例では前述の油圧ショベルであり、下部走行体103と上部旋回体104とフロント装置105とを有する。
【0015】
下部走行体103には、原動機としてのエンジン101と、エンジン101によって駆動されるメインポンプ102とが搭載されている。メインポンプ102によって送られた作動油により、下部走行体103と上部旋回体104と多関節型のフロント装置105とがそれぞれ独立して動作する。
【0016】
下部走行体103は、一対の履帯106を備えており、メインポンプ102からの上記作動油が走行油圧モータ107に供給されることにより各履帯106が駆動され、走行する。
【0017】
上部旋回体104は、旋回輪108を介して下部走行体103と接続されており、メインポンプ102からの作動油が旋回油圧モータ(図示せず)に供給されることにより、下部走行体103に対して旋回する。
【0018】
フロント装置105は上部旋回体104に搭載されており、ブーム109と、アーム111と、バケット113と、を有する。ブームシリンダ110、アームシリンダ112、及びバケットシリンダ114は、メインポンプ102からの作動油の供給に応じて伸縮する。ブームシリンダ110の伸縮に応じてブーム109が上部旋回体104に対して俯仰動し、アームシリンダ112の伸縮に応じてアーム111がブーム109に対して俯仰動し、バケットシリンダ114の伸縮に応じてバケット113がアーム11に対して俯仰動する。これらの動作により、建設機械3は、バケット113により掘削や整地等の作業を行う。
【0019】
なお、建設機械3の各部には、マシンコントロールやマシンガイダンスにおいて建設機械の姿勢を検知することを目的として、角度センサ129(後述の図4参照)が複数搭載されている。それら角度センサ129により、上記旋回油圧モータの旋回角度、ブーム109の回動角度、アーム111の回動角度、バケット113の回動角度等が検出されて対応する各種角度データが出力される。また建設機械3のオペレータが搭乗する運転室115には、オペレータが上部旋回体104の旋回動作を操作するための旋回レバー127(後述の図4参照)と下部走行体103の走行動作を操作するための走行レバー128(後述の図4参照)とが設けられており、それらレバー127,128の操作量も上記同様に検出され、対応する各種操作量データが出力される。
【0020】
<ヒヤリハット>
本実施形態では、建設機械3に搭載された各種センサ等(後述)の検出結果に基づき、ヒヤリハット事象の検知が試みられる。ヒヤリハットとは、労働災害におけるハインリッヒの法則として広く認識される、重大な事故には至らないものの事故に直結してもおかしくない、事故の一歩手前の前兆のことである。
【0021】
<ヒヤリハット検知のための機能的構成例>
建設機械3に搭載される、上記ヒヤリハット事象の検知のための機能的構成の一例を図3に示す。建設機械3は、物体検知部13と、トリガー発信部14と、時計部15と、映像記録部16と、映像処理部17と、撮像部18と、トリガー動画記憶部20と、車体情報取得部12と、通信I/F21と、契約者情報記憶部22とを有する。
【0022】
物体検知部13は、建設機械3に対する障害物や建設機械3の周囲の人を検知する。トリガー発信部14は、物体検知部13が物体を検知したとき、対応するトリガーを映像処理部17へ出力する。
【0023】
撮像部18は、建設機械3の周囲を撮像した映像を映像記録部16へ出力する。時計部15は、リアルタイムの日時情報を映像記録部16及び映像処理部17へ出力する。映像記録部16は、撮像部18が出力した撮像映像と時計部15が出力した日時情報とを紐づけて保存する。
【0024】
映像処理部17は、時計部15から入力される日時情報に基づき、トリガー発信部14からのトリガーの入力日時をトリガー検知時刻とする。また映像処理部17は、映像記録部16に記録された撮像動画のうち上記トリガー検知時刻前後の所定期間(例えば前後15秒間)分を抜き出し、トリガー動画とする。そして映像処理部17は、そのトリガー動画を上記トリガー検知時刻と紐づけた形でトリガー動画記憶部20へと出力する。なお、上記所定期間は15秒には限られず、それよりも短くてもよいし長くてもよい。またトリガー検知時刻の前後両方にも限られず、いずれか一方でもよい。トリガー検知時刻の前と後とで所定期間の時間範囲を異ならせてもよい。
【0025】
車体情報取得部12は、前述した各種角度データや各種操作量データを含む、建設機械3の車体情報を取得し、トリガー動画記憶部20へと出力する。トリガー動画記憶部20は、映像処理部17から入力したトリガー検知時刻紐づけ済みの上記トリガー動画と車体情報取得部12から入力した上記車体情報とを、互いに関連付けて記憶し、通信IF21へと出力する。
【0026】
契約者情報記憶部22は、上記契約者と対応する建設機械3とを関連付ける契約情報を記憶する。通信IF21は、契約者情報記憶部22から取得した契約情報に基づき、トリガー動画記憶部20から取得された上記トリガー動画を、上記サーバ4へとアップロードする。
【0027】
<ヒヤリハット検知のための実装構成例>
上記図3に示した機能を得るために、実際に建設機械3に実装されるハードウェア構成の一例を図4に示す。
【0028】
図4において、例えば建設機械3の上記運転室115の内部に、車体制御コントローラ121と、モニタ制御コントローラ120と、モニタ122と、記録装置123とが搭載されている。各コントローラ120,121とモニタ122と記録装置123とは、例えばCAN(Control Area Network)等の車載ネットワーク124を介し相互通信可能に構成されている。また運転室115の外部には、複数の周囲監視用のカメラ118と、公知の構成の複数の物体検知センサ119とが搭載されている。
【0029】
車体制御コントローラ121は機械の油圧制御を行うコントローラであり、前述した旋回レバー127の操作量及び走行レバー128の操作量データと、角度センサ129からの角度データとを取得する。なお、車体制御コントローラ121は、建設機械3の適宜の箇所に設けた、例えば慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)等の他の計測又は検出装置からのデータを取得してもよい。車体制御コントローラ121は、これら操作量データ、角度データ等を含む各種データを、建設機械3の車体情報として、車載ネットワーク124を介し記録装置123へと送信する。すなわち、車体制御コントローラ121は、図3を用いて前述した車体情報取得部12として機能する。
【0030】
また車体制御コントローラ121には、複数の上記物体検知センサ119が接続されている。複数の物体検知センサ119は、それぞれ、建設機械3に対する障害物や建設機械3の周囲の人を公知の手法により検出し、対応する物体検知信号を車体制御コントローラ121へ出力する。物体検知信号はさらに車体制御コントローラ121から車載ネットワーク124を介し記録装置123へと送信される。すなわち、物体検知センサ119が、図3を用いて前述した物体検知部13として機能する。車体制御コントローラ121はまたトリガー発信部14としても機能し、物体検知信号が前述のトリガーとして機能する。
【0031】
カメラ118は、建設機械3のうち周囲が撮影可能な複数個所に取り付けられており、それぞれが撮像した映像をモニタ制御コントローラ120へと出力する。モニタ制御コントローラ120は、それら複数のカメラ118からそれぞれ入力された周囲映像を合成し、各カメラ118の映像が分割された映像もしくは隣りあったカメラ118の境界をブレンドしたサラウンドビューとして、モニタ122へと出力する。モニタ122は、上記のようにしてモニタ制御コントローラ120から入力された合成映像を表示するとともに、さらに表示している映像を記録装置123へと出力する。すなわち、カメラ118が、図3を用いて前述した撮像部18として機能し、モニタ制御コントローラ120及びモニタ122が映像記録部16として機能する。
【0032】
記録装置123には通信端末125が通信可能に接続されている。通信端末125は、サーバ4と双方向通信可能に構成されてあり、記録装置123からサーバ4へのアップロードとサーバ4から記録装置123へのアクセスとの双方を行うことができる。また通信端末125は例えばGPS測位機能を備えており、建設機械3の車体位置情報を取得することもできる。なお、通信端末125は、GPSによる測位機能に代えて、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)による測位機能や、RTK(Real time kinematic)による測位機能を備えていてもよい。すなわち、通信端末125は、図3を用いて前述した通信IF21として機能する。
【0033】
そして、記録装置123は、モニタ122から入力された上記映像と、車載ネットワーク124を介し車体制御コントローラ121から取得した上記車体情報とを保存する。詳細には、記録装置123は、前述の物体検知信号を車体制御コントローラ121から受信したとき、その物体検知信号の検知時刻を前述のトリガー検知時刻とする。そしてその検知時刻の前後において予め設定された所定期間(図3を用いて前述した例では前後15秒間)の範囲分の、上記映像と上記車体情報とを互いに紐づけた状態で保存する。このとき、それら映像及び車体情報は、通信端末125から取得された、上記検知時刻における車体位置情報とも紐づけられた形で保存される。以上の結果、記録装置123が、図3における時計部15、映像処理部17、及び、トリガー動画記憶部20として機能し、上記所定期間の映像が、前述のトリガー動画として機能する。
【0034】
<サーバの詳細構成例>
サーバ4の詳細機能構成例を図5に示す。サーバ4は、例えば情報共有システム1の運営者が設置及び管理するサーバである。サーバ4は、前述のように建設機械3から取得したトリガー動画に基づき、ヒヤリハット事例に係わる情報共有を多くの契約者にて可能とするための種々の処理を実行する(詳細は後述)。
【0035】
サーバ4は、図5に示すように、例えばいわゆるCPUにより構成されるプロセッサ210と、記憶装置215と、通信インタフェース290と、を有している。これらプロセッサ210、記憶装置215、及び通信インタフェース290は、バス205を介して互いにデータ送受信可能に接続されている。
【0036】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230と、を備えている。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、処理対象となる各種のプログラムやデータを記憶する。不揮発性記憶装置230は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域231と、データ記憶領域232と、を有している。
【0037】
プログラム記憶領域231には各種プログラムが格納されている。各種プログラムには、後述の図10及び図11のフローチャートに示す処理を実行する情報処理プログラムが含まれる。なお、プログラムは、プログラムソースからインストールされてプログラム記憶領域231に格納されていてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又はプロセッサ210が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源とを含んでもよく、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他のプロセッサに配布してもよい。また、本実施形態における2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、本実施形態における1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0038】
データ記憶領域232には、前述の情報共有を実行するために必要な各種データ等が記憶される領域であり、前述した複数の契約者端末6に対し例えば一対一に対応して設けられる複数の契約者領域8と、管理者端末5に対応して設けられる管理者領域9と、共有領域10とを備えている。契約者領域8は個別領域の一例を構成し、管理者領域9は公開準備領域の一例を構成している。各領域の機能については後述する。
【0039】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置、例えばCPUであり、プログラム記憶領域231に格納された各種プログラムを実行することで、サーバ4に接続された建設機械3、契約者端末6、管理者端末5に対するデータ通信を含む各種の処理を行う。プロセッサ210は、動画取得部210Aと、動画公開部210Bと、第1操作受付部210Cと、第2操作受付部210Dと、コメント受付部210Eと、公開操作受付部210Fと、承諾操作受付部210Gと、を機能的に備えている。各機能部の機能の詳細については、後述する。なお、プロセッサ210と上記プログラム記憶領域231に記憶されたプログラムとが、制御部の一例を構成している。なお、プロセッサ210の機能を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(field-programmable gatearray)やCPLD(Complex Programmable Logic Deviceなどの専用回路を用いて実現してもよい。その場合は、それら専用回路が制御部の一例を構成している。
【0040】
通信インタフェース290は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、例えば適宜のネットワークを介し、建設機械3、契約者端末6、管理者端末5に接続されている。通信インタフェース290が通信I/Fの一例を構成している。
【0041】
なお、上記記憶装置215は上述した装置要素での構成に限られず、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、サーバ4に着脱されるUSBメモリ等の可搬記録媒体、プロセッサ210が備えるバッファ等、或いはそれらの組み合わせによって構成されてもよい。
なお、記憶装置215は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。前述した管理者端末5及び契約者端末6の記憶部についても同様である。
【0042】
<情報共有の概要>
本実施形態による建設機械の情報共有システム1では、前述のようにしてサーバ4へ送信されたトリガー動画に基づき、ヒヤリハット事例に係わる情報共有が行われる。サーバ4において取得されたトリガー動画は、まず記憶装置215の上記契約者領域8に格納された後、契約者端末6での所定操作(後述)により管理者領域9へと格納される。その後、管理者端末5での所定操作(後述)により共有領域10へと格納されることにより、すべての契約者端末6から閲覧可能、すなわち共有される。以下、図6図9を用いて、上記の流れを順を追って説明する。
【0043】
<契約者専用ブラウザ>
上記のようにサーバ4の契約者領域8に格納されたトリガー動画に対しては、契約者端末6の専用ブラウザからアクセスすることで各種処理を行うことができ、対応するヒヤリハット事例の内容の閲覧を行うことができる。図6に、契約者端末6の表示部6aに表示される契約者専用ブラウザ35の一例を示す。
【0044】
図6において、契約者専用ブラウザ35の主機能は、サーバ4の契約者領域8に保存されたヒヤリハット事例に係わるトリガー動画の閲覧とそのトリガー動画の管理者領域9へのコピー(投稿)である。契約者専用ブラウザ35は、例えば契約者端末6の操作部での適宜の操作で情報共有システム1へのログインがなされることで表示部6aに表示され、
複数のヒヤリハット事例欄36,36,・・が備えられている。これらヒヤリハット事例欄36は、契約者領域8に保存されたトリガー動画と一対一に対応しており、トリガー動画の数だけ表示される。すなわち、契約者端末6を操作する契約者(建設機械3のユーザ又はそのユーザの所属会社等)が、それら複数のトリガー動画に対応する複数のヒヤリハット事例の当事者である。なお、複数のヒヤリハット事例欄36は、例えば対応するトリガー動画のトリガー検知時刻の降順で表示しても良いし、例えば、契約者端末6からの適宜の操作で自由にソートできるようにしても良い。
【0045】
各ヒヤリハット事例欄36は、動画サムネイル表示部38と、発生日時表示部37と、ヒヤリハットコメント部39と、対策コメント部40とを備える。
【0046】
動画サムネイル表示部38には、対応するトリガー動画のサムネイルが表示される。この動画サムネイル表示部38が契約者端末6での操作によりクリックされることで、対応する上記トリガー動画が再生される。発生日時表示部37には、トリガー検知部19から取得された、対応するトリガー動画の上記トリガー検知時刻が表示される。
【0047】
ヒヤリハットコメント部39には、契約者端末6の操作部の操作を介して、当該トリガー動画に関し、ヒヤリハット事例としてのヒヤリハットコメントを追記したり編集したりすることができる。このコメントは、当事者による事例コメントの一例を構成している。対策コメント部40には、契約者端末6の操作部の操作を介して、当該トリガー動画の表すヒヤリハット事例への対策を表す対策コメントを追記したり編集したりすることができる。上記追記又は編集した内容は、契約者領域8において記憶される。
【0048】
また、各ヒヤリハット事例欄36は、動画公開承諾ボタン44をさらに備える。この動画公開承諾ボタン44が契約者端末6での操作によりクリックされると、図7に示す、動画公開の最終意思確認をするためのポップアップ画面45が契約者端末6の表示部6aに表示される。
【0049】
図示のように、このポップアップ画面45には、「動画の所有権を管理者に譲渡し、共有掲示板に公開することに同意しますか?」など、契約者に対しての確認メッセージが明示される。契約者端末6での操作により「YES」ボタン46がクリックされると、契約者領域8に記憶されている当該トリガー動画及び対応する付加情報(契約者名、ヒヤリハットコメント、対策コメント等)が管理者領域9にコピーされ、後述の管理者端末5での操作による公開待ちの公開準備状態となる。なお、付加情報に含まれる上記契約者名は、前述の契約者端末6からのログイン時に前述の契約者情報記憶部22から自動的に取得される。その後、ポップアップ画面45は閉じられる。「NO」ボタン47がクリックされた場合は、そのままこのポップアップ画面45が閉じられる。
【0050】
なお、閲覧数表示部41、ヒヤリハット数表示部42、及び、いいね!数表示部43については後述する。
【0051】
<管理者専用ブラウザ>
上記のようにポップアップ画面45の「YES」ボタン46の操作でサーバ4の管理者領域9に格納されたトリガー動画に対しては、管理者端末5の専用ブラウザからアクセスすることで閲覧を含む各種処理を行うことができる。図8に、管理者端末5の表示部5aに表示される管理者専用ブラウザ48の一例を示す。
【0052】
図8において、管理者専用ブラウザ48の主機能は、サーバ4の管理者領域9に保存されたヒヤリハット事例に係わるトリガー動画の閲覧とそのトリガー動画の共有領域10のコピー(投稿)である。管理者専用ブラウザ48は、契約者専用ブラウザ35のヒヤリハット事例欄36と同様の、複数のヒヤリハット事例欄49,49・・を有する。これらヒヤリハット事例欄49は、管理者領域9に保存されたトリガー動画と一対一に対応しており、トリガー動画の数だけ表示される。なお、契約者専用ブラウザ35と同様、複数のヒヤリハット事例欄49はトリガー検知時刻の降順で表示しても良いし、管理者端末5から自由にソートできるようにしても良い。
【0053】
各ヒヤリハット事例欄49は、動画サムネイル表示部51と、発生日時表示部52と、投稿者表示部50と、ヒヤリハットコメント表示部53と、対策コメント表示部54とを備える。
【0054】
動画サムネイル表示部51には、契約者専用ブラウザ35の動画サムネイル表示部38と同様、対応するトリガー動画のサムネイルが表示される。この動画サムネイル表示部51が契約者端末6での操作によりクリックされることで、対応する上記トリガー動画が再生される。発生日時表示部52には、契約者専用ブラウザ35の発生日時表示部37と同様、対応するトリガー検知時刻が表示される。投稿者表示部50は、契約者情報記憶部22から取得された、上記トリガー動画に対応する契約者(言い換えればヒヤリハット事例の当事者)である前述の契約者名が表示される。なお、契約者が契約者端末6での適宜の操作により匿名を希望している場合には、投稿者表示部50において匿名と表示しても良い。
【0055】
ヒヤリハットコメント表示部53には、前述の契約者専用ブラウザ35のヒヤリハットコメント部39に記載されて対応するトリガー動画に付加済のヒヤリハットコメントが表示される。対策コメント表示部54には、上記同様、対策コメント部40に記載されてトリガー動画に付加済の対策コメントが表示される。
【0056】
また、各ヒヤリハット事例欄36は、動画公開ボタン58をさらに備える。この動画公開ボタン58が管理者端末5での管理者の操作によりクリックされることで、対応するトリガー動画が上記付加情報とともに共有領域10にコピーされる。このように共有領域10に格納されたトリガー動画は、いわば共有掲示板に掲示された掲示物と同様、すべての契約者端末6から閲覧可能な状態、言い換えれば情報共有状態となる。
【0057】
なお、仮に、ポップアップ画面45の「YES」ボタン46の操作で上記のように管理者領域9に格納されたトリガー動画を、管理者がヒヤリハット事例として不適切であると判断した場合には、上記動画公開ボタン58を押さないことで、共有領域10における公開を行わないようにすることもできる。
【0058】
<共有掲示板ブラウザ>
上記のようにしてサーバ4の共有領域10に格納されたトリガー動画に対しては、契約者端末6の共有掲示板ブラウザからアクセスすることで閲覧することができる。図9に、契約者端末6の表示部6aに表示される共有掲示板ブラウザ23の一例を示す。なお共有掲示板ブラウザ23を管理者端末5において表示できるようにしてもよい。
【0059】
図9において、共有掲示板ブラウザ23の主機能は、サーバ4の共有領域10に保存されたヒヤリハット事例に係わるトリガー動画の閲覧とそれに対する「いいね!」ボタン及び「ヒヤリハット」ボタン(後述)の受け付けである。共有掲示板ブラウザ23は、契約者専用ブラウザ35及び管理者専用ブラウザ48と同様の、複数のヒヤリハット事例欄24,24・・を有する。これらヒヤリハット事例欄24は、共有領域10に保存されたトリガー動画と一対一に対応しており、トリガー動画の数だけ表示される。なお、契約者専用ブラウザ35及び管理者専用ブラウザ48と同様、複数のヒヤリハット事例欄24はトリガー検知時刻の降順で表示しても良いし自由にソートできるようにしても良い。
【0060】
各ヒヤリハット事例欄24は、動画サムネイル表示部27と、発生日時表示部25と、投稿者表示部26と、ヒヤリハットコメント表示部29と、対策コメント表示部30とを備える。
【0061】
動画サムネイル表示部27には、契約者専用ブラウザ35及び管理者専用ブラウザ48と同様、対応するトリガー動画のサムネイルが表示される。この動画サムネイル表示部27が契約者端末6での操作によりクリックされることで、対応する上記トリガー動画が再生される。発生日時表示部25及び投稿者表示部26は、上記契約者専用ブラウザ35及び管理者専用ブラウザ48と同様、トリガー検知時刻及び契約者名(匿名の場合を含む)がそれぞれ表示される。
【0062】
ヒヤリハットコメント表示部29及び対策コメント表示部30には、管理者専用ブラウザ48のヒヤリハットコメント表示部53及び対策コメント表示部54と同様、ヒヤリハットコメント及び対策コメントが表示される。
【0063】
閲覧数表示部28は、動画サムネイル表示部27のクリックにより上記トリガー動画が再生された回数が表示される。この再生回数は、契約者専用ブラウザ35の当該トリガー動画に対応するヒヤリハット事例欄36に設けた閲覧数表示部41、及び、管理者専用ブラウザ48の当該トリガー動画に対応するヒヤリハット事例欄49に設けた閲覧数表示部55、において反映される形で表示される。
【0064】
また各ヒヤリハット事例欄24には、いいね!ボタン34及びいいね!数表示部33と、ヒヤリハットボタン32及びヒヤリハット数表示部31とが設けられる。
【0065】
<いいね!ボタン>
いいね!ボタン34の意義は、以下の通りである。すなわち、本来、ヒヤリハットは当該ヒヤリハット事例を発生させた上記契約者(上記当事者)にとってはネガティブな事象(できれば隠匿したい事象)である。そのため、当該契約者が他者への露見を躊躇する結果、例えば契約者端末6からの適宜の操作でトリガー動画にサーバ4への自動的なアップロードを停止したり、アップロードされ契約者領域8に格納されたトリガー動画を削除する等が行われて、トリガー動画の円滑な収集が困難となる可能性がある。
【0066】
そこで本実施形態では、上記いいね!ボタン34を設けてその操作結果(いいね!ボタン34が押された回数)を、いいね!数表示部33において表示する。なお、いいね!ボタン34の操作が、注目表明操作の一例を構成している。これらにより、トリガー動画の送信側である上記当事者の、なるべくたくさんの「いいね!」が欲しい、という動機づけを誘起させて、契約者端末6を介した当事者からの積極的なトリガー動画の取得を促し、確実に数多くのトリガー動画が収集されるようにする。なお、いいね!数表示部33で表示されるいいね!ボタン34が押された回数(以下適宜、単に「いいね!数」と称する)は、先に述べた契約者専用ブラウザ35の当該トリガー動画に対応するヒヤリハット事例欄36に設けたいいね!数表示部43、及び、管理者専用ブラウザ48の当該トリガー動画に対応するヒヤリハット事例欄49に設けた、いいね!数表示部57において反映される形で表示される。
【0067】
<ヒヤリハットボタン>
ヒヤリハットボタン32の意義は、以下の通りである。すなわち、上記のようにして多くのトリガー動画の取得促進が図られる場合、その程度であればヒヤリハットには該当しないという程度の事例のトリガー動画が次々と契約者端末6から送信され、サーバ4側で取得されるトリガー動画全体のクオリティが低下する恐れがある。そこで、本実施形態では、上記のヒヤリハットボタン32を設け、各トリガー動画に対し多くの視聴者(契約者端末6によりトリガー動画を閲覧した他の契約者)による客観的評価(検証)が行われる。つまり、ヒヤリハット事例としてふさわしいという評価がなされた場合にのみ、ヒヤリハットボタン32が操作されることで、前述のような低クオリティの動画を間引くことができる。ヒヤリハット数表示部31には、そのようにしてヒヤリハットボタン32が押された回数が表示される。なお、ヒヤリハットボタン32の操作が、検証参加操作の一例を構成している。また、このヒヤリハット数表示部31で表示されるヒヤリハットボタン32が押された回数(以下適宜、単に「ヒヤリハット数」と称する)は、先に述べた契約者専用ブラウザ35の当該トリガー動画に対応するヒヤリハット事例欄36に設けたヒヤリハット数表示部42、及び、管理者専用ブラウザ48の当該トリガー動画に対応するヒヤリハット事例欄49に設けた、ヒヤリハット数表示部56において反映される形で表示される。
【0068】
また例えば、視聴者である契約者は、客観的な評価の高い動画を契約者端末6において優先的に視聴することで、より有益なヒヤリハット事例を入手することができる。また上記視聴者は、ヒヤリハットボタン32を押すという手軽なワンアクションによって、サーバ4側で取得されたトリガー動画の検証に自分も参加しているという充足感を得ることもできる。
【0069】
さらに、トリガー動画を閲覧した者だけが、ヒヤリハットボタン32及びいいねボタン34を操作できることから、より全うな統計をとることが可能となる。なお、上記複数のヒヤリハット事例欄24を、例えば、ヒヤリハット数が多いもの、いいね!数が多いもの、などの順番で表示することもできる。
【0070】
<制御フロー>
本実施形態における以上の手法を実現するために、前述の情報処理プログラムに基づきサーバ4のプロセッサ210が実行する制御手順を、図10及び図11のフローチャートにより説明する。
【0071】
<共有化処理>
図10は、建設機械3からのトリガー動画を公開するまでの共有化処理を表すフローである。まずS2で、動画取得部210Aにより、前述のようにして建設機械3にて生成され送信されたトリガー動画が通信インタフェース290を介して取得され、記憶装置215のうち当該建設機械3に対応する契約者の契約者領域8に格納される。
【0072】
その後、S4で、上記S2で取得され契約者領域8に格納されたトリガー動画のサムネイルが、契約者端末6の契約者専用ブラウザ35にてヒヤリハット事例欄36の形で一覧表示される。
【0073】
なお、この段階では、当該トリガー動画は、そのトリガー動画のヒヤリハット事例を発生させた建設機械3に係わる契約者の契約者端末6においてのみ表示・再生可能であり、後述のS30のようにどの契約者端末6からでも閲覧可能に公開されているわけではない(いわゆる未公開状態)。
【0074】
そして、S6で、上記S4で一覧表示されたヒヤリハット事例欄36のうちいずれか1つが選択されたか否かが判定される。いずれか1つが選択されたらYes判定され、処理がS8へ移される。
【0075】
S8では、上記S6で選択されたヒヤリハット事例欄36に係わるトリガー動画が再生される。また、S10で、当該選択されたヒヤリハット事例欄36における、ヒヤリハット事例としてのヒヤリハットコメント(ヒヤリハットコメント部39内)及びヒヤリハット事例への対策を表す対策コメント(対策コメント部40内)を含む付加情報の記入及び編集がコメント受付部210Eにより受け付けられる。
【0076】
その後、S12で、選択中のヒヤリハット事例欄36における上記動画公開承諾ボタン44が押されたか否かが判定される。動画公開承諾ボタン44が押されていなければNo判定され、前述のS8に戻って同様の処理が繰り返される。動画公開承諾ボタン44が押され、その操作が承諾操作受付部210Gで受け付けられていればYes判定され、S14へ処理が移される。なお、動画公開承諾ボタン44の操作が承諾操作の一例を構成する。
【0077】
S14では、先に図7を用いて説明した、動画公開の最終意思確認をするためのポップアップ画面45が契約者端末6の表示部6aに表示される。
【0078】
その後、S16で、ポップアップ画面45において公開同意がなされたか、すなわち前述の「YES」ボタン46が押されたか否かが判定される。公開同意がなされず「NO」ボタン47が押された場合はS16がNo判定されてこのフローの処理を終了する。公開同意がなされ「YES」ボタン46が押された場合はS16がYes判定され、S18へ処理が移される。
【0079】
S18では、選択中のヒヤリハット事例欄36に係わるトリガー動画及び付加情報が、記憶装置215の管理者領域9へとコピーされて格納される。
【0080】
その後、S20で、上記S18で管理者領域9に格納されたトリガー動画のサムネイルが、管理者端末5の管理者専用ブラウザ48にてヒヤリハット事例欄49の形で一覧表示される。
【0081】
そして、S22で、上記S20で一覧表示されたヒヤリハット事例欄49のうちいずれか1つが選択されたか否かが判定される。いずれか1つが選択されたらYes判定され、処理がS24へ移される。S24では、上記S22で選択されたヒヤリハット事例欄49に係わるトリガー動画が再生される。
【0082】
その後、S26で、選択中のヒヤリハット事例欄49における上記動画公開ボタン58が押されたか否かが判定される。動画公開ボタン58が押されていなければNo判定され、このフローを終了する。動画公開ボタン58が押され、その操作が公開操作受付部210Fにより受け付けられていればYes判定され、S28へ処理が移される。なお、動画公開ボタン58の操作が公開操作の一例を構成する。
【0083】
S28では、選択中のヒヤリハット事例欄49に係わるトリガー動画及び付加情報が、記憶装置215の共有領域10へとコピーされて格納される。
【0084】
その後、S30で、動画公開部210Bにより、上記S28で共有領域10に格納されたトリガー動画のサムネイルが、契約者端末6の共有掲示板ブラウザ23にてヒヤリハット事例欄24の形で一覧表示されることで、(これまでの未公開状態から)どの契約者端末6からでも閲覧可能な状態へと公開される。
【0085】
<閲覧処理>
図11は、上記図10のS30により公開されたトリガー動画を閲覧するための閲覧処理を表すフローである。まずS50で、上記S9で共有領域10に格納され公開されたトリガー動画のサムネイルが、すべての契約者端末6の共有掲示板ブラウザ23にてヒヤリハット事例欄24の形で一覧表示される。なおその際、各ヒヤリハット事例欄24では、当該トリガー動画に係わる再生回数(後述のS60での再生回数)、いいね!数(後述のS70でのボタン操作回数)、及びヒヤリハット数(後述のS80でのボタン操作回数)が、閲覧数表示部28、いいね!数表示部33、ヒヤリハット数表示部31においてそれぞれ併せて表示される。さらに、ヒヤリハットコメント表示部29及び対策コメント表示部30においても、対応するヒヤリハットコメント及び対策コメントがそれぞれ併せて表示される。このS50で行われる処理により上記の表示を行う、契約者端末6の共有掲示板ブラウザ23のいいね!数表示部33及びヒヤリハット数表示部31が、操作結果表示部の一例として機能する。
【0086】
そして、S55で、上記S50で一覧表示されたヒヤリハット事例欄24のうちいずれか1つが選択されたか否かが判定される。いずれか1つが選択されたらYes判定され、処理がS60へ移される。
【0087】
S60では、上記S55で選択されたヒヤリハット事例欄24に係わるトリガー動画が再生される。これに対応して、S65において当該トリガー動画の再生回数(閲覧数表示部28で表示されるもの)がカウントアップされる。
【0088】
その後、S70で、選択中のヒヤリハット事例欄24におけるいいね!ボタン34が押されたか否かが判定される。いいね!ボタン34が押されていなければNo判定され、後述のS80に処理が移される。いいね!ボタン34が押され、その操作が第1操作受付部210Cにより受け付けられていれば、Yes判定され、S75において当該トリガー動画へのいいね!ボタン34の操作回数(いいね!数表示部33で表示されるもの)がカウントアップされる。
【0089】
その後、S80では、選択中のヒヤリハット事例欄24におけるヒヤリハットボタン32が押されたか否かが判定される。ヒヤリハットボタン32が押されていなければNo判定され、このフローを終了する。ヒヤリハットボタン32が押され、その操作が第2操作受付部210Dにより受け付けられていればYes判定され、S85において当該トリガー動画へのヒヤリハットボタン32の操作回数(ヒヤリハット数表示部31で表示されるもの)がカウントアップされ、このフローを終了する。
【0090】
<実施形態の効果>
以上のように構成された本実施形態の建設機械の情報共有システム1においては、建設機械3において撮影されたヒヤリハット事例に係わるトリガー動画がS2で取得され、取得されたトリガー動画がS30において複数の視聴者が視聴可能な共有領域10に公開される(いわゆる共有掲示板のような態様)。これにより、数多くの建設機械3から収集され公開された多数のヒヤリハット事例の動画を、多くのヒヤリハット事例の当事者で共有することができる。
【0091】
その際、本実施形態においては、各トリガー動画を視聴した視聴者が、注目して視聴したトリガー動画に対し、いいね!ボタン34の操作を行うことができる。この操作はS70を介して受け付けられ、受け付けた結果、すなわち「いいね!」を取得した数は、S50にて表示される。本実施形態では、いいね!ボタン34の操作結果を表示することで、トリガー動画の送信側である当事者の、なるべくたくさんの「いいね!」が欲しい、という動機づけを誘起させる。これにより、当事者からの積極的なヒヤリハット事例のトリガー動画の取得を促し、S2によって確実に数多くのトリガー動画を取得することができる。
【0092】
さらに本実施形態においては、各トリガー動画を視聴した視聴者が、視聴したトリガー動画に対しヒヤリハット事例にふさわしいかどうかを検証するヒヤリハットボタン32の操作を行うことができる。この操作はS80を介して受け付けられ、受け付けた結果、すなわち例えばヒヤリハット事例としてふさわしいという評価(又はふさわしくないという評価)が、S50によって表示される。本実施形態では、ヒヤリハットボタン32の操作を受け付けて各トリガー動画に対し多くの視聴者による客観的評価(検証)を行うことで、低クオリティのトリガー動画を間引くことができる。また例えば、視聴者は、客観的な評価の高いトリガー動画を優先的に視聴することで、より有益な事例を入手することができる。また視聴者はヒヤリハットボタン32を押すという手軽なワンアクションによって、取得されたトリガー動画の検証に自分も参加しているという充足感を得ることもできる。
【0093】
以上のように、本実施形態によれば、数多くのヒヤリハット事例を有効にかつ確実に多くの当事者で共有することができ、これによって事故発生を有効に抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態では特に、公開されたトリガー動画に対する、ヒヤリハット事例の当事者によるコメントがS10で受け付けられる。ヒヤリハット事例の当事者がトリガー動画にコメントをつけることで、共有掲示板ブラウザ23からの視聴者は、トリガー動画に表されているヒヤリハット事例の詳細等を知ることができる。
【0095】
また、本実施形態では特に、S10で受け付けるコメントとして、トリガー動画に対応するヒヤリハット事例の内容に関するヒヤリハットコメントと、ヒヤリハット事例への対策に関する対策コメントとが含まれる。共有掲示板ブラウザ23からの視聴者は、事例コメントにより、トリガー動画に表されているヒヤリハット事例の詳細な内容や発生の背景等を知ることができ、ヒヤリハット事例に対する理解を深めることができる。また視聴者は、対策コメントにより、ヒヤリハット事例に対しどのような対策を取れば有効に事故発生を防止できるのかを確実に知見することもできる。
【0096】
また、本実施形態では特に、未公開状態のトリガー動画を公開するための動画公開ボタン58が管理者専用ブラウザ48において設けられ、S30では、動画公開ボタン58が操作された場合に、対応するトリガー動画を共有領域10に公開する。これにより、取得された直後のトリガー動画は未公開状態のままとし、その後に動画公開ボタン58の操作がなされたものだけを視聴者への公開状態とするようにできる。すなわち、動画公開ボタン58の操作の実行者によるトリガー動画の公開又は非公開の選択が可能となるので、利便性が向上する。
【0097】
また、本実施形態では特に、未公開状態のトリガー動画の公開を承諾する動画公開承諾ボタン44が契約者専用ブラウザ35において設けられ、動画公開承諾ボタン44が操作された場合に、管理者専用ブラウザ48において、対応するトリガー動画を公開するための上記動画公開ボタン58が操作可能となる。これにより、取得され未公開状態になっているトリガー動画のうち、当事者である契約者により動画公開承諾ボタン44の操作がなされ、かつ、管理者により動画公開ボタン58の操作がなされたものだけを、視聴者への公開状態とするようにできる。すなわち、トリガー動画の公開に関し2段階の選択が可能となるので、さらに利便性が向上する。
【0098】
また、本実施形態では特に、S2により取得された未公開状態のトリガー動画を、対応する契約者(当事者)ごとに記憶する契約者領域8と、契約者領域8に記憶されているトリガー動画を、対応する動画公開承諾ボタン44が操作された場合に記憶する管理者領域9とが設けられる。そして、S30では、動画公開ボタン58の操作がなされた場合に、管理者領域9に記憶されている対応するトリガー動画を共有領域10に公開する。
【0099】
本実施形態においては、取得された未公開状態のトリガー動画はまず契約者領域8に記憶され、その後上記動画公開承諾ボタン44の操作がなされたら管理者領域9に記憶され、さらに上記動画公開ボタン58の操作がなされたら共有領域10において公開される。これにより、トリガー動画の公開に関し、円滑かつ確実に上記2段階の選択と最終的な公開とを実行することができる。
【0100】
また、本実施形態では特に、契約者領域8及び管理者領域9は、複数のトリガー動画を、視聴者に対する非公開状態で記憶している。これにより、上記のような流れを経てトリガー動画が最終的に共有領域10において公開されるまでの間は、確実にトリガー動画を非公開状態に維持することができる。
【0101】
<解決しようとする課題や発明の効果について>
なお、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではない。すなわち、本発明によって、上述されていない課題を解決したり、上述されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0102】
<形状、数値、構造、時系列について>
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0103】
<その他>
以上において、図3図5等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0104】
また、図10図11に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。すなわち、上記手順の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の手順を追加してもよい。また、上記手順の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の手順が単一の手順にまとめられてもよい。
【0105】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0106】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0107】
1 情報共有システム
3 建設機械
4 サーバ
5 管理者端末
5a 表示部
6 契約者端末
6a 表示部
8 契約者領域(個別領域)
9 管理者領域(公開準備領域)
10 共有領域
23 共有掲示板ブラウザ
29 ヒヤリハットコメント表示部
30 対策コメント表示部
31 ヒヤリハット数表示部
32 ヒヤリハットボタン
33 いいね!数表示部
34 いいね!ボタン
35 契約者専用ブラウザ
39 ヒヤリハットコメント部
40 対策コメント部
42 ヒヤリハット数表示部
43 いいね!数表示部
44 動画公開承諾ボタン
48 管理者専用ブラウザ
53 ヒヤリハットコメント表示部
54 対策コメント表示部
56 ヒヤリハット数表示部
57 いいね!数表示部
58 動画公開ボタン
210 プロセッサ
231 プログラム記憶領域
232 データ記憶領域
290 通信インタフェース(通信I/F)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11