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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137363
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】プログラム、及び、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048858
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】森 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】平尾 朋之
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】生成油を効率的に生産することができる。
【解決手段】原料油を触媒で処理して処理油を得る処理装置の運転を支援するプログラムが、コンピュータを、処理装置に予定されている運転に関する運転予定データ50Cと、触媒の劣化モデルと、を取得する取得部52、劣化モデルと運転予定データ50Cとに基づいて運転予定データを満たす処理油の硫黄濃度を予測する予測部56、として機能させ、運転予定データ50Cは、処理装置の運転条件に関するデータ及び原料油の性状に関するデータを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料油を触媒で処理して処理油を得る処理装置の運転を支援するプログラムであって、
コンピュータを、
前記処理装置に予定されている運転に関する運転予定データと、前記触媒の劣化モデルと、を取得する取得部、
前記劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記運転予定データを満たす前記処理油の硫黄濃度を予測する予測部、
として機能させ、
前記運転予定データは、前記処理装置の運転条件に関するデータ及び前記原料油の性状に関するデータを含む、
プログラム。
【請求項2】
前記取得部は、前記処理装置が既に運転を実行した期間である第一運転期間における当該処理装置の運転実績データを取得し、
前記運転予定データは、前記第一運転期間の後の第二運転期間において予定されている運転に関するデータであり、
前記運転実績データは、前記処理装置の運転条件に関するデータと、前記原料油の性状に関するデータと、前記処理油の性状に関するデータと、を含み、
前記予測部は、前記運転実績データと前記劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記硫黄濃度を予測する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、
前記劣化モデルとして、予め定められた基準劣化モデルを記憶する記憶部、
前記運転実績データと前記基準劣化モデルとに基づいて前記処理装置の固有劣化モデルを生成する生成部、
として機能させ、
前記予測部は、前記固有劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記硫黄濃度を予測する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記基準劣化モデルは、入力変数と、前記入力変数が前記触媒の劣化に寄与する度合を表す寄与パラメータと、出力変数と、を含み、
前記入力変数は、前記運転条件に関するデータ及び前記原料油の性状に関するデータを含み、
前記出力変数は、前記触媒の劣化度に関する値を含み、
前記生成部は、前記運転実績データに基づいて前記基準劣化モデルの前記寄与パラメータを決定することにより、前記固有劣化モデルを生成する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記生成部は、前記運転実績データに基づいて前記劣化度に関する実績値を算出し、当該実績値と、当該運転実績データに含まれる前記運転条件に関するデータ又は前記原料油の性状に関するデータと基づいて当該実績値の補正値を算出し、当該補正値に基づいて前記固有劣化モデルを生成する、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記運転実績データは、前記触媒の劣化度に関する値を含み、
前記生成部は、前記触媒の劣化度に関する値を用いて前記固有劣化モデルを生成する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項7】
前記運転実績データを第一運転実績データとしたとき、
前記取得部は、前記第二運転期間における前記処理装置に関する第二運転実績データを取得し、
前記生成部は、前記第二運転実績データに基づいて前記固有劣化モデルを更新する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項8】
前記取得部は、前記触媒の劣化に関する所定期間を取得し、
前記生成部は、前記所定期間の後の前記第二運転実績データに基づいて前記固有劣化モデルを更新する、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記所定期間は、前記処理装置への通油開始直後から発生する前記触媒の不安定期間であり、
前記取得部は、取得された前記第二運転実績データに応じて、前記第二運転期間における前記不安定期間の終了を判定する、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記取得部は、前記第二運転期間において、当該第二運転期間よりも短い時間間隔で前記第二運転実績データを更新し、
前記生成部は、更新された前記第二運転実績データに基づいて前記固有劣化モデルを更新する、
請求項7乃至9の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記予測部は、前記固有劣化モデルと前記運転予定データと前記硫黄濃度とに基づいて、前記第二運転期間における前記処理装置の次の運転時間の前記劣化度に関する値を算出し、
算出した前記劣化度に関する値と前記運転予定データと前記固有劣化モデルとに基づいて、前記次の運転時間の前記硫黄濃度を算出し、
前記劣化度に関する値の算出と前記硫黄濃度の算出とを交互に繰り返すことにより、前記第二運転期間における前記処理装置の前記運転時間毎の前記劣化度に関する値と前記硫黄濃度とを算出する、
請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記予測部は、前記硫黄濃度と時間との関係を表す硫黄濃度予測データを生成する、
請求項1乃至9の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項13】
前記硫黄濃度を第一硫黄濃度としたとき、
前記コンピュータを、
ユーザによる前記処理装置の運転に関する運転情報の指定がある場合に、指定された運転情報を運転指定データとして受け付ける受付部、
前記予測部は、前記固有劣化モデルと前記運転指定データとに基づいて、当該運転指定データを満たす前記処理油の第二硫黄濃度を予測する、
請求項3から請求項9のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記予測部は、前記第一硫黄濃度と時間との関係を表す第一硫黄濃度予測データと、前記第二硫黄濃度と時間との関係を表す第二硫黄濃度予測データと、を生成する、
請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータを更に、
前記第一硫黄濃度予測データと、前記第二硫黄濃度予測データと、を共通の表示軸上に表示したグラフを出力する出力部として機能させる、
請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
原料油を触媒で処理して処理油を得る処理装置の運転を支援する情報処理装置であって、
前記処理装置に予定されている運転に関する運転予定データと、前記触媒の劣化モデルと、を取得する取得部と、
前記劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記運転予定データを満たす前記処理油の硫黄濃度を予測する予測部と、
を備え、
前記運転予定データは、前記処理装置の運転条件に関するデータ及び前記原料油の性状に関するデータを含む、
情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、及び、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原料油を処理して処理油を得る処理装置が知られている。
【0003】
これに関して、特許文献1には、原料油を処理装置としての脱硫装置により脱硫処理し、処理油としての間接脱硫重質軽油を分解装置に供給し、当該分解装置で接触分解して生成油を得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-089935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、分解装置の運転条件は、当該分解装置の生成油に課せられる規制値/基準値を満足するように、脱硫装置の処理油の硫黄濃度を考慮しながらユーザが決定することになる。ここで、ユーザによる処理油の硫黄濃度の予測が間違ってしまうと、生成油を効率的に生産することができない。
【0006】
そこで、本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生成油を効率的に生産することができるプログラム、及び、情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様に係るプログラムは、原料油を触媒で処理して処理油を得る処理装置の運転を支援するプログラムであって、コンピュータを、前記処理装置に予定されている運転に関する運転予定データと、前記触媒の劣化モデルと、を取得する取得部、前記劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記運転予定データを満たす前記処理油の硫黄濃度を予測する予測部、として機能させ、前記運転予定データは、前記処理装置の運転条件に関するデータ及び前記原料油の性状に関するデータを含む。
【0008】
本開示の別の態様に係る情報処理装置は、原料油を触媒で処理して処理油を得る処理装置の運転を支援する情報処理装置であって、前記処理装置に予定されている運転に関する運転予定データと、前記触媒の劣化モデルと、を取得する取得部と、前記劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記運転予定データを満たす前記処理油の硫黄濃度を予測する予測部と、を備え、前記運転予定データは、前記処理装置の運転条件に関するデータ及び前記原料油の性状に関するデータを含む。
【0009】
なお、本開示は、プログラムの一部または全部を実現する半導体集回路として実現され得たり、情報処理装置として実現され得たり、情報処理装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、生成油を効率的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係るサーバ装置の機能的構成の一例を示す図である。
図4】固有劣化モデルを算出する生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】処理油の硫黄濃度を予測する予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】脱硫装置の選択画面の一例を示す図である。
図7】触媒の反応温度と運転日数との関係を表す温度予測データ150の一例を示す図である。
図8】二次元グラフの一例を示す図である。
図9】条件指定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、本開示のいくつかの態様について説明する。
【0013】
本開示の第1態様に係るプログラムは、原料油を触媒で処理して処理油を得る処理装置の運転を支援するプログラムであって、コンピュータを、前記処理装置に予定されている運転に関する運転予定データと、前記触媒の劣化モデルと、を取得する取得部、前記劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記運転予定データを満たす前記処理油の硫黄濃度を予測する予測部、として機能させ、前記運転予定データは、前記処理装置の運転条件に関するデータ及び前記原料油の性状に関するデータを含む。
【0014】
本開示の第2態様に係るプログラムでは、第1態様において、前記取得部は、前記処理装置が既に運転を実行した期間である第一運転期間における当該処理装置の運転実績データを取得し、前記運転予定データは、前記第一運転期間の後の前記第二運転期間において予定されている運転に関するデータであり、前記運転実績データは、前記処理装置の運転条件に関するデータと、前記原料油の性状に関するデータと、前記処理油の性状に関するデータと、を含み、前記予測部は、前記運転実績データと前記劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記硫黄濃度を予測する。
【0015】
本開示の第3態様に係るプログラムでは、第2態様において、前記コンピュータを、前記劣化モデルとして、予め定められた基準劣化モデルを記憶する記憶部、前記運転実績データと前記基準劣化モデルとに基づいて前記処理装置の固有劣化モデルを生成する生成部、として機能させ、前記予測部は、前記固有劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記硫黄濃度を予測する。
【0016】
本開示の第4態様に係るプログラムでは、第3態様において、前記基準劣化モデルは、入力変数と、前記入力変数が前記触媒の劣化に寄与する度合を表す寄与パラメータと、出力変数と、を含み、前記入力変数は、前記運転条件に関するデータ及び前記原料油の性状に関するデータを含み、前記出力変数は、前記触媒の劣化度に関する値を含み、前記生成部は、前記運転実績データに基づいて前記基準劣化モデルの前記寄与パラメータを決定することにより、前記固有劣化モデルを生成する。
【0017】
本開示の第5態様に係るプログラムでは、第4態様において、前記生成部は、前記運転実績データに基づいて前記劣化度に関する実績値を算出し、当該実績値と、当該運転実績データに含まれる前記運転条件に関するデータ又は前記原料油の性状に関するデータと基づいて当該実績値の補正値を算出し、当該補正値に基づいて前記固有劣化モデルを生成する。
【0018】
本開示の第6態様に係るプログラムでは、第3態様において、前記運転実績データは、前記触媒の劣化度に関する値を含み、前記生成部は、前記触媒の劣化度に関する値を用いて前記固有劣化モデルを生成する。
【0019】
本開示の第7態様に係るプログラムでは、第2態様において、前記運転実績データを第一運転実績データとしたとき、前記取得部は、前記第二運転期間における前記処理装置に関する第二運転実績データを取得し、前記生成部は、前記第二運転実績データに基づいて前記固有劣化モデルを更新する。
【0020】
本開示の第8態様に係るプログラムでは、第7態様において、前記取得部は、前記触媒の劣化に関する所定期間を取得し、前記生成部は、前記所定期間の後の前記第二運転実績データに基づいて前記固有劣化モデルを更新する。
【0021】
本開示の第9態様に係るプログラムでは、第8態様において、前記所定期間は、前記処理装置への通油開始直後から発生する前記触媒の不安定期間であり、前記取得部は、取得された前記第二運転実績データに応じて、前記第二運転期間における前記不安定期間の終了を判定する。
【0022】
本開示の第10態様に係るプログラムでは、第7態様乃至第9態様の何れか1つの態様において、前記取得部は、前記第二運転期間において、当該第二運転期間よりも短い時間間隔で前記第二運転実績データを更新し、前記生成部は、更新された前記第二運転実績データに基づいて前記固有劣化モデルを更新する。
【0023】
本開示の第11態様に係るプログラムでは、第10態様において、前記予測部は、前記固有劣化モデルと前記運転予定データと前記硫黄濃度とに基づいて、前記第二運転期間における前記処理装置の次の運転時間の前記劣化度に関する値を算出し、算出した前記劣化度に関する値と前記運転予定データと前記固有劣化モデルとに基づいて、前記次の運転時間の前記硫黄濃度を算出し、前記劣化度に関する値の算出と前記硫黄濃度の算出とを交互に繰り返すことにより、前記第二運転期間における前記処理装置の前記運転時間毎の前記劣化度に関する値と前記硫黄濃度とを算出する。
【0024】
本開示の第12態様に係るプログラムでは、第1態様乃至第9態様の何れか1つの態様において、前記予測部は、前記硫黄濃度と時間との関係を表す硫黄濃度予測データを生成する。
【0025】
本開示の第13態様に係るプログラムでは、第1態様乃至第9態様の何れか1つの態様において、前記硫黄濃度を第一硫黄濃度としたとき、前記コンピュータを、ユーザによる前記処理装置の運転に関する運転情報の指定がある場合に、指定された運転情報を運転指定データとして受け付ける受付部、前記予測部は、前記固有劣化モデルと前記運転指定データとに基づいて、当該運転指定データを満たす前記処理油の第二硫黄濃度を予測する。
【0026】
本開示の第14態様に係るプログラムでは、第13態様において、前記予測部は、前記第一硫黄濃度と時間との関係を表す第一硫黄濃度予測データと、前記第二硫黄濃度と時間との関係を表す第二硫黄濃度予測データと、を生成する。
【0027】
本開示の第15態様に係るプログラムでは、第14態様において、前記コンピュータを更に、前記第一硫黄濃度予測データと、前記第二硫黄濃度予測データと、を共通の表示軸上に表示したグラフを出力する出力部として機能させる。
【0028】
本開示の第16態様に係る情報処理装置は、原料油を触媒で処理して処理油を得る処理装置の運転を支援する情報処理装置であって、前記処理装置に予定されている運転に関する運転予定データと、前記触媒の劣化モデルと、を取得する取得部と、前記劣化モデルと前記運転予定データとに基づいて前記運転予定データを満たす前記処理油の硫黄濃度を予測する予測部と、を備え、前記運転予定データは、前記処理装置の運転条件に関するデータ及び前記原料油の性状に関するデータを含む。
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態(以下、適宜、「本実施形態」と称す。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0030】
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図1に示すように、支援システム1は、原料油を処理して処理油を得る処理装置の運転を支援するシステムである。処理装置としては、主に、原料油を処理して他の装置へ供給する油を得る処理装置が挙げられる。以下、他の装置へ供給するために得られる途中段階の油を「処理油」又は「間接油」と称す場合がある。なお、処理装置は、原料油又は間接油を処理して完成段階の生成油を得る処理装置も含んでもよい。言い換えれば、処理油は、間接油の意味だけでなく、完成段階の生成油の意味を含んでもよい。本実施形態では、処理装置は、製油所Rに設置されるプラント装置群Oに含まれる脱硫装置O1と分解装置O2のうち、脱硫装置O1である場合を説明する。
【0032】
処理装置としての脱硫装置O1は、原料油を触媒に通油して脱硫することにより間接油を生成し、分解装置O2に供給する。脱硫装置O1としては、原料油を触媒に通油しながら水素化脱硫して、間接油を得る減圧軽油脱硫装置が挙げられる。分解装置O2は、供給された間接油を接触分解して生成油を得る。
【0033】
支援システム1は、サーバ装置10と、第一端末装置12と、第二端末装置14と、を備える。これらの装置は、イントラネットやインターネット、電話回線等の通信ネットワークNTを介して通信可能に接続されている。
【0034】
サーバ装置10は、プラント装置群Oの運転を支援するコンピュータの一例である。サーバ装置10は、脱硫装置O1から供給される間接油の硫黄濃度を予測し、予測結果を第二端末装置14に送信する。
【0035】
第一端末装置12は、製油所Rの担当者の操作により又は自動的に、プラント装置群Oに設置された計器から出力されるプラント装置群Oの運転実績データを受信する。第一端末装置12は、受信した運転実績データをサーバ装置10に送信する。なお、運転実績データは、プラント装置群Oからサーバ装置10に直接送信されてもよい。この場合、第一端末装置12は、省略されてもよい。
【0036】
第二端末装置14は、サーバ装置10から受信した予測結果を画面に出力する。なお、第二端末装置14は、以下では第一端末装置12と異なる装置として説明するが、第一端末装置12と同一の装置であってもよい。
【0037】
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態に係るサーバ装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0038】
図2に示すように、サーバ装置10は、プロセッサ20と、メモリ22と、入力装置24と、表示装置26と、記憶装置28と、通信装置30と、を備える。サーバ装置10は、プロセッサ20と、メモリ22と、入力装置24と、表示装置26と、記憶装置28と、通信装置30と、これらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。なお、サーバ装置10は、図2に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されていてもよいし、一部の装置を含まずに構成されていてもよい。
【0039】
プロセッサ20は、各種データを演算処理したり、表示装置26等を含めたサーバ装置10を制御処理したりする。プロセッサ20は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央演算装置(CPU: Central Processing Unit)によって構成されてもよい。プロセッサ20は、サーバ装置10における処理の実行に必要なプログラム等を、記憶装置28と通信装置30の少なくとも一方からメモリ22に読み出し、これらに従って処理を実行する。
【0040】
メモリ22は、コンピュータ可読記憶媒体であり、例えば、ROM(Read only memory)、EPROM(Erasable Program ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Program ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ22は、各種データを格納したり、サーバ装置10における処理の実行に必要なプログラム(プログラムコード)等を格納したりする。
【0041】
入力装置24は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス等)である。入力装置24は、ユーザの操作を受け付けて、当該操作をサーバ装置10に入力する。
【0042】
表示装置26は、外部への出力を実施する表示デバイス(例えば、ディスプレイ等)である。表示装置26は、文字や画像を出力する。
【0043】
記憶装置28は、非一時的コンピュータ可読命令記録媒体としてのハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等で構成される。この記憶装置28は、本実施形態に係るプログラムを含む、サーバ装置10における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。なお、非一時的コンピュータ可読命令記録媒体としては、他にも、磁気テープやフレキシブルディスク、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク、ブルーレイディスク、光磁気ディスク、メモリーカード、USBメモリ等の可搬型記録媒体が挙げられる。
【0044】
通信装置30は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置30は、有線ネットワークおよび無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)である。通信装置30は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークインタフェースカード、ネットワークコントローラ、ネットワークモジュール、通信モジュールなどとも呼ばれる。通信装置30は、例えば、第二端末装置14との間で各種の情報を送受信する。
【0045】
なお、サーバ装置10は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができる。また、サーバ装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、通信ネットワークNT上に分散した複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。また、図2は、サーバ装置10が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、サーバ装置10は、サーバが一般的に備える他の構成を備えることができる。また、第一端末装置12や第二端末装置14のハードウェア構成も、サーバ装置10と同様の構成を備えることができる。
【0046】
<機能的構成>
図3は、本実施形態に係るサーバ装置10の機能的構成の一例を示す図である。
【0047】
図3に示すように、サーバ装置10は、機能的構成として、記憶部50と、取得部52と、生成部54と、予測部56と、受付部58と、出力部60と、を備える。これらの機能的構成は、プロセッサ20がプログラムをメモリ22に読み出して実行することにより実現される。なお、これらの機能的構成の機能のうち少なくとも一部の機能を実装したプログラムが、複数台のコンピュータのストレージにインストールされてもよい。複数台のコンピュータのプロセッサは、自機にインストールされたプログラムをメモリに読み出して実行することにより、複数の機能的構成の機能を発揮してもよい。すなわち、複数の機能的構成の機能は、複数台のコンピュータにより分散して実行されてもよい。
【0048】
記憶部50は、例えば、基準劣化モデル50Aと、固有劣化モデル50Bと、運転実績データ50Cと、運転予定データ50Dと、が記憶される。
【0049】
基準劣化モデル50Aは、触媒の種類毎に記憶されている。この基準劣化モデル50Aは、例えば膨大な情報から経験的に導いた関数である。具体的には、基準劣化モデル50Aは、文献に記載されている理論式等の技術情報と、プラント装置群Oの使用を通じて得られた様々な運転条件における生成油の性状や触媒の劣化度合い等に関する知見と、プラント装置群Oの実験装置の使用を通じて得られた様々な運転条件における生成油の性状や触媒の劣化度合い等に関する知見と、プラント装置群Oと同等の機能を有する他のプラント装置の使用を通じて得られた様々な運転条件における生成油の性状や触媒の劣化度合い等に関する知見と、の少なくとも1つを利用して導出される。この基準劣化モデル50Aは、入力変数と、当該入力変数が触媒の劣化に寄与する度合を表す寄与パラメータと、出力変数と、を含む。入力変数は、運転条件に関するデータ及び原料油の性状に関するデータを含み、出力変数は、触媒の劣化度に関する値を含む。
【0050】
より具体的には、基準劣化モデル50Aは、数式1~3の何れか1つで表される関数を含む。なお、数式4は、数式3に関連する数式であり、数式3で表される関数が基準劣化モデル50Aに含まれる場合は数式4もともに含まれる。
【0051】
【数1】
【0052】
【数2】
【0053】
【数3】
【0054】
【数4】
【0055】
ここで、tを経過時間としたとき、Hmtは入力変数であり、運転条件に関するデータ及び原料油の性状に関するデータを含む。運転条件に関するデータとしては、水素分圧や、水素油比、反応温度等が挙げられる。原料油の性状に関するデータとしては、原料油中の窒素成分、原料油中のアロマ成分等が挙げられる。また、pは寄与パラメータであり、例えば機械学習によって求められる。また、Φ、dΦ/dt、dln(Φ)/dtは、それぞれ出力変数であり、Φは触媒の残活性割合、dΦ/dtは触媒の残活性割合Φの時間微分の値、dln(Φ)/dtは触媒の残活性割合Φの対数の時間微分の値である。この他にも、出力変数としては、t時間後の見かけの頻度因子や運転開始時の触媒の見かけの頻度因子を用いた値が挙げられる。
【0056】
固有劣化モデル50Bは、脱硫装置O1の固有の劣化モデルである。固有劣化モデル50Bは、脱硫装置O1の運転実績データ50Cと基準劣化モデル50Aとに基づいて生成される。また、固有劣化モデル50Bは、数式1~3で表される関数以外にも、数式5~8で表される関数を含んでもよい。
【0057】
【数5】
【0058】
【数6】
【0059】
【数7】
ただし、n≠1のときに限る。
【0060】
【数8】
ただし、n=1のときに限る。
【0061】
なお、Aは、t=0の脱硫触媒の見かけの頻度因子であり、nは反応実数であり、Rは気体定数であり、Eaは見かけの活性化エネルギーであり、既存の知見や実験で得られた値が用いられる。また、LHSVは原料油の通油量であり、[S]は間接油の硫黄濃度であり、[S]は原料油の硫黄濃度であり、Tは触媒の温度(T)である。
【0062】
運転実績データ50Cは、第一端末装置12によって定期的に送信されることで更新されるプラント装置群Oに関するデータである。運転実績データ50Cは、プラント装置群Oが既に運転を実行した期間である第一運転期間におけるプラント装置群Oに関する第一運転実績データと、第一運転期間の後の第二運転期間におけるプラント装置群Oに関する第二運転実績データと、を含む場合がある。プラント装置群Oに関するデータとは、プラント装置群Oそのもののデータであることを意味するとともに、プラント装置群Oそのもののデータではなく、プラント装置群Oの実験装置のデータであってもよいことを意味する。プラント装置群Oの実験装置とは、例えば、プラント装置群Oよりも比較的小規模な試験装置であり、ラボスケール、ベンチスケール、またはパイロットスケールでプラント装置群Oの運転に必要なデータを収集できる装置である。この運転実績データ50Cは、脱硫装置O1の過去の運転条件に関するデータと、過去の原料油の性状に関するデータと、過去の間接油の性状に関するデータと、を含む。過去の運転条件に関するデータとしては、例えば、触媒の温度や、応槽内の温度、原料油の通油量、原料油の分解率、反応槽内の圧力、反応ガス分圧(例えば水素分圧)、反応ガスの供給量(例えば水素ガスの供給量)、運転時間等が挙げられる。過去の原料油の性状に関するデータとしては、例えば、原料油の硫黄濃度、原料油の金属分濃度、原料油を構成する基材の名前、原料油を構成する基材の構成比、原料油のアロマ分濃度等が挙げられる。基材としては、例えば、原油の直留軽油(LGO)、重質軽油留分(HGO)、常圧蒸留残油留分(AR)、減圧軽油留分(VGO)、減圧重油留分(VR)、コーカガスオイル(COKER-GO)、流動接触分解灯油留分(FCC-KERO)、接触分解軽油(LCO)、接触分解残油(CLO)、溶剤脱れき装置の脱れき油(DAO)、水素化脱硫装置および水素化分解装置の重油留分等が挙げられる。間接油の性状に関するデータとしては、例えば、間接油の硫黄濃度、間接油の金属分濃度等が挙げられる。また、運転実績データ50Cは、触媒の劣化度に関する値を含んでもよい。例えば、運転実績データ50Cに含まれる運転条件に関するデータ、原料油の性状に関するデータ及び間接油の性状に関するデータに基づいて算出された劣化度に関する値の実績値が、運転実績データ50Cに含まれる運転条件に関するデータまたは原料油の性状に関するデータに基づいて補正された劣化度に関する値の補正値を含んでもよい。
【0063】
運転予定データ50Dは、プラント装置群O、特に脱硫装置O1に予定されている将来の運転に関するデータである。この運転予定データ50Dは、将来の脱硫装置O1の運転条件に関するデータ及び将来の原料油の性状に関するデータを含む。将来の運転条件に関するデータとしては、例えば、触媒の温度や、反応槽内の温度、原料油の通油量、原料油の分解率、反応槽内の圧力、反応ガス分圧(例えば水素分圧)、反応ガスの供給量(例えば水素ガスの供給量)、運転時間等が挙げられる。将来の原料油の性状に関するデータとしては、例えば、原料油の硫黄濃度、原料油の金属分濃度、原料油を構成する基材の名前、原料油を構成する基材の構成比、原料油のアロマ分濃度等が挙げられる。
【0064】
取得部52は、運転予定データ50Dと、基準劣化モデル50A又は固有劣化モデル50Bを含む触媒の劣化モデルと、を取得する。また、取得部52は、第一運転実績データ又は/及び第二運転実績データを含む運転実績データ50Cを取得してもよい。また、取得部52は、触媒の劣化に関する所定期間を取得してもよい。所定期間は記憶部50から取得されても、運転実績データ50C等に基づき算出することで取得されてもよい。例えば、所定期間は、脱硫装置O1への通油開始直後から発生する触媒の不安定期間である。取得部52は、取得された第二運転実績データに応じて、不安定期間の終了を判定することで、当該不安定期間を取得してもよい。取得部52は、例えば、第一運転実績データと第二運転実績データとを比較して、第二運転期間における不安定期間の終了を判定することで、当該不安定期間を取得してもよい。
【0065】
なお、不安定期間の終了を判定する方法として、第一運転実績データと第二運転実績データとを比較する以外にも、以下(1)~(3)の方法が挙げられる。
(1)ユーザは、第一運転期間に関する第一運転実績データに基づいて不安定期間を予め決定し、決定した長さに関する情報を記憶部50に格納してもよい。この場合、生成部54は、記憶部50から長さに関する情報を読み出し、第二運転期間開始後、第二運転実績データに含まれる運転時間の値を確認することにより又はタイマーにより不安定期間の長さの時間の経過を検出することにより、不安定期間の終了を判定してもよい。
(2)生成部54は、運転時間の代わりに、運転実績データ50Cに含まれる劣化度の実績値または劣化度の補正値に基づいて、不安定期間の終了を判断してもよい。ユーザは、第一運転実績データに基づいて不安定期間を予め決定し、決定した不安定期間の終了時点に対応する劣化度の実績値または補正値に関する情報を記憶部50に格納してもよい。この場合、生成部54は、記憶部50から劣化度の実績値または補正値に関する情報を読み出し、運転期間開始後、第二運転実績データに含まれる劣化度の実績値または補正値を確認することにより、不安定期間の終了を判定する。
(3)生成部54は、運転時間の代わりに、運転実績データ50Cに含まれる劣化度の実績値または補正値の変化率に基づいて、不安定期間の終了を判定してもよい。ユーザは、第一運転実績データの劣化度の変化率に基づいて不安定期間を予め決定し、決定した不安期間の終了時点に対応する変化率に関する情報を記憶部50に格納してもよい。この場合、生成部54は、記憶部50から変化率に関する情報を読み出し、運転期間開始後、第二運転実績データに含まれる劣化度の実績値または補正値の変化率を確認することにより、不安定期間の終了を判定する。なお、変化率は、所定の運転時間において、劣化度の値が変化した割合である。ユーザは、運転実績データに含まれる劣化度の値の推移または変化に基づいて、変化率を算出する運転時間の長さを調整できる。
【0066】
また、取得部52は、第二運転期間において、当該第二運転期間よりも短い時間間隔で第二運転実績データを更新してもよい。
【0067】
生成部54は、運転実績データ50Cと基準劣化モデル50Aとに基づいて脱硫装置O1の固有劣化モデル50Bを生成する。具体的には、生成部54は、運転実績データ50Cに基づいて基準劣化モデル50Aの寄与パラメータp(数式1~3参照)を決定することにより、固有劣化モデル50Bを生成する。例えば、生成部54は、運転実績データ50Cを機械学習モデルに入力することにより出力された値を寄与パラメータpとして決定する。
【0068】
また、生成部54は、運転実績データ50Cに基づいて触媒の劣化度に関する実績値を算出し、当該実績値と、運転実績データ50Cに含まれる運転条件に関するデータ又は原料油の性状に関するデータと基づいて当該実績値の補正値を算出し、当該補正値に基づいて固有劣化モデル50Bを生成してもよい。例えば、第一運転期間に関する劣化度の実績値に対する補正値は、第一運転実績データに基づいて算出される。補正値は、例えば、任意の運転時刻における第一運転実績データの所定の値を実績値とし、基準に用いると定められた運転時刻における第一運転実績データの所定の値を基準値とすると、実績値に対する基準値の比で表される。具体的には、補正値=基準値/実績値で表される。なお、実績値は、第一運転期間における任意の時刻毎に劣化度の補正値を算出する際に、当該任意の時刻に対応する第一運転実績データの値に応じて変動する値である。基準値は、第一運転期間における任意の時刻毎に劣化度の補正値を算出する際に、基準に用いると定められた第一運転実績データの値で固定されている値である。
また、生成部54は、運転実績データ50Cが触媒の劣化度に関する値を含んでいる場合には、上記補正値を算出する代わりに、当該運転実績データ50Cに含まれる劣化度に関する値を用いて固有劣化モデル50Bを生成してもよい。例えば、生成部54は、運転実績データ50Cに上記補正値が含まれている場合には、当該補正値を用いて固有劣化モデル50Bを生成してもよい。
【0069】
また、生成部54は、第二運転期間において、第二運転実績データに基づいて固有劣化モデル50Bを更新する。この際、生成部54は、所定期間、例えば不安定期間の後の第二運転実績データに基づいて固有劣化モデル50Bを更新してもよい。言い換えれば、生成部54は、不安定期間の第二運転実績データを除いた第二運転実績データに基づいて固有劣化モデル50Bを更新してもよい。生成部54は、第二運転期間よりも短い時間間隔で更新された第二運転実績データに基づいて固有劣化モデル50Bを更新してもよい。
【0070】
予測部56は、基準劣化モデル50A又は固有劣化モデル50Bを含む触媒の劣化モデルと運転予定データ50Dとに基づいて運転予定データ50Dを満たす間接油の第一硫黄濃度を予測する。例えば、予測部56は、第一運転実績データと劣化モデルと運転予定データ50Dとに基づいて間接油の第一硫黄濃度を予測する。具体的には、予測部56は、運転実績データ50C及び基準劣化モデル50Aに基づいて生成された固有劣化モデル50B、並びに、運転予定データ50Dに基づいて間接油の第一硫黄濃度を予測する。また、予測部56は、第一硫黄濃度と時間との関係を表す第一硫黄濃度予測データを生成してもよい。
【0071】
また、予測部56は、固有劣化モデル50Bと運転予定データ50Dと第一硫黄濃度とに基づいて、第二運転期間における脱硫装置O1の次の運転時間の劣化度に関する値を算出し、算出した劣化度に関する値と運転予定データ50Dと固有劣化モデル50Bとに基づいて、次の運転時間の第一硫黄濃度を算出し、劣化度に関する値の算出と第一硫黄濃度の算出とを交互に繰り返すことにより、第二運転期間における脱硫装置O1の運転時間毎の劣化度に関する値と第一硫黄濃度とを算出してもよい。
【0072】
受付部58は、ユーザによるプラント装置群Oの運転に関する運転情報の指定がある場合に、指定された運転情報を運転指定データとして受け付ける。これに応答して、予測部56は、固有劣化モデル50Bと運転指定データとに基づいて、当該運転指定データを満たす間接油の第二硫黄濃度を予測する。また、予測部56は、第二硫黄濃度と時間との関係を表す第二硫黄濃度予測データを生成してもよい。
【0073】
出力部60は、第一硫黄濃度予測データ又は/及び第二硫黄濃度予測データを出力する。具体的には、出力部60は、第一硫黄濃度予測データと、第二硫黄濃度予測データと、を共通の表示軸上に表示したグラフを出力する。
【0074】
<生成処理の流れ>
図4は、固有劣化モデル50Bを生成する生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。この生成処理は、例えば、サーバ装置10が起動されたときや所定時間毎に実行され、且つ、プラント装置群O毎に実行される。なお、以下の生成処理の内容及び処理の順番は適宜変更することができる。
【0075】
(ステップSP10)
生成部54は、例えば1週間や1ヵ月、6ヵ月等の所定期間が経過したか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP11の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には図4に示す一連の生成処理が終了する。
【0076】
(ステップSP11)
取得部52は、プラント装置群Oの運転実績データ50Cを取得する。また、取得部52は、プラント装置群Oに使用される触媒の種類に対応する基準劣化モデル50Aを取得する。また、取得部52は、プラント装置群Oの固有劣化モデル50Bがある場合には当該固有劣化モデル50Bも取得する。そして、処理は、ステップSP12の処理に移行する。
【0077】
(ステップSP12)
生成部54は、運転実績データ50Cに基づいて触媒の劣化度に関する実績値を算出し、当該実績値と、運転実績データ50Cに含まれる運転条件に関するデータ又は原料油の性状に関するデータと基づいて当該実績値の補正値を算出する。そして、処理は、ステップSP13の処理に移行する。
【0078】
(ステップSP13)
生成部54は、プラント装置群Oの今回の運転期間をN回目(Nは1以上の整数)の第N運転期間としたとき、取得部52が取得したデータの中に、第N-1運転期間の固有劣化モデル50Bが有るか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP15の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP14の処理に移行する。
【0079】
(ステップSP14)
ステップSP13で否定判定された場合、生成部54は、運転実績データ50Cと基準劣化モデル50Aとに基づき、第N運転期間の固有劣化モデル50Bを生成し、記憶部50に記憶する。なお、運転実績データ50Cがまだ存在しない場合には、生成部54は、基準劣化モデル50Aをそのまま第N運転期間の固有劣化モデル50Bとする。そして、図4に示す一連の生成処理が終了する。
【0080】
(ステップSP15)
ステップSP13で肯定判定された場合、生成部54は、取得部52が取得したデータの中に、第N運転期間の固有劣化モデル50Bが有るか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP17の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP16の処理に移行する。
【0081】
(ステップSP16)
ステップSP15で否定判定された場合、生成部54は、第N-1運転期間の固有劣化モデル50Bと運転実績データ50Cとに基づき、第N運転期間の固有劣化モデル50Bを生成し、記憶部50に記憶する。そして、図4に示す一連の生成処理が終了する。
【0082】
(ステップSP17)
ステップSP15で肯定判定された場合、取得部52は、第N-1運転期間の運転実績データである第N-1運転実績データと第N運転期間の運転実績データである第N運転実績データとを比較して、第N運転期間における不安定期間の終了を判定することで、当該不安定期間を決定する。そして、処理は、ステップSP18の処理に移行する。
【0083】
(ステップSP18)
生成部54は、取得部52が決定した不安定期間の後の第N運転実績データと第N運転期間の固有劣化モデル50Bとに基づいて第N運転期間の固有劣化モデル50Bを更新する。そして、図4に示す一連の生成処理が終了する。
【0084】
図5は、処理油の硫黄濃度を予測する予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。この予測処理は、例えば、サーバ装置10にて所定のプログラムが実行されたときに行われる。なお、以下の予測処理の内容及び処理の順番は適宜変更することができる。
【0085】
(ステップSP30)
予測部56は、第二端末装置14の要求に応じて、プラント装置群O、特に脱硫装置O1の選択画面を第二端末装置14に表示出力する。
【0086】
図6は、脱硫装置O1の選択画面の一例を示す図である。
【0087】
図6に示すように、選択画面100は、選択欄102と、表示欄104と、指定ボタン106と、を含む。選択欄102は、ユーザによる脱硫装置O1の選択操作を受け付ける欄である。表示欄104は、選択欄102にて選択された脱硫装置O1の運転予定データ50Dの各種情報が表示されている。指定ボタン106は、運転条件等を指定する場合にユーザにより押下されるボタンである。なお、選択画面100には、運転日数毎の設定反応温度の入力欄や、通油量、その他の運転条件等を含んでもよい。
【0088】
図5に戻って、処理は、ステップSP31の処理に移行する。
【0089】
(ステップSP31)
受付部58は、選択画面100にてユーザによる脱硫装置O1の選択がされたか否か、言い換えればユーザによる予測指示を受け付けたか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP32の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には図5に示す一連の予測処理が終了する。
【0090】
(ステップSP32)
取得部52は、運転予定データ50D等を取得する。具体的には、取得部52は、運転予定データ50Dと、基準劣化モデル50A又は固有劣化モデル50Bと、を取得する。なお、この運転予定データ50Dには、触媒の反応温度と時間(運転日数)との関係を表す温度予測データが含まれている。
【0091】
図7は、触媒の反応温度と運転日数との関係を表す温度予測データ150の一例を示す図である。この温度予測データ150は、予めユーザ等により設定され、運転予定データ50Dの一部として記憶部50に記憶されているものである。なお、図7には、参考のため温度実績データ152も表示されているが、温度実績データ152は、運転実績データ50Cに含まれている。
【0092】
図5に戻って、処理は、ステップSP33の処理に移行する。
【0093】
(ステップSP33)
取得部52は、ステップSP32にて取得したもののうち全部又は一部を選択画面100の表示欄104に表示する。そして、処理は、ステップSP34の処理に移行する。
【0094】
(ステップSP34)
予測部56は、固有劣化モデル50Bと運転予定データ50Dとに基づいて第一硫黄濃度を予測する。具体的には、予測部56は、固有劣化モデル50Bに含まれる数式4に、予め固有劣化モデルとして求めてある寄与パラメータpや運転予定データ50Dに基づいた入力変数Hmtを代入することにより出力変数Wを算出する。次に、予測部56は、固有劣化モデル50Bに含まれる数式3に出力変数Wを入力変数として代入することにより、劣化度に関する値Φを算出する。次に、予測部56は、固有劣化モデル50Bに含まれる数式5に劣化度に関する値Φを代入して出力変数Atを算出する。次に、予測部56は、固有劣化モデル50Bに含まれる数式6に出力変数Atを入力変数Aに代入して出力変数kを算出する。次に、予測部56は、固有劣化モデル50Bに含まれる数式7又は数式8に出力変数kを入力変数として代入して出力変数Sを算出する。そして、予測部56は、出力変数Sを第一硫黄濃度とすることで当該第一硫黄濃度を予測する。予測部56は、以上の予測を経過時間t毎に行うことで、第一硫黄濃度と時間との関係を表す第一硫黄濃度予測データを生成する。
【0095】
(ステップSP35)
予測部56は、予測結果として第一硫黄濃度予測データを第二端末装置14に出力する。具体的には、予測部56は、第一硫黄濃度予測データを表示した二次元グラフを出力する。
【0096】
図8は、二次元グラフ200の一例を示す図である。
【0097】
二次元グラフ200には、第一硫黄濃度予測データが表示されている。また、二次元グラフ200には、硫黄濃度実績データ204と、基準濃度206と、目標運転日数208と、が表示されている。硫黄濃度実績データ204は、運転実績データ50Cに含まれる硫黄濃度の実績値である。基準濃度206は、分解装置O2の生成油に課せられる規制値/基準値を満足する場合の当該生成油の硫黄濃度の基準値又は上限値である。目標運転日数208は、分解装置O2が目標とする運転の日数である。
【0098】
図5に戻って、処理は、ステップSP36の処理に移行する。
【0099】
(ステップSP36)
受付部58は、選択画面100にて指定ボタン106が押下されたか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP37の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には図5に示す一連の予測処理が終了する。
【0100】
(ステップSP37)
予測部56は、条件指定画面を第二端末装置14に表示出力する。この条件指定画面では、例えば、プラント装置群Oの運転情報(運転条件)として、原料油の通油量に関する原料油通油量を指定したり、原料油の蒸留性状に関する原料油蒸留性状を指定したり、原料油の硫黄濃度に関する原料油硫黄濃度を指定したり、生成油(間接油)の性状に関する生成油性状を指定したり、触媒の温度を指定したりすることができる。
【0101】
図9は、条件指定画面300の一例を示す図である。
【0102】
図9に示すように、条件指定画面300では、指定欄302と、指定欄304と、指定欄306と、指定欄308と、を含む。指定欄302では、減圧軽油留分(VGO)の混合比率をユーザが指定することができる。指定欄304では、コーカガスオイル(COKER-GO)の混合比率をユーザが指定することができる。指定欄306では、接触分解残油(CLO)、の混合比率をユーザが指定することができる。
【0103】
図5に戻って、処理は、ステップSP38の処理に移行する。
【0104】
(ステップSP38)
受付部58は、条件指定画面300において、ユーザによる運転情報の指定を運転指定データとして受け付ける。そして、処理は、ステップSP39の処理に移行する。
【0105】
(ステップSP39)
予測部56は、固有劣化モデル50Bと運転指定データとに基づいて当該運転指定データを満たす間接油の第二硫黄濃度を予測する。具体的には、予測部56は、運転指定データを機械学習モデルに入力することで寄与パラメータpを算出した後、ステップSP34の第一硫黄濃度の算出方法と同様の方法で第二硫黄濃度を予測し、当該第二硫黄濃度と時間との関係を表す第二硫黄濃度予測データを生成する。
【0106】
(ステップSP40)
出力部60は、第二硫黄濃度予測データの予測結果を第二端末装置14に出力する。具体的には、予測部56は、第二硫黄濃度予測データを表示した二次元グラフを出力する。
【0107】
図8に戻って、二次元グラフ200に、第二硫黄濃度予測データ210が第一硫黄濃度予測データ202と共通の表示軸上に表示されている。この共通の表示軸は、間接油の硫黄濃度と、プラント装置群Oの運転時間と、を含む。
【0108】
<作用効果>
以上、本実施形態に係るプログラムは、原料油を触媒で処理して処理油(間接油又は生成油)を得る脱硫装置O1の運転を支援するプログラムである。そして、このプログラムは、コンピュータを、脱硫装置O1に予定されている運転に関する運転予定データ50Dと、触媒の劣化モデルと、を取得する取得部52、劣化モデルと運転予定データ50Dとに基づいて運転予定データ50Dを満たす処理油の硫黄濃度を予測する予測部56、として機能させ、運転予定データ50Dは、脱硫装置O1の運転条件に関するデータ及び原料油の性状に関するデータを含む。
【0109】
この構成によれば、硫黄濃度を予測することができるので、予測した硫黄濃度を考慮して、分解装置O2の運転条件をユーザが決定でき、もって、分解装置O2から得られる生成油を効率的に生産することができる。
【0110】
また、本実施形態に係るプログラムでは、取得部52は、脱硫装置O1が既に運転を実行した期間である第一運転期間における当該脱硫装置O1の運転実績データ50Cを取得し、運転予定データ50Dは、第一運転期間の後の第二運転期間において予定されている運転に関するデータであり、運転実績データ50Cは、脱硫装置O1の運転条件に関するデータと、原料油の性状に関するデータと、処理油の性状に関するデータと、を含み、予測部56は、運転実績データ50Cと劣化モデルと運転予定データ50Dとに基づいて硫黄濃度を予測する。
【0111】
この構成によれば、運転実績データ50Cに基づいて硫黄濃度を予測するので、運転実績データ50Cに基づかずに硫黄濃度を予測する場合に比べて、硫黄濃度を精度良く予測することができ、もって、分解装置O2から得られる生成油をより効率的に生産することができる。
【0112】
また、本実施形態に係るプログラムでは、コンピュータを、劣化モデルとして、予め定められた基準劣化モデル50Aを記憶する記憶部50、運転実績データ50Cと基準劣化モデル50Aとに基づいて脱硫装置O1の固有劣化モデル50Bを生成する生成部54、として機能させ、予測部56は、固有劣化モデル50Bと運転予定データ50Dとに基づいて硫黄濃度を予測する。
【0113】
この構成によれば、脱硫装置O1固有の固有劣化モデル50Bに基づいて硫黄濃度を予測するので、基準劣化モデル50Aに基づいて硫黄濃度を予測する場合に比べて、硫黄濃度を精度良く予測することができ、もって、分解装置O2から得られる生成油をより効率的に生産することができる。
【0114】
また、本実施形態に係るプログラムでは、基準劣化モデル50Aは、入力変数と、入力変数が触媒の劣化に寄与する度合を表す寄与パラメータと、出力変数と、を含み、入力変数は、運転条件に関するデータ及び原料油の性状に関するデータを含み、出力変数は、触媒の劣化度に関する値を含み、生成部54は、運転実績データ50Cに基づいて基準劣化モデル50Aの寄与パラメータを決定することにより、固有劣化モデル50Bを生成する。
【0115】
この構成によれば、運転実績データ50Cに基づいて基準劣化モデル50Aの寄与パラメータを決定することにより、固有劣化モデル50Bを生成するので、寄与パラメータを決定すること無しに固有劣化モデル50Bを生成する場合に比べて、硫黄濃度を精度良く予測することができ、もって、分解装置O2から得られる生成油をより効率的に生産することができる。
【0116】
また、本実施形態に係るプログラムでは、生成部54は、運転実績データ50Cに基づいて劣化度に関する実績値を算出し、当該実績値と、運転実績データ50Cに含まれる運転条件に関するデータ又は原料油の性状に関するデータと基づいて当該実績値の補正値を算出し、当該補正値に基づいて固有劣化モデル50Bを生成する。
【0117】
この構成によれば、実績値の補正値を算出するので、劣化度に関する値の予測精度が向上し、もって硫黄濃度を精度良く予測することができる。
【0118】
また、本実施形態に係るプログラムでは、運転実績データ50Cは、触媒の劣化度に関する値を含み、生成部54は、触媒の劣化度に関する値を用いて固有劣化モデル50Bを生成する。
【0119】
この構成によれば、運転実績データ50Cに触媒の劣化度に関する値を含まない場合に比べて、硫黄濃度を精度良く予測することができる。
【0120】
また、本実施形態に係るプログラムでは、第一運転期間における運転実績データ50Cを第一運転実績データとしたとき、取得部52は、第二運転期間における脱硫装置O1に関する第二運転実績データを取得し、生成部54は、第二運転実績データに基づいて固有劣化モデル50Bを更新する。
【0121】
この構成によれば、固有劣化モデル50Bに第二運転実績データを反映させるため、硫黄濃度をさらに精度良く予測することができる。
【0122】
また、本実施形態に係るプログラムでは、取得部52は、触媒の劣化に関する所定期間を取得し、生成部54は、所定期間の後の第二運転実績データに基づいて固有劣化モデル50Bを更新する。
【0123】
この構成によれば、第二運転実績データのうち所定期間の後の第二運転実績データを固有劣化モデル50Bに反映させるため、硫黄濃度をさらに精度良く予測することができる。
【0124】
また、本実施形態に係るプログラムでは、所定期間は、脱硫装置O1への通油開始直後から発生する触媒の不安定期間であり、取得部52は、取得された第二運転実績データに応じて、第二運転期間における不安定期間の終了を判定する。
【0125】
この構成によれば、触媒の不安定期間にある第二運転実績データを除いた後の第二運転実績データを固有劣化モデル50Bに反映させるため、硫黄濃度をさらに精度良く予測することができる。
【0126】
また、本実施形態に係るプログラムでは、取得部52は、第二運転期間において、当該第二運転期間よりも短い時間間隔で第二運転実績データを更新し、生成部54は、更新された第二運転実績データに基づいて固有劣化モデル50Bを更新する。
【0127】
この構成によれば、第二運転実績データを適宜更新するので、硫黄濃度をさらに精度良く予測することができる。
【0128】
また、本実施形態に係るプログラムでは、予測部56は、固有劣化モデル50Bと運転予定データ50Dと硫黄濃度とに基づいて、第二運転期間における脱硫装置O1の次の運転時間の劣化度に関する値を算出し、算出した劣化度に関する値と運転予定データ50Dと固有劣化モデル50Bとに基づいて、次の運転時間の硫黄濃度を算出し、劣化度に関する値の算出と硫黄濃度の算出とを交互に繰り返すことにより、第二運転期間における脱硫装置O1の運転時間毎の劣化度に関する値と硫黄濃度とを算出する。
【0129】
この構成によれば、硫黄濃度の劣化度の変化を考慮して硫黄濃度を予測できるため、硫黄濃度の変化をユーザが精度良く把握できる。
【0130】
また、本実施形態に係るプログラムでは、予測部56は、硫黄濃度と時間との関係を表す硫黄濃度予測データを生成する。
【0131】
この構成によれば、硫黄濃度の変化をユーザが精度良く把握できる。
【0132】
また、本実施形態に係るプログラムでは、硫黄濃度を第一硫黄濃度としたとき、コンピュータを、ユーザによる脱硫装置O1の運転に関する運転情報の指定がある場合に、指定された運転情報を運転指定データとして受け付ける受付部58、予測部56は、固有劣化モデル50Bと運転指定データとに基づいて、当該運転指定データを満たす処理油の第二硫黄濃度を予測する。
【0133】
この構成によれば、ユーザは、運転情報を運転指定データとして指定することで、当該運転指定データを満たす処理油の第二硫黄濃度を予測することができる。
【0134】
また、本実施形態に係るプログラムでは、予測部56は、第一硫黄濃度と時間との関係を表す第一硫黄濃度予測データと、第二硫黄濃度と時間との関係を表す第二硫黄濃度予測データと、を生成する。
【0135】
この構成によれば、第一硫黄濃度予測データと、第二硫黄濃度と時間との関係を表す第二硫黄濃度予測データとを比較しながら、運転情報の指定を繰り返して適切な運転情報に調整することができる。これにより、第一硫黄濃度よりも理想的な第二硫黄濃度となるような脱硫装置O1の運転情報をユーザが容易に検討することができる。
【0136】
また、本実施形態に係るプログラムでは、コンピュータを更に、第一硫黄濃度予測データと、第二硫黄濃度予測データと、を共通の表示軸上に表示したグラフを出力する出力部60として機能させる。
【0137】
この構成によれば、ユーザは、グラフにて、第一硫黄濃度予測データと比較することで、第二硫黄濃度予測データの妥当性を容易に比較することができる。
【0138】
<変形例>
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本開示の特徴を含む限り本開示の範囲に包含される。
【0139】
例えば、上記実施形態では、第一硫黄濃度及び第二硫黄濃度の予測をサーバ装置10で行う構成を説明したが、これらの予測を第一端末装置12又は第二端末装置14で行ってもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、第一硫黄濃度が出力された後の処理については言及しなかったが、第一硫黄濃度に基づいて分解装置O2の運転条件を自動的に決定し、ユーザに提案する提案部をサーバ装置10に設けてもよい。
【符号の説明】
【0141】
10 :サーバ装置(情報処理装置)
50 :記憶部
50A :基準劣化モデル
50B :固有劣化モデル
50C :運転実績データ
50D :運転予定データ
52 :取得部
54 :生成部
56 :予測部
58 :受付部
60 :出力部
202 :第一硫黄濃度予測データ
210 :第二硫黄濃度予測データ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9