特開 2024-137361 炊飯器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024137361

(43)【公開日】2024-10-07

(54)【発明の名称】炊飯器

(51)【国際特許分類】

   A47J 27/09 20060101AFI20240927BHJP

   A47J 27/08 20060101ALI20240927BHJP

【ＦＩ】

A47J27/09

A47J27/08 G

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023048856

(22)【出願日】2023-03-24

(71)【出願人】

【識別番号】390010168

【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110003063

【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】下峰 実

(72)【発明者】

【氏名】渡辺 祥紀

【テーマコード（参考）】

4B055

【Ｆターム（参考）】

4B055AA02

4B055AA08

4B055BA56

4B055CA21

4B055CA69

4B055CC29

4B055GB25

(57)【要約】

【課題】従来よりも部品点数を抑え、かつ、清掃が容易な圧力調整機構を備えた炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器１００では、被炊飯物Ｓを収容する釜４と、釜４を収容する本体１と、本体１の上部開口を開閉する蓋体２と、釜４の内部の圧力を調整する調圧部４５と、を備え、調圧部４５は、蓋体２の内部に配設され、釜４の内部と連通して空気を流通させる調圧孔４９と、調圧孔４９を開閉する調圧弁パッキン４５Ｅと、調圧孔４９を閉塞する方向に調圧弁パッキン４５Ｅに付勢力を付与する調圧バネ４５Ｄと、調圧弁パッキン４５Ｅ及び調圧バネ４５Ｄを有する弁ユニットを移動させて調圧孔４９を開閉させるソレノイド５４及びフレーム５５と、を備え、ソレノイド５４及びフレーム５５により弁ユニットを移動させて調圧孔４９を閉塞した状態から釜４の内部の圧力が付勢力より大きくなった場合に調圧孔４９が開放する構成としている。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

被炊飯物を収容する釜と、
前記釜を収容する本体と、
前記本体の上部開口を開閉する蓋体と、
前記釜の内部の圧力を調整する調圧部と、を備え、
前記調圧部は、前記蓋体の内部に配設され、前記釜の内部と連通して空気を流通させる調圧孔と、前記調圧孔を開閉する弁と、前記調圧孔を閉塞する方向に前記弁に付勢力を付与する付勢手段と、前記弁及び前記付勢手段を有する弁ユニットを移動させて前記調圧孔を開閉させる開閉手段と、を備え、
前記開閉手段により前記弁ユニットを移動させて前記調圧孔を閉塞した状態から前記釜の内部の圧力が前記付勢力より大きくなった場合に前記調圧孔が開放することを特徴とする炊飯器。

【請求項2】

前記調圧孔と離れた位置に、前記釜の内部と連通して空気を流通させる開閉孔と、前記開閉孔を開閉する安全弁と、を有し、
前記付勢力より大きい所定圧力が前記安全弁に付与されると前記開閉孔が開放することを特徴とする請求項１に記載の炊飯器。

【請求項3】

前記釜の内部から前記調圧孔を流通した蒸気が前記蓋体の外部へ放出される放出口部を有し、
前記調圧孔から前記放出口部までの流路に、前記流路が拡大する拡大空間が形成されていることを特徴とする請求項１に記載の炊飯器。

【請求項4】

前記弁は、前記調圧孔を覆うパッキンを備え、
前記パッキンが前記調圧孔の直径よりも大きい直径の環状突起部を有することを特徴とする請求項１に記載の炊飯器。

【請求項5】

前記弁が前記調圧孔を閉塞した状態では、前記環状突起部が外側方向に弾性変形することを特徴とする請求項４に記載の炊飯器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、釜内の圧力を調圧部で自在に調整する炊飯器に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、炊飯中或いは保温中に、釜内を大気圧とは異なる気圧状態とする炊飯器があった。このような炊飯器では、釜内の圧力を調整するために、球状の弁体からなる圧力調整用の機構部品が必要であり、釜の上方を覆う蓋に当該機構部品を配置する商品が主流となっている。こうした圧力調整用の機構部品を蓋に備えた炊飯器は、例えば特許文献１に開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２２－１３０４２号明細書

【発明の開示】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかし特許文献１の炊飯器では、圧力調整用の機構部品は部品点数が多く、清掃が煩雑であった。

【0005】

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、釜内の圧力を自在に調整でき、かつ清掃が容易で部品点数を抑えた炊飯器を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明は、被炊飯物を収容する釜と、前記釜を収容する本体と、前記本体の上部開口を開閉する蓋体と、前記釜の内部の圧力を調整する調圧部と、を備え、前記調圧部は、前記蓋体の内部に配設され、前記釜の内部と連通して空気を流通させる調圧孔と、前記調圧孔を開閉する弁と、前記調圧孔を閉塞する方向に前記弁に付勢力を付与する付勢手段と、前記弁及び前記付勢手段を有する弁ユニットを移動させて前記調圧孔を開閉させる開閉手段と、を備え、記開閉手段により前記弁ユニットを移動させて前記調圧孔を閉塞した状態から前記釜の内部の圧力が前記付勢力より大きくなった場合に前記調圧孔が開放することを特徴とする。

【発明の効果】

【0007】

本発明によれば、従来よりも部品点数を抑え、かつ、清掃が容易な圧力調整機構を備えた炊飯器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本発明の一実施形態を示す炊飯器の断面概略図である。

【図2】同上、蓋体の断面図である。

【図3】同上、蓋体の内部を示す斜視図である。

【図4】同上、蓋体を開放して内蓋組立ユニットを取外した状態の炊飯器の正面図である。

【図5】同上、調圧部の分解斜視図である。

【図6】同上、（ａ）調圧部の第１のフレーム位置を示す蓋体の部分断面図、（ｂ）調圧部の第２のフレーム位置を示す蓋体の部分断面図、（ｃ）第２のフレーム位置において釜内の圧力が設定値以上になった状態を示す蓋体の部分断面図、（ｄ）第２のフレーム位置において調圧孔が異物により閉塞された状態を示す蓋体の部分断面図である。

【図7】同上、安全弁の断面図である。

【図8】同上、電気的構成を示すブロック図である。

【発明を実施するための最良の形態】

【0009】

本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。

【0010】

以下、本発明の炊飯器に係る好ましい一実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。

【0011】

図１～図８は、本発明を炊飯器１００に適用した一実施形態を示している。先ず、これらの図面に基づいて、本実施形態における炊飯器１００の全体構成を説明すると、１は上面を開口した本体、２は本体１の開口上面を覆う開閉可能な蓋体であり、これらの本体１と蓋体２とにより炊飯器１００の外観が構成される。本体１は上面を開口した鍋収容部としての内枠３を有し、蓋体２を開けたときに、被調理物Ｓを収容する有底筒状の釜４が着脱自在に収容される構成となっている。そして本体１に釜４を入れて蓋体２を閉じると、蓋体２の下面部に装着された内蓋５が釜４の開口上面を塞ぐように構成される。

【0012】

釜４の母材は熱伝導性に優れたアルミニウム系素材であり、母材の外面の側面下部から底部にかけて、ＩＨ加熱による発熱に優れた磁性金属のステンレス素材からなる発熱体を接合して形成される。また釜４の内側には、例えばポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）やペルフルオロアルコキシフッ素樹脂（ＰＦＡ）からなる、図示しない鍋内面フッ素コートが塗布されている。

【0013】

内枠３は、例えばアルミメッキ鋼板製であり、収容された釜４との間に空間を持たせるように、全体が有底筒状に形成される。そのため釜４を内枠３に収容すると、釜４が内枠３に吊設されるように構成される。釜４の側面下部から底面に対向する内枠３の外面には、被炊飯物Ｓを炊飯するために釜４を加熱する加熱手段としてＩＨ（induction heating：誘導加熱）ヒータによる底面ヒータ６が配設される。この底面ヒータ６に高周波電流を供給すると、底面ヒータ６から発生する交番磁界によって、釜４の外面に設けた磁性体が発熱し、調理時と保温時に釜４内の被炊飯物Ｓを加熱する構成となっている。

【0014】

内枠３の中央には挿通穴３ａが設けられており、本体１には、この挿通穴３ａを通り抜けて、釜４の底部の外面である外底面に当接するサーミスタ式の釜温度センサ１５が配設される、鍋温度検知手段となる釜温度センサ１５は釜４の底部温度を検知しており、後述する制御手段６１（図８参照）は、主に釜温度センサ１５の検知温度に基づき底面ヒータ６を制御するように構成される。

【0015】

蓋体２の上面には、釜４内の被調理物Ｓから発生する蒸気を炊飯器１００の外部に排出する蒸気口１１が設けられている。また蓋体２の前方上面には、蓋開手段としての蓋体操作体１２が露出状態で配設される。この蓋体操作体１２を押動操作すると、本体１と蓋体２との係合が解除され、本体１の上部後方に設けたヒンジバネ１３により、蓋体２の後方下部に設けられたヒンジ軸１４を回転中心として蓋体２が開く構成となっている。

【0016】

蓋体２の上面部には、蒸気口１１や蓋体操作体１２の他に表示操作ユニット２１が設けられる。表示操作ユニット２１は、炊飯に関わる様々な情報を表示するための、画面表示部としてのＬＣＤ（Liquid Crystal Display：液晶ディスプレイ）２２や、現在の炊飯器１００の状態を表示する状態表示部としてのＬＥＤ（Light Emitting Diode：発光ダイオード）２３などで構成される表示手段２４と、例えばタッチセンサなどで構成されてＬＣＤ２２の上方に配設され、炊飯を開始させたり、炊飯コ－スを選択させたりするための操作手段２５と、で主に構成される。そして、これらの表示手段２４や操作手段２５の下面には、炊飯器１００の各部を制御するための制御手段６１（図８参照）を備えた制御ＰＣ（Printed Circuit：印刷回路）板２６が配置される。また表示操作ユニット２１の上方には、表示手段２４や操作手段２５や制御ＰＣ板２６を保護するための操作パネル２７が配置される。

【0017】

蓋体２は、外観部品となる外蓋３１と、外蓋３１の下方を形成する外蓋カバー３２から構成される。外蓋カバー３２にはステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の放熱板３３を設けている。放熱板３３の外側には、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の内蓋５を設けている。蓋体２の下面を形成する内蓋５の外側には、釜４と内蓋５との隙間を塞ぐ蓋パッキン３７が設けられる。蓋パッキン３７はシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなるシール部材として機能しており、蓋体２が閉じられたときに、蓋パッキン３７が釜４の上面に当接するように構成している。内蓋５と蓋パッキン３７はパッキンベース３８で一体化され、これらの内蓋５、蓋パッキン３７、パッキンベース３８で構成される内蓋組立ユニット３９が外蓋カバー３２の内面に着脱可能に備えられる。

【0018】

蓋体２の回動中心となるヒンジ軸１４の略反対側には、蓋体操作体１２に連動するクランプ４２が配置されており、このクランプ４２はクランプ軸４３で外蓋カバー３２に軸支されて、当該クランプ軸４３を中心軸としてクランプ４２が回転するように構成される。また本体１では、ヒンジバネ１３と略反対側に、クランプ４２と係合するクランプ受け（図示せず）が設けられており、クランプ４２とクランプ受けとの係合により、本体１と蓋体２とが閉状態を保持するようにしている。その一方で、蓋体２を開く場合には、蓋体操作体１２を押動操作してクランプ４２を逆方向に回転させ、クランプ４２とクランプ受けとの係合を解除する。

【0019】

蓋体２の内部には、釜４内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口１１と、内蓋５に形成された調圧孔４９とを連通する蒸気排出経路４１が形成される。内蓋組立ユニット３９には、釜４の内部と蒸気口１１との間の蒸気排出経路４１を開閉することにより、炊飯器本体１００の内部に収容された釜４に形成された内部空間４４の圧力を調整する調圧部４５が配設される。

【0020】

図４に示されるように、蒸気排出経路４１は蒸気口１１よりも大きい断面積を有し、また後述する調圧孔４９よりも大きい断面積を有している。また蒸気排出経路４１は、断面は外周側が広く内周側が狭い略台形状の四角柱の形状を有している。このように構成することにより、蓋温度センサ１６やソレノイド５４など部品が多く配設される蓋体２の中央近傍の体積を小さくして、蓋体２において部品の配設の少ない場所で体積を大きくすることができ、蒸気排出経路４１の体積をより大きく形成することができるため、蒸気排出経路４１に流入したおねばなどが蒸気口１１から排出されることを抑制することができる。また蒸気排出経路４１は、従来のものよりも断面積が大きい四角柱の形状であるため、清掃時に蒸気排出経路４１に手がより入れやすくなり、清掃をより容易にすることができる。そのため、蒸気排出経路４１は調圧孔４９から蒸気口１１までの流路が拡大する拡大空間としての機能を有している。

【0021】

調圧部４５は、調圧弁カムシャフト４５Ａと調圧弁カム４５Ｂと調圧弁カムカバー４５Ｃと調圧弁バネ４５Ｄと調圧弁パッキン４５Ｅと、安全弁８１とにより主に構成される。ここでいう内部空間４４とは、本体１に対して蓋体２を閉じたときに、釜４の内面と内蓋組立ユニット３９の下面とにより囲まれた、被炊飯物を収容するための空間である。

【0022】

調圧弁カムシャフト４５Ａは、上方を開放した有底円筒状の筒部４５Ａ１と、筒部４５Ａ１を上方から放射状に四等分する切欠部４５Ａ２と、四等分された筒部４５Ａ１においてに対向する一対の筒部４５Ａ１１、４５Ａ１２の上部を拡径して形成されたフランジ部４５Ａ３と、筒部４５Ａ１の下部を筒部４５Ａ１の周方向に沿って連続して凹設された溝部４５Ａ４を備えている。

【0023】

調圧弁カム４５Ｂは、上側カム部４５Ｂ１と、下側カム部４５Ｂ２と、上側カム部４５Ｂ１と下側カム部４５Ｂ２を上下方向に並設した状態で連結する一対の連結部４５Ｂ３と、一対の連結部４５Ｂ３の下部同士を連結する円環状の連結リング４５Ｂ４とを備えている。

【0024】

上側カム部４５Ｂ１の下部には、断面視で下方へ向かうに従い徐々に幅が小さくなる略三角形状に形成された上側突条部４５Ｂ５を備えている。下側カム部４５Ｂ２の上部には、断面視で上方へ向かうに従い徐々に幅が小さくなる略三角形状に形成された略三角形状に形成された下側突条部４５Ｂ６を備えている。

【0025】

上側突条部４５Ｂ５の頂点部４５Ｂ７は下向きに備えている一方で、下側突条部４５Ｂ６の頂点部４５Ｂ８は上向きに備えており、上側突条部４５Ｂ５の頂点部４５Ｂ７と下側突条部４５Ｂ６の頂点部４５Ｂ８は上下方向に所定間隔を有して対向している。

【0026】

調圧弁カムカバー４５Ｃは、円環状の基部４５Ｃ１と、基部４５Ｃ１の内周壁の対向する２箇所から上方に突出した一対のガイド部４５Ｃ２と、調圧弁カムカバー４５Ｃを外蓋カバー３２に固定するための一対の固定部４５Ｃ３と、安全弁用カバー部４５Ｃ４とを備えている。安全弁用カバー部４５Ｃ４は、後述する筒部１０２の上部を上方から保持するものである。

【0027】

基部４５Ｃ１には、外周縁部から下向きに凸設した外側環状凸部４５Ｃ５と、内周縁部付近から下向きに凸設した内側環状凸部４５Ｃ６とを備えている。そして、これらの基部４５Ｃ１、外側環状凸部４５Ｃ５及び内側環状凸部４５Ｃ６によって下向きに開放された凹部４５Ｃ７が形成される。

【0028】

固定部４５Ｃ３は一対のガイド部４５Ｃ２から水平外向きに突出して形成されている。固定部４５Ｃ３には上下方向に貫通する貫通孔４５Ｃ８を備えている。

【0029】

調圧バネ４５Ｄは、調圧弁カムシャフト４５Ａに調圧バネ４５Ｄの軸方向を上下方向として収容可能なコイルスプリングからなる。ここで、調整弁カム４５Ｂの下側カム部４５Ｂ２の下部には、調圧バネ４５Ｄが取付け可能な保持部４５Ｂ９を備えている。また調圧弁カムシャフト４５Ａの溝部４５Ａ４の内側底部には、調圧バネ４５Ｄが取付け可能な保持部４５Ａ５を備えている。そして後述するように溝部４５Ａ４が調圧弁パッキン４５Ｅの基部４５Ｅ１に収容されるため、調圧弁カムシャフト４５Ａと調圧弁カム４５Ｂと調圧バネ４５Ｄと調圧弁パッキン４５Ｅとが一体化した弁ユニットとして機能し、当該弁ユニットを上下に移動させることにより調圧孔４９が開閉される構成となっている。

【0030】

調圧弁パッキン４５Ｅは、調圧弁カムシャフト４５Ａの下部である溝部４５Ａ４を収容する有底凹状で外周の直径が調圧孔４９の直径よりも大きい基部４５Ｅ１と、基部４５Ｅ１の上部において基部４５Ｅ１の中心から水平方向へ放射状に延設された円盤状の第１横壁部４５Ｅ２と、第１横壁部４５Ｅ２の外周から上方に連続して立設された円筒状の縦壁部４５Ｅ３と、縦壁部４５Ｅ３の上部において縦壁部４５Ｅ３の中心から水平方向へ放射状に延設された円盤状の第２横壁部４５Ｅ４と、を備えている。

【0031】

また、第１縦壁部４５Ｅ２の中段内側には、第１縦壁部４５Ｅ２の周方向に凸設された内側凸条部４５Ｅ５を備えている。また、第２縦壁部４５Ｅ５の中段外側には、第２縦壁部４５Ｅ５の周方向に凸設された外側凸条部４５Ｅ６を備えている。

【0032】

基部４５Ｅ１の底面周縁には、下方へリング状に凸設された当接部４５Ｅ７を備えている。当接部４５Ｅ７は、頂部４５Ｅ８を下方へ向けた断面略半円形状に形成されており、頂部４５Ｅ８が平面に当接した場合に、当接部４５Ｅ７が外側方向に弾性変形することで、調圧弁パッキン４５Ｅと当該平面とが密着するように形成されている。

【0033】

調圧部４５の組立に際しては、まず調圧弁バネ４５Ｄの上部を調圧弁カム４５Ｂの保持部４５Ｂ９に固定する。調圧弁カム４５Ｂに保持された状態の調圧弁バネ４５Ｄを筒部４５Ａ１の内部に挿入する。調圧弁カム４５Ｂの一対の連結部４５Ｂ３の間に調圧弁カムシャフト４５Ａの筒部４５Ａ１が配置されるように、調圧弁カム４５Ｂに調圧弁カムシャフト４５Ａを下方から差し込み、筒部４５Ａ１のフランジ部４５Ａ３が連結リング４５Ｂ４を乗り越えると、フランジ部４５Ａ３が連結リング４５Ｂ４に係止して、調圧弁カム４５Ｂに調圧弁カムシャフト４５Ａが係合して一体化する。調圧弁カムシャフト４５Ａと調圧弁カム４５Ｂが一体化したものを、一対の連結部４５Ｂ３の外側面が一対のガイド部４５Ｃ２の内側面にそれぞれ嵌合するように、調圧弁カムカバー４５Ｃに上方から挿入する。

【0034】

調圧弁パッキン４５Ｅの取り付けについて説明すると、まず内側凸条部４５Ｅ５を溝部４５Ａ４に係合させて基部４５Ｅ１に溝部４５Ａ４を収容し、調圧弁カムカバー４５Ｃの基部４５Ｃ１と調圧弁パッキン４５Ｅの基部４５Ｅ１を組み付ける。

【0035】

次に調圧弁パッキン４５Ｅの第２横壁部４５Ｅ４に調圧弁カムカバー４５Ｃの基部４５Ｃ１を載置すると、凹部４５Ｃ７に第２横壁部４５Ｅ４が収容され、調圧弁カムカバー４５Ｃが調圧弁パッキン４５Ｅ上に位置決めされる。このように、調圧弁パッキン４５Ｅは取り付けられる。図２に示すように組み立てられた調圧部４５では、調圧弁カムシャフト４５Ａの筒部４５Ａ１、調圧弁カム４５Ｂの連結リング４５Ｂ４、及び調圧弁カムカバー４５Ｃの基部４５Ｃ１のそれぞれの中心が同軸（図５中、一点鎖線Ｘ）上に配置されており、上述の各工程もＸ方向の組立動作のみであるため、調圧部４５の組立作業を簡便なものとしている。また調圧部４５が正常に組み立てられているか確認する場合にはＸ方向から確認して各部品４５Ａ１、４５Ｂ４、４５Ｃ１がＸ軸上に揃っているか確認し、揃っていないと判断されたら各部品４５Ａ、４５Ｂ、４５Ｃ同士の組み付けを確認すればいいという利点もある。

【0036】

外蓋カバー３２には、ソレノイド５４を駆動源として可動するフレーム５５と調圧パッキン５６がそれぞれ配設される。フレーム５５は、当該フレーム５５の前後動作により、調圧弁カム４５Ｂと調圧バネ４５Ｄと調圧弁パッキン４５Ｅとが一体化した弁ユニットを上下移動させる調圧弁操作部５７と、当該フレーム５５の前後動作により、クランプ４２の回動を規制／規制解除するクランプ動作規制部５８とを有して構成されている。

【0037】

調圧弁操作部５７はフレーム５５において調圧部４５側に突出した部分であり、水平に延設された基端部５７Ａと、基端部５７Ａの先端側を下り傾斜のスロープ状に形成した傾斜部５７Ｂと、傾斜部５７Ｂの先端を水平に延設した水平部５７Ｃとを備えている。そしてフレーム５５が前方に移動しており調圧弁カム４５Ｂが基端部５７Ａに位置している位置を第１のフレーム位置（図６（ａ））とし、この位置にフレーム５５がある場合は、フレーム５５が調圧弁カム４５Ｂを上方に押し上げることにより弁ユニットが上方の位置にあり、調圧孔４９を開放するように構成される。またフレーム５５が後方に移動しており調圧弁カム４５Ｂが水平部５７Ｃに位置している位置を第２のフレーム位置（図６（ｂ））としており、この位置にフレーム５５がある場合は、フレーム５５が調圧弁カム４５Ｂを下方に押し下げることにより弁ユニットが下方の位置にあり、弁ユニットの調圧弁パッキン４５Ｅが内蓋５に当接して調圧孔４９を閉塞するように構成される。

【0038】

なお基端部５７Ａと水平部５７Ｃとの間の長さＬは調圧バネ４５Ｄの長さや付勢力に対応している。具体的には、フレーム５５が第１のフレーム位置にあるときでは、内部空間４４の圧力、すなわち調圧弁パッキン４５Ｅ内の圧力が、例えば０．８気圧～０．４気圧などの減圧状態であっても、調圧弁パッキン４５Ｅが当該負圧に抗して内蓋５から上方に移動する程度の上方向の弾性力、すなわち引張り方向の弾性力を調圧バネ４５Ｄが弁ユニットに付勢して、弁ユニットが内蓋５から上方に移動するように構成している。またフレーム５５が第２のフレーム位置にあるときでは、弁ユニットが下方に移動して内蓋５に当接し、下方向の弾性力、すなわち圧縮方向の弾性力を調圧バネ４５Ｄが弁ユニットに付勢して、調圧弁パッキン４５Ｅの当接部４５Ｅ７が外側方向に弾性変形させ、内部空間４４の圧力、すなわち調圧弁パッキン４５Ｅ内の圧力が、例えば２０ｋＰａなどの加圧状態になるまでは調圧弁パッキン４５Ｅが内蓋５に当接したまま調圧孔４９が閉塞状態になるように構成される。そして図６（ｃ）に示されるように、第２のフレーム位置において、内部空間４４の圧力が、例えば２０ｋＰａなどの設定値以上に上昇すると、調圧弁パッキン４５Ｅが、調圧弁バネ４５Ｄから付勢される圧縮方向の弾性力に抗して押し上げられて調圧孔４９が開放されるように構成される。

【0039】

クランプ動作規制部５８はフレーム５５においてクランプ４２側に突出した部分である。そして第２のフレーム位置にフレーム５５がある場合は、クランプ動作規制部５８の先端部がクランプ４２の下方に位置することでクランプ４２の回動を規制し、クランプ４２とクランプ受けとの係合を解除できないように構成される。また第２のフレーム位置にフレーム５５がある場合は、クランプ動作規制部５８の先端部がクランプ４２の下方から移動し、クランプ４２の回動を規制しない位置にクランプ動作規制部５８が移動することにより、クランプ４２とクランプ受けとの係合を解除できるように構成される。

【0040】

安全弁８１は、内部空間４４の圧力が何らかの要因で設定値を超えた、例えば２６ｋＰａなどの異常圧力に昇圧すると、内蓋５に設けられた孔５０を開放して、内部空間４４の圧力を下げるものである。図４に示されるように、調圧部４５の調圧弁パッキン４５Ｅおよび安全弁８１は、内蓋５を外蓋カバー３２の下側に取り付けたときに、蒸気排出経路４１の入口側に臨んで設けられる。また内蓋５において孔５０は調圧孔４９と離れた位置に設けられることが好ましく、この孔５０を開閉させる安全弁８１も、弁ユニットとは離れた位置に配設されることが好ましい。このように構成すると、調圧孔４９および孔５０の両方が、おねばや混ぜご飯の具などの異物Ｓによって閉塞する虞を低減させることができる。

【0041】

図７を参照して説明すると、外蓋カバー３２には、孔５０の上側に配置される筒部１０２が一体に形成され、この筒部１０２内に開閉保持手段１０４を設けて安全弁８１が構成される。開閉保持手段１０４は、孔５０に対向するゴム製のキャップ部１０３と、このキャップ部１０３と共に上下動自在に取付けられる弁体としての開閉体１０７と、筒部１０２および開閉体１０７の間に介在するコイルスプリング等の弾性部材１０８とを備えている。また、内蓋５の孔５０をキャップ部１０３で常時塞ぐように、開閉保持手段１０４を構成する弾性部材１０８が、開閉体１０７を一方に付勢するようになっている。なお孔５０は、調圧孔４９と同様に蒸気排出経路４１と連通しており、孔５０から入った蒸気などは、蒸気排出経路４１を経由して蒸気口１１から排出されるように構成される。そのため孔５０は釜４の内部と連通して空気を流通させる開閉孔としての機能を有している。

【0042】

図６（ｄ）に示されるように、調圧孔４９が異物Ｓによって閉塞され調圧部４５による調圧孔４９の開放が不能となった場合、釜４内の圧力が、例えば２６ｋＰａ以上の異常圧力に到達すると開弁する安全弁８１は、内蓋５に形成した孔５０の周辺に設けられ、この孔５０の上面に配置される調圧カムカバー４５Ｃに全て組み込まれ、ユニット化されている。尚、安全弁８１が開放される、例えば２６ｋＰａなどの設定値は、調圧部４５が開放される、例えば２０ｋＰａなどの設定値より大きく設定されており、通常は孔５０が安全弁８１により閉塞され、内部空間４４の圧力が異常圧力になったときのみ孔５０が開放されるように構成されている。

【0043】

１８は、釜４内の内部空間４４の圧力を通常の大気圧よりも低くして釜４の内部を減圧する減圧手段であり、蓋体２を本体１に閉じ、調圧部４５の弁ユニットが調圧孔４９を閉塞して蒸気排出経路４１が閉塞された状態で、減圧手段１８の動作源となる真空ポンプ３４を駆動させ、減圧弁３５を開放させて、真空ポンプ３４と釜４の内部との間を連通する経路３６を開放することで密閉した釜４の内部圧力を低下させる。また、内部空間４４の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段１６の動作源となる真空ポンプ３４の動作を停止し、釜４内の内部空間４４を減圧状態に保っている。さらに内部空間４４の圧力を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合、真空ポンプ３４の動作を停止させると減圧弁３５が閉塞し、調圧部４５により調圧孔４９を開放することで蒸気排出経路４１を開放する。

【0044】

次に、上述の炊飯器１００の電気的構成について、図８を参照して説明する。６１は、炊飯器１００の各部を電気的に制御する制御手段であり、マイクロコンピュータや、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能な記憶手段としてのメモリや、時刻や炊飯に関する計時を行なう計時手段としてのタイマや、各部の駆動素子などを含んで構成される。制御手段６１の入力ポートには、操作部２５と、釜温度センサ１５と、蓋温度センサ１６とがそれぞれ電気的に接続される。また制御手段６１の出力ポートには、ＬＣＤ２２やＬＥＤ２３を含む表示手段２４と、底面ヒータ６と、蓋ヒータ１７と、ソレノイド５４と、真空ポンプ３４と、がそれぞれ電気的に接続される。

【0045】

制御手段６１は、釜温度センサ１５や蓋温度センサ１６からの各温度検知信号と、操作手段２５からの操作信号とを受けて、タイマからの計時に基づく所定のタイミングで、表示手段２４と、底面ヒータ６と、蓋ヒータ１７と、ソレノイド５４と、真空ポンプ３４と、に制御信号を各々出力する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としてのメモリに記憶されたプログラムを制御手段６１が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、炊飯時に釜４内の被炊飯物Ｓである米や水を炊飯加熱してご飯に炊き上げる炊飯制御手段６２として、制御手段６１を機能させるプログラムを備えている。

【0046】

炊飯制御手段６２は、操作手段２５からの炊飯開始の指示を受けて、釜４に投入した被炊飯物Ｓの中で米の吸水を促進させるひたし炊き工程と、被炊飯物Ｓの温度を短時間に沸騰まで上昇させる沸騰加熱工程と、被炊飯物Ｓの沸騰状態を継続させて、水の無いドライアップ状態にする沸騰継続工程と、ドライアップ状態になった被炊飯物Ｓを焦がさない程度の高温に維持して、ご飯に炊き上げるむらし工程の各工程を順に実行して、内部空間４４に収容される被炊飯物Ｓを所望の圧力で炊飯加熱する炊飯工程を行なうものである。

【0047】

本実施形態の炊飯器１００での炊飯時における動作を説明すると、炊飯器１００の電源プラグをコンセントに差し込んで通電すると、炊飯器１００は炊飯や保温が行われていない初期の切（待機）状態となる。これと前後して、ユーザは、釜４内に被炊飯物Ｓとして米や水、炊込みご飯の場合は具材や調味液も収容して、これを本体１の内枠３にセットした後に、蓋体２を閉じる。その後、操作手段２５により炊飯コースの設定を行なった後に炊飯開始の指示を操作すると、制御手段６１は、設定された炊飯コースの加熱パターンに沿って、炊飯制御手段６２により、釜４内の被炊飯物Ｓに対するひたし炊き工程、沸騰加熱工程、沸騰継続工程およびむらし工程という炊飯工程の動作を行なう。

【0048】

具体的に説明すると、炊飯工程が開始されるとひたし炊き工程に移行し、炊飯制御手段６２は、フレーム５５が第２のフレーム位置に移動するようにソレノイド５４を制御すると、図６（ｂ）に示されるように、フレーム５５が調圧弁カム４５Ｂを下方に押し下げて弁ユニットが下方の位置に移動し、弁ユニットの調圧弁パッキン４５Ｅが内蓋５に当接して調圧孔４９を閉塞する。そしてこの状態で、炊飯制御手段６２は、真空ポンプ３４を連続動作させるように制御すると、減圧弁３５を開放されて、密閉した釜４の内部の空気を、経路３６を介して真空ポンプ３４で抜き取る真空引きが行なわれる。その後、炊飯制御手段６２は、釜４内部の内部空間４４の圧力が一定値以下になる減圧状態で維持されるように真空ポンプ３４を制御する。こうしてひたし炊き工程の全期間に亘って、釜４内部を減圧状態に保っている。

【0049】

またひたし炊き工程が開始されると、炊飯制御手段６２は、釜温度センサ１５による温度検知に基づき、例えば４０℃～６０℃の所定のひたし維持温度に維持するように底面ヒータ６を制御し、米の吸水を促進させる。炊飯制御手段６２が、所定のひたし炊き工程の期間が経過した旨のタイマからの信号を受け取るとひたし炊き工程が終了し、次の沸騰加熱工程に移行する。

【0050】

沸騰加熱工程に移行すると、被炊飯物Ｓの沸騰検知を行なうまでの加熱で、炊飯制御手段６２は底面ヒータ６を連続通電する制御を行なうことにより、ひたし炊き工程よりも釜４内の被炊飯物Ｓを強く加熱し、被炊飯物Ｓを短時間で沸騰の温度まで上昇させる。また炊飯制御手段６２は真空ポンプ３４の動作を停止させるように制御すると、減圧弁３５が閉じることにより経路３６が閉塞される。そして炊飯制御手段６２は、フレーム５５が第１のフレーム位置に移動するようにソレノイド５４を制御すると、図６（ａ）に示されるように、フレーム５５が調圧弁カム４５Ｂを上方に押し上げ、調圧バネ４５Ｄにより弁ユニットが上方向に付勢されて、弁ユニットが減圧状態の内部空間４４の圧力に抗して上方の位置に移動することにより調圧孔４９が開放される。これにより蒸気排出経路４１は、釜４の内外を密閉せずに連通させた開放状態となり、釜４内部の内部空間４４は直ちに外気と同じ常圧に戻る。

【0051】

その後、炊飯制御手段６２は、釜４の温度が所定温度以上、例えば９０℃以上に達した温度検知信号を釜温度センサ１５から受け取り、それに加えて内蓋５の温度が所定温度以上、例えば９０℃以上に達した温度検知信号を蓋温度センサ１６から受け取ると、被炊飯物Ｓの沸騰を検知する沸騰検知の制御を開始する。炊飯制御手段６２が、引き続き、底面ヒータ６を連続通電する制御を行なって釜４内部で被炊飯物Ｓを強く加熱する一方で、釜温度センサ１５の検知温度や蓋温度センサ１６の検知温度が所定の時間にどの程度上昇するのかという検知温度の傾きを算出する。そして炊飯制御手段６２が、釜温度センサ１５の検知温度から釜４の温度上昇が所定の温度上昇率以下になったと算出したら、釜温度の温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定し、蓋温度センサ１６の検知温度から内蓋５の温度上昇が所定の温度上昇率以下になったと算出したら、蓋温度の温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定する。炊飯制御手段６２が釜温度の温度上昇率の変化による沸騰および蓋温度の温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定すると沸騰加熱工程が終了し、次の沸騰継続工程に移行する。

【0052】

沸騰継続工程に移行すると、炊飯制御手段６２は、フレーム５５が第２のフレーム位置に移動するようにソレノイド５４を制御すると、図６（ｂ）に示されるように、弁ユニットが下方の位置に移動して調圧孔４９を閉塞する。そしてこの状態で、炊飯制御手段６２は、釜温度センサ１５の検知温度から釜４の温度が、例えば９８℃以上など所定の温度を維持するように底面ヒータ６の通断電制御を行なうと共に、蓋温度センサ１６からの検知温度から内蓋５の温度が、例えば９８℃以上など所定の温度を維持するように蓋ヒータ１７を連続通電する制御を行ない、被炊飯物Ｓの沸騰状態を継続させ、かつ内蓋５への露付きを防止する。

【0053】

被炊飯物Ｓの沸騰状態が継続すると、被炊飯物Ｓから発生した蒸気が閉塞された釜４の内部空間４４に充満して内部空間４４の圧力が上昇していく。そして内部空間４４の圧力が、例えば２０ｋＰａなどの設定値以上に上昇すると、図６（ｃ）に示されるように、調圧弁パッキン４５Ｅが、調圧弁バネ４５Ｄから付勢される圧縮方向の弾性力に抗して押し上げられて調圧孔４９が開放され、釜４内の蒸気が蒸気排出経路４１に流入して蒸気口１１から炊飯器１００の外部に排出される。その後、釜４内の蒸気の流出により内部空間４４の圧力が設定値未満に減少すると、図６（ｂ）に示されるように、調圧弁バネ４５Ｄから付勢される圧縮方向の弾性力により調圧弁パッキン４５Ｅが下方に移動して調圧孔４９を閉塞する。このように調圧弁４５により蒸気排出経路４１が断続的に開閉されている。

【0054】

なお、例えば図６（ｄ）に示されるように、調圧孔４９が異物Ｓによって閉塞されているときは、調圧孔４９が開放されされないために、被炊飯物Ｓから発生した蒸気が内部空間４４にさらに充満して内部空間４４の圧力がさらに上昇していく。そして内部空間４４の圧力が、２６ｋＰａ以上の異常圧力に到達すると、安全弁８１のキャップ部１０３が、弾性部材１０８から付勢される圧縮方向の弾性力に抗して押し上げられて孔５０が開放され、釜４内の蒸気が蒸気排出経路４１に流入して蒸気口１１から炊飯器１００の外部に排出される。その後、釜４内の蒸気の流出により内部空間４４の圧力が設定値未満に減少すると、図６（ｂ）に示されるように、弾性部材１０８から付勢される圧縮方向の弾性力によりキャップ部１０３が下方に移動して孔５０を閉塞する。このように本実施形態の炊飯器１００では、調圧孔４９が異物Ｓによって閉塞されているときでも、被炊飯物Ｓの炊飯を継続して行なうことができるようにしている。

【0055】

その後、炊飯制御手段６２は、沸騰継続工程で鍋４内部の水が無くなり、釜温度センサ１５の検知温度から釜４の温度の上昇が所定の温度上昇率以上になったと算出すると、ドライアップを検知して釜４内部の被炊飯物Ｓの炊き上がりを検知したと判定する。被炊飯物Ｓの炊き上がりを検知すると沸騰継続工程が終了し、次のむらし工程に移行する。

【0056】

むらし工程中は、炊飯制御手段６２が蓋温度センサ１６の検知温度により、蓋ヒータ１７を通断電制御して温度管理を行ない、内蓋５への露付きを防止すると共に、釜４内部の被炊飯物Ｓであるご飯が焦げない程度に高温が保持されるように、底面ヒータ６を通断電制御して釜４の温度を管理する。また炊飯制御手段６２は、フレーム５５が第１のフレーム位置に移動するようにソレノイド５４を制御して、むらし工程を通して蒸気排出経路４１を開放するようにしている。その後、炊飯制御手段６２が、所定のむらし工程の期間が経過した旨のタイマからの信号を受け取ると、むらし工程が終了して炊飯工程が完了し、被炊飯物Ｓであるご飯を所定の保温温度に維持する保温工程に移行する。

【0057】

以上のように、本実施形態では、被炊飯物Ｓを収容する釜４と、釜４を収容する本体１と、本体１の上部開口を開閉する蓋体２と、釜４の内部の圧力を調整する調圧部４５と、を備え、調圧部４５は、蓋体２の内部に配設され、釜４の内部と連通して空気を流通させる調圧孔４９と、調圧孔４９を開閉する弁としての調圧弁パッキン４５Ｅと、調圧孔４９を閉塞する方向に調圧弁パッキン４５Ｅに付勢力を付与する付勢手段としての調圧バネ４５Ｄと、調圧弁パッキン４５Ｅ及び調圧バネ４５Ｄを有する弁ユニットを移動させて調圧孔４９を開閉させる開閉手段としてのソレノイド５４及びフレーム５５と、を備え、ソレノイド５４及びフレーム５５により弁ユニットを移動させて調圧孔４９を閉塞した状態から釜４の内部の圧力が付勢力より大きくなった場合に調圧孔４９が開放する構成としている。

【0058】

このように構成することにより、従来よりも部品点数を抑えた調圧部４５を備えた炊飯器１００を提供することができる。また、調圧部４５は部品点数を抑えたことで組立性に優れ、清掃も容易なものとすることができる。

【0059】

また本実施形態では、調圧孔４９と離れた位置に、釜４の内部と連通して空気を流通させる開閉孔としての孔５０と、孔５０を開閉する安全弁８１と、を有し、調圧部４５の調圧バネ４５Ｄの付勢力より大きい所定圧力としての異常圧力が安全弁８１に付与されると、孔５０が開放する構成とすることが好ましい。

【0060】

このように構成することにより、調圧孔４９および孔５０の両方が、おねばや混ぜご飯の具などの異物Ｓによって閉塞する虞を低減させることができ、調圧孔４９が異物Ｓによって閉塞されているときでも、被炊飯物Ｓの炊飯を継続して行なうことができる。

【0061】

また本実施形態では、釜４の内部から調圧孔４９を流通した蒸気が蓋体２の外部へ放出される放出口部としての蒸気口１１を有し、調圧孔４９から蒸気口１１までの流路に、この流路が拡大する拡大空間としての蒸気排出経路４１が形成されている構成としている。そのため、蒸気排出経路４１に流入したおねばなどが蒸気口１１から排出されることを抑制することができる。また蒸気排出経路４１に手がより入れやすくなるため、清掃をより容易にすることができる。

【0062】

また本実施形態では、調圧弁パッキン４５Ｅが調圧孔４９を覆うパッキンを備えており、調圧弁パッキン４５Ｅが調圧孔４９の直径よりも大きい直径の環状突起部としての当接部４５Ｅ７を有する構成としており、調圧孔４９をより確実に開閉することができる。

【0063】

また本実施形態では、調圧弁パッキン４５Ｅが調圧孔４９を閉塞した状態では、当接部４５Ｅ７が外側方向に弾性変形する構成としており、調圧弁パッキン４５Ｅと調圧孔４９が設けられた平面とをより密着させることができる。

【0064】

なお、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、本体１や蓋体２の構成については適宜変更可能である。

【符号の説明】

【0065】

１ 本体
２ 蓋体
４ 釜
１１ 蒸気口
４１ 蒸気排出経路（拡大空間）
４５ 調圧部
４５Ｄ 調圧弁バネ（付勢手段）
４５Ｅ 調圧弁パッキン（弁）
４５Ｅ７ 当接部（環状突起部）
４９ 調圧孔
５０ 孔（開閉孔）
５４ ソレノイド（開閉手段）
５５ フレーム（開閉手段）
８１ 安全弁
１００ 炊飯器
Ｓ 被炊飯物

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】