(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137329
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】データ管理装置、データ共有装置、可視化装置、データ管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240927BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01G9/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048811
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 丈二
【テーマコード(参考)】
2B029
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2B029MA06
2B029MA07
2B029MA09
2B029MA10
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】特定のニーズに少なくとも対応可能な環境情報提供システムを実現すること。
【解決手段】データ管理装置は、所定の空間の環境に関する情報を計測するためのハードウェアの利用者と、前記利用者が前記ハードウェアを利用可能な利用期間とを対応付けたハードウェア利用者情報データを記憶する第1の記憶部と、前記環境に関する情報の計測値を含む計測データを前記ハードウェアから収集する収集部と、前記利用期間の間に前記利用期間に対応する利用者が利用しているハードウェアから収集された計測データを、前記利用者が所有する計測データとして第2の記憶部に格納する格納部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間の環境に関する情報を計測するためのハードウェアの利用者と、前記利用者が前記ハードウェアを利用可能な利用期間とを対応付けたハードウェア利用者情報データを記憶する第1の記憶部と、
前記環境に関する情報の計測値を含む計測データを前記ハードウェアから収集する収集部と、
前記利用期間の間に前記利用期間に対応する利用者が利用しているハードウェアから収集された計測データを、前記利用者が所有する計測データとして第2の記憶部に格納する格納部と、
を有するデータ管理装置。
【請求項2】
所定の空間の環境に関する情報の計測値を含む計測データと、前記計測データの所有者と、前記計測データに対して所定の権限を持つユーザとを対応付けた環境情報データを記憶する第3の記憶部と、
前記計測データを前記所有者以外のユーザと共有する場合、前記権限に関する条件を含む所定の条件に基づいて、前記計測データに含まれる計測値を可視化する場合にUI上に可視化される所定の情報のうちの特定の情報を加工するか否かを判定する判定部と、
前記計測データに含まれる計測値と、前記所定の情報とを可視化したUIを提供する提供部と、
を有し、
前記提供部は、
前記特定の情報を加工すると判定された場合、加工後の前記特定の情報を可視化したUIを提供する、データ共有装置。
【請求項3】
所定の空間の環境に関する情報の計測値を含む計測データを記憶する第4の記憶部と、
前記計測データに含まれる計測値を2次元以上の次元で表現された地図上に可視化する可視化部と、
を有し、
前記可視化部は、
複数の前記空間の環境に関する情報の計測値を可視化する場合、複数の前記空間の相対的な位置関係を維持したまま、複数の前記空間の間の距離が近くなるように、前記計測値を前記地図上に可視化する、可視化装置。
【請求項4】
所定の空間の環境に関する情報を計測するためのハードウェアの利用者と、前記利用者が前記ハードウェアを利用可能な利用期間とを対応付けたハードウェア利用者情報データを第1の記憶部に格納する第1の格納手順と、
前記環境に関する情報の計測値を含む計測データを前記ハードウェアから収集する収集手順と、
前記利用期間の間に前記利用期間に対応する利用者が利用しているハードウェアから収集された計測データを、前記利用者が所有する計測データとして第2の記憶部に格納する第2の格納手順と、
をコンピュータが実行するデータ管理方法。
【請求項5】
所定の空間の環境に関する情報を計測するためのハードウェアの利用者と、前記利用者が前記ハードウェアを利用可能な利用期間とを対応付けたハードウェア利用者情報データを第1の記憶部に格納する第1の格納手順と、
前記環境に関する情報の計測値を含む計測データを前記ハードウェアから収集する収集手順と、
前記利用期間の間に前記利用期間に対応する利用者が利用しているハードウェアから収集された計測データを、前記利用者が所有する計測データとして第2の記憶部に格納する第2の格納手順と、
をコンピュータが実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ管理装置、データ共有装置、可視化装置、データ管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
農業用ハウス内の温度・湿度等といった環境情報は農作物の生育や病気に大きく関わっている。このため、農業用ハウス等といった施設内の環境情報をユーザに提供する技術が従来から利用されている。例えば、非特許文献1には、農業用ハウス内の多地点に設置されたセンサで計測された温度・湿度等をデータ送信器と呼ばれる機器で収集し、それらの温度・湿度等をクラウド上のサーバに蓄積して環境情報としてユーザに提供するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】多地点の温度・湿度見える化システム Fermier Monitor,インターネット<URL:https://www.ntt-tx.co.jp/products/fermier/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、現実に存在する様々なニーズに対応することが困難であった。例えば、センサやデータ送信器等といったハードウェアの所有者とそのハードウェアを利用する利用者とを区別して管理したい、環境情報を表すデータを他者と共有したい、又は地理的に離れた場所にある複数の施設内の環境情報を3次元の地図上で比較して確認したい、というニーズに対応することが困難であった。このため、これらのニーズの少なくとも1つに対応可能な環境情報提供システムが求められている。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたもので、特定のニーズに少なくとも対応可能な環境情報提供システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるデータ管理装置は、所定の空間の環境に関する情報を計測するためのハードウェアの利用者と、前記利用者が前記ハードウェアを利用可能な利用期間とを対応付けたハードウェア利用者情報データを記憶する第1の記憶部と、前記環境に関する情報の計測値を含む計測データを前記ハードウェアから収集する収集部と、前記利用期間の間に前記利用期間に対応する利用者が利用しているハードウェアから収集された計測データを、前記利用者が所有する計測データとして第2の記憶部に格納する格納部と、を有する。
また、本開示の一態様によるデータ共有装置は、所定の空間の環境に関する情報の計測値を含む計測データと、前記計測データの所有者と、前記計測データに対して所定の権限を持つユーザとを対応付けた環境情報データを記憶する第3の記憶部と、前記計測データを前記所有者以外のユーザと共有する場合、前記権限に関する条件を含む所定の条件に基づいて、前記計測データに含まれる計測値を可視化する場合にUI上に可視化される所定の情報のうちの特定の情報を加工するか否かを判定する判定部と、前記計測データに含まれる計測値と、前記所定の情報とを可視化したUIを提供する提供部と、を有し、前記提供部は、前記特定の情報を加工すると判定された場合、加工後の前記特定の情報を可視化したUIを提供する。
また、本開示の一態様による可視化装置は、所定の空間の環境に関する情報の計測値を含む計測データを記憶する第4の記憶部と、前記計測データに含まれる計測値を3次元地図上に可視化する可視化部と、を有し、前記可視化部は、複数の前記空間の環境に関する情報の計測値を可視化する場合、複数の前記空間の相対的な位置関係を維持したまま、複数の前記空間の間の距離が近くなるように、前記計測値を3次元地図上に可視化する。
【発明の効果】
【0007】
特定のニーズに少なくとも対応可能な環境情報提供システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る環境情報提供システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る環境情報提供装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】GW情報とGW利用者情報を登録する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】利用期間満了まで一定期間となった場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】ハウス内情報を作成する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】ハウス内情報を提供する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】センサの実際の位置関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0010】
<従来技術に対して存在するニーズ>
例えば、上記の非特許文献1等に記載されている従来技術には、以下の(1)~(3)に示すニーズが存在する。
【0011】
(1)センサやデータ送信器等といったハードウェアの所有者と、そのハードウェアを利用する利用者とを区別して管理したい。
【0012】
(2)環境情報を表すデータ(以下、「環境情報データ」ともいう。)を他者と共有したい。
【0013】
(3)地理的に離れた場所にある複数の施設(例えば、農業用ハウス等)内の環境情報を3次元の地図上で比較して確認したい。
【0014】
しかしながら、例えば、上記の非特許文献1等に記載されている従来技術はハードウェアの所有者と利用者が異なることを想定しておらず、ハードウェアの所有者と利用者を区別して管理する場合、その設定作業が煩雑又は困難であった。一方で、例えば、事業者がセンサやデータ送信器等を農家等に貸し出すサービスには一定のニーズが存在し、その実現のためには、上記の(1)のニーズに対応する必要がある。
【0015】
また、例えば、上記の非特許文献1等に記載されている従来技術は環境情報データを他者と共有することを想定しておらず、環境情報データを他者と共有する際に必要となる匿名化等が考慮されていない。一方で、例えば、農作物の育成環境を改善又は向上させるために、匿名化された他者の環境情報データの提供を受けたり、匿名化された自身の環境情報データを他者に提供して何等かの助言を得たりするサービスには一定のニーズが存在し、その実現のためには、上記の(2)のニーズに対応する必要がある。
【0016】
更に、例えば、上記の非特許文献1等に記載されている従来技術は地理的に離れた場所にある複数の施設内の環境情報を3次元の地図上で比較して確認することを想定しておらず、その確認は煩雑であった。一方で、例えば、地理的に離れた場所にある複数の農業用ハウスを所有する農家も存在するため、これら複数の農業用ハウス内の環境情報を3次元の地図上で比較して確認可能なサービスには一定のニーズが存在し、その実現のためには、上記の(3)のニーズに対応する必要がある。
【0017】
そこで、以下の実施形態では、上記の(1)~(3)のニーズに対応可能な環境情報提供システム1について説明する。なお、以下では、上記の(1)~(3)のすべてのニーズに対応可能な環境情報提供システム1について説明するが、環境情報提供システム1は、例えば、上記の(1)~(3)の一部のニーズのみに対応可能なものであってもよい。
【0018】
以下では、データ送信器のことを「GW機器」又は「ゲートウェイ機器」と呼ぶことにし、一例として、センサはGW機器に付随するハードウェアであるものとする。すなわち、ハードウェアの所有者とはGW機器(データ送信器)の所有者のことを指し、ハードウェアの利用者とはGW機器(データ送信器)の利用者のことを指すものとする。ただし、これは一例であって、センサがGW機器に付随せず、センサの所有者とGW機器の所有者とが異なる者であってもよい。
【0019】
また、以下では、一例として、センサが設置される施設は農業用ハウスであるものとする。ただし、これは一例であって、センサが設置される施設は農業用ハウスに限られるものではない。センサが設置される施設は、例えば、農作物を育成又は栽培するための建物や設備等であってもよい。また、例えば、圃場等といった屋外にセンサが設置されてもよい。
【0020】
<環境情報提供システム1の全体構成例>
本実施形態に係る環境情報提供システム1の全体構成例を
図1に示す。
図1に示すように、本実施形態に係る環境情報提供システム1には、環境情報提供装置10と、センサ20と、GW機器30と、GW所有者端末40と、GW利用者端末50とが含まれる。また、環境情報提供装置10とGW機器30は、例えば、インターネット等を含む通信ネットワーク60を介して通信可能に接続される。同様に、環境情報提供装置10とGW所有者端末40は、通信ネットワーク60を介して通信可能に接続される。同様に、環境情報提供装置10とGW利用者端末50は、通信ネットワーク60を介して通信可能に接続される。
【0021】
環境情報提供装置10は、汎用サーバ等といったコンピュータ又はコンピュータシステムである。環境情報提供装置10は、GW機器30の所有者等が含まれるGW情報を表すデータ(以下、「GW情報データ」ともいう。)と、GW機器30の利用者及び利用期間等が含まれるGW利用者情報を表すデータ(以下、「GW利用者情報データ」ともいう。)とを管理する。また、環境情報提供装置10は、GW機器30を介して、農業用ハウス内に設置されたセンサ20からセンサデータを収集し、これらのセンサデータから農業用ハウス内の環境情報データを作成する。更に、環境情報提供装置10は、農業用ハウス内の環境情報データの共有を行う際にその一部の情報を匿名化したり、地理的に離れた場所にある複数の農業用ハウスの環境情報を3次元の地図上で容易に比較可能な態様で可視化するUI(ユーザインタフェース)を提供したりする。
【0022】
なお、環境情報とは、農業用ハウス内の環境に関する情報のことであり、例えば、農業用ハウス内の温度、飽差、湿度、土壌中の水分量、日射量、CO2濃度等が挙げられる。以下では、農業用ハウス内の環境情報のことを「ハウス内情報」ともいう。
【0023】
センサ20は、農業用ハウス内に設置され、環境情報を得るための情報又は環境情報そのものをセンシングするセンサ機器である。センサ20は、GW機器30を介して、センシングにより得られたセンサデータを環境情報提供装置10に送信する。このとき、センサ20は任意の無線規格又は無線通信方式によりセンサデータをGW機器30に送信すればよいが、無線規格又は無線通信方式として、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)等を用いることが可能である。センサ20とGW機器30との間の無線通信としてLPWAを用いることで、センサ20の電源やネットワーク配線が不要で、かつ、通信費も不要であるため、農業用ハウス内に容易にセンサ20を設置することが可能となる。ただし、センサ20は、センシングにより得られたセンサデータを環境情報提供装置10に直接送信できてもよい。
【0024】
なお、センサ20としては、例えば、温度センサ、湿度センサ、土壌水分センサ、日照センサ、CO2濃度センサ、又はこれらの各センサのうちの2以上のセンサで構成されるセンサ等を用いることができる。
【0025】
GW機器30は、センサ20からセンサデータを収集し、環境情報提供装置10に送信する。なお、GW機器30は、上記の非特許文献1に記載されている「データ送信器」に相当する。
【0026】
ここで、農業用ハウス内には、GW機器30と、このGW機器30にセンサデータを送信する複数のセンサ20とが設置される。農業用ハウス内に設置されるセンサ20の個数及び設置位置は、当該農業用ハウスの規模や形状等によって異なるが、例えば、農業用ハウス内の空間に所定の間隔で均一に設置することが考えられる。
【0027】
図1に示す例では、農場Aには「農業用ハウス(1号棟)」と「農業用ハウス(2号棟)」と「農業用ハウス(3号棟)」とが存在し、これらの農業用ハウスの各々に複数のセンサ20が設置されている。また、農場Aには、農業用ハウス(1号棟)~農業用ハウス(3号棟)の各々に設置された複数のセンサ20からセンサデータを収集するGW機器30が設置されている。
【0028】
同様に、
図1に示す例では、農場Bには「農業用ハウス」が存在し、この農業用ハウスに複数のセンサ20が設置されている。また、農場Bには、農業用ハウスに設置された複数のセンサ20からセンサデータを収集するGW機器30が設置されている。
【0029】
以下、ハードウェア(センサ20及びGW機器30)の所有者とそのハードウェアの利用者は異なる者であることを想定し、ハードウェアの所有者を「GW所有者」、ハードウェアの利用者を「GW利用者」とも呼ぶことにする。例えば、
図1に示す例では、農場Aに設置されているセンサ20及びGW機器30の所有者と利用者は異なるものとする。同様に、
図1に示す例では、農場Bに設置されているセンサ20及びGW機器30の所有者と利用者は異なるものとする。
【0030】
GW所有者端末40は、GW所有者が利用する各種端末である。GW所有者は、GW所有者端末40を利用して、自身が所有するGW機器30のGW情報を環境情報提供装置10に登録したり、そのGW機器30の利用者に関するGW利用者情報を環境情報提供装置10に登録したりすることができる。なお、GW所有者端末40としては、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス等を用いることができる。
【0031】
GW利用者端末50は、GW利用者が利用する各種端末である。GW利用者は、GW利用者端末50を利用して、自身が利用するGW機器30で収集されたセンサデータから作成された環境情報データが表す環境情報(つまり、自身の農業用ハウスのハウス内情報)を確認することができる。また、GW利用者は、GW利用者端末50を利用して、自身の農業用ハウスに関する環境情報データを他者と共有したり、他者の農業用ハウスに関する環境情報データを確認したりすることができる。これにより、GW利用者は、例えば、自身の農業用ハウスで育成又は栽培されている農作物にとって最適な環境制御(例えば、冷暖房による温度調整等)を行うことができるようになる。
【0032】
なお、
図1に示す環境情報提供システム1の全体構成は一例であって、これに限られるものではなく、他の構成であってもよい。例えば、或る農場の各農業用ハウス内に設置されている各センサ20がセンサデータを環境情報提供装置10に直接送信することが可能である場合には、その農業にはGW機器30が設置されなくてもよい。また、
図1に示す例では、各農場にはそれぞれ1台のGW機器30が設置されているが、例えば、農場が広大である場合等には2台以上のGW機器30が設置され得る。
【0033】
<環境情報提供装置10の機能構成例>
本実施形態に係る環境情報提供装置10の機能構成例を
図2に示す。
図2に示すように、本実施形態に係る環境情報提供装置10は、GW情報登録部101と、GW利用者情報登録部102と、利用期間判定部103と、通知部104と、センサデータ収集部105と、ハウス内情報作成部106と、ハウス内情報提供部107とを有する。これら各部は、例えば、環境情報提供装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサに実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る環境情報提供装置10は、GW情報記憶部108と、GW利用者情報記憶部109と、ハウス内情報記憶部110と、ハウス管理情報記憶部111とを有する。これら各記憶部は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置を用いて実現可能である。ただし、上記の各記憶部のうちの少なくとも1つの記憶部が、例えば、環境情報提供装置10と通信ネットワークを介して接続されるデータベースサーバ等といった記憶装置により実現されていてもよい。
【0034】
GW情報登録部101は、GW情報を環境情報提供装置10に登録するための各種処理を実行する。すなわち、GW情報登録部101は、GW情報データを作成してGW情報記憶部108に格納する。GW情報データとは、GWIDとGW所有者IDとが少なくとも対応付けられたデータのことであり、例えば、(GWID,GW所有者ID)等といった形式で表される。ここで、GWIDには、環境情報提供システム1内でGW機器30を識別する情報が設定される。GWIDとしては、例えば、環境情報提供システム1内で生成されたユニークな名称、GW機器30の製造固有番号、IP(Internet Protocol)アドレス、MAC(Media Access Control)アドレス等を用いることができる。また、GW所有者IDには、環境情報提供システム1内でGW所有者を識別する情報(ユーザID)が設定される。GW所有者IDとしては、例えば、環境情報提供システム1内で生成されたユニークな名称、GW所有者のメールアドレス、電話番号等を用いることができる。
【0035】
なお、GW情報データには、GWID及びGW所有者ID以外にも、様々な情報が対応付けられていてもよい。例えば、GW機器30の属性情報(例えば、機種名等)が対応付けられていてもよい。
【0036】
GW利用者情報登録部102は、GW利用者情報を環境情報提供装置10に登録するための各種処理を実行する。すなわち、GW利用者情報登録部102は、GW利用者情報データを作成してGW利用者情報記憶部109に格納する。GW利用者情報データとは、GWIDとGW利用者IDと利用期間とが少なくとも対応付けられたデータのことであり、例えば、(GWID,GW利用者ID,利用期間)等といった形式で表される。ここで、GWIDには、環境情報提供システム1内でGW機器30を識別する情報が設定される。GW利用者IDには、環境情報提供システム1内でGW利用者を識別する情報(ユーザID)が設定される。GW利用者IDとしては、例えば、環境情報提供システム1内で生成されたユニークな名称、GW利用者のメールアドレス、電話番号等を用いることができる。また、利用期間には、GWIDで示されるGW機器30をGW利用者が利用可能な期間として開始日時及び終了日時が設定される。ただし、利用期間を無期限とする場合には終了日時が設定されなくてもよい。
【0037】
なお、GW利用者情報データには、GWID、GW利用者ID及び利用期間以外にも、様々な情報が対応付けられていてもよい。例えば、当該GW機器30に対するGW利用者の操作権限が対応付けられていてもよいし、当該GW機器30を介して収集されたセンサデータ又はそれらのセンサデータから作成された環境情報データに対するGW利用者又はGW利用者以外の特定の者の参照権限や操作権限等が対応付けられていてもよい。
【0038】
利用期間判定部103は、利用期間の満了まで一定期間以内となったGW利用者情報データがGW利用者情報記憶部109に存在するか否かを判定する。
【0039】
通知部104は、利用期間の満了まで一定期間以内となったGW利用者情報データがGW利用者情報記憶部109に存在すると判定された場合、そのGW利用者情報データに含まれるGWIDで識別されるGW機器30の所有者と利用者に対してその旨を通知する。
【0040】
センサデータ収集部105は、GW機器30からセンサデータを収集すると共に、それらのセンサデータに対して当該GW機器30を利用しているGW利用者のGW利用者IDを付与する。言い換えれば、センサデータ収集部105は、GW機器30を介して、各センサ20からセンサデータを収集すると共に、それらのセンサデータに対して当該GW機器30のGW利用者IDを付与する。ただし、GW機器30で予め設定されたGW利用者IDをセンサデータに付与し、GW利用者IDが付与されたセンサデータをセンサデータ収集部105が収集してもよい。センサデータとは、ハウスIDと日時とセンサIDとセンサ値とが少なくとも対応付けられたデータのことであり、例えば、(ハウスID,日時,センサID,センサ値)等といった形式で表される。ここで、ハウスIDには、農業用ハウスを識別する情報が設定される。ハウスIDとしては、例えば、環境情報提供システム1内でユニークな名称等を用いることができる。日時には、センサ20がセンシングを行った年月日及び時刻が設定される。センサIDには、環境情報提供システム1内でセンサ20を識別する情報が設定される。センサIDとしては、例えば、環境情報提供システム1内で生成されたユニークな名称、センサ20の製造固有番号等を用いることができる。センサ値には、センサ20でセンシングされた所定の物理量の値が設定される。
【0041】
なお、1つのセンサ20で複数の環境情報がセンシングされる場合、センサデータには複数のセンサ値が含まれる。例えば、1つのセンサ20で温度と湿度がセンシングされる場合には、当該センサ20のセンサデータにはセンサ値として温度の値と湿度の値が含まれる。
【0042】
また、ハウスIDが含まれるセンサデータをセンサ20がGW機器30に送信してもよいし、センサ20が送信するセンサデータにはハウスIDが設定されておらず、GW機器30でセンサデータに対してハウスIDが設定されてもよい。又は、GW機器30が環境情報提供装置10に送信するセンサデータにはハウスIDが設定されておらず、環境情報提供装置10でセンサデータに対してハウスIDが設定されてもよい。以下では、簡単のため、センサデータにはハウスIDが含まれているものとして説明する。
【0043】
ハウス内情報作成部106は、センサデータ収集部105によって収集されたセンサデータからハウス内情報を表すデータ(以下、「ハウス内情報データ」ともいう。)を作成してハウス内情報記憶部110に格納する。ハウス内情報データとは、日時とハウスIDとセンサIDと環境情報値とが少なくとも対応付けられたデータのことであり、例えば、(日時,ハウスID,センサID,環境情報値)等といった形式で表される。ここで、日時には、センサデータに含まれる日時又はハウス内情報データの作成日時が設定される。ハウスIDには、センサデータに含まれるハウスIDが設定される。センサIDには、センサデータに含まれるセンサIDが設定される。環境情報値には、センサデータに含まれるセンサ値又はこのセンサ値から算出された算出値によって表される環境情報の値が設定される。このとき、ハウス内情報データには、1つの環境情報値のみが含まれていてもよいし、複数の環境情報値が含まれていてもよい。
【0044】
なお、センサ値によって表される環境情報としては、例えば、温度、湿度等が挙げられる。一方で、センサ値から算出された算出値によって表される環境情報としては、例えば、飽差等が挙げられる。飽差は、一般に、温度と湿度から算出されるためである。ただし、センサ20が飽差をセンシング可能な場合には、飽差はセンサ値となる。
【0045】
また、センサ値から算出された算出値によって表される環境情報は、例えば、或る時間幅のセンサデータに含まれる環境情報値の集計値又は統計値(例えば、平均値、最大値、最小値等)であってもよい。
【0046】
また、例えば、同一の農業用ハウス内でセンサ20がグループ化されている場合、ハウス内情報データには、当該センサ20が属するグループを識別する情報を示すグループIDが含まれていてもよい。例えば、同一の農業用ハウス内に複数種類の農作物が栽培されている場合、同一種類の農作物が栽培されているエリア又は空間毎に、このエリア又は空間に設置されているセンサ20をグループ化することが考えられる。これにより、同一種類の農作物毎に、この種類の農作物が栽培されているエリア又は空間の環境情報をセンシングするセンサ20をグループ化することが可能となる。
【0047】
これ以外にも、例えば、同一の農業用ハウス内に複数の生育状況の農作物が栽培されている場合、同一生育状況の農作物が栽培されているエリア又は空間毎に、このエリア又は空間に設置されているセンサ20をグループ化することも考えられる。又は、単に、或る所定のエリア又は空間毎に、このエリア又は空間に設置されているセンサ20をグループ化してもよい。
【0048】
なお、センサデータにハウスIDが含まれていない場合、ハウス内情報作成部106は、後述するハウス管理情報データを参照して、当該センサデータに含まれるセンサIDからハウスIDを特定した上で、ハウス内情報データを作成すればよい。
【0049】
ハウス内情報提供部107は、ハウス内情報の提供要求に応じて、ハウス内情報記憶部110に格納されているハウス内情報データを提供する。このとき、ハウス内情報提供部107は、例えば、当該ハウス内情報データが表すハウス内環境情報をユーザが容易に把握可能な態様のUIも提供する。また、ハウス内情報提供部107は、ハウス内情報データ(つまり、農業用ハウス内の環境情報データ)の共有を行う際にその一部の情報を匿名化した上で提供する。更に、ハウス内情報提供部107は、地理的に離れた場所にある複数の農業用ハウスの環境情報を表すハウス内情報データを提供する際に3次元の地図上で容易に比較可能な態様で可視化するUIも提供する。
【0050】
GW情報記憶部108は、GW情報登録部101によって作成されたGW情報データを記憶する。
【0051】
GW利用者情報記憶部109は、GW利用者情報登録部102によって作成されたGW利用者情報データを記憶する。
【0052】
ハウス内情報記憶部110は、ハウス内情報作成部106によって作成されたハウス内情報データを記憶する。
【0053】
ハウス管理情報記憶部111は、ハウス管理情報データを記憶する。ハウス管理情報データとは、ユーザIDとハウスIDと場所とが少なくとも対応付けられたデータのことであり、例えば、(GW利用者ID,ハウスID,場所)等といった形式で表される。ここで、GW利用者IDには、環境情報提供システム1内で農業用ハウスを所有、管理又は利用するユーザを識別する情報が設定される。ハウスIDには、環境情報提供システム1内で農業用ハウスを識別する情報が設定される。ハウスIDとしては、例えば、環境情報提供システム1内でユニークな名称等を用いることができる。場所には、ハウスIDで示される農業用ハウスの場所を表す情報が設定される。場所としては、例えば、農業用ハウスの緯度・経度・高度等を用いることができる。
【0054】
なお、ハウス管理情報データには、GW利用者ID、ハウスID及び場所以外にも、様々な情報が対応付けられていてもよい。例えば、農業用ハウスに設定されているセンサ20のセンサIDが対応付けられていてもよい。この他にも、例えば、農業用ハウスに関する何等かの属性情報(例えば、農業用ハウスの形状や広さ、栽培している農作物の名称等)が対応付けられていてもよい。
【0055】
<GW情報とGW利用者情報を登録する処理>
以下、GW情報とGW利用者情報を登録する処理について、
図3を参照しながら説明する。
【0056】
ステップS101:GW情報登録部101は、GW所有者端末40から送信されたGW情報登録要求に応じて、GW情報データを作成してGW情報記憶部108に格納する。ここで、GW情報登録要求には、GW情報の作成に必要な情報(例えば、GWID、GW所有者ID等)が含まれる。これにより、GW機器30とその所有者等を表すGW情報が環境情報提供装置10に登録される。
【0057】
ただし、GW情報登録要求はGW機器30から送信されてもよい。この場合、GW情報登録要求にはGW利用者IDが含まれていないため、GW情報登録部101によってGW利用者IDが設定されていないGW情報データが作成され、その後、GW所有者端末40によりGW利用者IDが設定される。
【0058】
なお、GW情報データには、例えば、このGW情報データに含まれるGWIDのGW機器30を介して収集したセンサデータから作成されたハウス内情報データを参照可能なユーザのユーザIDが設定されてもよい。例えば、このGW機器30を利用するGW利用者に対して、農作物の育成や農業用ハウスの運営等に関する何等かの助言等を行う者(以下、このような者を「営農指導者」ともいう。)のユーザIDが設定されてもよい。
【0059】
また、GW情報登録要求以外にも、GW所有者端末40は、GW情報記憶部108に記憶されているGW情報データのGW所有者IDを変更するためのGW情報移転要求を送信することができてもよい。更に、GW所有者端末40は、GW情報記憶部108に記憶されているGW情報データを削除するためのGW情報削除要求を送信することができてもよい。
【0060】
上記のステップS101は次のステップS102を実行する際に必須ではない。例えば、GW情報記憶部108にGW情報データが既に記憶されており、このGW情報データに含まれるGWIDのGW機器30に対してGW利用者情報を登録する場合には、上記のステップS101は実行される必要はない。
【0061】
ステップS102:GW利用者情報登録部102は、GW所有者端末40から送信されたGW利用者情報登録要求に応じて、GW利用者情報データを作成してGW利用者情報記憶部109に格納する。ここで、GW利用者情報登録要求には、GW利用者情報の作成に必要な情報(例えば、GWID、GW利用者ID、利用期間等)が含まれる。これにより、GW機器30の利用者とその利用期間等を表すGW利用者情報が環境情報提供装置10に登録される。
【0062】
なお、上記のステップS102では、GWIDとGW利用者IDと利用期間とがGW利用者情報登録に含まれるものとしたが、例えば、利用期間は含まれておらず、GW利用者端末50で利用期間が設定されてもよい。
【0063】
また、例えば、GW所有者端末40ではGW利用者情報の仮登録を行ってもよい。この場合、GW利用者端末50に対して仮登録が行われたことを所定の手段(例えば、アプリケーション、Web、メール、SMS(Short Message Service)等)により通知し、GW利用者が当該仮登録を承認等することでGW利用者情報の本登録が行われてもよい。
【0064】
また、GW利用者情報データには、例えば、このGW利用者情報データに含まれる利用期間の間に当該GW利用者情報データに含まれるGWIDのGW機器30を介して収集したセンサデータから作成されたハウス内情報データを参照可能なユーザのユーザID(営農指導者等といったハウス内情報データを共有するユーザのユーザID)が設定されてもよい。ハウス内情報データを共有するユーザのユーザIDは、GW利用者情報の登録時にGW所有者によって設定されてもよいし、GW利用者情報の登録後にGW利用者又はGW所有者によって設定されてもよい。
【0065】
上記のGW利用者情報が環境情報提供装置10に登録されることで、例えば、以下の(a)~(c)が実現される。
【0066】
(a)当該GW利用者情報に含まれるGW利用者IDのユーザ(GW利用者)は、当該GW利用者情報に含まれる利用期間の間、当該GW利用者情報に含まれるGWIDのGW機器30を利用することが可能となる。例えば、当該GW利用者は、当該GW機器30に対して各種操作(例えば、利用開始操作等)を行うことができるようになる。
【0067】
(b)当該GW利用者は、当該GW機器30を介して収集したセンサデータから作成されたハウス内情報データの所有者となる。このため、当該GW利用者は、これらのハウス内情報データの参照権限や編集権限等といったデータ所有者が持つ一般的な権限を有することになる。
【0068】
(c)当該GW利用者と、当該GW機器30のGW所有者との間で、当該GW機器30の利用に関する契約が成立する。この契約は有償であるか無償であるかを問わないが、有償である場合は当該契約で定められた費用が発生する。また、この費用は、例えば、利用期間中のデータ送信量やハウス内情報データの保存容量等に応じて決定されてもよい。
【0069】
なお、上記の(a)に関して、GW利用者の利用期間の間は、GW機器30をGW所有者が操作できないように設定されてもよい。また、上記の(c)に関して、例えば、費用の支払いのない場合やGW利用者が利用規約に違反した場合等には、GW所有者がGW機器30の電源オフやセンサデータの収集停止等といった操作をすることができるように設定されてもよいし、GW利用者がハウス内情報データの参照をできないように設定されてもよい。ただし、既に満了した利用期間中に作成されたハウス内情報データに関しては、費用の支払いがなかった場合であっても、参照不可設定の対象外としてもよい。
【0070】
<利用期間満了まで一定期間となった場合の処理>
以下、利用期間満了まで一定期間となった場合の処理について、
図4を参照しながら説明する。なお、以下のステップS201の処理は、例えば、予め決められた所定の時間毎(例えば、1日毎等)に繰り返し実行される。
【0071】
ステップS201:利用期間判定部103は、利用期間の満了まで一定期間以内となったGW利用者情報データがGW利用者情報記憶部109に存在するか否かを判定する。
【0072】
上記のステップS201で利用期間の満了まで一定期間以内となったGW利用者情報データがGW利用者情報記憶部109に存在すると判定されなかった場合(ステップS201でNO)、処理を終了する。これにより、所定の時間経過後に再度ステップS201の処理が実行される。一方で、上記のステップS201で利用期間の満了まで一定期間以内となったGW利用者情報データがGW利用者情報記憶部109に存在すると判定された場合(ステップS201でYES)、ステップS202に進む。
【0073】
ステップS202:通知部104は、利用期間の満了まで一定期間以内となったことを所定の手段(例えば、アプリケーション、Web、メール、SMS等)により通知対象のGW所有者及びGW利用者に通知する。ここで、通知対象のGW利用者とは、利用期間の満了まで一定期間以内となったGW利用者情報データに含まれるGW利用者IDのユーザのことである。また、通知対象のGW所有者とは、利用期間の満了まで一定期間以内となったGW利用者情報データに含まれるGWIDのGW機器30の所有者のことである。なお、通知部104は、GW所有者とGW利用者の両方に通知するのではなく、GW所有者又はGW利用者のいずれか一方にのみ通知をしてもよい。以下では、簡単のため、GW利用者にのみ上記の通知が行われたものとする。
【0074】
なお、上記の通知の際に、GW利用者には、利用期間を延長するための料金や条件等といった契約条件が提示されてもよい。また、このとき、料金や条件に関しては、同期間に利用可能な他のGW機器30の料金や条件等が提示されてもよい。更に、料金に関しては、他のGW機器30の料金や条件等から既知のダイナミックプライシング技術を利用して決定した料金が提示されてもよい。
【0075】
ここで、上記の通知を受けたGW利用者は、GW利用者端末50により、利用期間の延長要求を行うことができる。また、この際に、GW利用者は、自身が希望する料金や条件等を入力できてもよい。利用期間の延長要求には、例えば、利用期間を延長するGW機器30のGWIDと、当該GW利用者のGW利用者IDとが含まれる。なお、利用期間の延長要求には、延長後の利用期間の終了日時が含まれていてもよいし、更に延長後の利用期間の開始日時が含まれていてもよい。また、このとき、延長後の利用期間の終了日時として、例えば、現在の利用期間の終了日時から所定の期間経過後の日時が自動的に設定されてもよい。同様に、延長後の利用期間の開始日時として、例えば、延長前の利用期間の終了日時の直後の日時(例えば、利用期間が日単位であれば、延長前の利用期間の終了日時の翌日の日時)が自動的に設定されてもよい。以下では、簡単のため、利用期間の延長要求には、GWIDと、GW利用者IDと、延長後の利用期間の開始日時及び終了日時とが含まれるものとする。
【0076】
ステップS203:GW利用者情報登録部102は、利用期間満了までにGW利用者端末50から利用期間の延長要求を受信したか否かを判定する。
【0077】
上記のステップS203で利用期間満了までにGW利用者端末50から利用期間の延長要求を受信したと判定された場合(ステップS203でYES)、ステップS204に進む。一方で、上記のステップS203で利用期間満了までにGW利用者端末50から利用期間の延長要求を受信したと判定されなかった場合(ステップS203でNO)、ステップS207に進む。
【0078】
ステップS204:通知部104は、利用期間の延長要求が行われたことを所定の手段(例えば、アプリケーション、Web、メール、SMS等)により通知対象のGW所有者に通知する。ここで、通知対象のGW所有者とは、利用期間の延長要求が行われたGW利用者情報データに含まれるGWIDのGW機器30の所有者のことである。
【0079】
ここで、上記の通知を受けたGW所有者は、GW所有者端末40により、利用期間の延長要求に対する承認を行うことができる。ただし、利用期間の延長要求に対する承認は必須ではなく、例えば、事前の取り決め等によっては利用期間の延長要求に対する承認を不要としてもよい。また、例えば、GW所有者は、GW利用者によって入力された料金や条件等を参照し、承認するか否かを決定してもよい。以下では、GW所有者によって利用期間の延長要求に対する承認が行われ、当該承認を示す情報がGW所有者端末40から環境情報提供装置10に送信されたものとする。
【0080】
ステップS205:GW利用者情報登録部102は、利用期間の延長要求に対する承認を受信したか否かを判定する。
【0081】
上記のステップS205で利用期間の延長要求に対する承認を受信したと判定されなかった場合(ステップS205でNO)、例えば、再度ステップS205を実行する。これにより、当該承認を受信するまで待ち状態となる。ただし、例えば、所定の期間が経過するまでに当該承認を受信しなかった場合、GW所有者に対して上記のステップS204の通知を再度行ったり、利用期間の延長要求を却下したりしてもよい。一方で、上記のステップS205で利用期間の延長要求に対する承認を受信したと判定された場合(ステップS205でYES)、ステップS206に進む。
【0082】
ステップS206:GW利用者情報登録部102は、利用期間の延長要求に基づいて、GW利用者情報記憶部109に記憶されているGW利用者情報データを更新する。例えば、GW利用者情報登録部102は、GW利用者情報記憶部109に記憶されているGW利用者情報データのうち、利用期間の延長要求に含まれるGWID及びGW利用者IDが設定されているGW利用者情報データの利用期間を、当該延長要求に含まれる開始日時及び終了日時で更新する。また、このとき、GW利用者情報登録部102は、更新前のGW利用者情報データを履歴として、GW利用者情報記憶部109とは異なる記憶部等に保存する。これにより、GW利用者情報データの利用期間が更新されると共に、更新前のGW利用者情報データは履歴として保存される。
【0083】
なお、上記のステップS206ではGW利用者情報データの利用期間を更新したが、これに限られず、例えば、利用期間の延長要求に含まれるGWID、GW利用者ID及び開始日時及び終了日時を用いて、新たなGW利用者情報データが作成されてもよい。
【0084】
ステップS207:通知部104は、利用期間が満了したことを所定の手段(例えば、アプリケーション、Web、メール、SMS等)により通知対象のGW所有者及びGW利用者に通知する。ここで、通知対象のGW利用者とは、利用期間が満了したGW利用者情報データに含まれるGW利用者IDのユーザのことである。また、通知対象のGW所有者とは、利用期間が満了したGW利用者情報データに含まれるGWIDのGW機器30の所有者のことである。なお、通知部104は、GW所有者とGW利用者の両方に通知するのではなく、GW所有者又はGW利用者のいずれか一方にのみ通知をしてもよい。
【0085】
なお、利用期間が満了した場合であっても、利用期間中にGW利用者が利用していたGW機器30で収集されたセンサデータから作成したハウス内情報データの所有権は当該GW利用者に留保される。すなわち、GW利用者は、利用期間が満了した場合であっても、これらのハウス内情報データに対する参照や操作等を行うことができる。
【0086】
<ハウス内情報を作成する処理>
以下、ハウス内情報を作成する処理について、
図5を参照しながら説明する。
【0087】
ステップS301:センサデータ収集部105は、GW機器30からセンサデータを収集する。なお、GW機器30は、センサ20からセンサデータを受信する度に、このセンサデータを環境情報提供装置10に送信してもよいし、センサ20から受信したセンサデータを或る程度の時間蓄積又は或る程度の容量蓄積した上で、当該時間が経過した場合や当該容量を超えた場合に蓄積したセンサデータを環境情報提供装置10に送信してもよい。又は、センサデータ収集部105は、所定の時間が経過する毎に、GW機器30に蓄積されているセンサデータを取得(収集)してもよい。
【0088】
ステップS302:センサデータ収集部105は、上記のステップS301で収集したセンサデータに対して、これらのセンサデータを収集したGW機器30のGW利用者IDを付与する。すなわち、センサデータ収集部105は、上記のステップS301で収集したセンサデータの収集元のGW機器30を示すGWIDが含まれ、かつ、利用期間内のGW利用者情報データをGW利用者情報記憶部109から特定し、特定したGW利用者情報データに含まれるGW利用者IDを当該センサデータに対して付与する。
【0089】
なお、このとき、センサデータ収集部105は、GW利用者以外のユーザのユーザIDとそのユーザの権限(参照権限や操作権限等)とを当該センサデータに対して付与してもよい。例えば、当該GWIDが設定されているGW情報データに営農指導者等のユーザIDとその権限とが含まれる場合、それらのユーザIDと権限とが当該センサデータに対して付与されてもよい。同様に、当該GWIDが含まれ、かつ、利用期間内のGW利用者情報データに営農指導者等のユーザIDとその権限とが含まれる場合、それらのユーザIDと権限とが当該センサデータに対して付与されてもよい。
【0090】
ステップS303:ハウス内情報作成部106は、上記のステップS302でGW利用者IDが付与されたセンサデータからハウス内情報データを作成してハウス内情報記憶部110に格納する。これにより、GW利用者IDが付与されたハウス内情報データがハウス内情報記憶部110に格納される。
【0091】
なお、上記のステップS302でGW利用者以外のユーザのユーザIDとそのユーザの権限とがセンサデータに対して付与された場合、ハウス内情報データにはこれらのユーザIDと権限も付与される。これにより、GW利用者以外の者のハウス内情報データの参照や操作等といったアクセス制御が実現される。
【0092】
以下では、ハウス内情報データに付加されているGW利用者IDやユーザID及び権限等を「付加情報」ともいう。また、付加情報に含まれるGW利用者IDを「データ所有者ID」と呼ぶことにする。また、付加情報に含まれるユーザIDのうち、GW利用者ID(データ所有者ID)以外のユーザIDを「非所有者ID」と呼ぶことにする。これにより、付加情報は、例えば、(データ所有者ID,{(非所有者ID,権限)})等といった形式で表される。ここで、{(非所有者ID,権限)}は非所有者IDと権限の組の集合を表す。なお、ハウス内情報記憶部110に記憶されている各ハウス内情報データの各々に対して付加情報が付加されていてもよいし、各ハウス内情報データで構成されるテーブル形式のデータに対して付加情報が付加されてもよい。
【0093】
<ハウス内情報を提供する処理>
以下、ハウス内情報を提供する処理について、
図6を参照しながら説明する。以下では、ハウス内情報の提供要求が環境情報提供装置10に送信されたものとする。このハウス内情報の提供要求は、GW利用者端末50から送信されたものであってもよいし、営農指導者が利用する端末から送信されたものであってもよい。ここで、ハウス内情報の提供要求には、ハウス内情報データの提供を要求するユーザ(GW利用者や営農指導者等)のユーザID(以下、「提供要求ユーザID」ともいう。)と、提供対象のハウス内情報データを指定する情報(以下、「提供対象指定情報」ともいう。)とが含まれる。提供対象指定情報としては、例えば、ハウスID、ユーザID、地理的範囲(例えば、緯度、経度及び高度の範囲)等が挙げられるが、これらに限られず、ハウスIDと期間の組、ユーザIDと期間の組、地理的範囲と期間の組、ハウスID又はユーザIDと地理的範囲の組等であってもよい。また、ハウス内情報の提供要求には、2つ以上の提供対象指定情報が含まれていてもよい。更に、ハウス内情報の提供要求には、例えば、提供対象のハウス内情報データの出力先を示す情報(以下、「出力先指定情報」ともいう。)が含まれていてもよいし、提供対象の環境情報の種類を示す情報が含まれていてもよい。
【0094】
ステップS401:ハウス内情報提供部107は、ハウス内情報の提供要求を受信する。
【0095】
ステップS402:ハウス内情報提供部107は、ハウス内情報の提供要求に含まれる提供対象指定情報に基づいて、ハウス内情報記憶部110から提供対象のハウス内情報データを特定する。
【0096】
例えば、提供対象指定情報が「ハウスID」である場合、ハウス内情報提供部107は、当該ハウスIDが設定されているハウス内情報データを提供対象として特定する。また、例えば、提供対象指定情報が「ユーザID」である場合、ハウス内情報提供部107は、ハウス管理情報データを参照して当該ユーザIDからハウスIDを特定した上で、このハウスIDが設定されているハウス内情報データを提供対象として特定する。また、例えば、提供対象指定情報が「地理的範囲」である場合、ハウス内情報提供部107は、ハウス管理情報データを参照して当該地理的範囲にある農業用ハウスのハウスIDを特定した上で、このハウスIDが設定されているハウス内情報データを提供対象として特定する。
【0097】
ステップS403:ハウス内情報提供部107は、上記のステップS402で特定されたハウス内情報データの中に匿名化が必要なハウス内情報データが存在するか否かを判定する。例えば、ハウス内情報提供部107は、上記のステップS402で特定されたハウス内情報データ(以下、「提供対象ハウス内情報データ」ともいう。)のうち、予め決められた所定の条件を満たす提供対象ハウス内情報データを匿名化が必要であると判定する。
【0098】
ここで、上記の条件としては、例えば、以下の加工ユーザ条件、対象データ条件、出力条件のうちの1つ以上の条件を用いることができる。
【0099】
・加工ユーザ条件
ハウス内情報の提供要求に含まれる提供要求ユーザIDが、提供対象ハウス内情報データの付加情報に含まれるデータ所有者IDに該当しない場合。これは、自身が所有者でないハウス内情報データ(つまり、他者のハウス内情報データ)を参照等する場合に該当する。
【0100】
・対象データ条件
ハウス内情報の提供要求に含まれる提供要求ユーザIDが、提供対象ハウス内情報データの付加情報に含まれる非所有者IDに該当し、かつ、その非所有者IDに操作権限(又は、参照権限でもよい。)がない場合。これは、自身が所有者でなく、かつ、必要な権限を有しないハウス内情報データを参照等する場合に該当する。
【0101】
・出力条件
ハウス内情報の提供要求に出力先指定情報が含まれており、当該出力先指定情報で指定された出力先がシステム外(例えば、システム外の印刷機、ストレージ、機器等)である場合。これは、ハウス内情報データを外部に出力する場合に該当する。なお、これ以外にも、出力条件には、例えば、「提供対象ハウス内情報データに含まれる環境情報値をグラフとして可視化した際の解像度が所定の閾値以上である場合」、「出力先への出力形態が或る所定の形態(例えば、クラウドストレージに暗号化せずに出力する等)である場合」等が含まれていてもよい。
【0102】
・共有条件
提供対象ハウス内情報データの共有相手となるユーザIDが、当該提供対象ハウス内情報データに含まれる非所有者IDに該当し、かつ、その非所有者IDに操作権限(又は、参照権限でもよい。)がない場合。これは、提供対象ハウス内情報データの共有相手が所有者でなく、かつ、必要な権限を有していない場合等に該当する。これにより、例えば、主にシステム上やシステム外への出力時に、自身が所有する提供対象ハウス内情報データであっても、共有相手の権限等によって匿名化することが可能となる。なお、共有相手のユーザIDは、例えば、ハウス内情報の提供要求に含めることができる。
【0103】
上記のステップS403で提供対象ハウス内情報データの中に匿名化が必要な提供対象ハウス内情報データが存在すると判定された場合(ステップS403でYES)、ステップS404に進む。一方で、上記のステップS403で提供対象ハウス内情報データの中に匿名化が必要な提供対象ハウス内情報データが存在すると判定されなかった場合(ステップS403でNO)、ステップS404を実行せずに、ステップS405に進む。
【0104】
ステップS404:ハウス内情報提供部107は、匿名化が必要な提供対象ハウス内情報データが表すハウス内情報を可視化するUI上に表示される情報のうち、特定の情報を匿名化する。ここで、特定の情報としては、例えば、当該UI上に表示されるユーザID、ユーザIDが特定されるユーザ名、匿名化が必要な提供対象ハウス内情報データに含まれる環境情報値、これらの環境情報値をグラフとして可視化した際のグラフの軸上の目盛り値等が挙げられる。また、匿名化(加工)の方法としては、例えば、特定の情報を表す文字列をアスタリスク「*」等の特定の文字に置換したり、削除したりすること等が挙げられる。これ以外にも、例えば、当該UI上に表示されるグラフを特定の倍率に限定する等としてもよい。
【0105】
ステップS405:ハウス内情報提供部107は、提供対象ハウス内情報データが表すハウス内情報を可視化するUIを、ハウス内情報の提供要求の要求元に提供する。なお、このとき、上記のステップS404の匿名化が実行された場合は、特定の情報が匿名化されたUIが提供される。これにより、ハウス内情報の提供要求の要求元(例えば、GW利用者端末50や営農指導者が利用する端末等)では当該UIが表示される。
【0106】
なお、上記のステップS404の匿名化が実行された場合は特定の情報が匿名化されたUIが提供されるが、この匿名化は、例えば、このUIが表示された端末のユーザが課金を行ったり、このユーザの申請に対してGW利用者が承認を行ったりすること等によって解除されてもよい。
【0107】
<各農業用ハウスの環境情報値を容易に比較可能にする態様>
以下、上記のステップS405で複数の農業用ハウスのセンサ20群の環境情報値を3次元地図上に可視化するUIを提供する際に、各農業用ハウスの環境情報値を容易に比較可能にする態様について説明する。
【0108】
例えば、複数の農業用ハウスが地理的に離れている場合、これらの農業用ハウスのセンサ20群の環境情報値を3次元地図上に可視化すると、農業用ハウス間で環境情報値の相互関係の把握が困難であるという問題がある。例えば、
図7に示すように、農業用ハウス(1号棟)~農業用ハウス(3号棟)が存在し、これらの農業用ハウスの緯度、経度及び高度(つまり、x座標値、y座標値、z座標値)が離れている場合、縮尺を大きくする必要があり、各センサ20の環境情報値を相互に比較することが困難となる。
【0109】
そこで、このような場合、上記のステップS405では、各農業用ハウスのセンサ20群の相対的な位置関係は維持したまま、各農業用ハウス間の距離を近づけたUIを提供してもよい。例えば、
図7に示す例では、
図8に示すように、農業用ハウス(1号棟)~農業用ハウス(3号棟)の相対的な位置関係は維持したまま、各農業用ハウス間の距離(ユークリッド距離)を近づけたUIが提供されてもよい。なお、各農業用ハウス間の距離をどの程度近づけるかは様々な方法で決定できるが、例えば、各農業用ハウス間の距離のうち、最も小さい距離が予め決められた閾値を下回るまで近づける、という方法が考えられる。
【0110】
これにより、地理的に離れた場所にある複数の農業用ハウスの環境情報を3次元地図上で容易に比較することが可能となる。なお、上記のステップS404で提供されるUIでは、例えば、センサ20の種類毎に環境情報値をフィルタリングして可視化したり、農作物の種類毎に環境情報値をフィルタリングして可視化したりできてもよい。また、例えば、時間を指定するためのスライダー等が存在し、ユーザは、このスライダーにより可視化対象の環境情報値の日時を指定できてもよい。
【0111】
なお、上記の一変形例として、3次元地図上ではなく、2次元地図上に環境情報値を可視化する場合も考えられる。例えば、各農業用ハウスの環境情報における高さ方向の基準点を同一平面内に設定(射影)し、その平面内の2次元地図上に環境情報値を可視化することが考えられる。すなわち、各農業用ハウスの基準となる高度(高さ・標高)を無視し、高さ方向の位置のみを縮退させて同一平面上に当該基準を取り、この平面内の2次元地図上に立体的な環境情報を可視化することが考えられる。ただし、2次元及び3次元はいずれも一例であって、より一般には、2次元以上の地図空間(4次元空間やそれ以上の次元の空間を含む。)内に環境情報値を可視化してもよい。
【0112】
<補足>
・上記の実施形態における環境情報提供装置10は、例えば、「データ管理装置」や「データ共有装置」、「可視化装置」等と呼ばれてもよい。
【0113】
・上記の実施形態は、主に、農作物を栽培する農業を対象としているが、これは一例であって、センサによって空間的な範囲の環境情報を提供するものであれば、農業に限られるものではない。例えば、畜産、酪農、漁業、工業等といった分野にも同様に上記の実施形態を適用可能である。
【0114】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 環境情報提供システム
10 環境情報提供装置
20 センサ
30 GW機器
40 GW所有者端末
50 GW利用者端末
60 通信ネットワーク
101 GW情報登録部
102 GW利用者情報登録部
103 利用期間判定部
104 通知部
105 センサデータ収集部
106 ハウス内情報作成部
107 ハウス内情報提供部
108 GW情報記憶部
109 GW利用者情報記憶部
110 ハウス内情報記憶部
111 ハウス管理情報記憶部