(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137394
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】収支シミュレーション装置、収支シミュレーション方法及び収支シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048903
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末吉 啓太
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仕入元の利益の最大化が図れるように、仕入先を選定するための情報を生成する収支シミュレーション装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】商品コード、仕入先コード及び商品の仕入単価が対応付けられた仕入先別単価情報にアクセス可能な収支シミュレーション装置は、表示部と、注文された商品を、複数の仕入先から夫々調達する場合の収支をシミュレーションする制御部と、を備え、制御部は、仕入先別単価情報に基づいてシミュレーションすることで、仕入先コードと商品コードと仕入単価とを含む仕入先毎の収支シミュレーション情報を生成し、生成した仕入先毎の収支シミュレーション情報を含むシミュレーション画像を、仕入単価が安い仕入先が表示の優先順位の上位となり、仕入単価が高い仕入先が下位となるように、仕入先毎の収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示部に表示させる仕入単価優先表示処理を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
発注元からの注文された商品を、複数の仕入先からそれぞれ調達する場合の収支のシミュレーション処理を実行する制御部と、を備え、
前記商品を識別するための商品コードと、前記仕入先を識別するための仕入先コードと、前記商品の仕入単価と、がそれぞれ対応付けられた仕入先別単価情報に、アクセス可能であり、
前記制御部は、
前記仕入先別単価情報に基づいて前記シミュレーション処理を実行することで、前記仕入先コードと前記商品コードと前記仕入単価とを含む前記仕入先ごとの収支シミュレーション情報を生成し、
生成した前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を含むシミュレーション画像を前記表示部に表示させ、
前記シミュレーション画像上において、前記仕入単価が安い前記仕入先が表示の優先順位の上位となり、前記仕入単価が高い前記仕入先が表示の優先順位の下位となるように、前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示する仕入単価優先表示処理を実行する収支シミュレーション装置。
【請求項2】
前記仕入先別単価情報は、前記発注元の納入先を識別するための納入先コードと、前記商品の配送のリードタイムと、をさらに含み、
前記納入先コードと、前記仕入単価に基づく表示または前記リードタイムに基づく表示のいずれを優先するかを選択する優先フラグと、がそれぞれ対応付けられた納入先別優先情報に、アクセス可能であり、
前記制御部は、
前記納入先別優先情報に基づいて、前記仕入単価に基づく表示を優先すると判定すると、前記仕入単価優先表示処理を実行し、
前記納入先別優先情報に基づいて、前記リードタイムに基づく表示を優先すると判定すると、前記シミュレーション画像上において、前記リードタイムが早い前記仕入先が表示の優先順位の上位となり、前記リードタイムが遅い前記仕入先が表示の優先順位の下位となるように、前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示するリードタイム優先表示処理を実行する請求項1に記載の収支シミュレーション装置。
【請求項3】
前記収支シミュレーション情報は、前記仕入先からの仕入予定日、前記発注元からの回収予定日、前記仕入先への支払予定日の少なくとも一つを含む請求項1に記載の収支シミュレーション装置。
【請求項4】
発注元からの注文された商品を、複数の仕入先からそれぞれ調達する場合の収支のシミュレーション処理を実行する収支シミュレーション方法であって、
前記商品を識別するための商品コードと、前記仕入先を識別するための仕入先コードと、前記商品の仕入単価と、がそれぞれ対応付けられた仕入先別単価情報が用いられ、
前記仕入先別単価情報に基づいて前記シミュレーション処理を実行することで、前記仕入先コードと前記商品コードと前記仕入単価とを含む前記仕入先ごとの収支シミュレーション情報を生成し、
生成した前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を含むシミュレーション画像を表示部に表示させ、
前記シミュレーション画像上において、前記仕入単価が安い前記仕入先が表示の優先順位の上位となり、前記仕入単価が高い前記仕入先が表示の優先順位の下位となるように、前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示する仕入単価優先表示処理を実行することを、制御部を備える収支シミュレーション装置が実行する収支シミュレーション方法。
【請求項5】
発注元からの注文された商品を、複数の仕入先からそれぞれ調達する場合の収支のシミュレーション処理を実行する収支シミュレーション方法を、表示部と制御部とを備える収支シミュレーション装置に実行させる収支シミュレーションプログラムであって、
前記商品を識別するための商品コードと、前記仕入先を識別するための仕入先コードと、前記商品の仕入単価と、がそれぞれ対応付けられた仕入先別単価情報が用いられ、
前記仕入先別単価情報に基づいて前記シミュレーション処理を実行することで、前記仕入先コードと前記商品コードと前記仕入単価とを含む前記仕入先ごとの収支シミュレーション情報を生成し、
生成した前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を含むシミュレーション画像を表示部に表示させ、
前記シミュレーション画像上において、前記仕入単価が安い前記仕入先が表示の優先順位の上位となり、前記仕入単価が高い前記仕入先が表示の優先順位の下位となるように、前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示する仕入単価優先表示処理を実行することを、前記収支シミュレーション装置に実行させる収支シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収支シミュレーション装置、収支シミュレーション方法及び収支シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仕入先ごとに異なる販売単価や仕入単価を管理するための単価管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の単価管理装置では、単価の種類を示す単価区分と、単価に関連する複数の項目の優先順位とを対応付けた条件指定マスタに従って、入力される複数の項目から、複数の項目と設定単価とを対応付けた汎用単価マスタに基づいて設定単価を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仕入元において、仕入先の選定は、人の判断で行われている。複数の仕入先の中から仕入先を選定するにあたり、仕入先の選定基準がないため、どの仕入先を選定すれば、仕入元の利益の最大化を図れるのかを把握することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、仕入元の利益の最大化が図れるように、仕入先を選定するための情報を提供することができる収支シミュレーション装置、収支シミュレーション方法及び収支シミュレーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る収支シミュレーション装置は、表示部と、発注元からの注文された商品を、複数の仕入先からそれぞれ調達する場合の収支のシミュレーション処理を実行する制御部と、を備え、前記商品を識別するための商品コードと、前記仕入先を識別するための仕入先コードと、前記商品の仕入単価と、がそれぞれ対応付けられた仕入先別単価情報に、アクセス可能であり、前記制御部は、前記仕入先別単価情報に基づいて前記シミュレーション処理を実行することで、前記仕入先コードと前記商品コードと前記仕入単価とを含む前記仕入先ごとの収支シミュレーション情報を生成し、生成した前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を含むシミュレーション画像を前記表示部に表示させ、前記シミュレーション画像上において、前記仕入単価が安い前記仕入先が表示の優先順位の上位となり、前記仕入単価が高い前記仕入先が表示の優先順位の下位となるように、前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示する仕入単価優先表示処理を実行する。
【0007】
なお、本発明に係る収支シミュレーション装置において、前記仕入先別単価情報は、前記発注元の納入先を識別するための納入先コードと、前記商品の配送のリードタイムと、をさらに含み、前記納入先コードと、前記仕入単価に基づく表示または前記リードタイムに基づく表示のいずれを優先するかを選択する優先フラグと、がそれぞれ対応付けられた納入先別優先情報に、アクセス可能であり、前記制御部は、前記納入先別優先情報に基づいて、前記仕入単価に基づく表示を優先すると判定すると、前記仕入単価優先表示処理を実行し、前記納入先別優先情報に基づいて、前記リードタイムに基づく表示を優先すると判定すると、前記シミュレーション画像上において、前記リードタイムが早い前記仕入先が表示の優先順位の上位となり、前記リードタイムが遅い前記仕入先が表示の優先順位の下位となるように、前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示するリードタイム優先表示処理を実行してもよい。
【0008】
また、本発明に係る収支シミュレーション装置において、前記収支シミュレーション情報は、前記仕入先からの仕入予定日、前記発注元からの回収予定日、前記仕入先への支払予定日の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0009】
また、本発明に係る収支シミュレーション方法は、発注元からの注文された商品を、複数の仕入先からそれぞれ調達する場合の収支のシミュレーション処理を実行する収支シミュレーション方法であって、前記商品を識別するための商品コードと、前記仕入先を識別するための仕入先コードと、前記商品の仕入単価と、がそれぞれ対応付けられた仕入先別単価情報が用いられ、前記仕入先別単価情報に基づいて前記シミュレーション処理を実行することで、前記仕入先コードと前記商品コードと前記仕入単価とを含む前記仕入先ごとの収支シミュレーション情報を生成し、生成した前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を含むシミュレーション画像を表示部に表示させ、前記シミュレーション画像上において、前記仕入単価が安い前記仕入先が表示の優先順位の上位となり、前記仕入単価が高い前記仕入先が表示の優先順位の下位となるように、前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示する仕入単価優先表示処理を実行することを、制御部を備える収支シミュレーション装置が実行する。
【0010】
また、本発明に係る収支シミュレーションプログラムは、発注元からの注文された商品を、複数の仕入先からそれぞれ調達する場合の収支のシミュレーション処理を実行する収支シミュレーション方法を、表示部と制御部とを備える収支シミュレーション装置に実行させる収支シミュレーションプログラムであって、前記商品を識別するための商品コードと、前記仕入先を識別するための仕入先コードと、前記商品の仕入単価と、がそれぞれ対応付けられた仕入先別単価情報が用いられ、前記仕入先別単価情報に基づいて前記シミュレーション処理を実行することで、前記仕入先コードと前記商品コードと前記仕入単価とを含む前記仕入先ごとの収支シミュレーション情報を生成し、生成した前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を含むシミュレーション画像を表示部に表示させ、前記シミュレーション画像上において、前記仕入単価が安い前記仕入先が表示の優先順位の上位となり、前記仕入単価が高い前記仕入先が表示の優先順位の下位となるように、前記仕入先ごとの前記収支シミュレーション情報を順に並べて一覧で表示する仕入単価優先表示処理を実行することを、前記収支シミュレーション装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、仕入元の利益の最大化が図れるように、仕入先を選定するための情報を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、仕入元における商品調達に係る受発注業務のフロー示す図である。
【
図2】
図2は、収支シミュレーション装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、収支シミュレーションデータの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、収支シミュレーションデータの各項目における参照元データを示す図である。
【
図6】
図6は、シミュレーション画像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、シミュレーション画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、受注データ及び発注データの更新に関する図である。
【
図9】
図9は、更新後の受注データ及び発注データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る収支シミュレーション装置、収支シミュレーション方法及び収支シミュレーションプログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.構成]
本実施形態に係る収支シミュレーション装置100の構成の一例について、
図2等を参照して説明する。なお、収支シミュレーション装置100の説明に先立ち、収支シミュレーション装置100が用いられる、仕入元における商品調達に係る受発注業務について説明する。
図1は、仕入元における商品調達に係る受発注業務のフロー示す図である。
図2は、収支シミュレーション装置の構成の一例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、受発注業務において、注文先は、注文書を発行し、発行した注文書を受注元へ送付することで、注文先から受注元へ商品の注文が発注される(ステップS1)。受注元では、注文書を取得すると、受注端末10を用いて、注文書に基づく受注入力が行われ、受注データ及び発注データが生成される(ステップS2)。このため、受注端末10は、発生データとして、受注データ及び発注データを生成する(ステップS3)。受注端末10で生成される受注データ及び発注データは、仮のデータとして生成することが可能となっている。
【0016】
ステップS2において、受注データ及び発注データが生成されると、生成された受注データ及び発注データに基づく、収支シミュレーション装置100を用いたシミュレーション処理が実行され、シミュレーション結果として、受注データ及び発注データが生成される(ステップS4)。なお、シミュレーション結果は、受注元における受注担当部署と経理部との間で共有される。収支シミュレーション装置100では、発生データとして、受注データ及び発注データを生成し(ステップS5)、ステップS3において生成した受注データ及び発注データを更新(洗替)する。ステップS4の実行後、生成された発注データに基づく発注書を発行し、発行した発注書は、仕入先へ送付される(ステップS6)。
【0017】
次に、収支シミュレーション装置100について説明する。収支シミュレーション装置100は、発注元からの注文された商品を、複数の仕入先からそれぞれ調達する場合の収支のシミュレーション処理を実行するものである。収支シミュレーション装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、収支シミュレーション装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0018】
収支シミュレーション装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。収支シミュレーション装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0019】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、収支シミュレーション装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、収支シミュレーション装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0020】
入出力インターフェース部108には、入力装置400および出力装置500が接続されている。出力装置500には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置400には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置500をモニタ500とし、入力装置400をキーボード400またはマウス400として記載する場合がある。
【0021】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0022】
記憶部106は、受注データ106a、発注データ106b、得意先/請求先マスタ106c、仕入先/支払先マスタ106d、仕入先別単価リードタイムマスタ106e、納入先マスタ106f、仕入先別収支シミュレーションデータ(収支シミュレーションデータ)106gを格納する。
【0023】
図3は、各種データの一例を示す図である。受注データ106aは、受注番号、受注行番号、出荷日、納品日、売上予定日、得意先、納入先、商品、数量、売上単価、売上金額、粗利金額、及び回収予定日の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。受注番号は、受注業務の識別番号である。受注行番号は、行頭に付される番号であり、例えば、所定のラベルを示す番号となっている。出荷日は、商品を出荷する日付である。納品日は、商品が納品される日付である。売上予定日は、売上げが計上される予定の日付である。得意先は、発注元となる顧客の識別コードである。納入先は、顧客の納入先の識別コード(納入先コード)である。商品は、商品の識別コード(商品コード)である。数量は、商品の数量である。売上単価は、商品の売り上げ時における単価である。売上金額は、売上単価と数量を乗算した金額である。粗利金額は、売上金額から仕入金額を差し引いた金額である。回収予定日は、発注元から売上金額を回収する予定の日付である。
【0024】
発注データ106bは、発注番号、発注行番号、仕入予定日、仕入先、商品、数量、仕入単価、仕入金額、仮単価フラグ、支払予定日の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。発注番号は、発注業務の識別番号である。発注行番号、行頭に付される番号であり、例えば、所定のラベルを示す番号となっている。仕入予定日は、商品が仕入される予定の日付である。仕入先は、仕入先の識別コード(仕入先コード)である。商品及び数量は、受注データ106aと同様である。仕入単価は、商品の仕入れ時における単価である。仕入金額は、仕入単価と数量を乗算した金額である。仮単価フラグは、収支シミュレーション処理の実行対象となる発注データであるか否かを識別するフラグであり、収支シミュレーションを実行する場合は、「TRUE」を設定し、収支シミュレーションを実行しない場合は、「FALSE」を設定する。支払予定日は、仕入先へ支払いする予定の日付である。
【0025】
得意先/請求先マスタ106cは、得意先、売上計上基準、請求先、締日、回収月、回収日の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。得意先は、受注データ106aと同様である。売上計上基準は、受注元において売上金額を計上する基準である。請求先は、発注元に対する請求先を識別するコードである。締日は、発注元において設定される売上金額の請求の締日であり、例えば、末締等である。回収月は、発注元から売上金額を回収する予定の月である。回収日は、発注元から売上金額を回収する予定の日である。
【0026】
仕入先/支払先マスタ106dは、仕入先、仕入計上基準、請求先、締日、支払月、支払日の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。仕入先は、発注データ106bと同様である。仕入計上基準は、仕入先において仕入金額を計上する基準である。請求先は、仕入先に対する請求先を識別するコードである。締日は、仕入先において設定される仕入金額の請求の締日であり、例えば、末締等である。支払月は、仕入先に仕入金額を支払う予定の月である。支払日は、仕入先に仕入金額を支払う予定の日である。
【0027】
仕入先別単価リードタイムマスタ106eは、得意先コード、納入先コード、商品コード、仕入先コード、仕入単価、配送リードタイムの項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。得意先コード、納入先コード、商品コード、仕入先コード、仕入単価は、受注データ106a及び発注データ106bの、得意先、納入先、商品、仕入先、仕入単価と同様である。配送リードタイムは、仕入先から発注元へ商品が届くまでの日数である。
【0028】
納入先マスタ106fは、納入先コード、優先フラグの項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。納入先コードは、仕入先別単価リードタイムマスタ106eと同様である。優先フラグは、収支シミュレーションにおいて、仕入単価または配送リードタイムのいずれを優先してシミュレーション処理を実行するかを選択するフラグである。具体的に、優先フラグが「0」の場合、仕入単価を優先するシミュレーション処理とし、優先フラグが「1」の場合、配送リードタイムを優先するシミュレーション処理としている。
【0029】
図4は、仕入先別収支シミュレーションデータの一例を示す図である。仕入先別収支シミュレーションデータ106gは、
図3に示す各種データに基づいて、シミュレーション処理を実行することにより生成されるデータとなっている。仕入先別収支シミュレーションデータ106gは、受注番号、受注行番号、発注番号、発注行番号、仕入先、得意先、納入先、出荷日、配送リードタイム、納品予定日、売上予定日、仕入予定日の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。また、仕入先別収支シミュレーションデータ106gは、商品、数量、売上単価、売上金額、仕入単価、仕入金額、粗利金額、粗利率、回収予定日、支払予定日を含んでおり、これらの情報が前述の項目と対応付けられている。
【0030】
図5は、収支シミュレーションデータの各項目における参照元データを示す図である。仕入先別収支シミュレーションデータ106gは、各項目が、
図5の参照元データに示すとおり、
図3に示す各種データに基づいて取得される。受注番号、受注行番号、発注番号、発注行番号、受注行番号、発注番号、発注行番号、仕入先、得意先、納入先、出荷日、配送リードタイムは、受注データ106a、発注データ106b及び仕入先別単価リードタイムマスタ106eの各項目から取得される。納品予定日は、受注データ106aの出荷日に、仕入先別単価リードタイムマスタ106eの配送リードタイムを加算して生成される。売上予定日は、得意先/請求先マスタ106cの売上計上基準をもとに、受注データ106aの出荷日、納品日(納品予定日)等から算出して生成される。仕入予定日は、仕入先/支払先マスタ106dの仕入計上基準をもとに、出荷日、納品日(納品予定日)等から算出して生成される。商品、数量、売上単価、売上金額、仕入単価、仕入金額、粗利金額は、受注データ106a、発注データ106b及び仕入先別単価リードタイムマスタ106eの各項目から取得される。粗利率は、粗利金額を売上金額で除算して、百分率で表した数字であり、端数処理された数字となっている。回収予定日は、受注データ106aの売上予定日から、得意先/請求先マスタ106cの締日、回収月、回収日を参照して算出される。支払予定日は、発注データ106bの仕入予定日から、仕入先/支払先マスタ106dの締日、支払月、支払日を参照して算出される。
【0031】
次に、再び
図2を参照して、制御部102について説明する。制御部102は、収支シミュレーション装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0032】
制御部102は、情報処理として、記憶部106に記憶された各種データに基づいて、仕入先ごとの収支のシミュレーション処理を実行する。
【0033】
以下、制御部102が実行する処理の具体例について、以下の[2.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0034】
[2.処理の具体例]
ここでは、収支シミュレーション装置100で実行される処理の具体例を、
図4から
図8を参照して説明する。
図6及び
図7は、シミュレーション画像の一例を示す図である。
図8は、受注データ及び発注データの更新に関する図である。収支シミュレーション装置100では、収支のシミュレーション処理を実行する。
【0035】
制御部102は、シミュレーション処理において、
図3の各種データに基づいて、
図5に示す収支シミュレーションデータを生成すると共に、収支シミュレーションデータを出力装置(以下、表示部ともいう)500に表示させる。具体的に、制御部102は、発注データ106bの仮単価フラグの項目を取得し、シミュレーション処理を実行するか否かを判定する。制御部102は、発注データ106bの仮単価フラグにおいて、「TRUE」である場合、シミュレーション処理を実行する。一方で、制御部102は、発注データ106bの仮単価フラグにおいて、「FALSE」である場合、シミュレーション処理を実行しない。
【0036】
制御部102は、シミュレーション処理を実行すると判定すると、受注データ106a、発注データ106b、得意先/請求先マスタ106c、仕入先/支払先マスタ106d、仕入先別単価リードタイムマスタ106e、納入先マスタ106fに基づいて、
図5に示すデータ処理を実行することで、
図4に示す仕入先別収支シミュレーションデータ106gを生成する。
【0037】
この後、制御部102は、
図6及び
図7に示すように、仕入先別収支シミュレーションデータ106gを含むシミュレーション画像D1、D2を表示部500に表示させる。
図6に示すシミュレーション画像D1及び
図7に示すシミュレーション画像D2には、仕入先別収支シミュレーションデータ106gが並べて表示されている。仕入先別収支シミュレーションデータ106gは、受注番号に対応して複数並べて表示されている。このとき、制御部102は、納入先マスタ106fに基づく、複数の仕入先別収支シミュレーションデータ106gの表示の並び順としている。制御部102は、優先フラグが「0」の場合、シミュレーション画像D1、D2上において、仕入単価が安い仕入先が表示の優先順位の上位(図の上側)となり、仕入単価が高い仕入先が表示の優先順位の下位(図の下側)となるように、仕入先別収支シミュレーションデータ106gを順に並べて一覧で表示する仕入単価優先表示処理を実行する。一方で、制御部102は、優先フラグが「1」の場合、シミュレーション画像D1、D2上において、配送リードタイムが早い仕入先が表示の優先順位の上位となり、配送リードタイムが遅い仕入先が表示の優先順位の下位となるように、仕入先ごとの仕入先別収支シミュレーションデータ106gを順に並べて一覧で表示するリードタイム優先表示処理を実行する。
【0038】
また、制御部102は、納入先マスタ106fに従う表示の他、全ての受注番号に対して仕入単価優先表示処理を実行したり、リードタイム優先表示処理したりすることが可能となっている。
図6及び
図7に示すように、制御部102は、シミュレーション画像D1、D2において、納入先マスタ106fに従う表示処理とするための操作ボタン121aと、全ての受注番号に対して仕入単価優先表示処理とするための操作ボタン121bと、全ての受注番号に対してリードタイム優先表示処理とするための操作ボタン121cと、を表示している。制御部102は、操作された操作ボタン121a、121b、121cに応じて、操作ボタン121a、121b、121cに応じた表示処理を実行する。
【0039】
図8は、受注データ及び発注データの更新に関する図である。制御部102は、シミュレーション画像D1、D2の表示後、所定の仕入先が選定されると、選定された仕入先に基づく、受注データ106a及び発注データ106bの更新(
図1のステップS5)を実行する。
【0040】
図8に示すように、受注データ106aにおいて更新される情報は、納品日、売上予定日、粗利金額、回収予定日となる。また、発注データ106bにおいて更新される情報は、仕入予定日、仕入先、仕入単価、仕入金額、仮単価フラグ、支払予定日となる。仮単価フラグは、「FALSE」に更新されることで、更新後の発注データ106bが収支シミュレーションの対象データとならないように設定される。
【0041】
図9は、更新後の受注データ及び発注データの一例を示す図である。制御部102は、複数の受注番号に応じた更新後の受注データ106aを並べて表示部500に一覧表示する。また、制御部102は、複数の発注番号に応じた更新後の発注データ106bを並べて表示部500に一覧表示する。これにより、制御部102は、更新後の受注データ106a及び発注データ106bに関する情報を提供する。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、制御部102は、仕入単価に基づく仕入単価優先表示処理を実行して、表示部500にシミュレーション画像D1、D2を表示することができる。このため、仕入元の利益の最大化が図れるように、仕入先を選定するための情報を提供することができる。
【0043】
また、本実施形態よれば、制御部102は、配送リードタイムに基づくリードタイム優先表示処理を実行して、表示部500にシミュレーション画像D1、D2を表示することができる。このため、配送リードタイムを考慮した注文先(納品先)への商品の納品が図れるように、仕入先を選定するための情報を提供することができる。
【0044】
また、本実施形態よれば、仕入先別収支シミュレーションデータ106gに、仕入予定日、回収予定日、支払予定日の少なくとも一つが含まれることで、仕入元の経理部において収支を予測することが容易となる。このため、仕入元の経営の安定に寄与することができる。
【0045】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0048】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0049】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0050】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0051】
また、収支シミュレーション装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0052】
例えば、収支シミュレーション装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて収支シミュレーション装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0053】
また、このコンピュータプログラムは、収支シミュレーション装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0054】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0055】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0056】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0057】
また、収支シミュレーション装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、収支シミュレーション装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0058】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、商品を取引する化学、商社、流通小売等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0060】
100 収支シミュレーション装置
102 制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 受注データ
106b 発注データ
106c 得意先/請求先マスタ
106d 仕入先/支払先マスタ
106e 仕入先別単価リードタイムマスタ
106f 納入先マスタ
106g 仕入先別収支シミュレーションデータ
108 入出力インターフェース部
400 入力装置
500 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク