特開 2024-137367 太陽電池モジュール、太陽電池ガラス、ガラス窓、ロールスクリーン装置およびブラインド装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024137367

(43)【公開日】2024-10-07

(54)【発明の名称】太陽電池モジュール、太陽電池ガラス、ガラス窓、ロールスクリーン装置およびブラインド装置

(51)【国際特許分類】

   H01L 31/048 20140101AFI20240927BHJP

   H02S 30/10 20140101ALI20240927BHJP

   H02S 30/20 20140101ALI20240927BHJP

   E06B 5/00 20060101ALI20240927BHJP

   E06B 9/264 20060101ALI20240927BHJP

   E06B 9/13 20060101ALI20240927BHJP

   H02S 20/26 20140101ALI20240927BHJP

【ＦＩ】

H01L31/04 560

H02S30/10

H02S30/20

E06B5/00 A

E06B9/264 B

E06B9/13 B

E06B5/00 B

H02S20/26

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023048862

(22)【出願日】2023-03-24

(71)【出願人】

【識別番号】504163612

【氏名又は名称】株式会社ＬＩＸＩＬ

(74)【代理人】

【識別番号】100105924

【弁理士】

【氏名又は名称】森下 賢樹

(72)【発明者】

【氏名】石井 久史

【テーマコード（参考）】

2E043

2E239

5F251

【Ｆターム（参考）】

2E043AA01

2E043DA05

2E239AA01

2E239AB00

5F251BA03

5F251JA02

5F251JA03

5F251JA04

5F251JA06

5F251JA09

5F251JA13

5F251JA27

(57)【要約】

【課題】ガラスの見込み寸法の増大を抑えることのできる太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール１０は、太陽電池セル層１２と、太陽電池セル層１２を覆う封止材１４と、封止材１４で覆われた太陽電池セル層１２を両面から挟み込む一対の保護フィルム１６，１８とを備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

太陽電池セル層と、
前記太陽電池セル層を覆う封止材と、
前記封止材で覆われた前記太陽電池セル層を両面から挟み込む一対の保護フィルムと、
を備える太陽電池モジュール。

【請求項2】

前記封止材は、光透過性を有する材料で構成される、請求項１に記載の太陽電池モジュール。

【請求項3】

前記保護フィルムは、光透過性を有する材料で構成される、請求項１または２に記載の太陽電池モジュール。

【請求項4】

ガラスパネルと、
前記ガラスパネルの少なくとも一方の主面に貼り付けられた請求項１に記載の太陽電池モジュールと、
を備える太陽電池ガラス。

【請求項5】

請求項４に記載の太陽電池ガラスと、
前記太陽電池ガラスの外周端部を支持するフレームと、
を備えるガラス窓。

【請求項6】

請求項１に記載の太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールを巻き取る巻取ドラムと、
を備えるロールスクリーン装置。

【請求項7】

複数のスラットと、
前記スラットに配置された請求項１に記載の太陽電池モジュールと、
を備えるブラインド装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、太陽電池モジュール、並びに該太陽電池モジュールを用いた太陽電池ガラス、ガラス窓、ロールスクリーン装置およびブラインド装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、一対のガラスパネル間に太陽電池セル層を設けた合わせガラスタイプの太陽電池ガラスが知られている。また、合わせガラスタイプの太陽電池ガラスとガラスパネルとの間に中空層を設けた合わせ複層ガラスタイプの太陽電池複層ガラスも知られている（例えば特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１７－８５７５０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、上記のような合わせガラスタイプの太陽電池ガラスは、ガラスの枚数が一枚多くなるため、見込み寸法や重量が増大するという課題がある。見込み寸法や重量が増大すると、フレームの開口部寸法や断面形状なども大きく変更する必要がある。

【0005】

本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、ガラスの見込み寸法や重量の増大を抑えることのできる太陽電池モジュールを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記課題を解決するために、本発明のある態様の太陽電池モジュールは、太陽電池セル層と、太陽電池セル層を覆う封止材と、封止材で覆われた太陽電池セル層を両面から挟み込む一対の保護フィルムと、を備える。

【0007】

本発明の別の態様は、太陽電池ガラスである。太陽電池ガラスは、ガラスパネルと、ガラスパネルの少なくとも一方の主面に貼り付けられた上記の太陽電池モジュールとを備える。

【0008】

本発明のさらに別の態様は、上記の太陽電池ガラスと、太陽電池ガラスの外周端部を支持するフレームと、を備えるガラス窓である。

【0009】

本発明のさらに別の態様は、上記の太陽電池モジュールと、太陽電池モジュールを巻き取る巻取ドラムと、を備えるロールスクリーン装置である。

【0010】

本発明のさらに別の態様は、複数のスラットと、スラットに配置された上記の太陽電池モジュールと、を備えるブラインド装置である。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】実施形態に係る太陽電池モジュールを示す概略断面図である。

【図2】実施形態に係る太陽電池モジュールを用いた複層ガラスを示す概略断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。以下の構成は本開示を理解するための例示を目的とするものであり、本開示の範囲は、添付の請求の範囲によってのみ定まる。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。

【0013】

図１は、実施形態に係る太陽電池モジュール１０を示す概略断面図である。太陽電池モジュール１０は、ガラスに貼り付けて使用される。

【0014】

図１に示すように、太陽電池モジュール１０は、太陽電池セル層１２と、太陽電池セル層１２を覆う封止材１４と、封止材１４で覆われた太陽電池セル層１２を両面から挟み込む一対の保護フィルム１６，１８とを備える。

【0015】

太陽電池セル層１２は、複数の太陽電池セルが配列された層である。太陽電池セルは、光起電力効果を利用し、太陽光エネルギーを電力に変換するものである。太陽電池セル層１２では、複数の太陽電池セルが電気的に直列に接続され、必要な所定の電圧を得られるようになっている。太陽電池セル層１２は、薄膜シリコン、有機薄膜、色素増感、ペロブスカイトなどを用いたものであってよい。太陽電池セル層１２は、半透明であってもよいし、有色であってもよい。太陽電池セルは、片面受光タイプであってもいし、両面受光タイプであってもよい。

【0016】

封止材１４は、太陽電池セル層１２の全体を覆っている。より詳細には、封止材１４は、太陽電池セル層１２の両面（両方の主面）１２ａ、１２ｂおよび側面１２ｃ、１２ｄを覆っている。封止材１４は、光透過性を有する材料で構成されてよい。封止材１４は、例えば、軽量且つ耐久性を有するエチレン酢酸ビニル共重合樹脂（ＥＶＡ：Ethylen-Vinyl Acetate）、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）、アイオノマー、シリコーンなどを用いることができる。封止材１４の厚さは、１００μｍ～３００μｍであってよい。

【0017】

一対の保護フィルム１６，１８は、封止材１４で覆われた太陽電池セル層１２の両方の主面１２ａ、１２ｂを挟みこむように設けられる。保護フィルム１６，１８は、光透過性を有する材料で構成されてよい。保護フィルム１６，１８は、例えばＥＴＦＥ（Ethylene Tetra Fluoro Ethylen）、ポリカーボネート（ＰＣ）、ポリエチレン（ＰＥＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリプロピレン（ＰＰ）などを用いることができる。保護フィルム１６，１８の厚さは、２５μｍ～２５０μｍであってよい。

【0018】

太陽電池モジュール１０の全体の厚さは、３００μｍ～２０００μｍであってよい。太陽電池モジュール１０は、保護フィルム１６、１８の一方の表面に糊を塗布し、ガラスに貼り付けて使用することができる。太陽電池モジュール１０は非常に薄いため、ガラスの見込み寸法の増大を抑えることができる。

【0019】

図２は、実施形態に係る太陽電池モジュール１０を用いた複層ガラス（以下「太陽電池複層ガラス」と称する）を示す概略断面図である。図２に示す太陽電池複層ガラスの外周端部は、フレーム（サッシ）により支持される。太陽電池複層ガラスとフレームとを備えるガラス窓は、建物の開口部や腰部に配置される。

【0020】

図２に示すように、太陽電池複層ガラス２０は、透光性を有する一対のガラスパネル２２，２４（以下適宜、室外側ガラスパネル２２、室内側ガラスパネル２４と呼ぶ）と、スペーサ２６とを備える。

【0021】

太陽電池複層ガラス２０は、一対のガラスパネル２２，２４の間にスペーサ２６によって中空層２８を設け、該中空層２８に乾燥空気を封入した複層ガラスとして構成されている。スペーサ２６内には中空層２８の空気を乾燥状態に保つ吸湿剤２７が入れられている。

【0022】

一対のガラスパネル２２，２４の周縁部は封着材によりシールされており、中空層２８は外部空気と流通がなく、密閉された状態となっている。封着材は、スペーサ２６と一対のガラスパネル２２，２４の間をシールする一次封着材３０と、スペーサ２６と一次封着材３０の外側に配置され、一対のガラスパネル２２，２４の間をシールする二次封着材３２とを含む。中空層２８には、Ｋｒ（クリプトン）やＡｒ（アルゴン）などの希ガスが封入されてよい。

【0023】

太陽電池複層ガラス２０においては、室外側ガラスパネル２２の内側面２２ａと室内側ガラスパネル２４の内側面２４ａとが対向している。また、室外側ガラスパネル２２の外側面２２ｂが建物の外部空間に面しており、室内側ガラスパネル２４の外側面２４ｂが室内空間に面している。

【0024】

太陽電池複層ガラス２０は、中空層２８内に図１で説明した太陽電池モジュール１０を備える。太陽電池モジュール１０は、室外側ガラスパネル２２の内側面２２ａに糊で貼り付けられている。

【0025】

太陽電池モジュール１０の端部には、太陽電池セル層１２で生じた電流を外部に取り出すための取出電極３６が設けられている。この取出電極３６は、一次封着材３０および二次封着材３２を介して、中空層２８の外部に引き出されている。引き出された取出電極３６は、太陽電池複層ガラス２０の上部に設けられた端子箱３８に引き込まれており、端子箱３８において配線ケーブル（図示せず）と接続される。なお、端子箱３８は、太陽電池複層ガラス２０の上部に限定されず、太陽電池複層ガラス２０の側部や下部に配置されてもよい。

【0026】

以上のように構成された太陽電池複層ガラス２０では、室外側ガラスパネル２２の内側面２２ａ上に薄型の太陽電池モジュール１０を貼り付ける構成としていることから、従来の合わせ複層ガラスタイプの太陽電池複層ガラスと比較して、見込み寸法の増大を大幅に抑えることができるとともに、大幅な軽量化を図ることができる。太陽電池モジュール１０の厚さによるが、通常の複層ガラスとほぼ同じ見込み寸法とすることも可能である。また、通常の複層ガラスと比較して重心位置が大きく変わることもないので、断面性能や断面二次モーメントおよび断面極二次モーメントを大きくする必要もない。

【0027】

図２に示す実施形態では、室外側ガラスパネル２２の内側面２２ａに太陽電池モジュール１０を貼り付けたが、太陽電池モジュール１０を貼り付ける面はこれに限定されず、室外側ガラスパネル２２の外側面２２ｂ、室内側ガラスパネル２４の内側面２４ａ（室内側ガラスパネル２４の中空層２８側の面）、室内側ガラスパネル２４の外側面２４ｂに設けてもよい。また、二面以上に設けられてもよい。

【0028】

上記では複層ガラスの主面に太陽電池モジュール１０を貼り付けた実施形態を示したが、太陽電池モジュール１０は単相ガラスの少なくとも一方の主面に貼り付けられてもよい。この場合も、合わせガラスタイプの太陽電池ガラスと比較して、見込み寸法の増大を抑えることができる。

【0029】

太陽電池モジュール１０は、ロールスクリーン装置のスクリーン部としてそのまま使用されてもよい。太陽電池モジュール１０は非常に薄く、可撓性を有するため、そのまま巻取ドラムで巻き取ることも可能である。また、太陽電池モジュール１０を短冊状の形状とし、縦方向に配列された複数のスラットを備えるブラインド装置のスラットに貼り付ける、またはラミネートすることも可能である。

【0030】

以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。

【符号の説明】

【0031】

１０ 太陽電池モジュール、 １２ 太陽電池セル層、 １４ 封止材、 １６ 保護フィルム、 １８ 中空層、 ２０ 太陽電池複層ガラス、 ２２ 室外側ガラスパネル、 ２４ 室内側ガラスパネル、 ２６ スペーサ、 ２８ 中空層、 ３０ 一次封着材、 ３２ 二次封着材、 ３６ 取出電極、 ３８ 端子箱。

【図1】

【図2】