(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137331
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ブラケット、車両、部材の取付方法、及び車両の製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20240927BHJP
B62D 33/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B62D25/08 D
B62D33/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048814
(22)【出願日】2023-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 将人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恵実理
(72)【発明者】
【氏名】水城 崇
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA14
3D203BB33
3D203BC34
3D203CB40
3D203DA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャブをシャーシに組付ける作業の際に、スペースを確保できるブラケット、ラジエータグリルの取付方法、及び車両を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態にかかる取付ブラケット20は、車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケット21と、対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケット23と、前記第1ブラケット20に対して前記第2ブラケット23を相対移動可能に支持するガイド部材22と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、
対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、
前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、
を備える、取付ブラケット。
【請求項2】
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとは前記ガイド部材を挟んで対向配置され、
前記第1係合部及び前記第2係合部のいずれか一方は、対向方向に向けて突出する突起を有し、
前記第1係合部及び前記第2係合部のいずれか他方は、前記突起が配されるガイドスリットを有し、
前記ガイド部材は、前記突起が移動可能に配されるガイド孔を有する、請求項1に記載の取付ブラケット。
【請求項3】
前記ガイド孔は、前記突起の移動を規制する幅狭部を有する、請求項2に記載の取付ブラケット。
【請求項4】
前記第1ブラケットと、前記第2ブラケットと、前記ガイド部材と、は、段付きボルトによって締結される、請求項1に記載の取付ブラケット。
【請求項5】
前記対象部材はラジエータグリルである、請求項1に記載の取付ブラケット。
【請求項6】
前記車両部材は、車両のフロント部に設けられるキャブであり、
前記第2ブラケットは前記第1ブラケットに対して、第1方向に延出する第1姿勢と、第2方向に延出する第2姿勢とで、回動可能に設けられ、
前記第2姿勢の前記第2ブラケットに、ラジエータグリルが固定される、請求項1に記載の取付ブラケット。
【請求項7】
前記第1姿勢の前記第2ブラケットは、下方に向けて延出し、
前記第2姿勢の前記第2ブラケットは、車両の幅方向おいて中央に向けて延出する、請求項6に記載の取付ブラケット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の取付ブラケットと、
前記第1ブラケットが取付られるキャブと、
前記キャブに締結される車体フレームと、
第2姿勢の前記第2ブラケットに固定されるラジエータグリルと、を備える、車両。
【請求項9】
前記車体フレームと前記キャブとを接続する接続部材を含む接続部を備え、
前記第2ブラケットは、第1姿勢において前記接続部の周囲に形成される作業エリアから退避し、第2姿勢において前記作業エリア内に少なくとも一部が配置される、請求項8に記載の車両。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれかに記載の前記取付ブラケットの前記第1ブラケットを前記車両部材に固定することと、
前記取付ブラケットの前記第2ブラケットを第1状態とし、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた状態で、前記作業エリアにて作業を行うことと、
前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、
前記第2ブラケットに対象部材を固定することと、
を含む、部材の取付方法。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれかに記載の取付ブラケットの前記第1ブラケットをキャブに固定することと、
前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた第1状態として、前記作業エリアにて作業を行うことと、
前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、
前記第2ブラケットにラジエータグリルを固定することと、
を含む、車両の製造方法。
【請求項12】
前記作業エリアは、車体のフロント部において、車体の前面に配されるフロントサイド部材と、前記キャブとシャーシとを接続する接続部材を有する接続部と、の間に形成されるスペースであり、
前記作業は、前記接続部に設けられるアンカーボルトを締結する作業である、
請求項11に記載の車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブラケット、車両、部材の取付方法、及び車両の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を搭載した車両において、冷却のためにラジエータが設けられている。ラジエータの前方には、ラジエータグリルが配置されている。例えば、シャーシとキャブを接続する接続構造部に設けられるアンカーボルトの横にラジエータグリルを固定するための板金ブラケットが備えられ、シャーシにキャブを組んだ後に、キャブ前面にラジエータグリルを組み付ける。このような取付構造では、工場でキャブをシャーシに組みつける作業の際に、ブラケットと工具が干渉しやすく、アンカーボルトの締結が困難となる。また、ブラケットと作業スペースの干渉を避ける必要があるため、レイアウトが制約される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示は、スペースを確保できるブラケット、車両、部材の取付方法、及び車両の製造方法、の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態にかかる取付ブラケットは、車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、を備える。
他の実施形態にかかる車両は、前記取付ブラケットと、前記第1ブラケットが取付られるキャブと、前記キャブに締結される車体フレームと、第2姿勢の前記第2ブラケットに固定されるラジエータグリルと、を備える。
他の実施形態にかかる部材の取付方法は、前記取付ブラケットの前記第1ブラケットを前記車両部材に固定することと、前記取付ブラケットの前記第2ブラケットを第1状態とし、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた状態で、前記作業エリアにて作業を行うことと、
前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、前記第2ブラケットに対象部材を固定することと、を含む。
他の実施形態にかかる車両の製造方法は、前記取付ブラケットの前記第1ブラケットをキャブに固定することと、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた第1状態として、前記作業エリアにて作業を行うことと、前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、前記第2ブラケットにラジエータグリルを固定することと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、スペースを確保できるブラケット、車両、部材の取付方法、及び車両の製造方法、の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係る車両の概略説明図。
【
図2】本開示の一実施形態に係る車両の一部を示す正面図。
【
図3】本開示の一実施形態に係る車両の一部を示す正面図。
【
図4】本開示の一実施形態に係る取付ブラケットの斜視図。
【
図6】同取付ブラケットの構成及び動作を示す説明図。
【
図7】同取付ブラケットの構成及び動作を示す説明図。
【
図8】本開示の一実施形態に係るラジエータグリルの取付方法を示す説明図。
【
図9】本開示の一実施形態に係るラジエータグリルの取付方法を示す説明図。
【
図10】本開示の一実施形態に係るラジエータグリルの取付方法を示す説明図。
【
図11】本開示の一実施形態に係るラジエータグリルの取付方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態に係るブラケット、車両、部材の取付方法、及び車両の製造方法、について、
図1乃至
図11を参照して説明する。
図1は車両の概略説明図である。
図2は車両の一部を示す正面図であり、
図3は車両のフロント部にラジエータグリルを取付ける前の状態を示す正面図である。
図4は取付ブラケットの斜視図であり、
図5は取付ブラケットの分解斜視図である。
図6及び
図7は取付ブラケットの構成及び動作を示す説明図である。
図8乃至
図11は、ラジエータグリルの取付方法を示す説明図である。図中X、Y、Zは互いに直交する3方向をそれぞれ示す。車両の幅方向をX、前後方向をY、高さ方向をZとして、一例を示す。なお、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0009】
図1乃至
図3に示すように、車両1は、第1部材の一例であるシャーシ11(車体フレーム)と、第2部材の一例であるキャブ12(車両側部材)と、キャブ12に取付けられる対象部材としてのラジエータグリル13と、を備える。
【0010】
車両1のフロント部において、シャーシ11にキャブ12が取付けられ、キャブ12の前部に、ブラケット20を介してラジエータグリル13が取付けられる。また、車両のフロント部には、他に、フロントパネルやヘッドライトを含むフロントサイド部材12bや、ダッシュパネルなど、各種部材が設けられている。なお
図2において、幅方向の一方(図中左側)の側部において、フロントサイドパネルやサイドライトなどの部材を一部省略し、フロントサイドパネルの背面側の構成を示している。
【0011】
キャブ12は、車両1の前部において、筺状に形成され、内部に車室12aを構成する。第2部材であるキャブ12は接続構造部30(接続部)を介して、第1部材であるシャーシ11に固定される。
【0012】
例えば接続構造部30はキャブマウント31、シャフト32、アンカーボルト33などの各種の支持構造や締結構造を備える。一例として、接続構造部30は、車両1のフロント部において、シャーシ11の前端部の両サイドにそれぞれ設けられる。例えば接続構造部30はフロント部の前端において両サイドにそれぞれ設けられるフロントサイド部材12bと近接して配置される。例えばフロントサイド部材12bはフロントサイドパネルやヘッドランプで構成される。一例として、接続構造部30に設けられるアンカーボルト33(
図11に示す)の頭部と、車両1の両側にそれぞれ設けられたフロントサイド部材12bとは、車幅方向において、後述するように
図8乃至
図11に示すアンカーボルト33を締結するためのトルクレンチなどの治具Tが動作する作業エリアA1を確保できる所定の隙間を介して対向して配置されている。
【0013】
例えば
図9に示す作業エリアA1は、車両1のフロント部の両サイドに配されるフロントサイド部材12bと、車両1のフロント部においてフロントサイド部材12bよりも車幅方向中央部に設けられ、キャブ12とシャーシ11とを接続する接続部材を有する接続構造部30と、の間に形成されるスペースであり、作業は接続構造部30に設けられるアンカーボルト33を締結する作業である。例えば締結作業において治具Tをアンカーボルト33の頭部に係合させて回動させる作業であり、アンカーボルト33の周囲に所定のスペースを要する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、ラジエータグリル13は、キャブ12に、ブラケット20を介して取り付けられる。例えばラジエータグリル13は、キャブ12の一部としての例えばフロントクロスメンバに、ブラケット20を介して固定される。
【0015】
図2に示すように、ラジエータグリル13は、例えば、車両1の前面部に設けられる。具体的には、車両1のエンジンルーム内に配置されたラジエータの前方に配置される。ラジエータグリル13は、車幅方向に延びる樹脂製のグリル部14と、複数の取付部15と、を備える。グリル部14は車両に搭載されたラジエータに走行風を導く開口14aを有する。グリル部14は例えば幅方向に延びるスリット状の開口が形成される。グリル部14の幅方向両端部に、取付部15が一体に形成される。取付部15は、締結部材が締結される締結孔15aを有している。
【0016】
図4乃至
図7に示すように、取付ブラケット20は、第1ブラケット21(第1ブラケット部材)と、ガイドプレート22(ガイド部材)と、第2ブラケット23(第2ブラケット部材)と、これらの部材21,22,23を締結する段付きボルト24と、を備える。一例として本実施形態において取付ブラケット20は、第1ブラケット21(第1ブラケット部材)と、ガイドプレート22(ガイド部材)と、第2ブラケット23(第2ブラケット部材)とが、車両1の前後方向に交差する面を形成する方向に延出する板状を成し、車両の前後方向に重ねて配置される姿勢で、取付けられる。すなわち、第1ブラケット21の前側にガイドプレート22が配置され、ガイドプレート22の前側に第2ブラケット23が配置される状態を例示として説明する。また、取付ブラケット20は、第1部材であるキャブ12と第2部材であるシャーシ11とを接続する接続部材を含む接続構造部30の近傍に設けられる。なお
図6及び
図7において、第2ブラケット23が第1方向に延出する第1姿勢(第1状態)を実線で示し、第2方向に延出する第2姿勢(第2状態)を破線で示す。
【0017】
第1ブラケット21は、例えば鋼板等の金属材料で板状に構成される。例えば第1ブラケット21はキャブ12に取付けられる第1係合部としてのキャブ固定片21aと、キャブ固定片21aから下方に延出する第1リンク片21bと、を一体に有する。第1ブラケット21には、キャブ12に締結されるキャブ締結孔21cと、ガイドプレート22に締結されるリンク締結孔21dと、第2ブラケット23のガイド突起23eが移動可能に配置されるガイドスリット21eと、が形成される。一例として、第1ブラケット21のキャブ固定片21aにキャブ締結孔21cが形成され、第1リンク片21bにはリンク締結孔21d及びガイドスリット21eが形成される。また、第1ブラケット21の第1リンク片21bの所定箇所には、ガイドプレート22の規制片22dと係合する規制孔21fが形成される。
【0018】
ガイドプレート22は、例えばPOM等の樹脂材料または金属材料で板状に構成される。ガイドプレート22は、リンク締結孔22a及びガイド孔22bが形成される板状部材である。ガイドプレート22は、第1ブラケット21に対して第2ブラケット23を相対移動可能に支持する。
【0019】
ガイド孔22bは、第2ブラケット23に形成されたガイド突起23eの移動を規制する幅狭部22cを有する。ガイドプレート22は、第1ブラケット21に対して第2ブラケット23を移動可能に保持する。例えばガイドプレート22は、第1ブラケット21と第2ブラケット23との間に配される。ガイドプレート22は、第2ブラケット23のリンク片23aを第1ブラケット21の第1リンク片21bに対して回動可能に接続する。ガイド孔22bは、ガイド突起23eより大きい孔幅を有し、ガイド突起23eを案内する。例えばガイド孔22bは、回動角度に応じた所定の中心角を有する円弧状の湾曲形状に構成される。例えばガイド孔22bは接線方向が変化する湾曲形状であり、一例として第1姿勢の延出方向である高さ方向、第2姿勢における延出方向である車幅方向に、角度が変化する円弧状に形成される。
【0020】
また、ガイドプレート22は端部が屈曲され第1ブラケット21側に延出する規制片22dを有する。規制片22dは第1ブラケット21の規制孔21fに係合することで、第1ブラケット21に対してガイドプレート22が回動しないように規制する。
また、ガイドプレート22において、ガイド孔22bの両側部には、一対のスリット22eが形成される。例えば一対のスリット22eは、ガイドプレート22を厚さ方向に貫通する溝であり、ガイド孔22bの縁に沿って形成される。このスリット22eにより、ガイドプレート22のガイド孔22bの縁部がたわみ変形しやすくなり、回動動作の際のガイド突起23eの移動をスムーズにすることができ、作業性を向上できる。
【0021】
第2ブラケット23は例えば樹脂材料または鋼板等の金属材料によって板状に構成される。第2ブラケット23は、ガイドプレート22に回動可能に接続される第2リンク片23aと、第2リンク片23aから下方に延出し、ラジエータグリル13の取付部15に締結される第2係合部としてのグリル固定片23bと、を一体に有する。第2ブラケット23には、ラジエータグリル13に締結されるグリル締結孔23cと、ガイドプレート22に締結されるリンク締結孔23dと、ガイド孔22b,及びガイドスリット21eに移動可能に配されるガイド突起23eと、が形成される。一例として、第2ブラケットの第2リンク片23aに、リンク締結孔23d及びガイド突起23eが形成される。グリル固定片23bにグリル締結孔23cが形成される。例えばガイド突起23eはガイドプレート22を挟んで対向配置される第1ブラケット21に向けて対向方向に突出する突起である。
【0022】
段付きボルト24は、リンク締結孔22aと、リンク締結孔23dと、リンク締結孔21dとに挿入される軸部を有する締結部材である。段付きボルト24は、第1ブラケット21と、ガイドプレート22と、第2ブラケット23と、を回動可能に締結する。
【0023】
以上のように構成された取付ブラケット20において、第2ブラケット23は第1ブラケット21に対して、第1方向に延出する第1姿勢と、第2方向に延出する第2姿勢とで、回動可能に設けられる。第2姿勢の第2ブラケット23に、ラジエータグリル13が固定される。
【0024】
次に、車両1の製造方法の一部としてラジエータグリル13を車両部材としてのキャブ12に取付ける部材の取付方法について説明する。本実施形態にかかるラジエータグリル13の取付方法において、第1ブラケット21と第2ブラケット23とがガイドプレート22を挟んで回動可能に組付けられた取付ブラケット20を用いる。
【0025】
本実施形態にかかるラジエータグリル13の取付方法は、第1ブラケット21を車両部材であるキャブ12に固定することと、第2ブラケット23を第1姿勢とし、作業エリアA1から退避させた状態で、作業エリアA1にて作業を行うことと、作業後に、第2ブラケット23を、少なくとも一部が作業エリアA1に配置される第2姿勢とすることと、第2ブラケット23に対象部材であるラジエータを固定することと、を含む。
【0026】
具体例として、まずST1において、
図8に示すように、取付ブラケット20の第1ブラケット21をキャブ12に固定する。具体的には第1ブラケット21のキャブ固定片21aを締結部材によって、車体側に設けられたキャブ12に、締結する。そして、
図6乃至
図8に示すように、第2ブラケット23を第1姿勢とする。例えば第1姿勢の第2ブラケット23は、車両1の下方に向けて延出する。
【0027】
そして、ST2として、第2ブラケット23を第1姿勢とした状態でキャブ12をシャーシ11に固定する。ここで、第1姿勢の第2ブラケット23は、フロントサイドパネル等のフロントサイド部材12bの背面側において、下方に延びる姿勢であるため、フロントサイド部材12bの接続構造部30側の端縁よりも幅方向における外側にあり、治具の作業エリアA1が確保されている。
【0028】
例えば
図9及び
図11に示すように、キャブ12とシャーシ11とを、取付ブラケット20の近傍の固定部において、アンカーボルト33を用いて締結する。このとき、第2ブラケット23を第1姿勢とすることで、取付ブラケット20の側部に空間が形成され、例えば治具Tを用いてアンカーボルト33を回動させる作業のスペースを確保できる。
【0029】
キャブ12とシャーシ11の締結後に、ST4として、
図10に実線で示すように、第2ブラケット23を回転させて第2姿勢とする。そして
図2に示すように、第2姿勢の第2ブラケット23にラジエータグリル13を固定する、例えば第2姿勢の第2ブラケット23は、車両の幅方向おいて中央に向けて延出する。第2姿勢の第2ブラケット23は、治具の作業エリアA1内に突出している。すなわち、第2ブラケット23は作業エリアA1から退避した第1位置と、作業エリアA1に進入する第2位置とで、移動可能に構成される。
【0030】
本実施形態にかかるブラケット、ラジエータグリルの取付方法、及び車両によれば、可動式のブラケットを用いて、ブラケットを作業エリアから退避させた状態で作業を行い、作業後にブラケットを取付位置に移動させることにより、ブラケットを取付ける取付スペースと、作業スペースと、を有効活用できる。すなわち、第2ブラケットが回転可能とすることで、第2ブラケットを作業エリアから退避させて、組付時に干渉することを防ぐことができる。したがって、周辺部品のレイアウトを制約することなく、作業スペースを確保することができる。
【0031】
以上、本開示に係る一実施形態について詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。本発明には、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0032】
たとえば上記実施形態において、シャーシ11とキャブ12を接続する接続構造部30の近傍にラジエータグリル13を締結する例を示したがこれに限られるものではない。例えば作業の対象とする部材は締結部材や接続部材でなくてもよい。
【0033】
上記実施形態において、車両1のアンカーボルト33近傍のラジエータグリル13の取付部として取付ブラケット20を適用した例を示したが、これに限られるものではない。また、例えば治具ではなく手動作業の場合の手の可動範囲に対して、第2ブラケット23が進退するように、取付ブラケット20を配置してもよい。また、取付ブラケット20の配置についても、上記実施形態に限られるものではない。上記実施形態において、第1の部材はキャブ12、第2の部材はラジエータグリル13としたが、これに限られるものではなく、例えば車両に設けられる各種部材の取付に適用可能である。
【0034】
また、上記実施形態にかかる取付ブラケット20は、ガイド突起23eが第2ブラケット23側に設けられ、第1ブラケット21側にガイドスリット21eが設けられる例を示したが、逆としてもよい。例えば第1ブラケット21側に突起を有し、第2ブラケット23側にスリットが形成されていてもよい。
【0035】
また、移動は回動に限られるものではない。例えば作業エリアA1に対して直進移動により進退動作する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…車両、11…シャーシ、12…キャブ、12a…車室、12b…フロントサイド部材、13…ラジエータグリル、14…グリル部、14a…開口、15…取付部、15a…締結孔、20…取付ブラケット、21…第1ブラケット、21a…キャブ固定片、21b…リンク片、21c…キャブ締結孔、21e…ガイドスリット、21d…リンク締結孔、21f…規制孔、22…ガイドプレート(ガイド部材)、22a…リンク締結孔、22b…ガイド孔、22c…幅狭部、22d…規制片、23…第2ブラケット、23a…リンク片、23b…グリル固定片、23c…グリル締結孔、23d…リンク締結孔、23e…ガイド突起、24…段付きボルト、30…接続構造部、33…アンカーボルト。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、
対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、
前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、を備え、
前記車両部材は、車両のフロント部に設けられるキャブであり、
前記第2ブラケットは前記第1ブラケットに対して、第1方向に延出する第1姿勢と、第2方向に延出する第2姿勢とで、回動可能に設けられ、
前記第2姿勢の前記第2ブラケットに、ラジエータグリルが固定され、
前記第1姿勢の前記第2ブラケットは、下方に向けて延出し、
前記第2姿勢の前記第2ブラケットは、車両の幅方向おいて中央に向けて延出する、取付ブラケット。
【請求項2】
車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、を備える取付ブラケットの前記第1ブラケットを前記車両部材に固定することと、
前記取付ブラケットの前記第2ブラケットを第1状態とし、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた状態で、前記作業エリアにて作業を行うことと、
前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、
前記第2ブラケットに対象部材を固定することと、
を含む、部材の取付方法。
【請求項3】
車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、を備える取付ブラケットの前記第1ブラケットをキャブに固定することと、
前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた第1状態として、前記作業エリアにて作業を行うことと、
前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、
前記第2ブラケットにラジエータグリルを固定することと、
を含む、車両の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の一実施形態にかかる取付ブラケットは、車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、を備え、前記車両部材は、車両のフロント部に設けられるキャブであり、前記第2ブラケットは、前記第1ブラケットに対して、第1方向に延出する第1姿勢と、第2方向に延出する第2姿勢とで、回動可能に設けられ、前記第2姿勢の前記第2ブラケットに、ラジエータグリルが固定され、前記第1姿勢の前記第2ブラケットは、下方に向けて延出し、前記第2姿勢の前記第2ブラケットは、車両の幅方向おいて中央に向けて延出する。
他の実施形態にかかる部材の取付方法は、車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、を備える取付ブラケットの前記第1ブラケットを前記車両部材に固定することと、前記取付ブラケットの前記第2ブラケットを第1状態とし、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた状態で、前記作業エリアにて作業を行うことと、
前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、前記第2ブラケットに対象部材を固定することと、を含む。
他の実施形態にかかる車両の製造方法は、車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、を備える取付ブラケットの前記第1ブラケットをキャブに固定することと、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた第1状態として、前記作業エリアにて作業を行うことと、前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、前記第2ブラケットにラジエータグリルを固定することと、を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
また、移動は回動に限られるものではない。例えば作業エリアA1に対して直進移動により進退動作する構成としてもよい。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
(1)
車両部材に取付けられる第1係合部を有する第1ブラケットと、
対象部材に係合する第2係合部を有する第2ブラケットと、
前記第1ブラケットに対して前記第2ブラケットを相対移動可能に支持するガイド部材と、
を備える、取付ブラケット。
(2)
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとは前記ガイド部材を挟んで対向配置され、
前記第1係合部及び前記第2係合部のいずれか一方は、対向方向に向けて突出する突起を有し、
前記第1係合部及び前記第2係合部のいずれか他方は、前記突起が配されるガイドスリットを有し、
前記ガイド部材は、前記突起が移動可能に配されるガイド孔を有する、(1)に記載の取付ブラケット。
(3)
前記ガイド孔は、前記突起の移動を規制する幅狭部を有する、(2)に記載の取付ブラケット。
(4)
前記第1ブラケットと、前記第2ブラケットと、前記ガイド部材と、は、段付きボルトによって締結される、(1)に記載の取付ブラケット。
(5)
前記対象部材はラジエータグリルである、(1)に記載の取付ブラケット。
(6)
前記車両部材は、車両のフロント部に設けられるキャブであり、
前記第2ブラケットは前記第1ブラケットに対して、第1方向に延出する第1姿勢と、第2方向に延出する第2姿勢とで、回動可能に設けられ、
前記第2姿勢の前記第2ブラケットに、ラジエータグリルが固定される、(1)に記載の取付ブラケット。
(7)
前記第1姿勢の前記第2ブラケットは、下方に向けて延出し、
前記第2姿勢の前記第2ブラケットは、車両の幅方向おいて中央に向けて延出する、(6)に記載の取付ブラケット。
(8)
(1)乃至(7)のいずれかに記載の取付ブラケットと、
前記第1ブラケットが取付られるキャブと、
前記キャブに締結される車体フレームと、
第2姿勢の前記第2ブラケットに固定されるラジエータグリルと、を備える、車両。
(9)
前記車体フレームと前記キャブとを接続する接続部材を含む接続部を備え、
前記第2ブラケットは、第1姿勢において前記接続部の周囲に形成される作業エリアから退避し、第2姿勢において前記作業エリア内に少なくとも一部が配置される、(8)に記載の車両。
(10)
(1)乃至(7)のいずれかに記載の前記取付ブラケットの前記第1ブラケットを前記車両部材に固定することと、
前記取付ブラケットの前記第2ブラケットを第1状態とし、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた状態で、前記作業エリアにて作業を行うことと、
前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、
前記第2ブラケットに対象部材を固定することと、
を含む、部材の取付方法。
(11)
(1)乃至(7)のいずれかに記載の取付ブラケットの前記第1ブラケットをキャブに固定することと、
前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの周囲に形成される作業エリアから退避させた第1状態として、前記作業エリアにて作業を行うことと、
前記作業後に、前記第2ブラケットを、前記第2ブラケットの少なくとも一部を前記作業エリアに配置される第2状態とすることと、
前記第2ブラケットにラジエータグリルを固定することと、
を含む、車両の製造方法。
(12)
前記作業エリアは、車体のフロント部において、車体の前面に配されるフロントサイド部材と、前記キャブとシャーシとを接続する接続部材を有する接続部と、の間に形成されるスペースであり、
前記作業は、前記接続部に設けられるアンカーボルトを締結する作業である、
(11)に記載の車両の製造方法。