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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137328
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240927BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20240927BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20240927BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D21/00 A
B62D21/00 B
B62D25/20 D
H01M50/244 Z
H01M50/244 A
H01M50/249
H01M50/224
H01M50/242
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048810
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 裕之
(72)【発明者】
【氏名】古崎 雄也
(72)【発明者】
【氏名】澤 正士
(72)【発明者】
【氏名】芝田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正樹
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D203AA01
3D203AA31
3D203BA06
3D203BA12
3D203CA23
3D203CA37
3D203CA75
3D235AA01
3D235BB05
3D235CC12
3D235CC14
3D235DD35
3D235EE64
3D235FF03
3D235FF06
3D235FF12
3D235HH22
5H040AA37
5H040AS07
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC20
5H040CC32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フロントサブフレームの後退時に、バッテリパック内部のバッテリを保護することができる車両を提供する。
【解決手段】車両は、フロントサブフレーム5の後端部とフロントサイドフレーム3とを固定する第1固定部10と、フロントサブフレーム5の後方に配置されるバッテリパック40と、バッテリパック40とフロントサイドフレーム3を連結する第1ブラケット51と、第1ブラケット51をフロントサイドフレーム3に固定する第2固定部20と、第1ブラケット51をバッテリパック40の前部に固定する第3固定部30と、を備える。第2固定部20には、第1固定部10と対向する位置に当て面部22が設けられており、第3固定部30は、バッテリパック40の底壁部41の前端部43に設けられており、第1ブラケット51は、前後方向に延在して、第2固定部20と第3固定部30とに固定された第1荷重伝達部53を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延在するフロントサイドフレームと、
前記フロントサイドフレームの車幅方向内側を前後方向に延在するフロントサブフレームと、
前記フロントサブフレームの後端部と前記フロントサイドフレームとを第1ボルトによって固定する第1固定部と、
前記フロントサブフレームの後方に配置され、内部にバッテリを収容するバッテリパックと、
前記フロントサブフレームと前記バッテリパックとの間に配置され、前記バッテリパックの前部と前記フロントサイドフレームとを連結する第1ブラケットと、
第2ボルトによって前記第1ブラケットを前記フロントサイドフレームに固定する第2固定部と、
第3ボルトによって前記第1ブラケットを前記バッテリパックの前部に固定する第3固定部と、
を備える車両であって、
前記バッテリパックは、
前記バッテリパックの底面を形成する底壁部と、
前記底壁部から上方に起立して車幅方向に延在し、前記バッテリパックの前面を形成する前壁部と、を有し、
前記第2固定部は、前後方向から見て、前記第1固定部と重なる位置に設けられており、
前記第2固定部には、前記第1固定部と対向する位置に当て面部が設けられており、
前記第3固定部は、前記バッテリパックの前記底壁部の前端部に設けられており、
前記第1ブラケットは、前後方向に延在して、前記第2固定部と前記第3固定部とに固定された第1荷重伝達部を有する、
車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、
前記第2固定部において、前記第2ボルトは上下方向に延在しており、
前記第3固定部において、前記第3ボルトは上下方向に延在しており、
前記第2ボルトの軸心と前記フロントサブフレームの後端との距離は、
前記第2ボルトの軸心と前記第3ボルトとの軸心との距離よりも短くなっている、
車両。
【請求項3】
請求項1に記載の車両であって、
前記第1荷重伝達部には、車幅方向に延在し、上下方向に屈曲する座屈部が設けられている、
車両。
【請求項4】
請求項1に記載の車両であって、
前記フロントサブフレームと前記バッテリパックとの間に配置され、前後方向に延在して、前記バッテリパックの前部と前記フロントサイドフレームとを連結する第2ブラケットをさらに備え、
前記第2ブラケットは、前後方向に延在して、前記第2固定部と前記第3固定部とに固定された第2荷重伝達部を有し、
前記第2固定部において、前記第2ブラケットは、前記第1ブラケットよりも上方で前記第2ボルトによって前記フロントサイドフレームに固定されている、
車両。
【請求項5】
請求項4に記載の車両であって、
前記第2固定部における前記第2ブラケットの固定位置は、前記第3固定部における前記第2ブラケットの固定位置よりも上方に位置しており、
前記第2荷重伝達部は、
前記フロントサイドフレームの底面と対向して、前記第2固定部において前記第2ボルトによって前記フロントサイドフレームに締結される前側締結部と、
前記バッテリパックの底面と対向して、前記第3固定部において前記第3ボルトによって前記バッテリパックに締結される後側締結部と、
前記前側締結部と前記後側締結部とを連結する連結部と、を有し、
前記連結部は、前記バッテリパックの前方で、後方に向かって下方に傾斜して延在しており、
前記バッテリパックの前面と前記連結部との間には、空間が形成されている、
車両。
【請求項6】
請求項1に記載の車両であって、
前記底壁部と前記前壁部とが接続する角部には、前記底壁部と前記前壁部とを連結するリブが設けられている、
車両。
【請求項7】
請求項1に記載の車両であって、
前記底壁部及び前記前壁部は、ダイカストにより製造されている、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が行われている。特に、車両においては、近年の地球環境保護の意識の高まりにより、ハイブリッド車、電気自動車など、駆動源の電動化が急速に進んでいる。電動車両においては、バッテリを収容するバッテリパックがフロア下に配置されている電動車両が知られている。このような、フロア下にバッテリパックが配置されている電動車両では、例えば電動車両の前方衝突時等において車体のサブフレームに荷重が入力されると、サブフレームの後端部が後退移動するため、バッテリパックに干渉しないように様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電動車両のフロア構造において、サブフレームのサブフレームマウント部材に対する締結を解除する作用点を形成する、てこの支点を設ける構造が記載されている。てこの支点により、衝突時にサブフレームの後部の脱落を促し、バッテリパックへの干渉を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-140711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術は、サブフレームの車体との締結点を破断させて、ブラケットが滑り台の役割を果たしつつ、サブフレームがバッテリパックの前端部より後方に後退し、バッテリパックと高さ方向ですれ違う思想に基づくものである。
【0006】
本発明は、フロントサブフレームの後退時に、バッテリパック内部のバッテリを保護することができる車両であって、サブフレームとバッテリパックがすれ違う保護思想とは別の新たな保護思想に基づく車両を提供する。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
前後方向に延在するフロントサイドフレームと、
前記フロントサイドフレームの車幅方向内側を前後方向に延在するフロントサブフレームと、
前記フロントサブフレームの後端部と前記フロントサイドフレームとを第1ボルトによって固定する第1固定部と、
前記フロントサブフレームの後方に配置され、内部にバッテリを収容するバッテリパックと、
前記フロントサブフレームと前記バッテリパックとの間に配置され、前記バッテリパックの前部と前記フロントサイドフレームとを連結する第1ブラケットと、
第2ボルトによって前記第1ブラケットを前記フロントサイドフレームに固定する第2固定部と、
第3ボルトによって前記第1ブラケットを前記バッテリパックの前部に固定する第3固定部と、
を備える車両であって、
前記バッテリパックは、
前記バッテリパックの底面を形成する底壁部と、
前記底壁部から上方に起立して車幅方向に延在し、前記バッテリパックの前面を形成する前壁部と、を有し、
前記第2固定部は、前後方向から見て、前記第1固定部と重なる位置に設けられており、
前記第2固定部には、前記第1固定部と対向する位置に当て面部が設けられており、
前記第3固定部は、前記バッテリパックの前記底壁部の前端部に設けられており、
前記第1ブラケットは、前後方向に延在して、前記第2固定部と前記第3固定部とに固定された第1荷重伝達部を有する、
車両である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フロントサブフレームに入力された前方からの荷重を、フロントサイドフレームとバッテリパックの底壁部とに分散することができるとともに、寸法の大きいバッテリパックの底壁部に伝達させることができるので、後退してくるフロントサブフレームから、バッテリパック内部のバッテリを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の車両のフロントサイドフレーム、フロントサブフレーム、バッテリパックを下方から見た斜視図である。
図2図1のA領域の拡大図である。
図3図2で示した部分を上方から見た斜視図である。
図4】第1固定部、第2固定部、第3固定部の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の車両の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の車両1は、前後方向に延在するフロントサイドフレーム3と、フロントサイドフレーム3の車幅方向内側を前後方向に延在するフロントサブフレーム5と、バッテリパック40と、を備える。フロントサイドフレーム3は、車両1の前方部分における両側面に配置されるフレームである。フロントサブフレーム5は、車両1の前方部分において、二つのフロントサイドフレーム3の間に配置されるフレームである。
【0012】
バッテリパック40は、平面視で矩形形状を呈し、所定の厚みを有する平板状の部材である。バッテリパック40は、電力により駆動する駆動源を駆動するため、車両1のフロア下等に搭載される。電力により駆動する駆動源は、例えば、車両駆動用モータである。本実施形態では、バッテリパック40は、フロントサブフレーム5の後方に配置され、内部にバッテリを収容する。
【0013】
図2に示すように、第1固定部10は、フロントサブフレーム5の後端部とフロントサイドフレーム3とを固定する。第1固定部10は、上下方向に延在する第1ボルト11を含み、第1ボルト11がフロントサブフレーム5の後端部、フロントサイドフレーム3を順次貫通し、双方を締結する。
【0014】
車両1は、フロントサブフレーム5とバッテリパック40との間に配置されて、バッテリパック40の前部とフロントサイドフレーム3とを連結する第1ブラケット51を有する。本実施形態では、第1ブラケット51は、側面視で略L字形状に加工された金属製の板材より構成される。
【0015】
具体的には、第2固定部20が、第1ブラケット51をフロントサイドフレーム3に固定し、第3固定部30が、第1ブラケット51をバッテリパック40の前部に固定する。第2固定部20は、上下方向に延在する第2ボルト21を含み、第2ボルト21が第1ブラケット51、フロントサイドフレーム3を順次貫通し、双方を締結する。第3固定部30は、上下方向に延在する第3ボルト31を含み、第3ボルト31が、第1ブラケット51、バッテリパック40の前部を順次貫通し、双方を締結する。後述するように、第2ボルト21は、第1ブラケット51とフロントサイドフレーム3との間に配置された第2ブラケット61をも貫通する(図3参照)。
【0016】
バッテリパック40は、底面を形成する平板状の底壁部41と、底壁部41から上方に起立して車幅方向に延在し、バッテリパック40の前面を形成する壁状の前壁部42と、を有する。
【0017】
第2固定部20は、前後方向から見て、第1固定部10と重なる位置に設けられる。また、図3に示すように、第2固定部20には、第1固定部10と対向する位置に当て面部22が設けられる。本実施形態では、当て面部22は、第1ブラケット51の略L字形状の上下方向に延びる一面によって画定されている。
【0018】
また、第3固定部30は、バッテリパック40の底壁部41の前端部43に設けられている。これにより、第1ブラケット51は、前後方向に延在して、第2固定部20と第3固定部30とに固定された第1荷重伝達部53を有する。
【0019】
本実施形態によれば、車両1の前突等により、フロントサブフレーム5に前方から荷重が入力された場合、フロントサブフレーム5が後退して第2固定部20の当て面部22に当接する。そして、第2固定部20は、フロントサブフレーム5に入力された前方からの荷重を、フロントサイドフレーム3に伝達するとともに、第1ブラケット51を介してバッテリパック40の底壁部41に伝達する。これにより、フロントサブフレーム5に入力された前方からの荷重を、フロントサイドフレーム3とバッテリパック40の底壁部41とに分散することができるとともに、寸法の大きいバッテリパック40の底壁部41に伝達させることができるので、後退してくるフロントサブフレーム5から、バッテリパック40内部のバッテリを保護することができる。
【0020】
前述したように、第2固定部20において、第2ボルト21は上下方向に延在しており、第3固定部30において、第3ボルト31は上下方向に延在している。そして、図4に示すように、第2ボルト21の軸心とフロントサブフレーム5の後端との距離D1は、第2ボルト21の軸心と第3ボルト31との軸心との距離D2よりも短くなっている。
【0021】
このような構成によれば、フロントサブフレーム5の後端のより近傍に当て面部22を配置することができるので、フロントサブフレーム5に前方から荷重が入力され、フロントサブフレーム5が後退した場合において、後退するフロントサブフレーム5の変位方向に対するロバスト性が高く、後退するフロントサブフレーム5がより確実に当て面部22に当接する。
【0022】
また、第1ブラケット51の第1荷重伝達部53には、車幅方向に延在し、上下方向に屈曲する座屈部55が設けられている。座屈部55は、第1ブラケット51の略L字形状の前後方向に延びる一面が上下方向に曲げられることによって形成されている。
【0023】
これにより、第2固定部20に所定以上の大きな荷重が入力された場合に、座屈部55が座屈することによって、バッテリパック40の底壁部41に伝達される荷重が低減する。これにより、第2固定部20に所定未満の荷重が入力された場合には座屈部55が座屈せず荷重を第3固定部30に伝達するので第2固定部20の耐荷重が増し、第2固定部20に所定以上の大きな荷重が入力された場合でも、座屈部55が荷重を吸収してバッテリパック40が変形することを抑制でき、バッテリパック40内部のバッテリを保護することができる。
【0024】
さらに本実施形態の車両1は、フロントサブフレーム5とバッテリパック40との間に配置され、前後方向に延在して、バッテリパック40の前部とフロントサイドフレーム3とを連結する第2ブラケット61を備えている。第2ブラケット61は、前後方向に延在して、第2固定部20と第3固定部30とに固定された第2荷重伝達部63を有する。
【0025】
第2固定部20において、第2ブラケット61は、第1ブラケット51よりも上方で第2ボルト21によってフロントサイドフレーム3に固定されている。すなわち、図3に示すように、第2ボルト21は、下から第1ブラケット51、第2ブラケット61を順次貫通し、図4に示すように、第2ボルト21は、フロントサイドフレーム3の底面に締結される。
【0026】
このような構成によれば、第2ブラケット61を介して、第1ブラケット51よりも上方で第2固定部20にかかる荷重をバッテリパック40の底壁部41に伝達することができるので、第2固定部20の耐荷重を上げることができる。
【0027】
図4に示すように、第2荷重伝達部63は、前側締結部64と、前側締結部64と、連結部66と、を有する。前側締結部64は、フロントサイドフレーム3の底面と対向して、第2固定部20において第2ボルト21によってフロントサイドフレーム3に締結される。後側締結部65は、バッテリパック40の底面と対向して、第3固定部30において第3ボルト31によってバッテリパック40に締結される。連結部66は、前側締結部64と後側締結部65とを連結する。
【0028】
第2固定部20における第2ブラケット61の固定位置は、第3固定部30における第2ブラケット61の固定位置よりも上方に位置している。よって、連結部66は、バッテリパック40の前方で、後方に向かって下方に傾斜して延在している。これにより、バッテリパック40の前面と連結部66との間には、空間Sが形成されている。
【0029】
このような構成によれば、第2ブラケット61の連結部66は、バッテリパック40の前方で、後方に向かって下方に傾斜して延在しており、バッテリパック40の前面と第2ブラケット61の連結部66との間には、空間Sが形成されているので、第2固定部20からバッテリパック40の前壁部42に荷重が入力されることを抑制できる。
【0030】
さらに、図4に示すように、底壁部41と前壁部42とが接続する角部45には、底壁部41と前壁部42とを連結するリブ46が設けられている。これにより、底壁部41と前壁部42とを連結するリブ46によって、バッテリパック40の強度を向上させることができ、フロントサブフレーム5に入力された荷重に対するバッテリパック40の耐荷重力を向上させることができる。
【0031】
バッテリパック40の底壁部41及び前壁部42は、ダイカストにより製造することができる。これにより、フロントサブフレーム5に入力された前方からの荷重を、フロントサイドフレーム3とバッテリパック40の底壁部41とに分散することができるとともに、寸法の大きいバッテリパック40の底壁部41に伝達させることができるので、後退してくるフロントサブフレーム5から、バッテリパック40内部のバッテリを保護しつつ、底壁部41及び前壁部42がダイカストにより製造されていることによって、前壁部42の形状の自由度を向上させることができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0033】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0034】
(1) 前後方向に延在するフロントサイドフレーム(フロントサイドフレーム3)と、
前記フロントサイドフレームの車幅方向内側を前後方向に延在するフロントサブフレーム(フロントサブフレーム5)と、
前記フロントサブフレームの後端部と前記フロントサイドフレームとを第1ボルト(第1ボルト11)によって固定する第1固定部(第1固定部10)と、
前記フロントサブフレームの後方に配置され、内部にバッテリを収容するバッテリパック(バッテリパック40)と、
前記フロントサブフレームと前記バッテリパックとの間に配置され、前記バッテリパックの前部と前記フロントサイドフレームとを連結する第1ブラケット(第1ブラケット51)と、
第2ボルト(第2ボルト21)によって前記第1ブラケットを前記フロントサイドフレームに固定する第2固定部(第2固定部20)と、
第3ボルト(第3ボルト31)によって前記第1ブラケットを前記バッテリパックの前部に固定する第3固定部(第3固定部30)と、
を備える車両であって、
前記バッテリパックは、
前記バッテリパックの底面を形成する底壁部(底壁部41)と、
前記底壁部から上方に起立して車幅方向に延在し、前記バッテリパックの前面を形成する前壁部(前壁部42)と、を有し、
前記第2固定部は、前後方向から見て、前記第1固定部と重なる位置に設けられており、
前記第2固定部には、前記第1固定部と対向する位置に当て面部(当て面部22)が設けられており、
前記第3固定部は、前記バッテリパックの前記底壁部の前端部(前端部43)に設けられており、
前記第1ブラケットは、前後方向に延在して、前記第2固定部と前記第3固定部とに固定された第1荷重伝達部(第1荷重伝達部53)を有する、
車両(車両1)。
【0035】
(1)によれば、車両の前突等により、フロントサブフレームに前方から荷重が入力された場合、フロントサブフレームが後退して第2固定部の当て面部に当接する。そして、第2固定部は、フロントサブフレームに入力された前方からの荷重を、フロントサイドフレームに伝達するとともに、第1ブラケットを介してバッテリパックの底壁部に伝達する。これにより、フロントサブフレームに入力された前方からの荷重を、フロントサイドフレームとバッテリパックの底壁部とに分散することができるとともに、寸法の大きいバッテリパックの底壁部に伝達させることができるので、後退してくるフロントサブフレームから、バッテリパック内部のバッテリを保護することができる。
【0036】
(2) (1)に記載の車両であって、
前記第2固定部において、前記第2ボルトは上下方向に延在しており、
前記第3固定部において、前記第3ボルトは上下方向に延在しており、
前記第2ボルトの軸心と前記フロントサブフレームの後端との距離は、
前記第2ボルトの軸心と前記第3ボルトとの軸心との距離よりも短くなっている、
車両。
【0037】
(2)によれば、前記フロントサブフレームの後端のより近傍に当て面部を配置することができるので、フロントサブフレームに前方から荷重が入力され、フロントサブフレームが後退した場合において、後退するフロントサブフレームの変位方向に対するロバスト性が高く、後退するフロントサブフレームがより確実に当て面部に当接する。
【0038】
(3) (1)に記載の車両であって、
前記第1荷重伝達部には、車幅方向に延在し、上下方向に屈曲する座屈部(座屈部55)が設けられている、
車両。
【0039】
(3)によれば、第2固定部に所定以上の大きな荷重が入力された場合に、座屈部が座屈することによって、バッテリパックの底壁部に伝達される荷重が低減する。これにより、第2固定部に所定未満の荷重が入力された場合には座屈部が座屈せず荷重を第3固定部に伝達するので第2固定部の耐荷重が増し、第2固定部に所定以上の大きな荷重が入力された場合でも、座屈部が荷重を吸収してバッテリパックが変形することを抑制でき、バッテリパック内部のバッテリを保護することができる。
【0040】
(4) (1)に記載の車両であって、
前記フロントサブフレームと前記バッテリパックとの間に配置され、前後方向に延在して、前記バッテリパックの前部と前記フロントサイドフレームとを連結する第2ブラケット(第2ブラケット61)をさらに備え、
前記第2ブラケットは、前後方向に延在して、前記第2固定部と前記第3固定部とに固定された第2荷重伝達部(第2荷重伝達部63)を有し、
前記第2固定部において、前記第2ブラケットは、前記第1ブラケットよりも上方で前記第2ボルトによって前記フロントサイドフレームに固定されている、
車両。
【0041】
(4)によれば、第2ブラケットを介して、第1ブラケットよりも上方で第2固定部にかかる荷重をバッテリパックの底壁部に伝達することができるので、第2固定部の耐荷重を上げることができる。
【0042】
(5) (4)に記載の車両であって、
前記第2固定部における前記第2ブラケットの固定位置は、前記第3固定部における前記第2ブラケットの固定位置よりも上方に位置しており、
前記第2荷重伝達部は、
前記フロントサイドフレームの底面と対向して、前記第2固定部において前記第2ボルトによって前記フロントサイドフレームに締結される前側締結部(前側締結部64)と、
前記バッテリパックの底面と対向して、前記第3固定部において前記第3ボルトによって前記バッテリパックに締結される後側締結部(後側締結部65)と、
前記前側締結部と前記後側締結部とを連結する連結部(連結部66)と、を有し、
前記連結部は、前記バッテリパックの前方で、後方に向かって下方に傾斜して延在しており、
前記バッテリパックの前面と前記連結部との間には、空間(空間S)が形成されている、
車両。
【0043】
(5)によれば、第2ブラケットの連結部は、バッテリパックの前方で、後方に向かって下方に傾斜して延在しており、バッテリパックの前面と第2ブラケットの連結部との間には、空間が形成されているので、第2固定部からバッテリパックの前壁部に荷重が入力されることを抑制できる。
【0044】
(6) (1)に記載の車両であって、
前記底壁部と前記前壁部とが接続する角部(角部45)には、前記底壁部と前記前壁部とを連結するリブ(リブ46)が設けられている、
車両。
【0045】
(6)によれば、底壁部と前壁部とを連結するリブによって、バッテリパックの強度を向上させることができ、サブフレームに入力された荷重に対する耐荷重力を向上させることができる。
【0046】
(7) (1)に記載の車両であって、
前記底壁部及び前記前壁部は、ダイカストにより製造されている、
車両。
【0047】
(7)によれば、フロントサブフレームに入力された前方からの荷重を、フロントサイドフレームとバッテリパックの底壁部とに分散することができるとともに、寸法の大きいバッテリパックの底壁部に伝達させることができるので、後退してくるフロントサブフレームから、バッテリパック内部のバッテリを保護しつつ、底壁部及び前壁部がダイカストにより製造されていることによって、前壁部の形状の自由度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 車両
3 フロントサイドフレーム
5 フロントサブフレーム
10 第1固定部
11 第1ボルト
20 第2固定部
21 第2ボルト
22 当て面部
30 第3固定部
31 第3ボルト
40 バッテリパック
41 底壁部
42 前壁部
43 前端部
45 角部
46 リブ
51 第1ブラケット
53 第1荷重伝達部
55 座屈部
61 第2ブラケット
63 第2荷重伝達部
64 前側締結部
65 後側締結部
66 連結部
S 空間
図1
図2
図3
図4