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特開2024-137370電動アシスト自転車、情報処理装置、及び、情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137370
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車、情報処理装置、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20240927BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048867
(22)【出願日】2023-03-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2023年2月20日にパナソニック株式会社のウェブサイト(https://gccatapult.panasonic.com/ideas/itsunomani.php)に掲載 〔刊行物等〕 2023年3月1日に株式会社日経BPのウェブサイト(https://woman.nikkei.com/atcl/cons/051300011/021600112/)に掲載
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】栗原 博志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 研二
(72)【発明者】
【氏名】米田 大輝
(57)【要約】
【課題】ユーザの運動促進を支援することができる電動アシスト自転車等を提供する。
【解決手段】電動アシスト自転車10は、電動アシスト自転車10の速度、及び、ペダルへの踏力を取得する制御部16と、電動モータ14とを備える。制御部16は、標準モード及び運動促進モードを有する。運動促進モードにおいて、取得された速度が閾値未満であるときのアシスト率は、標準モードと同一であり、取得された速度が閾値以上であるときのアシスト率は、標準モードよりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アシスト自転車であって、
前記電動アシスト自転車の速度、及び、前記電動アシスト自転車のペダルへの踏力を取得する制御部と、
電動モータとを備え、
前記制御部は、前記電動モータを駆動することにより、取得された前記踏力に、取得された前記速度に応じた係数を乗算したアシスト力を前記電動アシスト自転車の車輪に与え、前記係数の決定方法に関する第1モード及び第2モードを有し、
前記第2モードにおいて、
取得された速度が閾値未満であるときの前記係数は、前記第1モードと同一であり、
取得された速度が前記閾値以上であるときの前記係数は、前記第1モードよりも小さい
電動アシスト自転車。
【請求項2】
前記第2モードにおいて、取得された前記速度が前記閾値以上であるときの前記係数は、0である
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項3】
前記第2モードにおける、取得された前記速度が前記閾値以上であるときの前記係数は、前記第1モードよりも小さく、かつ、取得された前記速度が大きいほど減少する
請求項1に記載の電動アシスト自転車。
【請求項4】
前記制御部は、前記踏力、及び、前記電動アシスト自転車のクランクの回転数であるケイデンスに応じて定まる、前記電動アシスト自転車のユーザの運動負荷の経時変化に基づいて、前記閾値を変更する
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車。
【請求項5】
前記制御部は、第1期間において、前記第1期間の前の第2期間よりも前記ユーザの運動負荷が増加していると判定した場合、前記閾値を、現在値よりも小さい値に変更する
請求項4に記載の電動アシスト自転車。
【請求項6】
前記閾値は、前記電動アシスト自転車のユーザによって直接的に指定される
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車。
【請求項7】
前記閾値は、前記電動アシスト自転車のユーザが指定する運動負荷に関する条件に基づいて、間接的に決定される
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車、及び、情報端末と通信する通信部と、
情報処理部とを備え、
前記情報処理部は、
ユーザが前記電動アシスト自転車を使用しているときの、前記踏力、及び、前記電動アシスト自転車のクランク回転数であるケイデンスを、前記通信部を通じて取得し、
取得された前記踏力及び前記ケイデンスに基づいて、前記電動アシスト自転車の使用による前記ユーザの運動の実績を算出し、
算出された前記運動の実績を可視化するための情報を、前記通信部を用いて前記情報端末へ送信する
情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理部は、さらに、
取得された前記踏力及び前記ケイデンスに基づいて、運動の目標を決定し、
決定された前記目標と、前記電動アシスト自転車の使用による前記ユーザの運動の実績とに基づいて、通知情報を、前記通信部を用いて前記情報端末へ送信する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車、及び、情報端末と通信するコンピュータによって実行される情報処理方法であって、
ユーザが前記電動アシスト自転車を使用しているときの、前記踏力、及び、前記電動アシスト自転車のクランク回転数であるケイデンスを取得する取得ステップと、
取得された前記踏力及び前記ケイデンスに基づいて、前記電動アシスト自転車の使用による前記ユーザの運動の実績を算出する算出ステップと、
算出された前記運動の実績を可視化するための情報を前記情報端末へ送信する送信ステップとを含む
情報処理方法。
【請求項11】
前記情報処理方法は、さらに、
取得された前記踏力及び前記ケイデンスに基づいて、運動の目標を決定する決定ステップと、
決定された前記目標と、前記電動アシスト自転車の使用による前記ユーザの運動の実績とに基づいて、通知情報を前記情報端末へ送信する通知ステップとを含む
請求項10に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車を備える運動管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペダルへの踏力などの人力駆動力に、電動モータによる補助駆動力を付加することで、楽に走行できる電動アシスト自転車が知られている。特許文献1には、電動アシスト自転車に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-182227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ユーザの運動促進を支援することができる電動アシスト自転車等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電動アシスト自転車は、前記電動アシスト自転車の速度、及び、前記電動アシスト自転車のペダルへの踏力を取得する制御部と、電動モータとを備え、前記制御部は、前記電動モータを駆動することにより、取得された前記踏力に、取得された前記速度に応じた係数を乗算したアシスト力を前記電動アシスト自転車の車輪に与え、前記係数の決定方法に関する第1モード及び第2モードを有し、前記第2モードにおいて、取得された速度が閾値未満であるときの前記係数は、前記第1モードと同一であり、取得された速度が前記閾値以上であるときの前記係数は、前記第1モードよりも小さい。
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、前記電動アシスト自転車、及び、情報端末と通信する通信部と、情報処理部とを備え、前記情報処理部は、ユーザが前記電動アシスト自転車を使用しているときの、前記踏力、及び、前記電動アシスト自転車のクランク回転数であるケイデンスを、前記通信部を通じて取得し、取得された前記踏力及び前記ケイデンスに基づいて、前記電動アシスト自転車の使用による前記ユーザの運動の実績を算出し、算出された前記運動の実績を可視化するための情報を、前記通信部を用いて前記情報端末へ送信する。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、前記電動アシスト自転車、及び、情報端末と通信するコンピュータによって実行される情報処理方法であって、ユーザが前記電動アシスト自転車を使用しているときの、前記踏力、及び、前記電動アシスト自転車のクランク回転数であるケイデンスを取得する取得ステップと、取得された前記踏力及び前記ケイデンスに基づいて、前記電動アシスト自転車の使用による前記ユーザの運動の実績を算出する算出ステップと、算出された前記運動の実績を可視化するための情報を前記情報端末へ送信する送信ステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る電動アシスト自転車等は、ユーザの運動促進を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る運動管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る電動アシスト自転車の外観図である。
図3図3は、実施の形態に係る電動アシスト自転車の動作モードを説明するための図である。
図4図4は、運動促進モードを示す図である。
図5図5は、運動促進モードの変形例を示す図である。
図6図6は、実績情報の提供動作の例1のシーケンス図である。
図7図7は、運動の実績の表示画面の第1の例を示す図である。
図8図8は、実績情報の提供動作の例2のシーケンス図である。
図9図9は、運動の実績の表示画面の第2の例を示す図である。
図10図10は、チアリング動作のシーケンス図である。
図11図11は、チアリングメッセージの決定方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る運動管理システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る運動管理システムの機能構成を示すブロック図である。図2は、実施の形態に係る電動アシスト自転車の外観図である。
【0013】
図1及び図2に示されるように、運動管理システム100は、ユーザが電動アシスト自転車10を使用しているときの走行データを管理し、走行データに基づいて、ユーザの運動の実績を可視化することができるシステムである。運動管理システム100は、具体的には、電動アシスト自転車10と、情報端末20と、第1サーバ装置30と、第2サーバ装置40とを備える。
【0014】
まず、電動アシスト自転車10について説明する。電動アシスト自転車10は、公道を走行することができる自転車である。電動アシスト自転車10は、車体11と、前輪12fと、後輪12rと、ペダル13と、車体11に取り付けられた電動モータ14と、バッテリ15と、制御部16と、踏力センサ17aと、回転数センサ17bと、記憶部18と、通信部19とを備える。
【0015】
電動アシスト自転車10は、ペダル13へのユーザの踏力に基づいて電動モータ14を駆動することにより、車体11の前進をアシストする。電動モータ14は、バッテリ15から供給される電力を用いて駆動する。電動モータ14は、前輪12fをアシスト(回動)してもよいし、後輪12rをアシストしてもよい。バッテリ15は、例えば、リチウムイオン電池などの二次電池であり、制御部16等の電源としても機能する。
【0016】
制御部16は、電動モータ14を駆動する制御装置である。制御部16は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。制御部16の機能は、制御部16を構成するプロセッサまたはマイクロコンピュータなどのハードウェアが記憶部18に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。
【0017】
制御部16は、具体的には、ユーザのペダル13への踏力と電動アシスト自転車10の速度とを取得し、取得した踏力及び速度に基づいて、電動モータ14が生成するアシスト力(言い換えれば、補助駆動力)の大きさを決定する。
【0018】
ペダル13への踏力は、踏力センサ17aから得られる。踏力センサ17aは、例えば、磁歪式のトルクセンサである。電動アシスト自転車10の速度は、後輪12r(または前輪12f)の単位時間当たりの回転数と、後輪12r(または前輪12f)の大きさとに基づいて取得(算出)される。なお、電動アシスト自転車10の速度は、後輪12r(または前輪12f)に取り付けられたホールICなどのセンサによって計測されてもよい。電動アシスト自転車10の速度の計測方法は、特に限定されない。
【0019】
回転数センサ17bは、クランクの回転数を計測する。回転数センサ17bは、言い換えれば、クランクの回転角を計測する。回転数センサ17bは、例えば、光出射部及び受光部を有する光学式のセンサであり、光出射部及び受光部の間に位置する遮光体であってクランクと連動して回転する遮光体により光出射部から受光部に至る光の経路が遮られた回数に基づいて、クランクの回転数を計測する。回転数センサ17bは、クランクの回転数を計測することができればよく、上記光学式の構成に限定されない。
【0020】
なお、単位時間当たりのクランク回転数は、例えば、最新のクランク回転数の計測値と一つ前のクランク回転数の計測値との差を単位時間当たりのクランク回転数に換算することで算出することができる。単位時間当たりのクランク回転数は、例えば、制御部16によって算出される。単位時間は、例えば、1分間である。
【0021】
記憶部18は、制御部16が実行するコンピュータプログラム等が記憶される記憶装置である。記憶部18は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0022】
通信部19は、電動アシスト自転車10が情報端末20及び第1サーバ装置30と通信を行うための通信回路である。通信部19が行う通信は、例えば、無線通信である。通信部19は、例えば、情報端末20と局所通信ネットワークを通じて通信し、第1サーバ装置30と広域通信ネットワーク50を通じて通信する。広域通信ネットワーク50には、移動体通信ネットワーク及びインターネットなどが含まれる。
【0023】
次に、情報端末20、第1サーバ装置30、及び、第2サーバ装置40の構成について説明する。情報端末20は、電動アシスト自転車10に乗っているユーザの、ユーザインターフェースとして機能する装置である。情報端末20は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。
【0024】
情報端末20には、例えば、運動管理システム100の専用のアプリケーションプログラム(以下、専用アプリとも記載される)があらかじめインストールされている。情報端末20は、電動アシスト自転車10と局所通信ネットワークを通じて通信し、第1サーバ装置30、及び、第2サーバ装置40と広域通信ネットワーク50を通じて通信する。
【0025】
情報端末20は、画像を表示する表示部21を備える。表示部21は、例えば、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される。
【0026】
第1サーバ装置30は、ユーザが電動アシスト自転車10を使用しているときの走行データを管理するクラウドサーバである。第1サーバ装置30は、具体的には、通信部31と、情報処理部32と、記憶部33とを備える。
【0027】
通信部31は、第1サーバ装置30が、電動アシスト自転車10、情報端末20、及び、第2サーバ装置40などと通信を行うための通信回路である。通信部31が行う通信は、例えば、有線通信であるが、無線通信であってもよい。通信部31は、例えば、電動アシスト自転車10、情報端末20、及び、第2サーバ装置40と広域通信ネットワーク50を通じて通信する。
【0028】
情報処理部32は、走行データを管理するための情報処理を行う。情報処理部32は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部32の機能は、情報処理部32を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサなどのハードウェアが記憶部33に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。
【0029】
記憶部33は、走行データが記憶される記憶装置である。また、記憶部33には、走行データの管理に必要な情報として、情報処理部32が実行するコンピュータプログラム等が記憶される。記憶部33は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)によって実現されるが、半導体メモリによって実現されてもよい。
【0030】
第2サーバ装置40は、SNS(Social Networking Service)またはメッセージ交換サービスなどのサービスを提供するクラウドサーバである。第2サーバ装置40は、情報端末20及び第1サーバ装置30と広域通信ネットワーク50を通じて通信する。
【0031】
[電動アシスト自転車の動作モード]
電動アシスト自転車10の制御部16は、ユーザがペダル13を漕ぐ力(踏力)と電動アシスト自転車10の走行速度とに基づいて、アシスト力を決定する。以下、アシスト力を決定するための動作モードについて説明する。図3は、電動アシスト自転車10の動作モードを説明するための図である。図3の縦軸は、ユーザがペダル13を漕ぐ力(踏力)とアシスト力との比率(以下、アシスト率とも記載される)を示しており、横軸は、電動アシスト自転車10の走行速度を示している。
【0032】
電動アシスト自転車10の電動モータ14の駆動によって得られるアシスト力には、法律等により上限値が定められている電動アシスト自転車10の走行速度が10km/h以下の場合、アシスト力の上限値は、踏力の2倍であり、電動アシスト自転車10の走行速度が10km/hを超える場合、アシスト力の上限値は、走行速度の増加とともに低下し、走行速度が24km/hに達すると、0となる。
【0033】
一般的には、電動アシスト自転車10の設計者は、上限値を超えない範囲でどの程度のアシスト力を付与するかの仕様を決定する。電動アシスト自転車10は、例えば、図3に示されるような、アシスト強モード、標準モード、及び、アシスト弱モードの3つの動作モードを有する。例えば、標準モードにおいて電動アシスト自転車10の走行速度が10km/h以下である場合、アシスト力は、踏力に、アシスト率(係数)として1.5を乗算した値となる。
【0034】
ここで、電動アシスト自転車10は、4つ目の動作モードとして運動促進モードを有する。図4は、運動促進モードを示す図である。
【0035】
図4においては、標準モードにおけるアシスト力が破線で示され、運動促進モードにおけるアシスト力が実線で示されている。図4に示されるように、運動促進モードにおいては、電動アシスト自転車10の走行速度が15km/h未満であるときのアシスト率は、標準モードと実質的に同一であるが、走行速度が15km/h以上であるときのアシスト率は、標準モードよりも小さい。具体的には、走行速度が15km/h以上であるときのアシスト率は、0である。
【0036】
このような運動促進モードでは、走行速度が大きくなるとアシストが行われなくなるため、ユーザの運動負荷(運動量)が増加する。走行速度が小さいときには標準モードと同様のアシストが行われるため、標準モードに慣れたユーザにとっては違和感が小さく、ユーザは普段通り電動アシスト自転車10で移動するだけで、いつの間にか運動負荷が増えている、という結果を得ることができる。
【0037】
このように、電動アシスト自転車10は、ユーザの日常生活の中にシームレスに運動を取り込むことができ、ユーザの運動不足の解消を支援することができる。
【0038】
なお、図4の例では、運動促進モードにおける走行速度が15km/h以上であるときのアシスト率は0であるが、走行速度が増えるほど徐々に減少して0に到達してもよい。図5は、このような運動促進モードの変形例を示す図である。図5に示されるように、運動促進モードにおける、走行速度が15km/h以上であるときのアシスト率は、標準モードよりも小さく、かつ、走行速度が大きいほど減少する。図5の例では、アシスト率は、線形に減少しているが、二次関数的に減少してもよいし、指数関数的に減少してもよい。
【0039】
また、図4の例では、運動促進モードにおける走行速度が15km/h未満であるときのアシスト率は、標準モードと実質的に同一であるが、アシスト強モードまたはアシスト弱モードと実質的に同一であってもよい。運動促進モードにおける走行速度が15km/h未満であるときのアシスト率は、既存の3つのモードのいずれかと実質的に同一であればよい。
【0040】
運動促進モードを含む4つのモードは、電動アシスト自転車10のハンドルに備えられた手元スイッチ(図示せず)へのユーザの操作によって切り替えられる。4つのモードは、情報端末20へのユーザの操作によって切り替えられてもよく、この場合、ユーザの操作に応じて情報端末20から電動アシスト自転車10へモード変更指令が送信される。モード変更指令は、情報端末20から局所通信ネットワークを通じて電動アシスト自転車10へ送信されてもよいし、情報端末20から第1サーバ装置30及び広域通信ネットワーク50を通じて電動アシスト自転車10へ送信されてもよい。
【0041】
[運動促進モードにおける閾値の変更1]
走行速度15km/hは、運動促進モードにおいて標準モードよりもアシスト力を減少させるための閾値であると考えることができる。この閾値(0km/hよりも大きい値)は、例えば、設計者によって定められる固定値であるが、変更されてもよい。
【0042】
ここで、制御部16は、ペダル13への踏力(トルク)、及び、クランク回転数(単位時間当たりのクランク回転数。以下、ケイデンスとも記載される)を記憶部18に履歴情報として記憶することができる。そこで、制御部16は、履歴情報に基づいて、ユーザに加えられた運動負荷を算出し、ユーザの運動負荷の経時変化に応じて閾値を自動的に変更してもよい。
【0043】
ユーザに加えられた運動負荷を示すパラメータとしては、消費カロリー、運動強度、及び、ペダリング時間などが例示される。なお、消費カロリー(単位:kcal)、及び、運動強度(単位:W)は、踏力及びケイデンスと、所定の計算式とから算出することができる。ペダリング時間は、ユーザがペダル13を漕いでいた時間(ケイデンスが0でない時間)の合計である。
【0044】
例えば、制御部16は、今週の1日当たりの平均運動強度が、前週の1日当たりの平均運動強度よりも増加していると判定した場合に、閾値を現在値よりも小さい値に変更する。言い換えれば、制御部16は、第1期間において、第1期間の前の第2期間よりもユーザの運動負荷が増加していると判定した場合に、閾値を現在値よりも小さい値に変更する。これにより、電動アシスト自転車10は、ユーザに加わる運動負荷のさらなる増加を図ることができる。
【0045】
なお、制御部16は、第1期間において、第1期間の前の第2期間よりもユーザの運動負荷が減少していると判定した場合に、閾値を現在値よりも大きい値に変更してもよい。これにより、電動アシスト自転車10は、ユーザに過剰な運動負荷が加わることを抑制することができる。
【0046】
ところで、後述のように、踏力及びケイデンスは、電動アシスト自転車10から第1サーバ装置30にアップロードされる。このため、閾値を変更するための情報処理は、電動アシスト自転車10の制御部16に代えて、第1サーバ装置30の情報処理部32によって行われてもよい。この場合、情報処理部32は、ユーザの運動負荷の経時変化に応じて、閾値を変更する必要があると判定すると、通信部31を用いて、閾値の変更指令を電動アシスト自転車10に送信すればよい。
【0047】
以上、運動負荷の経時変化に応じて閾値を変更する例について説明したが、制御部16は、他の所定の条件に基づいて閾値を変更してもよい。例えば、制御部16(または情報処理部32)は、バッテリ15のSOC(State Of Charge)を取得し、取得したSOCが所定値(例えば、20%など)以下であるときに、閾値を現在値よりも小さい値に変更してもよい。この場合、閾値が小さい値になり、ユーザに強い運動負荷が与えられることで、ユーザにバッテリ15の充電を促すことができる。
【0048】
[運動促進モードにおける閾値の変更2]
また、閾値は、ユーザによって直接的に指定(決定)されてもよい。閾値は、例えば、手元スイッチ(図示せず)へのユーザの操作によって指定される。閾値は、手元スイッチまたは情報端末20へのユーザの操作によって指定されてもよい。閾値が情報端末20へのユーザの操作によって指定される場合、ユーザの操作等に応じて情報端末20から電動アシスト自転車10へ閾値の変更指令が送信される。閾値の変更指令は、情報端末20から局所通信ネットワークを通じて電動アシスト自転車10へ送信されてもよいし、情報端末20から第1サーバ装置30及び広域通信ネットワーク50を通じて電動アシスト自転車10へ送信されてもよい。
【0049】
また、閾値は、ユーザによって間接的に指定(決定)されてもよい。例えば、ユーザは、消費したいカロリー、当該カロリーの消費を達成したい目標日数等の運動負荷に関する条件を手元スイッチまたは情報端末20に入力することで、制御部16または情報端末20は、電動アシスト自転車10の走行履歴情報等に基づいて、条件を満たすために必要な閾値を算出してもよい。閾値が情報端末20によって算出される場合、閾値の変更指令は、情報端末20から局所通信ネットワークを通じて電動アシスト自転車10へ送信されてもよいし、情報端末20から第1サーバ装置30及び広域通信ネットワーク50を通じて電動アシスト自転車10へ送信されてもよい。
【0050】
また、条件を満たすために必要な閾値は、第1サーバ装置30によって算出されてもよい。この場合、情報端末20に入力された条件が第1サーバ装置30へ送信され、情報処理部32は、条件を満たすために必要な閾値を算出する。閾値の変更指令は、第1サーバ装置30から広域通信ネットワーク50を通じて電動アシスト自転車10へ送信される。
【0051】
これとは逆に、ユーザは閾値を情報端末20に入力し、情報端末20は、電動アシスト自転車10の走行履歴情報等に基づいて、入力された閾値が設定された電動アシスト自転車10に何時間乗れば、目標消費カロリーを達成できるかを算出(予測)し、表示部21に表示してもよい。
【0052】
[実績情報の提供動作の例1]
第1サーバ装置30は、ユーザが電動アシスト自転車10を使用しているときの運動の実績を集計し、実績情報として情報端末20へ提供(配信)することができる。図6は、実績情報の提供動作の例1のシーケンス図である。
【0053】
電動アシスト自転車10は、走行データを第1サーバ装置30へ定期的に送信する(S11)。走行データには、ペダル13への踏力の時系列データ、及び、ケイデンスの時系列データが含まれる。走行データは、上述の4つの動作モードのいずれかが選択されているときのデータであればよく、動作モードは特に限定されない。例えば、電動アシスト自転車10の制御部16は、電動アシスト自転車10の電源がオフされるときに、直近で電源がオンされてからオフされるまでの踏力の時系列データ、及び、ケイデンスの時系列データを、通信部19を用いて第1サーバ装置30へ送信する。
【0054】
第1サーバ装置30の通信部31は、走行データを受信する。情報処理部32は、走行データを通信部31を通じて取得し(S12)、記憶部33に記憶する(S13)。
【0055】
その後、情報処理部32は、ステップS12において取得され、かつ、ステップS13において記憶部33に記憶された走行データに基づいて、ユーザが電動アシスト自転車10を使用しているときの運動の実績を算出する(S14)。運動の実績は、例えば、消費カロリー、運動強度、及び、ペダリング時間の少なくとも1つで表現される。消費カロリー、及び、運動強度は、踏力及びケイデンスと、所定の計算式とから算出することができ、ペダリング時間は、ユーザがペダル13を漕いでいた時間(ケイデンスが0でない時間)を合計することによって算出することができる。
【0056】
次に、情報処理部32は、ステップS13において算出された実績を可視化するための実績情報を生成し(S15)、生成した実績情報を、通信部31を用いて情報端末20へ送信する(S16a)。
【0057】
情報端末20は、実績情報を受信し、受信した実績情報に基づいて表示部21に運動の実績を表示する(S17a)。図7は、運動の実績の表示画面の第1の例を示す図である。
【0058】
なお、ステップS14~S15、及び、16aの処理は、例えば、1日の所定時刻に、前日の実績を集計して送信するなど、第1サーバ装置30の情報処理部32によって定期的に行われてもよいし、ユーザの求め(情報端末20への操作)に応じて行われてもよい。
【0059】
このように、実績情報の提供動作の例1においては、運動管理システム100は、ユーザが電動アシスト自転車10を使用しているときに得た運動の実績を集計し、実績情報として情報端末20へ提供することができる。
【0060】
実績情報の提供動作の例1において、電動アシスト自転車10を使用するユーザ(つまり、運動を行ったユーザ)と、情報端末20を使用するユーザ(運動の実績を確認するユーザ)とは、同一であるが、異なってもよい。例えば、第1サーバ装置30は、電動アシスト自転車10を使用する第1ユーザの運動の実績情報を第1ユーザと異なる第2ユーザの情報端末20へ提供してもよい。第1ユーザが高齢者などの見守り対象のユーザであり、第2ユーザが第1ユーザの家族であって第1ユーザと離れて暮らすユーザである場合、第2ユーザへ第1ユーザの無事を知らせる見守り用途で実績情報を提供することができる。
【0061】
なお、実績情報の提供動作の例1においては、第1サーバ装置30の記憶部33には、電動アシスト自転車10の識別情報と、情報端末20にインストールされる専用アプリの識別情報との紐付けを示す情報が記憶されており、情報処理部32は、この情報が示す識別情報の紐付けに基づいて、ユーザの運動の実績情報を当該ユーザと同一または異なるユーザに提供することができる。
【0062】
[実績情報の提供動作の例2]
実績情報の提供動作の例1では、実績情報の提供を受けるために情報端末20に専用アプリをインストールする必要がある。実績情報は、専用アプリに代えて、または、専用アプリに加えて、SNSまたはメッセージ交換サービスなどに用いられている他のアプリケーションプログラムを用いて提供されてもよい。図8は、このような実績情報の提供動作の例2のシーケンス図である。
【0063】
ステップS11~S15の処理は実績情報の提供動作の例1と同様である。ステップS15の処理の後、第1サーバ装置30の情報処理部32は、生成した実績情報を、通信部31を用いて第2サーバ装置40へ送信する(S16b)。
【0064】
上述のように、第2サーバ装置40は、SNSまたはメッセージ交換サービスなどのサービスを提供するクラウドサーバである。第2サーバ装置40は、実績情報を、情報端末20へ送信する(S17b)。
【0065】
情報端末20は、実績情報を受信し、受信した実績情報に基づいて表示部21に運動の実績を表示する(S18b)。図9は、運動の実績の表示画面の第2の例を示す図である。
【0066】
なお、ステップS14~S15、及び、16bの処理は、例えば、1日の所定時刻に、前日の実績を集計して送信するなど、第1サーバ装置30の情報処理部32によって定期的に行われる。ステップS17bの処理は、例えば、プッシュ通知機能を利用して行われる。
【0067】
このように、実績情報の提供動作の例2においては、運動管理システム100は、SNSまたはメッセージ交換サービスなどに用いられている他のアプリがインストールされた情報端末20に実績情報を提供することができる。他のアプリが既に情報端末20にインストールされている場合、ユーザは、専用のアプリを情報端末20に新たにインストールしなくても実績情報の提供を受けることができる。
【0068】
実績情報の提供動作の例2においても、電動アシスト自転車10を使用するユーザ(つまり、運動を行ったユーザ)と、情報端末20を使用するユーザ(運動の実績を確認するユーザ)とは、同一であってもよいし、異なってもよい。例えば、第2サーバ装置40は、電動アシスト自転車10を使用する第1ユーザの運動の実績情報を第1ユーザと異なる第2ユーザの情報端末20へ提供してもよい。第1ユーザが高齢者などの見守り対象のユーザであり、第2ユーザが第1ユーザの家族であって第1ユーザと離れて暮らすユーザである場合、第2ユーザへ第1ユーザの無事を知らせる見守り用途で実績情報を提供することができる。
【0069】
なお、第2サーバ装置40には、電動アシスト自転車10の識別情報と、SNSなどのサービスを提供するためのアカウント情報との紐付けを示す情報が記憶されており、第2サーバ装置40は、この情報が示す識別情報の紐付けに基づいて、ユーザの運動の実績情報を当該ユーザと同一または異なるユーザに提供することができる。
【0070】
[チアリング動作]
第1サーバ装置30は、電動アシスト自転車10を使用した運動の励みとなるチアリングメッセージを通知することができる。以下、このようなチアリング動作について説明する。図10は、チアリング動作のシーケンス図である。
【0071】
ステップS11~S13の処理は実績情報の提供動作の例1と同様である。ステップS13の後、情報処理部32は、ステップS12において取得され、かつ、ステップS13において記憶部33に記憶された走行データに基づいて、ユーザの運動の目標を決定する(S14c)。ある1週間における毎日の運動の目標は、例えば、その前週の1週間分の走行データに基づいて決定される。情報処理部32は、例えば、前週の1週間分の走行データから1日当たりの消費カロリーの平均値を算出し、算出した消費カロリーの平均値を目標に決定する。情報処理部32は、運動強度の平均値またはペダリング時間の平均値を目標に決定してもよい。なお、目標は、情報端末20へのユーザの操作等により、直接的に決定(指定)されてもよい。
【0072】
次に、情報処理部32は、1日の運動の実績を算出する(S15c)。ステップS15cの処理は、実績情報の提供動作の例1のステップS14と同様である。ステップS14cにおいて決定された目標が消費カロリーで表現される場合、ステップS15cにおいて算出される実績も消費カロリーで算出される。
【0073】
次に、情報処理部32は、目標と実績とに応じて、ユーザにチアリングメッセージを通知するためのチアリング情報(通知情報の一例)を生成する(S16c)。図11は、チアリング情報の生成方法(チアリング情報に含まれるチアリングメッセージの決定方法)の一例を示す図である。
【0074】
図11に示されるように、情報処理部32は、ステップS15cで算出した実績が、(1)0である、(2)0より大きいが目標に届いていない、及び、(3)目標以上である、のいずれに該当するかを判定し、判定結果に応じてチアリングメッセージを決定する。なお、実績が0であるとは、ユーザが電動アシスト自転車10を使用しておらず走行データがないか、あるいは、走行データを確認することができないことを意味する。図11の例では、(1)~(3)のケースそれぞれについてパターン1~3の3パターンのチアリングメッセージが準備されており、3パターンのチアリングメッセージのいずれを選択するかについては、例えば、ランダムに決定される。
【0075】
なお、チアリングメッセージは、AI(Artificial Intelligence)によって生成されてもよい。例えば、Chat GPT(Generative Pre-trained Transformer)のようなサービスを提供するAIまたはこれに類するAIにより、チアリングメッセージが生成されてもよい。電動アシスト自転車10の現在地の天候、前日の運動結果、及び、1週間の運動履歴などの情報をAIに与えることで、AIがその個人に最適なチアリングメッセージを生成することが可能である。
【0076】
情報処理部32は、生成したチアリング情報を、通信部31を用いて情報端末20へ送信する(S17c)。チアリング情報は、例えば、実績の算出対象となった1日の翌朝に送信されるが、チアリング情報の送信タイミングは特に限定されない。チアリング情報の送信は、ユーザの求め(情報端末20への操作)に応じて行われてもよい。
【0077】
情報端末20は、チアリング情報を受信し、受信したチアリング情報に基づいて表示部21にチアリングメッセージを表示する(S18c)。ステップS18cにおいては、ステップS16cにおいて決定されたチアリングメッセージ(図11の9つのチアリングメッセージのいずれか)が表示部21に表示される。
【0078】
このように、運動管理システム100は、電動アシスト自転車10を使用した運動の励みとなるチアリングメッセージを通知することができる。ユーザは、チアリングメッセージの通知を受けることにより、電動アシスト自転車10を使用した運動のモチベーションを向上することができる。
【0079】
ところで、情報端末20にインストールされる、チアリングメッセージの通知を受けるための専用アプリには、チャット機能(メッセージの送受信機能)が付与されており、ユーザは、あらかじめ設定したチアリングパートナ(人)とチャットを行うことができる。ユーザは、チアリングメッセージの通知画面から簡単にチャットを開始することができ、「今日は目標を達成できたよ」といったメッセージをチアリングパートナへ送ることができる。なお、チアリングパートナとして人ではなくAIを設定することも可能である。
【0080】
このように、専用アプリにチャット機能が付与されていれば、チャットのために他のアプリケーションプログラムを実行する手間を省略することができる。
【0081】
なお、実績情報の提供動作の例2と同様に、チアリングメッセージは、SNSまたはメッセージ交換サービスなどに用いられている他のアプリケーションプログラムを用いて通知されてもよい。この場合、ステップS17cにおいて、チアリング情報は第1サーバ装置30から第2サーバ装置40へ送信され、その後、第2サーバ装置40は、チアリング情報を情報端末20へ送信する。
【0082】
[変形例]
上記実施の形態で説明された運動促進モードの動作においては、電動アシスト自転車10が閾値を超える速度で走行しているときのアシスト力が0または非常に小さくなる。したがって、電動アシスト自転車10が閾値を超える速度で長時間走行したユーザは、疲弊してしまう可能性がある。そこで、電動アシスト自転車10が閾値を超える速度で走行している状態が所定時間に達した場合、制御部16は、速度が閾値以上であってもアシスト力を車輪に与えてもよい。このときのアシスト力の大きさは、例えば、標準モードと実質的に同一、または、標準モードよりも小さくなるように設定されるが、経験的または実験的に適宜定められればよい。
【0083】
また、上記実施の形態の、実績情報の提供動作の例1、例2、及び、チアリング動作は、運動促進モードを備えた電動アシスト自転車10から得られる走行データに基づいて行われた。しかしながら、実績情報の提供動作の例1、例2、及び、チアリング動作は、運動促進モードを備えていない電動アシスト自転車からの走行データに基づいて行うことも可能である。
【0084】
また、上記実施の形態における、実績情報の提供動作の例1、例2、及び、チアリング動作は、サブスクリプションサービスとして実現されてもよい。
【0085】
[効果等]
以下、本明細書の開示内容から得られる発明を例示し、例示される発明から得られる効果等について説明する。
【0086】
発明1は、電動アシスト自転車10であって、電動アシスト自転車10の速度、及び、電動アシスト自転車10のペダル13への踏力を取得する制御部16と、電動モータ14とを備え、制御部16は、電動モータ14を駆動することにより、取得された踏力に、取得された速度に応じた係数を乗算したアシスト力を電動アシスト自転車10の車輪に与え、係数の決定方法に関する第1モード及び第2モードを有し、第2モードにおいて、取得された速度が閾値未満であるときの係数は、第1モードと同一であり、取得された速度が閾値以上であるときの係数は、第1モードよりも小さい、電動アシスト自転車10である。第1モードは、例えば、上記実施の形態におけるアシスト強モード、標準モード、及び、アシスト弱モードのいずれかであり、第2モードは、例えば、上記実施の形態における運動促進モードである。係数は、例えば、上記実施の形態におけるアシスト率である。ここでの同一とは、厳密な意味ではなく、実質的に同一であることを意味する。
【0087】
このような電動アシスト自転車10によれば、第1モードに慣れたユーザは、第2モードに設定した電動アシスト自転車10で普段通りに移動するだけで、いつの間にか運動負荷が増えている、という結果を得ることができる。つまり、電動アシスト自転車10は、ユーザの運動促進を支援することができる。
【0088】
発明2は、第2モードにおいて、取得された速度が閾値以上であるときの係数は、0である、発明1の電動アシスト自転車10である。
【0089】
このような電動アシスト自転車10は、速度が閾値以上であるときにアシストを停止することで、ユーザの運動促進を支援することができる。
【0090】
発明3は、第2モードにおける、取得された速度が閾値以上であるときの係数は、第1モードよりも小さく、かつ、取得された速度が大きいほど減少する、発明1の電動アシスト自転車10である。
【0091】
このような電動アシスト自転車10は、速度が閾値以上であるときにアシスト力を低下させることで、ユーザの運動促進を支援することができる。
【0092】
発明4は、制御部16は、踏力、及び、電動アシスト自転車10のクランクの回転数であるケイデンスに応じて定まる、電動アシスト自転車10のユーザの運動負荷の経時変化に基づいて、閾値を変更する、発明1~3のいずれかの電動アシスト自転車10である。
【0093】
このような電動アシスト自転車10は、ユーザの運動負荷の経時変化に基づいて、第2モードにおける閾値を変更することができる。
【0094】
発明5は、制御部16は、第1期間において、第1期間の前の第2期間よりもユーザの運動負荷が増加していると判定した場合、閾値を、現在値よりも小さい値に変更する、発明4の電動アシスト自転車10である。
【0095】
このような電動アシスト自転車10は、運動に慣れてきたユーザの運動負荷をさらに増加させることができる。
【0096】
発明6は、閾値は、電動アシスト自転車10のユーザによって直接的に指定される、発明1~5のいずれかの電動アシスト自転車10である。
【0097】
このような電動アシスト自転車10は、第2モードにおける閾値をユーザが指定する値に変更することができる。
【0098】
発明7は、閾値は、電動アシスト自転車10のユーザが指定する運動負荷に関する条件に基づいて、間接的に決定される、発明1~5のいずれかの電動アシスト自転車10である。
【0099】
このような電動アシスト自転車10は、第2モードにおける閾値をユーザが指定する条件に合う値に変更することができる。
【0100】
発明8は、発明1~7のいずれかの電動アシスト自転車10、及び、情報端末20と通信する通信部31と、情報処理部32とを備え、情報処理部32は、ユーザが電動アシスト自転車10を使用しているときの、踏力、及び、電動アシスト自転車10のクランク回転数であるケイデンスを、通信部19を通じて取得し、取得された踏力及びケイデンスに基づいて、電動アシスト自転車10の使用によるユーザの運動の実績を算出し、算出された運動の実績を可視化するための情報を、通信部19を用いて情報端末20へ送信する、情報処理装置である。このような情報処理装置は、例えば、上記実施の形態の第1サーバ装置30である。
【0101】
このような情報処理装置は、電動アシスト自転車10の使用によるユーザの運動の実績を可視化することができる。
【0102】
発明9は、情報処理部32は、さらに、取得された踏力及びケイデンスに基づいて、運動の目標を決定し、決定された目標と、電動アシスト自転車10の使用によるユーザの運動の実績とに基づいて、通知情報を、通信部31を用いて情報端末20へ送信する、発明8の情報処理装置である。
【0103】
このような情報処理装置は、運動の目標が達成されたかどうかに関する通知を行うことができる。
【0104】
発明10は、発明1~7のいずれかの電動アシスト自転車10、及び、情報端末20と通信するコンピュータによって実行される情報処理方法であって、ユーザが電動アシスト自転車10を使用しているときの、踏力、及び、電動アシスト自転車10のクランク回転数であるケイデンスを取得する取得ステップS12と、取得された踏力及びケイデンスに基づいて、電動アシスト自転車10の使用によるユーザの運動の実績を算出する算出ステップS14と、算出された運動の実績を可視化するための情報を情報端末20へ送信する送信ステップS16aとを含む、情報処理方法である。
【0105】
このような情報処理方法は、電動アシスト自転車10の使用によるユーザの運動の実績を可視化することができる。
【0106】
発明11は、情報処理方法は、さらに、取得された踏力及びケイデンスに基づいて、運動の目標を決定する決定ステップS14cと、決定された目標と、電動アシスト自転車10の使用によるユーザの運動の実績とに基づいて、通知情報を情報端末20へ送信する通知ステップS17cとを含む、発明10の情報処理方法である。
【0107】
このような情報処理方法は、運動の目標が達成されたかどうかに関する通知を行うことができる。
【0108】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0109】
例えば、上記実施の形態では、運動管理システムは、複数の装置によって実現された。この場合、運動管理システムが備える構成要素(特に機能的な構成要素)は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、上記実施の形態において第1サーバ装置が備える構成要素の一部または全部が、情報端末によって備えられてもよい。
【0110】
また、運動管理システムは、単一の装置によって実現されてもよい。例えば、運動管理システムは、上記実施の形態の、第1サーバ装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0112】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0113】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0114】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0115】
例えば、本発明は、上記実施の形態に係る運動管理システム、第1サーバ装置、第2サーバ装置、情報端末、または、電動アシスト自転車として実現されてもよい。また、本発明は、運動管理システム、第1サーバ装置、第2サーバ装置、情報端末、または、電動アシスト自転車などのコンピュータが実行する方法として実現されてもよいし、このような方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0116】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0117】
10 電動アシスト自転車
11 車体
12f 前輪
12r 後輪
13 ペダル
14 電動モータ
15 バッテリ
16 制御部
17a 踏力センサ
17b 回転数センサ
18、33 記憶部
19、31 通信部
20 情報端末
21 表示部
30 第1サーバ装置
32 情報処理部
40 第2サーバ装置
50 広域通信ネットワーク
100 運動管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11