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特開2024-137399印字検査装置のリモート制御サポートシステムおよびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137399
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】印字検査装置のリモート制御サポートシステムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240927BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
B41J29/38 401
G06Q10/20
B41J29/38 350
B41J29/38 801
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048910
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 宗明
(72)【発明者】
【氏名】大川 佳祐
【テーマコード(参考)】
2C061
5L049
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN08
2C061HN15
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】サポート拠点から顧客の印字検査装置をリモートにてサポート可能とする。
【解決手段】印字装置の動作設定および検査を行う印字検査装置11a、11bとネットワーク端末3a、3bを有する顧客側システムと、保守及び統計管理サービスを提供するサービス側システムを有し、第1の印字検査装置11a、11bは、顧客の生産管理情報やデータ群を順次データ格納サーバ50に送信することで、データ格納サーバ50は、生産管理情報や稼働情報等の稼働情報を記録する。第1の印字検査装置11a、11bに対するサポートが必要になった場合に、サービス員はサービス拠点101~103からデータ格納サーバ50内の稼働情報を取得し、第2の印字検査装置111a、111bにて顧客の印字検査装置11a、11bの状態と同じ状態に再現することにより、遠隔地から顧客側システムで発生した問題を迅速に解決できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字対象に印字を行う第1の印字装置と、
前記第1の印字装置に接続可能に構成され、前記第1の印字装置の印字設定と印字状態の検査を行う第1の印字検査装置と、
前記印字検査装置と通信可能に構成され、インターネットを介した外部との通信が動作可能な第1のネットワーク端末と、を有する顧客側システムと、
前記第1のネットワーク端末から送信される情報を記憶するデータ格納サーバと、前記データ格納サーバに接続された第2のネットワーク端末と、を有するサービス側システムと、
を備えた印字検査装置のリモート制御サポートシステムであって、
前記第1の印字検査装置は、無線通信を実現する外部通信機器の入力端子と、装置データを入力するための入力部と、無線通信の送受信を含めた全体の制御する制御部を備え、
前記入力端子には、前記印字検査装置に対して無線通信を実現する着脱可能な外部通信機器が接続可能に構成され、
外部通信機器を装着した前記第1の印字検査装置と前記第1のネットワーク端末は無線通信で接続され、前記第1と前記第2のネットワーク端末はインターネット通信と前記データ格納サーバを挟んで接続される通信ネットワーク環境を有することで、サービス拠点からユーザーの印字検査装置に対してリモート制御サポートを行うように構成したことを特徴とする印字検査装置のリモート制御サポートシステム。
【請求項2】
前記第1の印字検査装置は、前記データ格納サーバとの通信接続を行い、
通信接続できた際には、前記第1の印字検査装置が所持している検査情報、装置情報、検査結果画像を含む稼働情報を、前記第1の印字検査装置の制御指令をトリガとして前記データ格納サーバに送信し、
前記データ格納サーバは、受信した前記第1の印字検査装置の前記稼働情報を記録することを特徴とする請求項1に記載の印字検査装置のリモート制御サポートシステム。
【請求項3】
前記データ格納サーバは、受信して記録された前記印字検査装置の稼働情報を記録する記憶装置と、前記顧客側システムからの要求に応じて前記記憶装置にアクセスを可能とするサーバ用プログラムと、を有し、
前記サーバ用プログラムは、
顧客側で所持する印字検査装置から前記稼働情報を受信したタイミングで、前記稼働情報に含まれる検査結果や検査画像を顧客の生産管理情報として統計管理しておき、
顧客やサービス員が問い合わせたタイミングで、問い合わされた前記稼働情報や前記生産管理情報の統計を、印字検査装置やネットワーク接続機器等へ送信することを特徴とする請求項2に記載の印字検査装置のリモート制御サポートシステム。
【請求項4】
前記サービス側システムは、前記第2のネットワーク端末と接続可能な第2の印字検査装置と第2の印字装置が設けられ、
前記サーバ用プログラムは、サービス側システムで所持する前記第2の印字検査装置とデータ格納サーバとの通信接続を行い、通信接続できた際には、データ格納サーバが取得した顧客の印字検査装置の、前記稼働情報をコピーして、前記第2の印字検査装置に再展開して前記第1の印字装置の状態を再現させることで、顧客側システムの前記第1の印字検査装置の挙動を追動作させることを特徴とする請求項3に記載の印字検査装置のリモート制御サポートシステム。
【請求項5】
前記サーバ用プログラムは、前記顧客側システムから過去に前記データ格納サーバと送された前記稼働情報のうち、前記第1の印字検査装置の設定パラメータに関する装置情報を、前記顧客側システム内の第3の印字検査装置にコピーして再展開させることで、顧客側システムの新たな印字検査装置の据え付け時のパラメータ設定の簡易化を図ることを特徴とする請求項4に記載の印字検査装置のリモート制御サポートシステム。
【請求項6】
サーバ用プログラムが管理した顧客の生産管理情報を、印字機器などから別途取得したデータ群と紐づけて、顧客が問い合わせたタイミングで、紐づけたデータ群を任意のフォーマットで、適宜データ格納サーバから顧客のネットワーク接続機器等へ送信することで、顧客が生産体制を確認しやすくすることを目的とすることを特徴とする請求項4に記載の印字検査装置のリモート制御サポートシステム。
【請求項7】
第1の印字装置の動作設定および検査を行う第1の印字検査装置と、
前記印字検査装置に可能な外部通信機器と、前記印字検査装置と通信可能に構成されインターネットを介した外部との通信が動作可能な第1のネットワーク端末を有する顧客側システムと、
前記第1のネットワーク端末により通信された前記印字装置の情報を記録するデータ格納サーバと、前記データ格納サーバに接続され、前記データ格納サーバに格納された情報を読み出し可能な第2のネットワーク端末と、前記第2のネットワーク端末と通信可能に構成された第2の印字検査装置と、を有するサービス側システムを備える印字検査装置のリモート制御サポートシステムにおいて、
前記第1の印字検査装置は、前記第1の印字検査装置の稼働情報を順次前記データ格納サーバに送信し、
前記データ格納サーバの制御部は、
前記第1の印字検査装置から受信した情報を記憶装置に格納し、
前記第1のネットワーク端末又は前記第2のネットワーク端末のいずれから前記記憶装置に格納された前記稼働情報の読み出し指示を受けた際には、前記制御部は格納された前記稼働情報から前記第1の印字装置の稼働情報を集計して統計情報を作成し、
前記統計情報を前記読み出し指示を出した端末に返信することを特徴とする印字検査装置のリモート制御サポートシステムの制御方法。
【請求項8】
前記データ格納サーバの制御部は、
前記第1のネットワーク端末又は前記第2のネットワーク端末のいずれから前記記憶装置に格納された前記第1の印字装置に関する設定情報の読み出し指示を受けた際には、前記制御部は格納された前記稼働情報から前記第1の印字装置の設定情報を抜き出して、前記読み出し指示を出した端末に返信することを特徴とする請求項7に記載の印字検査装置のリモート制御サポートシステムの制御方法。
【請求項9】
前記サービス側システムには、前記第2のネットワーク端末に接続された第2の印字検査装置が設けられ、
前記データ格納サーバから返信された前記設定情報を用いて、前記第2の印字検査装置を前記第1の印字検査装置の状態と同じ状態に再現することにより、サービス員がサービス拠点にいながら顧客側の第1の印字検査装置をリモート制御サポートできるように構成したことを特徴とする請求項8に記載の印字検査装置のリモート制御サポートシステムの制御方法。
【請求項10】
前記データ格納サーバの制御部は、
顧客側システム内に設けられた第3のネットワーク端末からのリクエストに応じて、
前記顧客側システムの前記第1の印字検査装置から過去に送信された前記稼働情報のうち、前記第1の印字検査装置のパラメータの設定情報を読み出し、
前記顧客側システム内の第3の印字検査装置にコピーして再展開させることで、顧客側システムの新たな印字検査装置の据え付け時のパラメータ設定の簡易化を図ることを特徴とする請求項9に記載の印字検査装置のリモート制御サポートシステムの制御方法。
【請求項11】
印字装置の動作設定および検査を行う第1の印字検査装置と、
前記印字検査装置に可能な第1の外部通信機器と、前記印字検査装置と通信可能に構成されインターネットを介した外部との通信が動作可能な第1のネットワーク端末を有する第1の顧客側システムと、
前記第1のネットワーク端末により通信された稼働情報に基づき判断した結果をネットワーク網を接続されるデータ格納サーバと、前記データ格納サーバに接続され前記データ格納サーバ及び前記第1のネットワーク端末を介して前記第1の印字検査装置と通信可能に第2のネットワーク端末を有するサービス側システムと、
前記印字検査装置に可能な第3の外部通信機器と、前記印字検査装置と通信可能に構成されインターネットを介した外部との通信が動作可能な第3のネットワーク端末を有する顧客側の別システムと、
を備える印字検査装置のリモート制御サポートシステムであって、
前記第1の印字検査装置は、運転した際には稼働情報を前記第1のネットワーク端末と前記ネットワーク網を経由して前記データ格納サーバに送信すると共に、機器の設定情報を変更した際に、前記第1のネットワーク端末と前記ネットワーク網を経由して前記データ格納サーバに前記設定情報を送信するプログラムを有し、
前記データ格納サーバは、前記第1の印字検査装置から受信した情報を記憶装置に記録すると共に、前記第2のネットワーク端末又は前記第3のネットワーク端末のいずれからのリクエストに応じて、前記記憶装置に格納された前記稼働情報を読み出して返信するサーバ用の制御プログラムを有することを特徴とする印字検査装置のリモート制御サポートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字検査装置のリモート制御サポートシステムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トレーサビリティ意識の向上から、製造日付や製造場所などの情報を製品に明示することが世界的に主流となった。この明示を行う手段として、帯電制御方式のインクジェット記録装置やレーザープリンタなどの印字装置を採用することがある。合わせて、印字装置で印字した印字内容が正しいかどうかを検査する手段として、印字検査装置を採用することが多い。
【0003】
印字検査装置で印字内容を検査するとき、製品の色や形状、印字場所の状態、撮像時の状態、画像処理状態によって、うまく印字内容を検査できないことがある。これを解決するには印字検査装置の検査パラメータ調整が必須であるが、原因が複合的である場合は装置に精通した熟練者やメーカーのサービス員が持つ個人的な設定ノウハウが必要となる。一方、装置に精通していない顧客は、メーカーのサービス員に依頼して問題解決を図ることになるが、工場等の顧客側拠点がサービス拠点から遠隔地にある場合は即時対応できない問題がある。この場合、顧客装置の不稼働時間が長くなり、また顧客製造ラインを止めてしまうため、顧客の生産活動に多大な損失を生みだしてしまう恐れがある。
【0004】
顧客のインクジェット記録装置に異常が発生した場合に、無線通信とインターネット通信を組合せた通信ネットワーク環境から顧客側の装置状態を得て、それを元にサービス拠点より顧客装置の異常内容の判断を行い、最適な装置の復旧方法をアドバイスすることで、顧客の装置不稼働時間を低減させる遠隔保守サポートシステムが特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/168536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、インクジェット記録装置の遠隔保守サポートシステムに関する発明である。特許文献1では、インクジェット記録装置で印字した内容が正しいかどうかを検査する印字検査装置の検査結果の検証や、設定パラメータ等の管理については言及されていないが、インクジェット記録装置だけでなく、印字検査装置においても、サービス員の保守遅延が起こると顧客装置の不稼働時間が長くなり、また顧客製造ラインを止めてしまう恐れがある。
【0007】
この問題解決のため、本発明の目的は、サービス員がサービス拠点にいながら顧客の印字検査装置に対して効果的なリモート制御サポートができるようにしたリモート制御サポートシステム及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、本発明の印字検査装置のリモート制御サポートシステムは、顧客側システムとサービス側システムを備える。顧客側システムは、印字対象にインクやトナーを用いて印字を行う第1の印字装置と、第1の印字装置に接続可能に構成され第1の印字装置の印字設定と印字状態の検査を行う第1の印字検査装置と、印字検査装置と通信可能に構成されインターネットを介した外部との通信が動作可能な第1のネットワーク端末を含んで構成される。サービス側システムは、第1のネットワーク端末から送信される情報を記憶するデータ格納サーバと、データ格納サーバに接続された第2のネットワーク端末を有するサービス拠点を備える。サポート対象の顧客は複数であるため、それぞれの顧客に少なくとも1つずつ以上の第1の印字装置と、第1の印字検査装置と、第1のネットワーク端末が設けられる。第1の印字検査装置は、無線通信を実現する外部通信機器の入力端子と、装置データを入力するための入力部と、無線通信の送受信を含めた全体の制御する制御部を備え、入力端子には、印字検査装置に対して無線通信を実現する着脱可能な外部通信機器が接続可能に構成される。外部通信機器を装着した第1の印字検査装置と第1のネットワーク端末は無線通信で接続され、第1と第2のネットワーク端末はインターネット通信とデータ格納サーバを挟んで接続される通信ネットワーク環境を有することで、サービス拠点からユーザーの印字検査装置に対してリモート制御サポートを行う。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、第1の印字検査装置は、データ格納サーバとの通信接続を行い、通信接続できた際には、第1の印字検査装置が所持している検査情報、装置情報、検査結果画像を含む稼働情報を、第1の印字検査装置の制御指令をトリガとしてデータ格納サーバに送信し、データ格納サーバは、受信した第1の印字検査装置の稼働情報を記録する。データ格納サーバには、受信して記録された印字検査装置の稼働情報を記録する記憶装置と、顧客側システムからの要求に応じて記憶装置にアクセスを可能とするサーバ用プログラムを有する。このサーバ用プログラムは、顧客側で所持する印字検査装置から稼働情報を受信したタイミングで、稼働情報に含まれる検査結果や検査画像を顧客の生産管理情報として統計管理しておき、顧客やサービス員が問い合わせたタイミングで、問い合わされた稼働情報や生産管理情報の統計を、印字検査装置やネットワーク接続機器等へ送信する。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、サービス側システムは、第2のネットワーク端末と接続可能な第2の印字検査装置と第2の印字装置が設けられ、サーバ用プログラムは、サービス側システムで所持する第2の印字検査装置とデータ格納サーバとの通信接続を行い、通信接続できた際には、データ格納サーバが取得した顧客の印字検査装置(第1の印字検査装置)の稼働情報をコピーして、第2の印字検査装置に再展開して第1の印字装置の状態を再現させる。このように顧客側システムの第1の印字検査装置の挙動を追動作させることにより、サービス員は顧客側システムのサポートを行う。第1のワーク端末には、ビデオカメラ機能、無線通信機能、および、インターネット通信機能を有する。印字検査装置は所持しているデータ群を、無線外部接続端子と通信ネットワークを経由して、データ格納サーバと送受信する。データ群の一例としては、検査情報パラメータ、装置情報パラメータ、検査結果、検査画像がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明を用いると、顧客側拠点がサービス拠点から遠隔地にある場合でも、データ格納サーバにあるデータ群を元に、顧客装置のリモート制御サポートを行うことができるので、サービス員は迅速に印字装置、又は、印字検査装置に対する問題解決ができ、顧客装置の不稼働時間の低減を図ることが可能となる。また、サービスサポート体制の充実や、サービス員の顧客側拠点への移動に関するコスト低減も見込める上に、移動のための時間やエネルギーを節約できるので省エネ化に大きく貢献できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る印字検査装置のリモート制御サポートシステムの全体構成図である。
図2図1の印字検査装置11aの概略ブロック図である。
図3図1のデータ格納サーバ50の概略ブロック図である。
図4】本発明の実施例に係る印字検査装置のリモート制御サポートシステムにおいて、印字検査装置11aがデータ格納サーバ50に稼働情報を記録する際のシーケンスチャートである。
図5】本発明の実施例に係る印字検査装置のリモート制御サポートシステムにおいて印字検査装置11a、又は、サービス拠点のサービス員105が、データ格納サーバ50から顧客の稼働情報を取得する際のシーケンスチャートである。
図6】本発明の第2の実施例に係る顧客側システムの構成を示す部分ブロック図である。
図7】第2の実施例に係る顧客側システムの印字検査装置11aが、データ格納サーバ50から顧客の生産管理情報やデータ群を取得する際のシーケンスチャートである。
図8】第2の実施例に係る顧客側システムの印字検査装置11c上の画面80の表示例である。
図9】本発明の第3の実施例に係る顧客側システムの構成を示す部分ブロック図である。
図10】第3の実施例に係る顧客側システムの印字検査装置11aが、データ格納サーバ50から顧客の生産管理情報やデータ群を取得する際のシーケンスチャートである。
図11】第3の実施例に係る顧客側システムの顧客6が所持するPC4bなどのネットワーク接続機器によって、生産管理情報をデータ格納サーバ50に問合せた場合の流れを示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
本発明では、従来のサポートシステムにおける問題解決のために、サービス員がサービス拠点にいながら顧客側の印字検査装置をリモート制御によりサポートできる、いわゆる“リモート制御サポートシステム”を提案する。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施例に係る印字検査装置のリモート制御サポートシステムの全体構成図である。リモート制御サポートシステムは、各種データ群を無線外部接続端子から外部機器へ送受信する制御プログラムを有する印字検査装置(MC:Marking Checker)11a、11bが設置される複数の顧客側拠点1、2と、顧客の印字検査装置1、2に対してリモート制御サポートを遠隔で行うためのサービス側システムによって構成される。顧客側拠点1、2とサービス側システムの間は、インターネット100を介して双方向に通信可能なように接続される。インターネット100に接続可能な顧客側拠点1、2の数は、図1では2つだけを例示しているが、任意の数にできる。顧客側拠点1のシステムには、印字検査装置11aと端末3aが含まれる。印字検査装置11aが、インターネット100を介してサービス側システムとの通信を行う主体となる。ネットワーク端末3aはカメラ機能、無線通信機能およびインターネット通信機能を有するもので、例えば、インターネット100に接続可能とする通信機能を有するパーソナルコンピュータ(PC)や携帯情報端末(Personal Digital Assistant)と、それに接続されるカメラ25を含んで構成できる。
【0014】
印字検査装置11aは、帯電制御方式のインクジェット記録装置(IJP:Ink Jet Printer)やレーザープリンタなどの印字装置41aとの組み合わせで用いられ、生産現場における印字プロセスの効率化を支える装置である。ここでは図示していないが、印字検査装置11aは、印字装置41aと有線または無線にて接続可能なように構成される。印字検査装置11aは、印字装置41a側が行う印字対象の設定切り換えや印字内容の変更等、印字対象に合わせた制御指令に連動して動作すると共に、印字装置41aによる印字対象への印字結果を監視し、検査データや不良データを保存して、過去の検査結果の追跡(トレーサビリティ)を可能とする。印字検査装置11aは、カメラ25(符号は後述の図2参照)からの画像を取得し、搬送ラインを流れる印字対象の印字結果を動画又は静止画にて保存することによって印字状態の記録と、印字内容が適正か否かの判定と、印字状態が良好か不良かの検出を行う。カメラ25は、例えば印字対象の搬送ラインにおいて、印字装置41aの印字ヘッド(図示せず)位置よりも搬送方向の後方側に設けられ、その出力が印字検査装置11aに送信される。
【0015】
印字検査装置11aによる印字検査方式は、照合検査方式(アジャスタブルマッチング方式)や、カラーカメラを用いた色素判定を併用した印字検査等、公知の検査方法を用いることができる。これらの照合検査方式や印字検査は、印字検査装置11aにて実行されるプログラムによってソフトウェアで実現される。印字検査装置11aは、印字後の検査の実行だけでなく、検査に必要なパラメータを自動設定する機能を有する。パラメータを入力する顧客は、印字検査装置11aの入力装置(図2で後述のタッチパネル19など)からガイダンスに従って作業することで、印字対象の品種の設定ができる。さらに、検査に必要なパラメータや、印字対象の品種切り換えや印字内容の変更を、遠隔操作又はデータ格納サーバ50からの指示を受けて、印字検査装置11aへ自動的に設定することも可能である。
【0016】
ネットワーク端末3aと印字検査装置11aとの通信路の確立は、有線通信又は無線通信によって行われる。簡易な方法の一つとして、印字検査装置11aのUSB端子(注:USBは、USB Implementers Forum, Inc.の登録商標)に、着脱可能な外部通信機器15を装着することにより、ネットワーク端末3aとの無線通信を可能とする。使用する無線通信は、Wi-Fi(注:Wi-Fi Allianceの登録商用)や、Bluetooth(注:Bluetooth SIGの登録商標)等の公知の通信方法を用いることができる。顧客側拠点1にはネットワーク端末3aだけでなく更なるネットワーク端末4aを設けることができる。ネットワーク端末4aは、顧客側拠点1に設けられた図示しない他のコンピュータ機器、他の印字検査装置との通信するためのものであったり、顧客がサービス側システムにアクセスするために用いられる通信端末機器である。
【0017】
顧客側拠点2は顧客側拠点1と同様の構成であるが、印字検査装置11bが印字装置41bと有線にて常時接続状態にある。また、印字検査装置11bには外部通信機器15が装着できないが、印字装置41bに外部通信機器15を装着することによって、印字装置41bを経由して印字検査装置11bがネットワーク端末3bとの通信を行うことができる。この結果、印字検査装置11bとサービス側システムが通信可能となる。このように顧客側拠点2における機器構成が、顧客側拠点1との機器構成とわずかに異なるが、本質的な違いではなく、印字検査装置11a、11bが、サービス側システムと通信可能に構成した点で共通する。尚、本実施例において第1の印字検査装置11a、11bと、サービス側システムとの通信方法、通信路の選択は任意であり、インターネット100だけでなく公知の他の手段を用いても良い。
【0018】
サービス側システムは、データ格納サーバ50と、データ格納サーバ50に接続可能な複数のサービス拠点101~103を含んで構成される。各サービス拠点101~103には、第2の印字検査装置111a~111cと、第2の印字装置141a~142cと、ネットワーク端末(操作端末)113a~113c、114a、114cが設けられる。印字検査装置111aとネットワーク端末113a、印字検査装置111cとネットワーク端末113cは、無線通信にて通信可能とされる。第2の印字検査装置111a~111cと第2の印字装置141a~142cとの通信方法は、図示していないが有線又は無線のいずれでも良い。
【0019】
印字検査装置111bとネットワーク端末113bはケーブルにて接続され、有線による通信が可能である。無線通信を可能とするために、ネットワーク端末113a、113cには無線通信機器が内蔵され、印字検査装置111a、111cには、無線通信を実現する無線外部通信機器115a、115cが装着される。無線外部通信機器115a、115cは、例えば、印字検査装置111a、111cのUSB端子に着脱可能に構成される。尚、印字検査装置111a、111cと無線外部通信機器115a、115cとの無線通信は、公知の他の通信機器を用いても良い。
【0020】
サービス拠点101~103では、顧客に対してサービスを提供するためのサービス員(Servic Staff)が待機し、サービスの提供を要求する顧客側の様々な情報を取得して、発生した問題や、設定すべき新たな状態等のアドバイスを行う。サービス員によるサービスを可能とするために、サービス側システムにはデータ格納サーバ50が設けられる。データ格納サーバ50は、顧客側拠点1、2の印字検査装置11a、11bから稼働情報を取得して記録する。印字検査装置11a、11bの稼働情報には、『検査情報パラメータ』、『装置情報パラメータ』、『検査結果』、『検査画像』等のデータ群が含まれる。これら格納される稼働情報は、サービス拠点101~103側のネットワーク端末113a~113c、114a、114bから参照可能とすることで、サービス拠点101~103のサービス員は、顧客側システムの稼働状態を適切に把握することができる。特に、格納される稼働情報に『(印字の)検査結果』だけでなく『(印字された結果の)検査画像』までも含まれるため、顧客側にサービス員を派遣することなく遠隔地からサービス員により適切なアドバイスを提供できる。アドバイス等のサービス情報は、インターネット100を介して端末3a、3b、4aに対してメールやメッセージ形式で送信するか、音声通話、ビデオ通話、その他の公知の連絡手段を介して顧客の操作者と連絡すれば良い。
【0021】
図2は、印字検査装置11(11a、11b)の概略ブロック図である。ここでは印字検査装置11aの構成を代表的に示しているが、印字検査装置11bの構成も同じである。印字検査装置11aは、図2に示されるように、MPU(Micro Processing Unit)12、RAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14と、表示インタフェース(Interface)16、ディスプレイ17、入力インタフェース18、入力装置19、画像処理部20、検査物検知部21、ライン速度追従制御部22、外部通信接続端子24、カメラ25を有し、これらはバスライン23で接続されている。
【0022】
MPU12は、印字検査装置11aの全体を制御して、各部に指示を与える半導体装置である。RAM13は、印字検査装置11a内で一時的にデータを記憶しておく揮発性の一次記憶装置であり、検査物に対して印字結果の検査を行うための検査パラメータ13aがロードされ、MPUによるプログラムの実行時に用いられる。ROM14はフラッシュメモリ等の不揮発性の二次記憶装置であって、印字検査装置11aの全体を制御するためのメインのプログラム14aと、印字結果を記録すると共にその結果を検査する印字記録・印字検査プログラム14cと、検査物となる製品の画像14b等を予め記憶しておく。ROM14に保持される印字記録・印字検査プログラム14cは、印字検査に関する一連のプログラム群であり、MPU12によって実行される。
【0023】
ディスプレイ17は、表示インタフェース16を介して検査結果や製品画像14bなどを表示する公知の表示装置であって、例えば液晶ディスプレイ装置を用いることができる。入力装置19は、入力インタフェース18を介して検査設定などの操作者からの指示を入力するための公知の入出力装置であり、キーボード、マウス、タッチパネル等を用いることができる。画像処理部20は、カメラ25で撮影された印字された検査物の画像を取得して処理するための回路及びソフトウェアである。検査物検知部21は、印字対象が流れる搬送ライン上の製品の通過を検知する検査物センサ(図示せず)から来た検知信号を取得する。ライン速度追従部22は、搬送ラインの稼動速度を測定するエンコーダ(図示せず)からの速度パルスを取得する。外部通信接続端子24は、例えばUSB端子にて構成して、外部通信機器15(図1参照)の装着を可能とし、印字装置41aやネットワーク端末3aと通信路を確立する。
【0024】
図3は、図1のデータ格納サーバ50の概略ブロック図である。データ格納サーバ50は、顧客側拠点1、2から随時送信される稼働情報を取得して記録するデータベースとしての機能を主とする。データ格納サーバ50、MPU(Micro Processing Unit)52と、RAM(Random Access Memory)53と、制御プログラム54と、表示インタフェース(Interface)56と、ディスプレイ57と、入力インタフェース58と、入力装置59と、複数の記憶装置61、62と、インターネット100との接続を行うための通信インタフェース64を有し、これらはバスライン63で接続されている。
【0025】
MPU52は、データ格納サーバ50全体を制御し、各部に指示を与える半導体装置である。RAM53は、データ格納サーバ50内で一時的にデータを記憶しておく揮発性の半導体装置である。制御プログラム54は、データ格納サーバ50の機能を実行するための複数のプログラムであって、図示しない2次記憶装置に格納され、実行時にRAM53内に読み出され、MPU52によって実行される。制御プログラム54には、データ格納サーバ50内のデータ群を参照し、必要に応じて集計して統計情報を生成し、参照された格納情報と生成された統計情報をリクエストされた拠点(顧客側、又は、サービス側)へ送信する機能を有する。
【0026】
ディスプレイ57は、表示インタフェース56を介して各種情報を表示する装置であって、データ格納サーバ50を管理する管理者によって主に使用される。入力装置59は、管理者が操作する装置であり、キーボード、マウス、タッチパネル等を用いることができる。入力装置59によって入力されたデータは、入力インタフェース58、バスライン63を介してMPU52に送信される。第1の記憶装置61、第2の記憶装置62は、顧客側拠点1、2から随時送信されるデータを記録するもので、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)が用いられる。記憶装置61、62の設置数は、図3で2つだけ図示しているが、必要な容量に応じて多数設定すれば良い。
【0027】
図4は、本発明の実施例に係る印字検査装置のリモート制御サポートシステムにおいて、印字検査装置11aがデータ格納サーバ50にデータ群を記録する際のシーケンスチャートである。顧客側拠点1において、顧客5は印字検査装置11aの外部通信接続端子24(図2参照)に外部通信機器15を装着する。印字検査装置11aの制御部を構成するMPU12(図2参照)は、外部通信接続端子24(図2参照)への機器の接続状態を常に監視しており、外部通信機器15が装着されると、あらかじめプログラムで指定していた特定の無線通信プロトコルを起動させて、顧客5のネットワーク端末3aへの無線通信を開始する(ステップ201:以下、本明細書では「ステップ」を「S」にて示す)。
【0028】
顧客のネットワーク端末3aでは、無線通信の状態を常に監視しており、印字検査装置11aからの接続開始要求を受信すると、無線制御を開始する(S202)。具体的にネットワーク端末3aは、無線通信を介して印字検査装置11aがデータ格納サーバ50と通信できるようにする。このため、ネットワーク端末3aは印字検査装置11aからの接続開始要求を受けて、データ格納サーバ50に接続問合せの要求信号を送信する。
【0029】
データ格納サーバ50のMPU52(図3参照)は、接続問合せの要求信号を受信すると接続設定を行う(S203)。具体的には、顧客のネットワーク端末3aを特定し、サーバ用プログラムに顧客5の生産管理情報を記録し、統計管理する準備を行う。準備が完了したら、MPU52はネットワーク端末3aに接続可能である旨の返信を行う。ネットワーク端末3aは、接続可能である旨の返信を受信すると、印字検査装置11aに接続可能である旨を転送する。この部分まで実行すると、印字検査装置11aとデータ格納サーバ50が接続されたことになり、以降のデータ格納サーバ50への稼働情報に関するデータ群の格納処理が実行される。稼働情報の格納処理は印字検査装置11a側にて何らかの動作、例えば設定パラメータの変更や、運転開始後の検査動作等、すべての動作に関する稼働情報のデータ群を対象とする。データ群の内容の一例としては、『検査情報パラメータ』『装置情報パラメータ』、『検査結果』、『検査画像』等がある。
【0030】
データ群の送信開始時期は、印字検査装置11aの制御指令をトリガとしており、印字検査装置11aとデータ格納サーバ50の接続後に印字検査装置11aの制御と連動して通信を自動化することで、サービス員が顧客装置のリモート制御に必要な情報の取りこぼしを防止している。送信開始のトリガとなる制御指令の例としては、装置電源ON/OFF、装置運転開始/停止、検査パラメータ呼出し、検査パラメータ変更、検査開始、検査完了、装置異常発生などのイベントの発生が挙げられる。
【0031】
印字検査装置11aが印字装置41aに対する印字設定用のパラメータを変更する場合は、制御指令をトリガとして、印字検査装置11aがデータ格納サーバ50へデータ群を送信する。送信されるデータ群とは、例えば検査情報パラメータ変更時は、印字検査装置11aは検査パラメータ変更処理(S204)の後に、データ格納サーバ50へ検査情報パラメータを送信し、受信したデータ格納サーバ50は、検査情報パラメータを記憶装置61又は62(図3参照)に記録すると共に、MPU52は生産管理情報として統計管理を行う(S205)。
【0032】
印字装置41aによる運転開始時には、印字検査装置11aは運転開始処理(S206)を行った後に、データ格納サーバ50へ“運転開始”を示す情報を送信し、受信したデータ格納サーバ50は、記憶装置61又は62(図3参照)に“運転開始”を示す情報を記録した上で生産管理情報として統計管理する(S207)。
【0033】
印字装置41aによる検査処理時に印字検査装置11aは、検査処理(S208)の後にデータ格納サーバ50へ検査結果を送信し、受信したデータ格納サーバ50のMPU52は、記憶装置61又は62(図3参照)に検査結果を記録すると共に、生産管理情報として統計管理する(S209)。同様にして、次の検査処理時に印字検査装置11aは、検査処理(S210)の後にデータ格納サーバ50へ検査結果を送信し、受信したデータ格納サーバ50のMPU52は、記憶装置61又は62(図3参照)に検査結果を記録すると共に、生産管理情報として統計管理する(S211)。以降、同様の処理が、印字検査装置11a側からのすべての送信が終了するまで、例えば、電源オフになる時まで続けられる。尚、図4では印字検査装置11aの動作について説明したが、印字検査装置11bの動作も、図示しない他の顧客側システムの動作も、基本的に同じである。
【0034】
図5は、本発明の実施例に係る印字検査装置のリモート制御サポートシステムにおいて顧客側拠点1の印字検査装置11a、又は、サービス拠点のサービス員105が、データ格納サーバ50から顧客の稼働情報を取得する際のシーケンスチャートである。ここでいう顧客の「稼働情報」には、顧客1が所有する印字装置41a、印字検査装置11a等の装置情報、それらの装置における様々な設定情報、生産情報、印字結果、印字検査結果等、様々な情報やデータ群を含む。
【0035】
顧客側拠点1において顧客5が統計情報を取得したい場合は、顧客5が印字検査装置aより統計問合せコマンドを入力する。このコマンド入力をトリガにして、印字検査装置11aより統計問合せ処理の要求信号を送信する(S301)。ネットワーク端末3aを経由して問合せ処理の要求を受信したデータ格納サーバ50は、記憶装置61、62(図3参照)に格納されたデータを読み出し、必要に応じてMPU52が集計処理を行って統計情報を応答(返信)する(S302)。顧客側拠点1にてネットワーク端末3aにて受信された統計情報は、ネットワーク端末3aから印字検査装置11aに転送され、印字検査装置11aは受信した統計情報をディスプレイ17(図3参照)にて表示する(S303)。この制御を実現することで、顧客5は、データ格納サーバ50に格納された生産管理情報を容易に取得することができる。
【0036】
顧客5側において装置情報、例えば、『検査情報パラメータ』、『装置情報パラメータ』等を取りたい場合は、顧客5は印字検査装置11aより装置情報の問合せコマンドを入力する。このコマンド入力をトリガにして、印字検査装置11aより装置情報問合せ処理の要求(S304)を送信し、ネットワーク端末3aを経由して問合せ処理の要求を受信したデータ格納サーバ50は、記憶装置61、62(図3参照)に格納されたデータを読み出して、装置情報を返信(送付)する(S305)。顧客側拠点1にてネットワーク端末3aにて受信された装置情報は、ネットワーク端末3aから印字検査装置11aに転送され、印字検査装置11aのMPU12(図2参照)は、受信した装置情報を印字検査装置11aに表示する(S306)。顧客5は表示された設定情報を印字検査装置11aの設定として手動で、又は自動で反映させることができる。
【0037】
データ格納サーバ50に格納された顧客5に関する稼働情報は、サービス拠点101のサービス員(SS)105からも参照可能である。サービス員105が特定の顧客の『検査情報パラメータ』、『装置情報パラメータ』等の装置情報を取得したい場合は、印字検査装置111aよりデータ格納サーバ50に対して装置情報問合せ処理の要求を送信し(S307)、ネットワーク端末113aを経由して要求を受信したデータ格納サーバ50は、記憶装置61、62(図3参照)に格納されている対象の顧客に関する装置情報を検索して、検索された装置情報を印字検査装置111aに返信(送付)する(S308)。サービス員105はデータ格納サーバ50にあるデータ群を元に、顧客装置のリモート制御サポートを行う。リモート制御サポート手段としては、サービス拠点101に設けられた印字検査装置111aにデータ群をコピーして確認する方法や、データ格納サーバ50上のデータ群を印字検査装置111aの画面にて直接参照する方法がある。
【0038】
図5の例では、印字検査装置111aは受信した装置情報を印字検査装置111aの設定にする(S309)。この結果、サービス員(SS)105は、顧客5と同じ設定状態の印字検査装置111aを手元に再現できるので、顧客5の印字検査装置11aの状態を、手元にある印字検査装置111aによって確認でき、迅速かつ適切なサービス、保守業務を遂行できる。
【0039】
サービス員105が業務を遠隔地で行う際に、データ格納サーバ50にあるデータ群を元にサービス、保守のリモートサービスを行えるようにした本実施例のシステムは、サポート員105の業務の際に顧客システム側から印字検査装置11aに関する必要な情報を送付してもらう必要が無くなるので、迅速にリモート制御サポートを行うことができる。また、サービス員105が他の印字検査装置11b等の装置情報、例えば『検査情報パラメータ』、『印字情報パラメータ』を取得できるため、それらの既存の装置情報を同じ顧客又は別の顧客の新たに設置される印字検査装置に容易に移植できるため、装置据え付け時のパラメータ設定の簡易化を図ることができる。
【0040】
以上、顧客装置のリモート制御サポートの実施例について説明した。これらはサービス員が活用できる実施例である。他方、同一構成品で顧客に対するリモート制御サポートの付加価値を上げることも想定している。例としては、顧客の生産管理情報(検査パラメータ、検査数、検査結果、検査画像など)を統計で管理する方法である。サーバ用の制御プログラム54(図3参照)は、顧客側の印字検査装置11a、11bから取得したデータ群を、前述の生産管理情報として構造を適宜再構成して管理し続ける。これらの情報は、顧客が過去製造時の品質が知りたいときに随時さかのぼって確認できるようにして、顧客生産活動のトレーサビリティ手段の充実を図ることにする。
【0041】
もう一つの例としては、印字検査装置11a、11bの『検査情報パラメータ』と、インクジェット記録装置41a、41b等の『印字情報パラメータ』の紐づけを行う方法である。サーバ用プログラム54は、顧客側の印字検査装置11a、11bやインクジェット式の印字装置41a、41b等の情報をまとめて管理し続ける。これら情報は、顧客が過去製造時の印字/検査パラメータの組合せが知りたいときに随時さかのぼって確認できることや、他の顧客側の印字検査装置やインクジェット印字装置の増設時に、『検査情報パラメータ』『印字情報パラメータ』を移植することが可能になるので、顧客装置のメンテナンス性アップや、装置据え付け時のパラメータ設定の簡易化が達成できた。
【0042】
本実施例では、リモート制御サポートシステムを用いることで、サービス向上を図り、顧客の装置不稼働時間を低減させることが可能となる。また、顧客に対するリモート制御サポートの付加価値を上げることもできる。
これにより、顧客側としては、(1)装置が異常状態に陥ったときの装置非稼動時間を短縮できるため生産体系への影響を出来るだけ最小化できる、(2)保守サービス員の移動費用を減らせるためサービス費用を抑えられる、(3)過去のトレーサビリティ結果を適宜確認することができる、といった効果が期待できる。
また、サービス拠点側としては、(1)サービス拠点からの移動時間の省略又は短縮化が図れて、サービスレスポンス向上が期待できる、(2)他装置のパラメータを顧客据付けで流用できて、据付け時間を短縮できる、(3)サービス員の顧客側への移動をなくすことで省エネルギー化に大きく貢献できるといった効果が期待できる。
【実施例0043】
次に、図6図8を用いて本発明の第3の実施例に係る印字検査装置のリモート制御サポートシステムを説明する。図6は、リモート制御サポートシステムの顧客側システムの構成を示すブロック図である。図6において、第1の顧客[I]は、符号1で示す拠点で製品を大量生産しており、生産された製品に対して印字装置41aを用いて、製造識別番号、賞味期限等の製造関連情報を付与する。第1の顧客[I]が、拠点Aに加えて拠点Bを新たに設置し、拠点Bにて印字検査装置11cや印字装置(図示せず)を新たに設置する場合、拠点Aの印字検査装置11aに設定済の『検査情報パラメータ』、『装置情報パラメータ』を含む設定データ群を、拠点Bの印字検査装置11c(第3の印字装置)へコピーしたい場合が生じる。第2の実施例では、既存の設定データ群を拠点Bの印字検査装置11cへ再展開させる際に、設定データ群のコピー動作をデータ格納サーバ50を介して行う。
【0044】
第2の実施例を実現するための構成は、符号1′で示す第2の拠点Bにおいて、インターネット100に接続可能な第3のネットワーク端末3cを設けることと、ネットワーク端末3cと印字検査装置11cを通信線7dを介してデータ格納サーバ50と通信可能に構成することである。ここでは印字検査装置11cの外部接続端子(例えばUSB端子)に、外部通信機器15を装着可能とする。外部通信機器15を印字検査装置11cに装着することで、印字検査装置11cはネットワーク端末3cを介してデータ格納サーバ50と双方向の通信が可能となる。尚、図6では図1にて示した第2の顧客[II]についての図示を省略しているが、第2の顧客[II]やそれ以外の別の顧客のシステムが、インターネット100を介してデータ格納サーバ50に接続される。
【0045】
図7は、第2の実施例に係るリモート制御サポートシステムにおける顧客側システムの印字検査装置11aが、データ格納サーバ50から顧客の生産管理情報やデータ群を取得する際のシーケンスチャートである。最初に第1の顧客5は印字検査装置11c(図6参照)より、インターネット100を介してデータ格納サーバ50に、印字検査装置11aの設定情報を取得するための接続問合せを送信する(S401)。ネットワーク端末3cを経由して接続問合せを受信したデータ格納サーバ50は、インターネット100に接続されている同じ第1の顧客5の他の印字検査装置がデータ格納サーバ50に格納されているかどうかの接続状態の確認と、それらの機器の設定情報がデータ格納サーバ50の記憶装置61、62内に格納されているか否かを確認し、その結果をネットワーク端末3cを経由して印字検査装置11cに応答する(S402)。印字検査装置11cは受信した接続状況を画面表示する(S403)。この結果は例えば、データ格納サーバ50に格納されている第1の顧客5の他の印字検査装置のリストである。その際の印字検査装置11cでの画面表示例が図8である。
【0046】
図8は、印字検査装置11aの再展開させるコピー元機器を選択するための印字検査装置11c上の画面80を示した例である。画面80の左側にコピー先の表示欄81が設けられ、顧客5が操作を行っている現在の装置(印字検査装置11c)と、その機器番号82が表示される。画面80の右側にはコピー元の選択欄85が設けられ、ここでは、データ格納サーバ50への問い合わせによって接続が確認された、同じ顧客5の別の印字検査装置11aと11bが、表示欄86、87のようにリストアップされて表示される。表示欄には、印字検査装置11aと11bの型番や名称と、その識別番号(例えば数字8桁)が表示される。顧客5は表示欄85内に表示された機器(ここでは2つ)からいずれか一つを選択する。
【0047】
顧客5が、印字検査装置11aの設定データを印字検査装置11cにコピーしたい場合には、コピー元の表示欄85内において、印字検査装置11aを選択する。選択された“印字検査装置11a”は反転表示される。このようにコピー元が選択された後に、顧客5はマウス又はタッチパネルによって実行アイコン88をクリックすると、データ格納サーバ50の制御部が記憶装置61、62に格納されている印字検査装置11aの設定情報を読み出して、印字検査装置11cに送信する(図7のS404からS406に相当)。このように、データ格納サーバ50の記憶装置61、62に、印字検査装置11cの設定情報が格納されているため、図6図7のコピー操作を行うにあたって、顧客5によるコピー元となる印字検査装置11aへのアクセスが不要になる。また、コピー元が設定されているA拠点から遠隔の場所(顧客[I]のB拠点)においても、迅速かつ容易に印字検査装置11aの設定情報を再利用することができるので、顧客5又はサービス員は、遠隔地から印字検査装置11cへの設定データの入力を行うことが可能となる。
【0048】
第2の実施例では、コピー元の選択候補の印字検査装置(11a、11b)が、データ格納サーバ50の制御部によって検索されて、印字検査装置11cの表示画面にてリストアップされるので、顧客5はマウス又はタッチパネルによってコピー元の印字検査装置を選択するだけで、新たな設定対象機器の設定を迅速に行うことができる。画面80において、実行アイコン88の下側には戻るアイコン89が表示されるので、顧客5がデータコピーを実行せずに元の画面に戻る場合には、戻るアイコン89をクリックする。
【0049】
図7に戻る。ステップ404において顧客5が実行アイコン88をクリックすると、印字検査装置11cはデータコピー処理をデータ格納サーバ50に指示し、その指示がネットワーク端末3cを介してデータ格納サーバ50の制御部に伝達される。指示を受け取ったデータ格納サーバ50の制御部は。印字検査装置11aのデータ群を印字検査装置11cに送信し(S405)、印字検査装置11cは受信したデータ群を設定情報として登録する(S406)。このように、印字検査装置11cの設定情報を、設定済の他の印字検査装置11aからコピーすることを可能にすることで、顧客5は過去にデータ格納サーバ50と送受信した第1の印字検査装置11aのパラメータ設定を別の印字検査装置(例えば第3の印字検査装置11c)にコピーして再展開できるため、新たな印字装置や印字検査装置の据え付け時のパラメータ設定の簡易化を図ることが可能となる。
【実施例0050】
次に、図9図11を用いて本発明の第3の実施例に係る印字検査装置のリモート制御サポートシステムを説明する。図9は、リモート制御サポートシステムの顧客[II]側の構成例である。顧客[II]側の構成は、図1で示した構成に加えて第3の端末、即ち、PC(Personal Computer)4bを追加し、PC4bを通信線7eによってインターネット100に接続したものである。
【0051】
印字検査装置11bの生産管理情報は、顧客6が所持する印字装置41bの生産管理情報と紐づけて、データ格納サーバ50によって記録される。記録された情報は、顧客6が問い合わせたタイミングで、紐づけたデータ群を任意のフォーマットで、適宜データ格納サーバ50から顧客顧客[II]が所有するPC4b等のネットワーク端末、その他のネットワーク接続可能な機器へ送信可能である。
【0052】
図10に示すシーケンスチャートは、顧客所持の印字装置41bと印字検査装置11bの統計管理を行う例である。運転開始時は、インクジェット式の印字装置41bと印字検査装置11bは運転開始処理(S501、502)の後に、データ格納サーバ50へ運転開始した旨の情報を送信し、受信したデータ格納サーバ50は、“運転開始”の制御指令を記録した上で生産管理情報として統計管理する(S503)。このような統計管理は、以降、印字装置41bと印字検査装置11bが何らかの動作、例えば、印字処理、印字検査処理を行う度に行われ、その都度、リアルタイムで、又は、所定のタイミングにて情報が印字検査装置11bからデータ格納サーバ50に送信される。
【0053】
印字装置41bの印字処理では、印字装置41bは印字処理(S504)の後に、『印字情報パラメータ』『印字文字』等のデータ群からなる印字結果を、データ格納サーバ50へ送信する。受信したデータ格納サーバ50は、受信した印字結果を記録した上で生産管理情報の統計管理を行う(S505)。また、印字検査装置11bの検査処理では、印字検査装置11bは検査処理(S506)の後に、『検査情報パラメータ』『検査結果』『検査画像』等のデータ群からなる検査結果に関する情報を、データ格納サーバ50へ送信する。受信したデータ格納サーバ50は、受信した検査結果を記録した上で生産管理情報の統計管理を行う(S507)。
【0054】
次に、印字装置41bによる印字処理が行われると(S508)、印字装置41bはデータ格納サーバ50へ印字結果を送信し(S509)、受信したデータ格納サーバ50は、印字結果を記録した上で生産管理情報として統計管理する(S509)。また、印字検査装置11bによる検査処理が行われると(S510)、印字検査装置11bはデータ格納サーバ50へ検査結果を送信し(S511)、受信したデータ格納サーバ50は、検査結果を記録した上で生産管理情報として統計管理する(S511)。以降、同様の処理が繰り返されることによって、印字装置41bによる印字結果と、印字検査装置11bによる検査結果の情報がデータ格納サーバ50に送信されるので、データ格納サーバ50は、印字装置41bによる稼働状況の記録と、印字検査装置11bによる稼働情報の記録と、それらの記録を集計した統計情報(生産管理情報)の作成を、データ格納サーバ50のMPU52(図3参照)にて容易に実行できる。また、データ格納サーバ50側において記録と統計情報の管理を行うことで、顧客5、6やサービス員は、インターネット100に接続可能な任意の拠点の任意の端末からそれらを取得することも可能になる。
【0055】
図11に示すシーケンスチャートは、顧客6が所持するPC4bなどのネットワーク接続機器によって、生産管理情報をデータ格納サーバ50に問合せた場合の流れを示す。PC4bが顧客の統計問合せを行うと(S601)、データ格納サーバ50は統計処理していた印字装置41bの印字結果と印字検査装置11bの検査結果をグラフや表などの分かりやすい任意のフォーマットにまとめて(S602)、顧客所持のPC4bへ送付する(S603)。PC4bは、受信した情報を表示装置にて表示することにより、該当する情報をPC4bの操作者(顧客6)に対して示すことができる(S604)。
【0056】
以上、本発明を3つの実施例を用いて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、顧客側システムと、サービス側システムの間はインターネット100による接続に限定されずに、任意の通信網を用いて通信しても良い。また、印字装置(41a、41b)と印字検査装置(11a、11b)との間の通信手段は着脱可能な外部通信機器を用いる構成に限定されず、任意の通信手段を利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1、2 顧客側拠点
3a、3b、4a (第1の)ネットワーク端末
3c、4b (第3の)ネットワーク端末
7a~7e 通信線
8、9a~9e 通信線
11a、11b (第1の)印字検査装置
11c (第3の)印字検査装置
12 MPU
13 RAM
13a 検査パラメータ
14 ROM
14a プログラム
14b 製品画像
14c 印字記録・印字検査プログラム
15 外部通信機器
17 ディスプレイ
19 入力装置
20 画像処理部
24 無線外部通信接続端子
25 カメラ
41a、41b (第1の)印字装置
50 データ格納サーバ
51 MPU
53 RAM
54 制御プログラム
61、62 記憶装置
80 表示画面
100 インターネット
101、102、103 サービス拠点
111a~111c (第2の)印字検査装置
113a~113c (第2の)ネットワーク端末
115a、115c 無線外部通信機器
141a~141c (第2の)印字装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11