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特開2024-137397測定経路計画装置、測定経路計画システム、方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137397
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】測定経路計画装置、測定経路計画システム、方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01B21/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048908
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA04
2F069DD01
2F069DD15
2F069DD25
2F069GG01
2F069GG12
2F069GG62
2F069JJ01
2F069JJ08
2F069JJ10
2F069JJ27
(57)【要約】
【課題】プローブの移動経路上に障害物がある場合でも簡易に測定経路を計画することができる測定経路計画装置を提供する。
【解決手段】測定経路計画装置は、測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義する測定対象定義部231と、測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、第1測定点から第2測定点までの間にある、障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更する姿勢変更部233と、第1測定点および第2測定点の間のプローブの測定経路を計画する経路計画部234と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義する測定対象定義部と、
前記測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、前記第1測定点から前記第2測定点までの間にある、前記障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を計画する経路計画部と、
を備える、
測定経路計画装置。
【請求項2】
前記第1測定点および前記第2測定点における前記プローブの姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
前記測定対象定義部は、前記第1測定点および前記第2測定点それぞれにおける前記プローブの姿勢を定義し、
前記姿勢検出部は、前記第1測定点における前記プローブの姿勢と、前記第2測定点における前記プローブの姿勢とが異なる場合に、前記プローブの姿勢を変更可能で、前記障害物と干渉しない空間が前記測定対象空間内にあるか否かを判定する、
請求項1に記載の測定経路計画装置。
【請求項3】
前記障害物に干渉しない空間を前記測定対象空間内で探索する空間探索部を、さらに備える、
請求項1または2に記載の測定経路計画装置。
【請求項4】
測定対象のワークおよび障害物の形状のデータを作成する形状データ作成装置と、
前記形状データ作成装置から取得した前記測定対象のワークおよび前記障害物の形状のデータに基づいて、前記測定対象のワークおよび前記障害物を含む測定対象空間の形状を定義する測定対象定義部と、
前記測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、前記第1測定点から前記第2測定点までの間にある、前記障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を計画する経路計画部と、
を備える、
測定経路計画装置と、
を含む測定経路計画システム。
【請求項5】
前記測定経路計画装置の前記経路計画部が計画した、前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を取得し、前記プローブの測定経路に基づいて、前記第1測定点および前記第2測定点の測定を行う測定装置を、さらに含む、
請求項4に記載の測定経路計画システム。
【請求項6】
測定経路計画装置が実行する方法であって、
測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義し、
前記測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、前記第1測定点から前記第2測定点までの間にある、前記障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更し、
前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を計画する
方法。
【請求項7】
コンピュータに、
測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義する処理、
前記測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、前記第1測定点から前記第2測定点までの間にある、前記障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更する処理、
前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を計画する処理、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定経路計画装置、測定経路計画システム、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元CAD(Computer Aided Design)による設計が普及しており、製品の寸法・形状、特性、性能等を検査する計画するCAT(Computer Aided Testing)においても、三次元CADで設計した製品の三次元データを活用して測定経路の計画を作成することが増えている。多くの場合、製品の寸法・形状、特性、性能等の検査は、測定用探針であるプローブを予め定められた製品上の測定点に接触させることにより行われる。このため、測定者は、製品の三次元データ上において、プローブの現在の測定点から次の測定点までの移動経路を設定することにより、測定経路の計画を作成することになる。しかしながら、プローブの移動経路の設定は測定者の経験則により設定されるため、同じ製品に対する測定経路の計画であっても測定者ごとに測定経路の長さが異なることが多い。そこで、例えば、特許文献1には、測定対象の製品の外表面から所定の距離だけ外側にオフセットさせたオフセット領域を定義し、オフセット領域内でプローブの移動距離を最適化して測定経路を計画する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3989108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、プローブをオフセット領域内で単純に移動および姿勢変更をすることにより測定経路を計画している。測定対象の製品がワーク単体であれば、ワークの外表面に定義されたオフセット領域内にプローブに干渉する障害物が無いため、プローブをオフセット領域内で単純に移動および姿勢変更をすることにより測定経路を計画することができる。しかしながら、測定対象の製品が、ワーク上に取付部品、配線、機器等が配置されている場合、ワークの外表面に定義されたオフセット領域内には取付部品、配線、機器等が障害物として存在することになる。この場合、プローブをオフセット領域内で単純に移動および姿勢変更させるだけでは、プローブが移動時に障害物と干渉する可能性がある。このため、プローブをオフセット領域内で単純に移動および姿勢変更させるだけでは、プローブが障害物と干渉する測定経路を計画してしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の問題を解決するためになされたものであり、プローブの移動経路上に障害物がある場合でも簡易に測定経路を計画することができる測定経路計画装置、測定経路計画システム、方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本開示にかかる測定経路計画装置は、測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義する測定対象定義部と、測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、第1測定点から第2測定点までの間にある、障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更する姿勢変更部と、第1測定点および第2測定点の間のプローブの測定経路を計画する経路計画部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更させることにより、プローブが障害物に干渉しない測定経路を決定することができる。これにより、プローブの移動経路上に障害物がある場合でも簡易に測定経路を計画することができる測定経路計画装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1にかかる測定経路計画システムの構成を示す図
図2図1に示した測定経路計画装置の制御部の構成を示す図
図3図1に示した測定経路計画装置のハードウエア構成の一例を示す図
図4】実施の形態1にかかるプローブの概要を示す図であり、(A)は姿勢変更前のプローブを示す図であり、(B)は姿勢変更後のプローブを示す図
図5】実施の形態1にかかる測定対象空間の概要を示す図
図6図5に示した測定対象空間内でのプローブの移動経路を示す図
図7図5に示した測定対象空間内でのプローブの姿勢変更を示す図
図8図7の姿勢変更後のプローブの移動経路を示す図
図9】実施の形態1にかかる測定経路計画処理のフローチャート
図10】実施の形態2にかかる測定経路計画装置の制御部の構成を示す図
図11】実施の形態2にかかる測定対象空間の概要を示す図
図12図11に示した測定対象空間内でのプローブの移動経路を示す図
図13図11に示した測定対象空間内でのプローブの姿勢変更位置への移動を示す図
図14図13に示した姿勢変更位置でのプローブの姿勢変更を示す図
図15図14の姿勢変更後のプローブの移動経路を示す図
図16】実施の形態2にかかる探索機能付き測定経路計画処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本開示の実施の形態1にかかる測定経路計画装置2を含む測定経路計画システム100について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一または同等の部分に同一の符号を付す。
【0010】
測定経路計画装置2は、製品上の測定点を含む測定対象空間を認識することにより、測定対象空間内に存在する障害物と測定点の位置関係に応じて、障害物と干渉しない空間でのプローブの姿勢変更をさせることにより、プローブが障害物と干渉しない測定経路を決定することができる装置である。また、測定経路計画システム100は、測定経路計画装置2を含むシステムである。
【0011】
図1に示す測定経路計画システム100は、測定経路計画に使用する各種データを入出力する入出力装置1と、製品上の測定経路を計画する測定経路計画装置2とを含む。入出力装置1は、製品を測定する三次元測定機器11と、製品を構成するワーク、障害物、製品設置台の形状の各種データを有する三次元CAD12および三次元スキャナ13と、各種データを表示する表示装置14と、測定者からの各種データ、指示を入力するための入力操作機器15とを含む。
【0012】
三次元測定機器11は、製品を測定するための、プローブを含む測定器を備えている。三次元測定機器11は、測定器の可動範囲、プローブの情報・位置等の各種データを測定経路計画装置2に出力する。また、三次元測定機器11は、製品の測定後には、製品の測定データを測定経路計画装置2に出力する。三次元CAD12および三次元スキャナ13は、製品を構成するワーク、障害物、製品設置台の形状のデータを有している。なお、三次元CAD12は、ワークおよび各種部品を含む製品の形状を設計し、三次元データを生成することも可能である。また、三次元スキャナ13は、ワーク、各種部品等の実物の形状を読み込み、スキャンデータを生成することも可能である。なお、三次元測定機器11は、特許請求の範囲における測定装置の一例である。また、三次元測定機器11、三次元CAD12、三次元スキャナ13は、特許請求の範囲における形状データ作成装置の一例である。
【0013】
表示装置14は、測定者により入力された各種データ、指示等を含む表示画面を表示する。表示装置14は、表示機器と表示機器に文字及び画像を含む表示用データを表示させるため映像信号を出力する表示コントローラとを含む。表示装置14は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)モニタ等を用いて構成することができる。また、表示コントローラは、例えば、ビデオカード、GPU(Graphics Processing Unit)、グラフィックボード等の映像信号出力装置を用いて構成することができる。入力操作機器15は、測定経路計画システム100を使用する測定者から、製品を構成するワーク、障害物、製品設置台の形状のデータ、指示等の入力を受け付ける。入力操作機器15は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等を用いて構成することができる。
【0014】
測定経路計画装置2は、入出力装置1から送信される各種データを送受信する入出力処理部21と、各種データ、プログラムを記憶する記憶部22と、測定経路計画装置2の各種機能を実行する制御部23と、とを含む。入出力処理部21は、三次元測定機器11から、測定器の可動範囲、プローブの情報・位置等の各種データ、および、測定対象の製品の測定データを取得する。また、入出力処理部21は、三次元CAD12および三次元スキャナ13から、製品を構成するワーク、障害物、製品設置台の形状のデータを取得する。入出力処理部21は、三次元測定機器11、三次元CAD12、および三次元スキャナ13から取得した各種データを、記憶部22に送信し、記憶させる。また、入出力処理部21は、記憶部22から、記憶させた三次元測定機器11、三次元CAD12等の各種データを取得し、制御部23に送信する。
【0015】
記憶部22は、入出力処理部21から受信した、入出力処理部21が三次元測定機器11、三次元CAD12等から取得した各種データを記憶する。また、記憶部22は、制御部23の各種機能を実行するためのプログラムを記憶する。
【0016】
制御部23は、図2に示す、測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義する測定対象定義部231と、プローブ3の姿勢および姿勢を変更可能な空間を検出する姿勢検出部232と、プローブ3の姿勢を変更する姿勢変更部233と、プローブ3の測定経路を計画する経路計画部234とを含む。測定対象定義部231は、入出力処理部21を介して記憶部22から受信した、三次元測定機器11、三次元CAD12等の各種データを用いて、製品を構成するワークおよびワーク上に配置された障害物の形状を三次元で定義する。また、測定対象定義部231は、製品上の測定点の位置および測定時のプローブ3の姿勢を定義する。
【0017】
姿勢検出部232は、現在の測定点におけるプローブ3の姿勢と、次の測定点におけるプローブ3の姿勢を検出する。また、姿勢検出部232は、現在の測定点と次の測定点とのプローブ3の姿勢が異なる場合、姿勢を変更可能な空間を検出する。姿勢変更部233は、姿勢検出部232で検出したプローブ3の姿勢を変更可能な空間で、次の測定点の位置に合わせてプローブ3の姿勢を変更する。
【0018】
経路計画部234は、製品上でのプローブ3の移動経路から、測定経路を計画する。また、経路計画部234は、計画中の測定経路の状態、測定経路の計画結果を逐次、図1に示した入出力処理部21を介して入出力装置1に送信し、入出力装置1の表示装置14に表示させる。これにより、測定者は測定経路の計画状況、計画結果を逐次認識することができる。
【0019】
上述した制御部23の各機能は、ソフトウェアにより実現される機能である。本実施の形態1では、制御部23の各機能を実現するための処理を実行するソフトウェアを測定経路計画処理プログラムとする。測定経路計画処理プログラムを実行するための測定経路計画装置2のハードウエア構成の一例を図3に示す。
【0020】
測定経路計画装置2は、入出力装置1と接続するための接続機器201と、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶機器202と、各種プログラムを展開するためのメモリ203と、各種プログラムを実行するプロセッサ204とを備える。接続機器201と、記憶機器202と、メモリ203と、プロセッサ204とは、データバス205を介して相互に接続されている。
【0021】
接続機器201は、入出力装置1と接続することができる接続用ポートである。接続機器201は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート等、機器を接続可能な各種ポートを用いて構成することができる。また、接続機器201は、図1に示した測定経路計画装置2の入出力処理部21として機能する。記憶機器202は、プロセッサ204で実行する各種プログラムと、図1に示した入出力装置1の表示装置14に表示するための画像、文字等の表示用データが保存されている。記憶機器202は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いて構成することができる。また、記憶機器202は、図1に示した測定経路計画装置2の記憶部22として機能する。
【0022】
メモリ203は、記憶機器202に記憶された各種プログラムを展開するための機器である。メモリ203は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性または不揮発性の半導体メモリといった記憶素子および記憶媒体を用いて構成することができる。プロセッサ204は、記憶機器202に記憶された各種プログラムを読み出してメモリ203に展開し、実行する。プロセッサ204は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing Unit)等の処理装置を用いて構成することができる。
【0023】
続いて、本実施の形態1における測定経路の計画の手順について、図4から図8を参照して以下に説明する。なお、以下では便宜上、二次元空間で示しているが、三次元空間であっても原理は同じである。まず、図4に示すのは、製品上の測定点を測定するプローブ3の概要であり、図4(A)には姿勢変更前のプローブ3を示す。プローブ3は、プローブ3の本体であるプローブ本体部31と、測定点を測定するための探針部32と、測定点に接触させる探針先端部33とを含む。プローブ3の探針部32は、プローブ本体部31の1つの側面から水平に延びている。図4(A)に示すプローブ3には、例えば、現在の測定点における姿勢が定義されるものとする。
【0024】
プローブ3は、例えば、次の測定点において、現在の測定点とは異なる姿勢で測定する必要がある場合、その姿勢を次の測定点で測定できる姿勢に変更する。この場合、プローブ3には、次の測定点における姿勢を定義する。これにより、例えば、プローブ3の探針部32を、図4(A)に示した状態から図4(B)に示す、プローブ本体部31の1つ角から水平に延びる状態に変更させる。
【0025】
次に、図5に示すのは、製品上の測定点を含む測定対象空間4の概要である。測定対象空間4は、製品を構成するワーク40と、ワーク40上に配置された取付部品、配線、機器等の第1障害物41、第2障害物42、第3障害物43と、プローブ3で測定する第1測定点S1、第2測定点S2とを含んでいる。図5においては、理解を容易にするために、ワーク40を白いマス目で示し、第1障害物41~第3障害物43を斜線付きのマス目で示し、第1測定点S1と第2測定点S2とを黒いマス目で示している。プローブ3は、第1障害物41~第3障害物43に干渉しない経路を移動する。このため、プローブ3は、ワーク40を示す白いマス目上を移動するものとする。
【0026】
本実施の形態1では、測定者は、第1測定点S1、第2測定点S2の順に測定するものとする。第2測定点S2は第2障害物42にあるため、第1測定点S1から第2測定点S2にプローブ3が向かう場合、図5の点線矢印で示すとおり、第1測定点S1から第2障害物42を回り込んで第2測定点S2に向かうことになる。
【0027】
第1測定点S1から第2測定点S2までの経路は、図2に示した制御部23に含まれる経路計画部234によって、例えば、A(A Star)探索アルゴリズム、RRT(Rapidly-exploring Random Tree)等の経路計画アルゴリズムを使用して求めることができる。A探索アルゴリズムは、最短経路を求めることが可能であるが、RRTと比べて計算スピードが遅いというデメリットがある。また、RRTは、三次元空間でも比較的、計算スピードが速いが、計画した経路が最短経路になるとは限らないというデメリットがある。
【0028】
プローブ3が、第1測定点S1を測定後、第2測定点S2に向かう場合、まず、プローブ3は、図6に示すとおり、第2測定点S2に向かい、第2障害物42の縁に沿って水平に移動する。図6では、プローブ3の移動経路を網掛けのマス目で示す。
【0029】
プローブ3は、第2測定点S2に向かうために第2障害物42を回り込む必要がある。この場合、プローブ3は姿勢を変更し、第2障害物42を回り込むことになる。測定経路計画装置2の制御部23に含まれる経路計画部234は、図1に示した入出力装置1の三次元測定機器11から、プローブ3が姿勢の変更時に稼働可能な範囲である可動範囲Rを取得している。併せて、経路計画部234は、測定者により図1に示した入出力装置1の入力操作機器15から入力された、プローブ3の姿勢変更後の姿勢を取得する。ここでは、可動範囲Rを、例えば、図6に示す、プローブ3のプローブ本体部31の中心から探針先端部33まで長さを半径とした半円の範囲とする。
【0030】
制御部23の姿勢検出部232は、可動範囲R内に第2障害物42および第3障害物43に干渉せず、プローブ3を姿勢変更後の姿勢できる空間があるか否か判定する。例えば、制御部23の姿勢検出部232は、プローブ3を図6に示す黒矢印の方向に回転させて姿勢を変更しても、プローブ3の探針部32が第2障害物42および第3障害物43に干渉しない空間があるか否か判定する。図6では、プローブ3を黒矢印の方向に回転させて姿勢を変更しても、プローブ3の探針部32は、第2障害物42および第3障害物43とは干渉しない。
【0031】
そこで、図2に示した制御部23に含まれる姿勢変更部233は、プローブ3を黒矢印の方向に回転させて姿勢を変更する。これにより、プローブ3の探針部32を、図7に示す移動前の位置である第1中継点P1から第2測定点S2に向けて移動させる。制御部23の姿勢変更部233は、プローブ3の姿勢、探針部32の現在の位置を更新する。
【0032】
その後、図2に示した制御部23の経路計画部234は、経路計画アルゴリズムを使用して、第2測定点S2までの経路を求める。例えば、制御部23の経路計画部234は、図8に示す点線矢印のとおり、第2障害物42の縁に沿って経路を定める。制御部23の経路計画部234は、例えば、図8に示す第1測定点S1から第2測定点S2までの網掛けのマス目で示す経路を、プローブ3の測定経路とする。
【0033】
次に、測定経路計画装置2における測定経路の計画の動作の流れを、図9に示す測定経路計画処理のフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。測定経路計画処理は、測定経路計画処理プログラムとして、図3に示した記憶機器202に記憶されている。測定者は、測定経路の計画を行うタイミングで、図1に示した入出力装置1の入力操作機器15から開始指示を入力する。例えば、図1に示した入出力装置1の表示装置14の画面上に表示されたアイコン、ボタン等を、測定者は入力操作機器15により選択する。その結果、図3に示した測定経路計画装置2のプロセッサ204は、記憶機器202に記憶されている測定経路計画処理プログラムをメモリ203に読み出し、実行する。
【0034】
図2に示した制御部23の測定対象定義部231は、測定対象となる測定対象空間4の形状を定義する(ステップS101)。例えば、制御部23の測定対象定義部231は、図5に示した測定対象空間4に含まれる、製品を構成するワーク40と、ワーク40上に配置された取付部品、配線、機器等の第1障害物41、第2障害物42、第3障害物43との形状を定義する。ワーク40、第1障害物41~第3障害物43の形状は、例えば、図1に示した記憶部22に記憶されている、三次元測定機器11、三次元CAD12、三次元スキャナ13から取得した各種データをもとに定義される。
【0035】
制御部23の測定対象定義部231は、プローブ3の姿勢と測定位置とを定義する(ステップS102)。例えば、制御部23の測定対象定義部231は、ステップS101で定義した測定対象空間4に、測定位置として図5に示した第1測定点S1、第2測定点S2を定義する。また、制御部23の測定対象定義部231は、第1測定点S1、第2測定点S2それぞれにおけるプローブ3の姿勢を定義する。
【0036】
図2に示した制御部23の経路計画部234は、図1に示した入出力装置1の表示装置14に測定対象空間4と測定位置を表示させる(ステップS103)。例えば、制御部23の経路計画部234は、図5に示した第1測定点S1、第2測定点S2を含む測定対象空間4を、入出力装置1の表示装置14に表示させる。
【0037】
図2に示した制御部23の姿勢検出部232は、ステップS102で定義された、第1測定点S1、第2測定点S2それぞれにおけるプローブ3の姿勢に差があるか否か判定する(ステップS104)。プローブ3の姿勢に差がない場合(ステップS104;NO)、制御部23の姿勢検出部232は、図2に示した制御部23の経路計画部234にプローブ3の姿勢に差がないことを通知する。制御部23の経路計画部234は、第1測定点S1から第2測定点S2までを測定する経路を計画する(ステップS105)。
【0038】
ステップS104において、プローブ3の姿勢に差がある場合(ステップS104;YES)、制御部23の姿勢検出部232は、測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間があるか否か判定する(ステップS106)。例えば、姿勢検出部232は、図6に示した可動範囲R内でプローブ3を、図6に示す黒矢印の方向に回転させて姿勢を変更しても、プローブ3の探針部32が第2障害物42および第3障害物43に干渉しない空間があるか否か判定する。
【0039】
変更可能な空間がある場合(ステップS106;YES)、図2に示した制御部23に含まれる姿勢変更部233は、プローブ3の姿勢を変更する(ステップS107)。例えば、制御部23の姿勢変更部233は、プローブ3を図6に示した黒矢印の方向に回転させて、姿勢を変更する。これにより、プローブ3の探針部32を、図7に示す第1中継点P1から第2測定点S2に向けて移動させることができる。その後、制御部23の経路計画部234は、ステップS105を実行し、第1測定点S1から第2測定点S2までを測定する経路を計画する。
【0040】
また、変更可能な空間がない場合(ステップS106;NO)、制御部23の姿勢変更部233は、測定者にプローブ3を姿勢変更可能な空間に移動させる旨を、図1に示した入出力装置1の表示装置14に表示させる(ステップS108)。これにより、測定者は図1に示した入出力装置1の入力操作機器15を操作して、プローブ3を測定対象空間4の姿勢変更可能な空間に移動させる。
【0041】
制御部23の姿勢変更部233は、プローブ3の現在位置を更新する。また、姿勢変更部233は、プローブ3の姿勢を変更する(ステップS109)。その後、制御部23の経路計画部234は、ステップS105を実行し、第1測定点S1から第2測定点S2までを測定する経路を計画する。制御部23の経路計画部234は、測定経路計画処理を終了する。
【0042】
その後、制御部23の経路計画部234は、図1に示した入出力処理部21を介して、入出力装置1の三次元測定機器11に、測定経路計画処理で計画した測定経路のデータを送信する。三次元測定機器11は、受信した測定経路のデータをもとに、製品を測定する。
【0043】
以上のとおり、実施の形態1によれば、測定経路計画装置2は、測定対象空間4内の第1障害物41~第3障害物43と干渉しない空間で、プローブ3の姿勢を変更させることにより、プローブ3が第1障害物41~第3障害物43に干渉しない測定経路を決定することができる。このため、測定者は、測定経路計画装置2を使用することにより、プローブ3の移動経路上に第1障害物41~第3障害物43がある場合でも簡易に測定経路を計画することができる。
【0044】
(実施の形態2)
上述の実施の形態1では、制御部23の姿勢検出部232が測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間がないと判定した場合、測定者にプローブ3を姿勢変更可能な空間に移動させるものとした。実施の形態2にかかる測定経路計画装置2では、制御部23の姿勢検出部232が測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間がないと判定した場合、制御部23により測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間があるか探索するものとする。
【0045】
図10は、本実施の形態2にかかる測定経路計画装置2の制御部23Aの構成を示すものである。制御部23Aは、測定対象のワークおよび障害物の形状を三次元で定義する測定対象定義部231と、プローブ3の姿勢および姿勢を変更可能な空間を検出する姿勢検出部232と、プローブ3の姿勢を変更する姿勢変更部233と、プローブ3の測定経路を計画する経路計画部234と、プローブ3の姿勢を変更可能な空間があるか探索する空間探索部235とを含む。
【0046】
空間探索部235は、制御部23の姿勢検出部232がプローブ3の姿勢を変更可能な空間がないと判定した場合、測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間があるか探索する。そして、制御部23の姿勢変更部233は、空間探索部235が見つけた空間でプローブ3の姿勢を変更する。
【0047】
続いて、本実施の形態2における測定経路の計画の手順について、図11から図15を参照して以下に説明する。図11に示すのは、製品上の測定点を含む測定対象空間4の概要である。測定対象空間4は、製品を構成するワーク40と、ワーク40上に配置された取付部品、配線、機器等の第1障害物41、第2障害物42、第4障害物44と、プローブ3で測定する第1測定点S1、第2測定点S2とを含んでいる。図11においては、理解を容易にするために、ワーク40を白いマス目で示し、第1障害物41、第2障害物42および第4障害物44を斜線付きのマス目で示し、第1測定点S1と第2測定点S2とを黒いマス目で示している。プローブ3は、第1障害物41、第2障害物42および第4障害物44に干渉しない経路を移動する。このため、プローブ3は、ワーク40を示す白いマス目上を移動するものとする。
【0048】
本実施の形態2では、測定者は、第1測定点S1、第2測定点S2の順に測定するものとする。第2測定点S2は第2障害物42にあるため、第1測定点S1から第2測定点S2にプローブ3が向かう場合、図11の点線矢印で示すとおり、第1測定点S1から第2障害物42を回り込んで第2測定点S2に向かうことになる。
【0049】
第1測定点S1から第2測定点S2までの経路は、図10に示した測定経路計画装置2の制御部23Aに含まれる経路計画部234によって、例えば、A(A Star)探索アルゴリズム、RRT等の経路計画アルゴリズムを使用して求めることができる。プローブ3が、第1測定点S1を測定後、第2測定点S2に向かう場合、まず、プローブ3は、図12に示すとおり、第2測定点S2に向かい、第2障害物42の縁に沿って水平に移動する。図12では、プローブ3の移動経路を網掛けのマス目で示す。
【0050】
プローブ3は、第2測定点S2に向かうために第2障害物42を回り込む必要がある。この場合、プローブ3は姿勢を変更し、第2障害物42を回り込むことになる。しかしながら、図12に示すとおり、プローブ3のプローブ本体部31が第4障害物44にぶつかり、それ以上移動できない。経路を求める経路計画アルゴリズムは、ゴールである第2測定点S2に向かう方向に経路をとる。このため、この場合、図10に示した制御部23Aの姿勢検出部232は、第2測定点S2により近くなる方向、すなわち、プローブ3を第2測定点S2に向けて垂直に移動させる。
【0051】
測定経路計画装置2の制御部23に含まれる経路計画部234は、図1に示した入出力装置1の三次元測定機器11から、プローブ3が姿勢の変更時に稼働可能な範囲である可動範囲Rを取得している。併せて、経路計画部234は、測定者により図1に示した入出力装置1の入力操作機器15から入力された、プローブ3の姿勢変更後の姿勢を取得する。ここでは、可動範囲Rを、例えば、図11に示す、プローブ3のプローブ本体部31の中心から探針先端部33まで長さを半径とした半円の範囲とする。
【0052】
プローブ3を第2測定点S2に向けて垂直に移動させた結果、プローブ3の探針部32が第2障害物42に接触すると、図10に示した制御部23Aの空間探索部235は、可動範囲R内でプローブ3の姿勢を変更可能な空間を探索する。例えば、空間探索部235は、プローブ3の探針先端部33が第2障害物42に接触していた位置である第1中継点P1から、可動範囲Rに対して第1障害物41、第2障害物42、第4障害物44が含まれない領域が増える方向に移動する。または、現在のプローブ3の姿勢に対して、変更可能な位置を探索して特定し、移動する。例えば、図10では、空間探索部235は、可動範囲Rに対して第1障害物41、第2障害物42等が含まれない領域が増える方向、すなわち、第2測定点S2がある方向とは逆方向に垂直に、プローブ3を移動させる。
【0053】
空間探索部235は、プローブ3を垂直に移動させながら、可動範囲R内でプローブ3を黒矢印の向きに回転させ、姿勢を変更させられる空間を探索する。例えば、空間探索部235は、プローブ3を図13に示す黒矢印の方向に回転させて姿勢を変更しても、プローブ3の探針部32が第2障害物42に干渉しない空間を探索する。
【0054】
例えば、図13では、プローブ3の探針先端部33を、第1中継点P1から6マス垂直に移動させている。この場合、可動範囲Rには第2障害物42は含まれていない。また、第4障害物44は可動範囲Rに含まれているものの、プローブ3を第2測定点S2に向けて回転させるのには支障のない範囲である。
【0055】
この場合、空間探索部235は、図10に示した制御部23Aの姿勢変更部233に、プローブ3を黒矢印の方向に回転させて姿勢を変更させる。例えば、制御部23Aの姿勢変更部233は、図14に示す黒矢印の方向にプローブ3を回転させ、姿勢を変更する。なお、図14に示す第2中継点P2は、プローブ3が回転して姿勢を変更する前の、探針先端部33の位置である。また、図15に示す第3中継点P3は、プローブ3が回転して姿勢を変更した後の探針先端部33の位置である。
【0056】
制御部23Aの姿勢変更部233は、プローブ3の姿勢、探針部32の現在の位置を更新する。その後、図10に示した制御部23Aの経路計画部234は、経路計画アルゴリズムを使用して、第2測定点S2までの経路を求める。例えば、制御部23Aの経路計画部234は、図15に示す点線矢印のとおり、第3中継点P3から第2障害物42の縁に沿って経路を定める。制御部23の経路計画部234は、例えば、図15に示す第1測定点S1から第2測定点S2までの網掛けのマス目で示す経路を、プローブ3の測定経路とする。
【0057】
続いて、測定経路計画装置2における測定経路の計画の動作の流れを、図16に示す探索機能付き測定経路計画処理のフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。探索機能付き測定経路計画処理は、探索機能付き測定経路計画処理プログラムとして、図3に示した記憶機器202に記憶されている。測定者は、測定経路の計画を行うタイミングで、図1に示した入出力装置1の入力操作機器15から開始指示を入力する。例えば、図1に示した入出力装置1の表示装置14の画面上に表示されたアイコン、ボタン等を、測定者は入出力装置1の入力操作機器15により選択する。その結果、図3に示した測定経路計画装置2のプロセッサ204は、記憶機器202に記憶されている探索機能付き測定経路計画処理プログラムをメモリ203に読み出し、実行する。
【0058】
ステップS201からステップS207は、図9に示したステップS101からステップS107と同様である。図10に示した制御部23Aの姿勢検出部232は、測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間があるか否か判定し(ステップS106)、変更可能な空間がない場合(ステップS106;NO)、制御部23Aの空間探索部235はプローブ3の姿勢を変更可能な空間を探索する(ステップS208)。例えば、空間探索部235は、図13に示すとおり、第1中継点P1からプローブ3を、可動範囲Rに対して第1障害物41、第2障害物42等が含まれない領域が増える方向、すなわち、第2測定点S2がある方向とは逆方向に、垂直に移動させる。空間探索部235は、プローブ3を垂直に移動させながら、可動範囲R内でプローブ3を黒矢印の向きに回転させ、姿勢を変更させられる空間を探索する。
【0059】
空間探索部235は、測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間があるか否か判定する(ステップS209)。変更可能な空間がある場合(ステップS209;YES)、図10に示した制御部23Aの姿勢変更部233は、プローブ3の姿勢を変更する。続いて姿勢変更部233は、プローブ3の現在位置を更新する(ステップS210)。その後、制御部23Aの経路計画部234は、ステップS205を実行し、第1測定点S1から第2測定点S2までを測定する経路を計画する。
【0060】
また、ステップS209において、変更可能な空間がない場合(ステップS209;NO)、姿勢変更部233はプローブ3の姿勢を変更できない旨を図1に示した入出力装置1の表示装置14の表示画面上に表示させる(ステップS211)。制御部23Aの経路計画部234は、測定経路計画処理を終了する。
【0061】
その後、制御部23Aの経路計画部234は、図1に示した入出力処理部21を介して三次元測定機器11に、測定経路計画処理で計画した測定経路のデータを送信する。三次元測定機器11は、受信した測定経路のデータをもとに、製品を測定する。
【0062】
以上のとおり、実施の形態2によれば、測定経路計画装置2は、実施の形態1に示した制御部23の機能に加えて、制御部23Aの空間探索部235により、測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間があるか探索することができる。これにより、制御部23の姿勢検出部232が測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間がないと判定した場合でも、測定対象空間4内にプローブ3の姿勢を変更可能な空間があるか探すことができる。
【0063】
(変形例1)
上記の実施の形態1、2において、図10に示した制御部23Aの経路計画部234は、例えば、A*(A Star)探索アルゴリズム、RRT等の経路計画アルゴリズムを使用して、第1測定点S1から第2測定点S2までの経路を求めるものとした。これに限らず、第1測定点S1から第2測定点S2までの経路を求められる手法、アルゴリズムであれば、いかなるものであってもよい。また、機械学習を使用して第1測定点S1から第2測定点S2までの経路を求めてもよい。
【0064】
(変形例2)
上記の実施の形態1、2では、図1に示した入出力装置1に各種データを表示する表示装置14と、測定者からの各種データ、指示を入力するための入力操作機器15とを備えるものとした。これに限らず、測定経路計画装置2が、表示装置14と、入力操作機器15とを備えるものとしてもよい。また、表示装置14と入力操作機器15とは、入出力装置1と別体であってもよい。この場合、入出力装置1の操作入力端子、表示データ出力端子がそれぞれ、本願における表示装置14、入力操作機器15に相当する。
【0065】
(変形例3)
実施の形態1では、図9に示すフローチャートのステップS106において、変更可能な空間がない場合(ステップS106;NO)、制御部23の姿勢変更部233は、測定者にプローブ3を姿勢変更可能な空間に移動させる旨を、図1に示した入出力装置1の表示装置14に表示させる(ステップS108)ものとした。これに限らず、制御部23の姿勢変更部233は、プローブ3の測定経路の計画を中断し、測定者にその旨を図1に示した入出力装置1の表示装置14に表示させてもよい。なお、制御部23の姿勢変更部233の代わりに、制御部23の姿勢検出部232、経路計画部234が、プローブ3の測定経路の計画を中断し、その旨を入出力装置1の表示装置14に表示させる、報知手段により報知させる等の手段により、測定者に提示してもよい。
【0066】
(変形例4)
実施の形態1では、図9に示すフローチャートのステップS106において、姿勢検出部232は、変更可能な空間があるか否かを判定した。これに限らず、姿勢検出部232は、変更可能な空間があるか否かの判定のタイミングを、経路計画中に変更可能な空間が検出された場合とし、この場合に「変更可能な空間あり」と判定してもよい。また、姿勢検出部232は、変更可能な空間があるか否かの判定のタイミングを、経路計画中に空間が検出されない、かつ、プローブ3が第1障害物41~第4障害物44に干渉してしまう場合とし、この場合に「変更可能な空間なし」と判定してもよい。
【0067】
また、本開示の実施の形態1、2では、測定経路計画装置2を、専用のシステムとして実現できるものとした。しかしながら、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、上述の測定経路計画装置2における各機能を実現するためのプログラムを、コンピュータが読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)などの記録媒体に格納して配布し、このプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合には、アプリケーションのみを記録媒体に格納してもよい。
【0068】
なお、本開示の技術的範囲は、上記実施の形態と変形例によっては限定されない。本開示は特許請求の範囲に記載された技術的思想の限りにおいて、自由に応用、変形あるいは改良して、実施することができる。
【0069】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0070】
(付記1)
測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義する測定対象定義部と、
前記測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、前記第1測定点から前記第2測定点までの間にある、前記障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を計画する経路計画部と、
を備える、
測定経路計画装置。
【0071】
(付記2)
前記第1測定点および前記第2測定点における前記プローブの姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
前記測定対象定義部は、前記第1測定点および前記第2測定点それぞれにおける前記プローブの姿勢を定義し、
前記姿勢検出部は、前記第1測定点における前記プローブの姿勢と、前記第2測定点における前記プローブの姿勢とが異なる場合に、前記プローブの姿勢を変更可能で、前記障害物と干渉しない空間が前記測定対象空間内にあるか否かを判定する、
付記1に記載の測定経路計画装置。
【0072】
(付記3)
前記障害物に干渉しない空間を前記測定対象空間内で探索する空間探索部を、さらに備える、
付記1または2に記載の測定経路計画装置。
【0073】
(付記4)
測定対象のワークおよび障害物の形状のデータを作成する形状データ作成装置と、
前記形状データ作成装置から取得した前記測定対象のワークおよび前記障害物の形状のデータに基づいて、前記測定対象のワークおよび前記障害物を含む測定対象空間の形状を定義する測定対象定義部と、
前記測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、前記第1測定点から前記第2測定点までの間にある、前記障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を計画する経路計画部と、
を備える、
測定経路計画装置と、
を含む測定経路計画システム。
【0074】
(付記5)
前記測定経路計画装置の前記経路計画部が計画した、前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を取得し、前記プローブの測定経路に基づいて、前記第1測定点および前記第2測定点の測定を行う測定装置を、さらに含む、
付記4に記載の測定経路計画システム。
【0075】
(付記6)
測定経路計画装置が実行する方法であって、
測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義し、
前記測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、前記第1測定点から前記第2測定点までの間にある、前記障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更し、
前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を計画する
方法。
【0076】
(付記7)
コンピュータに、
測定対象のワークおよび障害物を含む測定対象空間の形状を定義する処理、
前記測定対象空間内に設定された第1測定点および第2測定点を順に測定する場合に、前記第1測定点から前記第2測定点までの間にある、前記障害物と干渉しない空間でプローブの姿勢を変更する処理、
前記第1測定点および前記第2測定点の間の前記プローブの測定経路を計画する処理、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0077】
1 入出力装置、2 測定経路計画装置、3 プローブ、4 測定対象空間、11 三次元測定機器、12 三次元CAD、13 三次元スキャナ、14 表示装置、15 入力操作機器、21 入出力処理部、22 記憶部、23、23A 制御部、31 プローブ本体部、32 探針部、33 探針先端部、40 ワーク、41 第1障害物、42 第2障害物、43 第3障害物、44 第4障害物、100 測定経路計画システム、201 接続機器、202 記憶機器、203 メモリ、204 プロセッサ、205 データバス、231 測定対象定義部、232 姿勢検出部、233 姿勢変更部、234 経路計画部、235 空間探索部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16