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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137369
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/225 20160101AFI20240927BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20240927BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240927BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20240927BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20240927BHJP
   B60L 15/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02K11/225
H02K11/25
H02K7/116
H02K9/19 A
H02K5/22
B60L15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048866
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】穴山 晃士郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 怜也
(72)【発明者】
【氏名】大河内 啓太
【テーマコード(参考)】
5H125
5H605
5H607
5H609
5H611
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125CB00
5H125DD01
5H125EE05
5H125EE08
5H125FF01
5H605AA08
5H605BB01
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC06
5H605EC00
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB02
5H607BB05
5H607BB14
5H607CC07
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE33
5H607EE34
5H607HH01
5H607HH09
5H609BB01
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP06
5H609QQ05
5H609QQ09
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB02
5H611PP01
5H611QQ03
5H611QQ04
5H611RR01
5H611UA01
(57)【要約】
【課題】回転センサの導線を回転部材等との干渉を抑制しつつ適切に固定でき、部品数の低減を図ることのできる車両用駆動装置を実現する。
【解決手段】パーキングギヤ6Gと回転電機1との軸方向Lの間に、パーキングギヤ6Gを回転電機1の側から覆うカバー部材2が配置され、ロータ12と一体的に回転するロータ軸13が、カバー部材2に対して軸方向Lの両側に亘って配置され、ロータ12の回転を検出する回転センサ8のセンサロータ8rが、ロータ12とパーキングギヤ6Gとの軸方向Lの間に配置されていると共にロータ軸13に固定され、センサステータ8s及びセンサステータ8sに接続された第1導線が、カバー部材2に固定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ及びステータを備えた回転電機と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
前記ロータと前記出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構と、
前記出力部材の回転を規制するためのパーキングロック機構と、
前記ロータの回転を検出する回転センサと、を備えた車両用駆動装置であって、
前記パーキングロック機構は、前記動力伝達機構を構成する回転体である対象回転体と一体的に回転するパーキングギヤを備え、
前記回転センサは、センサロータと、前記センサロータの回転を検出するセンサステータと、を備え、
前記ロータの回転軸心に沿う方向を軸方向として、
前記回転電機と前記パーキングギヤとが前記軸方向に並んで配置され、
前記パーキングギヤに対して前記回転電機が配置された側を軸方向第1側とし、前記軸方向第1側とは反対側を軸方向第2側として、
前記パーキングギヤを前記軸方向第1側から覆うカバー部材が、前記パーキングギヤと前記回転電機との前記軸方向の間に配置され、
前記ロータと一体的に回転するロータ軸が、前記カバー部材に対して軸方向の両側に亘って配置され、
前記センサロータが、前記ロータと前記パーキングギヤとの前記軸方向の間に配置されていると共に前記ロータ軸に固定され、
前記センサステータ及び前記センサステータに接続された第1導線が、前記カバー部材に固定されている、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記回転電機、前記動力伝達機構、前記パーキングロック機構、及び、前記回転センサを収容するケースと、
前記ケース内に収容された油の温度を検出する油温センサと、
前記第1導線における前記センサステータに接続された側とは反対側の端部が接続された中継部と、をさらに備え、
前記カバー部材は、前記ロータ軸よりも上側に位置するカバー上部から、前記ロータ軸に対して径方向の外側を通り、少なくとも前記ロータ軸の回転軸心よりも下側に位置するカバー下部まで延びるように形成され、
前記中継部は、前記カバー上部に配置され、
前記油温センサは、前記カバー下部に固定され、
前記油温センサに接続された第2導線が、前記カバー部材に固定されて、前記カバー下部から前記カバー上部まで前記カバー部材に沿って配線され、
前記第2導線における前記油温センサに接続された側とは反対側の端部が前記中継部に接続されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記ステータの温度を検出するステータ温度センサと、
前記第1導線における前記センサステータに接続された側とは反対側の端部が接続された中継部と、をさらに備え、
前記中継部及び前記ステータ温度センサは、前記カバー部材における前記ロータ軸よりも上側に位置する部分であるカバー上部に固定され、
前記ステータ温度センサに接続された第3導線が、前記カバー部材に固定され、
前記第3導線における前記ステータ温度センサに接続された側とは反対側の端部が前記中継部に接続されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記センサステータと前記第1導線と前記カバー部材とが、樹脂成型により一体的に形成されている、請求項1から3の何れか一項に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪の駆動源として回転電機を備えた車両用駆動装置には、当該回転電機を駆動制御するために、回転電機の回転(回転速度、ロータの回転位置)を検出する回転センサが備えられている。特開2009-142056号公報には、そのような回転センサの一例としてのレゾルバ(15)を備えた車両用駆動装置(1)が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。車両用駆動装置における回転電機はインナーロータ型が多く、この車両用駆動装置(1)でも、ロータ(24)の回転軸心を基準とした径方向外側にステータ(20)を備え、径方向内側にロータ(24)を備えている。
【0003】
レゾルバ(15)は径方向内側に配置されたロータ(24)の近傍に配置されている。また、ステータ(20)の近傍には、ステータコイル(21)のコイルエンドに対して回転軸心に沿った軸方向から冷却用の油を供給するためのパイプ(30)が延伸して、コイルエンドに向かって開口している。回転電機を駆動制御する制御装置とレゾルバ(24)とを電気的に接続するためのレゾルバハーネス(14)は、このパイプ(30)を利用してケース(10)内に配設されている。具体的には、レゾルバハーネス(14)は、パイプ(30)をケースに取り付けるためのブラケット(35)に形成されたクランプ部(35)により保持されると共に、パイプ(30)の湾曲部とクランプ部(35)とによって案内されている。このように、レゾルバハーネス(14)は、適切な経路を設定されつつ保持されることで、作業者によるケース内への配設作業の際に、作業が円滑に実施できる程度の余長を維持しつつ、ケース内において位置が拘束されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-142056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の文献によれば、ロータ(24)等の回転部材との接触によりレゾルバハーネス(14)を劣化させたり、パイプ(30)からの油の送出を遮ったりすることを抑制しつつ、レゾルバハーネス(14)がケース内に配設される。しかし、ブラケット(35)にクランプ(35)を設けるなど、回転センサの導線を配設するための部品が別途必要となる。
【0006】
上記背景に鑑みて、回転センサの導線を回転部材等との干渉を抑制しつつ適切に固定でき、部品数の低減を図ることのできる車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた車両用駆動装置は、ロータ及びステータを備えた回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、前記ロータと前記出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構と、前記出力部材の回転を規制するためのパーキングロック機構と、前記ロータの回転を検出する回転センサと、を備えた車両用駆動装置であって、前記パーキングロック機構は、前記動力伝達機構を構成する回転体である対象回転体と一体的に回転するパーキングギヤを備え、前記回転センサは、センサロータと、前記センサロータの回転を検出するセンサステータと、を備え、前記ロータの回転軸心に沿う方向を軸方向として、前記回転電機と前記パーキングギヤとが前記軸方向に並んで配置され、前記パーキングギヤに対して前記回転電機が配置された側を軸方向第1側とし、前記軸方向第1側とは反対側を軸方向第2側として、前記パーキングギヤを前記軸方向第1側から覆うカバー部材が、前記パーキングギヤと前記回転電機との前記軸方向の間に配置され、前記ロータと一体的に回転するロータ軸が、前記カバー部材に対して前記軸方向の両側に亘って配置され、前記センサロータが、前記ロータと前記パーキングギヤとの前記軸方向の間に配置されていると共に前記ロータ軸に固定され、前記センサステータ及び前記センサステータに接続された第1導線が、前記カバー部材に固定されている。
【0008】
本構成によれば、パーキングギヤを軸方向第1側から覆うカバー部材が、パーキングギヤと回転電機との軸方向の間に配置されているため、パーキングロック機構により発生した金属粉等の異物がコイルエンド部の側に飛散した場合であっても、当該異物がコイルエンド部に付着することを回避できる。従って、当該異物によってコイルエンド部の絶縁性能が低下するおそれを低減できる。また、本構成によれば、このようなカバー部材を利用して、センサステータ及び当該センサステータに接続された第1導線を保持することができる。そのため、当該センサステータ及び第1導線の保持のために、ブラケット等の部材を別途設ける必要性を低減できる。従って、車両用駆動装置の部品点数を少なく抑えることができる。即ち、本構成によれば、回転センサの導線を回転部材等との干渉を抑制しつつ適切に固定でき、部品数の低減を図ることのできる車両用駆動装置を実現することができる。
【0009】
車両用駆動装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両用駆動装置の一例を示すスケルトン図
図2】車両用駆動装置の模式的な制御ブロック図
図3】回転センサの一例を示す模式的な回路ブロック図
図4】カバー部材及び回転センサ近傍の模式的断面による配置説明図
図5】軸方向第1側から見たカバー部材の模式的な平面図
図6】カバー部材の他の形状例を示す模式的な平面図
図7】カバー部材の他の形状例を示す模式的な平面図
図8】回転センサの他の例を示す模式的な回路ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車両用駆動装置の実施形態を図面も参照して説明する。本明細書において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。尚、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、遊星歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、遊星歯車機構における複数の回転要素が、互いに他の回転要素を介することなく連結されている状態を指すものとする。
【0012】
また、本明細書において「一体的に回転」とは、分離可能か分離不可能かは問わず一体的に回転することをいう。即ち、一体的に回転する複数の部材は同一部材から一体的に形成されていてもよいし、別部材によって構成されて溶接やスプライン結合等によって一体化されていてもよい。
【0013】
また、本明細書において、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の両方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。また、2つの要素の配置に関して、「特定方向の配置領域が重複する」とは、一方の要素の特定方向の配置領域内に、他方の要素の特定方向の配置領域の少なくとも一部が含まれることを意味する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の車両用駆動装置100は、ロータ12及びステータ11を備えた回転電機1と、車輪Wに駆動連結される出力部材(例えば後述するスプライン係合部59)と、ロータ12と出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構30と、出力部材の回転を規制するためのパーキングロック機構6とを備えている。本実施形態では、車両用駆動装置100は、第1車輪W1及び第2車輪W2を含む一対の車輪Wを駆動し、出力部材もそれぞれが車輪Wに駆動連結される一対の出力部材を備えている。一対の車輪Wは一対のドライブシャフトDSに駆動連結されている。一対のドライブシャフトDSは、第1ドライブシャフトDS1及び第2ドライブシャフトDS2を含む。第1車輪W1は第1ドライブシャフトDS1に駆動連結され、第2車輪W2は第2ドライブシャフトDS2に駆動連結されている。ロータ12には、ロータ12と一体的に回転するロータ軸13が連結されており、動力伝達機構30は、ロータ軸13と、ロータ軸13の回転を変速する変速機3と、変速機3を介して伝達される回転電機1のトルク(駆動力)を一対の出力部材に分配する差動歯車機構5とを備えている。
【0015】
パーキングロック機構6は、動力伝達機構30を構成する回転体である対象回転体(ここでは変速機3のサンギヤSG)と一体的に回転するパーキングギヤ6Gを備えている。尚、対象回転体は、クラッチやブレーキ等の動力伝達を切り替え可能な係合装置を介することなく、出力部材に連動して回転する回転体である。回転電機1、動力伝達機構30、パーキングロック機構6は、車両用駆動装置100を構成するギヤ等の回転部材、回転部材を回転自在に支持する軸受等を潤滑したり、回転電機1のステータコイル11bなどの発熱部材を冷却したりするための油と共に、ケース9内に収容されている。尚、本明細書では、特に区別しない限り、潤滑及び冷却を総称して「潤滑」と称する。
【0016】
回転電機1と差動歯車機構5とは、同軸上に配置されている。本実施形態では、変速機3が、遊星歯車式の固定変速比の動力伝達機構であり、回転電機1と差動歯車機構5と変速機3とが同軸上に配置されている。しかし、変速機3は、遊星歯車機構に限らず、複数の回転軸を有するカウンタギヤ機構による変速機として構成されていてもよい。この場合には少なくとも回転電機1と差動歯車機構5とを同軸上に配置することが可能である。また、本実施形態では、変速機3が遊星歯車式の固定減速比の減速機である構成を例示している。しかし、変速機3は、固定変速比の動力伝達機構に限らず、複数段の変速比を実現可能な有段変速機であってもよい。この場合、動力伝達機構は、複数段の変速比として増速比と減速比とを実現するものであっても良いし、複数の減速比や複数の増速比を実現するものであってもよい。当然ながら、変速機3が固定変速比の増速機であることを妨げるものでもない。
【0017】
以下の説明では、ロータ12の回転軸心Xに沿う方向を「軸方向L」とする。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。本実施形態では、ロータ12、変速機3、及び差動歯車機構5が、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向けて記載の順に配置されている。従って、軸方向第1側L1は、変速機3に対して回転電機1が配置されている側、軸方向第2側L2は、変速機3に対して差動歯車機構5が配置されている側である。
【0018】
本実施形態の車両用駆動装置100は、1軸構成であり、回転電機1と変速機3と差動歯車機構5とが配置された軸(回転軸心X)は、車両用駆動装置100の回転軸心Xであると共に、回転電機1、変速機3、差動歯車機構5の回転軸心Xでもある。この回転軸心Xに直交する方向を「径方向R」とする。そして、径方向Rにおいて、回転軸心X側を「径方向内側R1」とし、その反対側を「径方向外側R2」とする。また、車両用駆動装置100が車両に搭載された車両用搭載状態において鉛直方向に沿う方向を「上下方向V」とする(図5から図7等参照)。上下方向Vにおいて上方を上側V1、下方を下側V2と称する。車両用駆動装置100が車両に水平に搭載されている場合、径方向Rの内の一方向と上下方向Vとは一致する。
【0019】
回転電機1は、一対の車輪Wの駆動源として機能する。回転電機1は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置により構成された直流電源80(図2参照)と電気的に接続され、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。回転電機1は、直流電源80に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生すると共に、一対の車輪Wの側から伝達される駆動力により発電して直流電源80を充電する。
【0020】
回転電機1のステータ11は、円筒状のステータコア11aを備えている。ステータコア11aは、ケース9に固定されている。回転電機1のロータ12は、円筒状のロータコア12aを備えている。ロータコア12aは、ロータ軸13と一体的に回転するようにロータ軸13に連結され、ステータコア11aに対して回転可能にケース9に支持されている。本実施形態では、回転電機1はインナーロータ型の回転電機である。ロータコア12aは、ステータコア11aに対して径方向内側R1に配置され、ロータ軸13は、ロータコア12aに対して径方向内側R1に配置されている。ロータ軸13は、ケース9に支持された不図示の軸受により回転自在に支持されている。ステータコア11aには、ステータコイル11bが巻き回され、ステータコア11aに対して軸方向Lの両側に突出したコイルエンド11eが形成されている。また、図示は省略するが、ロータコア12aには、永久磁石が配置されている。
【0021】
図2に示すように、車両用駆動装置100は、車両に搭載された車両制御装置200によって制御されている。ここでは、車両制御装置200として、車両用駆動装置100の全体を制御する駆動系制御装置201と、回転電機1を制御する回転電機制御装置202とを例示している。図2に示す形態は、例示的且つ概念的なブロック図であり、実際の制御装置の物理的構成(回路構成)を限定するものではない。
【0022】
回転電機1は、車両用駆動装置100を制御する駆動系制御装置201からの指令に従って設定される回転電機1の目標トルクに基づいて、回転電機制御装置202により駆動制御される。回転電機制御装置202は、複数のスイッチング素子を有して構成されたインバータINVを介して回転電機1を駆動制御する。インバータINVは、直流電源80と回転電機1(ステータコイル11b)との間に接続されて直流と複数相の交流との間で電力を変換する。回転電機制御装置202は、インバータINVをスイッチング制御して、回転電機1を駆動制御する。ここでは、回転電機1が3相交流型である形態を例示しており、インバータINVは、直流と3相交流との間で電力を変換する。
【0023】
回転電機制御装置202は、ロータ12の回転位置(永久磁石の磁極位置)、ロータ12の回転速度、及び3相各相のステータコイル11bを流れる電流に基づいて、電流フィーダバック制御を行ってインバータINVを介して回転電機1を駆動制御する。ステータコイル11bを流れる電流は、電流センサ82によって検出される。例えば、電流センサ82は、例えばインバータINVと回転電機1のステータコイル11bとを接続するバスバーなどの動力線14の近傍に設置された非接触型電流センサである。
【0024】
尚、図2の模式的なブロック図では、インバータINV、動力線14、電流センサ82がケース9の外部に配置されているように図示している。しかし、インバータINV、動力線14、電流センサ82は、ケース9内に収容されてもよい。この場合、ケース9内において、少なくともインバータINVが収容される空間については、潤滑用の油が進入しないように、封止されていると好適である。
【0025】
車両用駆動装置100は、ロータ12の回転(回転位置及び回転速度)を検出する回転センサ8も備えている。また、本実施形態では、この回転センサ8もケース9内に収容されている。図3に示すように、回転センサ8は、センサロータ8rと、センサロータ8rの回転を検出するセンサステータ8sとを備えている。センサロータ8rは、ロータ軸13と一体的に回転するようにロータ軸13に連結され、センサステータ8sは、ケース9に対して固定されている。
【0026】
本実施形態では、図3に示すように、回転センサ8として、誘導性位置センサ(Inductive Position Sensor)を例示している。誘導性位置センサは、渦電流の物理原理を用いて、1つの送信用コイルと2つの受信用コイルとを備えたセンサコイル組の上を移動する金属体を検出する。多くの場合、センサコイル組はプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)上に銅箔配線などの導体配線として形成される。好ましくは、当該PCBには、2つの受信用コイルに二次電圧が誘起されるように、送信用コイルに電圧を印加すると共に、2つの受信用コイルに誘起された二次電圧を検出する検出回路8cも実装されている。センサステータ8sは、少なくともセンサコイル組を含み、好ましくはセンサコイル組と検出回路8cとを含む。本実施形態では、図5に示すように、センサコイル組と検出回路8cとを含むPCBによりセンサステータ8sが構成されている形態を例示している。センサロータ8rは、図3に示すように歯車形状の金属体であり、図4を参照して後述するように、ロータ軸13に連結されている。
【0027】
ところで、ステータコイル11bは、電流が流れることによって発熱する。ステータコイル11bの発熱量は、ステータコイル11bに流れる電流が大きくなるほど大きくなる。このため、温度上昇によって回転電機1の駆動を制限したり、油によるステータコイル11bの冷却量を増加させたりする必要が生じる場合がある。このため、車両用駆動装置100には、さらにステータ11(ここではステータコイル11b)の温度を検出するステータ温度センサ83も配置されている。ステータ温度センサ83は、コイルエンド11eの温度を検出するように配置されている。ステータ温度センサ83は、例えば温度によって抵抗値が変化するサーミスタである。車両制御装置200は、サーミスタの両端電圧を検出することによって、ステータコイル11bの温度を検出することができる。
【0028】
尚、ステータ温度センサ83は、ステータコイル11bからの熱が伝搬するステータコア11aの温度を検出することを妨げるものではない。従って、「ステータ11の温度を検出すること」には、「ステータコイル11b(コイルエンド11e)の温度を検出すること」、並びに「ステータコア11aの温度を検出すること」の双方を含む。但し、ステータコア11aは、ケース9に固定されており、ケース9を介して放熱することも考えられるため、ステータコイル11b、具体的にはコイルエンド11eの温度を検出することが好適である。
【0029】
ステータコイル11bを冷却するため、コイルエンド11eには冷却用の油が振り掛けられる。ケース9の底部には、いわゆる油溜まり(油貯留部)が形成され、ステータコイル11bの冷却、回転電機1、変速機3、差動歯車機構5等が備える各種ギヤ等の回転部材の潤滑、これらの回転部材を回転自在に支持する軸受の潤滑を行うための油が貯留されている。油溜まりに貯留された油は、回転部材の掻き上げによって、軸受やギヤ等の潤滑対象箇所に飛散する。また、油溜まりに貯留された油は、不図示の油路を介してケース9の外部或いは内部に配置された不図示のオイルポンプによりケース9の上部に形成された油路に導かれ、ステータコイル11b、ギヤ、軸受等の、冷却や潤滑の対象箇所に供給される。このオイルポンプは、車輪Wの駆動源である回転電機1とは異なる駆動源(例えばポンプモータ)により駆動され、ケース9内の油を循環させると好適である。
【0030】
油は、ステータコイル11bとの熱交換や、潤滑対象の回転部材や軸受との熱交換により温度が上昇する。油の温度が上昇すると、冷却や潤滑の効果が低下するため、オイルポンプがケース9内の油溜まりから吸引した油は、油を冷却する不図示のオイルクーラを介してケース9に形成された、或いはケース9内に配置された油路に導かれる。油の循環経路に設けられて油を冷却するオイルクーラは、空冷方式であっても水冷方式であってもよい。尚、ケース9における収容室の下方には、ケース9内に収容された油の温度を検出する油温センサ85も配置されている。車両制御装置200(例えば駆動系制御装置201)は、油温センサ85によって検出された油温によってオイルクーラの冷却量を制御することもできる。また、車両制御装置200(例えば回転電機制御装置202)は、ステータ温度センサ83による検出結果に加えて、油温センサ85の検出結果を用いてステータコイル11bの温度を推定することもできる。
【0031】
以下、動力伝達機構30の詳細について説明する。本実施形態では、ロータ軸13は、ロータコア12aと同軸の筒状に形成されている。ロータ軸13の、ロータ12に対して軸方向第2側L2における外周側には、変速機3を構成する遊星歯車機構のサンギヤSGがロータ軸13と一体的に回転するように配置されている。本実施形態では、ロータ軸13に一体的にサンギヤSGが形成されている。ロータ軸13とサンギヤSGとは同一部材によって構成されていてもよいし、別部材によって構成されて溶接等によって接合されてもよい。
【0032】
変速機3は、ロータ軸13と一体的に回転する入力要素と、ケース9に固定された固定要素と、差動入力要素(差動ケース50)と一体的に回転する出力要素と、ピニオンギヤPGを備えた遊星歯車機構として構成されている。本実施形態の遊星歯車機構は、1つのサンギヤSGと、2つのリングギヤ(第1リングギヤRG1、第2リングギヤRG2)と、一体的に回転する2つのギヤ部(第1ギヤ部PG1、第2ギヤ部PG2)を備えたピニオンギヤPGと、ピニオンギヤPGを回転自在に支持するキャリヤCRとを備えた複合型の遊星歯車機構である。
【0033】
サンギヤSGは、ロータ12と一体的に回転するようにロータ軸13に連結されている。第1リングギヤRG1は、ケース9に固定されている。第2リングギヤRG2は、第1リングギヤRG1に対して差動歯車機構5の側に配置され、差動入力要素の差動ケース50と一体的に回転するように差動ケース50に連結されている。ピニオンギヤPGは、サンギヤSG及び第1リングギヤRG1に噛み合う第1ギヤ部PG1と、第1ギヤ部PG1と一体的に回転すると共に第2リングギヤRG2に噛み合う第2ギヤ部PG2とを備えている。本実施形態では、第2ギヤ部PG2は、第1ギヤ部PG1よりも小径に形成されている。本実施形態では、サンギヤSGが入力要素であり、第1リングギヤRG1が固定要素であり、第2リングギヤRG2が出力要素である。尚、キャリヤCRは、何れの回転要素及び固定要素にも連結されていない。
【0034】
差動歯車機構5は、傘歯車式の差動歯車機構である。差動歯車機構は、何れも傘歯車の差動ピニオンギヤ51と、サイドギヤ52とを含む。差動ピニオンギヤ51は、差動支持部材としての差動ケース50に支持されると共に径方向Rに沿って延在するように配置された差動ピニオンシャフト55により回転自在に支持されている。差動ピニオンシャフト55は、差動ケース50と一体的に回転し、差動ピニオンギヤ51は、差動ピニオンシャフト55を中心として自転自在、かつ、差動ケース50の回転軸心Xを中心として公転自在に構成されている。差動ケース50は、差動ピニオンギヤ51、サイドギヤ52、差動ピニオンシャフト55を内部に収容している。
【0035】
サイドギヤ52は、第1サイドギヤ53と第2サイドギヤ54とを備えて軸方向Lに離間して一対配置されている。第1サイドギヤ53及び第2サイドギヤ54は、複数の差動ピニオンギヤ51のそれぞれに噛み合っている。第1サイドギヤ53及び第2サイドギヤ54は、差動ケース50の回転軸心Xを中心として回転するように配置されている。
【0036】
本実施形態では、第1サイドギヤ53は、軸方向Lに沿って円筒状のロータ軸13の径方向内側R1を貫通して延在する連結軸Jに連結されている。連結軸Jは、回転電機1、ロータ軸13、及び変速機3に対して径方向内側R1を軸方向Lに貫通するように配置されている。連結軸Jは、第1車輪W1に駆動連結された第1ドライブシャフトDS1と一体的に回転するように連結されている。従って、第1サイドギヤ53は、連結軸Jを介して第1車輪W1に駆動連結されている。また、第2サイドギヤ54は、第2車輪W2に駆動連結された第2ドライブシャフトDS2と一体的に回転するように連結されている。
【0037】
車輪Wに駆動連結されて、車輪Wと一体的に回転する第1ドライブシャフトDS1、第2ドライブシャフトDS2、連結軸J、第1サイドギヤ53、第2サイドギヤ54は、何れも出力部材に相当する回転部材ということができる。サイドギヤ52(第1サイドギヤ53、第2サイドギヤ54)は、差動歯車機構5であると共に出力部材ということもできる。尚、第1サイドギヤ53及び第2サイドギヤ54は、それぞれ、差動ピニオンギヤ51に噛み合うギヤ部と、連結軸Jや第2ドライブシャフトDS2に連結されるスプライン係合部59とを備えている。機能的に分けて考える場合、ギヤ部が差動歯車機構5に含まれる回転部材に相当し、スプライン係合部59が出力部材に相当する。
【0038】
パーキングロック機構6は、出力部材の回転を規制するために設けられている。本実施形態では、パーキングロック機構6は、サンギヤSGと一体的に回転するロータ軸13の回転を規制することで、変速機3及び差動歯車機構5を介して、出力部材の回転を規制する。図1及び図2に示すように、パーキングロック機構6は、パーキングギヤ6Gと、パーキングギヤ6Gに対して選択的に係合してパーキングギヤ6Gの回転を規制する係合機構6Kとを備えている。
【0039】
パーキングギヤ6Gは、ロータ軸13と一体的に回転するように、ロータ軸13に連結されている。例えば、パーキングギヤ6Gとロータ軸13とは、スプライン係合によって相対回転が規制され、パーキングギヤ6Gは、ロータ軸13に対して相対回転不能な状態で嵌合している。パーキングギヤ6Gの径方向外側R2には、図2に模式的に示すように、歯部が形成されている。歯部の周方向の一部には、係合機構6Kの係合突起が係合する係合部として機能するように径方向内側R1に凹んだ凹部が形成されている。この凹部に、係合機構6Kの係合突起が選択的に係合することでパーキングギヤ6Gの回転が規制される。パーキングギヤ6Gの回転が規制されることにより、ロータ軸13の回転も規制され、変速機3及び差動歯車機構5の回転も規制され、出力部材の回転も規制される。
【0040】
パーキングロック機構6は、パーキングギヤ6G及び係合機構6Kに加え、電動モータやソレノイド等のパーキングアクチュエータ6A(PA)を含む。係合機構6Kは、パーキングギヤ6Gの凹部(係合部)に選択的に係合する係合突起、パーキングアクチュエータ6Aにより駆動されて係合突起を移動させる不図示の伝達機構を含む。例えば、伝達機構は、カム機構やリンク機構を含み、パーキングアクチュエータ6Aからの動力を係合突起へ伝達する。係合突起は、パーキングアクチュエータ6Aによる駆動力により、パーキングギヤ6Gの係合部に係合した係合位置と、パーキングギヤ6Gの係合部に係合していない非係合位置との間で姿勢変更可能に構成されている。
【0041】
ところで、パーキングロック機構6は、車両の乗員による操作によってパーキングギヤ6Gを係止する。勿論、車両の停止に応じて自動的にパーキングギヤ6Gが係止されるような制御が実行されることを妨げるものではない。何れにせよ、一般的には、車輪Wが回転していない状態でパーキングロック機構6が作動するため、パーキングロック機構6の作動時にはパーキングギヤ6Gは回転していない。しかし、車両が停止するよりも早く、乗員がパーキングロック機構6を作動させてしまう場合もあり、この場合には、係合突起が回転中のパーキングギヤ6Gに接触することになる。パーキングギヤ6Gが停止している状態でも、パーキングギヤ6Gと係合突起との接触により、金属粉等の粉塵が生じる可能性はあるが、パーキングギヤ6Gが回転しているとそのような粉塵がより発生し易くなる。
【0042】
図1及び図4の模式的断面による配置説明図に示すように、本実施形態では、回転電機1とパーキングギヤ6Gとが軸方向Lに並んで配置されている。パーキングギヤ6Gは、変速機3と同様に、回転電機1に対して軸方向第2側L2に配置されている。上述したように、対象回転体はサンギヤSGであり、パーキングギヤ6Gは、回転軸心Xに沿って、変速機3のサンギヤSGとロータ12との間に配置されている。回転電機1とパーキングギヤ6Gとは、直接隣接してはいないが軸方向Lにおける離間距離が比較的短く、近接して配置されている。また、ロータ12の径方向外側R2には、ステータコイル11bを備えたステータ11が配置されており、コイルエンド11eがパーキングギヤ6Gの側に突出している。粉塵がこのコイルエンド11eに到達すると、ステータコイル11bの絶縁皮膜に傷を付けたり、付着した粉塵によってステータコイル11bの短絡を招いたりするおそれがある。
【0043】
このため、本実施形態では、コイルエンド11eにおける係合機構6Kに対向する部分を覆うカバー部材2が備えられている。具体的には、パーキングギヤ6Gを軸方向第1側L1から覆うカバー部材2が、パーキングギヤ6Gと回転電機1との軸方向Lの間に配置されている。これにより、パーキングロック機構6により発生した金属粉等の異物がコイルエンド11eの側に飛散した場合であっても、パーキングロック機構6の係合機構6Kとコイルエンド11eとの間に配置されたカバー部材2によって、当該異物がコイルエンド11eに付着することを回避できる。従って、当該異物によってコイルエンド11eの絶縁性能が低下するおそれを低減することができる。カバー部材2は、例えば樹脂材料を用いた樹脂成型によって形成されている。
【0044】
軸方向第1側L1から見たカバー部材2の模式的な平面図である図5に示すように、本実施形態ではカバー部材2は、円環状である。そして、ロータ12と一体的に回転するロータ軸13は、カバー部材2に対して軸方向Lの両側に亘って配置されている。カバー部材2が円環状である本実施形態では、図4及び図5に示すように、ロータ軸13は、カバー部材2を軸方向Lに貫通するように配置されている。センサロータ8rは、ロータ12とパーキングギヤ6Gとの軸方向Lの間に配置されていると共にロータ軸13に固定されている。本実施形態では、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって、ロータ12、カバー部材2、センサロータ8r、パーキングギヤ6Gが記載の順に配置されている。センサロータ8rは、ロータ12とパーキングギヤ6Gとの軸方向Lの間であって、パーキングギヤ6Gとカバー部材2との間に配置されている。また、センサステータ8s及びセンサステータ8sに接続された第1導線71は、カバー部材2に固定されている。本実施形態では、センサステータ8sは、カバー部材2においてセンサロータ8rに対向する軸方向第2側L2の面であるギヤ対向面2bの側に配置されている。
【0045】
上述したように、本実施形態では、回転センサ8として、誘導性位置センサを例示しており、例えば図3に示すセンサコイル組と検出回路8cとを含むPCBによりセンサステータ8sが構成されている。例えばこのPCBが樹脂成型されたカバー部材2に、接着剤、ネジやビス等の締結部材により接合されて一体化されていると好適である。PCBの厚みを含み、PCBの外形形状は既知であるから、カバー部材2のギヤ対向面2bの、センサステータ8sとしてのPCBが配置される位置に凹部を設けておけば、カバー部材2にPCBを接合しても、カバー部材2のギヤ対向面2bにおける基準面に対してセンサステータ8s(PCB)が突出することを抑制することができる。或いは、当該PCBを予め埋め込んでカバー部材2が樹脂成型されてもよい。
【0046】
第1導線71も同様に、カバー部材2に対して接着材等によって接合されてカバー部材2と一体化されてもよい。また、第1導線71がケーブル状の導線である場合には、カバー部材2のギヤ対向面2bに溝を設け、当該溝に第1導線71を押入して固定し、第1導線71とカバー部材2とを一体化してもよい。
【0047】
当然ながら、センサステータ8sを構成するPCBと共に、第1導線71も予め埋め込んだ状態でカバー部材2が樹脂成型されてもよい。センサステータ8sと第1導線71とカバー部材2とが、樹脂成型により一体的に形成されていると、回転センサ8を小型化できると共に、センサステータ8sと第1導線71とカバー部材2とが別々の部材である場合に比べて部品数も少なくすることができる。部品数が少なくなることにより、ケース9内の収容空間、並びに回転センサ8及びカバー部材2を取り付ける際に必要なケース9内の作業空間も小さくすることができるので、ケース9の小型化、並びに車両用駆動装置100の小型化を図ることもできる。また、部品数の削減により、取り付け工数も削減され、生産コストの低減を図ることもできる。
【0048】
何れにせよ、本実施形態では、センサステータ8s及びセンサステータ8sに接続された第1導線71が、カバー部材2に固定されている。好ましくは、上述したように、センサステータ8s及びセンサステータ8sに接続された第1導線71が、カバー部材2に一体的に固定されている。即ち、センサステータ8s、センサステータ8sに接続された第1導線71、及びカバー部材2が一体的に形成されている。
【0049】
尚、回転センサ8は上述したように、ケース9の外、或いはケース9の内部であっても回転電機1や動力伝達機構30が油と共に収容されたトランスアクスル収容室(TA収容室)に対して封止された回路部品収容室に配置された回転電機制御装置202と電気的に接続されている。このため、回転電機制御装置202と、回転センサ8とを電気的に接続するための不図示の導線の一端(TA収容室側の導線端部)が接続される中継部4も、カバー部材2に備えられている。中継部4には、第1導線71におけるセンサステータ8sに接続された側である第1導線第1端71aとは反対側の端部である第1導線第2端71bが接続される。
【0050】
中継部4は例えばコネクタ端子及び端子を保持するコネクタウハウジングである。以下の説明では、このようなコネクタ端子及びコネクタハウジングを備えた電気的接続部材を単に「コネクタ」と称する。中継部4がコネクタにより構成される場合、当該コネクタもカバー部材2に固定されている。センサステータ8sや第1導線71と同様に、当該コネクタ(中継部4)を埋め込んだ状態でカバー部材2が樹脂成型され、中継部4も含めてカバー部材2が一体的に形成されていると好適である。
【0051】
ところで、本実施形態ではカバー部材2は円環状であり、ロータ軸13は、カバー部材2を軸方向Lに貫通している。つまり、カバー部材2は、ロータ軸13よりも上側V1に位置するカバー上部2Hから、ロータ軸13に対して径方向外側R2を通り、少なくともロータ軸13の回転軸心Xよりも下側V2に位置するカバー下部2Lまで延びるように形成されている。換言すれば、カバー部材2は、ロータ軸13よりも上側V1に配置されたカバー上部2Hと、ロータ軸13よりも下側V2に配置されたカバー下部2Lと、ロータ軸13に対して径方向外側R2を通りカバー上部2Hとカバー下部2Lとを接続するカバー側部2Mとを備える。カバー部材2が円環状の場合には、このカバー側部2Mが2箇所に存在する。
【0052】
ケース9の外部に回転電機制御装置202が配置される場合には、ケース9の上側V1に回転電機制御装置202が配置されることが多い。また、同一のケース9に回路部品収容室が形成される場合は、ケース9内における上側V1の空間に当該回路部品収容室が形成されることが多い。従って、図5に示すように、中継部4は、カバー上部2Hに配置されている。
【0053】
一方、ケース9内に収容される油は、重力によってケース9内の下側V2に落ちてケース9の底に貯留される。従って、油温センサ85は、カバー下部2Lに固定されている。ここで、「油温センサ85がカバー部材2に固定」という概念には、油温センサ85を接続可能なコネクタ等の電気的接続部材がカバー部材2に固定されることも含む。当該電気的接続部材に油温センサ85が接続されることにより、油温センサ85はカバー部材2に固定され、さらにはカバー部材2と一体的に構成される。また、センサステータ8s、第1導線71、中継部4と同様に、油温センサ85を埋め込んだ状態でカバー部材2が樹脂成型され、油温センサ85も含めてカバー部材2が一体的に形成されていると好適である。当然ながら、油温センサ85を接続可能な電気的接続部材を埋め込んだ状態でカバー部材2が樹脂成型され、油温センサ85も含めてカバー部材2が一体的に形成されていてもよい。
【0054】
さらに、本実施形態では、油温センサ85に接続された第2導線72が、カバー部材2に固定されて、カバー下部2Lからカバー上部2Hまでカバー部材2に沿って配線されている。そして、第2導線72における油温センサ85に接続された側である第2導線第1端72aとは反対側の端部である第2導線第2端72bが中継部4に接続されている。第2導線72も、カバー部材2と一体化されていると好適である。第1導線71と同様に、第2導線72も、ケーブル状の導線である場合には、カバー部材2の何れかの面に溝を設け、当該溝に第2導線72を押入して固定してもよい。当該溝は、カバー部材2における軸方向第1側L1の面である回転電機対向面2aに形成されてもよいし、センサステータ8sと干渉せずに配置可能であれば、ギヤ対向面2bに形成されてもよい。また、カバー部材2に対して接着材等によって第2導線72が接合されてもよい。当然ながら、第1導線71と同様に、第2導線72を予め埋め込んだ状態でカバー部材2が樹脂成型されると好適である。
【0055】
この構成によれば、カバー部材2を利用して、油温センサ85及び油温センサ85に接続された第2導線72を保持することができる。また、この構成によれば、油温センサ85をロータ軸13よりも下側V2の位置、つまり油温を検出し易い位置に配置することができると共に、第2導線72がロータ軸13等の回転部材と干渉しない位置で第2導線72を適切に保持することができる。そのため、油温センサ85及び第2導線72の保持のために、ブラケット等の部材を別途設ける必要性を低減できる。さらに、この構成によれば、第1導線71と第2導線72とを共通の中継部4に接続できるため、回転センサ8及び油温センサ85と、これらのセンサの検出結果を用いて回転電機1及び車両用駆動装置100を制御する制御装置(車両制御装置200)との電気的接続を容易に行うことができる。
【0056】
上述したように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、ステータ11の温度を検出するステータ温度センサ83を備えている。そして、ステータ温度センサ83も、カバー部材2に固定されている。上述したように、ステータ温度センサ83は、好ましくはコイルエンド11eの温度を検出している。コイルエンド11eは周方向の全域に存在するから、ステータ温度センサ83は円環状のカバー部材2の周方向のどの位置にも配置することができる。しかし、ステータ温度センサ83による検出結果は、回転電機制御装置202等の車両制御装置200に伝達される。そして、回転電機制御装置202と電気的に接続される中継部4は、上述したように、カバー部材2におけるカバー上部2Hに配置されている。従って、ステータ温度センサ83もカバー上部2Hに配置されて、固定されることが好ましい。
【0057】
図4に示すように、カバー部材2とコイルエンド11eとは軸方向Lに離間して配置されている。例えば、ステータ温度センサ83が赤外線を用いた非接触温度センサの場合には、カバー部材2にステータ温度センサ83を固定した状態で、離間したコイルエンド11eの温度を検出することができる。
【0058】
本実施形態では、ステータ温度センサ83が安価なサーミスタを用いて構成される形態を例示している。このように、ステータ温度センサ83がコイルエンド11eに接触して温度を検出する方式である場合や、接触しなくてもコイルエンド11eの近傍で温度を検出方式の場合には、カバー部材2から、さらに軸方向第1側L1に延伸する第4導線74を介してステータ温度センサ83(ステータ温度センサ83の検出部)が配置される。第4導線74は例えば、導体を内蔵した樹脂部品により形成されてステータ温度センサ83を固定支持するものであると好適である。
【0059】
この場合、カバー部材2には、第3導線73によって中継部4と電気的に接続された温度センサコネクタ83cが固定され、温度センサコネクタ83cとステータ温度センサ83(検出部)とが第4導線74によって電気的に接続される。広義のステータ温度センサ83には温度センサコネクタ83c及び第4導線74も含み、少なくとも温度センサコネクタ83cがカバー部材2に固定されている形態は、ステータ温度センサ83がカバー部材2に固定される形態に含む。従って、カバー部材2に温度センサコネクタ83cが固定されている場合、ステータ温度センサ83がカバー部材2に固定されているということができる。
【0060】
また、第3導線73は、直接、ステータ温度センサ83に接続される場合も、温度センサコネクタ83c及び第4導線74を介してステータ温度センサ83に接続される場合も、何れの場合も、ステータ温度センサ83に接続されるということができる。そして、第3導線73におけるステータ温度センサ83に接続された側の端部である第3導線第1端73aは、第3導線73における温度センサコネクタ83cに接続された側の端部とすることができる。第3導線第1端73aとは反対側の端部で第3導線第2端73bは、中継部4に接続されている。そして、第3導線73は、カバー部材2に固定されている。
【0061】
即ち、ステータ温度センサ83(温度センサコネクタ83c)及び第3導線73は、カバー部材2に固定されている。第1導線71及び第2導線72と同様に、第3導線73も、ケーブル状の導線である場合には、カバー部材2の何れかの面に溝を設け、当該溝に第2導線72を押入して固定してもよい。また、回転センサ8、油温センサ85、第1導線71、第2導線72等と同様に、ステータ温度センサ83(温度センサコネクタ83c)及び第3導線73を埋め込んだ状態でカバー部材2が樹脂成型され、カバー部材2が一体的に形成されていても好適である。
【0062】
この構成によれば、カバー部材2を利用して、ステータ温度センサ83及びステータ温度センサ83に接続された第3導線73を保持することができる。また、この構成によれば、ステータ温度センサ83をステータ11の温度を検出し易い位置に配置することができると共に、ステータ温度センサ83と中継部4とを互いに近い位置に配置することができる。そのため、ステータ温度センサ83及び第3導線73の保持のために、ブラケット等の部材を別途設ける必要性を低減できる。さらに、この構成によれば、第1導線71と第3導線73とを共通の中継部4に接続できるため、回転センサ8及びステータ温度センサ83と、これらのセンサの検出結果を用いて回転電機1及び車両用駆動装置100を制御する制御装置(車両制御装置200)との電気的接続を容易に行うことができる。
【0063】
尚、第1導線71、第2導線72、第3導線73は、ケーブル等の電線に限らず、例えばPCBに形成された銅箔配線などの導体配線であってもよい。例えば、図5等に例示したセンサステータ8sを構成するPCBを周方向に延長して第1導線71、第2導線72、第3導線73を当該PCB上の銅箔配線により形成し、当該PCBに中継部4としてのコネクタ、温度センサコネクタ83c、油温センサ85(又は油温センサ85を接続するコネクタ)を実装し、当該PCBをカバー部材2に固定してもよい。また、当該PCBとカバー部材2とが一体的に樹脂成型されてもよい。
【0064】
本実施形態のように回転電機1と差動歯車機構5とが同軸上に配置された車両用駆動装置100では、軸方向寸法の低減が求められるため、各部材が軸方向Lに互いに近接して配置されることが好ましい。従って、回転センサ8等のセンサの配置スペースも小さく抑えることが求められる。パーキングギヤ6Gを覆うためのカバー部材2を利用して回転センサ8等のセンサ及び導線を保持することで、当該センサ及び導線を保持するために、ブラケット等を別途設ける必要性を低減でき、回転センサ8等のセンサの配置スペースを小さく抑え易い。
【0065】
本実施形態のカバー部材2は、さらにコイルエンド11eに冷却用の油を供給するための供給油路29も形成されている。供給油路29は、図4及び図5に示すように、カバー上部2Hにおいて軸方向第1側L1、即ちコイルエンド11eの側に開口している。
【0066】
尚、図5には、円環状のカバー部材2を例示したが、カバー部材2は円環状に限らず、図6及び図7に例示するような、U字状やC字状など、一部が切り欠かれた形状であってもよい。
【0067】
図6に示す形態においても、カバー部材2は、ロータ軸13よりも上側V1に位置するカバー上部2Hから、ロータ軸13に対して径方向外側R2を通り、少なくともロータ軸13の回転軸心Xよりも下側V2に位置するカバー下部2Lまで延びるように形成されている。また、カバー部材2は、ロータ軸13よりも上側V1に配置されたカバー上部2Hと、ロータ軸13よりも下側V2に配置されたカバー下部2Lと、ロータ軸13に対して径方向外側R2を通りカバー上部2Hとカバー下部2Lとを接続する1つのカバー側部2Mとを備えるということもできる。
【0068】
図7に示す形態においても、カバー部材2は、ロータ軸13よりも上側V1に位置するカバー上部2Hから、ロータ軸13に対して径方向外側R2を通り、少なくともロータ軸13の回転軸心Xよりも下側V2に位置するカバー下部2Lまで延びるように形成されている。また、カバー部材2は、ロータ軸13よりも上側V1に配置されたカバー上部2Hと、ロータ軸13よりも下側V2に配置されたカバー下部2Lと、ロータ軸13に対して径方向外側R2を通りカバー上部2Hとカバー下部2Lとを接続する1つのカバー側部2Mとを備えるということもできる。
【0069】
但し、図5及び図6に示す形態においては、カバー部材2が円環状である場合に、上下方向Vにおいて最も下側V2に位置する部分まで、カバー上部2Hからカバー下部2Lまでカバー部材2が延伸しているが、図7に示す形態では、当該最も下側V2に位置する部分までカバー部材2が延伸していない。このため、油温センサ85を配置する位置は、図5及び図6に示す形態に比べて上側V1となる。しかし、油面Pが最も低くなる場合でも油温センサ85が浸かる量の油がケース9内に収容されていれば問題はない。尚、油面Pが最も低くなるのは、動力伝達機構30により油が掻き上げられたり、不図示のオイルポンプによって吸入及び吐出されたりして、油が動的に循環している場合である。この時の油面Pを動的油面と称する。即ち、油温センサ85は、油面Pが最も低くなる動的油面の場合に油に浸かる位置に配置、固定されれば良く。カバー部材2は、そのような配置、及び固定が可能な位置を含む大きさを有していればよい。
【0070】
尚、図示は省略するが、油温センサ85及び第2導線72がカバー部材2に固定されない場合、カバー部材2がカバー上部2Hのみを有する形態や、カバー部材2がカバー上部2H及びカバー側部2Mのみを有する形態であってもよい。
【0071】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0072】
(1)上記においては、車両用駆動装置100が、第1車輪W1及び第2車輪W2を含む一対の車輪Wを駆動する形態を例示して説明した。しかし、車両用駆動装置100は、例えばインホールモータなど、1つの車輪Wを駆動する形態であってもよい。この場合の車両用駆動装置100は、回転電機1と、車輪Wに駆動連結される出力部材と、回転電機1のロータ12と出力部材との間の動力伝達を行う動力伝達機構30と、パーキングロック機構6と、回転センサ8とを備える。そして、この場合においても、パーキングギヤ6Gと回転電機1との軸方向Lの間に、パーキングギヤ6Gを覆うカバー部材2が配置され、当該カバー部材2に、センサステータ8s及び第1導線71を固定することができる。
【0073】
(2)上記においては、回転電機1と差動歯車機構5とが同軸上に配置されている車両用駆動装置100を例示した。しかし、パーキングギヤ6Gと回転電機1との軸方向Lの間に、パーキングギヤ6Gを覆うカバー部材2が配置され、当該カバー部材2に、センサステータ8s及び第1導線71が固定されていれば、車両用駆動装置100は、回転電機1と差動歯車機構5とが別軸上に配置されている形態であってもよい。
【0074】
(3)上記においては、回転センサ8として、図3等を参照して誘導性位置センサを例示して説明した。しかし、回転センサ8は、ロータ12と連動して回転するセンサロータ8r、好ましくはロータ12と一体的に回転するセンサロータ8rと、センサロータ8rの回転を検出するセンサステータ8sとを備えて構成されていればよい。従って、回転センサ8は、図8に例示するように、レゾルバであってもよい。レゾルバは、センサロータ8rに励磁コイルを備え、センサステータ8sに互いに電気的に90度の位相差を有して配置された検出コイルを備えて構成されている。レゾルバは、励磁コイルに励磁された電圧に応じて複数の検出コイルに誘導される電圧に基づき、ロータ12の回転速度や回転位置を検出する。励磁コイルを励磁するための不図示の励磁回路がセンサロータ8rに含まれていてもよいし、検出コイルに誘導された電圧を検出する検出回路8cがセンサステータ8sに含まれていてもよい。
【0075】
(4)上記においては、センサロータ8rがカバー部材2に対して軸方向第2側L2に配置されている形態を例示した。しかし、センサロータ8rは、カバー部材2に対して軸方向第1側L1に配置されていてもよい。この場合には、カバー部材2の軸方向第1側L1の回転電機対向面2aにセンサステータ8sが配置される。
【0076】
(5)上記においては、カバー部材2と油温センサ85とが一体化されている形態を例示した。しかし、油温センサ85が一体化されることなく、回転センサ8のセンサステータ8s及び第1導線71のみがカバー部材2と一体化されていてもよい。或いは、センサステータ8s、第1導線71、ステータ温度センサ83(温度センサコネクタ83c)、第2導線72のみがカバー部材2と一体化されていてもよい。
【0077】
(6)上記においては、ステータ温度センサ83(温度センサコネクタ83c)がカバー部材2と一体化されている形態を例示した。しかし、ステータ温度センサ83が一体化されることなく、回転センサ8のセンサステータ8s及び第1導線71のみがカバー部材2と一体化されていてもよい。或いは、センサステータ8s、第1導線71、油温センサ85、第3導線73のみがカバー部材2と一体化されていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1:回転電機、2:カバー部材、2H:カバー上部、2L:カバー下部、4:中継部、5:差動歯車機構、6:パーキングロック機構、6G:パーキングギヤ、8:回転センサ、8r:センサロータ、8s:センサステータ、9:ケース、11:ステータ、12:ロータ、13:ロータ軸、30:動力伝達機構、52:サイドギヤ(出力部材)、53:第1サイドギヤ(出力部材)、54:第2サイドギヤ(出力部材)、59:スプライン係合部(出力部材)、71:第1導線、71a:第1導線第1端(第1導線におけるセンサステータに接続された側)、71b:第1導線第2端(第1導線におけるセンサステータに接続された側とは反対側の端部)、72:第2導線、72a:第2導線第1端(第2導線における油温センサに接続された側)、72b:第2導線第2端(第2導線における油温センサに接続された側とは反対側の端部)、73:第3導線、73a:第3導線第1端(第3導線における前記ステータ温度センサに接続された側)、73b:第3導線第2端(第3導線における前記ステータ温度センサに接続された側とは反対側の端部))、83:ステータ温度センサ、85:油温センサ、100:車両用駆動装置、DS:ドライブシャフト(出力部材)、DS1:第1ドライブシャフト(出力部材)、DS2:第2ドライブシャフト(出力部材)、J:連結軸(出力部材)、L:軸方向、L1:軸方向第1側、L2:軸方向第2側、R:径方向、R2:径方向外側(径方向の外側)、SG:サンギヤ(対象回転体)、V1:上側、V2:下側、W:車輪、X:回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8