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特開2024-137336フラックス組成物、はんだ組成物、および電子基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137336
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】フラックス組成物、はんだ組成物、および電子基板
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20240927BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240927BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20240927BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
B23K35/363 C
B23K35/363 E
H05K3/34 503Z
B23K35/26 310A
C22C13/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048824
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 宣宏
(72)【発明者】
【氏名】下石 龍太朗
(72)【発明者】
【氏名】石垣 幸一
(72)【発明者】
【氏名】井上 武
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD21
5E319GG03
(57)【要約】
【課題】ボイドを十分に抑制でき、かつ印刷性を向上できるフラックス組成物を提供すること。
【解決手段】(A)樹脂、(B)活性剤、および(C)溶剤を含有するフラックス組成物であって、前記(C)成分が、(C1)沸点が250℃超であり、20℃における粘度が10mPa・s超である溶剤、(C2)沸点が250℃以下であり、1位および2位にそれぞれヒドロキシ基を有するジオール系溶剤、および(C3)沸点が210℃以上275℃以下であり、20℃における粘度が10mPa・s以下である溶剤を含有する、フラックス組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)樹脂、(B)活性剤、および(C)溶剤を含有するフラックス組成物であって、
前記(C)成分が、(C1)沸点が250℃超であり、20℃における粘度が10mPa・s超である溶剤、(C2)沸点が250℃以下であり、1位および2位にそれぞれヒドロキシ基を有するジオール系溶剤、および(C3)沸点が210℃以上275℃以下であり、20℃における粘度が10mPa・s以下である溶剤を含有する、
フラックス組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のフラックス組成物において、
前記(B)成分が、(B1)炭素数6以上のジカルボン酸を含有する、
フラックス組成物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物において、
前記(C1)成分が、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテルである、
フラックス組成物。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物において、
さらに、(D)チクソ剤を含有し、
前記(D)成分が、アミド類を含有する、
フラックス組成物。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物において、
さらに、(E)ヒンダードアミン化合物を含有する、
フラックス組成物。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のフラックス組成物と、(F)はんだ粉末とを含有する、
はんだ組成物。
【請求項7】
請求項6に記載のはんだ組成物を用いたはんだ付け部を備える、
電子基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラックス組成物、はんだ組成物、および電子基板に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだ組成物は、はんだ粉末にフラックス組成物(ロジン系樹脂、活性剤および溶剤など)を混練してペースト状にした混合物である(例えば、特許文献1)。このはんだ組成物においては、はんだ溶融性やはんだが濡れ広がりやすいという性質(はんだ濡れ広がり)などのはんだ付け性とともに、ボイドの抑制や印刷性などが要求されている。
一方で、電子機器の機能の多様化により、大型の電子部品が電子基板に搭載されるようになっている。また、大型の電子部品の中には、電極端子の面積が広い電子部品(例えば、QFN(Quad Flatpack No Lead)、パワートランジスタ)がある。このような電子部品では、はんだ組成物の印刷面積が広いため、ボイドが発生しやすい傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5756067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
はんだ組成物において、ボイドを低減するために、ジオール系溶剤のような高粘度の溶剤を用いることが検討されている。しかしながら、ジオール系溶剤は、比較的に高粘度であり、しかも比較的に沸点が低い傾向にあるため、はんだ組成物の使用時に粘性が高くなる傾向にある。そのため、ローリング中のはんだ組成物がメタルマスクの壁面に付着しやすく、連続印刷性および版上放置後の印刷性が低下する傾向にある。
【0005】
本発明は、ボイドを十分に抑制でき、かつ印刷性を向上できるフラックス組成物、はんだ組成物、および電子基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下に示すフラックス組成物、はんだ組成物および電子基板が提供される。
[1] (A)樹脂、(B)活性剤、および(C)溶剤を含有するフラックス組成物であって、
前記(C)成分が、(C1)沸点が250℃超であり、20℃における粘度が10mPa・s超である溶剤、(C2)沸点が250℃以下であり、1位および2位にそれぞれヒドロキシ基を有するジオール系溶剤、および(C3)沸点が210℃以上275℃以下であり、20℃における粘度が10mPa・s以下である溶剤を含有する、
フラックス組成物。
[2] [1]に記載のフラックス組成物において、
前記(B)成分が、(B1)炭素数6以上のジカルボン酸を含有する、
フラックス組成物。
[3] [1]または[2]に記載のフラックス組成物において、
前記(C1)成分が、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテルである、
フラックス組成物。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載のフラックス組成物において、
さらに、(D)チクソ剤を含有し、
前記(D)成分が、アミド類を含有する、
フラックス組成物。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載のフラックス組成物において、
さらに、(E)ヒンダードアミン化合物を含有する、
フラックス組成物。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載のフラックス組成物と、(F)はんだ粉末とを含有する、
はんだ組成物。
[7] [6]に記載のはんだ組成物を用いたはんだ付け部を備える、
電子基板。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ボイドを十分に抑制でき、かつ印刷性を向上できるフラックス組成物、はんだ組成物、および電子基板を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[フラックス組成物]
まず、本実施形態に係るフラックス組成物について説明する。本実施形態に係るフラックス組成物は、はんだ組成物におけるはんだ粉末以外の成分であり、以下説明する(A)樹脂、(B)活性剤、および(C)溶剤を含有するものである。また、(C)成分が、(C1)沸点が250℃超であり、20℃における粘度が10mPa・s超である溶剤、(C2)沸点が250℃以下であり、1位および2位にそれぞれヒドロキシ基を有するジオール系溶剤、および(C3)沸点が210℃以上275℃以下であり、20℃における粘度が10mPa・s以下である溶剤を含有することが必要である。
【0009】
本実施形態に係るフラックス組成物が、ボイドを十分に抑制でき、かつ印刷性を向上できる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。
すなわち、本発明のフラックス組成物においては、(C)溶剤として、(C2)沸点が250℃以下であり、1位および2位にそれぞれヒドロキシ基を有するジオール系溶剤を用いている。(C2)成分は、その一部は、はんだが溶融する前やはんだ溶融時に揮発して気体となってしまうが、この気体が、はんだ組成物中の気体を外部に押し出す作用がある。そして、揮発しなかった(C2)成分を含有するはんだ組成物は、はんだ溶融時にもある程度の流動性を有しているため、はんだ組成物中の気体が徐々に集まりながら外部に放出される。このようにして、ボイドを十分に抑制できる。また、この(C2)成分は、ジオール系溶剤の中でも、常温での粘度が低い傾向がある。そして、本発明のフラックス組成物においては、(C)溶剤として、(C3)沸点が210℃以上275℃以下であり、20℃における粘度が10mPa・s以下である溶剤を併用しており、これにより、はんだ組成物の使用時での粘性変化を抑えることができる。このようにして、印刷性を向上できる。以上のようにして、上記本発明の効果が達成されるものと本発明者らは推察する。
【0010】
[(A)成分]
本実施形態に用いる(A)樹脂としては、ロジン系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、粘度安定性などの観点から、ロジン系樹脂、またはアクリル樹脂が好ましい。
ロジン系樹脂としては、ロジン類およびロジン系変性樹脂が挙げられる。ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジンおよびトール油ロジンなどが挙げられる。ロジン系変性樹脂としては、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。水素添加ロジンとしては、完全水添ロジン、部分水添ロジン、並びに、不飽和有機酸((メタ)アクリル酸などの脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸などのα,β-不飽和カルボン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸などの芳香族環を有する不飽和カルボン酸など)の変性ロジンである不飽和有機酸変性ロジンの水素添加物(「水添酸変性ロジン」ともいう)などが挙げられる。これらのロジン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらのロジン系樹脂の中でも、完全水添ロジンおよび水添酸変性ロジンを用いることが好ましく、完全水添ロジンと、水添酸変性ロジンとを併用することがより好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の各種エステル、メタクリル酸の各種エステル、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸のエステル、無水マレイン酸のエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、および酢酸ビニルなどの少なくとも1種のモノマーを重合してなるものである。寒暖の差が激しく冷熱衝撃の大きい環境下であってもフラックス残さの亀裂発生を防止できるという点で、アクリル樹脂が有用である。このアクリル樹脂の中でも、メタクリル酸と炭素数2から6のアルキル基を有するモノマーとを含むモノマー類を重合したアクリル樹脂、更にはメタクリル酸と炭素数2のアルキル基を有するモノマーとを含むモノマー類を重合したアクリル樹脂が好ましい。このようなアクリル樹脂は、形成されるフラックス残さ(フラックス固化物)のべたつきを抑え、かつ良好な亀裂抑制効果を奏する点で好ましい。
【0011】
(A)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、25質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。(A)成分の配合量が前記下限以上であれば、はんだ付ランドの銅箔面の酸化を防止してその表面に溶融はんだを濡れやすくする、いわゆるはんだ付け性を向上でき、はんだボールを十分に抑制できる。また、(A)成分の配合量が前記上限以下であれば、フラックス残さ量を十分に抑制できる。
【0012】
[(B)成分]
本実施形態に用いる(B)活性剤は、(B1)炭素数6以上のジカルボン酸を含有することが好ましい。この(B1)成分により、はんだ付け性を向上できる。
(B1)成分としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
(B1)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1質量%以上12質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがさらにより好ましく、5質量%以上8質量%以下であることが特に好ましい。(B1)成分の配合量が前記下限以上であれば、他物性を悪化させずに、はんだ付け性を向上できる傾向にあり、他方、前記上限以下であれば、フラックス組成物の絶縁性を維持できる傾向にある。
【0014】
(B)成分は、さらに(B2)アミン系活性剤を含有していてもよい。この(B2)成分により、はんだ付け性を更に向上できる。
(B2)成分としては、ベンゾトリアゾール類(ベンゾトリアゾール、および2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)など)、イミダゾリン類(2-フェニルイミダゾリン、および2-ベンジルイミダゾリンなど)、アミン類(エチレンジアミンなどのポリアミンなど)、アミン塩類(トリメチロールアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミンなどのアミンやアミノアルコールなどの有機酸塩や無機酸塩(塩酸、硫酸、臭化水素酸など))、アミノ酸類(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリンなど)、アミド系化合物などが挙げられる。これらの中でも、活性作用の観点から、イミダゾリン類が好ましい。
【0015】
(B2)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上7質量%以下であることがさらにより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることが特に好ましい。(B2)成分の配合量が前記下限以上であれば、はんだ付け性を向上できる傾向にあり、他方、前記上限以下であれば、フラックス組成物の絶縁性を維持できる傾向にある。
【0016】
(B)成分は、さらに(B1)成分以外の有機酸(以下、場合により(B3)成分とも称する)を含有していてもよい。
(B3)成分としては、モノカルボン酸、(B1)成分以外のジカルボン酸などの他に、その他の有機酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、およびグリコール酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、コハク酸、ダイマー酸、酒石酸、およびジグリコール酸などが挙げられる。
その他の有機酸としては、トリマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、およびピコリン酸などが挙げられる。これらの中でも、ピコリン酸を用いることがより好ましい。
【0017】
(B3)成分を用いる場合、その配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上8質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であることが特に好ましい。(B3)成分の配合量が前記下限以上であれば、活性作用を向上できる傾向にあり、他方、前記上限以下であれば、フラックス組成物の絶縁性を維持できる傾向にある。
【0018】
(B)成分は、本発明の課題を達成できる範囲において、(B1)成分~(B3)成分以外に、その他の活性剤(以下(B4)成分とも称する)をさらに含有してもよい。(B4)成分としては、ハロゲン系活性剤などが挙げられる。
【0019】
(B)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。(B)成分の配合量が前記下限以上であれば、活性作用を向上できる傾向にあり、他方、前記上限以下であれば、フラックス組成物の絶縁性を維持できる傾向にある。
【0020】
[(C)成分]
本実施形態に用いる(C)溶剤は、(C1)沸点が250℃超であり、20℃における粘度が10mPa・s超である溶剤を含有することが必要である。このような(C1)成分は、メインの溶剤であり、これにより、はんだ組成物の印刷時やリフロー後の粘度を適正な範囲にできる。
(C1)成分としては、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(沸点272℃、粘度11.8mPa・s)、およびポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点290~310℃、粘度12.8mPa・s)などが挙げられる。これらの中でも、印刷性の観点から、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、括弧内の粘度は、20℃における粘度である。
【0021】
(C1)成分の配合量は、(C)成分100質量%に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、45質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上75質量%以下であることが特に好ましい。
【0022】
本実施形態に用いる(C)溶剤は、(C2)沸点が250℃以下であり、1位および2位にそれぞれヒドロキシ基を有するジオール系溶剤を含有することが必要である。このような(C2)成分は、ボイドの抑制効果が高く、かつ、印刷性への悪影響が少ない。
(C2)成分としては、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、および1,2-ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、印刷性の観点から、1,2-ブタンジオールが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
(C2)成分の配合量は、(C)成分100質量%に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、15質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。(C2)成分の配合量が前記下限以上であれば、ボイドの抑制効果を更に高めることができる。他方、(C2)成分の配合量が前記上限以下であれば、印刷性への悪影響を抑えることができる。
【0024】
本実施形態に用いる(C)溶剤は、(C3)沸点が210℃以上275℃以下であり、20℃における粘度が10mPa・s以下である溶剤を含有することが必要である。このような(C3)成分により、印刷性を向上できる。
(C3)成分としては、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃、粘度2.4mPa・s)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃、粘度1.6mPa・s)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃、粘度3.8mPa・s)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、粘度5.85mPa・s)、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃、粘度3.56mPa・s)などが挙げられる。なお、括弧内の粘度は、20℃における粘度である。
【0025】
印刷性の観点から、(C3)成分の配合量は、(C)成分100質量%に対して、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、8質量%以上22質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
【0026】
(C2)成分と(C3)成分との質量比((C2)/(C3))は、ボイド抑制効果と印刷性とのバランスの観点から、1/2以上6以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましく、3/2以上4以下であることが特に好ましい。
【0027】
(C)成分は、(C1)成分、(C2)成分および(C3)成分以外の溶剤(以下(C4)成分とも称する)を含有していてもよい。(C4)成分としては、公知の溶剤を適宜用いることができる。このような溶剤としては、沸点170℃以上250℃以下の溶剤を用いることが好ましい。
このような溶剤としては、例えば、ヘキシレングリコール(沸点197℃)、およびメチルカルビトール(沸点194℃)などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、印刷性の観点からは、(C)成分として、(C2)成分以外のジオール系溶剤を使用しないことが好ましい。
【0028】
(C)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。溶剤の配合量が前記範囲内であれば、得られるはんだ組成物の粘度を適正な範囲に適宜調整できる。
【0029】
[(D)成分]
本実施形態に係るフラックス組成物は、印刷時や加熱時のダレを抑制するという観点から、(D)チクソ剤を含有することが好ましい。(D)成分としては、公知のチクソ剤を適宜使用できる。ここで用いるチクソ剤としては、硬化ひまし油、アミド類、カオリン、コロイダルシリカ、有機ベントナイト、およびガラスフリットなどが挙げられる。これらの中でも、ダレの抑制の観点から、アミド類が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
(D)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。配合量が前記下限以上であれば、十分なチクソ性が得られ、ダレを抑制できる傾向にある。他方、前記上限以下であれば、チクソ性が高すぎることなく、印刷不良となりにくい傾向にある。
【0031】
[(E)成分]
本実施形態に係るフラックス組成物は、ボイド抑制の観点から、(E)ヒンダードアミン化合物を含有することが好ましい。(E)成分は、下記一般式(E1)で表される構造を有するものである。
【0032】
【化1】
【0033】
一般式(E1)において、Rは、独立して、メチル基、またはエチル基であり、メチル基であることが好ましい。
Xは、水素、炭素数1から12のアルキル基、または炭素数1から12のアルコキシ基である。
なお、(E)成分において、波線より先の部分の構造は、特に限定されない。
(E)成分の1分子中における一般式(E1)で表される構造の数は、1以上10以下であることが好ましく、2以上4以下であることがより好ましい。
【0034】
(E)成分としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバシケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]エチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-(メチル)-8-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、および、ビス(1-ウンデカオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
ボイド抑制の観点から、(E)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上7質量%以下であることがさらに好ましく、1.5質量%以上4質量%以下であることが特に好ましい。
【0036】
[酸化防止剤]
本実施形態に係るフラックス組成物は、はんだ溶融性などの観点から、さらに酸化防止剤を含有することが好ましい。ここで用いる酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤を適宜用いることができる。酸化防止剤としては、硫黄化合物、ヒンダードフェノール化合物、およびホスファイト化合物などが挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール化合物が好ましい。
【0037】
ヒンダードフェノール化合物としては、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)、N,N’-ビス[2-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、および、N,N’-ビス{3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル}ヒドラジンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
酸化防止剤を用いる場合、その配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。酸化防止剤の配合量が前記下限以上であれば、はんだ溶融性を向上できる傾向にあり、他方、前記上限以下であれば、フラックス組成物の絶縁性を維持できる傾向にある。
【0039】
[他の成分]
本実施形態に用いるフラックス組成物には、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、および酸化防止剤の他に、必要に応じて、その他の添加剤を加えることができる。その他の添加剤としては、イミダゾール化合物、消泡剤、改質剤、つや消し剤、および発泡剤などが挙げられる。これらの添加剤の配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
【0040】
[はんだ組成物]
次に、本実施形態に係るはんだ組成物について説明する。本実施形態に係るはんだ組成物は、前述の本実施形態に係るフラックス組成物と、以下説明する(F)はんだ粉末とを含有するものである。
フラックス組成物の配合量は、はんだ組成物100質量%に対して、5質量%以上35質量%以下であることが好ましく、7質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、8質量%以上12質量%以下であることが特に好ましい。フラックス組成物の配合量が5質量%未満の場合(はんだ粉末の配合量が95質量%を超える場合)には、バインダーとしてのフラックス組成物が足りないため、フラックス組成物とはんだ粉末とを混合しにくくなる傾向にあり、他方、フラックス組成物の配合量が35質量%を超える場合(はんだ粉末の配合量が65質量%未満の場合)には、得られるはんだ組成物を用いた場合に、十分なはんだ接合を形成できにくくなる傾向にある。
【0041】
[(F)成分]
本実施形態に用いる(F)はんだ粉末は、鉛フリーはんだ粉末のみからなることが好ましいが、有鉛のはんだ粉末であってもよい。また、このはんだ粉末におけるはんだ合金は、スズ(Sn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、金(Au)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびゲルマニウム(Ge)からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
このはんだ粉末におけるはんだ合金としては、スズを主成分とする合金が好ましい。また、このはんだ合金は、スズ、銀および銅を含有することがより好ましい。さらに、このはんだ合金は、添加元素として、アンチモン、ビスマスおよびニッケルのうちの少なくとも1つを含有してもよい。
ここで、鉛フリーはんだ粉末とは、鉛を添加しないはんだ金属または合金の粉末のことをいう。ただし、鉛フリーはんだ粉末中に、不可避的不純物として鉛が存在することは許容されるが、この場合に、鉛の量は、300質量ppm以下であることが好ましい。
【0042】
鉛フリーのはんだ粉末の合金系としては、具体的には、Sn-Ag-Cu系、Sn-Cu系、Sn-Ag系、Sn-Bi系、Sn-Ag-Bi系、Sn-Ag-Cu-Bi系、Sn-Ag-Cu-Ni系、Sn-Ag-Cu-Bi-Sb系、Sn-Ag-Bi-In系、およびSn-Ag-Cu-Bi-In-Sb系などが挙げられる。
【0043】
(F)成分の平均粒子径は、通常1μm以上40μm以下であるが、はんだ付けパッドのピッチが狭い電子基板にも対応するという観点から、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、2μm以上35μm以下であることがさらにより好ましく、3μm以上32μm以下であることが特に好ましい。なお、平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。
【0044】
[はんだ組成物の製造方法]
本実施形態のはんだ組成物は、上記説明したフラックス組成物と上記説明した(F)はんだ粉末とを上記所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
【0045】
[電子基板]
次に、本実施形態に係る電子基板について説明する。本実施形態に係る電子基板は、前述の本実施形態に係るはんだ組成物を用いたはんだ付け部を備えることを特徴とするものである。本実施形態に係る電子基板は、前記はんだ組成物を用いて電子部品を電子基板(プリント配線基板など)に実装することで製造できる。
ここで用いる塗布装置としては、スクリーン印刷機、メタルマスク印刷機、ディスペンサー、およびジェットディスペンサーなどが挙げられる。
また、塗布装置にて塗布したはんだ組成物上に電子部品を配置し、リフロー炉により所定条件にて加熱して、電子部品をプリント配線基板に実装するリフロー工程により、電子部品を電子基板に実装できる。
【0046】
リフロー工程においては、はんだ組成物上に電子部品を配置し、リフロー炉により所定条件にて加熱する。このリフロー工程により、電子部品およびプリント配線基板の間に十分なはんだ接合を行うことができる。その結果、電子部品をプリント配線基板に実装することができる。
リフロー条件は、はんだの融点に応じて適宜設定すればよい。例えば、プリヒート温度は、140℃以上200℃以下であることが好ましく、150℃以上160℃以下であることがより好ましい。プリヒート時間は、60秒間以上120秒間以下であることが好ましい。ピーク温度は、230℃以上270℃以下であることが好ましく、240℃以上255℃以下であることがより好ましい。また、220℃以上の温度の保持時間は、20秒間以上60秒間以下であることが好ましい。
【0047】
また、本実施形態に係るフラックス組成物、はんだ組成物および電子基板は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、前記電子基板では、リフロー工程により、プリント配線基板と電子部品とを接着しているが、これに限定されない。例えば、リフロー工程に代えて、レーザー光を用いてはんだ組成物を加熱する工程(レーザー加熱工程)により、プリント配線基板と電子部品とを接着してもよい。この場合、レーザー光源としては、特に限定されず、金属の吸収帯に合わせた波長に応じて適宜採用できる。レーザー光源としては、例えば、固体レーザー(ルビー、ガラス、YAGなど)、半導体レーザー(GaAs、およびInGaAsPなど)、液体レーザー(色素など)、並びに、気体レーザー(He-Ne、Ar、CO、およびエキシマーなど)が挙げられる。
【実施例0048】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて用いた材料を以下に示す。
((A)成分)
ロジン系樹脂A:アクリル酸変性水添ロジン、商品名「パインクリスタルKE-604」、荒川化学工業社製
ロジン系樹脂B:完全水添ロジン、商品名「フォーラルAXE」、Eastman Chemical社製
((B1)成分)
ジカルボン酸A:ドデカン二酸
ジカルボン酸B:アジピン酸
((B2)成分)
アミン系活性剤:2-フェニルイミダゾリン
((C1)成分)
溶剤A:ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(沸点272℃、粘度11.8mPa・s)、商品名「EHDG」、日本乳化剤社製
((C2)成分)
溶剤B:1,2-ブタンジオール
溶剤C:1,2-ペンタンジオール
溶剤D:1,2-ヘキサンジオール
((C3)成分)
溶剤E:ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃、粘度2.4mPa・s)
溶剤F:ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃、粘度1.6mPa・s)
溶剤G:テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃、粘度3.8mPa・s)
溶剤H:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、粘度5.85mPa・s)
溶剤I:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃、粘度3.56mPa・s)
((C4)成分)
溶剤J:1,4-ブタンジオール
溶剤K:1,3-ブタンジオール
溶剤L:1,5-ペンタンジオール
溶剤M:2,4-ペンタンジオール
溶剤N:1,6-ヘキサンジオール
溶剤O:1,2,4-ブタントリオール
((D)成分)
チクソ剤:高級脂肪酸ポリアミド、商品名「ターレンVA-79」、共栄社化学社製
((E)成分)
ヒンダードアミン化合物:ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]エチル]ブチルマロネート、商品名「Tinuvin 144」、BASF社製
((F)成分)
はんだ粉末:合金組成はSn-3.0Ag-0.5Cu、粒子径分布は15~25μm
【0049】
[実施例1]
ロジン系樹脂A28.5質量%、ロジン系樹脂B14.5質量%、ジカルボン酸A5質量%、ジカルボン酸B3質量%、アミン系活性剤5質量%、溶剤A25質量%、溶剤B9質量%、溶剤E4.5質量%、およびチクソ剤5.5質量%を容器に投入し、プラネタリーミキサーを用いて混合してフラックス組成物を得た。
その後、得られたフラックス組成物11.5質量%、およびはんだ粉末88.5質量%(合計で100質量%)を容器に投入し、プラネタリーミキサーにて混合することではんだ組成物を調製した。
【0050】
[実施例2~11]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。
[比較例1~9]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、はんだ組成物を得た。
【0051】
<はんだ組成物の評価>
はんだ組成物の評価(ボイド面積率、連続印刷性、版上放置後の印刷性、ローリング後の粘度変化)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。
(1)ボイド面積率
QFN部品を搭載できる基板に、はんだ組成物を印刷し、SnめっきQFN(6mm×6mm)を搭載する。リフロー炉(タムラ製作所社製)で、はんだ組成物を融解させて、はんだ付けを行って、評価用基板を得た。なお、リフロー条件は、プリヒート温度が130~180℃(約80秒間)であり、温度220℃以上の時間が約50秒間であり、ピーク温度が248℃であり、大気雰囲気である。
評価用基板の接合部についてX線透過写真を撮影し、下面電極部分のボイド面積率[(ボイド面積÷ランド面積)×100](単位:%)を計測した。そして、ボイド面積率を算出し、下記の基準に従って、ボイド面積率を評価した。
◎:ボイド面積率が、10%未満である。
○:ボイド面積率が、10%以上20%未満である。
△:ボイド面積率が、20%以上30%未満である。
×:ボイド面積率が、30%以上である。
(2)連続印刷性
はんだ組成物を印刷機に投入し、マスク厚0.08mm、スキージ速度50mm/s、印圧20mm×N、版離れ速度2mm/sの条件で、クリーニング無しで、連続10枚の印刷を行った。直径0.18mmの各100点を、外観検査機(Kohyoung aspire2)にて確認し、下記の基準に従って、連続印刷性を評価した。
◎:Min体積率が60%以上である。
○:Min体積率が50%以上60%未満である。
△:Min体積率が30%超50%未満である。
×:Min体積率が30%以下である。
(3)版上放置後の印刷性
前記(2)連続印刷性の試験を行い、その後、温度25℃相対湿度50%環境下の版上にて、1時間放置を行った。放置後、前記(2)連続印刷性の試験を行い、連続10枚の再印刷を行った。直径0.18mmの各100点を、外観検査機(Kohyoung aspire2)にて確認し、下記の基準に従って、版上放置後の印刷性を評価した。
◎:Min体積率50%までに回復したときの印刷枚数が1枚目であった。
○:Min体積率50%までに回復したときの印刷枚数が2枚目であった。
△:Min体積率50%までに回復したときの印刷枚数が3枚目であった。
×:Min体積率50%までに回復したときの印刷枚数が4枚目以降であった。
(4)ローリング後の粘度変化
はんだ組成物を試料とし、この試料を、開口の無いメタルマスク上に載せる。これを印刷機にセットし、ウレタンスキージにて連続印刷動作を12時間行うローリング試験を施す。そして、ローリング試験の前後の試料について、粘度を測定した。そして、初期の粘度値(η1)に対する、ローリング試験後の粘度値(η2)との差(η2-η1)を求め、粘度変化率[{(η2-η1)/η1}×100](単位:%)を算出した。なお、粘度測定は、スパイラル方式の粘度測定(マルコム社製、PCU-II型、測定温度:25℃、回転速度:10rpm、3分間攪拌後)によりを行った。そして、以下の基準に従って、ローリング後の粘度変化を評価した。
◎:粘度変化率が、-10%以上10%以下である。
○:粘度変化率が、-20%以上-10%未満、或いは、10%超20%以下である。
△:粘度変化率が、-30%以上-20%未満、或いは、20%超30%以下である。
×:粘度変化率が、-30%未満、或いは、30%超である。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示す結果からも明らかなように、本発明のはんだ組成物(実施例1~11)は、ボイド面積率、連続印刷性、版上放置後の印刷性、およびローリング後の粘度変化の全てが良好であることが確認された。
従って、本発明のはんだ組成物によれば、ボイドを十分に抑制でき、かつ印刷性を向上できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のフラックス組成物およびはんだ組成物は、電子機器のプリント配線基板などの電子基板に電子部品を実装するための技術として好適に用いることができる。